JP5906492B2 - 耐アルカリ性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分とから構成される熱可塑性ポリウレタン樹脂の組成を特定し、添加剤(耐アルカリ性改善剤)として脂肪酸エステルおよび亜鉛化合物から選ばれた少なくとも一種を用いることによって得られる耐アルカリ性熱可塑性樹脂組成物およびそれによって得られる耐アルカリ性熱可塑性成形品に関する。
耐アルカリ性を向上させる技術が多数公開されているが、例えば特開2007−186598号公報(特許文献1)では、エーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合が耐アルカリ性を有することが開示されている。
また、耐水性を付与(向上)する方法として、添加剤として滑剤である脂肪酸エステルについて、例えば特開2005−320528号公報(特許文献2)では、可食性インキを例えばスクリーン印刷に使用する場合の配合として、グリセリン脂肪酸エステル35〜65重量%と、天然多糖類および水の総量5〜35重量%と、食用色素10〜20重量%と、食用乾性油および乳化剤の総量10〜20重量%の配合の技術が開示され、グリセリン脂肪酸エステルを用いて耐水性を向上する技術が開示されている。
そして、その脂肪酸エステルの一例であるモンタン酸化合物については、特開2000−212294(特許文献3)において、機械特性、耐熱性、疲労特性、寸法安定性、耐薬品性、耐候性、表面外観に優れた自動車用部品の技術として、熱可塑性ポリエステルに例えばモンタン酸化合物含む物質を配合する強化ポリエステル樹脂組成物に関する技術が開示され、その添加量は、熱可塑性ポリエステル100重量部に対して、0.001〜5重量部を配合するものである。
一方、例えば特開2011−36995号公報(特許文献4)では、ナノチューブ構造の製造方法において、基板上に堆積される耐酸性・耐アルカリ性の高い導電金属材料または半導体材料から選択されるシード層において、当該耐酸性・耐アルカリ性の高い導電金属材料または半導体材料が、アルミ亜鉛酸化物、インジウム・亜鉛酸化物、ガリウム・亜鉛酸化物または酸化亜鉛から選択されるものであると開示されている。そして、前記シード層の厚さは100から500ナノメートル(nm)の間が望ましいとされている。
特開2007−186598号公報 特開2005−320528号公報 特開2000−212294号公報 特開2011−36995号公報
熱可塑性樹脂、とりわけ熱可塑性ポリウレタン樹脂(以後、TPUという)やそれを用いた成形品においては、耐久性に関する特性である「耐加水分解性(耐水性)、耐熱性、対変色性、耐摩耗性、耐屈曲性、耐薬品性(耐アルカリ性など)、耐油性、耐候性、抗菌防カビ性、硬度・物性保持性など」を求められている。
その中の耐アルカリ性について、特許文献1の技術は、ポリウレタン系樹脂において、その構成成分であるポリオールとして、エーテルタイプ、カーボネートタイプが耐アルカリ性に有効であることを示しているが、それは一般的に開示したに過ぎず、段落0078、段落0079に示す通りTPUに求められる機械的性質を満足するための組成面の好ましい範囲を示していなかった。
また、耐加水分解性(耐水性)については、特許文献2において、耐水性に優れた可食性インキの配合としてグリセリン脂肪酸エステルを構成成分として用いているが、特に耐アルカリ性に優れているということは明らかではなく、添加剤のように単体として用いて効果を発現させたり機能を付与する技術ではなく、TPUに使用できる技術としては汎用性に欠けるものであった。
そして、特許文献3の技術は、モンタン酸化合物を用いているが、それが前記の耐アルカリ性および耐加水分解性に効果があるものかは特定できず、特に耐アルカリ性に優れているかについては明らかではなかった。
そして、特許文献4の技術では、亜鉛化合物または酸化亜鉛が耐アルカリ性に効果があることが開示されているが、導電金属材料または半導体材料用としての「アルミ亜鉛酸化物、インジウム・亜鉛酸化物、ガリウム・亜鉛酸化物または酸化亜鉛」のように他の金属との複合体(組合せ)としての効果の開示であり、添加剤のように単体として用いて効果を発現させたり機能を付与する技術ではなく、TPU分野で効果があることは明らかではなかった。また、耐加水分解性に効果があるかについては明らかではなかった。
そこで、本発明者らは、TPUおよびそれを用いた成形品において、前記の耐久性に関する特性のうち「耐加水分解性(耐水性)、耐アルカリ性」の向上に取り組み、実用に供することのできるTPUとして、TPUの組成を規定し、添加剤(耐アルカリ性改善剤)を選択することによって、前記の問題点を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000の、ポリカプロラクトンジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカーボネートジオールから選択される少なくとも一種を含み、鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物を含み、イソシアネート成分(C)として有機ジイソシアネートを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して、脂肪酸エステル及び/または酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、水酸化亜鉛、フッ化亜鉛、オレ イン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、燐酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、バレリアン酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛から選択される少なくとも一種の亜鉛化合物を含む耐アルカリ性改善剤(D)を用いた熱可塑性樹脂組成物の耐アルカリ性改善方法であって、脂肪酸エステルを熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.001〜1.0質量%および/または当該亜鉛化合物を熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.01〜3.0質量%含むことを特徴とする当該熱可塑性樹脂組成物の耐アルカリ性改善方法。である。
