JP5568716B1 - 防汚性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の熱可塑性ポリウレタン樹脂と特定のアルコキシシラン縮合物を用いることによって、成形加工性、防汚性および耐加水分解性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】防汚性と耐加水分解性に優れた熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂とアルコキシシラン縮合物とから得られる。前記熱可塑性ポリウレタン樹脂は、数平均分子量=800〜3000のポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含む高分子ジオール、数平均分子量=60〜300のジオールである鎖延長剤および有機ジイソシアネートを含む。アルコキシシラン縮合物は特定の構造を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、「ジオール成分と有機ジイソシアネート成分とから構成される熱可塑性ポリウレタン樹脂」(以下、「TPU」と略称する)とアルコキシシラン縮合物とから得られる防汚性(または耐汚染性)樹脂組成物の製造方法およびそれによって得られる樹脂組成物に関する。
防汚性に関しては、特に塗料分野において、建築外装用建材、道路用資材、自動車等の車両、航空機等に使用される上塗り塗料に関して、排気ガスに含まれているカーボン状物質やタール状物質等による汚染や大気中の塵埃や汚染物質を含んだ雨水による汚染が問題視されている。
それに対する解決策の一つとして、アルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを用いる方法が防汚性に優れたものとして公知であり、例えば、特開平11−181334号公報(特許文献1)において、「フィルム形成性樹脂、アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物、及び、大きさが0.1〜40μmである無機骨材(1)及び粒径が0.01〜30μmである有機高分子粒子(2)からなる群より選択される少なくとも1種の骨材を含んでなる塗料組成物」の技術が開示されている。
一方、テトラメトキシシランなどの縮合物をTPU組成物に使用する技術としては、例えば特開2007−186617号公報(特許文献2)において、「熱可塑性ポリウレタンエラストマーとポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットとを含む熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物」が開示されている。
この技術において、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、および/または、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタンと、ケイ酸エステルとを混合して得られるものである。ここで、ケイ酸エステルは、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシランの縮合物、テトラエトキシシラン、及びテトラエトキシシランの縮合物からなる群より選ばれるものである。
また、アルコキシシラン化合物を熱可塑性樹脂分野で使用する場合には、成形加工時に離型性を確保する必要があるが、例えば国際公開WO2006/011385(特許文献3)では、「脂肪酸またはその金属塩、ワックス、高級アルコール等の滑剤、シリコーンオイル等の離型剤を配合することが一般的とされているが、滑剤を配合する方法は複雑な形状の場合には離型性が充分ではない場合があり、また、シリコーンオイルを配合する方法は離型性の改良は期待できるが成形品の透明性を著しく低下させる問題があるとして、オルガノシロキサンとアルコキシシランから得られる特定のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体によって透明性を低下させずに離型性を大きく改良できる」との技術が開示されている。
特開平11−181334号公報 特開2007−186617号公報 国際公開WO2006/011385号公報
しかし、特許文献1の技術は、フィルム形成性樹脂が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または常温硬化性樹脂であるものの、用途が塗料組成物であり、ホース、チューブ、シート、合成皮革、各種工業部品(ベルト等)、自動車部品(ダストカバー、パッキン)等の成形品用としてのTPUにおける防汚性向上の技術としては、適当ではなかった。
また、同公報の技術は、防汚性付与のためアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を利用するもので、親水性が発現するが、その親水性発現によりフィルム形成性樹脂が加水分解するおそれがあった。
