JPWO2015063888A1 - 光学ガラス素材、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズ、並びに、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズの製造方法 - Google Patents

光学ガラス素材、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズ、並びに、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学レンズを製造する際に、プレス成形後の研磨用ガラスレンズブランクの取り代量を十分に低減でき、研削・研磨に要する加工時間を短縮できる光学ガラス素材、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズ、並びに、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズの製造方法を提供すること。【解決手段】 少なくとも主表面がプレス成形面であって、主表面の中央部に形成される欠陥含有層90aの厚みが50μm以下である研磨用ガラスレンズブランク2b。【選択図】図1

Description

本発明は、光学ガラス素材、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズ、並びに、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズの製造方法に関する。
光学レンズ(以下、単に「レンズ」ということがある。)の製造方法の一つとして、光学ガラス素材(以下、単に「ガラス素材」ということがある。)をリヒートプレス(Reheat Press)し、成形後の研磨用ガラスレンズブランク(以下、単に「レンズブランク」ということがある。)を研削・研磨加工してレンズを得る方法が知られている。
具体的には、熔融ガラスを型に流し込んで、角状または板状のガラス素材(いわゆる、ガラスブロック)を作製し、次にこのガラスブロックを機械加工で切り出し、立方体形状に細分化したガラス素材(いわゆる、カットピース)を作製する。次いで、各カットピースの重量を均等化するとともに表面に離型剤を付着しやすくするために、粗研磨加工(バレル研磨)を行う。その後、粗研磨加工したカットピースを再加熱して軟化させ、軟化したガラスをプレス成形して、目的とするレンズの形状に近似したレンズブランクを成形する。最後に、そのレンズブランクを研削・研磨してレンズを製造する方法である。
この方法は、ガラス種の異なる板状ガラスブロックを予め複数製作し、保管でき、必要に応じて所望のガラス種の板状ガラスブロックを所望の数量・体積に切り出してプレス加工できるので、多品種少量生産に適している。
しかしながら、この方法では、カットピースを軟化する際の加熱により、その角部が結晶化しやすく、さらにガラスの軟化に伴って結晶化した角部がガラス内部へと折り込まれる問題があった(以下、「折れ込み部」ということがある。)。このような折れ込み部は、得られるレンズブランクに深い表面欠陥(例えば、300μm以上の折れ込み)を形成する要因となっていた。
また、この方法では、粗面研磨加工時に、カットピースが研磨用加工液と接触することによりその表面のガラス成分が変質するとともに、加工時のカットピース同士の衝突によりクラックが生じる問題があった。このような、カットピースの表面におけるガラス成分の変質やクラックは、軟化時からプレス成形時の加熱によりガラス表面に結晶化が起こる(ひいては、レンズブランク表面に欠陥が形成される)、あるいは、プレス成形後のレンズブランク表面のうねりが大きくなる等の要因となっていた。
一般に、レンズを製造する場合には、レンズブランクの表面を研削・研磨することで、レンズブランクの表面に形成された欠陥を除去するとともに凹凸のない平滑な面を形成する必要がある。
そのため、上述のようにレンズブランクの深部まで表面欠陥が及んでいる場合や、表面のうねりが大きい場合には、レンズブランクの表面を深く削る(取り代量を多く取る、例えば取り代量を500μm以上とする)必要があり、研削・研磨に要する時間が長くなるとともに、材料の無駄も生じ、生産コストが増す問題があった。
一方、研削・研磨の際の取り代量を少なくとすると、特に、レンズブランクの表面欠陥が深部まで及んでいる場合、欠陥を十分に除去できず、レンズの表面に欠陥が残ってしまう。このような欠陥が残ったレンズは不良品となり、良品率が低下する問題があった。
そのため、プレス成形後のレンズブランクを研削・研磨してレンズを作製するにあたっては、レンズの良品率を低下させることなく、レンズブランクの取り代量を低減することが求められていた。
また、最近では、特許文献1(特許第3806288号公報)に示すように、下記に示す工程で研磨用ガラスレンズブランクを製造する方法が提案されている。
すなわち、この方法では、ノズルから供給される熔融ガラスを成形型で受けて成形してガラス塊を得る工程と、ガラス塊の表面を粗面研磨加工する工程と、ガラス塊の表面に粉末状の離型剤を形成する工程と、ガラス塊を再加熱してプレス成形する工程とを有する。
この方法は、ガラス素材として多数のガラス塊を製造し、在庫として保管できるため、注文に応じて、同じ形状の複数のガラス塊から、異なった成形面を有する複数の成形型を用いてプレス成形でき、多品種生産に適している。
また、この方法では、ガラス塊の表面において、カットピースのような角張った部分の発生を抑えられるので、次工程の再加熱工程において折れ込み部を生じることなく成形できる。そのため、折れ込み部に起因して発生するレンズブランクの深部にまで至るような表面欠陥は防止できる。
しかしながら、この方法においても、上記の製法と同様に、粗面研磨加工が行われている。そのため、得られるレンズブランクの表面には全体的に表面欠陥が形成されており、未だ十分な取り代量を設定する必要があり、取り代量の大幅な低減には至っていなかった。
このように、いずれの従来技術でも、レンズブランクの取り代量を十分に低減できず、研削・研磨に要する時間も十分に短縮できていなかった。
そのため、プレス成形後の研磨用ガラスレンズブランクを研削・研磨してレンズを作製する場合には、研削・研磨に要する加工時間が、レンズの全体工程の約半分程度を占めており、加工時間の短縮が求められていた。
特許第3806288号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、レンズを製造する際に、プレス成形後の研磨用ガラスレンズブランクの取り代量を十分に低減でき、研削・研磨に要する加工時間を短縮できる光学ガラス素材、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズ、並びに、研磨用ガラスレンズブランクおよび光学レンズの製造方法を提供することである。
本発明者は、プレス成形後の研磨用ガラスレンズブランクの研削・研磨に要する加工時間を短縮することについて鋭意検討した結果、本発明に係る光学ガラス素材をプレス成形して得られた研磨用ガラスレンズブランクを用いることで、研削・研磨する際の取り代量を大幅に低減できることを初めて見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 少なくとも主表面がプレス成形面であって、上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である研磨用ガラスレンズブランク。
[2] 上記中央部は、上記主表面の外周よりも内側の領域であり、
上記中央部の半径は、上記主表面の半径の3分の2以下である上記[1]に記載の研磨用ガラスレンズブランク。
[3] 台形状を成し、互いに平行である第1の主面および第2の主面と、
上記第1の主面および第2の主面の短辺同士をつなぐ第1の側面と
上記第1の主面および第2の主面の長辺同士をつなぐ第2の側面と、
上記第1の側面と上記第2の側面とをつなぎ、上記第1の側面と成す角度がいずれも鈍角である2つの傾斜面とを有し、
上記第1の側面および上記2つの傾斜面が、成形面である光学ガラス素材。
[4] 上記第2の側面が、自由表面である上記[3]に記載の光学ガラス素材。
[5] 上記第1および第2の主面が、切断面である上記[3]または[4]に記載の光学ガラス素材。
[6] 上記第1および第2の主面間の距離が、上記第1の側面と上記第2の側面との間の距離よりも短い上記[3]〜[5]のいずれかに記載の光学ガラス素材。
[7] 上記第1および第2の主面間の距離が、上記第1の側面と上記第2の側面との間の距離よりも長い上記[3]〜[5]のいずれかに記載の光学ガラス素材。
[8] 上記[6]に記載の光学ガラス素材を大気雰囲気中で再加熱して軟化させ、軟化した上記光学ガラス素材をプレス成形することにより形成された研磨用ガラスレンズブランク。
[9] 少なくとも主表面がプレス成形面であって、上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である上記[8]に記載の研磨用ガラスレンズブランク。
[10] 上記[8]または[9]に記載の研磨用ガラスレンズブランクを研削および研磨することにより形成された光学レンズ。
[11] 鋳型内に、熔融ガラスを連続して鋳込み、鋳込まれたガラスを上流側から下流側へ一方向に移動させながら連続して断面台形の光学ガラス素材を成形する光学ガラス素材成形工程と、
上記光学ガラス素材を、長手方向と直交する方向に切断して、小片化する切断工程と、
上記切断工程で小片化した上記光学ガラス素材を、大気雰囲気下で10〜10dPa・sの粘度に再加熱する再加熱工程と、
上記再加熱工程で再加熱した上記光学ガラス素材を、プレス成形用の成形型で大気雰囲気下においてプレス成形して、ガラス成形品を得るプレス工程と、を備え、
