JP7325277B2 - リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材及びその製造方法 - Google Patents

リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材及びその製造方法に関し、詳細には、リサイクル炭素繊維を原料に用いて炭素繊維と樹脂との複合材を製造する技術に関する。
自動車の燃費向上や、電動化に伴う航続距離拡大のニーズから、自動車部品の軽量化の要求が高まっている。かかる要求を実現する軽量素材として樹脂材料が注目を集めており、近年、ギアや軸受等の摺動部材に樹脂材料が使用されている。また、摺動部材を樹脂材料により形成する場合、強度向上を図るために、ガラス繊維や炭素繊維等のフィラーを、樹脂材料からなるマトリックス中に添加することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018-162411号公報
ガラス繊維を添加した樹脂複合材により形成された摺動部材は、強度は改善されるものの、硬いガラス繊維を含有するため相手材に対する攻撃性が高く、耐摩耗性の低下を招くことが懸念される。また、炭素繊維(バージン炭素繊維)は高価であり、摺動部材の材料コストが高くなるという欠点がある。
炭素繊維のコスト低減を図る手段として、使用済みの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製品や、CFRP製品の生産工程で出る端材等といった廃材から回収したリサイクル炭素繊維を活用することも考えられる。しかしながら、バージン炭素繊維により近い状態で回収されたリサイクル炭素繊維は髪の毛のように軟質でふんわりと軽く、取り扱い性が悪い。このため、計量したリサイクル炭素繊維をマトリックス中に安定混入できないことが懸念される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、摺動特性に優れた繊維含有樹脂複合材を安価に製造することができるリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造方法及び当該製造方法により製造されたリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材を提供することを主たる目的とする。
第1の構成は、リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造方法に関し、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種と、リサイクル用に回収された炭素繊維強化プラスチックを熱分解することにより得られ、前記炭素繊維強化プラスチックのマトリックス成分が炭化した残留炭素が付着しているリサイクル炭素繊維と、を溶融混練することを特徴とする。
上記構成では、特定樹脂のマトリックス成分に、無機フィラーとして、炭素繊維強化プラスチックのマトリックス成分に由来する残留炭素が炭素繊維表面に付着している比較的硬質のリサイクル炭素繊維を用いて、リサイクル品として炭素繊維含有樹脂複合材を製造する。こうした製造方法によれば、摺動特性に優れたリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材を得ることができる。また、用いる無機フィラーはリサイクル品であるため、摺動特性に優れた炭素繊維含有樹脂複合材を安価に製造することができる。
上記製造方法で用いるリサイクル炭素繊維は、残留炭素が付着したままの状態であり、過度に開繊されておらず、かさ比重が大きいため、取り扱い性が良好である。したがって、原料を混練装置に供給する際にリサイクル炭素繊維を混練装置に定量投入でき、投入量に相当する量のリサイクル炭素繊維をマトリックス中に混入させることができる。すなわち、混練装置に対する原料の供給安定性に優れている。また、リサイクル炭素繊維は、炭素繊維に残留炭素が付着したままであるため、炭素繊維強化プラスチックから炭素繊維を回収するための処理にかかる費用を抑えることができる。これにより、製造コストの更なる低減に寄与することができる。
第2の構成は、上記第1の構成において、前記リサイクル炭素繊維は、単繊維が多数凝集した炭素繊維集合体であることを特徴とする。炭素繊維集合体を用いることにより、炭素繊維の取扱い性をより優れたものにできるとともに、残留炭素が十分に付着していることからリサイクル品の機械的強度を高める上で好適である。また、上記炭素繊維集合体は、バージン炭素繊維により近い状態で回収された軟質かつふんわりとしたリサイクル炭素繊維に比べて低コストであり、リサイクル品をより安価に製造できる。
第3の構成は、上記第1又は第2の構成において、前記リサイクル炭素繊維は、前記炭素繊維強化プラスチックを200~800℃で乾留することにより得られる一次加熱品であることを特徴とする。この場合、リサイクル炭素繊維は、残留炭素による炭素皮膜により覆われた炭素繊維集合体であり、取扱い性に優れている。また、材料コストを抑えることができ、リサイクル品をより安価に製造できる点でも好適である。
