JPWO2015064140A1 - 耐塩素性樹脂組成物、耐塩素性熱可塑性成形品、およびベルト - Google Patents

耐塩素性樹脂組成物、耐塩素性熱可塑性成形品、およびベルト Download PDF

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Abstract

耐塩素性を発揮するだけでなく外観に優れた熱可塑性樹脂組成物、耐塩素性熱可塑性成形品、およびベルトを提供する。熱可塑性樹脂組成物は、数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含む高分子ジオール、数平均分子量=60〜300のジオールである鎖延長剤と、有機ジイソシアネートを含み、新規の添加剤の併用によって着色顔料と従来の耐塩素剤の添加量が少量にコントロールされた熱可塑性ポリウレタン樹脂によって得られる。

Description

本発明は、耐塩素性樹脂組成物、耐塩素性熱可塑性成形品、およびベルトに関し、特にジオール成分とイソシアネート成分とから構成される熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂の耐塩素性に関して、例えば、特開平10−17726号公報(特許文献1)では、耐塩素含有水性に優れた着色樹脂組成物として、ポリオレフィン樹脂と群青などの着色顔料を含有することを特徴とする耐塩素含有水用着色樹脂組成物が開示されている。
特開2006−342448号公報では、ポリエーテル系ポリウレタン系弾性繊維の耐塩素性を改善するための無機系塩素劣化防止剤として、酸化亜鉛、酸化マグネシウムや酸化アルミニウム等、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等、酸化マグネシウムと酸化亜鉛の固溶体、酸化亜鉛の結晶にアルミニウムが固溶した酸化亜鉛系固溶体、亜鉛とアルミニウムの複合酸化物、また、フンタイトおよびハイドロマグネサイトの鉱物混合物が提案されている。
前記特開2006−342448号公報で開示されている文献の中の特公昭61−35283号公報、具体的にはその公開公報である特開昭59−59912号公報(特許文献2)では、無機充填剤として、クレー、焼成クレー、タルク、カナダマイカ、マイカ、珪灰石、バーミキュライト、珪酸カルシウム、長石粉、酸性白土、ロウ石クレー、セリサイト、ミリマナイト、ベントナイト、ガラスフレーク、ガラス粉等の珪酸塩類、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、複合炭酸塩等の炭酸塩類、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩類、アルミナ、三酸化アンチモン、マグネシア等の金属酸化物が例示されている。
その中でも、周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩から選ばれた少なくとも1種が、紡糸における可紡性を改良すると共に、耐光性、耐塩素性、染色加工性を改善するものであると開示されている。
周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩としては、炭酸塩類として、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなど、また、硫酸塩類として、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが開示されている。
特開2004−204365号公報(特許文献3)では、脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミドが、ポリ乳酸からなるマルチフィラメントを用いた寝装資材用織編物に好ましく用いられる滑剤として開示されている。
該脂肪酸アミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの添加量として、繊維重量に対して0〜5重量%とすることが必要で、滑り性を発現させるには、含有量は0.1重量%以上にすることが好ましいと開示されている。また、添加量が多すぎると繊維の機械的物性が低下したり、黄味を帯びて染色したときに色調が悪くなるので添加量は5重量%以下であることが必要であり、該脂肪酸アミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの添加量は、より好ましくは0.2〜4重量%、さらに好ましくは0.3〜3重量%であると開示されている。
さらに、特開2005−343821号公報では、ピリチオン化合物が抗ふけ菌剤、魚網防汚剤、防腐剤として用いられている代表的な化合物であり、例えばピリチオン抗菌剤として、一般にナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオンなどが知られており、これらの金属ピリチオンは非常に高い抗菌活性を示すものであると開示されている。
特開平11−29416号公報(特許文献4)では、「ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂」の熱可塑性プラスチック用の抗菌防カビ剤として、ジンクピリチオンを練り込む技術が開示されている。
さらに特許文献4では、ジンクピリチオンの添加量としては、0.05〜5.0重量%、好ましくは0.1〜2.0%をそのままかあるいはマスターバッチとして添加すると開示されている。
特開平10−17726号公報 特開昭59−59912号公報 特開2004−204365号公報 特開平11−29416号公報
しかし、特許文献1の技術では、群青等の着色顔料の配合量は、その実施例からポリエチレン樹脂100重量部に対して0.5重量部である。着色顔料の配合量が多いと、当該樹脂を用いた成形の際に、着色顔料の分散不良だけでなく着色顔料の粉が固定されずに粉末が表面に現われて表面が粉っぽくなることによる外観不良を起こしたり、機械的物性が低下するというおそれがあった。
特許文献2の技術では、無機充填剤の配合量として、繊維重量に対して、少なくとも0.2重量%以上で、上限は10重量%程度であり、好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%であるとされているが、紡糸操業性、耐光性、耐塩素性改善の目的からはこの上限に限定されるものではないと示されており、コストダウンと効果発現の面から、この上限量を上回る使用も好ましいとのことである。しかし、無機充填剤の配合量が多いと、ベース樹脂に対する混合性が悪くなるだけでなく、ブリードして表面の外観が悪化するおそれがあった。
そこで本発明は、従来技術よりも少量の配合によって耐塩素性が発現し、外観を向上することができる耐塩素性樹脂組成物、耐塩素性熱可塑性成形品、およびベルトを提供することを目的とする。
本発明者らは、熱可塑性樹脂、とりわけ熱可塑性ポリウレタン樹脂(以後、TPUという)やそれを用いた成形品において、耐塩素性向上目的で耐塩素性を有する添加剤(以下、耐塩素剤という)を用いる場合において、特許文献1で開示されている着色顔料と、特許文献2で開示されている耐塩素剤の添加量の減少に取り組み、脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミドから選ばれた少なくとも一種の化合物、およびピリチオン化合物を併用することによって、配合量に関する前記の問題点を解決して耐塩素性をより効果的に発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る耐塩素性樹脂組成物は、ジオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、添加剤と、着色顔料とを含む耐塩素性樹脂組成物であって、前記ジオール成分が、高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオールとポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種と、鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物とを含み、前記イソシアネート成分(C)が有機ジイソシアネートを含み、前記添加剤(D)が「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれた少なくとも一種とを含み、前記着色顔料(E)が無機系着色顔料を含み(ただし、前記Dのうち、ピリチオン化合物(D−3)の含有量が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.6質量%を超える場合を除く)、前記D−1が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.15質量%で、前記D−2が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.3質量%で、前記Eが前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1〜0.4質量%であることを特徴とする。
