JP5248740B2 - 精密ガラス球の製造方法及びガラス光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズ等の光学素子の成形に用いるガラス素材(プリフォーム)などとして用いられるガラス球の製造方法であって、重量精度よく予備成形され表面に光学的不均一層を有さない精密ガラス球の製造方法、及びこの精密ガラス球を用いたガラス光学素子の製造方法に関する。
所望の光学素子の最終形状をもとに、精密な形状加工を施した成形型を用いることによって、ガラス素材をプレス成形(以下、精密モールドプレスという)し、レンズなどのガラス光学素子を得る方法が知られている。この方法は、非球面を有する光学素子や、微細なパターンを有する光学素子など、研削、研磨方法によって成形することが困難な光学素子の製造に、極めて有利である。
このような精密モールドプレスに用いるガラス素材として、所定の形状や重量に予備成形されたものを用いることが知られている。そのようなガラス素材の製造方法として、以下の方法が知られている。
溶融ガラスをガラス塊として固化させた後、切断や研削、研磨加工等の冷間加工によって、一定の重量及び/又は一定形状のガラス素材に分割する方法がある。例えば、ガラスブロックを切断加工することにより立方体形状のガラス素材を得、又は、ガラスロッド状に加工した上で所定長さに切断加工することで円柱状の素材を得ることができる。更に、これを研削や研磨加工して所定重量や所定形状とすることも可能である。
特許文献1(特開昭61-261225号)には、ガラスゴブを研磨してガラス球を形成し、このガラス球を加圧加熱成形することで、光学素子を得る方法が記載されている。
特許文献2(特開平6-227828号)には、硝材を切断して体積管理されたガラス予備素材を用意し、遠赤外線によって熱間加工して概略球形状とし、更にこれを球体状に研削加工するガラス素材成形法が記載されている。
特許文献3(特許2746567号)には、溶融ガラスを流出パイプから滴下し、これを凹部を有する成形型で受け、気体により浮上させながら凹部の内面と実質的に非接触の状態で球形状に成形する方法が開示されている。この方法によれば、予備成形されたガラス素材は、表面にキズや汚れ等の欠陥のない、重量精度の高いガラス素材を得ることができる。
特開昭61-261225号 特開平6-227828号 特許2746567号
しかしながら、上記方法には以下の問題がある。ガラス塊から冷間加工のみで精密モールドプレス用のガラス素材を得る方法では、大寸法、(例えば、外形50cm以上)のガラスのブロックから、小寸法(例えば、数mm〜20mm程度)のガラス素材を製作するため、その加工工程数が多くなる。また、ガラスブロックから所定の寸法や形状に加工する際の加工シロ量が、最終的に得られるガラス素材量に対し、その体積比で約1/5〜1/2以上と大きな量を占める。そのため、加工時間がかかり、さらには、加工消費材や加工廃棄物(再利用の困難なガラス研磨屑、または、研磨材や研磨スラリー)量が大きくなる。特に、光学ガラスの多くは、所望の光学特性を得るために、遷移金属酸化物や重金属酸化物を含有することが多いため、廃棄や処理が環境負荷となる問題が生じる。また、ガラス素材は立方体や円柱であって、成形しようとする光学素子と形状が大きく異なり、また表面の平滑性も十分では無いため、成形効率が悪く、また面精度などの光学性能も不充分であった。更に、形状や平滑性の問題を解消するため、このガラス素材を研磨加工して球形状とすることができるが、研磨シロが大きく、生産効率が悪い上、研磨粉の排出量が大きくなるという問題もある。
特許文献1に記載の方法では、形状が不均一(いびつ)で表面も平滑でないガラスゴブを原料として、これを所定形状に研磨しており、上記ガラス塊を切断や研削などで冷間加工する方法と同様に、研磨シロが大きく、生産効率が悪い上、研磨粉の排出量が大きくなるという問題もある。
特許文献2に記載の方法では、(1)ガラス材料を一定体積の円柱状に切断加工する工程、(2)遠赤外線を用いてガラス軟化点以上に加熱することにより概略球形に変形加工する工程、(3)球体にするためのバレル加工する工程、(4)表面を鏡面にするために鏡面加工する工程、といった多数の工程を経る必要がある。また熱処理により概略球形に加工するとの記載がある。しかし、この概略球状体のガラス素材は、治具との接触などのために、特許文献2の図6(本願の図7に同様の図を示す)に示すような、円筒側面と2つの擬球面からなる形状であり、球体とはかなり異なった形状を示す。そのため、その後、冷間加工を複数工程行う必要が生じ、その加工代は、外径で1.2mm以上、重量で44%以上となり、かなり大きくなるという問題がある。
特許文献3に記載の方法で球形のガラス素材(球プリフォーム)を得る場合にも、以下の問題がある。