第4の構成は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種からなるマトリックス中にリサイクル炭素繊維を含有するリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材であって、前記リサイクル炭素繊維は、長さ10mm以下の短繊維であり、前記マトリックス中に無配向に分散されており、炭素繊維強化プラスチックのマトリックス成分の炭化による生成物である炭素が、前記マトリックス中に分散されていることを特徴とする。このリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、リサイクル炭素繊維を用いていることから安価であり、しかも摺動特性に優れている。
リサイクル炭素繊維含有PEEK複合材(PEEK-rCF)及びガラス繊維含有PEEK複合材(PEEK-GF)の滑り摩耗試験の結果を表すグラフ。(a)は試験片の摩耗質量を表し、(b)は相手材の摩耗質量を表す。 滑り摩耗試験による動摩擦係数及び試料温度の測定結果を表す図。(a)はリサイクル炭素繊維含有PEEK複合材の結果であり、(b)はガラス繊維含有PEEK複合材の結果である。 リサイクル炭素繊維含有フェノール複合材(フェノール-rCF)及びガラス繊維含有フェノール複合材(フェノール-GF)の滑り摩耗試験の結果を表すグラフ。(a)は試験片の摩耗質量を表し、(b)は相手材の摩耗質量を表す。 滑り摩耗試験による動摩擦係数及び試料温度の測定結果を表す図。(a)はリサイクル炭素繊維含有フェノール複合材の結果であり、(b)はガラス繊維含有フェノール複合材の結果である。 リサイクル炭素繊維含有エポキシ複合材(エポキシ-rCF)及びガラス繊維含有エポキシ複合材(エポキシ-GF)の滑り摩耗試験の結果を表すグラフ。(a)は試験片の摩耗質量を表し、(b)は相手材の摩耗質量を表す。 滑り摩耗試験による動摩擦係数及び試料温度の測定結果を表す図。(a)はリサイクル炭素繊維含有エポキシ複合材の結果であり、(b)はガラス繊維含有エポキシ複合材の結果である。 リサイクル炭素繊維含有PPS複合材(PPS-rCF)及びガラス繊維含有PPS複合材(PPS-GF)の滑り摩耗試験の結果を表すグラフ。(a)は試験片の摩耗質量を表し、(b)は相手材の摩耗質量を表す。
以下、実施の形態に関連する事項について詳細に説明する。本実施形態のリサイクル炭素繊維含有複合材は、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを溶融混練する工程を含む方法により製造される。
なお、本明細書において、「~」を用いて記載された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。「CFRP」は、熱硬化性樹脂によりマトリックス成分が形成されている物品と、熱可塑性樹脂によりマトリックス成分が形成されている物品とを含む意味である。
<[A]樹脂>
[A]樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種である。[A]樹脂の具体例としては、フェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、変性フェノール樹脂(例えば、アルキルフェノール変性フェノール樹脂、ニトリル変性フェノール樹脂、ブチルエーテル化レゾール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等)等を;
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ヒタンドイン系エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂等を;
PEEK樹脂としては、市販品として、VESTAKEEP1000G、2000G、3300G、L4000G、5000G(以上、ダイセル・エボニック社製)、VICTREX PEEK90G、同150G、同450G、同3300G(以上、ビクトレックスジャパン社製)等を、それぞれ挙げることができる。なお、[A]樹脂としては、これらの一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
[A]樹脂は、リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材(リサイクル品)を用いる目的に応じて適宜選択することができるが、これらの樹脂のうち、[B]リサイクル炭素繊維を含有させることによる摺動特性の改善効果が高い点、及び安価である点で、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。また、[A]樹脂を熱硬化性樹脂とした場合、ガラス転移温度以上でも融解しないため、摺動時の溶融が起こりにくい点で好ましい。