また本発明に係る耐塩素性樹脂組成物は、ジオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、添加剤と、着色顔料とを含む耐塩素性樹脂組成物であって、前記ジオール成分が、高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオールとポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種と、鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物とを含み、前記イソシアネート成分(C)が有機ジイソシアネートを含み、前記添加剤(D)が「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、ピリチオン化合物(D−3)とを含み、前記着色顔料(E)が無機系着色顔料を含み(ただし、前記Dのうち、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれる少なくとも一種の含有量が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.3質量%を超える場合を除く)、前記D−1が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.15質量%で、前記D−3が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.6質量%で、前記Eが前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1〜0.4質量%であることを特徴とする。
本発明に係る耐塩素性熱可塑性成形品は、上記耐塩素性樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする。
また本発明に係るベルトは、上記耐塩素性樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする。
本発明は、耐塩素剤と着色顔料と、新たな添加剤を併用することにより、従来よりも少量の配合によって耐塩素性が発現するので、ブリード等による成形品の外観や表面性等の不良が起こらず、外観を向上することができる。また、本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂が所定のジオール成分を含むことにより耐加水分解性を有する。
本実施形態に係る耐塩素性樹脂組成物を適用した平ベルトの構成例を示す縦断面図である。 上記平ベルトの製造方法を示す縦断面図であり、図2Aは第1芯体帆布を含浸処理した段階、図2Bは第1積層体を形成した段階、図2Cは第2芯体帆布を含浸処理した段階、図2Dは第1積層体と第2積層体を接着した段階を示す図である。 本実施形態に係る耐塩素性樹脂組成物を適用した歯付ベルトの構成例を示す斜視図である。 耐塩素性樹脂組成物を適用したベルトと添加剤Dを含まない樹脂で形成したベルトの次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性を、条件(1)で確認した結果を示すグラフである。 耐塩素性樹脂組成物を適用したベルトと添加剤Dを含まない樹脂で形成したベルトの次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性を、条件(2)確認した結果を示すグラフである。 耐塩素性樹脂組成物を適用したベルトと添加剤Dを含まない樹脂で形成したベルトの次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性を、条件(3)確認した結果を示すグラフである。 耐塩素性樹脂組成物を適用したベルトと添加剤Dを含まない樹脂で形成したベルトの次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性を、条件(4)確認した結果を示すグラフである。
1.熱可塑性樹脂組成物
本発明の実施形態に係る耐塩素性樹脂組成物について説明する。本実施形態の耐塩素性樹脂組成物は、TPUを構成する成分として、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分との組み合わせからなる。TPUを構成するジオール成分は、数平均分子量750〜3000の高分子ジオール(A)および数平均分子量=60〜300の鎖延長剤(B)を含む。
高分子ジオール(A)は、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有するジオールであって、数平均分子量が750〜3000、好ましくは800〜2000、より好ましくは1000〜2000である。
高分子ジオール(A)の数平均分子量が750未満であると、TPUのウレタン基濃度が相対的に高くなり過ぎるために未溶融物が発生したり、TPU溶融物が高粘度化したりして加工時に成形不良を起こし、外観不良になるおそれがある。また、硬度、100%モジュラス、引張強さ、引裂強さは高くなるものの、伸びが低下し、熱可塑性樹脂本来の特性である柔軟性や可とう性を生かすことができない。
一方、高分子ジオール(A)の数平均分子量が3000を超えると、ウレタン基濃度が相対的に低くなり過ぎるために、所期の物性が得られず、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の成形品の耐久性(耐加水分解性だけでなく、硬度、物性保持性等)が不十分となる。
なお、高分子ジオール(A)の数平均分子量は、JIS K 7252−3(プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量および分子量分布の求め方―第3部:常温付近での方法)に準拠して測定することができる。
このような高分子ジオール(A)としては、熱可塑性樹脂が加水分解するおそれを排除するために、耐加水分解性に優れた、ポリラクトンジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含有する。
これらのポリラクトンジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールは、高分子ジオール(A)の好ましくは質量基準で90%以上、より好ましくは100%を占めることが好ましい。
ポリラクトンジオール類としては、後述する低分子ジオール、低分子アミノアルコール、二官能タイプの低分子グリコールエーテル類等の単独または2種以上の混合物を開始剤として、カプロラクトン、バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、さらには、それらに後述するポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールを共重合したポリラクトン系ジオールなどを挙げることが出来る。上記の中でも特に、ポリカプロラクトンジオールが好ましい。
ポリエーテルジオール類としては、鎖延長剤として使用し得る、後述する低分子ジオール類、低分子アミノアルコール類、二官能タイプの低分子グリコールエーテル類等の単独または2種以上の混合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、アミレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマー単品または混合物を公知の方法により付加重合することで得られるものを挙げることが出来る。上記の中でも、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。
ポリカーボネートジオール類としては、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオ−ル類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジエチレンカーボネート等との脱アルコール反応、脱フェノール反応等で得られるものを挙げることが出来る。さらには、それらに上記ポリラクトンジオール、ポリエーテルジオールを共重合したポリラクトン系ジオールなどを挙げることが出来る。上記の中でも、ジオール類として1,6−ヘキサンジオールから得られるものが好ましい。
本発明の趣旨を損なわない範囲であれば、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(プロピレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンイソフタレート)ジオールなどのポリエステルジオールを併用しても構わない。
本実施形態の鎖延長剤(B)は、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有する活性水素含有化合物であって、以下に説明するように、数平均分子量が60〜300、好ましくは60〜200である。
鎖延長剤(B)の数平均分子量が60未満であると、TPUのウレタン基濃度が相対的に高くなり過ぎるために未溶融物が発生したり、TPU溶融物が高粘度化したりして加工時に成形不良を起こし、外観不良になるおそれがある。また、硬度、100%モジュラス、引張強さ、引裂強さは高くなるものの、伸びが低下し、熱可塑性樹脂本来の特性である柔軟性や可とう性を生かすことができにくくなる。
一方、鎖延長剤(B)の数平均分子量が300を超えると、ウレタン基濃度が相対的に低くなり過ぎるために、所期の物性が得られず、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の成形品の耐久性(耐加水分解性、硬度・物性保持性等)が不十分になる。
本実施形態の鎖延長剤(B)としては、例えば低分子ジオール類、低分子アミノアルコール類、二官能タイプの低分子グリコールエーテル類を用いることができる。
低分子ジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の単品または2種以上の混合物が挙げられる。
熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲であれば、1−デカノール、1−ドデカノール、ステアリルアルコール、1−ドコサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のような官能基数が1の活性水素化合物やグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール等のような官能基数が2より大きい活性水素化合物も併用することができる。