ガラス素材が揮発性の成分を含む場合、滴下、成形されたガラス素球に表面脈理が生じる場合がある。これは、ガラス素球成形工程中にガラス表面で生じるガラス成分の揮発のため、表面組成が内部と僅かに異なることに起因する、屈折率の不均一性が原因しているものと考えられる。例えば、低分散硝材(例えば、アッベ数νdが60以上)であるフツリン酸塩ガラスにおいては、フッ素の揮発に起因して、ガラス素球に表面脈理が極めて生じやすい。また、ガラスの骨格成分としてホウ酸を含む場合にも、ホウ酸の揮発のために表面脈理が生じやすい。また、精密ガラスモールドに適した光学ガラスを得るために、軟化温度を下げる有効な成分としてアルカリ成分を含めることがあるが、この場合にも、アルカリ成分は揮発性であり、ガラス素球に表面脈理を生じる原因となる。
更に、高屈折率硝材(例えば屈折率ndが1.7以上の硝材)では、高屈折率成分が多量に含有されるため、必然的にガラスの骨格成分が少なくなり、液相温度が高くなる。また、軟化温度も高くなる傾向があるので、アルカリ成分を多く含有させ、軟化温度を下げる必要がある。一般に、アルカリ成分を多く含有すると、ガラスの熱的安定性が低下するので、益々液相温度が高くなってしまう傾向がある。このような光学ガラスを用いてガラス素球を熱間成形する場合、結晶化を防ぐため、液相温度以上で流出させる必要がある。流出温度が高いと、その間に揮発するガラス成分量は無視できない程多くなり、表面脈理の原因となる。また、流出温度が高いために溶融ガラスを成形するときのガラス粘度が低くなるので、滴下時の衝突の際や溶融ガラスを回転させて球状化する際にガラス素球表面に気泡が入りやすい。このような、成形操作によって生じる気泡は、ガラス素球の極表面に生じやすい。滴下時に低粘性である光学ガラスは、特に高屈折率硝材に多い。
以上のようなガラスの特性により、特許文献3に記載の方法では、表面近傍に脈理や泡を含んだ光学的不均一層の生成が起きやすく、量産化が可能なガラス組成が限られる問題があった。また、このように、表面脈理や表面の気泡のような光学的不均一層を表面に有するガラス素球を用いると、得られたガラス光学素子の光学的性能に悪影響を及ぼすことがある。
特に、高密度光情報記録再生用のピックアップレンズや、小型又は薄型撮像機器(デジタルカメラ用レンズ、携帯電話搭載カメラレンズ)のレンズにおいては、高屈折率の、高付加価値硝材が多用され、またそれらには高い品質が要求される。そのため、このような光学素子を成形するためのガラス素材として、上記のような光学的不均一層を有するガラスプリフォームでは、所望の品質を有するガラス光学素子が得られない場合があった。そこで、光学的不均一層の無いガラスプリフォームを得ることが課題であった。
そこで本発明の目的は、光学的不均一層を有さないガラスプリフォーム(ガラス素材)を簡便な方法で提供することにある。さらに本発明は、光学的不均一層を有さないガラスプリフォーム(ガラス素材)から、光学的性能の優れたガラス光学素子を製造する方法を提供することに有る。
本発明は、上記の課題解決を目的とする。
(1)得ようとする光学素子形状を基に精密形状加工を施したプレス成形用成形型を用いて、加熱して軟化したガラス素材をプレス成形してガラス光学素子を得ること含む、ガラス光学素子の製造方法において、
上記ガラス素材として、溶融ガラスをテーパ状に形成され、テーパ角度が5〜40°の範囲である凹部を有し、かつ前記凹部の底部に1個の気体噴出口を有する受け型の受け部上に滴下させ、滴下した溶融ガラス塊を上記受け部から上記受け型の上記凹部に収容し、上記受け型の上記凹部上で上記受け型の表面に上記溶融ガラス塊が瞬間的接触を繰り返して回転しながら成形することで表面うねりが50μm以下であるガラス素球を形成する工程、及び
前記ガラス素球の表面から5〜500μmの深さの範囲のガラスを研磨加工により除去することで、前記ガラス素球の表面上の光学的不均一層を除去して光学的不均一層を有さないガラス球(以下、精密ガラス球という)を得る工程を含む方法で製造された精密ガラス球を用いること、並びに
前記研磨加工は、砥粒径が0.01〜100μmの範囲の酸化アルミニウム、酸化セリウムまたは酸化ジルコニウムの研磨砥粒を用いて行なわれる、
前記ガラス光学素子の製造方法。
(2)前記ガラス素球が、液相温度における粘度が50dPa・s以下の光学ガラスからなることを特徴とする、(1)に記載の製造方法。
(3)前記ガラス素球が、フツリン酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、又はホウ酸塩ガラスからなることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれかに記載の製造方法。
