図1〜3,7,8,10,11,13〜17に示す成形装置10(10A,10B,10C,10D,10E)は、ガラス成形品を成形するための装置であって、溶融ガラス材料Gを受け型20の収容凹部21に収容した後、受け型20の収容凹部21に対向する押圧部31と開口部32とを有しかつ開口部32に連続する成形キャビティ35を有する成形型30を受け型20と加圧合接せしめ、受け型20の収容凹部21の溶融ガラス材料Gを成形型30の押圧部31により押圧するとともに開口部32を介して成形キャビティ35に導入して成形するように構成される。各図において、符号60A,60B,60C,60Eは受け型20と成形型30とを加圧合接させて所定形状に形成されたガラス成形体、61A,61B,61Cは各ガラス成形体60A,60B,60Cの本体部、62A,62B,62C,62Eは各ガラス成形体60A,60B,60C,60Eの余剰部である。
また、この成形装置10では、溶融ガラス材料Gを成形キャビティ35に導入するに際して成形キャビティ35内が真空吸引されるとともに、成形後に成形キャビティ35内にエアが吐出される。
以下、上記成形方法の好ましい実施例を、成形装置10とともに具体的に説明する。この成形装置10は、受け型20と、成形型30と、移動手段(図示せず)とを有する。なお、各図において、機台やロッド等の各部は省略するものとする。
受け型20は、溶融ガラス材料Gを収容するための収容凹部21を有する。収容凹部21は、溶融ガラス材料Gが収容可能な形状であれば特に限定されるものではなく、底部22を平面状あるいは球面状等、適宜に形成することができる。また、この受け型20の材料は、高温の溶融ガラス材料Gを収容した際に変形することを防止するために、溶融ガラス材料Gの温度よりも融点が高い適宜の金属、耐熱合金、カーボン等で構成される。溶融ガラス材料Gの温度としては、ガラス組成によって適宜決定されるものであるが、一般には1150〜1250℃である。
成形型30は、受け型20の収容凹部21に対向する押圧部31と開口部32とを有しかつ開口部32に連続する成形キャビティ35を有する。成形キャビティ35は、ガラス成形品の外形を形成するためのものであって、ガラス成形品の形状に応じた適宜の形状に構成される。実施例では、角錐台形状である。また、この成形キャビティ35には、必要に応じて、ガラス成形品の表面精度を向上させるため、あるいは、成形後の離型性を向上させるための公知の表面処理を施してもよい。なお、図中の符号36は成形キャビティ35の天面、37は成形キャビティ35の側面である。
この成形型30は、受け型20と合接可能に構成される。実施例では、受け型20の収容凹部21の内周壁部23と成形型30の外周壁部33とが互いに移動方向に摺接する嵌合面として形成され、合接時に成形型30が受け型20の収容凹部21に嵌合される。また、成形型30では、押圧部31が開口部32の外周に形成された平面部として構成され、図示のように開口部32と面一とされている。
この成形型30は、一体形状のつぼ型、あるいは、複数のパーツを組み合わせて形成される割り型等、適宜に構成することができる。実施例の成形型30は、同形状の2つのパーツを組み合わせて成形キャビティ35の側面37を形成する胴型40と、開口部32の反対側に合着され成形キャビティ35の天面36を形成する上型45とを有する割り型からなる。なお、この成形型30の材料は、受け型20と同様に、高温の溶融ガラス材料Gにより変形することを防止するために、溶融ガラス材料Gの温度よりも融点が高い適宜の金属、耐熱合金、カーボン等で構成される。
また、上記成形型30では、成形キャビティ35に該成形キャビティ35内を真空吸引するまたは成形キャビティ35内にエアを吐出するためのエア流通部38が形成されている。エア流通部38は、真空吸引可能な公知の真空装置(図示せず)及びエア供給可能な公知のエア圧縮機(図示せず)に接続されている。溶融ガラス材料Gを成形キャビティ35に導入する際に成形キャビティ35内を真空状態とすることにより、ガラス成形品の形状精度を向上させることができる。一方、成形後に成形キャビティ35内にエアを吐出すれば、ガラス成形品(ガラス成形体)を離型させやすくなる。