低分子アミノアルコール類としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン等の単品または2種以上の混合物が挙げられる。また、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲であれば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等も使用することができる。
二官能タイプの低分子グリコールエーテル類としては、例えば、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−ポリオキシエチレン−オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレン−オキシフェニル)プロパン、ジメチロールヘプタンエチレンオキサイド付加物、ジメチロールヘプタンプロピレンオキサイド付加物のようなグリコールエーテル等の単品または2種以上の混合物が挙げられる。
本実施形態のジオール成分における鎖延長剤(B)と高分子ジオール(A)の配合割合は、高分子ジオール(A)の活性水素基モル数に対する鎖延長剤(B)の活性水素基モル数」の比([鎖延長剤(B)の活性水素基モル数]/[高分子ジオール(A)の活性水素基モル数]=R′値)が、TPUのハードセグメント量の指標であり、物性発現を左右するという観点から、R′値は、好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.3〜12である。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物は、TPUを構成するイソシアネート成分(C)として、熱可塑性樹脂本来の特性である柔軟性や可とう性を生かすために有機ジイソシアネートを含む。
有機ジイソシアネートは、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等およびこれらの異性体からなる芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等を用いることができる。また、これらの化合物と活性水素基含有化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物、あるいは、これらの化合物の反応、例えばカルボジイミド化反応等によるポリイソシアネート変成体等も用いることができる。
これらの有機ジイソシアネートのうち、硬度や物性、耐熱性等の向上の面からジフェニルメタンジイソシアネートが、耐候性、柔軟性の向上の面からは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
本実施形態において、ジオール成分の全活性水素基モル数に対するイソシアネート成分の全イソシアネート基モル数の比([全イソシアネート基モル数]/[全活性水素基モル数]=R値)は、TPUの分子量や粘度を好ましい範囲に調整するという観点から、好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2である。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物は、添加剤(D)として、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と共に、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれた少なくとも一種および/またはピリチオン化合物(D−3)を含む。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の耐塩素剤として用いる「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)としては、特許文献2に記載の該当する化合物が好ましく、具体的には、炭酸塩類として、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなど、また、硫酸塩類として、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが好ましく、特に炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物において滑剤として用いる「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)としては、具体的には、特許文献3で開示された「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」から選ばれた少なくとも一種を含む。
本実施形態でいう脂肪酸ビスアミドとは、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、芳香族系ビスアミド等の1分子中にアミド結合を2つ有する化合物を指し、例えば、メチレンビスカプリル酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスミリスチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、p−キシリレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
本実施形態でいうアルキル置換型の脂肪酸モノアミドとは、飽和脂肪酸モノアミドや不飽和脂肪酸モノアミド等のアミド水素をアルキル基で置き換えた構造の化合物を指し、例えば、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘニン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等が挙げられる。該アルキル基は、その構造中にヒドロキシル基等の置換基が導入されていても良く、例えば、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイル12ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N−ジエタノールラウリン酸アミド等も本実施形態のアルキル置換型の脂肪酸モノアミドに含めることができる。
特許文献3によれば、脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミドは、一般の脂肪酸モノアミドに比べてアミドの反応性が低く、さらに高分子量のものが多いために耐熱性が高く、溶融成形で昇華しにくいため滑剤としての機能を損なうことなく、優れた滑り性を発揮すると開示されている。
その滑り性は、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物に関しては、成形加工時の離型のしやすさや、押出成形機からのストランドをペレット化のためカットする際のカットのしやすさや、射出成形機から得られるシートやフィルム同士の付着のしにくさなどを総称する「耐ブロッキング性」と同義である。
特許文献3によれば、特に、脂肪酸ビスアミドは、アミドの反応性がさらに低いため、より好ましく用いることができ、エチレンビスステアリン酸アミドがさらに好ましいと開示されている。本実施形態においてもそれが特に好ましく、他にエチレンビスオレイン酸アミドも特に好ましい。また、アルキル置換型の脂肪酸モノアミドを用いる場合は、N−ステアリルステアリン酸モノアミドが好ましい。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物は、これら脂肪酸ビスアミドやアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの融点は、20〜180℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。20℃未満の場合には、通常、室温では液状となるため、本実施形態の樹脂組成物およびそれを用いて得られる成形品の表面平滑性が不良となる。一方、180℃を超える場合には、本実施形態の樹脂組成物の成形加工時に融解せず分散が不均一となり、また表面へのブリードが不十分となる。その結果、成形によって得られる固形物の粉砕品によって得られるフレークが固着したり、押出機によりペレットから得られるストランドがカットしにくくなったりする問題も発生する。
脂肪酸ビスアミドとしては、日本油脂株式会社製の「アルフローH−50シリーズ」(エチレンビスステアリン酸アミド、融点=140〜145℃)、「アルフローAD−281シリーズ」(エチレンビスオレイン酸アミド、融点=115℃)や日本化成株式会社製のスリパックスL(エチレンビスラウリン酸アミド、融点=157℃)、スリパックスC(エチレンビスカプリン酸アミド、融点=161℃)を挙げることができる。