(4)前記ガラス素球が、液相温度が900℃以上の光学ガラスからなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記ガラス素球が、屈折率ndが1.7以上、または分散νdが60以上の光学ガラスからなることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記光学的不均一層が、脈理又は気泡を含む層であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
本発明では、所望の精密ガラス球の寸法よりわずかに大きいガラス素球を、溶融ガラスを滴下することにより形成し、表面に生じた光学的不均一層を研磨により除去することによって精密ガラス球を作製する。溶融滴下によって得られる溶融ガラス塊を受け型上で成形することで、略十分な表面平滑性を有するガラス素球を形成でき、かつ、精密モールドプレス用のガラス素材としての形状精度もその変動は公差内であり、寸法のみが最終仕上寸法よりわずかに大きいものが容易に得られる。従って、研磨加工は、光学的不均一層相当分を表面から除去する分のみでよく、研磨シロが小さいため、作業効率、排ガラススラリーの少量化の点で対環境性の点で有利である。また、精密モールドプレスに供するガラス素材の生産過程で、熱間成形によるガラス素球に光学的不均一層が生じることを、量産の過程を通じて排除することは、硝材によっては困難であるが、本発明によれば、光学的不均一層のないガラス素材を精密モールドプレスに供することができるため、量産上の意義は大きい。
本発明の精密ガラス球の製造方法は、溶融ガラスを滴下させ、滴下した溶融ガラス塊を受け型上で成形することでガラス素球を形成する工程、及び前記ガラス素球の表面上の光学的不均一層を除去して光学的不均一層を有さないガラス球(精密ガラス球)を得る工程を含む。
本発明においては、まず溶融ガラスを滴下させ、滴下した溶融ガラス塊を受け型上で成形することで、ガラス素球を得る。溶融ガラスは、ガラス原料を溶融し、清澄、均質化したものを直接用いてもよく、又は、ガラス原料を溶融し、清澄、均質化後、光学恒数を管理したカレットを形成したのち、このカレットを溶融してもよい。
溶融ガラスの滴下は、溶融ガラスを流出パイプから滴下させることにより行うことが好ましく、滴下する溶融ガラスは所定単位に分離して、ガラス塊として受け型によって受けられる。滴下とは、以下の態様を含む。すなわち、ガラス塊への分離を、例えば、ガラス滴として受け型上に自然落下させること、または、ガラス流を受け型上に流下してから表面張力によって、または表面張力と重力または受け型の下降によって、若しくは切断手段によって分離することにより行うことができる。
ガラス塊のガラス素球への成形は、受け型上で、受け型から噴出する気体により、常時又は一時的に浮上させながら行われることが好ましい。ガラス塊の気体による浮上状態は、受け型表面との接触を全く排除するものではなく、噴出する気体により支えられながら受け型表面との瞬間的接触を繰り返す状態を含む。このような方法で成形されるガラス素球は、表面うねりを有する場合であっても、50μm以下の表面うねりである。
ガラス塊をガラス素球に成形するには、例えば、図1又は図2(a)〜(d)に示すような装置を用いることができる。
図1の装置では、溶融ガラス2を、白金などの流出パイプ1から自然滴下させ、又は切断刃で切断することによって落下させ、溶融ガラス塊3を受け型4の凹部5で受ける。流出パイプ1は、周囲に設けられたヒータ6によって適切に温度制御することができる。溶融ガラス塊3を受け型4の凹部5で受ける際には、凹部5に設けられた細孔7から気体を吹き出し、溶融ガラス塊3が浮上状態で凹部5との間に気体の層を作る。このようにして、溶融ガラス塊3の表面が軟化点以下の温度に達するまで、溶融ガラス塊3と凹部5とが実質的に非接触状態として保持する。
図2の装置では、流出パイプ11から落下する溶融ガラス2を受け型の受け部によって受け、その後、ガラス塊13は受け型14の凹部15に収容される。この際、凹部15には気体を噴出す細孔17が設けられており、気体Aにより収容されたガラス塊13が浮上し、凹部15内面と実質的に非接触の状態で、ガラス表面が軟化点以下となるまで保持されて、成形される。
上記いずれの装置の場合も、前記受け型の凹部はテーパ状で、そのテーパ角度は、滴下ガラス塊の量とガラスの粘性により最適な範囲に設定することができる。テーパ角度は、概ね、5〜40°の範囲が適当である。テーパの内面は、ガラス素球の表面を平滑面にするために、鏡面仕上げ加工することが望ましいが、本発明の工程では、ガラスが付着や融着しない表面性状であれば、必ずしも鏡面でなくてもよい。噴出気体の種類は、空気でも良いがガラス塊表面と反応しない気体が好ましく、例えば、窒素やヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスおよびそれらの混合ガスなどを用いてもよい。