特許文献2の技術は、TPU組成物に関するものであるが、高い弾性率、良好な破断伸び、高耐熱性に優れ、比重の上昇を抑えることを目的とするものであり、防汚性に関するものではなかった。
また、同公報の技術は、アルコキシシランの縮合物をポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの構成成分として用いるものだが、親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタンとの組合せであり、TPU自体に親水性を持たせる技術であった。
特許文献3の技術は、成形品の離型性と透明性は確保できるものの、ブリード等による成形品の「外観や表面性等」(以下、外観等と略称する)の不良を起こすことが懸念され完全な技術ではなかった。
本発明は、防汚性付与目的でアルコキシシラン縮合物を熱可塑性樹脂分野、とりわけTPU組成物において使用する場合の問題点を解決するものであって、具体的には、成形品表面が親水性になることによる成形品の加水分解が起こらず、成形時の離型性を確保しつつ、さらには例えば「TPUの固形物の粉砕時に付着しない状態でフレークを得たり、またペレットを得る場合においてストランドをカットする際のカット性の向上や得られたペレット同士の付着が起こらず」(以下、「非粘着性」という)、さらにブリード等による成形品の外観等の不良も起こさない。このように、本発明は、防汚性、耐加水分解性および外観等に優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法およびそれによって得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、前記の問題点が解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、高分子ジオール(A)、鎖延長剤(B)、イソシアネート(C)およびアルコキシシラン縮合物(D)とから得られる熱可塑性樹脂組成物であって、前記高分子ジオール(A)が数平均分子量=800〜3000のポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含み、前記鎖延長剤(B)が数平均分子量=60〜300の活性水素化合物で、イソシアネート(C)が有機ジイソシアネートで、アルコキシシラン縮合物(D)が下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン縮合物であり、当該アルコキシシラン縮合物(D)の配合量が当該熱可塑性樹脂組成物に対して0.1〜5.0質量部である防汚性熱可塑性樹脂組成物の製造方法が当該防汚性熱可塑性樹脂組成物に対して少なくとも0.1質量%以上の水分が存在する工程を含み、当該防汚性熱可塑性樹脂組成物を成形し、硬さ(JIS−A硬度)が56〜98の成形品を得る当該成形品の製造方法。
−O−[Si(OR−O]−R (1)
(式中、R、R及びRは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜2の脂肪族炭化水素基であり、nは、2〜16の整数である。)
さらに本発明は、前記の製造方法によって得られる防汚性熱可塑性成形品である。
本発明によって得られる防汚性樹脂組成物は、アルコキシシランの縮合物の加水分解による親水性発現を利用するもので、それにより防汚性が発現する。
すなわち、特定の組成のアルコキシシラン縮合物を用い、一定量以上の水分の存在下での製造過程を経ることにより加水分解を促進して親水性を発現させて防汚性を達成するものである。
さらに、本発明で得られる防汚性樹脂組成物は、特定の組成のアルコキシシランの縮合物を用い、使用量の最適化を図っているので、例えば特許文献3で例示するような成形加工時の離型性が良好であるだけでなく、非粘着性を発現させることが出来、さらに、ブリード等による成形品の外観等の不良も起こさない。
そのため、製造時や成形時には、わざわざワックスを用いることなく、仮に用いたとしても少量で済ませることができ、ホース、チューブ、シート、合成皮革、各種工業部品(ベルト等)、自動車部品(ダストカバー、パッキン)等として成形する際に作業性が良好となるだけでなく、外観等の良好な成形品が得られる。
一方、本発明で得られる樹脂組成物は特定の組成のTPUを用いているので耐加水分解性に優れるため耐久性にも優れている。
本発明の防汚性樹脂組成物は、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分とを反応させて得たTPUと、アルコキシシラン縮合物とを含有する。
本発明において、TPUを構成するジオール成分は、数平均分子量800〜3000の高分子ジオール(A)と数平均分子量=60〜300の鎖延長剤(B)とを含む。
高分子ジオールは、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有するジオールであって、以下に説明するように、数平均分子量が800〜3000、好ましくは800〜2000、より好ましくは1000〜2000である。