移動手段は、受け型20と成形型30のいずれか一方または双方を移動させ加圧合接させ又は互いに離隔させるように構成される。移動手段としては、受け型20または成形型30を移動可能であれば特に限定されるものではないが、サーボ機構を含むものであることが好ましい。これにより、精度の高い加圧制御を簡易に実施することができる。
この成形装置10は、受け型20と成形型30との加圧合接により、受け型20の収容凹部21の溶融ガラス材料Gを成形型30の押圧部31により押圧するとともに開口部32を介して成形キャビティ35に導入して成形するものである。ここで、受け型20の収容凹部21に収容された溶融ガラス材料Gでは、収容凹部21と接触した接触面G1が急速に冷却され温度的に不均質となって粘度が比較的高い状態の異質面となる一方、接触面G1との反対面、すなわち、収容凹部21と接触していない非接触面G2が温度的に均質で粘度の均質性も保たれた自由面となっている。そして、成形型の押圧部31は、受け型20の収容凹部21に対向することにより、溶融ガラス材料Gの自由面(非接触面)G2とも対向し、受け型20と成形型30との加圧合接に際して溶融ガラス材料Gの自由面(非接触面)G2を押圧するように構成される。これにより、粘度の均質性が保たれた自由面(非接触面)G2が成形キャビティ35内に導入されるため、従来のように成形時に異質面が延伸されて成形表面にシワ等が形成されることを抑制することができる。
次に、図1〜図3に示す第1実施例に係る成形装置10Aを用いたガラス成形品50の成形工程を説明する。図4,5に示す実施例のガラス成形品50は、互いに平行な上面51及び下面52と、上下面51,52の間に所定角度で傾斜して連接する複数の側面53(53A,53B,53C,53D)とからなる逆角錐台形状の本体部材55を有する集光式太陽光発電用のホモジナイザーである。このホモジナイザー50では、上面51が一辺約11mmの正方形状、下面52が一辺約6.5mmの正方形状、各側面53A,53B,53C,53Dの上面51との傾斜角が約83.6°、高さが約20mmでそれぞれ形成される。
ホモジナイザー50の組成は、主としてSiO2、Na2O、K2O、Al2O3、TiO2、Sb2O3、Fを含む。実施例のホモジナイザー50Aは、SiO2:68.18重量%、Na2O:10.6重量%、K2O:10.6重量%、Al2O3:2.7重量%、TiO2:6.27重量%、CaO:0.1重量%、SO3:0.1重量%、ZrO2:0.01重量%、Sb2O3:0.24重量%、F:1.6重量%で構成される。この組成からなるホモジナイザー50Aの特性としては、比重が2.46、軟化点が約655℃、徐冷点が約465℃、歪点が429℃、ガラス転移点が464℃、屈伏点が522℃である。
また、実施例の成形装置10Aは、図示しない機台に固定された受け型20Aと、受け型20Aの上方に対向配置された成形型30Aと、成形型30Aを昇降させるサーボ機構を有する移動手段(図示せず)とを備えている。受け型20Aは、底部22Aが平面状に形成された収容凹部21Aを有し、底部22Aが一辺約17mmの正方形状、内周壁部23の高さが約22mmにそれぞれ形成される。成形型30Aは、角錐台形状の成形キャビティ35Aを有し、開口部32が一辺約11mmの正方形状、成形キャビティ35Aの天面36Aが一辺約6.5mmの正方形状、押圧部31と成形キャビティ35Aの側面37Aとの傾斜角が約83.6°、成形キャビティ35Aの高さが約20mmでそれぞれ形成される。
まず、成形前の状態では、図1に示すように、成形型30Aが移動手段により上昇された後退位置に配置される。溶融ガラス材料Gは、あらかじめ溶融温度約1350℃、溶融時間約5時間で溶融し、約1250℃で約2時間保持して清澄した後、成形温度1150〜1200℃に調整され、図示しない公知のガラス材料切断装置を用いて6〜8gに切断されて、受け型20Aの収容凹部21Aに供給される。供給された溶融ガラス材料Gでは、その上面側が温度的に均質で粘度の均質性も保たれた自由面(非接触面)G2となっている。