流出パイプのノズル内径は0.2〜10mmであることができ、流出パイプの温度は適切に管理され、流出パイプから体積精度よく、一定の流量でガラスが滴下するよう、粘度の調節を行う。滴下時のガラス粘度は、1〜80dP・sであることが好ましく、より好ましくは2〜50dPa・sである。成形するガラス素球は、径が1〜10mm程度のものが作製できる。特に、小径(1mm〜5mm)の場合には、ノズル内径を0.2〜3mmとすることが好ましい。このような流出パイプから順次、連続的にガラス滴を滴下することが好ましく、これを受ける受け型は複数とし、それぞれが順次滴下位置に配置し、ガラスを受けたのちに流出パイプ下から退去し、気体によりガラス塊を浮上状態で成形することができる。
滴下するガラス量の制御方法は、溶融ガラスの流出パイプ温度を制御するなどの公知の方法で行われる。また、滴下するガラス量は、光学素子のプレス成形を行う際の所望プリフォーム量(精密ガラス球の寸法)より所定分でだけ増加させた量とする。即ち、ガラス素球は、次の工程で、光学的不均一層を除去されるので、精密ガラス球より少なくとも光学的不均一層除去分だけ大きく作製することが適当である。例えば、滴下するガラス形状が球の場合、滴下、成形したガラス素球の寸法は、所望の精密ガラス球半径に対して、5〜500μmほど大きな半径となるように制御することができる。また、ガラス塊を連続的に滴下して、多数個のガラス素球を連続的に成形する場合、ガラス素球の寸法バラツキは、上記したガラス素球の目標半径に対して、寸法精度として、±5%以内とすることが好適である。
ガラス素球は、球状または偏平球状に成形されたものであることができる。すなわち、球研磨工程で、転動研磨方式で加工することができる程度の真球度または形状精度であることが好ましい。また、扁平球状のように形状に長短差がある場合でも、楕円率 (長径をa 、短径をbとすると、楕円率θ=sin-1(a/b)で定義される) が60°以上であることが、研磨盤上で転動させるのに好適であるという観点から好ましい。長径と短径の差は、500μm以下が好ましい。
前記ガラス塊の受け型上での浮上状態とは、前述のように受け型表面との接触を全く排除するものではなく、噴出する気体により支えられながら受け型表面との瞬間的接触を繰り返す状態を含む。このようにして、前述のように、表面うねりが50μm以内であるガラス素球が得られる。
上記工程を前記したガラスに適用し、ガラス素球を成形した場合は、表面に光学的不均一層が形成されることが多く、成形条件を厳密に最適化したとしても量産過程を通じて光学的不均一層の生成を完全には避けられない。ここで、光学的不均一層とは、例えば脈理又は気泡を含む層など、屈折率、表面反射率又は透過率がガラス内部と異なる層をいう。脈理とは、ガラス組成やガラス密度の不均一により、屈折率が部分的に不均一になる部分を言う。精密モールドプレスに用いるガラス素材(例えば球形状のガラスプリフォーム)に脈理があると、プレス成形後の光学素子(例えばレンズ)に、屈折率、透過率又は反射率が不均一な部分が残り、光学性能が劣化する。よって、素材であるガラス素球には、光学的不均一層が含まれてはならない。
しかしながら、発明者らの検討により、ガラス組成によっては、表面近傍に脈理が生じやすい傾向があることが見出された。例えば、揮発性成分を含む光学ガラスを用いた場合である。このようなガラスとしては、フツリン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスが挙げられる。フツリン酸塩ガラスは、表面近傍においてフッ素がフッ酸として揮発するため、表面に内部とは組成の異なった層が形成され、屈折率の不均一を生じやすい。また、ガラスの骨格成分としてホウ酸を含む場合(例えばホウ酸ランタン系ガラスなど)にも、ホウ酸の揮発のため表面脈理が生じやすい。更に、ガラス軟化点を下げるために添加するアルカリ成分(特にリチウムが有効である)も揮発成分であるため、同様の問題が生じやすい。
更に、高い液相温度をもつ硝材が挙げられる。例えば、液相温度が900℃以上、具体的には900〜1200℃の範囲にある硝材である。特に、高屈折率硝材(例えば屈折率ndが1.7以上の硝材)においては、高屈折率成分として、Ti、Nb、W、Biなどの高屈折率成分を多量に含有している一方、ガラスの安定性に寄与するガラス骨格成分量が、他の硝材より相対的に少ない。例えば、骨格成分(ケイ酸、ホウ酸、又はリン酸)の合計量が、50wt%以下の処方によって製造された光学ガラス、更に極端な場合には、25%wt%以下の場合においては、この傾向が顕著である。このような光学ガラスは、液相温度付近の高温で流出するため、受け型に滴下されて固化するまでのガラス成分の揮発量が多くなり、表面脈理を生じやすい。