高分子ジオール(A)の数平均分子量が800未満であると、TPUのウレタン基濃度が相対的に高くなり過ぎるためにTPU溶融物が高粘度化し、TPUとアルコキシシラン縮合物から得られる防汚性樹脂組成物の加工時に成形不良を起こすことが懸念され、また、アルコキシシラン縮合物との相溶性が低下し、その結果、ブリード等による成形品の外観等の不良を引き起こすことが懸念される。また、硬度、100%モジュラス、引張強さ、引裂強さは高くなるものの、伸びが低下し、熱可塑性樹脂本来の特性を生かすことができない。
一方、高分子ジオール(A)の数平均分子量が3000を超えると、ウレタン基濃度が相対的に低くなり過ぎるために、所期の物性が得られず、本発明の防汚性樹脂組成物の成形品の耐久性(耐加水分解性、硬度・物性保持性等)が不十分になることが懸念される。
なお、高分子ジオール(A)の数平均分子量は、JIS K 7252−3(プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第3部:常温付近での方法)に準拠して測定することができる。
このような高分子ジオール(A)としては、所期の耐加水分解性を実現するために、ポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含有する。これらのポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールは、高分子ジオール(A)の好ましくは質量基準で90%以上、より好ましくは100%を占めることが好ましい。
ポリエーテルジオール類としては、鎖延長剤として使用し得る、後述する低分子ジオール類、低分子アミノアルコール類、低分子グリコールエーテル類等の単独又は2種以上の混合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、アミレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマー単品又は混合物を公知の方法により付加重合することで得られるものが挙げられる。具体例としては、水酸基を両末端に持ったポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
ポリカーボネートジオール類としては、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオ−ル類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジエチレンカーボネート等との脱アルコール反応、脱フェノール反応等で得られるものが挙げられる。
本発明の鎖延長剤(B)は、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有する活性水素化合物であって、以下に説明するように、数平均分子量が60〜300、好ましくは60〜200である。
鎖延長剤の数平均分子量が60未満であると、TPUのウレタン基濃度が相対的に高くなり過ぎるためにTPU溶融物が高粘度化し、TPUとアルコキシシラン縮合物から得られる防汚性樹脂組成物の加工時に成形不良を起こすことが懸念され、また、アルコキシシラン縮合物との相溶性が低下し、その結果、ブリード等による成形品の外観等の不良を引き起こすことが懸念される。また、硬度、100%モジュラス、引張強さ、引裂強さは高くなるものの、伸びが低下し、熱可塑性樹脂本来の特性を生かすことができにくくなる傾向がある。
一方、鎖延長剤の数平均分子量が300を超えると、ウレタン基濃度が相対的に低くなり過ぎるために、所期の物性が得られず、防汚性樹脂組成物の成形品の耐久性(耐加水分解性、硬度・物性保持性等)が不十分になることが懸念される。
本発明の鎖延長剤は、両末端にイソシアネート基と反応する水酸基を有するジオールが好ましく、例えば低分子ジオール類、低分子アミノアルコール類、低分子グリコールエーテル類を用いることができる。
低分子ジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲であれば、1−デカノール、1−ドデカノール、ステアリルアルコール、1−ドコサノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のような官能基数が1の活性水素化合物やグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール等のような官能基数が2より大きい活性水素化合物も併用することができる。
低分子アミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
低分子グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
ジオール成分における鎖延長剤(B)と高分子ジオール(A)の配合割合は、高分子ジオールの活性水素基モル数に対する鎖延長剤の活性水素基モル数の比([鎖延長剤の活性水素基モル数]/[高分子ジオールの活性水素基モル数]=(R′値))が、TPUの物性発現を左右するハードセグメント量をコントロールするという観点から、好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.3〜12である。