上記ガラス成形品は、少なくとも主表面にプレス成形面を有し、
上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である、研磨用ガラスレンズブランクの製造方法。
[12] 上記切断工程で小片化した上記光学ガラス素材の表面、および上記再加熱工程の際に上記光学ガラス素材を配置する保持用凹部の少なくともいずれか一方に、離型剤を塗布する離型剤塗布工程をさらに有する、上記[11]に記載の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法。
[13] 上記離型剤塗布工程において、上記光学ガラス素材を配置する保持用凹部に離型剤を塗布した後、上記保持用凹部に上記光学ガラス素材を配置する、上記[11]または[12]に記載の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法。
[14] 上記[1]、[2]、[8]および[9]のいずれかに記載の研磨用ガラスレンズブランクに対して、球面研削加工およびスムージング加工(smoothing)を行い、スムージング加工では、金属ボンド砥石を用いることなく樹脂ボンド砥石を用いて加工を行い、光学レンズを得ることを特徴とする光学レンズの製造方法。
本発明によれば、レンズを製造する際に、プレス成形後の研磨用ガラスレンズブランクの取り代量を大幅に低減でき、研削および研磨に要する時間を、極端に短くできる。
図1(A)は本発明の一実施形態に係る光学ガラス素材(光学ガラス素材片)の斜視図、図1(B)は本発明の他の実施形態に係る光学ガラス素材(光学ガラス素材ブロック)の斜視図である。 図2は図1(A)および図1(B)に示す光学ガラス素材の製造工程を示す概略断面図である。 図3は図2に示すIII−III線に沿う概略断面図である。 図4(A)は本発明の一実施形態に係る熔融ガラスの対流状態を示す概略断面図、図4(B)は従来例に係る熔融ガラスの対流状態を示す概略断面図である。 図5は本発明の一実施形態に係る光学ガラス素材の切断工程を示す概略斜視図である。 図6(A)〜図6(E)は図1(A)に示すガラス素材を用いて研磨用レンズブランクを製造する工程を示す概略断面図である。 図7(A)は、本発明の一実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランクの形状の一例を示す側面図、図7(B)は、本発明の一実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランクの形状の一例を示す正面図である。 図8は、図7に示す研磨用ガラスレンズブランクの表面の一部断面で、研削工程および研磨工程により除去する部分を模式的に示した概略図である。 図9は、図7に示すブランクから光学レンズを製造する工程を示すフローチャート図である。 図10は、実施例および比較例に係る輝点観察の結果を示す図である。
<光学ガラス素材>
本発明の光学ガラス素材(以下、単に「ガラス素材」ということがある。)は、台形状を成し互いに平行である第1の主面および第2の主面と、上記第1の主面および第2の主面の短辺同士をつなぐ第1の側面と、上記第1の主面および第2の主面の長辺同士をつなぐ第2の側面と、上記第1の側面と上記第2の側面とをつなぎ、上記第1の側面と成す角度がいずれも鈍角である2つの傾斜面とを有し、上記第1の側面および上記2つの傾斜面が、成形面であることを特徴とする。
このようなガラス素材によれば、光学レンズ等のガラス光学素子を作製する際の取り代量を大幅に低減できるとともに、研削・研磨に要する時間を極端に短くできる研磨用ガラス光学素子ブランク(特に、研磨用ガラスレンズブランク等)を得ることができる。
以下、図1(A)および(B)に示す光学ガラス素材2および20を例に、本発明の一形態について説明する。なお、以下では、光学ガラス素材2と20とを区別するため、図1(A)に示す小片化された光学ガラス素材2を「光学ガラス素材片」と称し、図1(B)に示す長尺の光学ガラス素材20を「光学ガラス素材ブロック」と称することがある。
光学ガラス素材2
まず、図1(A)に示す光学ガラス素材片2(以下、単に「ガラス素材片2」ということがある。)を例に、本発明の一実施形態に係る光学ガラス素材について説明する。図1(A)に示すように、本発明の一実施形態に係るガラス素材片2は、台形状の第1の主面4と、この第1の主面4と平行で、同じ台形状の第2の主面6とを有する。
さらに、本実施形態のガラス素材片2は、第1の主面4の短辺と第2の主面6の短辺同士をつなぐ第1の側面8と、第1の主面4の長辺と第2の主面6の長辺同士をつなぐ第2の側面10と、を有する。
また、本実施形態のガラス素材片2は、第1の側面8と第2の側面10とをつなぎ、第1の側面8と成す角度θ1およびθ2がいずれも鈍角である2つの第1の傾斜面12および第2の傾斜面14を有する。角度θ1および角度θ2は、相互に同じであることが好ましいが、多少異なっていても良い。角度θ1および角度θ2は、それぞれ90度超〜135度であることが好ましく、100度〜130度であることがより好ましく、110度〜120度であることがさらに好ましい。なお、第1の傾斜面12と第1の側面8とが成す角部や、第2の傾斜面14と第1の側面8とが成す角部は、多少の丸みを帯びていてもよい。
本実施形態では、第1の側面8と、第1の傾斜面12および第2の傾斜面14が成形面である。また、好ましくは、第1の主面4および第2の主面6は、切断面であり、第2の側面10は、自由表面である。
ここで、成形面とは、成形型に接することにより形成される成形面である。また、自由表面とは、軟化したガラスが冷却過程で他の物体(固体、液体)に接することなく固化して形成された面である。さらに、切断面とは、ガラスを切断することによって形成された面である。
本実施形態では、第1の主面4と第2の主面6とは、Y−Z平面に平行である。第1の主面4および第2の主面における台形の短辺および長辺は、Y軸に平行である。また、Z軸は、台形の高さに対応する。なお、図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直である。
本実施形態のガラス素材片2は、好ましくは、第1の主面4と第2の主面6との間のX軸方向の距離L1(X軸方向厚み)が、第1の側面8と第2の側面10との間のZ軸方向の距離H1(Z軸方向高さ)よりも短い。このようなガラス素材片2は、所望の幅に小片化されているため取扱いが便利で、プレス加工等の加工処理が容易である。このような本実施形態のガラス素材片2は、プレス成形用ガラス素材として好適である。
本実施形態では、第1の側面8と第2の側面10との間の距離H1(Z方向の高さ)は、第1の側面8のY軸方向の長さW1または第2の側面10のY軸方向の長さW2との関係で決定され、下記の条件式(1)を満たすことが好ましい。
W1×0.8 ≦ H1 ≦ W2 ・・・(1)
なお、距離H1は、好ましくは25〜60mmであり、W1は、好ましくは20〜50mmであり、W2は、好ましくは35〜60mmである。
ガラス素材片2がこのような条件を満たすことで、高さと幅のバランスがとれ、ガラス素材片2を軟化もしくはプレス成形する際に取扱いが容易にある。
本実施形態では、ガラス素材片2を構成するガラスの材質としては、特に限定されず、(1)ガラス成分として少なくともP、OおよびFを含むフツリン酸塩系ガラス、(2)ガラス成分中に、B、Laが比較的多く含まれているホウ酸ランタン系ガラス、(3)ガラス成分中に、SiO、TiOが、比較的多く含まれているSiO−TiO系ガラス、(4)Pを主成分としてNb、Ti、Bi、およびWからなる易還元成分を含有するリン酸ニオブ系光学ガラスなどが例示される。
光学ガラス素材20
次に、図1(B)に示す光学ガラス素材ブロック20(以下、単に「ガラス素材ブロック20」ということがある。)を例に、本発明に係る光学ガラス素材について別の一形態を説明する。なお、以下に示す部分以外は、上述の一実施形態と同様な構成および作用効果を有し、重複する記載は一部省略する。
本発明のガラス素材は、図1(B)に示すガラス素材ブロック20であっても良い。本実施形態に係るガラス素材ブロック20と、上述の一実施形態で例示したガラス素材片2との違いは、第1の主面4と第2の主面6との間のX軸方向の距離L0の長さである。
好ましくは、本実施形態のガラス素材ブロック20は、第1の主面4と第2の主面6との間のX軸方向の距離L0が、第1の側面8と第2の側面10との間のZ軸方向の距離H1よりも長い。このようなガラス素材ブロック20は、まとまった一定の大きさで管理できるため、保管や移動に適している。
また、本実施形態のガラス素材ブロック20を、長手方向に直交する方向で切断して小片化すれば、必要なときに、所望の幅(L1)で、上述の一実施形態で例示したガラス素材片2を得ることができる。
<光学ガラス素材の製造方法>
次に、光学ガラス素材2および20の製造方法について説明する。
本実施形態に係る光学ガラス素材の製造方法は、好ましくは、鋳型内に、熔融ガラスを連続して鋳込み、鋳込まれたガラスを上流側から下流側へ一方向に移動させながら連続して断面台形のガラス素材を成形することを特徴とする。
図2および図3は、光学ガラス素材2(以下、単に「ガラス素材片2」という。)および光学ガラス素材20(以下、単に「ガラス素材ブロック20」という。)の製造装置を示す。図2および図3に示すように、この製造装置は、加熱熔融されたガラス20aを、固定鋳型32の注入開始位置に向けて流出させるノズル30を有する。
固定鋳型32は、底壁34と、底壁34における注入開始位置のX軸方向上流側に形成してある端壁36と、底壁34のY軸方向の両端からZ軸方向の上方に所定角度で傾斜して形成してある側壁38とを有する。固定鋳型32の上方は、Z軸の上方に開放してある。