アルキル置換型の脂肪酸モノアミドとしては、日本油脂株式会社製のアルフローE−10(オレイン酸モノアミド、融点=72〜76℃)、アルフローP−10(エルカ酸モノアミド、融点=79〜84℃)や日本化成株式会社製のニッカアマイドS(N−ステアリルステアリン酸モノアミド、融点=95℃)、ニッカアマイドSO(N−ステアリルオレイン酸モノアミド、融点=67℃)、ニッカアマイドOS(N−オレイルステアリン酸モノアミド、融点=74℃)を挙げることができる。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物において抗菌防カビ剤として用いるピリチオン化合物(D−3)としては、具体的には、特開2005−343821号公報で開示される2−ピリジンチオール亜鉛−1−オキシド(以下、「ピリチオン亜鉛」という。)、2−ピリジンチオール銅−1−オキシド、2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシドなどが挙げられ、特にピリチオン亜鉛が好ましい。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物では、着色用として着色顔料を用いるが、本発明の目的を達成するためには、着色顔料(E)として無機系着色顔料を使用することを含み、その中で耐塩素性に優れたタイプが好ましい。例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラック、黒色酸化鉄(鉄黒)、黄色酸化鉄(黄鉄)、赤色酸化鉄(べんがら)、コバルトブルー、群青、酸化クロムなどから選ばれる1種または2種以上の組み合わせが好ましい。また、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば、上記以外の無機系着色顔料、有機系着色顔料も使用することができる。
「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)は、特許文献3によれば、滑り性(耐ブロッキング性)を発現すると開示されている。本実施形態の耐塩素性樹脂組成物では、滑り性の発現以外に、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)と着色顔料(E)との組み合わせか、添加剤「D−1」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)との組み合わせによって、当該添加剤「D−1」および着色顔料(E)の添加量を少なくしても耐塩素性を発現できる。
一方、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の抗菌防カビ剤として用いるピリチオン化合物(D−3)は、特許文献4によれば、抗菌防カビ性を示すと開示されている。本実施形態の耐塩素性樹脂組成物では、抗菌防カビ性の発現以外に、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)と着色顔料(E)との組み合わせか、添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と着色顔料(E)との組み合わせによって、当該添加剤「D−1」および着色顔料(E)の添加量を少なくしても耐塩素性を発現できる。
すなわち、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物では、添加剤「D−1」の添加量は、添加剤「D−2」と着色顔料(E)との併用、添加剤「D−3」と着色顔料(E)との併用、さらには添加剤「D−2」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)との併用によって、上述した特許文献2に記載の量より減ずることができ、TPUに対して0.01〜0.15質量%とすることが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.12質量%である。0.01質量未満では、耐塩素性が不足し本発明の効果が得られない。また、0.15質量%より多い場合は、混合不良、ブリードの発生、機械的物性の低下が起こりやすくなり好ましくない。
添加剤「D−2」の添加量は、前記添加剤「D−1」と着色顔料(E)との併用系、添加剤「D−1」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)との併用系において、TPUに対して0.01〜0.3質量%とすることが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.25質量%である。
0.01質量未満では、耐塩素性、滑り性が不足し本発明の効果が得られない。一方、0.3質量%より多い場合は、混合不良、ブリードの発生による外観不良、機械的物性の低下が起こりやすくなり、好ましくない。
ピリチオン化合物(D−3)の添加量は、添加剤「D−1」と着色顔料(E)との併用系、添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と着色顔料(E)との併用系において、TPUに対して0.01〜0.6質量%とすることが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.5質量%である。0.01質量未満では、耐塩素性、抗菌防カビ性が不足し本発明の効果が得られない。一方、0.6質量%より多い場合は、混合不良、ブリードの発生による外観不良、機械的物性の低下が起こりやすくなり、好ましくない。
着色顔料(E)の添加量は、添加剤「D−1」と添加剤「D−2」との併用系、または添加剤「D−1」と添加剤「D−3」との併用系、さらには添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と添加剤「D−3」との併用系において、上述した特許文献1に記載の量より減ずることができ、TPUに対して0.1〜0.4質量%とすることが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.35質量%である。
0.1質量未満では、淡色となり着色顔料本来の効果が表れず、耐塩素性も不足し本発明の効果が得られない。一方、0.4質量%より多い場合は、上述したように着色顔料の分散不良、外観不良、機械的物性の低下が起こりやすくなり、好ましくない。
このように添加剤「D−1」の添加量は、特許文献2に記載された量より少なくすることができる。さらに、着色顔料(E)の添加量も、特許文献1に記載された量より少なくすることができる。
さらに添加剤「D−2」の添加量も、特許文献3に記載の量より相対的に少なくすることができるから、滑り性を維持しつつ、ブリード発生による外観不良や機械的物性の低下も起こらない。
また、添加剤「D−3」の添加量も、特許文献4に記載の量より相対的に少なくすることができるから、抗菌防カビ性を維持しつつ、ブリードが発生せず、機械的物性の低下も起こらない。
以上のように、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物では、添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と着色顔料(E)、添加剤「D−1」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)、および添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)の組み合わせによって、添加剤「D−1」および着色顔料(E)の添加量を減じても耐塩素性を達成することができ、これらの添加剤の併用による相乗効果があると考えられる。
添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と着色顔料(E)の組み合わせにおいては、耐塩素性だけでなく滑り性、すなわち耐ブロッキング性を達成することができる。添加剤「D−1」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)の組み合わせにおいては、耐塩素性だけでなく抗菌防カビ性を達成することができる。さらに添加剤「D−1」と添加剤「D−2」と添加剤「D−3」と着色顔料(E)の組み合わせにおいては、耐塩素性だけでなく耐ブロッキング性と抗菌防カビ性を達成することができる。
上記以外の耐塩素剤としては、特許文献2および特開2006−342448号公報に挙げられている各種添加剤を併用することができる。
添加剤「D−1」、添加剤「D−2」、添加剤「D−3」および着色顔料(E)の添加方法としては、TPUに対して、それぞれ前記記載の量を直接添加する方法以外に、予め高濃度のマスターバッチを作成しておき、そのマスターバッチを濃度換算してTPUに混合する方法も用いることができる。
耐塩素性を発現させるためには、例えば次亜塩素酸ナトリウムを水溶液にして用いることから耐加水分解性や耐水性も必要である。本実施形態のTPUを構成する高分子ジオール(A)は耐加水分解性に優れているが、添加剤(D)についても耐水性、すなわち水への溶解度の低いタイプが好ましい。
具体的には、本実施形態の耐塩素性樹脂組成物では、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)については、例えば炭酸カルシウムは水にはほとんど溶けず(和光純薬工業株式会社の2009年5月15日付け製品安全データシートによる)、硫酸バリウムも水に不溶である(和光純薬工業株式会社の2009年5月13日付け製品安全データシートによる)。
脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド(D−2)も特開2002−240424号公報で開示されるように水に溶解せず、例えばアルフローAD−281P(エチレンビスオレイン酸アミド、日本油脂株式会社製)は水に対して不溶である(同社の2007年10月1日付製品安全データシートによる)。
ピリチオン化合物(D−3)はピリジン系抗菌剤である。特開2009−7736号公報によれば、ピリジン系抗菌剤の水への溶解度は0.01〜30ppmと低く、例えば、ピリチオン亜鉛の25℃水溶解度は8ppmであり、ピリチオン銅の場合は1ppm以下である。
着色顔料(E)についても、特開2005−119160号公報で開示されるように水に溶解せず、例えば群青がその例として挙げられている。