本発明においては、TPUを構成するイソシアネート成分(C)として、熱可塑性樹脂本来の特性を生かすために有機ジイソシアネートを用いる。
具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等およびこれらの異性体からなる芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等を用いることができる。また、これらの化合物と活性水素基含有化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物、あるいは、これらの化合物の反応、例えばカルボジイミド化反応等によるポリイソシアネート変成体等も用いることができる。
これらのジイソシアネートのうち、硬度や物性、耐熱性等の向上の面からジフェニルメタンジイソシアネートが、耐候性、柔軟性の向上の面からは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
本発明において、TPUを構成するジイソシアネート成分の使用量に関し、ジオール成分の全活性水素基モル数に対するジイソシアネート成分の全イソシアネート基モル数の比([全イソシアネート基モル数]/[全活性水素基モル数]=(R値))は、TPUの分子量や粘度を好ましい範囲に調整するという観点から、好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2である。
本発明で使用されるアルコキシシラン縮合物(D)は、下記一般式(1)で表される化合物であり、TPUに親水性および防汚性を付与する役割を果たすものである。
−O−[Si(OR−O]−R(1)
(式中、R、R及びRは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜2の
脂肪族炭化水素基であり、nは、2〜16の整数である。)
上記一般式(1)において、R、R及びRは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜2の脂肪族炭化水素基であり、炭素原子数が1の方がアルコキシシラン縮合物の加水分解性が高いので、より好ましい。炭素原子数が2より大きいと、アルコキシシラン縮合物の加水分解性が低下するため好ましくない。
また、上記一般式(1)において、nは2〜16の整数であり、好ましくは3〜10である。nが2より小さいと、防汚性、親水性が不足して本発明の効果が得られない。また、nが16より大きいと、TPUに対する相溶性や溶解性が低下して当該アルコキシシラン縮合物のブリード等による成形品の外観等の不良を引き起こすだけでなく、段落0046〜段落0047で説明するようにクラックが生じるので好ましくない。本発明の防汚性樹脂組成物の製造に用いるアルコキシシラン縮合物(D)は、1種単独であってよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の樹脂組成物が親水性と防汚性を発現するためには、アルコキシシラン縮合物(D)の使用量が、TPUの100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、0.2〜3.0質量部がより好ましい。このアルコキシシラン縮合物(D)の使用量が0.1質量部未満の場合は、樹脂組成物の親水性と防汚性が不足する。また、使用量が5.0質量部より多いと、後述するようにクラックや収縮が起こりやすくなり、またブリード等による成形品の外観等の不良を起こしたり、親水性が高まり過ぎて、樹脂組成物が膨潤するおそれがある。
また、本発明の樹脂組成物が親水性と防汚性を発現するためには、アルコキシシラン縮合物(D)が加水分解縮合して親水性を発現する必要があり、そのためには水分の存在が必要である。
本発明では、熱可塑性樹脂組成物に対して少なくとも0.1質量%以上の水分が存在すれば良い。0.1質量%未満の場合は、加水分解が不足して親水性が発現しにくくなり、防汚性も不足する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造工程において、加水分解のための水分の存在形態または環境としては、特に限定されず、空気中の湿気、水添加、水噴霧などを挙げることができ、さらには、例えば押出成形の際にストランドを水中冷却する工程での水を利用しても良い。
このような水との接触以外に、例えば、下記のように水と触媒を加え、加水分解、縮合反応によって生じるアルコールを除去することによっても得られる。
アルコキシシラン縮合物の加水分解縮合に用いられる触媒としては特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ触媒;有機金属;金属アルコキシド;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合物;ほう素ブトキシド、ほう酸等のほう素化合物等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明で得られる樹脂組成物の貯蔵安定性の点から、有機酸、金属キレート化合物およびほう素化合物のなかから1種又は2種以上を使用することが好ましい。