特に、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂は、PEEK樹脂に比べて摺動性が劣るとされているが、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂に添加する無機フィラーとして[B]リサイクル炭素繊維を使用することにより、得られたリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、PEEK樹脂と同等の摺動特性を発現する点で好適である。また、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂は、PEEK樹脂に比べて材料コストが安く、摺動特性に優れた材料をより安価に得ることができる点においても優れている。
<[B]リサイクル炭素繊維>
[B]リサイクル炭素繊維は、リサイクル用に回収された炭素繊維強化プラスチック(以下、「リサイクル用CFRP」ともいう。)を熱分解することによって得られた炭素繊維であり、有機物の炭化による残留物が繊維表面に付着している。
リサイクル用CFRPは、母材(マトリックス成分)として高分子材料が用いられており、かつ強化材として炭素繊維が用いられた材料により形成されているものであればよく、特に限定されない。リサイクル用CFRPの具体例としては、バージン炭素繊維を用いて製造され、製品としての機能を終えた廃棄物や、製品の生産工程で出る端材等の廃材を使用することができる。こうした廃材は従来、埋め立てや焼却等によって処分されていたところ、リサイクル炭素繊維を用いて製品を製造することにより廃材を有効に活用でき、環境負荷の低減等に資する点で好ましい。
リサイクル用CFRPに含有される炭素繊維は特に限定されず、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維が挙げられる。リサイクル用CFRP中の炭素繊維は、連続繊維でも不連続繊維でもよく、不連続繊維は短繊維でも長繊維でもよい。連続繊維を用いた炭素繊維強化プラスチックは、既に航空機部材や高圧タンク等において実用化されており、また自動車部品への適用も進められているため、入手しやすい点で好適である。なお、本明細書において「短繊維」は、繊維長が10mm以下である炭素繊維をいい、「長繊維」は、繊維長が10mmよりも長く100mm以下である炭素繊維をいう。「連続繊維」は、繊維長が100mmよりも長い連続した炭素繊維をいう。
リサイクル用CFRPを構成するマトリックス成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性エラストマー等の各種高分子材料が挙げられる。これらのうち、十分な量の残留炭素が表面に付着した炭素繊維を得ることができる点で、熱硬化性樹脂であることが好ましい。なお、マトリックス成分は、1種の高分子材料のみから構成されていてもよく、2種以上の高分子材料から構成されていてもよい。
[B]リサイクル炭素繊維は、リサイクル用CFRPのマトリックス成分に由来する残留炭素が炭素繊維の表面に付着しており、硬くごわごわした質感である。ここで、リサイクル用CFRPのマトリックス成分が十分に除去され、バージン炭素繊維により近い状態のリサイクル炭素繊維は、髪の毛のようにふんわりと軽く、また単繊維同士が相互に絡み合っている。そのため、混練装置に炭素繊維を供給する場合に予め定めた分量を混練装置内に供給することが困難であり、混練装置に対する原料の供給安定性に劣る。また、炭素繊維同士が絡み合っているため分散性に劣り、炭素繊維がマトリックス成分中に均一に分散したリサイクル品を製造できないことが懸念される。
軟質かつ軽質のリサイクル炭素繊維を用いる場合、バージン炭素繊維のように炭素繊維に樹脂を含浸させてシート状に成形し、このシート状の成形体(プリプレグ)を用いてリサイクル品を製造することも考えられる。しかしながら、この場合には手間もコストもかかる。これに対し、本製造方法で使用する[B]リサイクル炭素繊維は、残留炭素が付着した状態であるため硬質であり、原料の供給安定性に優れている。このため、そのままの状態で使用しても混練装置内に定量投入でき、取り扱い性が良好である。また、定量投入した量に対応する量のリサイクル炭素繊維を含有する複合材とすることができ、強度の高い樹脂複合材を得ることができる。
[B]リサイクル炭素繊維は、供給安定性により優れている点で、単繊維が多数凝集した炭素繊維集合体であることが好ましい。より具体的には、[B]リサイクル炭素繊維は、残留炭素がバインダーとなって繊維束を形成した炭素繊維集合体であることが特に好ましい。[B]リサイクル炭素繊維は、取り扱いやすさの点で、各々の炭素繊維が炭素皮膜で覆われ、パリパリとした硬い質感を有しているとよい。炭素繊維集合体の形状は特に限定されず、例えば短冊状、板状等が挙げられる。
[B]リサイクル炭素繊維が炭素繊維集合体である場合、その繊維方向は特に限定されず、ランダム配向でもよいし、規則的な配向(例えば一軸配向、二軸配向等)でもよい。溶融混練する際に[B]リサイクル炭素繊維の開繊がより進行しやすい点で、規則的な繊維配向を有していることが好ましく、一軸配向であることがより好ましい。