上記のように、いずれも水への溶解度が低いため有機性のTPUに吸着され、水への溶出も少ないことから、本実施形態で得られる耐加水分解性を有する樹脂組成物には好適である。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物を構成するTPUは、公知のTPUの製造方法、例えば、ワンショット法、プレポリマー法、バッチ反応法、連続反応法、ニーダによる方法、押出機による方法等により得ることができる。特に、押出機による方法では、単軸〜多軸スクリュー型押出機を用いると生産性が高くなり好ましい。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物は、前記製造方法によって、フレーク、ペレット、パウダー、グラニュール、ロッド、シート、ブロック等の形状として個々に得られる。
例えば、上記のようにして得られた粉末状またはブロック状のような固形物を粉砕してフレーク状のものを得たり、それを押出機に供給して、通常のTPUを押し出す温度(約150〜220℃)で溶融混練後、ストランドカットまたは水中カットによりペレット形状のものを得ることができる。
ニーダによる方法では、ニーダに高分子ジオール(A)と鎖延長剤(B)と添加剤(D)と着色顔料(E)を仕込み、撹拌下、100℃に加温後、イソシアネート(C)を投入し、10〜120分反応させ、冷却することにより粉末状またはブロック状のTPUを製造することができる。なお、これらの方法においては、必要に応じ触媒や添加剤を添加することができる。
前記のTPU製造時の触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)等のアミン類、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等の有機金属類、トリブチルホスフィン、ホスフォレン、ホスフォレンオキサイド等のリン系化合物が挙げられる。なお、これらの化合物はそれぞれ単独で用いることができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。特に、スズ系触媒については、高分子ジオール(A)の質量に対して0.5〜30ppmの割合で用いるとTPUを比較的短時間で製造することができる。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の重合過程または重合後に、本実施形態で開示している以外に、必要に応じて、TPUを製造する際に通常使用されている熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、耐熱性向上剤、耐候性改良剤、反応性遅延剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、導電付与剤、抗菌剤、防カビ剤、着色剤、無機および有機充填剤、繊維系補強材、結晶核剤などの各種添加剤を適宜加えることもできる。
耐塩素性樹脂組成物は、従来技術の耐塩素剤と着色顔料と、新たな添加剤を併用することにより、その従来技術よりも少量の配合によって耐塩素性が発現するので、ブリード等による成形品の外観や表面性等の不良が起こらず、外観や表面性等の良好な成形品が得られる。
通常、塩素性を有する化合物は、次亜塩素酸ナトリウムの例のように、水溶液タイプとして用いることが多いため、耐塩素性を要求される熱可塑性樹脂、とりわけTPUにおいては、耐塩素性だけでなく耐加水分解性も必要であることに着目し、本実施形態では、耐加水分解性に優れたジオールを用いること、さらには水への溶解度の低い添加剤を使用することによって、耐加水分解性に優れた熱可塑性樹脂、とりわけTPUを得ることができ、その面での耐久性(耐加水分解性だけでなく、硬度、物性保持性等)にも優れている。
2.耐塩素性熱可塑性成形品
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の成形は、一般に用いられているTPUの成形方法が適用でき、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、真空成形、遠心成形、回転成形、カレンダー加工、ロール加工、プレス加工等の成形方法で成形できる。
本実施形態の耐塩素性樹脂組成物の成形品は、例えば家屋の内装材、通信ケーブル、工業用ケーブル、自動車、各種車両内装材、家電用品、装飾品等屋内外の幅広い分野に用いることができる。
例えば、押出成形関係では、高圧ホース、塗装用ホース、消防ホース、医療用チューブ、油・空圧チューブ、散水用チューブなどのホース・チューブ類;コンベアーベルト、エアーマット、ダイヤフラム、キーボードシート、合成皮革、ライフジャケット、ウェットスーツ、ホットメルト、フレキシブルコンテナーなどのフィルム類;電力、通信ケーブル、コンピュータ配線、自動車配線、各種カールコードなどの電線・ケーブル類;各種ロープ、丸ベルト・Vベルトなどの各種駆動ベルト、スリップ止め、タイミングベルト、視線誘導標などのその他の分野に用いることができる。
射出成形関係では、ボールジョイント、ダストカバー、ペダルストッパー、ドアーロックストライカー、ブッシュ、スプリングカバー、軸受、防振部品、内・外装部品などの自動車部品;各種ギアー、シール材、パッキン類、防振部品、ピッカー、ブッシュ、軸受、キャップ、コネクター、ラバースクリーン、印字ドラムなどの機械・工業部品;野球・ゴルフ・サッカーシューズ等のスポーツシューズのソールおよびポイント 、婦人靴トップリフト、スキー靴、安全靴などの靴関連部品;ローラー、キャスター、グリップ、時計バンド、イヤータッグ、スノーチェーン、シュノーケル、足ヒレなどのその他の分野に用いることができる。
カレンダー加工関係では、コンベアーベルト、フレキシブルコンテナー、フィルム、ラミネート品などの分野に用いることが出来る。ブロー成形関係では、各種自動車・車両用ブーツ、各種容器類に、インフレーション成形関係では、薄肉・広幅フィルム類に用いることが出来る。
TPUを溶剤に溶解して溶液として使用するタイプとしては、バインダー、接着剤、合成皮革、ロープ・ワイヤ・手袋等の各種コーティングなどの分野にも用いることができる。
3.ベルト
上記のように上記耐塩素性樹脂組成物を適用したベルトとしては、特に限定されず種々のベルトが例示される。ベルトの一例として平ベルトの構成について図1を参照して説明する。図1に示す平ベルト10Aは、芯体帆布12,16と樹脂層14,18とが交互に積層されている。芯体帆布12,16は、例えばポリエステルやナイロンで形成することができる。樹脂層14,18は、上記耐塩素性樹脂組成物で形成されている。
本実施形態の場合、平ベルト10Aは、第1芯体帆布12と、第1芯体帆布12の一面上に形成された第1樹脂層14と、第1樹脂層14上に形成された第2芯体帆布16と、第2芯体帆布16上に形成された第2樹脂層18とを備え、全体として4層構造である。
平ベルト10Aは、第1芯体帆布12の他面が、無端状ベルトにおいて内周面となる。すなわち第1芯体帆布12の他面は、平ベルト10Aがプーリ(図示しない)に掛け渡された場合に、プーリに接触する。一方、第2樹脂層18の表面、すなわち第2芯体帆布16に積層される面とは反対側の面は、無端状ベルトにおいて外周面となる。この場合、第2樹脂層18の表面は、平ベルト10Aがプーリに掛け渡された場合に、搬送物(図示しない)が載せられる搬送面となる。
第1芯体帆布12および第2芯体帆布16は、平ベルト10Aの張力を保持するための抗張部材である。第1芯体帆布12および第2芯体帆布16は、例えば平ベルト10Aの長手方向に対し伸縮性を有し、幅方向に対し実質的に非伸縮である。この場合、第1芯体帆布12および第2芯体帆布16は、例えば、平ベルト10Aの長手方向に略平行に配置された伸縮性糸である経糸と、ベルトの幅方向に略平行に配置された非伸縮性糸である緯糸とによって織られた織布で形成することができる。また、第1芯体帆布12および第2芯体帆布16は、例えば非伸縮性の経糸と緯糸から形成され、長手方向に伸縮するように織られた織布であっても良い。
上記のように構成された平ベルト10Aの製造方法について説明する。まず、第1芯体帆布12となる織布全体を接着剤に含浸する(図2A)。接着剤には、例えばウレタン系接着剤が用いられる。
次いで、押し出し成形機により押し出された耐塩素性樹脂組成物と、接着剤に含浸した織布を接着し、第1芯体帆布12と、第1樹脂層14を積層した第1積層体20を形成する(図2B)。
同様に、第2芯体帆布16となる織布全体を接着剤に含浸する(図2C)。そして押し出し成形機により押し出された耐塩素性樹脂組成物と、接着剤に含浸した織布を接着し、第2芯体帆布16と、第2樹脂層18を積層した第2積層体22を形成する。このとき、目付帆布を用いて、搬送面となる第2樹脂層18の表面に目付を設けてもよい。最後に、当該第2積層体22を第1積層体20に接着することにより、平ベルト10Aを作製することができる。
上記のように形成された平ベルト10Aは、端部同士を、例えばスカイバー継手により連結することにより、無端状ベルトを作製することができる。この端部同士は、例えばウレタン系接着剤で接着することにより連結される。
平ベルト10Aは、搬送面となる第2樹脂層18が、添加剤(D)として、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれた少なくとも一種と、着色顔料(E)とを含む耐塩素性樹脂組成物で形成されていることにより、上記耐塩素性樹脂組成物と同様の効果を得ることができる。すなわち平ベルト10Aは、添加剤(D−1)および着色顔料(E)の添加量を少なくしても耐塩素性を発現できると共に、耐ブロッキング性を向上することができる。
また平ベルト10Aは、搬送面となる第2樹脂層18が、添加剤(D)として、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、ピリチオン化合物(D−3)と、着色顔料(E)とを含む耐塩素性樹脂組成物で形成されていることにより、上記耐塩素性樹脂組成物と同様の効果を得ることができる。すなわち平ベルト10Aは、添加剤(D−1)および着色顔料(E)の添加量を少なくしても耐塩素性を発現できると共に、抗菌防カビ性を向上することができる。