そして本発明は、耐アルカリ性改善剤を、熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.001〜4.0質量%含有している。
さらに本発明は、耐アルカリ性改善剤として、脂肪酸エステルを熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.001〜1.0質量%含有している。
段落0013に記載のように、本発明において、亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、水酸化亜鉛、フッ化亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、燐酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、バレリアン酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛が好ましい。
さらに本発明は、耐アルカリ性改善剤として、脂肪酸エステルおよび亜鉛化合物を合計で熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.011〜2.8質量%含有している。
段落0013に記載の耐アルカリ性改善方法により得られる熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる熱可塑性成形品を製造することによる、熱可塑性成形品の耐アルカリ性改善方法である。
本発明によって、TPU組成の特定により耐アルカリ性を有するTPUの実用上使用可能な範囲を特定し、さらに耐アルカリ性を有する添加剤(耐アルカリ性改善剤)の使用により、耐久性に関する特性である「耐加水分解性、耐アルカリ性」を有した熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
特に、耐加水分解性についてはTPU組成の特定によって耐水性を付与することができるので、耐アルカリ性改善剤の一つである滑剤の添加量を従来技術よりも減ずることができ、少量でも耐加水分解性を発現させることができる。その結果、ブリード等による成形品の外観や表面性等の不良が起こらず、外観や表面性等の良好な成形品が得られる。
本発明の耐アルカリ性樹脂組成物は、TPUを構成する成分として、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分との組み合わせからなり、それを構成するジオール成分は、数平均分子量750〜3000の高分子ジオール(A)および数平均分子量=60〜300の鎖延長剤(B)を含む。
高分子ジオール(A)は、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有するジオールであって、数平均分子量が750〜3000、好ましくは800〜2000、より好ましくは1000〜2000である。
高分子ジオール(A)の数平均分子量が750未満であると、TPUのウレタン基濃度が相対的に高くなり過ぎるために未溶融物が発生したり、TPU溶融物が高粘度化したりして加工時に成形不良を起こし、外観不良になるおそれがある。また、硬度、100%モジュラス、引張強さ、引裂強さは高くなるものの、伸びが低下し、熱可塑性樹脂本来の特性である柔軟性や可とう性を生かすことができない。
一方、高分子ジオール(A)の数平均分子量が3000を超えると、ウレタン基濃度が相対的に低くなり過ぎるために、所期の物性が得られず、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物の成形品の耐加水分解性、耐アルカリ性が不十分となる。
なお、高分子ジオール(A)の数平均分子量は、JIS K 7252−3(プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第3部:常温付近での方法)に準拠して測定することができる。
このような高分子ジオール(A)としては、耐加水分解性に優れたものが好ましく、具体的には、ポリラクトンジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含有する。
そして、これらのポリラクトンジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールは、高分子ジオール(A)の好ましくは質量基準で90%以上、より好ましくは100%を占めることが好ましい。
ポリラクトンジオール類としては、段落0032から段落0035に記載の低分子ジオール、低分子アミノアルコール、二官能タイプの低分子グリコールエーテル類等の単独又は2種以上の混合物を開始剤として、カプロラクトン、バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、さらには、それらに段落0026、段落0027に記載のポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールと共重合したポリラクトン系ジオールなどを挙げることが出来る。