更にリン酸塩系のガラスにおいては、滴下の為の流出パイプに用いられる白金との濡れ性が高いため、流出パイプ先端にガラスが濡れ上がる現象が生じる。このとき、流出パイプ先端付近に付着し、滞留したガラスは、揮発等によって組成変化しつつ、新たに流出するガラス中にわずかに混入するため、滴下されるガラス表面の組成を不均一に変動させる。このような場合にも、プリフォーム表面には脈理が形成されやすい。
光学的不均一層として、プリフォーム表面の気泡も問題となる。溶融状態のガラスの滴下時のガラス粘度が低い場合、滴下したガラス滴が受け型に接触する際の衝撃、又は、噴出する気流によって運動する際の衝撃によって、ごく表面に気泡が生じやすい。特に、液相温度における粘度が20dPa・s以下の光学ガラスにおいてこの問題が生じやすい。これらの光学ガラスは、上記と同様の高屈折率硝材において、低粘性での滴下を行うことが多いため、高屈折率硝材に気泡対策が特に必要である。
ガラス素球が、直径5mm以下の小径である場合には、更に安定にプリフォーム成形が可能な条件範囲が狭い傾向がある。
上記のような硝種を用い、または上記のような条件で滴下、成形したガラス素球は、その表面から500μm以内の深さに光学的不均一層を生じることが多く、光学的不均一層を無くそうとすると、成形条件の最適化に長時間を要したり、流出させることの限界に近い条件となって途中で停止するなど、歩留が悪くなる。また、ガラスによっては、適当な条件が全く無いものもある。このようなガラス素球をプリフォームとして用い、レンズ等の光学素子を得るため、精密モールドプレスに供すると、プレス成形された光学素子の表面に、光学的不均一層が残ってしまい、それらは、透過波面歪の発生や透過率の低下、光散乱の増加等々を引き起すため、光学素子の光学性能を低下させてしまう。
しかしながら、このように滴下、成形されたガラス素球は、表面形状の不均一(表面うねり)は小さく、表面に形成した光学的不均一層を除けば、プレス成形用ガラスプリフォームとして用いても、十分な性能を有するものである。すなわち、本発明のガラス素球は、表面うねりが50μm以下である。ここでいう表面うねりは、JIS B 610 規格による、最大表面うねりとし、例えば、500μmの基準長さを切り取った部分についての値で表現する。
そこで、本発明では、ガラス素球に残存する光学的不均一層を除去する目的で、光学不均一層の厚み相当のガラスを、例えば、表面研磨によって除去し、光学不均一層を有しない精密ガラス球を得る。尚、精密ガラス球は、そのままガラスプリフォームとして用いることができる最終仕上寸法に加工する。また、ガラス素球の表面は、一定の厚みで均一に除去することで行うことが好ましい。
研磨加工方法については、特に制約はない。しかしながら、上記ガラス素球は、転がるのに十分な球状に形成されているので、光学的不均一層の除去は、研磨盤を用いた転動加工によりを行うことが好ましい。光学的不均一層は、通常、表面から500μm以内の部分に存在する。従って、研磨加工による除去量は、500μm以内とすることができる。また、ガラス素球の寸法は、この光学的不均一層分を除去することから、プレス成形する際の所望のプリフォーム径(最終仕上げ寸法)より、半径で5〜500μmほど大きな径で成形されることが適当である。
上記研磨工程は、例えば、図3Aに示すように、(1)粗研磨、(2)精研磨、(3)仕上げ研磨の3つの工程とすることができる。研磨シロは、前述のように5〜500μmとすることが適当である。また、ガラス素球の光学的不均一層厚が小さい(100μm程度以下の)場合は、粗研磨を省略し、図3Bに示すように、精研磨と仕上げ研磨とすることが好ましい。さらに光学的不均一層厚がより小さい(10μm程度以下の)場合は、粗研磨、精研磨を省略し、図3Cに示すように、仕上げ研磨のみとすることができる。
研磨方法は、例えば、転動研磨方式で行うことができる。転動研磨は、回転する2つの研磨盤に球体を挟み、球体を転がしながら研磨する方法である。研磨盤は2つの平面盤で挟む方式(両平面盤方式、図4参照)、もしくは、片側の研磨盤の表面に溝(例えば、図5ではV溝、V溝盤方式)を設けて、溝内側面ともう一方の研磨盤の平面部で挟み、溝内に素球を通らせる方式(図5参照)を用いることができる。後者の場合、素球は、平面盤と、溝内側面との3点で支持されながら、溝内を転動することで研磨される。そのため、球体は溝の中で自転しながら、その自転軸が変化し、球表面の凸部が主に研磨除去され、さらに、研磨が進むと、一様に研磨されるようになり、徐々に、球体の寸法精度および形状精度が高くなる。尚、研磨盤の表面に設ける溝は、V溝に限らず、溝内の2つの側面で素球を支持できる形状の溝であれば良い。
本発明の光学的不均一層除去のための研磨工程におけるガラス素球の粗研磨では、比較的研磨速度の速い、両平面盤方式を採用することができ、また、精研磨および仕上げ研磨では、寸法精度や形状精度を高くできる、V溝盤方式とすることが好適である。