さらに平ベルト10Aは、搬送面となる第2樹脂層18が、添加剤(D)として、「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれた少なくとも一種と、ピリチオン化合物(D−3)と、着色顔料(E)とを含む耐塩素性樹脂組成物で形成されていることにより、上記耐塩素性樹脂組成物と同様の効果を得ることができる。すなわち平ベルト10Aは、添加剤(D−1)および着色顔料(E)の添加量を少なくしても耐塩素性を発現できると共に、耐ブロッキング性および抗菌防カビ性を向上することができる。
このように構成された平ベルト10Aは、例えば、搬送物として食品を搬送するコンベヤーベルトに適用することができる。
本実施形態の場合、平ベルト10Aは芯体帆布12,16と樹脂層14,18とを交互に積層した4層構造である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、芯体帆布と樹脂層とを交互に1つずつ積層した2層構造でもよい。また平ベルト10Aは、芯体帆布の両面にそれぞれ樹脂層を形成した3層構造や、樹脂層の両面にそれぞれ芯体帆布を設けた3層構造でもよい。さらに平ベルト10Aは、芯体帆布と樹脂層とを交互に3つ以上積層し、6層以上積層した構造としてもよい。
本発明に係るベルトは、平ベルトに限られず、例えば歯付ベルトに適用してもよい。図3に示す歯付ベルト10Bは、ベルト本体24と、当該ベルト本体24に埋設された心線26とを備える。ベルト本体24は、上記耐塩素性樹脂組成物で形成されており、厚さ方向の一面に形成された平坦な背部28と、厚さ方向の他面に形成された歯部30とを有する。
歯部30は、歯付ベルト10Bの他面から厚さ方向に凸となり、歯付ベルト10Bの幅方向に延びる歯山32と、厚さ方向に凹となる歯底34とが交互に形成されている。また歯底34には、歯付ベルト10Bの幅方向に延びる溝36が形成されている。心線26は、歯付ベルト10Bの長手方向に平行に配置されている。心線26は、例えば金属や、樹脂で形成することができる。
歯付ベルト10Bは、ベルト本体24の歯部30が形成された面が、無端状ベルトにおいて内周面となる。すなわちベルト本体24の歯部30が形成された面は、歯付ベルト10Bがプーリに掛け渡された場合に、プーリに接触する。一方、ベルト本体24の背部28が形成された面は、無端状ベルトにおいて外周面となる。この場合、ベルト本体24の背部28が形成された面は、歯付ベルト10Bがプーリに掛け渡された場合に、搬送物が載せられる搬送面となる。
歯付ベルト10Bは、平ベルトと同様に、耐塩素性樹脂組成物を押し出し成形機により押し出し、心線26と一体化させることにより、作製することができる。
上記のように構成された歯付ベルト10Bは、ベルト本体24が、耐塩素性樹脂組成物で形成されているので、上記平ベルトと同様の効果を得ることができる。
なお、図3に示した歯付ベルトは、本発明の一実施形態を示したに過ぎず、本発明は図3に示す歯付ベルトに限定されないことはいうまでもなく、例えば歯部30に帆布が設けられていてもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
1.実施例1〜17,比較例1〜15
(試料の作製)
撹拌機と温度計の付いた反応容器に、高分子ジオール(A)、鎖延長剤(B)、添加剤(D)、着色顔料(E)、酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)および紫外線吸収剤(チヌビンP、BASF社製)を表1〜表5に記載の量を均一に混合した。
得られた混合液を100℃に加熱した後、イソシアネート(C)を表1〜表5に記載の量を加え、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を80℃の電気炉で16時間熟成させ、冷却した後、固形物を粉砕しフレーク状のTPUを得た。
得られたフレーク状のTPUを押出機でストランドを押出し、カッターを用いてペレットを作製した。得られたペレットを220〜230℃で射出成形して厚さ2mmのシートを作製し、これを105℃で16時間、アニール後、実施例1〜17および比較例1〜15の試料とした。
表1〜表5の使用原料は以下のとおりである。
<A(高分子ジオール)>
プラクセル220UA
ポリ−カプロラクトンジオール(数平均分子量=2000)、株式会社ダイセル製
PTMG650:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=650)、三菱化学株式会社製
PTMG850:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=850)、三菱化学株式会社製
PTMG1000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=1000)、三菱化学株式会社製
PTMG2000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=2000)、三菱化学株式会社製
ニッポラン981:
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量=1000)、日本ポリウレタン工業株式会社製
ニッポラン4009
ポリ(ブチレンアジペート)ジオール(数平均分子量=1000)、日本ポリウレタン工業株式会社製
サンニックスPP−4000
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=4160)、三洋化成工業株式会社製
<B(鎖延長剤)>
1,4−BG:
1,4−ブタンジオール(数平均分子量=90)、三菱化学株式会社製
1,6−HG:
1,6−ヘキサンジオール(数平均分子量=118)三菱化学株式会社製
サンニックスPP−200
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=200)、三洋化成工業株式会社製
サンニックスPP−400
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=400)、三洋化成工業株式会社製
<C(イソシアネート化合物)>
MDI:
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社製
HDI:
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社製
<D(添加剤)>
硫酸バリウム:
和光純薬工業株式会社製
炭酸カルシウム:
和光純薬工業株式会社製
アルフローAD−281P:
エチレンビスオレイン酸アミド(日本油脂株式会社製、融点=115℃)
ニッカアマイドS:
N−ステアリルステアリン酸モノアミド(日本化成株式会社製、融点=95℃)
ジンクピリチオン:
ピリチオン亜鉛(和光純薬工業株式会社製)
<着色顔料>
群青:
第一化成工業株式会社製
酸化チタン:
和光純薬工業株式会社製
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(特性試験)
上記手順で作製した成形品としての射出成形シートについて、以下に説明するように各種特性を試験評価した。得られた結果を表6〜表9に示す。
(1)機械的性質
[硬さ(JIS−A硬度)]
[100%モジュラス(引張応力、MPa)]
[引張強さ(MPa)]
[伸び(%)]
[引裂強さ(kN/m)]
射出成形シートをJIS K 7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)に記載の測定方法に従って測定した。実用上備えるべき性質は以下のとおりである。
[硬さ(JIS−A硬度)]
JIS−A硬度は、実用上、56以上であることが望ましい。
[100%モジュラス(引張応力、MPa)]
実用上、1.4MPa以上であることが望まれる。
[引張強さ(MPa)]
実用上、12MPa以上であることが望まれる。
[伸び(%)]
実用上、400%以上であることが望まれる。
[引裂強さ(kN/m)]
実用上、40kN/m以上であることが望まれる。
(2)耐塩素性
次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素5.0%以上)を水で10倍に希釈した水溶液に射出成形シートを80℃で10時間浸漬後に、常温で一晩乾燥させた。そして、その試験片の表面を爪で引っ掻き、その表面状態を目視で以下のように評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:変化なし
A:わずかにべたつきがある
B:半分以上にべたつきがある
C:全体にべたつきがある
(3)抗菌防カビ性
(a)抗菌性
射出成形シートを使用して、Escherichia coli IFO 3972(大腸菌)にてJIS Z 2801(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に基づいて試験し、24時間後の細菌数の値によって以下の基準にて評価し、AおよびBを合格とし、Cを不合格とした。なお、無加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値から抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値を減じた値を抗菌活性値とした。
ランク:内容
A:3時間後の細菌数の減少値が1%以下(抗菌活性値が2.0以上)
B:24時間後の細菌数の減少値が1%以下(抗菌活性値が2.0以上)
C:24時間後の細菌数の減少値が1%より高い(抗菌活性値が2.0未満)
(b)防カビ性
射出成形シートを使用して、Aspergillus niger IFO 6341(コウジカビ)にてJIS Z−2911(カビ抵抗性試験方法)の「附属書Aのプラスチック製品の試験方法」に基づいて試験し、カビ抵抗性(菌糸の発育評価)を以下の基準にて評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:肉眼および顕微鏡下でかびの発育は認められない