固定鋳型32における底壁34と端壁36と側壁38とは、一体的に形成され、それらの間から熔融ガラスが漏れないように構成してあるが、これらは、必ずしも同一材質で構成する必要はなく、別部材で構成されても良い。固定鋳型32の材質としては、例えば鋳鉄、ステンレス、カーボン材、ニッケル材などが用いられる。
なお、固定鋳型32の内周面には、離型剤を塗布しても良い。固形化された後のガラス素材ブロック20を固定鋳型34から搬送ベルト40に移動させやすくするためである。離型剤としては、例えば、窒化ホウ素、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の粉末状離型剤が用いられる。
図3に示すように、底壁34に対する一対の側壁38の傾斜角度は、図1(A)に示す傾斜角度θ1およびθ2に対応する。また、底壁34の内底面からの側壁38のZ軸方向の高さH0は、図1に示すガラス素材片2(ガラス素材ブロック20も同じ)の高さH1よりも大きく、一対の側壁38,38間の最大開放幅W0は、ガラス素材片2(ガラス素材ブロック20も同じ)の最大幅W2よりも大きい。
本実施形態では、固定鋳型32をこのように構成することで、図4(A)に示すように、鋳込まれる熔融ガラス20aが傾斜する側壁38に沿って側壁近傍で小さく対流しながら成形されるため、広範囲の対流が生じることなく、ガラスの内部に脈理が発生しない。
これに対して、図4(B)に示す従来のように、底壁34aの底面に垂直な側壁38aを有する固定鋳型32aを用いてガラスを成形した場合、側壁38aに沿って広範囲の対流が生じ、ガラスの内部に脈理が発生する。
なお、図2では、端壁36は、底壁34に対して略垂直な角度で、底壁34に連結してあるが、端壁36も、側壁38と同様に、所定の傾斜角度で鈍角に傾斜させても良い。
図2に示すように、固定鋳型32のX軸方向下流側は、開放してあり、熔融ガラス20aは、固定鋳型32をX軸方向の下流側に移動するにしたがって、徐冷されて固まっていく。熔融ガラス20aが徐冷により固まっていき、それ自体で形状保持が可能な程度にまでガラス20aが固まっているX軸方向の下流位置では、X軸方向搬送装置としての搬送ベルト40が配置してあり、形状が保持できる程度に固形化されたガラス20aを、X軸方向のさらに下流側に搬送可能になっている。搬送ベルト40の上で搬送されるガラス20aは、所定温度以下(例えばTg以下)に冷えて固形化している。なお、搬送ベルト40によるX軸方向の移動速度は、特に限定されないが、例えば、10〜50mm/分程度である。
本実施形態では、ノズル30のX軸方向の直ぐ下流位置には、固定鋳型32の内部で、熔融ガラス20aの上面を押圧するローラ(図示省略)が配置してあっても良い。このローラを設けることで、ガラス20aの板厚(特に図1に示す高さH1)を一定にすることが容易になる。
また、本実施形態では、搬送装置40と連結された固定鋳型32とにまたがって、アニール装置(図示省略)を設置しても良い。アニール装置は、成形されたガラス20aを徐々に冷却することで歪みを除去する役割を有する。
搬送ベルト40により搬送された後のガラス素材ブロック20を図1(B)に示す。搬送後のガラス素材ブロック20をX軸方向に等間隔に切断することにより、図1(A)に示すガラス素材片2を得ることができる。
したがって、本実施形態に係るガラス素材片2の製造方法は、ガラス素材ブロック20を長手方向に直交する方向に切断する工程をさらに有することが好ましい。
図1(B)に示すガラス素材ブロック20の切断に際して用いられる切断具としては、特に限定されず、切断刃、ホィールカッター(wheel cutter)、ワイヤーソー(wire saw)などが用いられる。好ましくは、図5に示す切断装置(マルチワイヤーソー)70が用いられる。この切断装置70は、複数のワイヤーソー72が複数のローラ74の回転に伴って同時に高速走行する。そして、高速走行するワイヤーソー72を、ガラス素材ブロック20の第1側面8に押し付ければ、ガラス素材ブロック20は、ワイヤーソー72の配置間隔(X軸方向所定間隔)で均等の幅に切断される。
なお、切断装置70のワイヤーソー72により切断される面が切断面となる。切断されない第1の側面8、第1の傾斜面12および第2の傾斜面14が成形面であり、第2の側面10が自由表面である。前述したように、自由表面とは、軟化したガラスが冷却過程で他の物体(固体、液体)に接することなく固化して形成された面であり、成形面とは、成形型に接することにより成形された面であり、切断面とは、ガラスを切断することによって形成された面である。
本実施形態では、断面が台形の棒状のガラス素材ブロック20を成形し、最多で2回の切断により断面が台形のガラス片(ガラス素材片2)を作製する。これにより個々のガラス片の重量精度を極めて高めることできるとともに、表面変質の少ないガラス片を、材料ロスを抑えて得ることができる。すなわち、切断面以外は実質的に変質層を有さず、棒状のガラス素材ブロック20を等間隔で切断することにより、極めて重量精度の均一な台形のカットピースであるガラス素材片2が得られる。
なお、従来の断面が長方形の形状で幅が狭く細長い形状のガラス素材は、内部の対流による脈理が発生しやすく、脈理の発生を抑えるためにガラス流出速度を低速にしたり、ガラス素材の板厚を薄く(例えば、25mm以下に)したりする成形が必要であり経済的でなかった。
それに対して、本実施形態では、断面を台形形状にすることで、温度が低い底面の面積を減少させ対流の原動力である表面と底面の温度差の影響を低減させることができ、細い形状でも従来の幅広ガラス素材と同等の流出速度で整形が可能になる。また、ガラス素材の板厚(Z軸方向の高さH1)を、例えば25mm以上の厚さに成形できる。
また、本実施形態では、細長い形状のガラス素材ブロック20を作製することで、最多で2回の切断でガラス素材片2を切り出すことができ、4回以上の切断が必要とされた従来に比較して、大幅に重量精度を高めることができる。
このようにして得られたガラス素材片2は、従来のカットピースに比べて切断面が少ないため、重量バラつきが少なく、材料ロスを低減できる。また、ガラス素材ブロック20の製造工程において、重量管理を行うことで、重量バラつきをさらに低減でき、好ましくは±1%以内、より好ましくは±0.5%以内とすることができる。重量管理の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、固定鋳型32の大きさ、熔融ガラスの粘度や流出速度の調節、切断方法および装置の選択等が挙げられる。
さらに、リヒートプレス時に問題になる表面変質は、切断面の変質が助長するが、本実施形態に係るガラス素材片2では、切断面が少ないため変質が起こり難い。また、ガラス素材片2は、切断時で重量精度が高いため、バレル研磨による重量調整の必要がなく、切断面以外の面であって表面欠陥がほとんどない面(成形面、自由表面)の表面状態を維持できる。また、本実施形態に係る台形型ガラス片2は、主表面の中央部に稜部や角部がないため、リヒートプレスされたレンズブランクの中央部に折れ込み部が生じ難い。したがって、研削・研磨加工時の除去量を削減できるとともに、加工時間を短縮することができる。
本実施形態では、切断回数が少ないためホイールカッターなどの切断に変えて、図5に示すワイヤーソー72による高精度且つ高品質の切断も低コストで可能になり、切断面の変質を抑えることができる。
<研磨用ガラスレンズブランク>
本実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランクは、本実施形態に係る光学ガラス素材を、大気雰囲気中で再加熱して軟化させ、軟化した上記光学ガラス素材をプレス成形することにより形成される。
なお、このようなリヒートプレスに際しては、上述の切断方法にて、予め所定の大きさに小片化された光学ガラス素材(光学ガラス素材片2)を用いることが好ましい。
以下、図6を参照しながら、本実施形態に係る光学ガラス素材2(以下、単に「ガラス素材」ということがある。)をリヒートプレス(Reheat Press)して、研磨用ガラスレンズブランク(以下、単に「レンズブランク」ということがある。)を製造する方法を説明する。
図6(A)に示すように、保持用凹部52を有する受け皿(軟化盆)50にガラス素材2を供給する。このとき、素材2の第1の主面4または第2の主面6が受け皿50の凹部52に向くような姿勢で供給する。また、ガラス素材2と受け皿50との間には、窒化ホウ素等の離型剤が塗布されていることが好ましい。さらに、このとき、切断後のガラス素材2の表面状態を維持しつつ、離型剤を塗布することが好ましい。
次に、受け皿50と共にガラス素材2を加熱炉に投入して、大気雰囲気下にて再加熱し、ガラス素材2を10〜10dPa・sの粘度に軟化させ、図6(B)および図6(C)に示すように、所定形状に変形させる。
次に、図6(D)に示すように、軟化して両凸曲面形状に変形したガラス素材2aを、成形型で所望形状にプレス成形する。このプレス成形も大気中で行われる。成形型は、成形面を有する上型66と下型60と、これらを略同軸状に規制する環状の胴型64とからなり、予め加熱されている。また成形面にはガラスと型との融着を防ぐために離型剤(窒化ホウ素等)が塗布されている。
まず、軟化したガラス素材2aを、10〜10dPa・sの粘度を保ったまま、下型60の成形面62上に供給し、その直後に、胴型64に上型66を挿入する。図6(D)では、ガラス素材2aには上型66による荷重がかかっていないので、ガラス素材2aは図6(C)に示す形状を保っている。次いで、図6(E)に示すように、上型66を降下させてガラス素材2aを押圧し、ガラス素材2aを上下型の成形面形状に倣った形状にプレス成形して、レンズブランク2bを得る。