上記触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、通常、アルコキシシラン縮合物(D)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。より好ましくは、0.5〜5.0質量部である。
また、アルコキシシラン縮合物(D)は、加水分解によりSi−OH基(シラノール基)を発現するが、このシラノール基は活性水素基を有している。そのため、TPUを構成するイソシアネート(C)の有機ジイソシアネートと一部反応する可能性があり、本発明の防汚性樹脂組成物の硬さ、耐久性(耐加水分解性、硬度・物性保持性等)を向上させる効果も期待できる。
ところで、「アルキルシリケートが多く含まれるほど、またアルキルシリケートの加水分解反応が進むほど、塗膜表面が親水化されるが、塗膜表面にクラックを生じやすい」(TECHNO−COSMOS 2007 Mar.Vol.20、9〜15ページ)ことから、アルコキシシラン縮合物をTPU分野で用いる際にも、上記のような欠点を回避する必要がある。すなわち、TPU組成物にアルコキシシラン縮合物を無作為に用いることは、熱可塑性樹脂本来の特性を阻害する恐れがあるので、TPU組成物およびアルコキシシラン縮合物の最適化を図る必要がある。
そのためには、本発明の防汚性樹脂組成物を成形して得られる成形品の硬さ(JIS−A硬度)は、98以下(JIS−D硬度で測定すれば53以下)が好ましく、また、前記のようにアルコキシシラン縮合物(D)の使用量をTPUの100質量部に対して5.0質量部以下にすることが好ましく、段落0038で示すようにアルコキシシラン縮合物(D)のnは16を超えると好ましくない。
一方、硬さ(JIS−A硬度)が56未満(JIS−D硬度で測定すれば13未満)の場合は、成形加工時の離型性が悪化するだけでなく、例えばペレットとして得る場合において、ストランドをカットする際にカットしにくくなり、得られたペレット同士の付着が起こりやすくなるため、アルコキシシラン縮合物(D)の使用量を増やす必要があるが、ブリード等による成形品の外観等の不良が起こり好ましくない。
上記のことから、本発明の防汚性樹脂組成物を成形して得られる成形品の硬さ(JIS−A硬度)は、56〜98が好ましい。なお、本発明で言う硬さとは、JIS K 7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)で規定する硬さを言い、具体的にはJIS K 7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に規定するタイプAデュロメータ(その測定値を「JIS−A硬度」と称する)を用いる。この試験機による硬さが95以上のときはJIS K 7215に規定するタイプDデュロメータ(その測定値を「JIS−D硬度」と称する)を用いる。すなわち、JIS−A硬度が95未満はJIS−A硬度で表示し、95以上の硬さの場合はJIS−D硬度で表示するが、本発明では対比のため前記のようにJIS−D硬度でも測定して表記した。
本発明の防汚性樹脂組成物を構成するTPUは、公知のTPUの製造方法、例えば、ワンショット法、プレポリマー法、バッチ反応法、連続反応法、ニーダによる方法、押出機による方法等により得ることができる。特に、押出機による方法では、単軸〜多軸スクリュー型押出機を用いると生産性が高くなり好ましい。
例えば、ニーダによる方法では、ニーダに高分子ジオール(A)、鎖延長剤(B)およびアルコキシシラン縮合物(D)を仕込み、撹拌下、80℃に加温後、イソシアネート(C)を投入し、10〜120分反応させ、冷却することにより粉末状またはブロック状のTPUを製造することができる。なお、これらの方法においては、必要に応じ触媒を添加することができる。
また、アルコキシシラン縮合物(D)を、前記TPUを製造する際の原料、例えば高分子ジオール成分およびまたはイソシアネート成分に配合し均一に混合した後に前記方法に従って反応させても得ることができる。
前記のTPU製造時の触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)等のアミン類、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等の有機金属類、トリブチルホスフィン、ホスフォレン、ホスフォレンオキサイド等のリン系化合物が挙げられる。なお、これらの化合物はそれぞれ単独で用いることができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。
特に、スズ系触媒については、高分子ジオール(A)の質量に対して0.5〜30ppmの割合で用いるとTPUを比較的短時間で製造することができる。
また、本発明の防汚性樹脂組成物の重合過程または重合後に、必要に応じてTPUを製造する際に通常使用されている熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、耐熱性向上剤、耐候性改良剤、反応性遅延剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、導電付与剤、防黴剤、着色剤、無機および有機充填剤、繊維系補強材、結晶核剤などの各種添加剤を適宜加えることもできる。