上記の中でも特に、ポリカプロラクトンジオールが好ましい。
ポリエーテルジオール類としては、鎖延長剤として使用し得る、段落0032から段落0035に記載の低分子ジオール類、低分子アミノアルコール類、二官能タイプの低分子グリコールエーテル類等の単独又は2種以上の混合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、アミレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマー単品又は混合物を公知の方法により付加重合することで得られるものを挙げることが出来る。
上記の中でも、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。
ポリカーボネートジオール類としては、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオ−ル類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジエチレンカーボネート等との脱アルコール反応、脱フェノール反応等で得られるものを挙げることが出来る。さらには、それらに段落0025、段落0026に記載のポリラクトンジオール、ポリエーテルジオールと共重合したものを挙げることが出来る。上記の中でも、ジオール類として1,6−ヘキサンジオールから得られるものが好ましい。
また、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(プロピレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンイソフタレート)ジオールなどのポリエステルジオールを併用しても構わない。
本発明の鎖延長剤(B)は、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有する活性水素含有化合物であって、以下に説明するように、数平均分子量が60〜300、好ましくは60〜200である。
鎖延長剤の数平均分子量が60未満であると、TPUのウレタン基濃度が相対的に高くなり過ぎるために未溶融物が発生したり、TPU溶融物が高粘度化したりして加工時に成形不良を起こし、外観不良になるおそれがある。また、硬度、100%モジュラス、引張強さ、引裂強さは高くなるものの、伸びが低下し、熱可塑性樹脂本来の特性である柔軟性や可とう性を生かすことができにくくなる。
一方、鎖延長剤の数平均分子量が300を超えると、ウレタン基濃度が相対的に低くなり過ぎるために、所期の物性が得られず、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物の成形品の特長である耐加水分解性、耐アルカリ性が不十分となる。
本発明の鎖延長剤(B)としては、例えば低分子ジオール類、低分子アミノアルコール類、二官能タイプの低分子グリコールエーテル類を用いることができる。
低分子ジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲であれば、1−デカノール、1−ドデカノール、ステアリルアルコール、1−ドコサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のような官能基数が1の活性水素化合物やグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール等の官能基数が2より大きい活性水素化合物も併用することができる。
低分子アミノアルコール類としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。また、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲であれば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等も使用することができる。
二官能タイプの低分子グリコールエーテル類としては、例えば、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−ポリオキシエチレン−オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ポリオキシプロピレン−オキシフェニル)プロパン、ジメチロールヘプタンエチレンオキサイド付加物、ジメチロールヘプタンプロピレンオキサイド付加物のようなグリコールエーテル等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
本発明のジオール成分における「鎖延長剤(B)」と高分子ジオール(A)の配合割合は、高分子ジオール(A)の活性水素基モル数に対する鎖延長剤(B)の活性水素基モル数」の比([鎖延長剤(B)の活性水素基モル数]/[高分子ジオール(A)の活性水素基モル数]=R′値)が、TPUのハードセグメント量の指標であり、物性発現を左右するという観点から、R′値は、好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.3〜12である。
また、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物は、TPUを構成するイソシアネート成分(C)として、熱可塑性樹脂本来の特性である柔軟性や可とう性を生かすために有機ジイソシアネートを含む。