なお、図6において、(A)〜(C)を再加熱工程もしくは再軟化工程と称し、(D)〜(E)をプレス工程と称することができる。
また、レンズブランク2bの形状は、図6(E)に示すような凸面と凹面を有する形状の他、両凸形状、凸面と平面を有する形状、凹面と平面を有する形状、両凹形状など目的とする光学レンズ(以下、単に「レンズ」ということがある。)の形状に近似する形状であれば、特に限定されない。
なお、本実施形態に係るガラス素材2は、重量精度が高いので、ガラス素材を得てからリヒートプレス成形するまでの工程において、ガラス素材の重量調整のために表面を粗面化処理する工程(バレル研磨工程など)や研磨・研削工程を省略しても構わない。
好ましくは、本実施形態では、ガラス素材2を得てからプレス成形するまでの工程において、ガラス素材2の表面を粗面化処理する工程(バレル研磨工程など)を有さない。ガラス素材2について粗面化処理を行わないことにより、第1の主面4および第2の主面6表面状態を維持しながらプレス成形できるため、成形後のレンズブランクにおける表面欠陥の発生を有効に防止できる。
また、本実施形態に係るガラス素材2は、重量精度が高いので、一度に多数(例えば1000個以上)のガラスレンズブランクを作製した場合であっても、重量バラつきを抑えることができる。例えば、成形後のレンズブランクの重量バラつきは、±1.0%以下、場合によっては±0.5%以下である。
さらに、本実施形態に係る光学ガラス素材2は、従来のような立方体形状のカットピースと異なり、板状の光学ガラス素材(主面が台形のガラス片)であるために、軟化時に角部の折れ込みや、稜部(辺)の変質等の発生を抑えた(変質領域の薄い、研削・研磨代の少ない)レンズブランクを製造できる。
すなわち、本実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランクは、成形型によって形成された成形面、切断面および自由平面を有する光学ガラス素材2、すなわち第1の主面4と第2の主面6との間のX軸方向の距離L1(X軸方向厚み)が、第1の側面8と第2の側面10との間のZ軸方向の距離H1(Z軸方向高さ)よりも短いガラス素材を、リヒートプレス成形して得られた成形品である。
このような本実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランクは、少なくとも主表面がプレス成形面であって、上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下であることを特徴とする。
本実施形態において、欠陥含有層は、光学ガラス素材を粗研磨加工する際に生じたクラックや加工液と接触したことによるガラス成分が変質した部分、あるいは軟化時からプレス成形時に発生する結晶化部分を含む。
本実施形態において、中央部とは、主表面の外周よりも内側の領域であり、主表面の中心点から、主表面の半径の3分の2以下の領域である。
以下、図7および図8を参照しながら、本発明の一実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランク(以下、単に「レンズブランク」ということがある。)について詳しく説明する。
図7(A)および(B)は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るレンズブランクの形状の一例を示す側面図および正面図である。また、図8は、図7(A)に示すレンズブランクの表面中央部の一部断面で、研削工程および研磨工程により除去する部分を模式的に示した概略図である。
図7(A)に示すように、本発明の一実施形態に係るレンズブランク2bは、主表面となる略球面状のプレス成形面80および82を有する。このプレス成形面80および82は、それぞれ下型60および上型66の成形面形状が転写された面である(図6(E)参照)。
図6(E)では、主表面80が凸形状の曲面、主表面82が凹形状の曲面となっているが、本発明のレンズブランクの形状は特に限定されず、いずれか一方または双方が凹形状の曲面もしくは平面であっても良い。なお、レンズブランク2bの側周面84は、胴型64の内周面で成形されるプレス成形面であっても良いし、胴型64に当接しない自由表面であっても良い(図6(E)参照)。
図7(B)に示すように、本実施形態において、中央部80aとは、主表面80の外周よりも内側の領域であり、主表面80の中心点0から、主表面80の半径R1の2/3以下の領域80aである。すなわち、中央部80aの中心点0は、主表面80の中心点0と同じ位置であり、中央部80aの半径R2は、主表面の半径R1の2/3以下、より好ましくは1/2以下である。なお、主表面82においても同様である。
本実施形態のレンズブランク2bは、図8に示すように、その中央部80aにおいて、欠陥含有層90aの厚みtが50μm以下、好ましくは30μm以下である。
本実施形態では、上述の製造方法によりレンズブランク2bが製造されることから、欠陥含有層90aは、少なくとも1μm以上の厚みを有することが予想されるが、従来の製造方法で得られたものに比較して、欠陥含有層90aの厚みtが極端に薄い。
本実施形態において、欠陥含有層90aとは、レンズブランク2bのバルク部分90b(光学レンズとなる部分)に比較して、反射光の輝点を形成する欠陥を有する層である。この欠陥含有層90aを除去することで、反射光の輝点を形成する欠陥がなくなる。
反射光の輝点を形成する欠陥の具体例としては、例えば上述のレンズブランクの製造方法における再加熱工程およびプレス工程より生じる結晶化部分などが上げられる。
なお、本実施形態に係るレンズブランク2bの主表面中央部80aには、ガラス素材2の角部に由来する折れ込み部は、実質的に存在しない。
一般に、光学レンズ(以下、単に「レンズ」ということがある。)は、レンズブランクを研削加工および研磨加工して、目的とするレンズ形状を形成すると共に、プレス成形後のレンズブランクの表面に形成された欠陥含有層を除去することで、製造される。このようにして得られたレンズは、その表面に輝点となるような欠陥が残存していると不良品となる。そのため、レンズブランクの表面に形成されている欠陥含有層が除去されるまで研削・研磨する(取り代量を多く取る)必要がある。
本実施形態のレンズブランクでは、主表面の中央部における欠陥含有層の厚みが50μm以下であることから、このレンズブランクに対して、レンズ面球面研削(創成研削)および研磨を行う際の取り代量を大幅に低減できる。その結果、レンズを得る際の研削および研磨に要する加工時間を、極端に短くすることができ、レンズを製造する際のタクトを大幅に短縮できる。
さらに、本実施形態のレンズブランクによれば、レンズを得るための研削・研磨の際に、取り代量を大幅に低減できることから、研削屑および研磨屑を必要最小限にすることが可能になり、材料の無駄も低減できる。加えて、加工量が少ないために、レンズの厚み精度も向上する。
このような本実施形態に係るレンズブランクは、レンズを製造する際の取り代量(レンズブランク表面の中心部における削り代量)を、例えば200μm以下、さらには150μm以下とした場合であっても、優れた良品率を達成できる(得られるレンズに表面欠陥等が残らない)。取り代量が少ないほど研削や研磨に要する時間を短縮できて好ましい。なお、本実施形態に係るレンズブランクであっても、取り代量が少なすぎると、得られるレンズの表面に欠陥が残り良品率が低下するため、取り代量を100μm以上とすることがより好ましい。
レンズブランク2bのサイズや重量について特に制限はないが、重量が5グラム以上、さらに好ましくは10グラム以上であるレンズブランクの場合に、本発明の作用効果が大きい。本発明のレンズブランクは、特に中口径および大口径のガラスレンズを成形するのに適している。その理由としては、中口径および大口径のガラスレンズは、小径のガラスレンズに比べて研削および研磨に要する加工時間が長くなるところ、本発明によればこの加工時間を短縮でき、ひいては材料ロスを低減できるので、本発明による効果を一層発揮できるからである。
<光学レンズ>
本実施形態に係る光学レンズ(以下、単に「レンズ」ということがある。)は、本実施形態によって得られた研磨用ガラスレンズブランク(以下、単に「レンズブランク」ということがある。)を、研削および研磨することにより形成される。
以下、図8および図9を参照しながら、図7(A)に示す研磨用ガラスレンズブランク2bの研削および研磨工程について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施できる。
図9に示すステップS10では、まず、図7(A)に示すレンズブランク2bの主表面の球面研削工程(CG加工)が行われる。CG加工に用いられるカーブジェネレータ(curve generator)としては、特に限定されず、公知のものが用いられる。
CG加工では、図8に示すように、レンズブランク2bの主表面の中央部における欠陥含有層90aを含むCG加工領域92(CG加工代)が研削される。CG加工は、粒度表示で#400〜#800の砥粒部を有する砥石を用いて、研削液を供給しながら研削する。
このようなCG加工を経ることで、レンズブランク2bの主表面は所定の曲率を有する球面に近い形状になる。
また、このようなCG加工では、レンズブランクの主表面に形成された表面欠陥の除去も行う。通常、レンズブランクの主表面(特に中央部)に形成された表面欠陥が深部にまで及んでいる(すなわち、主表面(特に中央部)における欠陥含有層が厚い)場合には、研削・研磨後のレンズに、表面欠陥を残さないように、CG加工の段階で主表面を比較的多量に削り取る必要がある。