次に、図2に示すように、移動手段が成形型30Aを下降(前進)させて受け型20Aに近接させ、成形型30Aの外周壁部33が収容凹部21Aの内周壁部23に摺接されて嵌合される。この時、エア流通部38を介して図示しない真空装置により成形キャビティ35内が真空吸引されて真空状態とされる。
さらに成形型30Aを下降させることにより、押圧部31により収容凹部21Aに収容された溶融ガラス材料Gの自由面(非接触面)G2が押圧される。ここで、成形型30Aの押圧部31が開口部32の外周に形成されて面一とされていることにより、溶融ガラス材料Gを略均一に押圧することができる。また、成形型30Aが受け型20Aの収容凹部21と嵌合していることにより、押圧部31に押圧された溶融ガラス材料Gは上方に位置する成形キャビティ35A内に開口部32を介して押し上げられるので、容易に成形キャビティ35Aへ導入させることができる。そして、成形型30Aがさらに下降され、図3に示すように、溶融ガラス材料Gが成形キャビティ35A内に充填され、圧力22〜50MPaで約3秒間加圧されてガラス成形体60Aが成形される。
上記加圧後、成形型30Aの位置を保持したまま圧力を0MPaとして、ガラス成形体60Aの温度が約450℃となるまで冷却される。次いで、エア流通部38を介して図示しないエア圧縮機により成形キャビティ35内にエアが吐出されると共に、移動手段により成形型30Aが上昇されて受け型20Aと成形型30Aとが離隔され、ガラス成形体60Aが受け型20Aから適宜取り出される。
取り出されたガラス成形体60Aは、徐冷のために約450℃で約30分間保持した後、常温まで冷却され、余剰部62Aを公知の切削加工や研磨加工等で取り除くことにより、図4,5に示すホモジナイザー(ガラス成形品)50が得られる。特に、このホモジナイザー50にあっては、成形表面(下面52や各側面53)にシワ等が形成されることを抑制して均質な面とすることができるため、成形面に対して研磨加工等を施す必要がない。
また、ガラス成形体60Aでは、余剰部62Aを取り除かず、収容凹部21Aの底部22Aに接していた面のみに研磨加工を施して、図6に示すようなつば部56Aを有するホモジナイザー50Aとしてもよい。つば部56Aが形成されることにより、図示しない集光式太陽光発電装置にホモジナイザー50Aを設置する際の安定性が向上すると共に、設置部分の装置内部に埃やゴミ等の異物が進入することを防止することができる。
次に、ガラス成形品(ホモジナイザー)50の具体的な実施例について説明する。以下の実施例において、成形品1,2,3,4は、それぞれ図1〜図3に図示した第1実施例に係る成形装置10によって成形されたホモジナイザーである。また、比較品1,2,3,4は、それぞれ図18〜図20に図示した従来の成形装置100によって成形されたホモジナイザーである。
各成形品1〜4及び各比較品1〜4について、側面の表面粗さ(Ra)の測定を行った。測定箇所は、図5に示すように、側面53の上面51側近傍の第1測定点S1、側面53の下面52側近傍の第2測定点S2である。測定装置は、株式会社東京精密製のサーフコム480Aを使用した。なお、測定時のカットオフ値は0.8mm、表面粗さの単位はμmである。
成形品1について、第1測定点S1の表面粗さは0.909、第2測定点S2の表面粗さは1.081であった。成形品2について、第1測定点S1の表面粗さは0.675、第2測定点S2の表面粗さは0.969であった。成形品3について、第1測定点S1の表面粗さは0.852、第2測定点S2の表面粗さは1.072であった。成形品4について、第1測定点S1の表面粗さは0.745、第2測定点S2の表面粗さは0.854であった。成形品1〜4の表面粗さの平均値は0.895であり、標準偏差は0.1351であった。