A:肉眼ではかびの発育が認められないが,顕微鏡下では明らかに確認できる
B:肉眼でかびの発育が認められ,発育部分の面積は試料の全面積の25%未満
C:肉眼でかびの発育が認められ,発育部分の面積は試料の全面積の25%以上
(4)耐ブロッキング性
射出成形シートから10cm角の10枚のシートを切り出した。その10枚のシートを重ね合わせて測定用サンプルとし、同じ面積の底部を有する金属製おもり(1kg)を乗せて、40℃、90%RHに調整された湿熱オーブン中で1週間保管した。以下の基準で評価し、Aを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
A:取り出したサンプルにシート同士の貼り付きが見られない。
B:取り出したサンプルの一部にシート同士の貼り付きが見られる。
C:取り出したサンプルの全体に(全枚数が全面にわたり)シート同士の貼り付きが見られる。
(5)外観
射出成形シート表面の状態を目視および触感によって、気泡、塊、異物、クラック、膨潤、ブリード等の有無の程度によって良否を評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:良好
A:わずかに不良
B:不良部分が過半
C:ほぼ全面が不良
(6)耐加水分解性
射出成形シートを用いて、JIS K7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)で規定されているダンベル形状に打ち抜き、試験片とした。試験片を70℃の温水に60日間浸漬し、引張試験機を使用して引張強さを測定した。試験前のシート物性(100%モジュラス)と比較し、その保持率によって耐加水分解性を以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:保持率90%以上
A:保持率90%未満70%以上
B:保持率70%未満50%以上
C:保持率50%未満
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上記実施例1〜3、5〜17は請求項1の耐塩素性樹脂組成物に係わり、実施例4〜6、8〜10、12〜17は請求項2の耐塩素性樹脂組成物に係わる。
(考察)
実施例1〜17の耐塩素性樹脂組成物の場合、いずれも本発明の目的である優れた耐塩素性を示し、機械的性質(硬さ、100%モジュラス、引張強さ、伸び、引裂強さ)も、上述した「(1)機械的性質」に示した「所期の特性」を確保していた。また、本発明の目的とする外観、耐加水分解性についてはAAまたはAという好ましい評価であった。
実施例1〜3、7、11については、抗菌防カビ剤を使用していないため、抗菌性、防カビ性については満足した結果が得られず、実施例4については、滑剤を使用していないため耐ブロッキング性については満足した結果が得られなかったが、本発明の目的とする耐塩素性、外観、耐加水分解性についてはAAまたはAという好ましい評価であった。
特に、実施例5、6および実施例8〜10、および実施例12〜17の耐塩素性樹脂組成物の場合、着色顔料、耐塩素剤、滑剤、抗菌防カビ剤を使用しているため、耐塩素性、外観、耐加水分解性だけでなく抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性についてもAA、AまたはBという好ましい評価であった。
他方、比較例1の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。抗菌性、防カビ性については、抗菌防カビ剤を使用していないためC評価だった。しかし、本発明の目的とする外観については、耐塩素剤の添加量が多いためB評価だった。
比較例2の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。抗菌性、防カビ性については、抗菌防カビ剤を使用していないためC評価だった。しかし、本発明の目的とする外観については、滑剤の添加量が多いためC評価だった。
比較例3の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、本発明の目的とする外観については、抗菌防カビ剤の添加量が多いためC評価だった。
比較例4の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、本発明の目的とする外観については、耐塩素剤、滑剤、抗菌防カビ剤の全ての添加量が多いためC評価だった。
比較例5の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、外観についてはAAまたはA評価だった。しかし、本発明の目的とする耐加水分解性については、高分子ジオールとして、ポリエステルジオールであるポリ(ブチレンアジペート)ジオールを使用しているためC評価だった。
比較例6の耐塩素性樹脂組成物の場合、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、外観についてはAAまたはA評価だった。しかし、高分子ジオールとして数平均分子量が3000を大きく超える4160のポリオキシプロピレングリコールを使用しているため、機械的性質について所期の特性が得られず、また本発明の目的とする耐加水分解性についてはB評価で、耐ブロッキング性もB評価だった。
比較例7の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、鎖延長剤として数平均分子量が300を超える400のポリオキシプロピレングリコールを使用しているため、本発明の目的とする外観について、B評価だった。
比較例8の耐塩素性樹脂組成物の場合、着色顔料と耐塩素剤のみの使用で、機械的性質については所期の特性が得られ、外観、耐加水分解性についてはAA評価だった。しかし、本発明の目的とする耐塩素性については、滑剤、抗菌防カビ剤を使用していないため、B評価で、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性については、C評価だった。
比較例9の耐塩素性樹脂組成物の場合、着色顔料と滑剤のみの使用で、機械的性質については所期の特性が得られ、耐ブロッキング性、外観、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、本発明の目的とする耐塩素性については、耐塩素剤を使用していないためC評価で、抗菌防カビ剤を使用していないため抗菌性、防カビ性についてもC評価だった。
比較例10の耐塩素性樹脂組成物の場合、着色顔料と抗菌防カビ剤のみの使用で、機械的性質については所期の特性が得られ、抗菌性、防カビ性、外観、耐加水分解性についてはAまたはAA評価だった。しかし、本発明の目的とする耐塩素性については、耐塩素剤を使用していないためC評価で、滑剤を使用していないため耐ブロッキング性についてもC評価だった。
比較例11の耐塩素性樹脂組成物の場合、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、高分子ジオールとして数平均分子量が750を下回る650のポリオキシプロピレングリコールを使用しているため、本発明の目的とする外観について、C評価だった。また、機械的性質については所期の特性が得られなかった。
比較例12の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、外観、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、着色剤を使用していないので無着色タイプとなるが、本発明の目的とする耐塩素性については、耐塩素性のある着色顔料を使用していないためC評価だった。
比較例13の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、外観、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、着色剤を使用していても着色顔料である群青の使用量が少ないため淡色となるが、本発明の目的とする耐塩素性については、耐塩素性のある着色顔料である群青の使用量が少ないためB評価だった。
比較例14の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られ、耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、耐加水分解性についてはAAまたはA評価だった。しかし、本発明の目的とする外観については、耐塩素性のある着色顔料の添加量が多いためC評価だった。
比較例15の耐塩素性樹脂組成物の場合、機械的性質については所期の特性が得られた。耐塩素性、抗菌性、防カビ性、耐ブロッキング性、耐加水分解性については、添加剤(D)および着色顔料Eを一切使用していないため、CまたはB評価だった。しかし、外観については添加剤(D)および着色顔料(E)を使用していないためAA評価だった。
2.実施例18、比較例16
次に、耐塩素性樹脂組成物を適用したベルトを作製し、当該ベルトの次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性を確認した。
(試料の作製)
芯体帆布としてポリエステル帆布を用いた。芯体帆布を接着剤で含浸処理した。接着剤は、ウレタン系接着剤を用いた。含浸処理した芯体帆布に押し出し成形機により押し出した実施例15に係る耐塩素性樹脂組成物を貼り合せ、芯体帆布と樹脂層とを交互に積層した4層構造の平ベルトを作製した。作製した平ベルトを20mm×80mmにカットし、実施例18に係る試料とした。
比較として、樹脂層を添加剤が添加されていない比較例15に係る樹脂を用いて形成した以外は実施例18と同様に平ベルトを作製し、比較例16とした。
(評価)