こうした[B]リサイクル炭素繊維は、炭素繊維強化プラスチックを200~800℃、より好ましくは300~600℃で乾留することにより得ることができる。乾留は、例えば、バッチ式の炭化乾留炉を用い、好ましくは400℃以上の加熱温度に設定して無酸素状態で加熱(蒸し焼き)することによって行われる。乾留に供する炭素繊維強化プラスチックは、乾留前に粉砕してもよいが、炭化乾留炉に収容可能であれば、切断や粉砕せずにそのまま用いてもよい。乾留時間は、原料となる炭素繊維強化プラスチックの種類及び大きさに応じて適宜設定されるが、通常3~24時間であり、好ましくは4~12時間である。乾留は、過熱水蒸気を炭化乾溜炉内に供給しながら行ってもよい。
[B]リサイクル炭素繊維としては、上記乾留の操作により得られる一次加熱品を用いることが特に好ましい。一次加熱品を更に加熱した二次加熱品は、例えば、焼成炉(連続式炉)を用い、酸素雰囲気下、200~800℃で一次加熱品を加熱することにより得ることができる。しかしながら、二次加熱品は柔らかくしなやかでかさ高いため、そのままの状態で混練装置に供給した場合、供給安定性に劣る。これに対し、一次加熱品は硬質であるため取扱いやすく、また安価であるというメリットがある。
[B]リサイクル炭素繊維における残留炭素の量(質量%)は、加熱処理前のリサイクル用CFRP中のマトリックス成分の合計量に対して、8~30質量%であることが好ましい。残留炭素が8質量%以上であると、リサイクル炭素繊維の取扱い性がより良好であるとともに、リサイクル品の強度を十分に確保できる点で好ましい。また、[B]リサイクル炭素繊維中の残留炭素が、マトリックス成分に対して30質量%以下であると、残留炭素が過剰量であることに起因する製品強度の低下を好適に抑制できる点で好ましい。このような観点から、[B]リサイクル炭素繊維中の残留炭素の量は、より好ましくは10~20質量%、更に好ましくは11.5~15質量%である。
<その他の成分>
本実施形態のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、必要に応じて、[A]樹脂及び[B]リサイクル炭素繊維以外の成分を更に用いて製造されてもよい。
[A]樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、通常、硬化剤が併用される。エポキシ樹脂と共に使用される硬化剤としては、例えばアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤等が挙げられる。これらのうち、アミン系硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を;酸無水物系硬化剤として、例えば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等を、それぞれ挙げることができる。[A]樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用いる場合に使用される硬化剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。硬化剤の使用割合は、[A]樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜設定されるが、[A]樹脂100質量部に対して、例えば30質量部以下である。
その他の成分としては、上記のほか、例えばカーボンナノチューブ、粘土、シリカ粒子、層状ケイ酸塩(マイカ、雲母、タルク、カオリン、モンモリロナイト等)、可塑剤、着色剤、離型剤、安定剤、酸化防止剤、相溶化剤等が挙げられる。これらの成分の使用割合は、本発明の効果を損なわない範囲内(例えば、[A]樹脂100質量部に対して0~5質量部)で適宜設定することができる。
<リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造>
本実施形態のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを溶融混練することにより製造することができる。具体的には、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを溶融混練装置に投入する原料投入工程と、溶融混練装置において[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを溶融混練する混練工程と、を含む方法により製造することができる。
溶融混練装置としては、既知の混練装置が使用され、例えば汎用の単軸混練機、二軸混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、高せん断加工機が挙げられる。溶融混練装置は、バッチ式でも連続式でもよい。