本発明の防汚性樹脂組成物の成形は、一般に用いられているTPUの成形方法が適用でき、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、真空成形、遠心成形、回転成形、カレンダー加工、ロール加工、プレス加工等の成形方法で成形できる。
そして、本発明の防汚性樹脂組成物は、前記成形方法によって、フレーク、ペレット、パウダー、グラニュール、ロッド、シート、ブロック等の形状として個々に得られる。
例えば、上記のようにして得られた粉末状またはブロック状のような固形物を粉砕してフレーク状のものを得たり、それを押出機に供給して、通常のTPUを押し出す温度(約150〜220℃)で溶融混練後、ストランドカットまたは水中カットによりペレット形状のものを得ることができる。
本発明の防汚性樹脂組成物の成形品は、例えば家屋の内装材、通信ケーブル、工業用ケーブル、自動車、各種車両内装材、家電用品、装飾品等屋内外の幅広い分野に用いることができる。
例えば、押出成形関係では、高圧ホース、塗装用ホース、消防ホース、医療用チューブ、油・空圧チューブ、散水用チューブなどのホース・チューブ類;コンベアーベルト、エアーマット、ダイヤフラム、キーボードシート、合成皮革、ライフジャケット、ウェットスーツ、ホットメルト、フレキシブルコンテナなどのフィルム類;電力、通信ケーブル、コンピュータ配線、自動車配線、各種カールコードなどの電線・ケーブル類;各種ロープ、丸ベルト・Vベルトなどの各種駆動ベルト、スリップ止め、タイミングベルト、視線誘導標などのその他の分野に用いることができる。
射出成形関係では、ボールジョイント、ダストカバー、ペダルストッパー、ドアーロックストライカー、ブッシュ、スプリングカバー、軸受、防振部品、内・外装部品などの自動車部品;各種ギアー、シール材、パッキン類、防振部品、ピッカー、ブッシュ、軸受、キャップ、コネクター、ラバースクリーン、印字ドラムなどの機械・工業部品;野球・ゴルフ・サッカーシューズ等のスポーツシューズのソール及びポイント 、婦人靴トップリフト、スキー靴、安全靴などの靴関連部品;ローラー、キャスター、グリップ、時計バンド、イヤータッグ、スノーチェーン、シュノーケル、足ヒレなどのその他の分野に用いることができる。
カレンダー加工関係では、コンベアーベルト、フレキシブルコンテナー、フィルム、ラミネート品などの分野に用いることが出来る。ブロー成形関係では、各種自動車・車両用ブーツ、各種容器類に、インフレーション成形関係では、薄肉・広幅フィルム類に用いることが出来る。
さらに、TPUを溶剤に溶解して溶液として使用するタイプとしては、バインダー、接着剤、合成皮革、ロープ・ワイヤ・手袋等の各種コーティングなどの分野にも用いることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1〜18,比較例1〜13
(試料の作製)
撹拌機と温度計の付いた反応容器に、高分子ジオール(A)、鎖延長剤(B)、酸化防止剤(イルガノックス1010)、紫外線吸収剤(チヌビンP)およびアルコキシシラン縮合物(D)を表1〜表5に記載の量を均一に混合した。
得られた混合液を100℃に加熱した後、イソシアネート(C)を表1〜表5に記載の量を加え、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を80℃の電気炉で16時間熟成させ、冷却した後、固形物を粉砕しフレーク状のTPUを得た。
そして、得られたTPUの水分率を測定し、所定の水分率になるよう水分を添加して、室温で密閉容器に3日保管した後、その水分率(質量%)を測定した。
得られたフレーク状のTPUを80℃の電気炉で16時間乾燥した後、押出機でストランドを押出し、カッターを用いてペレットを作製した。得られたペレットを220〜230℃で射出成形して厚さ2mmのシートを作製し、これを105℃で16時間、アニール後、実施例1〜18および比較例1〜13の試料とした。
なお、表1〜表5に、TPUとアルコキシシラン縮合物(D)の仕込み量(質量部)および前記水分添加工程における水分率(質量%)を示した。また、実施例14においては、その水分添加と同時に表2に記載の触媒を添加して加水分解、縮合反応を促進させた。
また、表1〜表5の使用原料は以下のとおりである。
<A(高分子ジオール)>
*PTMG650:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=650)、三菱化学株式会社製
*PTMG850:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=850)、三菱化学株式会社製
*PTMG1000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=1000)、三菱化学株式会社製
*PTMG2000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量=2000)、三菱化学株式会社製
*ニッポラン981:
ポリカーボネートジオール(数平均分子量=1000)、日本ポリウレタン工業株式会社製