本実施形態に係るレンズブランク2bでは、主表面80の中央部80aに形成される欠陥含有層90aの厚みが50μm以下と少ない(主表面82において同じ)ため、CG加工の段階で、主表面を多量に削る(すなわち、欠陥含有層の大半を取り除く)必要がない。すなわち、CG加工の加工量を大幅に低減しても(ひいては、CG加工を除いても)、研削・研磨の全工程を通して、主表面(特に中央部)に形成された表面欠陥を十分に除去できる。
このような本実施形態に係るレンズブランク2bでは、CG加工用砥石として、比較的粒度の細かい砥石を用いることができる。通常、粒度の細かい砥石では、一度に多量な加工は困難であるため、目的とする加工量が多い場合には処理できない。しかし、本実施形態に係るレンズブランク2bは、CG加工で目的とする加工量を低減できるため、比較的粒度の細かい砥石であってもCG加工を完了できる。
また、本実施形態に係るレンズブランク2bでは、比較的粒度の細かい砥石でCG加工を行うことができるので、CG加工により生じる微小クラックがガラスの深部にまで及ぶのを防止できる。
通常、CG加工などの研削処理では、加工したレンズブランクの表面に、新たに無数の微小クラックが発生する。特に、粒度が大きい砥石を用いる場合には、一度に加工できる量は増えるが、一方で、CG加工により発生する微小クラックが、レンズブランクの深部に及ぶ傾向があり、後工程(精研削等)で微小クラックを除去するのが困難となる。
これに対し、比較的粒度の細かい砥石を用いる場合には、一度に加工できる量は少ないが、加工により生じる微小クラックも極端に深くならず(例えば、表面から15μm以下に留まり)、後工程で十分に微小クラックを除去できる。
なお、CG加工領域92の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50〜200μmである。CG加工に要する加工時間は、特に限定されないが、45〜90秒程度である。
次に、図9に示すように、ステップS11では、精研削工程によるスムージング加工(SM加工)が行われる。SM加工は、一段階の加工でも良いが、多段階の加工でも良い。図8に示す例では、SM加工を、条件を変えて2回行っている。すなわち、第1回目のSM加工では、図8に示す第1のSM加工領域94a(SM加工代)が加工により除去され、第2回目のSM加工では、第2のSM加工領域94bが加工により除去される。したがって、これらのSM加工により、CG加工で生じた微小クラックは、ほとんど除去される。
また、本実施形態では、これらのSM加工においては、好ましくは金属ボンドの砥石を用いることなく樹脂ボンド砥石のみを用いる加工を行う。これにより、本実施形態では、SM加工時にレンズブランクの表面に生じる微小クラックの深さを、極めて浅く抑えることができる。
通常、CG加工と同様に、SM加工でも、砥石のベース部や砥粒部と、レンズブランクとが接触することにより、加工したレンズブランクの表面に、新たに無数の微小クラックが発生する。特に、金属ボンド砥石を用いる場合には、SM加工の際に、砥石の金属ベース部がレンズブランクと接触することにより、レンズブランクの表面に数十ミクロン(例えば、30〜40μm)の微小クラックが発生する。
これに対し、樹脂ボンド砥石を用いる場合には、金属ボンド砥石に比べて、砥石のベース部分とレンズブランクとの接触による衝撃が、格段に低減されるため、SM加工の際に生じる微小クラックの深さを、数ミクロン以下(例えば、5μm以下)に留めることができる。
このように金属ボンド砥石を用いることなく、樹脂ボンド砥石のみを用いる本実施形態では、SM加工により生じる微小クラックの深さを大幅に低減できる。このような樹脂ボンド砥石としては、粒度表示で#1200〜#2500の砥石を用いることが好ましい。また、本実施形態では、第2のSM加工で用いる砥石の粗さは、第1のSM加工で用いる砥石の粗さに比較して細かい。
さらに、本実施形態では、第2のSM加工の際に、比較的細かい粒度の樹脂ボンド砥石を用いるため、粒度の大きな砥石を用いる場合に比べて、発生する微小クラックの深さをさらに低減できる。このような本実施形態によれば、後工程(研磨加工)の加工量を10μm以下とすることができる。
SM加工に要する加工時間は、特に限定されないが、トータルで80〜240秒程度である。本実施形態では、第2のSM加工の加工時間は、第1のSM加工の加工時間に比較して長い。SM加工領域94a,94bの厚みは、特に限定されないが、トータルで、好ましくは10〜70μmであり、本実施形態では、第1のSM加工領域94aの厚みの方が、第2のSM加工領域94bの厚みよりも長いが、同じでも短くても良い。
次に、図9に示すように、ステップS12では、研磨加工が行われる。研磨工程では、5μm以下の粒径の研磨砥粒を含む研磨液で表面を研磨して、図8に示す研磨領域96(研磨代)を研磨する。研磨領域96の厚みは、好ましくは3〜10μmであり、加工時間は2〜10分程度である。この研磨工程により、光学レンズ本体90bの光学レンズ面90c(主表面)が形成される。
最後に、図9に示すステップS13にて芯取り工程が行われるが、場合によっては芯取り工程は省略することもできる。芯取り工程では、例えばレンズ本体90bを一対のレンズホルダで挟持して心出しを行い、その中心線周りにレンズ本体90bを回転させながら、レンズ本体90bの側周面をダイヤモンド砥石等で真円に研削する加工である。
ここまで、図9に示す研削および研磨工程を例に説明してきたが、本実施形態に係るレンズブランク2bを用いた光学レンズの製造工程は、このような工程に限定されるものではなく、種々の工程で行うことができる。
例えば、本実施形態に係るレンズブランク2bでは、図9に示すステップS10のCG加工を行わないことも可能である。
上述のように、本実施形態に係るレンズブランク2bは、主表面80の中央部80aに形成される欠陥含有層90aの厚みが50μm以下と少なく(主表面82において同じ)、研削・研磨加工により除去すべき主表面の厚みが、そもそも少ない。このような本実施形態に係るレンズブランク2bでは、欠陥含有層を除去するために多量の加工を行う必要がなく、SM加工以降の加工処理のみで、十分に表面欠陥層を除去できる。
なお、CG加工を除く場合には、SM加工の際に金属ボンド砥石を用いていても良い。なお、金属ボンド砥石を用いた場合には、上述のような微小クラックが深くなる問題があるが、樹脂ボンド砥石に比べて加工量を多く設定できる点で有効である。
このようにして両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどの種々の光学レンズを得ることができる。
本実施形態に係る製造方法により得られるレンズブランク2bは、中央部80aにおける欠陥含有層90aの厚みが50μm以下である。そのため、このレンズブランク2bに対して、レンズを得る際の研削および研磨に要する加工時間を、極端に短くすることができる。
そのため、本実施形態に係る光学レンズの製造方法によれば、従来のカットピース工法により得られる研磨用ガラスレンズブランクを用いる場合と比較して、光学レンズを得る際の研削および研磨に要する加工時間を、略半分以下に短縮できる。また、特許文献1(特許第3806288号公報)に示す方法により得られる研磨用ガラスレンズブランクを用いる場合と比較しても、光学レンズを得る際の研削および研磨に要する加工時間を、略半分以下に短縮できる。
また、本実施形態に係る光学レンズの製造方法によれば、研削加工および研磨加工時における研削屑および研磨屑を必要最小限にすることが可能になり、材料の無駄もなくせる。加えて、加工量が少ないために、光学レンズの厚み精度も向上する。
また、得られたレンズの光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしても良い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、上記本発明の一実施形態では、光学ガラス素材の第1の主面4と第2の主面6とが平行である旨を説明したが、ここにいう平行とは実質的な平行を意味するもので、本発明を逸脱しない限り、平行から多少ずれても良い。
また、上記本実施形態では、本発明に係る研磨用ガラスレンズブランクにより光学レンズを作製する際、CG加工後のSM加工において、好ましくは金属ボンド砥石を用いない態様を例示したが、CG加工後のSM加工において金属ボンド砥石を用いることを妨げるものではない。すなわち、本実施形態に係る研磨用ガラスレンズブランクは、従来から行われている光学レンズの種々の製造工程および条件にも、好適に用いることができる。
また、本実施形態では、本発明に係る光学ガラス素材を用いて研磨用ガラスレンズブランク、ひいては光学レンズを作製する態様を例示したが、本発明に係る光学ガラス素材はこれらの用途に限定されることはなく、種々の研磨用ガラス光学素子ブランク、ひいてはガラス光学素子の作製のために用いることができる。このような光学素子としては、上述した各種光学レンズの他、プリズム、回折格子などが例示できる。なお、本発明は、光学レンズ、特に球面レンズに好適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
所定の組成となるように原材料を調合、熔解し、得られたホウ酸ランタン系の熔融ガラスを、白金合金製の流出パイプより一定スピードで連続的に流下して、図2および図3に示す固定鋳型34に向かって流し込み、冷却して図1(B)に示すガラス素材20(以下、ガラス素材ブロックという)を成形した。この成形の過程でガラス素材ブロック20は、熔融ガラスの転移温度(Tg)もしくはTgよりやや高温のアニール炉内を通してアニール処理され、その後、ガラス素材ブロック20を室温程度に降温した。
なお、熔融ガラス20aが鋳込まれる際、側壁38aに沿って広範囲の対流が生じることはなく、得られたガラス素材ブロック20において、内部に脈理が発生することもなかった。