原料投入工程では、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを各々計量して所定の割合で溶融混練装置に投入される。このとき、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とは、溶融混練装置に同時に投入されてもよいし、別々に投入されてもよい。
原料中の[A]樹脂及び[B]リサイクル炭素繊維の質量割合は、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維との合計量に対し、[B]リサイクル炭素繊維を10~60質量%とすることが好ましい。[B]リサイクル炭素繊維の配合割合を10質量%以上とすることにより、リサイクル品の機械的強度及び摺動特性を十分に高くできる点で好ましい。また、[B]リサイクル炭素繊維の配合割合を60質量%以下とすることにより、加工性をより良好にできる点で好ましい。当該配合割合は、より好ましくは15~55質量%であり、更に好ましくは20~50質量%である。
また、原料中の[A]樹脂及び[B]リサイクル炭素繊維の割合を体積分率で表した場合、[B]リサイクル炭素繊維の配合割合は、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維との合計量に対して、10~60%であることが好ましく、15~55%であることがより好ましく、20~50%であることが更に好ましい。
[B]リサイクル炭素繊維は、市販品をそのまま用いてもよいが、サイズが大きい場合には、例えば2mm~1cm程度に細片化して使用するとよい。[B]リサイクル炭素繊維は、繊維表面に残留炭素が付着した状態のまま溶融混練装置に投入される。
溶融混練工程は、[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを混合する工程である。溶融混練時の温度は、使用する[A]樹脂の溶融温度に応じて適宜設定されるが、例えば80~300℃である。
得られた溶融混練物は、意図的又は必然的に所望の形状に冷却固化される。冷却固化は、例えば粉砕、造粒、ホットカット、押出等により行うことができる。また、冷却固化により得られる固化物の形状は、成形工程に使用できるようにペレット状、パウダー状、繊維状、ストランド状、又はブロック状等であってもよいし、あるいは、リサイクル炭素繊維含有樹脂材料の最終製品としての成形部品の形状であってもよい。成形工程において、上記固化物を用いて射出成形、圧縮成形、押出成形、レーザ加工等の各種加工処理が施されることにより最終製品が得られる。なお、成形工程に使用される上記固化物及び最終製品は共に「リサイクル繊維含有樹脂複合材」に相当する。
上記製造方法により得られるリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、短繊維状のリサイクル炭素繊維がマトリックス中に無配向に分散しており、かつ、リサイクル用CFRPのマトリックス成分の炭化により得られる残留炭素がマトリックス中に分散している。この複合材は、炭素繊維がマトリックス中に分散されているため高強度である。また、上記製造方法により得られるリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、摺動特性に優れている。
すなわち、原料として[A]樹脂と[B]リサイクル炭素繊維とを溶融混練することにより、[B]リサイクル炭素繊維の炭素繊維成分が開繊され、マトリックス中に短繊維が無配向に分散された樹脂/炭素繊維複合材を得ることができる。また、混練により[B]リサイクル炭素繊維を構成する残留炭素が炭素繊維から剥がれ、その剥がれた残留炭素が微細化されて溶融混練物中に均一に分散される。この残留炭素が樹脂/炭素繊維複合材においてフィラーとして機能し、更に開繊によりリサイクル炭素繊維が溶融混練物中に十分に分散されることにより、高強度であって、かつ摺動性に優れた樹脂/炭素繊維複合材を安価に得ることができる。
リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材において、リサイクル炭素繊維の長さは、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは8mm以下であり、更に好ましくは6mm以下である。また、リサイクル炭素繊維の長さの下限は特に限定されないが、例えば1mm以上である。リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材中の残留炭素の大きさ及び形状は特に限定されない。炭素繊維から剥離し微細化した残留炭素の大きさは、残留炭素の外縁の異なる2点を結んだ最長の長さにより表した場合に、好ましくは7μm以下であり、より好ましくは2μm以下である。また、残留炭素の大きさの下限については特に限定されないが、例えば0.001μm以上である。炭素繊維の表面に被膜状に付着する残留炭素の厚みは、についても、下限について特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