*ニッポラン4009
ポリエステルジオール(数平均分子量=1000)、日本ポリウレタン工業株式会社

*サンニックスPP−4000
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=4160)、三洋化成工業株式会社製
<B(鎖延長剤)>
*1,4−ブタンジオール(数平均分子量=90)、三菱化学株式会社製
*1,6−ヘキサンジオール(数平均分子量=118)三菱化学株式会社製
*サンニックスPP−200
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=200)、三洋化成工業株式会社製
*サンニックスPP−400
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量=400)、三洋化成工業株式会社製
<C(イソシアネート化合物)>
*MDI:
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社製
*HDI:
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社製
<D(アルコキシシラン縮合物)>
*MS51:
三菱化学株式会社製 MKCシリケート「MS51」、炭素原子数=1、n=5
*MS56S:
三菱化学株式会社製 MKCシリケート「MS56S」、炭素原子数=1、n=19
*ES40:
コルコート株式会社製 エチルシリケート40、炭素原子数=2、n=5
*ES48:
コルコート株式会社製 エチルシリケート48、炭素原子数=2、n=10
*PS1000:
テトラプロピオキシシランを公知の方法により加水分解することによって得た。すなわち、当該アルコキシシランに所定量の水を加えて酸触媒の存在下に、副生するアルコールを留去しながら60℃で反応させて液状のアルコキシシラン縮合物を得た。そして、真空蒸留によって、モノマーを0.3%以下になるまで除去した。炭素原子数=3、n=6
*PS2000:
テトラプロピオキシシランを公知の方法により加水分解することによって得た。すなわち、当該アルコキシシランに所定量の水を加えて酸触媒の存在下に、副生するアルコールを留去しながら60℃で反応させて液状のアルコキシシラン縮合物を得た。そして、真空蒸留によって、モノマーを0.3%以下になるまで除去した。炭素原子数=3、n=20
<触媒>
*パラトルエンスルホン酸:和光純薬工業株式会社製
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(特性試験)
上記手順で作製した試料(射出成形シート)について、以下に説明するように各種特性を試験評価した。得られた結果を表6〜表10に示す。
(1)機械的性質
[硬さ(JIS−A硬度、JIS−D硬度)]
[100%モジュラス(引張応力、MPa)]
[引張強さ(MPa)]
[伸び(%)]
[引裂強さ(kN/m)]
射出成形シートをJIS K 7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)に記載の測定方法に従って測定した。実用上備えるべき性質は以下のとおりである。
[硬さ(JIS−A硬度、JIS−D硬度)]
JIS−A硬度は、実用上、56以上であることが望まれ、それをJIS−D硬度で測定すると13以上になるので、JIS−D硬度では13以上が望ましい。
[100%モジュラス(引張応力、MPa)]
実用上、1.4MPa以上であることが望まれる。
[引張強さ(MPa)]
実用上、12MPa以上であることが望まれる。
[伸び(%)]
実用上、300%以上であることが望まれる。
[引裂強さ(kN/m)]
実用上、40kN/m以上であることが望まれる。
(2)防汚性
(i)汚染性試験1
射出成形シート上に、約2mL容量のポリスポイトで吸い上げた「JX日鉱日石エネルギー株式会社製の工業用ギヤー油ボンノックM」を1摘ずつ合計で5カ所垂らした。
室温で5分間放置後、ウエスでふき取り、射出成形シートの表面状態を目視で以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:しみこみが全くなし
A:部分的にしみこみあり
B:しみこみ部分が過半
C:全面的にしみこみあり
(ii)汚染性試験2
JIS K 7219(プラスチック−直接屋外暴露、アンダーグラス屋外暴露及び太陽集光促進屋外暴露試験方法)に従って射出成形シートを屋外暴露にかけて、JIS K 7362(プラスチック−アンダーグラス屋外暴露、直接屋外暴露又は実験室光源による暴露後の色変化及び特性変化の測定方法)およびJIS Z 8730(色の表示方法−物体色の色差)に従って、開始時と6ケ月経過後の明度差(ΔL)から下記の式にて防汚性変化率(%)を求め、以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
防汚性変化率(%)
=〔(試験開始時の明度−6ケ月経過後の明度)/試験開始時の明度〕×100
ランク:内容
AA:10%未満
A:10%以上30%未満
B:30%以上50%未満
C:50%以上
(3)親水性
(i)水接触角