上記手順で作製した試料について、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に試料を10時間浸漬した。浸漬処理の条件は、(1)次亜塩素酸ナトリウム濃度500ppm・温度60℃、(2)次亜塩素酸ナトリウム濃度500ppm・温度80℃、(3)次亜塩素酸ナトリウム濃度5000ppm・温度60℃、(4)次亜塩素酸ナトリウム濃度5000ppm・温度80℃の4種類とした。
浸漬前後における試料表面の硬度の変化量を調べた。硬度は、JIS K 6253に基づいて測定されたタイプAデュロメータ硬さとした。その結果を図4〜7に示す。図4〜7は、縦軸が樹脂硬度の変化量を示す棒グラフである。本図から、実施例18は、浸漬条件(1)〜(4)の全てにおいて比較例16に対し、樹脂硬度変化量が極めて小さいことが確認できた。すなわち実施例18は、耐次亜塩素酸ナトリウム性を有するといえる。また比較例16が添加剤(D)および着色顔料(E)を一切含まないことから、実施例18において発現した耐次亜塩素酸ナトリウム性は、添加剤(D)および着色顔料(E)を添加したことによる作用であるといえる。
本発明の耐塩素性樹脂組成物は、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分とから構成されるTPUと、着色顔料と添加剤から得られる。その組成物において、TPUを構成するジオール成分の種類と分子量を限定し、鎖延長剤の分子量を特定し、イソシアネートとして有機ジイソシアネートを用い、特にジオール成分として耐加水分解性に優れた高分子ジオールを用いているので耐加水分解性に優れている。
着色顔料として耐塩素性に優れた従来の無機系着色顔料を用い、添加剤として耐塩素性に優れた従来の耐塩素剤を用い、それに対して滑剤と抗菌防カビ剤を併用することによって、従来技術よりも少量の添加量で耐塩素性を達成することができる。そのため、外観に優れている。
従って、本発明の耐塩素性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、カレンダー成形等によって成形される屋内外の各種分野において、耐塩素性が必要となる用途および耐久性(耐加水分解性、硬度、物性保持性等)を要求される用途に有用であり、それに適する成形体を提供することができる。
10A 平ベルト
10B 歯付ベルト
本発明に係る耐塩素性樹脂組成物は、ジオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、添加剤と、着色顔料とを含む耐塩素性樹脂組成物であって、前記ジオール成分が、高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオールとポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種と、鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物とを含み、前記イソシアネート成分(C)が有機ジイソシアネートを含み、前記添加剤(D)が「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれた少なくとも一種とを含み(ただし、前記耐塩素性樹脂組成物がピリチオン化合物(D−3)を含む場合、前記D−3の含有量が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.6質量%を超える場合を除く)、前記着色顔料(E)が無機系着色顔料を含み、前記D−1が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.15質量%で、前記D−2が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.3質量%で、前記Eが前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1〜0.4質量%であることを特徴とする。
また本発明に係る耐塩素性樹脂組成物は、ジオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、添加剤と、着色顔料とを含む耐塩素性樹脂組成物であって、前記ジオール成分が、高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオールとポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種と、鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物とを含み、前記イソシアネート成分(C)が有機ジイソシアネートを含み、前記添加剤(D)が「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、ピリチオン化合物(D−3)とを含み(ただし、前記耐塩素性樹脂組成物が「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれる少なくとも一種を含む場合、前記D−2の含有量が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.3質量%を超える場合を除く)、前記着色顔料(E)が無機系着色顔料を含み、前記(D−1)が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.15質量%で、前記(D−3)が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.6質量%で、前記Eが前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1〜0.4質量%であることを特徴とする。

Claims (4)

  1. ジオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、添加剤と、着色顔料とを含む耐塩素性樹脂組成物であって、
    前記ジオール成分が、
    高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオールとポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種と、
    鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物と
    を含み、
    前記イソシアネート成分(C)が有機ジイソシアネートを含み、
    前記添加剤(D)が「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれた少なくとも一種とを含み、
    前記着色顔料(E)が無機系着色顔料を含み(ただし、前記Dのうち、ピリチオン化合物(D−3)の含有量が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.6質量%を超える場合を除く)、
    前記D−1が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.15質量%で、前記D−2が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.3質量%で、前記Eが前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1〜0.4質量%であることを特徴とする耐塩素性樹脂組成物。
  2. ジオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂と、添加剤と、着色顔料とを含む耐塩素性樹脂組成物であって、
    前記ジオール成分が、
    高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000のポリカプロラクトンジオールとポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種と、
    鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物と
    を含み、
    前記イソシアネート成分(C)が有機ジイソシアネートを含み、
    前記添加剤(D)が「周期律表第IIa族に属するアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩」(D−1)から選ばれた少なくとも一種と、ピリチオン化合物(D−3)とを含み、
    前記着色顔料(E)が無機系着色顔料を含み(ただし、前記Dのうち、「脂肪酸ビスアミドとアルキル置換型の脂肪酸モノアミド」(D−2)から選ばれる少なくとも一種の含有量が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.3質量%を超える場合を除く)、
    前記D−1が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.15質量%で、前記D−3が前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.01〜0.6質量%で、前記Eが前記熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1〜0.4質量%であることを特徴とする耐塩素性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の耐塩素性樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする耐塩素性熱可塑性成形品。
  4. 請求項1または2記載の耐塩素性樹脂組成物を用いて得られることを特徴とするベルト。
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