なお、本発明のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材が摺動性に優れている理由は定かではないが、一つの仮説として、リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材中のリサイクル炭素繊維及びその表面に残留する炭化物が摺動性を良好にする特性を有しているのではないかと推測される。これにより、自身の耐摩耗性が向上したとともに、相手材と接触させた場合には、上記の特性に加えて、残留炭素を含有する摩耗粉が接触面に介在することによって相手材への攻撃性が低下し、その結果、摺動特性に優れる材料になったものと推測される。なお、この推測は本発明を限定するものではない。
本発明のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は、種々の用途に適用することができる。具体的には、例えば自動車、船舶及び鉄道車両等の移動体の各種部品;ラケット、ゴルフシャフト、釣り竿、スティック等のスポーツ用部品;機体、主翼、尾翼等の航空宇宙用部材;ドライブシャフト、板バネ、フライホイール、ローラ、ケーブル、補修補強材等の産業機械部品;屋根材、壁材等の建築材料;筐体等の情報端末機器用部品等の材料としたり、ペレット、シート、フィルム、繊維、ストランド等の中間品又は原材料としたりすることができる。
また、本発明のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材は摺動特性に優れていることから、自動車部品や電気電子部品、家電部品等といった各種用途の摺動部材として特に好ましく適用できる。摺動部材としては特に限定されないが、例えば、ギア、カム、軸受、プーリー、バルブ、弁座、ピストン、ピストンリング、メカニカルシール等が挙げられる。
短繊維ペレットは、射出成形による複雑な形状の部品を大量生産するための材料として有用である。特に上記製造方法によれば、一般に高価であると言われている炭素繊維を含有するペレットを安価に製造でき、製品の材料コストを抑えることができるとともに、摺動性に優れた製品を得ることができる点で優れている。
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
[実施例1]
1.リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造
リサイクル炭素繊維(カーボンファイバーリサイクル工業社製の一次加熱品)を約3mm幅に切断した。この切断したリサイクル炭素繊維とPEEK樹脂(ダイセル・エボニック社製)とを、PEEK樹脂とリサイクル炭素繊維との合計量に対してリサイクル炭素繊維の配合量が30質量%となるように通常の2軸混練機に投入して溶融混練し、ペレット化した。このペレットを原料として、射出成形機にて80mm×80mm×2.0mmの板に成形し、その中央部から30mm×30mm×2.0mmの板を切り取り、リサイクル炭素繊維含有PEEK複合材の滑り摩耗評価用の角板試験片を作製した。
2.摺動特性の評価(滑り摩耗評価)
上記1.で作製した角板試験片を用い、JIS K 7218 A法に準拠して滑り摩耗試験を行い、試験片及び相手材の摩耗質量[mg]を測定した。測定は以下の条件で行った。
(測定条件)
測定装置:エー・アンド・デイ社製摩擦摩耗試験機 MODEL EMF-III-F
滑り速度;1.0m/s、荷重;100N
試験時間;100分、測定環境温度;23℃
相手材;S45C回転中空円筒(表面粗さ約0.8μmRa,接触面積2cm
摩耗質量の測定結果を図1に示した。摩耗質量は、試験前の試料と試験後の試料との質量差とした。なお、本実施例では、滑り摩耗試験を3回行い、3回の測定により得られた試験片摩耗質量の平均値を測定結果として図1(a)に示し、3回の摩耗試験のうち任意の1回の測定により得られた相手材摩耗質量を測定結果として図1(b)に示した。図1中、(a)は試験片(複合材)の摩耗質量[mg]であり、(b)は相手材の摩耗質量[mg]である(以下の図3、図5及び図7についても同じ)。
[比較例1]
市販のガラス繊維含有PEEK複合材(ダイセル・エボニック社製、品番2000GF30、ガラス繊維の含有量=30質量%)100mm×100mm×3.0mmの平板の中央部から切り取り、30mm×30mm×3.0mmのガラス繊維含有PEEK複合材を滑り摩耗評価用の角板試験片として作製した。また、得られた角板試験片を用いて、実施例1と同様にして滑り摩耗試験を行った。その結果を図1に示した。
図1から分かるように、実施例1のリサイクル炭素繊維含有PEEK複合材では、比較例1のガラス繊維含有PEEK複合材と対比して、試験片の摩耗質量が大きく減少した(図1(a)参照)。また、相手材の摩耗質量についても、実施例1では比較例1と比較して減少した。
(動摩擦係数及び試料温度の測定)