次に、アニール処理された断面が台形型のガラス素材ブロック20(短辺側の幅(W1)38mm、長辺側の幅(W2)50mm、高さ(H1)34mm、角度(θ1)100°、(θ2)100°)を、ダイヤモンドカッターで切断し、長さ(L0)約400mmの棒状のガラス素材ブロックを複数個作製した。次いで、図5に示す切断装置70のワイヤーソー72を用いて、それぞれの棒状のガラス素材ブロックを一定の幅に切断し、図1(A)に示す小片化されたガラス素材2(厚さ(L1)6mm、その他のサイズは、ガラス素材ブロック20と同じ、また、以下、ガラス素材片という)を100個準備した。
次に、再加熱工程で用いる再加熱用装置の軟化用受け皿50に離型剤を塗布した。
予め準備しておいたガラス素材片2を、主面4が上向きになるような姿勢で、離型剤が塗布された受け皿50上に供給した。受け皿50上に供給されたガラス素材片2を、受け皿50とともに500〜750℃に設定された加熱炉に投入し、大気雰囲気下で再加熱した。再加熱されたガラス素材は約10dPa・sの粘度に軟化した。
次いで、再加熱により軟化したガラス素材をプレス成形用の成形型で大気雰囲気下においてプレス成形して、片面凸形状のレンズブランクA(直径35mm、高さ14mm)を100個作製した。なお、成形型の成形面には予め離型剤を塗布しておき、500℃の温度に加熱した成形型を用いた。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の方法にて熔解された熔融ガラスを、白金合金製の流出パイプより一定スピードで連続的に流下して、流下したガラスをガラス塊成形用の成形型を用いて次々と受けて、ガラス塊を連続的に成形した。ガラスの温度がガラス転移温度以下に下がった時点でガラス塊を成形型から取り出し、熔融ガラスの転移温度(Tg)もしくはTgよりやや高温のアニール炉内でアニール処理した後、室温程度に降温し、ガラス塊(直径約33mm、厚さ約10mm)を100個作製した。
次に、得られたガラス塊にバレル研磨を施し、表面を荒らして離型剤を塗布しやすくするとともに、目的とするレンズブランクの重量と等しくなるよう重量調整を行った。なお、この工程中、アニール処理が十分施されたガラスは破損することはなかった。また、このような予備工程(バレル研磨)を経たガラス塊の表面は粗ずり面であった。
ここで、バレル研磨は、研磨容器の中に、ガラス塊とともに粒子状の研磨剤とコンパウンドと水を入れて、研磨容器を回転・上下運動させることにより研磨を行う方法であり、周知のバレル研磨法により行われた。
次いで、バレル研磨が施されたガラス塊の表面に、粉末状の離型剤(窒化ホウ素)を塗して、軟化用受け皿50上に配置し、加熱炉で再加熱した。この再加熱工程以降は、実施例1と同様の方法により、レンズブランクBを100個作製した。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同様の方法にて熔解された熔融ガラスを白金合金製の流出パイプから一方の側面が開口した鋳型に連続的に供給し、冷却して一定の幅および厚みを有する板状ガラスを成形した。この成形の過程で板状ガラスは、熔融ガラスの転移温度(Tg)もしくはTgよりやや高温のアニール炉内を通してアニール処理された。
次に、アニール処理されたガラス板を一定のサイズ(縦20mm×横20mm×高さ20mm)に切断してカットピースと呼ばれるガラス片を100個得た。さらに、カットピースにバレル研磨を施してエッジを丸めるとともに、目的とするレンズブランクの重量と等しくなるよう重量調整を行った。この工程中、アニール処理が十分施されたガラスは破損することはなかった。なお、バレル研磨の条件は、上述のガラス塊に対するバレル研磨と同じである。
このような予備工程(バレル研磨)を経たカットピースの表面は粗ずり面であった。次いで、このカットピースの表面に粉末状の離型剤(窒化ホウ素)を塗して、軟化用受け皿50上に配置し、加熱炉で再加熱した。この再加熱工程以降は、実施例1と同様の方法により、レンズブランクCを100個作製した。
次に、得られたレンズブランクA〜Cについて以下の評価を行った。
(評価1;欠陥含有層の存在領域の確認)
以下の方法により、レンズブランクA〜Cの主表面の中央部における欠陥含有層の存在を確認した。
まず、得られたレンズブランクA〜Cをそれぞれ25個ずつ準備し、各レンズブランクの主表面から深さ50μm、80μmおよび100μmまで、レンズブランクの表面を研磨した。
評価1で行った研磨は、レンズブランクの主表面における欠陥含有層の厚みを確認するための研磨である。したがって、最終レンズ形状を無視して、レンズブランクの表面を研磨加工のみで段階的に研磨している。なお、後述する評価2における研削・研磨は、光学レンズの形状を作り出す研削・研磨であり、本評価における研磨処理とは異なる。また、研磨加工後のレンズの直径は、加工前のレンズブランクの直径と同じである。
レンズブランクの主表面から所定の深さまで研磨加工した、表面加工済みレンズブランク(各25点)に対し、アルゴンランプを照射し、輝点観察を行った。結果を図10に示す。
図10は、実施例に係る輝点観察の結果を示す図である。通常、欠陥含有層の厚みは、レンズブランク毎に多少のバラつきがある。そのため、複数のレンズブランクについて、主表面から同じ深さまで研磨加工すると、欠陥含有層の厚みが比較的厚いレンズブランクにおいては欠陥含有層が十分に除去しきれず、研磨後のレンズに欠陥含有層が残る場合がある。このような加工後のレンズに残存する欠陥含有層は、光を散乱させるため、輝点の原因となる。
したがって、加工後のレンズの中央部(レンズの中心点から、レンズ半径の2/3までの領域内)において輝点が観察されないものを良品とし、レンズブランクの良品率を算出した。本実施例では、加工後の良品率100%を良好とした。結果を表1に示す。
Figure 2015063888
表1に示されるように、本発明に係るレンズブランクAでは、レンズブランクの主表面から深さ50μmの表面加工量で、既に、良品率100%となった。そのため、レンズブランクの主表面から深さ80μmおよび100μmの表面加工量での研磨加工は行わなかった。
このように、本発明に係るレンズブランクAは、50μmの表面加工量(研磨量)で良品率100%となり、図10(a)に示すように、いずれの試料でも加工後のレンズブランクの中央部には輝点は観察されなかった。すなわち、本発明に係るレンズブランクAでは、主表面から少なくとも深さ50μm研磨することで、主表面の中央部の欠陥含有層を全て除去できることが確認された。
このことから、レンズブランクAにおいて、レンズブランク毎のバラつきを含めてもなお、レンズブランクの主表面の中央部に形成されている欠陥含有層の厚みは、50μm以下であることが確認された。
一方、図10(b)に示されるように、本発明の比較例に相当するレンズブランクBでは、表面加工量50μmの研磨では、良品率0%で、全ての試料でレンズの中央部にも輝点が観察された。すなわち、レンズブランクBの場合、レンズブランクの主表面から深さ50μm程度の研磨を行っても、その主表面の中央部に存在する欠陥含有層を全て取り除くことはできない。
このように、レンズブランクBは、レンズブランク毎のバラつきを含めてもなお、レンズブランクの主表面の中央部に形成されている欠陥含有層の厚みは、少なくとも50μmを超えることが確認された。
なお、レンズブランクBについては、その主表面から深さ80μm、さらには100μmと研磨すると、良品率が向上することが確認された。
また、本発明の比較例に相当するレンズブランクCについても、レンズブランクBと同様の傾向が確認された。
(評価2;取り代量の確認)
レンズブランクA〜Cについて、以下の方法により、取り代量の確認を行った。
まず、得られたレンズブランクA〜Cをそれぞれ20個ずつ準備し、各レンズブランクの中心部における取り代量を50μm、80μm、100μm、150μm、200μm、300μmおよび500μmとして研削・研磨した。
また、本評価における取り代量とは、レンズブランクから光学レンズを作製する際に、研削・研磨の全工程において損失するレンズブランク表面の削り代量を意味する。なお、取り代量の観測点は、レンズブランク(研磨後の光学レンズ)の中心部とした。
また、評価2で行う研削・研磨は、光学レンズの形状を作り出す研削・研磨であるため、レンズブランクの表面形状に追従するように研磨を行う評価1とは、条件が異なる。
レンズブランクを所定の取り代量となるように加工して得た光学レンズ(各20個)に対し、アルゴンランプを照射し、輝点観察を行った。欠陥含有層が残存している箇所は、光が散乱し、輝点となる。このような輝点は、光学レンズとしては不良となるため、輝点がないものを良品とし、良品率を算出した。本実施例においては、良品率100%を良好とした。結果を表2に示す。
Figure 2015063888
上記評価1で確認されているように、本発明に係るレンズブランクAは、主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下と非常に薄い。そのため、このようなレンズブランクAを用いて光学レンズを作製すれば、レンズ形状を形成しつつ、欠陥含有層を取り除くために設定される取り代量を大幅に低減させることができる。
本発明に係るレンズブランクAでは、レンズブランク表面全体において表面欠陥やうねりが少なく、特に、レンズブランク表面の中央部には、レンズブランクの深部に及ぶような深い欠陥がないと考えられる。そのため、このようなレンズブランクAを用いて光学レンズを作製すれば、レンズ形状を形成しつつ、表面欠陥やうねりを取り除くために設定される取り代量を大幅に低減できる。
表2に示されるように、本発明に係るレンズブランクAを用いて光学レンズを作製した場合には、レンズブランクの中心部における取り代量を150μmに設定した場合であっても、レンズ全面において欠陥含有層を十分に取り除くことができ、良品率が100%となることが確認された。