具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等およびこれらの異性体からなる芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等を用いることができる。また、これらの化合物と活性水素基含有化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物、あるいは、これらの化合物自体の反応、例えばウレトジオン化反応、イソシアヌレート化反応、カルボジイミド化反応等によるポリイソシアネート変成体等も用いることができる。
これらのジイソシアネートのうち、硬度や物性、耐熱性等の向上の面からジフェニルメタンジイソシアネートが、耐候性、柔軟性の向上の面からは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
本発明において、ジオール成分の全活性水素基モル数に対するイソシアネート成分の全イソシアネート基モル数の比([全イソシアネート基モル数]/[全活性水素基モル数]=R値)は、TPUの分子量や粘度を好ましい範囲に調整するという観点から、好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2である。
そして、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物は、耐アルカリ性改善剤(D)として、脂肪酸エステル(D−1)と亜鉛化合物(D−2)から選ばれた少なくとも一種を含む。
本発明の耐アルカリ性樹脂組成物において、耐アルカリ性改善剤(D)として用いる脂肪酸エステル(D−1)としては、具体的には、モンタン酸のエステルワックスおよびモンタン酸の部分ケン化エステルワックス、カルナバワックス、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリルステアレート、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス等を挙げることができる。具体的な製品名としては、クラリアントジャパン株式会社製のリコワックスE(モンタン酸のエステルワックス)、リコワックスOP(モンタン酸の部分ケン化エステルワックス)、東洋ペトロライト株式会社製のカルナバワックス等を挙げることができる。
脂肪酸エステル(D−1)の添加量は、混合不良、ブリードの発生による外観不良、機械的物性の低下の点から、TPUに対して0.001〜1.0質量%とすることが好ましく、より好ましくは、0.001〜0.8質量%である。
0.001質量未満では、耐加水分解性だけでなく耐アルカリ性、そして滑り性が不足し本発明の効果が得られない。一方、1.0質量%より多い場合は、混合不良、ブリードの発生による外観不良、機械的物性の低下が起こりやすくなり、好ましくない。
本発明での脂肪酸エステル(D−1)の添加量は、特許文献3で開示された添加量よりも相対的に少なくすることができる。
本発明の耐アルカリ性樹脂組成物において耐アルカリ性改善剤として用いる亜鉛化合物(D−2)としては、具体的には、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、水酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、フッ化亜鉛、沃化亜鉛、乳酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、燐酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、珪酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、バレリアン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛、及びそれらの組合せからなる群を挙げることができる。
亜鉛化合物(D−2)の添加量は、TPUに対して0.01〜3.0質量%とすることが好ましく、より好ましくは、0.01〜2.0質量%である。
0.01質量未満では、耐加水分解性だけでなく耐アルカリ性が不足し本発明の効果が得られない。一方、3.0質量%より多い場合は、混合不良、ブリードの発生による外観不良、機械的物性の低下が起こりやすくなり、好ましくない。
耐アルカリ性改善剤「D−1」と耐アルカリ性改善剤「D−2」は、個々に使用しても耐アルカリ性を発現するが、両者を併用すればより一層耐アルカリ性が発現する。そして、その際、個々に使用するよりも相対的に使用量を低くできる効果も期待できるので、ブリードの発生による外観不良、機械的物性の低下が起こりにくくなる。
耐アルカリ性改善剤「D−1」、耐アルカリ性改善剤「D−2」の添加方法としては、TPUに対して、それぞれ前記記載の量を直接添加する方法以外に、予め高濃度のマスターバッチを作成しておき、そのマスターバッチを濃度換算してTPUに混合する方法も用いることができる。
本発明でいう「耐アルカリ性」は、アルカリ性を有する物質に対する耐久性(例えば物性保持率)のことをさすが、例えばアルカリ珪酸塩水溶液に対する耐久性を挙げることができる。アルカリ珪酸塩水溶液としては、例えば珪酸カリウムの水溶液や、一般式としてNaO・nSiOで表わされる珪酸ナトリウム(珪酸ソーダ)の水溶液を主成分とするものであり、例えば、酸化ナトリウムを5〜20質量%および二酸化珪素を20〜40質量%を含有する水溶液が好ましい。具体的には、JIS1号ケイ酸ソーダ、JIS2号ケイ酸ソーダ、JIS3号ケイ酸ソーダ、4号ケイ酸ソーダ等(いずれも東曹産業株式会社製)等が挙げられる。