一方、比較品1について、第1測定点S1の表面粗さは1.983、第2測定点S2の表面粗さは1.242であった。比較品2について、第1測定点S1の表面粗さは1.254、第2測定点S2の表面粗さは1.102であった。比較品3について、第1測定点S1の表面粗さは1.787、第2測定点S2の表面粗さは1.130であった。比較品4について、第1測定点S1の表面粗さは1.774、第2測定点S2の表面粗さは1.065であった。比較品1〜4の表面粗さの平均値は1.417であり、標準偏差は0.3441であった。
表1の測定結果に示したように、各成形品1〜4の表面粗さは、従来品である各比較品1〜4の表面粗さと比較して大幅に改善されており、表面精度が格段に向上されたことが明らかとなった。
また、各成形品1〜4及び各比較品1〜4について、上面51及び下面52の寸法精度の測定を行った。測定箇所は、上面51の横辺及び縦辺、下面52の横辺及び縦辺である。測定装置は、有限会社シャンテック製の光学式(非接触式)形状測定器を使用した。寸法精度の単位はmmである。
成形品1の上面について、横辺が11.10で縦辺が11.00であった。成形品2の上面について、横辺が11.00で縦辺が11.00であった。成形品3の上面について、横辺が11.00で縦辺が11.00であった。成形品4の上面について、横辺が11.00で縦辺が11.10であった。各成形品1〜4上面の各辺の最大値は11.10、最小値は11.00であり、標準偏差は0.04であった。
一方、比較品1の上面について、横辺が11.10で縦辺が11.00であった。比較品2の上面について、横辺が11.00で縦辺が11.00であった。比較品3の上面について、横辺が11.00で縦辺が10.90であった。比較品4の上面について、横辺が10.90で縦辺が11.00であった。各比較品1〜4上面の各辺の最大値は11.10、最小値は10.90であり、標準偏差は0.06であった。
成形品1の下面について、横辺が6.50で縦辺が6.47であった。成形品2の下面について、横辺が6.50で縦辺が6.51であった。成形品3の下面について、横辺が6.50で縦辺が6.50であった。成形品4の下面について、横辺が6.50で縦辺が6.50であった。各成形品1〜4下面の各辺の最大値は6.51、最小値は6.47であり、標準偏差は0.01であった。
一方、比較品1の下面について、横辺が6.52で縦辺が6.43であった。比較品2の下面について、横辺が6.43で縦辺が6.43であった。比較品3の下面について、横辺が6.48で縦辺が6.43であった。比較品4の下面について、横辺が6.40で縦辺が6.43であった。各比較品1〜4下面の各辺の最大値は6.52、最小値は6.40であり、標準偏差は0.04であった。
表2,3の測定結果に示したように、各成形品1〜4の寸法精度は、従来品である各比較品1〜4の寸法精度と比較してばらつきが少なく、安定した形状を呈していることが明らかとなった。
さらに、各成形品1〜4及び各比較品1〜4について、側面の平面度(WCM)の測定を行った。測定箇所は、図5に示すように、側面53上下方向の第1測定方向L1、側面53の下面52側近傍水平方向の第2測定方向L2、側面53の上面51側近傍水平方向の第3測定方向L3である。測定装置は、株式会社東京精密製のサーフコム480Aを使用した。なお、測定時のカットオフ値は0.8mm、平面度の単位はμmである。
成形品1について、第1測定方向L1の平面度は55.20であった。成形品2について、第1測定方向L1の平面度は65.40であった。成形品3について、第1測定方向L1の平面度は49.20であった。成形品4について、第1測定方向L1の平面度は50.20であった。成形品1〜4の第1測定方向L1の平面度の最大値は65.40、最小値は49.20、平均値は55.00であり、標準偏差は6.42であった。
比較品1について、第1測定方向L1の平面度は80.60であった。比較品2について、第1測定方向L1の平面度は86.60であった。比較品3について、第1測定方向L1の平面度は71.90であった。比較品4について、第1測定方向L1の平面度は98.30であった。比較品1〜4の第1測定方向L1の平面度の最大値は98.30、最小値は71.90、平均値は84.35であり、標準偏差は9.60であった。