実施例1及び比較例1のうち、任意の各1試験片について、動摩擦係数及び試料温度の経時変化をモニターした結果を図2に示した。試料温度の測定は、試験片に接する相手材円筒に温度測定用の熱電対を設置して、試験中の温度を測定することにより行った。
図2(a)と図2(b)とを対比すると分かるように、実施例1では、測定開始当初は動摩擦係数及び温度共に変動が大きかったものの、時間経過とともに動摩擦係数及び温度が安定した。これに対し、比較例1では動摩擦係数が継続的に変動し、不安定であった。また、比較例1は実施例1に比べ、測定開始直後に急激に試料温度が上昇した。
[実施例2]
1.リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造
リサイクル炭素繊維(アイカーボン社製の一次加熱品)を約4mm幅に切断した。この切断したリサイクル炭素繊維とノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製)とを、フェノール樹脂とリサイクル炭素繊維との合計量に対してリサイクル炭素繊維の配合量が35%(体積分率)となるようにロールを使用して硬化剤(ヘキサミン)と共に溶融混練し、一部硬化させて顆粒化した。続いて、この顆粒を原料として、射出成形機にて60mm×60mm×2.0mmの板に成形・硬化し、その中央部から30mm×30mm×2.0mmの板を切り取り、リサイクル炭素繊維含有フェノール複合材の滑り摩耗評価用の角板試験片を作製した。
2.摺動特性の評価(滑り摩耗評価)
上記1.で作製した角板試験片を用い、実施例1と同様にして試験片及び相手材の摩耗質量[mg]を測定した。その結果を図3に示した。
[比較例2]
ガラス繊維含有フェノール複合材(住友ベークライト社製、ガラス繊維の含有量=35%(体積分率))を射出成型機にて60mm×60mm×2.0mmの平板に成形し、中央部から切り取って30mm×30mm×2.0mmのガラス繊維含有フェノール複合材を滑り摩耗評価用の角板試験片として作製した。また、得られた角板試験片を用いて、実施例1と同様にして滑り摩耗試験を行った。その結果を図3に示した。
図3から分かるように、実施例2のリサイクル炭素繊維含有フェノール複合材では、比較例2のガラス繊維含有フェノール複合材と対比して、試験片の摩耗質量が大きく減少した(図2(a)参照)。この減少量は、PEEK樹脂を用いた実施例1と比べて大きかった。また、相手材の摩耗質量についても、実施例2のリサイクル炭素繊維含有フェノール複合材では比較例2と対比して大きく減少し、微量であった。これらの結果から、[B]リサイクル炭素繊維をフェノール樹脂に分散させることにより、PEEK樹脂に比べて摺動性が劣るフェノール樹脂において、PEEK樹脂と同等の摺動性を有する材料を安価に得ることができるといえる。
(動摩擦係数及び試料温度の測定)
実施例2及び比較例2のうち、任意の各1試験片について、動摩擦係数及び試料温度の経時変化をモニターした結果を図4に示した。
図4(a)と図4(b)とを対比すると、実施例2のリサイクル炭素繊維含有フェノール複合材では、比較例2のガラス繊維含有フェノール複合材に比べて、動摩擦係数及び試料温度のいずれも低い値を示した。また、実施例2の複合材では、比較例2の複合材に比べて動摩擦係数及び試料温度の変動も小さく、安定していた。
[実施例3]
1.リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造
リサイクル炭素繊維(アイカーボン社製の一次加熱品)を約4mm幅に切断した。この切断したリサイクル炭素繊維とエポキシ樹脂(クラスターテクノロジー社製、品番J103相当)とを、エポキシ樹脂とリサイクル炭素繊維との合計量に対してリサイクル炭素繊維の配合量が30質量%となるようにその他添加剤(硬化剤を含む)と共に溶融混練し、一部硬化させて顆粒化した。この顆粒を原料として、圧縮成形機にて80mm×80mm×2.0mmの板に成形・硬化し、その中央部から30mm×30mm×2.0mmの板を切り取り、リサイクル炭素繊維含有エポキシ複合材の滑り摩耗評価用の角板試験片を作製した。
2.摺動特性の評価(滑り摩耗評価)
上記1.で作製した角板試験片を用い、実施例1と同様にして試験片及び相手材の摩耗質量[mg]を測定した。その結果を図5に示した。
[比較例3]
リサイクル炭素繊維に代えてガラス繊維(市販品標準品)を用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、30mm×30mm×2.0mmのガラス繊維含有エポキシ複合材を滑り摩耗評価用の角板試験片として作製した。また、得られた角板試験片を用いて、実施例1と同様にして滑り摩耗試験を行った。その結果を図5に示した。
図5から明らかなように、実施例3のリサイクル炭素繊維含有エポキシ複合材では、比較例3のガラス繊維含有エポキシ複合材と対比して、試験片の摩耗質量が大きく減少した(図3(a)参照)。この減少量は、PEEK樹脂を用いた実施例1と比べて非常に大きかった。また、相手材の摩耗質量についても、実施例3のリサイクル炭素繊維含有エポキシ複合材では比較例3と対比して大きく減少し、PEEK樹脂の場合(図1(b)参照)と同等の値であった。これらの結果から、[B]リサイクル炭素繊維をエポキシ樹脂に分散させることにより、PEEK樹脂に比べて摺動性が劣るエポキシ樹脂において、PEEK樹脂と同等の摺動特性を有する材料を安価に得ることができることが分かった。