また、耐アルカリ性を発現させるためには前記のように、アルカリ性発現物質が通常、水溶性のため、それに対する耐久性、すなわち耐加水分解性(耐水性)が必要である。
その耐加水分解性の発現に関しては、本発明のTPUを構成する高分子ジオール(A)は段落0024に記載の通り耐加水分解性が好ましいが、耐アルカリ性改善剤(D)についても耐水性、すなわち水への溶解度の低いタイプが好ましい。
具体的には、本発明での脂肪酸エステル(D−1)は、滑剤(ワックス)でもあることから水に溶解しない。例えば、リコワックスOP(モンタン酸の部分ケン化エステルワックス(クラリアントジャパン株式会社製)は水に対して極めて難溶である(同社の平成12年7月3日付製品安全データシートによる)。また、カルナバワックス(東洋ペトロライト株式会社製)も水に対して不溶である(同社の2005年7月15日付製品安全データシートによる)。
そして、亜鉛化合物(D−2)については、例えば酸化亜鉛は水には不溶であり(化学工業日報社刊「15308の化学商品」2008年1月22日発行)、硫化亜鉛は水に難溶で(出典は前記と同じ)、さらに水酸化亜鉛は水にはほとんど溶けない(純正化学株式会社発行の水酸化亜鉛の安全データシートによる)。
上記のように、本発明で用いる耐アルカリ性改善剤(D)は、水への溶解度が低いため有機性のTPUに吸着され、水への溶出も少ないことから、本発明で得られる耐加水分解性を有する樹脂組成物には好適である。
本発明の耐アルカリ性樹脂組成物を構成するTPUは、公知のTPUの製造方法、例えば、ワンショット法、プレポリマー法、バッチ反応法、連続反応法、ニーダによる方法、押出機による方法等により得ることができる。特に、押出機による方法では、単軸〜多軸スクリュー型押出機を用いると生産性が高くなり好ましい。
そして、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物は、前記製造方法によって、フレーク、ペレット、パウダー、グラニュール、ロッド、シート、ブロック等の形状として個々に得られる。
例えば、上記のようにして得られた粉末状またはブロック状のような固形物を粉砕してフレーク状のものを得たり、それを押出機に供給して、通常のTPUを押し出す温度(約150〜220℃)で溶融混練後、ストランドカットまたは水中カットによりペレット形状のものを得ることができる。
また、ニーダによる方法では、ニーダに高分子ジオール(A)と鎖延長剤(B)と耐アルカリ性改善剤(D)を仕込み、撹拌下、100℃に加温後、イソシアネート(C)を投入し、10〜120分反応させ、冷却することにより粉末状またはブロック状のTPUを製造することができる。なお、これらの方法においては、必要に応じ触媒や耐アルカリ性改善剤を添加することができる。
前記のTPU製造時の触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)等のアミン類、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等の有機金属類、トリブチルホスフィン、ホスフォレン、ホスフォレンオキサイド等のリン系化合物が挙げられる。なお、これらの化合物はそれぞれ単独で用いることができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。
特に、スズ系触媒については、高分子ジオール(A)の質量に対して0.5〜30ppmの割合で用いるとTPUを比較的短時間で製造することができる。
また、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物の重合過程または重合後に、本発明で開示している以外に、必要に応じて、TPUを製造する際に通常使用されている熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、耐熱性向上剤、耐候性改良剤、反応性遅延剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、導電付与剤、抗菌剤、防カビ剤、着色剤、無機および有機充填剤、繊維系補強材、結晶核剤などの各種耐アルカリ性改善剤を適宜加えることもできる。
本発明の耐アルカリ性樹脂組成物の成形は、一般に用いられているTPUの成形方法が適用でき、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、真空成形、遠心成形、回転成形、カレンダー加工、ロール加工、プレス加工等の方法で成形できる。
本発明の耐アルカリ性樹脂組成物の成形品は、例えば家屋の内装材、通信ケーブル、工業用ケーブル、自動車、各種車両内装材、家電用品、装飾品等屋内外の幅広い分野に用いることができる。
例えば、押出成形関係では、高圧ホース、塗装用ホース、消防ホース、医療用チューブ、油・空圧チューブ、散水用チューブなどのホース・チューブ類;コンベアーベルト、エアーマット、ダイヤフラム、キーボードシート、合成皮革、ライフジャケット、ウェットスーツ、ホットメルト、フレキシブルコンテナーなどのフィルム類;電力、通信ケーブル、コンピュータ配線、自動車配線、各種カールコードなどの電線・ケーブル類;各種ロープ、丸ベルト・Vベルトなどの各種駆動ベルト、スリップ止め、タイミングベルト、視線誘導標などのその他の分野に用いることができる。
射出成形関係では、ボールジョイント、ダストカバー、ペダルストッパー、ドアーロックストライカー、ブッシュ、スプリングカバー、軸受、防振部品、内・外装部品などの自動車部品;各種ギアー、シール材、パッキン類、防振部品、ピッカー、ブッシュ、軸受、キャップ、コネクター、ラバースクリーン、印字ドラムなどの機械・工業部品;野球・ゴルフ・サッカーシューズ等のスポーツシューズのソール及びポイント、婦人靴トップリフト、スキー靴、安全靴などの靴関連部品;ローラー、キャスター、グリップ、時計バンド、イヤータッグ、スノーチェーン、シュノーケル、足ヒレなどのその他の分野に用いることができる。