成形品1について、第2測定方向L2の平面度は50.30であった。成形品2について、第2測定方向L2の平面度は29.90であった。成形品3について、第2測定方向L2の平面度は59.30であった。成形品4について、第2測定方向L2の平面度は80.20であった。成形品1〜4の第2測定方向L2の平面度の最大値は80.20、最小値は29.90、平均値は54.93であり、標準偏差は18.07であった。
比較品1について、第2測定方向L2の平面度は55.20であった。比較品2について、第2測定方向L2の平面度は40.30であった。比較品3について、第2測定方向L2の平面度は104.00であった。比較品4について、第2測定方向L2の平面度は80.50であった。比較品1〜4の第2測定方向L2の平面度の最大値は104.00、最小値は40.30、平均値は70.00であり、標準偏差は24.33であった。
成形品1について、第3測定方向L3の平面度は44.00であった。成形品2について、第3測定方向L3の平面度は15.90であった。成形品3について、第3測定方向L3の平面度は19.30であった。成形品4について、第3測定方向L3の平面度は26.20であった。成形品1〜4の第3測定方向L3の平面度の最大値は44.0、最小値は15.90、平均値は26.35であり、標準偏差は10.84であった。
比較品1について、第3測定方向L3の平面度は45.70であった。比較品2について、第3測定方向L3の平面度は25.30であった。比較品3について、第3測定方向L3の平面度は99.10であった。比較品4について、第3測定方向L3の平面度は55.50であった。比較品1〜4の第3測定方向L3の平面度の最大値は99.10、最小値は25.30、平均値は56.40であり、標準偏差は26.95であった。
表4〜6の測定結果に示したように、各成形品1〜4の平面度は、従来品である各比較品1〜4の平面度と比較してばらつきが少なく、安定した形状を呈していることが明らかとなった。
以上、図示し説明したように、本願発明の成形方法及び成形装置によれば、受け型と成形型との加圧合接により、受け型の収容凹部の溶融ガラス材料を成形型の押圧部により押圧するとともに開口部を介して成形キャビティに導入して成形するため、ガラス成形品の成形表面にシワ等の不均質な面が形成されることを抑制することが可能となる。これにより、従来に比してガラス成形品の表面精度、寸法精度、平面度等の成形精度を向上させることができ、あわせて、成形表面に対する研磨加工等の工程が不要となるため作業効率が向上する。
次に、他の実施例に係る成形装置について説明する。図7,8に示す第2実施例に係る成形装置10Bは、底部22Bが球面状に形成された収容凹部21Bを有する受け型20Bを備える。なお、以下の実施例において、第1実施例と同一の符号は同一の構成を表すものとして、説明を省略する。
この成形装置10Bでは、図7に示すように、適量の溶融ガラス材料Gが受け型20Bの収容凹部21Bに供給された後、成形型30Aが前進されて受け型20Bに近接される。そして、図8に示すように、受け型20Bと成形型30Aとが加圧合接されると、成形型30Aの押圧部31により収容凹部21Bに収容された溶融ガラス材料Gの自由面G2が押圧され、開口部32を介して成形キャビティ35A内に導入されてガラス成形体60Bが成形される。
成形装置10Bによって成形されたガラス成形体60Bは、収容凹部21Bの底部22Bが球面状に形成されていることにより、表面が球面状に形成された余剰部62Bを有している。この余剰部62Bの球面上表面を適宜研磨加工することにより、図9に示すように、球面状の受光面57Bを有するつば部56Bが形成されたガラス成形品(ホモジナイザー)50Bを得ることができる。このガラス成形品50Bでは、つば部56Bにより集光式太陽光発電装置への設置時の安定性を向上させることができると共に装置内への異物の進入を防止することができ、さらに、球面状の受光面57Bにより効率よく集光することができる。なお、ガラス成形品50Bにあっては、第1実施例のガラス成形品50(50A)と同様に、成形表面(下面52や各側面53)にシワ等が形成されることを抑制して均質な面とすることができるため、成形表面に対して研磨加工等を施す必要がない。