上記で得られた射出成形シートの水接触角(度)をJIS R 3257(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)を参考にして測定した。その値が小さいほどシート面に対する水の濡れ性が高いことを示し、すなわち親水性が高いことを示す。
(ii)親水性変化率
上記と同様に、射出成形シートを屋外暴露にかけて、開始時と6ケ月経過後の水接触角(度)から下記の式にて親水性変化率(%)を求め、以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
親水性変化率(%)
=〔(6ケ月経過後の水接触角−試験開始時の水接触角)/試験開始時の水接触角〕×100
ランク:内容
AA:10%未満
A:10%以上30%未満
B:30%以上50%未満
C:50%以上
(4)ブリード特性
射出成形シートの表面の状態を目視および触感によって、以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:なし
A:少しあり
B:やや多い
C:多い
(5)外観
射出成形シート表面の状態を目視によって、気泡、塊、異物、クラック等の有無の程度によって良否を評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:良好
A:部分的に不良
B:不良部分が過半
C:ほぼ全面が不良
(6)耐加水分解性
射出成形シートを用いて、JIS K7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)で規定されているダンベル形状に打ち抜き、試験片とした。試験片を70℃の温水に60日間浸漬し、引張試験機を使用して引張強さを測定した。試験前のシート物性(100%モジュラス)と比較し、その保持率によって耐加水分解性を以下の基準で評価し、AAおよびAを合格とし、BおよびCを不合格とした。
ランク:内容
AA:保持率90%以上
A:保持率90%未満70%以上
B:保持率70%未満50%以上
C:保持率50%未満
(7)離型性
前記段落0063において試料を得る際に、バットからの脱型しやすさの程度について、以下の基準で評価し、Aを合格とし、Bを不合格とした。
ランク:内容
A:良好
B:不良
(8)非粘着性
前記段落0065において試料を得る際に、カッターによるストランドのカットのしやすさ、カッターを用いて得たペレット同士の付着しにくさの程度について、以下の基準で評価し、Aを合格とし、Bを不合格とした。
ランク:内容
A:良好
B:不良
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本発明の防汚性樹脂組成物は、ジオール成分と有機ジイソシアネート成分とから構成されるTPUとアルコキシシラン縮合物とから得られる。その組成物においては、TPUを構成するジオール成分の種類と分子量を限定し、鎖延長剤の分子量を特定し、イソシアネートとして有機ジイソシアネートを用いている。また、クラック等の防止、成形加工時の離型性の確保や例えばペレットとして得る場合の付着防止および成形品の外観等の維持のために、アルコキシシラン縮合物の構造と使用量を特定し、本発明で得られる成形品の硬さを規定している。このため、本発明の防汚性樹脂組成物は、離型性不良や付着等の問題もなく成形加工でき、得られた成形品は良好な外観を有して、防汚性だけでなく優れた耐久性、特に耐加水分解性を有する。従って、本発明の防汚性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、カレンダー成形等によって成形される屋内外の各種分野において、汚染性が問題となる用途および耐久性(耐加水分解性、硬度・物性保持性等)を要求される用途に有用である。

Claims (2)

  1. 高分子ジオール(A)、鎖延長剤(B)、イソシアネート(C)およびアルコキシシラン縮合物(D)とから得られる熱可塑性樹脂組成物であって、前記高分子ジオール(A)が数平均分子量=800〜3000のポリエーテルジオールとポリカーボネートジオールの少なくとも一種を含み、前記鎖延長剤(B)が数平均分子量=60〜300の活性水素化合物で、イソシアネート(C)が有機ジイソシアネートで、アルコキシシラン縮合物(D)が下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン縮合物であり、当該アルコキシシラン縮合物(D)の配合量が当該熱可塑性樹脂組成物に対して0.1〜5.0質量部である防汚性熱可塑性樹脂組成物の製造方法が当該防汚性熱可塑性樹脂組成物に対して少なくとも0.1質量%以上の水分が存在する工程を含み、当該防汚性熱可塑性樹脂組成物を成形し、硬さ(JIS−A硬度)が56〜98の成形品を得る当該成形品の製造方法。
    −O−[Si(OR−O]−R (1)
    (式中、R、R及びRは、互いに、同一又は異なって、炭素原子数1〜2の脂肪族炭化水素基であり、nは、2〜16の整数である。)
  2. 請求項1の製造方法によって得られる防汚性熱可塑性成形品
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