カレンダー加工関係では、コンベアーベルト、フレキシブルコンテナー、フィルム、ラミネート品などの分野に用いることが出来る。ブロー成形関係では、各種自動車・車両用ブーツ、各種容器類に、インフレーション成形関係では、薄肉・広幅フィルム類に用いることが出来る。
さらに、TPUを溶剤に溶解して溶液として使用するタイプとしては、バインダー、接着剤、合成皮革、ロープ・ワイヤ・手袋等の各種コーティングなどの分野にも用いることができる。
実施例および比較例
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1〜18,比較例1〜14
(試料の作製)
撹拌機と温度計の付いた反応容器に、高分子ジオール(A)、鎖延長剤(B)、耐アルカリ性改善剤(D)、酸化防止剤(イルガノックス1010)および紫外線吸収剤(チヌビンP)を表1〜表5に記載の量を均一に混合した。
得られた混合液を100℃に加熱した後、イソシアネート成分(C)を表1〜表5に記載の量を加え、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を80℃の電気炉で16時間熟成させ、冷却した後、固形物を粉砕しフレーク状のTPUを得た。
得られたフレーク状のTPUを押出機でストランドを押出し、カッターを用いてペレットを作製した。得られたペレットを220〜230℃で射出成形して厚さ2mmのシートを作製し、これを105℃で16時間、アニール後、実施例1〜15および比較例1〜14の試料とした。
また、表1〜表5の使用原料は以下のとおりである。
<A(高分子ジオール)>
*プラクセル220UA
ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量=2000)、株式会社ダイセル製
*PTMG650:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=650)、三菱化学株式会 社製
*PTMG850:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=850)、三菱化学株式会 社製
*PTMG1000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=1000)、三菱化学株式 会社製
*PTMG2000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=2000)、三菱化学株式 会社製
*ニッポラン980:
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量=2000)、日本ポリウ レタン工業株式会社製
*ニッポラン4009
ポリ(ブチレンアジペート)ジオール(数平均分子量=1000)、日本ポリウレタン工業株式会社製
*サンニックスPP−4000
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=4160)、三洋化成工業株式会 社製
<B(鎖延長剤)>
*1,4−BG:
1,4−ブタンジオール(数平均分子量=90)、三菱化学株式会社製
*1,6−HG:
1,6−ヘキサンジオール(数平均分子量=118)三菱化学株式会社製
*サンニックスPP−200
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=200)、三洋化成工業株式会社 製
*サンニックスPP−400
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=400)、三洋化成工業株式会社 製
<C(イソシアネート成分)>
*MDI:
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社製
*HDI:
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社製
<D(耐アルカリ性改善剤)>
*リコワックスOP:
モンタン酸の部分ケン化エステルワックス(クラリアントジャパン株式会社製)
*カルナバワックス:
カルナバワックス(東洋ペトロライト株式会社製)
*酸化亜鉛
和光純薬工業株式会社製
*硫化亜鉛
和光純薬工業株式会社製
*水酸化亜鉛
純正化学株式会社製
<安定剤>
*イルガノックス1010:
酸化防止剤(BASF社製)
*チヌビンP:
紫外線吸収剤(BASF社製)
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(特性試験)
上記手順で作製した成形品としての射出成形シートについて、以下に説明するように各種特性を試験評価した。得られた結果を表6〜表9に示す。
(1)機械的性質
[硬さ(JIS−A硬度)]
[100%モジュラス(引張応力、MPa)]
[引張強さ(MPa)]
[伸び(%)]
[引裂強さ(kN/m)]
射出成形シートをJIS K 7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)に記載の測定方法に従って測定した。実用上備えるべき性質は以下のとおりである。
[硬さ(JIS−A硬度)]
JIS−A硬度は、実用上、56以上であることが望ましい。
[100%モジュラス(引張応力、MPa)]
実用上、3.0MPa以上であることが望まれる。
[引張強さ(MPa)]