研磨砥粒は、本発明のガラス素球は光学ガラスであるので、研磨速度や表面品質を高める上で、酸化アルミニウムや酸化セリウム、酸化ジルコニウムが好ましい。また、砥粒径は、0.01〜100μm程度のものを研磨工程に応じて用い、仕上げ研磨では、5μm以下のものを使用するのが好ましい。特に、表面粗さやスクラッチ・ディグを小さくしたい場合には、砥粒径1μm以下のものを使用する。また、砥粒としては、コロイダルシリカや炭化ケイ素、ダイヤモンドなどを用いることもできる。
研磨加工液は、これらの砥粒を水またはアルカリ水溶液と混合し、かつ懸濁し、スラリー状にしたものを用いることができる。加工液は、研磨盤上に、滴下または噴霧により適宜供給することができる。
研磨条件は、球体1個あたりの研磨荷重5〜20gf/個の範囲とし、研磨盤の回転数を100〜300rpmの範囲とすることができる。これらの条件は、研磨するガラス素球の数量や寸法、ガラス組成に応じて、適宜調整を行うことができる。
研磨速度(除去速度)は、例えば、1〜200μm/hr程度とすることができる。平面盤方式は、溝付研磨盤方式に比べ、研磨速度は大きいので、粗加工に適する。溝付研磨盤方式では、研磨速度を10μm/hr以内と小さくできるので、研磨時間により研磨量(寸法加工)を精密に制御できるという利点が有る。さらに、溝付研磨盤方式は、球の形状精度(表面うねり、球の輪郭度(真球度))を高精度に加工できるため、仕上げ研磨に適する。
したがって、溝付研磨盤方式を熔融滴下成形ガラス素球の研磨加工に用いることによって、球体の表面に存在する光学的不均一層を最小限の研磨シロ(研磨除去量)で、確実に除去することができる。
このような研磨加工により、表面の光学的不均一層(およそ5〜500μm厚)に相当する部分を除去する。より好ましくは、10〜100μmを研磨シロとすることが好ましい。研磨加工によって得た精密ガラス球は、精密モールドプレスに供するガラスプリフォームとして使用することができる。
精密ガラス球の最終仕上寸法は、精密モールドプレスによって得ようとする光学素子の体積を基に決定することができる。具体的には、得ようとする光学素子の体積に、芯取り加工などにより、プレス成形後に除去する体積分を加えて、精密モールドプレスに供するガラスプリフォームの体積を求めることができる。例えば、図6に示すように、ガラス素球の寸法は、最終研磨寸法(最終仕上寸法)と光学的不均一層を含む厚みの合計とする。
本発明では、先行技術で必要としたガラスの切断工程などは必要としない。従って、切断工程やスライシングによって生じる、ガラスの潜傷、ワレなどが無いため、研磨シロを大きくとる必要はない。光学的に略十分な平滑性をもったガラス素球の表面から、光学的不均一層を含む厚みに相当する部分を、研磨によって除去する。これによって、研磨工程が著しく効率的であるのみでなく、研磨によって生じるガラス粉はごく少量である。
本発明が適用できるガラス組成には特に制約はないが、上述の、光学的不均一層を生じやすい硝材では本発明の効果が顕著である。具体的には、屈折率ndが1.7〜2.2である光学ガラスまたは分散νd60〜95である光学ガラスが挙げられる。また、ガラス組成として上述のものが挙げられ、更に、液相温度範囲が上述のものにおいて本発明の効果が高い。例えば、液相温度におけるガラス粘度が50dPa・s以下であるガラス、特に20dPa・s以下であるようなガラスにおいて、本発明は有効である。
ここで、液相温度とは、固体のガラスを所定範囲の速度で昇温し、各温度に保持した場合、結晶が析出しない最低の保持温度を意味する。所定の速度とは、例えば、1〜50℃/分である。
本発明は、ガラス光学素子の製造方法を包含する。この製造方法は、得ようとする光学素子形状を基に精密形状加工を施したプレス成形用成形型を用いて、加熱して軟化したガラス素材をプレス成形すること含み、上記ガラス素材として、前記本発明の製造方法で得られた精密ガラス球を用いることを特徴とする。
次に、本発明による精密ガラス球を、精密モールドプレス用のガラスプリフォームとして用い、プレス成形によって光学素子を得る工程について説明する。
成形型は、母材として例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素などのセラミック、又は超硬合金など、耐熱性や十分な硬度をもった緻密な素材を所望の光学素子の面形状を基に、精密加工し、鏡面としたものであることができる。成形面には、離型性を有する膜を形成することが好ましい。離型膜としては、炭素を主成分とするもの、貴金属を主成分とするもの、などを用いることができる。