図10,11に示す第3実施例に係る成形装置10Cは、天面36Cが球面状に形成されるとともに連接された側面37Cが逆角錐台形状に形成された成形キャビティ35Cを有する成形型30Cを備える。この成形型30Cは、実施例の成形型30は、同形状の2つのパーツを組み合わせて成形キャビティ35Cの側面37Cを形成する胴型40Cと、開口部32の反対側に合着され成形キャビティ35Cの球面状の天面36Cを形成する上型45Cとを有する割り型からなる。実施例の成形装置10Cにおいて、押圧部31と側面37Cとの傾斜角は約96.4°である。
この成形装置10Cでは、図10に示すように、適量の溶融ガラス材料Gが受け型20Aの収容凹部21Aに供給された後、成形型30Cが前進され、図11に示すように、受け型20Aと成形型30Cとが加圧合接される。これにより、収容凹部21Bに収容された溶融ガラス材料Gの自由面G2が成形型30Cの押圧部31に押圧され、開口部32を介して成形キャビティ35C内に導入されてガラス成形体60Cが成形される。
ガラス成形体60Cは、成形キャビティ35Cの天面36Cが球面状に形成されていることにより、本体部61Cの上面63Cが球面状に形成される。そして、ガラス成形体60Cの余剰部62Cを適宜切削加工や研磨加工することにより、図12に示すように、球面状の上面51Cを有するガラス成形品(ホモジナイザー)50Cを得ることができる。このガラス成形品50Cにおいても、成形表面(上面51Cや各側面53)に対して研磨加工等を施す必要がない。また、このガラス成形品50Cでは、球面状の上面51Cを受光面として効率よく集光することができる。なお、図示しないが、ガラス成形品60Cを得るに際し、ガラス成形体60Cの余剰部62Cを残してつば部を形成してもよい。
図13〜図15に示す第4実施例に係る成形装置10Dは、底部22Dが移動可能な収容凹部21Dを有する受け型20Dと、押圧部31が収容凹部21Dの底部22Dに対向するように配置された成形型30Aとを有し、移動手段(図示せず)により受け型20Dの底部22Dと成形型30Aの双方が移動されるように構成されている。各図において、符号26は底部22Dを構成する第1可動部材、27は第1可動部材26内に摺動可能に嵌挿されて第1可動部材と共に底部22Dを構成する第2可動部材である。なお、第1可動部材26と第2可動部材27は、それぞれ異なる移動手段により移動される。
この成形装置10Dでは、まず、図13に示すように、受け型20Dの収容凹部21Dの底部22Dが下降された前進位置に配置されるとともに、成形型30Aが上昇された後退位置に配置され、収容凹部21Dに適量の溶融ガラス材料Gが供給される。この時、溶融ガラス材料Gは、自由面G2が成形型30Aの押圧部31に対向するように底部22D上に載置される。
次に、図14に示すように、移動手段により成形型30Aが下降(前進)されて、受け型20Dの収容凹部21Dに嵌合される。続いて、図15に示すように、収容凹部21Dの底部22Dが移動手段により成形型30Aに向かって上昇される。この時、底部22Dの第1可動部材26と第2可動部材27とは、それぞれ対応する移動手段を同期させて一体的に上昇するように制御されている。
ここで、底部22Dに載置された溶融ガラス材料Gは、底部22Dとともに成形型30Aに向かって上昇されることにより、自由面G2が成形型30Aの押圧部31に押圧されるため、成形キャビティ35Aに開口部32を介して押し上げられるように導入される。そして、成型キャビティ35Aに溶融ガラス材料Gが充填され、加圧されてガラス成形体60Aが成形される。なお、溶融ガラス材料Gが成型キャビティ35Aに充填された際に、底部22Dの第2可動部材27を個別に圧力制御することにより、ガラス成形体60Aにヒケが発生することを抑制することができる。