実用上、12MPa以上であることが望まれる。
[伸び(%)]
実用上、400%以上であることが望まれる。
[引裂強さ(kN/m)]
実用上、60kN/m以上であることが望まれる。
(2)耐加水分解性
射出成形シートを用いて、JIS K7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)で規定されているダンベル形状に打ち抜き、試験片とした。試験片を70℃の温水に60日間浸漬し、引張試験機を使用して引張強さを測定した。試験前のシート物性(100%モジュラス)と比較し、その保持率によって耐加水分解性を以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:保持率90%以上
A:保持率90%未満70%以上
B:保持率70%未満50%以上
C:保持率50%未満
(3)耐アルカリ性
射出成形シートを用いて、JIS K7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)で規定されているダンベル形状に打ち抜き、試験片とした。試験片をJIS1号ケイ酸ソーダ(東曹産業株式会社製)中に、80℃の環境下で200時間静置し、引張試験機を使用して引張強さを測定した。試験前のシート物性(100%モジュラス)と比較し、その保持率によって耐アルカリ性を以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:保持率90%以上
A:保持率90%未満70%以上
B:保持率70%未満50%以上
C:保持率50%未満
(4)耐ブロッキング性
射出成形シートから10cm角の10枚のシートを切り出した。その10枚のシートを重ね合わせて測定用サンプルとし、同じ面積の底部を有する金属製おもり(1kg)を乗せて、40℃、90%RHに調整された湿熱オーブン中で1週間保管した。
以下の基準で評価し、Aを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
A:取り出したサンプルにシート同士の貼り付きが見られない。
B:取り出したサンプルの一部にシート同士の貼り付きが見られる。
C:取り出したサンプルの全体に(全枚数が全面にわたり)シート同士の貼り付きが 見られる。
(5)外観
射出成形シート表面の状態を目視および触感によって、気泡、塊、異物、クラック、膨潤、ブリード等の有無の程度によって良否を評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:良好
A:わずかに不良
B:不良部分が過半
C:ほぼ全面が不良
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Figure 0005906492
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本発明の耐アルカリ性樹脂組成物は、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分とから構成されるTPUと耐アルカリ性改善剤から得られる。
その組成物において、TPUを構成するジオール成分の種類と分子量を限定し、鎖延長剤の分子量を特定し、イソシアネート成分として有機ジイソシアネートを用い、特にジオール成分として耐加水分解性および耐アルカリ性に優れた高分子ジオールを用いているので耐加水分解性および耐アルカリ性に優れている。
また、耐アルカリ性改善剤として脂肪酸エステルおよび亜鉛化合物の少なくともいずれかを用いているので、その添加効果からも耐加水分解性および耐アルカリ性に優れている。また、添加量を少なくすることができるので、外観に優れている。
従って、本発明の耐アルカリ性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、カレンダー成形等によって成形される屋内外の各種分野における耐加水分解性および耐アルカリ性が必要となる用途に有用であり、それに適する成形品も提供することができる。

Claims (1)

  1. 高分子ジオール(A)として数平均分子量=750〜3000の、ポリカプロラクトンジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカーボネートジオールから選択される少なくとも一種を含み、鎖延長剤(B)として数平均分子量=60〜300の活性水素化合物を含み、イソシアネート成分(C)として有機ジイソシアネートを含む熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して、脂肪酸エステル及び/または酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、水酸化亜鉛、フッ化亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、燐酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、バレリアン酸亜鉛、ウンデシル酸亜鉛から選択される少なくとも一種の亜鉛化合物を含む耐アルカリ性改善剤(D)を用いた熱可塑性樹脂組成物の耐アルカリ性改善方法であって、脂肪酸エステルを熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.001〜1.0質量%および/または当該亜鉛化合物を熱可塑性ポリウレタン樹脂中に0.01〜3.0質量%含むことを特徴とする当該熱可塑性樹脂組成物の耐アルカリ性改善方法。
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