例えば、成形に適した粘度に加熱軟化したガラスプリフォームを、上下の成形型間で、適切な荷重をかけてプレス成形し、成形面を転写する。成形面との密着を維持したまま、転移点付近、好ましくは転移点以下まで所定の冷却速度で冷却し、離型し、プレス成形品を取出す。このとき、成形素材を上下の成形型間に配置してから、成形型と共に昇温、加熱(例えばガラス粘度で108〜1012dPa・sに相当する温度に)してもよく、又は、成形型の外で加熱(例えばガラス粘度で106〜109dPa・s相当の温度に)したプリフォームを加熱した成形型間に供給し、プレス成形してもよい。後者の場合は、成形型の外で加熱した成形素材を、それより低い温度に加熱(例えばガラス粘度で108〜1012dPa・s相当の温度に)した成形型間に供給し、ただちに上下成形型を接触させ、荷重をかけてプレス成形することができる。
荷重を維持したまま、又は荷重を減じた状態で、成形された光学素子と成形型の密着を保ち、ガラスの粘度で1012ポアズ相当の温度以下になるまで冷却したのち、上下成形型を離間し、離型する。離型は、1012.5〜1013.5ポアズ相当の温度で行うことが好ましい。
本発明を適用して成形する光学素子の形状には特に制約はない。但し、両凸レンズ、凸メニスカスレンズの場合には、球プリフォームを用いることが特に有利であるため、本発明の効果が高い。また、本発明により得られる精密ガラス球を、光通信用ボールレンズ、ロッドレンズ、光ピックアップ用半球レンズなどに適用してもよいことは言うまでもない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
ホウ酸ランタン系(B2O3- La2O5系)ガラスA(ガラス成分としてB2O3を21wt%、La2O3を35wt%含有、屈折率nd1.80 、υd 40)を用いて、精密モールドプレス用プリフォームとなる精密ガラス球を製作した。まず、上記ガラスの原料を熔融、ガラス化したのち、清澄、均質化して固化し、屈折率を精密に管理したカレット材を作製した。これを適量、ガラス熔融槽で再び熔融し、流出させ、滴下、成形した。
ガラス素球の作製には、図1に示す装置を用いた。
滴下、成形されたガラス素球を冷却後に調べたところ、表面から90μmの範囲内に脈理が確認された。ホウ酸ランタン系であるため、滴下成形した際、ガラス表面からの揮発が顕著であったためとみられる。表面脈理を抑制できるような成形条件にて、継続的に安定に成形することは容易ではなかった。尚、ガラス素球の表面うねりは、10〜20μmであった。滴下成形するガラス素球の寸法を、最終仕上げ寸法φ2.700mmより、直径で0.300mmほど大きな寸法のφ3mmになるように滴下するガラスの量を調整した。
次に、滴下成形したガラス素球の表面脈理を研磨除去する工程を行った。本実施例の研磨加工は、(1)粗研磨、(2)精研磨、(3)溝付研磨盤方式(本実施例ではV溝研磨盤方式)による仕上げ研磨の3つの工程を行った。
まず、粗研磨は、図4に示す平面研磨盤方式で行った。直径φ3mmのガラス素球を2つの平面研磨盤で挟持して研磨装置にセットした。研磨液は、炭化ケイ素(#400番、粒径75μm程度)を水に混合したものを用いた。粗研磨では、表面脈理を除去することを目的とした。研磨速度は研磨盤回転数や研磨荷重を調整し、100μm/hrとした。研磨除去量は球半径あたり0.1mmになるように研磨時間を制御した。その結果、ガラス素球寸法(直径)は、粗研磨前φ3.0mmであったものが、研磨後、平均φ2.8mmとなった。
続いて、図5に示すV溝盤方式で精研磨工程を行った。直径φ2.8mmのガラス素球を下盤のV溝にセットし、平面研磨盤を上盤に乗せ、上盤及び下盤で挟持して研磨装置にセットした。研磨液は、酸化アルミニウム(#2000番、粒径19μm程度)を水に混合したものを用いた。研磨速度は、研磨盤回転数や研磨荷重を調整し、30μm/hrとした。精研磨では、研磨後の寸法がφ2.710mm、最終仕上げ寸法より0.01mmほど大きな寸法なるようにした。よって、研磨除去量は、球半径あたり0.045mmになるように研磨時間を制御した。その結果、ガラス素球寸法(直径)は、粗研磨前φ3.0mmであったものが、研磨後では、φ2.710mmとなった。
さらに、仕上げ研磨工程を行った。研磨液は、酸化セリウム(粒径0.5〜1.0μm程度)を水に混合し、V溝に注液した。研磨速度は、研磨盤回転数や研磨荷重を調整し、5μm/hrとした。仕上げ研磨では、研磨後の寸法が、最終仕上げ寸法φ2.700mm±0.001mm以内になるようにする必要がある。よって、研磨除去量が球半径あたり0.005mmになるように研磨時間を制御した。研磨時間を精密に制御した。その結果、ガラス素球寸法(直径)は、精研磨前φ2.710mmであったものが、研磨後では、最大φ2.7002mm、最小φ2.7000mm、平均φ2.7001mmと、目的の最終仕上げ寸法に対し、加工誤差は±0.0005mm以内と高精度な球プリフォームが得られた。
このようにして得たプリフォームを、精密モールドプレスに用いて、光ピックアップ用対物レンズ(青色レーザ光ピックアップ用高NA対物レンズ)を成形した。