一方、本発明の比較例に相当するレンズブランクBおよびレンズブランクCは、主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μmを超える(評価1参照)。特にレンズブランクCでは、軟化時から成形時の加熱により、カットピースの角部が結晶化し、ガラス内部へと折れ込まれ、レンズブランク表面の中央部に、深部に及ぶ欠陥が形成されていると考えられる。そのため、このようなレンズブランクBおよびCを用いて光学レンズを作製した場合には、表面欠陥層を完全に除去するために、取り代量を大きく設定する必要がある。
すなわち、表1に示されるように、本発明の比較例に相当するレンズブランクBおよびレンズブランクCを用いて光学レンズを作製した場合に、レンズブランク毎のバラつきを踏まえた上で、レンズ全面の欠陥含有層を完全に取り除くため、取り代量を500μm以上に設定する必要があることが確認された。
これに対し、本発明に係るレンズブランクAを用いて光学レンズを作製する場合には、レンズブランクBおよびレンズブランクCと比較して、その取り代量を大幅に低減できるため、研削および研磨に要する時間を極端に短くできる。
なお、本発明に係るレンズブランクAは、取り代量50μmの場合、良品率が40%である。これは、レンズブランクAを取り代量50μmで加工しても40%の試料で、未だ欠陥含有層を除去しきれていないことを意味している。しかし、このことをもって、レンズブランクの主表面の中央部における欠陥含有層の厚みが50μmを超えているとの評価ができるものではなく、評価1との間での矛盾はない。
すなわち、評価1における加工量と、評価2における取り代量とでは、評価している範囲が異なる。すなわち、評価1における加工量は、レンズブランクの主表面における欠陥含有層の厚みそのものを評価しているのに対し、評価2では、光学レンズを作製する際の取り代の量を評価している。
したがって、評価2の取り代量では、単にレンズブランクの主表面に形成される欠陥含有層の厚さによってのみ決まるのではなく、レンズブランク表面のうねり等の他の要因の影響も考慮する必要があるのである。
(評価3;研削・研磨の条件および光学レンズの作製)
レンズブランクA〜Cについて、光学レンズを作製するまでのレンズブランクの研削・研磨の条件の確認を行った。具体的には、光学レンズを作製するまでの研削・研磨として、CG加工(レンズ面球面研削)、SM加工(スムージング加工。なお、必要に応じて複数段階の加工を行う。)およびPO加工(研磨加工)を行う際の各工程の最適な加工条件を確認した。結果を表3に示す。なお、工具、加工量および加工時間は、表3のとおりである。
Figure 2015063888
本発明に係るレンズブランクAは、主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下と薄いため、これを用いて光学レンズを作製する場合には、欠陥含有層を除去するのに必要な取り代量を大幅に低減させることができる(評価2参照)。
そのため、レンズブランクAを用いる場合には、レンズブランクの研削量を低減できるため、比較的目の細かい#600の砥石でCG加工を行っても、研削時間の著しい延長を招くことがない。また、このように目の細かな砥石を用いて研削を行うことにより、研削に伴いレンズ表面に生じる微小クラックの深さ方向への発生や進行を効果的に低減でき、CG加工後のガラス表面(ここでは、最表面から50μm程度までの領域を含む)を比較的良好に維持することができる。
その結果、本発明に係るレンズブランクAを用いる場合には、CG加工後のレンズ表面にある研削による加工ダメージ層が少ないため、続いて行うSM加工で、#2500のレジンボンド砥石(例えば、アルファーダイヤモンド工業株式会社製)を用いても、十分に研削による加工ダメージ層を除去することができる。特に、レジンボンド砥石は金属ボンド砥石に比べてSM加工自体で生じる微小クラックの深さを極めて浅くできる。その結果、さらなるSM加工を行うことなく、最終工程である研磨加工(PO加工)に移行することができる。さらに、目の細かい#2500のレジンボンド砥石を用いているため、SM加工後の表面状態が良好に保たれており、PO加工の加工時間を大幅に低減することが可能となる。特にPO加工の加工量は、10μm以下に低減できる。
一方、本発明の比較例に係るレンズブランクBおよびCは、主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μmを超える。そのため、これらのレンズブランクを用いて光学レンズを作製する場合には、良品率を高めるにあたり、欠陥含有層を完全に除去しなければならず、そのためには取り代量は大きく設定する必要がある(評価2参照)。
このようにレンズブランクBおよびCでは、取り代量を大きく設定しなければならないため、研削時間の延長を招く。さらに、取り代量が多いレンズブランクBおよびCの場合、目詰まりを生じやすく、研削が滞るため、CG加工の際に目の細かい砥石(例えば#600以下)を用いることは困難である。そのため、加工時間当たりの研削量を増やすためにも、#230のような目の粗い砥石から、CG加工を開始する必要がある。しかし、目の粗い砥石を用いるため、研削に伴いレンズ表面に生じる深い微小クラック(加工ダメージ層)の発生が免れず、研削によって生じる欠陥層が大きくなる傾向にある。
このような研削による加工ダメージ層を、その後の工程で除去していくためには、続くSM加工においても、研削量を増やす必要があり、複数回のSM加工が必要になる。特に、多くの研削量を除去するには、金属ボンド砥石を用いることとなり、金属ボンド砥石による研削に伴って新たな微小クラック(例えば、深さが30μm)が生じる。さらに、加工による目詰まりや加工時間の著しい延長を招くことから、レンズブランクAで用いたような目の細かいレジンボンド砥石(#2500)によるSM加工からの開始することも困難である。
そのため、SM加工でも、急激に粒度の細かい砥石の使用はできず、本発明に係るレンズブランクAを用いた場合に比べて、SM加工後のレンズ表面の状態は劣る。すなわち、CG加工や金属ボンド砥石を用いたSM加工によって生じた微小クラックを完全に除去できず、例えば10μm以上の研磨代が残ったまま最終工程である研磨工程に移行せざるを得ない。そのため、研磨加工においても、本発明に係るレンズブランクAを用いた場合よりも加工量および加工時間を長く設定する必要がある。
以上説明したように、本発明に係るレンズブランクAと、本発明の比較例に相当するレンズブランクBおよびCとでは、レンズの形成工程において、好適な工具、加工量および加工時間に違いが生じることが確認された。特に表3に示されるように、本発明に係るレンズブランクAを用いる場合には、研削・研磨の全工程を通して、加工量および加工時間が、レンズブランクBおよびCを用いた場合に比べて、大幅に低減されることが確認された。
(総合評価)
以上説明したように、本発明に係るレンズブランクAは、主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である。このようなレンズブランクAを用いて光学ガラスを作製する場合には、取り代量を大幅に低減した場合であっても、高い良品率を達成することが可能となる。さらに、取り代量を大幅に低減することができるため、CG加工にて比較的目の細かい砥石(#600)を用いることができる。その結果、続くSM加工は、目の細かいレジンボンド砥石(#2500)で十分な加工を行うことができ、最終工程の加工量および加工時間を低減することもできる。特に、本発明に係るレンズブランクAを用いた場合には、研削・研磨の全工程を通して、加工量および加工時間を大幅に低減することができることから、生産コストを向上することができる。
(実施例2〜7)
実施例2〜7では、レンズブランクを構成する硝材と、光学レンズを作製するまでのレンズブランクの研削・研磨の条件を、表4および5に示すように変更した以外は、実施例1の評価3と同様の確認を行った。結果を表4および5に示す。
なお、ホウ酸ランタン系の硝材を用いたレンズブランクは、実施例1のレンズブランクAと同様の方法で準備した。
また、フツリン酸系の硝材を用いたレンズブランクは、原材料を変更してフツリン酸系の熔融ガラスによりガラス素材ブロック20を成形した以外は、実施例1のレンズブランクAと同様の方法で準備した。なお、フツリン酸系ガラスは、ホウ酸ランタン系ガラスに比べて、ガラス質として柔らかい材料である。
Figure 2015063888
Figure 2015063888
本発明に係るレンズブランクによれば、硝材によらず、また、光学レンズを作製するまでのレンズブランクの研削・研磨の条件をさまざまに変更しても、全体の加工量および加工時間を大幅に低減できることが確認された。特に、いずれもPO加工での加工量を10μm以下にできることが確認された。
さらに、本発明に係るレンズブランクによれば、主表面(特に中央部)の欠陥含有層の厚みが薄いため、CG加工を省略しても(SM加工以降の処理だけで)、表面欠陥を十分に除去することができ、良好な光学レンズを作製できることが確認された。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
最後に、本発明の実施の形態を総括する。
[1] 本実施の形態の研磨用ガラスレンズブランクは、少なくとも主表面がプレス成形面であって、上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である。
[2] 好ましくは、上記[2]に記載の研磨用ガラスレンズブランクにおいて、上記中央部は、上記主表面の外周よりも内側の領域であり、
上記中央部の半径は、上記主表面の半径の3分の2以下である。