成形装置10Dにより成形されたガラス成形体60Aでは、前記したように、適宜切削加工や研磨加工等を施すことによって、ガラス成形品50あるいはつば部56Aを有するガラス成形品50Aを得ることができる。
図16,17に示す第5実施例に係る成形装置10Eは、複数のガラス成形品(ガラス成形体60E)を一括して成形することを可能としたものであって、複数のガラス成形品が成形可能な分量の溶融ガラス材料G5が収容される収容凹部21Eを有する受け型20Eと、複数(図示の例では2つ)の成形キャビティ35A,35Aが形成された成形型30Eとを備える。図において、符号22Eは供給された溶融ガラス材料G5が載置される収容凹部21Eの平面状の底部、62Eはガラス成形体60Eの余剰部である。
この成形型30Eでは、一体形状のつぼ型、あるいは、複数のパーツを組み合わせて形成される割り型等、適宜に構成することができる。図示の例では、複数のパーツを組み合わせて複数の成形キャビティ35A,35Aの各側面37A,37Aを形成する同型40Eと、開口部32の反対側に合着され成形キャビティ35A,35Aの各天面36A,36Aを形成する上型45Eとを有する割り型からなる。また、図示しないが、成形型30Eとしては、単一のガラス成形品を成形するための成形型を適宜組み合わせて構成してもよい。
成形装置10Eでは、図16に示すように、適量の溶融ガラス材料G5が受け型20Eの収容凹部21Eに供給された後、図17に示すように、成形型30Eが前進されて受け型20Eと加圧合接される。これにより、溶融ガラス材料G5の自由面G2が成形型30Eの押圧部31に押圧され、各開口部32,32を介して各成形キャビティ35A,35A内に導入されてガラス成形体60Eが成形される。
このガラス成形体60Eは、余剰部62Eを適宜切断するとともに、切削加工や研磨加工等を施すことによって、複数(図示の例では2つ)のガラス成形品50あるいはつば部56Aを有するガラス成形品50Aを得ることができる。また、このように複数のガラス成形品50(50A)を一括して形成した場合であっても、成形表面(下面52や各側面53)に対して研磨加工等を施す必要がないことはいうまでもない。
このように、第2〜第5実施例に係る成形装置10B〜10Eにおいても、第1実施例の成形装置10Aと同様に、ガラス成形品の成形表面にシワ等の不均質な面が形成されることを抑制することが可能となるため、従来に比してガラス成形品の表面精度、寸法精度、平面度等の成形精度を向上させることができるとともに、作業効率を向上させることができる。
なお、本発明のガラス成形品の成形方法及びその装置は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、実施例では、ガラス成形品を集光式太陽光発電用のホモジナイザーとしたが、これに限定されず、光学系のレンズやプリズム等の加圧成形可能な適宜のガラス成形品を成形することができる。
また、第1〜第3,第5実施例では、成形装置の受け型を機台に固定し、その上方に成形型を配置して、移動手段により成形型を昇降させる構成としたが、上方に配置した成形型を機台に固定し、その下方に配置された受け型を移動手段により昇降させて成形するように構成してもよい。さらに、受け型と成形型とを左右方向に配置して、移動手段により受け型と成形型のいずれか一方又は双方を左右方向に移動させるように構成することもできる。
さらに、第5実施例では、2つのガラス成形品を一括して成形する構成としたが、必要に応じてそれ以上の個数のガラス成形品を一括して成形するように構成してもよい。その場合、成形型では、複数の成形キャビティを直列状に形成したり(例えば、ガラス成形品を4つ形成する場合は、成形キャビティを4つ直列に形成する)、所定個数の成形キャビティを一組として並列状に形成する(例えば、ガラス成形品を4つ形成する場合は、成形キャビティを2つずつ並列に形成する)等、適宜に構成することができる。また、成形キャビティの形状は、全て同形でも構わないし、それぞれ異なる形状としても構わない。