(動摩擦係数及び試料温度の測定)
実施例3及び比較例3のうち、任意の各1試験片について、動摩擦係数及び試料温度の経時変化をモニターした結果を図6に示した。
図6(a)と図6(b)とを対比すると、実施例3のリサイクル炭素繊維含有エポキシ複合材では、比較例3のガラス繊維含有エポキシ複合材に比べて、動摩擦係数及び試料温度のいずれも低い値を示した。また、実施例3の複合材では、動摩擦係数及び試料温度の変動が非常に小さく、スティックスリップが少ないことが示された。
[比較例4]
PEEK樹脂に代えてポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂(東レ社製、低粘度グレード)を用い、リサイクル炭素繊維の配合率を40質量%とした以外は実施例1と同様の操作を行い、30mm×30mm×2.0mmのリサイクル炭素繊維含有PPS複合材を滑り摩耗評価用の角板試験片として作製した。また、得られた角板試験片を用いて、実施例1と同様にして滑り摩耗試験を行った。その結果を図7に示した。
[比較例5]
市販のガラス繊維含有PPS複合材(東レ製、品番トレリナA604B、ガラス繊維の含有量=40質量%)を使用した点以外は実施例1と同様の操作を行い、30mm×30mm×2.0mmのガラス繊維含有PPS複合材を滑り摩耗評価用の角板試験片として作製した。また、得られた角板試験片を用いて、実施例1と同様にして滑り摩耗試験を行った。その結果を図7に示した。
各例の滑り摩耗試験により得られた試験片及び相手材の摩耗質量につき、各樹脂中の無機フィラーをガラス繊維に代えて[B]リサイクル炭素繊維とした場合の摩耗質量の低減率ΔR[%]を下記式(1)により算出し、表1に示した。
ΔR=〔(Q2-Q1)/Q2]×100 ・・・(1)
(式(1)中、Q1は実施例1~3のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の摩耗質量を表し、Q2は比較例1~3のガラス繊維含有樹脂複合材の摩耗質量を表す。)
低減率ΔRが大きいほど、[B]リサイクル炭素繊維による耐摩耗性及び低攻撃性の改善効果が大きく、複合材の摺動特性が良好であることを表す。表1には、試験片(複合材)及び相手材の摩耗質量[mg]を併せて示した。
Figure 0007325277000001
表1に示すように、マトリックス成分としてPEEK樹脂、フェノール樹脂又はエポキシ樹脂を用いた場合には、PPS樹脂を用いた場合に比べて、複合材の低減率ΔRの値が大きかった。特に、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を用いた場合には、複合材の低減率ΔRが84%、92%と非常に大きく、[B]リサイクル炭素繊維を用いたことによる耐摩耗性の改善効果が高かった。また、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を用いた場合には、相手材の低減率ΔRも非常に大きい値を示し、相手材に対する攻撃性も低かった。なお、PEEK樹脂を用いた場合には、相手材の低減率ΔRは25%と低かったが、摩耗質量は0.12mgと非常に少なかった。
以上の結果から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びPEEK樹脂の少なくともいずれかと[B]リサイクル炭素繊維とを溶融混練する方法によれば、摺動特性に優れたリサイクル品を安価に製造できることが明らかとなった。

Claims (2)

  1. フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種である[A]樹脂と、リサイクル用に回収された炭素繊維強化プラスチックを熱分解することにより得られ、前記炭素繊維強化プラスチックのマトリックス成分が炭化した残留炭素が付着しているリサイクル炭素繊維と、を溶融混練装置に投入する原料投入工程と、
    前記原料投入工程により前記溶融混練装置に投入された前記[A]樹脂と前記リサイクル炭素繊維とを溶融混練する混練工程と、
    を含み、
    前記リサイクル炭素繊維は、前記炭素繊維強化プラスチックを200~800℃で乾留することにより得られる一次加熱品であって、単繊維が多数凝集し、前記残留炭素による炭素皮膜により覆われた炭素繊維集合体である、リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造方法。
  2. 前記炭素繊維集合体は、短冊状又は板状である、請求項1に記載のリサイクル炭素繊維含有樹脂複合材の製造方法。
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