[3] また、別の局面では、本実施の形態の光学ガラス素材は、台形状を成し互いに平行である第1の主面および第2の主面と、
上記第1の主面および第2の主面の短辺同士をつなぐ第1の側面と
上記第1の主面および第2の主面の長辺同士をつなぐ第2の側面と、
上記第1の側面と上記第2の側面とをつなぎ、上記第1の側面と成す角度がいずれも鈍角である2つの傾斜面とを有し、
上記第1の側面および上記2つの傾斜面が、成形面である。
[4] 好ましくは、上記[3]に記載の光学ガラス素材は、上記第2の側面が、自由表面である。
[5] 好ましくは、上記[3]または[4]に記載の光学ガラス素材は、上記第1および第2の主面が、切断面である。
[6] 好ましくは、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の光学ガラス素材は、上記第1および第2の主面間の距離が、上記第1の側面と上記第2の側面との間の距離よりも短い。
[7] 好ましくは、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の光学ガラス素材は、上記第1および第2の主面間の距離が、上記第1の側面と上記第2の側面との間の距離よりも長い。
[8] また、別の局面では、本実施の形態の研磨用ガラスレンズブランクは、上記[6]に記載の光学ガラス素材を大気雰囲気中で再加熱して軟化させ、軟化した上記光学ガラス素材をプレス成形することにより形成される。
[9] 好ましくは、上記[8]に記載の研磨用ガラスレンズブランクは、少なくとも主表面がプレス成形面であって、上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である。
[10] また、別の局面では、本実施の形態の光学レンズは、上記[8]または[9]に記載の研磨用ガラスレンズブランクを研削および研磨することにより形成される。
[11] さらに、別の局面では、本実施の形態の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法は、鋳型内に、熔融ガラスを連続して鋳込み、鋳込まれたガラスを上流側から下流側へ一方向に移動させながら連続して断面台形の光学ガラス素材を成形する光学ガラス素材成形工程と、
上記光学ガラス素材を、長手方向と直交する方向に切断して、小片化する切断工程と、
上記切断工程で小片化した上記光学ガラス素材を、大気雰囲気下で10〜10dPa・sの粘度に再加熱する再加熱工程と、
上記再加熱工程で再加熱した上記光学ガラス素材を、プレス成形用の成形型で大気雰囲気下においてプレス成形して、ガラス成形品を得るプレス工程と、を備え、
上記ガラス成形品は、少なくとも主表面にプレス成形面を有し、
上記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である。
[12] 好ましくは、上記[11]に記載の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法は、上記切断工程で小片化した上記光学ガラス素材の表面、および上記再加熱工程の際に上記光学ガラス素材を配置する保持用凹部の少なくともいずれか一方に、離型剤を塗布する離型剤塗布工程をさらに有する。
[13] 好ましくは、上記[11]または[12]に記載の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法では、上記離型剤塗布工程において、上記光学ガラス素材を配置する保持用凹部に離型剤を塗布した後、上記保持用凹部に上記光学ガラス素材を配置する。
[14] また、別の局面では、本実施の形態の光学レンズの製造方法は、上記[1]、[2]、[8]および[9]のいずれかに記載の研磨用ガラスレンズブランクに対して、球面研削加工およびスムージング加工を行い、スムージング加工では、金属ボンド砥石を用いることなく樹脂ボンド砥石を用いて加工を行い、光学レンズを得ることを特徴とする。
さらに、本実施の形態の他の局面では、
[A1] 本実施の形態の光学ガラス素材の製造方法は、鋳型内に、熔融ガラスを連続して鋳込み、鋳込まれたガラスを上流側から下流側へ一方向に移動させながら連続して断面台形のガラス素材を成形する。
また、本実施の形態の他の局面では、
[B1] 本実施の形態のプレス成形用ガラス光学素材の製造方法は、鋳型内に、熔融ガラスを連続して鋳込み、鋳込まれたガラスを上流側から下流側へ一方向に移動させながら連続して断面台形のガラス素材を成形する工程と、
上記ガラス素材を長手方向に沿って切断する工程と、を有する。
[B2] また、別の局面では、本実施の形態の研磨用ガラス光学素子ブランクの製造方法は、上記[B1]に記載のプレス成形用ガラス光学素材の製造方法で得られるプレス成形用光学素材をリヒートプレスする工程をさらに有する。
[B3] また、別の局面では、本実施の形態のガラス光学素子の製造方法は、上記[B2]に記載の研磨用ガラス光学素子ブランクの製造方法で得られる研磨用ガラス光学素子ブランクを研削および研磨する工程をさらに有する。
2,20… 光学ガラス素材
2a… 軟化したガラス素材
2b… 研磨用ガラスレンズブランク
20a… 熔融ガラス
4… 第1の主面
6… 第2の主面
8… 第1の側面
10… 第2の側面
12… 第1の傾斜面
14… 第2の傾斜面
30… ノズル
32… 固定鋳型
34… 底壁
36… 端壁
38… 側壁
40… 搬送装置
50… 受け皿
52… 凹部
60… 下型
62… 成形面
64… 胴型
66… 上型
70… 切断装置
72… ワイヤーソー
74… ローラ
80… 主表面(プレス成形面)
80a… 主表面中央部
82… 主表面(プレス成形面)
84… 側周面
90a… 欠陥含有層
90b… レンズ本体(バルク部分)
90c… 光学レンズ面
92… 研削(CG加工)領域
94a,94b… 研削(SM加工)領域
96… 研磨領域

Claims (14)

  1. 少なくとも主表面がプレス成形面であって、前記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である研磨用ガラスレンズブランク。
  2. 前記中央部は、前記主表面の外周よりも内側の領域であり、
    前記中央部の半径は、前記主表面の半径の3分の2以下である請求項1に記載の研磨用ガラスレンズブランク。
  3. 台形状を成し、互いに平行である第1の主面および第2の主面と、
    前記第1の主面および第2の主面の短辺同士をつなぐ第1の側面と
    前記第1の主面および第2の主面の長辺同士をつなぐ第2の側面と、
    前記第1の側面と前記第2の側面とをつなぎ、前記第1の側面と成す角度がいずれも鈍角である2つの傾斜面とを有し、
    前記第1の側面および前記2つの傾斜面が、成形面である光学ガラス素材。
  4. 前記第2の側面が、自由表面である請求項3に記載の光学ガラス素材。
  5. 前記第1および第2の主面が、切断面である請求項3または4に記載の光学ガラス素材。
  6. 前記第1および第2の主面間の距離が、前記第1の側面と前記第2の側面との間の距離よりも短い請求項3〜5のいずれかに記載の光学ガラス素材。
  7. 前記第1および第2の主面間の距離が、前記第1の側面と前記第2の側面との間の距離よりも長い請求項3〜5のいずれかに記載の光学ガラス素材。
  8. 請求項6に記載の光学ガラス素材を大気雰囲気中で再加熱して軟化させ、軟化した前記光学ガラス素材をプレス成形することにより形成された研磨用ガラスレンズブランク。
  9. 少なくとも主表面がプレス成形面であって、前記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である請求項8に記載の研磨用ガラスレンズブランク。
  10. 請求項8または9に記載の研磨用ガラスレンズブランクを研削および研磨することにより形成された光学レンズ。
  11. 鋳型内に、熔融ガラスを連続して鋳込み、鋳込まれたガラスを上流側から下流側へ一方向に移動させながら連続して断面台形の光学ガラス素材を成形する光学ガラス素材成形工程と、
    前記光学ガラス素材を、長手方向と直交する方向に切断して、小片化する切断工程と、
    前記切断工程で小片化した前記光学ガラス素材を、大気雰囲気下で10〜10dPa・sの粘度に再加熱する再加熱工程と、
    前記再加熱工程で再加熱した前記光学ガラス素材を、プレス成形用の成形型で大気雰囲気下においてプレス成形して、ガラス成形品を得るプレス工程と、を備え、
    前記ガラス成形品は、少なくとも主表面にプレス成形面を有し、
    前記主表面の中央部に形成される欠陥含有層の厚みが50μm以下である、研磨用ガラスレンズブランクの製造方法。
  12. 前記切断工程で小片化した前記光学ガラス素材の表面、および前記再加熱工程の際に前記光学ガラス素材を配置する保持用凹部の少なくともいずれか一方に、離型剤を塗布する離型剤塗布工程をさらに有する、請求項11に記載の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法。
  13. 前記離型剤塗布工程において、前記光学ガラス素材を配置する保持用凹部に離型剤を塗布した後、前記保持用凹部に前記光学ガラス素材を配置する請求項11または12に記載の研磨用ガラスレンズブランクの製造方法。
  14. 請求項1、2、8および9のいずれかに記載の研磨用ガラスレンズブランクに対して、球面研削加工およびスムージング加工を行い、スムージング加工では、金属ボンド砥石を用いることなく樹脂ボンド砥石を用いて加工を行い、光学レンズを得ることを特徴とする光学レンズの製造方法。
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