(成形レンズの設計と仕様)
なお、本実施例で設計したレンズは凸メニスカスレンズであって、設計波長λ405nm、NA0.85、焦点距離1.77mm、作動距離0.6mm、レンズ外径φ3.7mm、有効径φ3.0mm、レンズ中心肉厚2.0mm、第1面の曲率半径1.35mm、第2面の曲率半径6.43mmの両非球面形状を有する無限系単玉レンズである。
なお、レンズの外観品質としては、レンズ表面の屈折率不均一性(ガラスの表面脈理)に起因する性能の低下、例えば、透過波面歪やレンズ反射光量の不均一性もしくは局部的増大など、光ピックアップの集光性能を低下させる要因に対し、非常に高品質にする。実際、レンズ表面の脈理は、可視光で拡大検査した場合、観察されないようにする。
また、レンズ設計においては、レンズ性能および精密ガラス成形性を考慮し最適設計したが、設計波長が405nmと小さく、また、NAが0.85と高いため、レンズ寸法および形状精度の許容誤差が非常に厳しい設計となっている。実際、波面収差0.04λrms以内とするためには、少なくとも、球面収差0.01〜0.02λrms程度以内にし、そのためには、レンズ中心肉厚精度±1μm以内とする。
(プレス方法、プレス条件)
レンズ第1面を成形するための凹型を下型、レンズ第2面を成形する凹型を上型に配置した。次に、下型凹面上に、プリフォームをセットした状態で、型を加熱し、プレス温度に達したところでプレス荷重を加え、型面形状を転写成形した。ガラスが十分伸展することにより、型成形面と密着し、型内体積に対し所定のガラス充填させた後、型をガラス転移点付近以下になるまで冷却した。最後に、成形したレンズを離型し、型から取り出した。
プレス条件は、用いたガラスの熱的特性と粘性特性(ガラス屈伏点Ts 600℃とガラス転移点Ts 560℃など)、および、目的のレンズ寸法および形状得るために、正確かつ高精度な転写成形面となるように、下記のプレス条件を設定した。
プレス温度650℃
プレス圧力 180〜200kgf/cm2
プレス荷重 100〜150kgf
離型温度 520℃
(プレス結果)
プレス成形に用いたプリフォームは、精密研磨により脈理を完全に除去してあったため、目視検査により、成形したレンズの表面には表面脈理や泡等のガラス表面の屈折率不均一層に起因する不良が全く認められなかった。
尚、成形型に投入されるプリフォームの径寸法が高精度であり、プリフォームの体積変動が非常に小さくなっているため、ガラス充填不足による成形面の形状不良や過充填による型からのガラスはみ出しなどの製品不良、さらには、型破損などの製造上の不具合なども発生しなかった。
また、成形したレンズは、1000個連続成形において、波面収差値は、最小0.021λrms、最大0.035λrms、平均0.028λrmsと、製造許容誤差のとりわけ厳しい高NA単レンズであっても、安定した性能のものが得られた。
ガラス塊をガラス素球に成形する装置の一例を示す。 ガラス塊をガラス素球に成形する装置の一例及び成形スキームを示す。 ガラス素球の研磨工程の説明図。 ガラス素球の研磨工程の説明図。 ガラス素球の研磨工程の説明図。 ガラス素球研磨のための平面盤方式の説明図。 ガラス素球研磨のためのV溝盤方式の説明図。 ガラス素球及び精密ガラス球の寸法の説明図。 特許文献2の図6に示された概略球形の成形用ガラス素材の形状を示す。

Claims (6)

  1. 得ようとする光学素子形状を基に精密形状加工を施したプレス成形用成形型を用いて、加熱して軟化したガラス素材をプレス成形してガラス光学素子を得ること含む、ガラス光学素子の製造方法において、
    上記ガラス素材として、溶融ガラスをテーパ状に形成され、テーパ角度が5〜40°の範囲である凹部を有し、かつ前記凹部の底部に1個の気体噴出口を有する受け型の受け部上に滴下させ、滴下した溶融ガラス塊を上記受け部から上記受け型の上記凹部に収容し、上記受け型の上記凹部上で上記受け型の表面に上記溶融ガラス塊が瞬間的接触を繰り返して回転しながら成形することで表面うねりが50μm以下であるガラス素球を形成する工程、及び
    前記ガラス素球の表面から5〜500μmの深さの範囲のガラスを研磨加工により除去することで、前記ガラス素球の表面上の光学的不均一層を除去して光学的不均一層を有さないガラス球(以下、精密ガラス球という)を得る工程を含む方法で製造された精密ガラス球を用いること、並びに
    前記研磨加工は、砥粒径が0.01〜100μmの範囲の酸化アルミニウム、酸化セリウムまたは酸化ジルコニウムの研磨砥粒を用いて行なわれる、
    前記ガラス光学素子の製造方法。
  2. 前記ガラス素球が、液相温度における粘度が50dPa・s以下の光学ガラスからなることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ガラス素球が、フツリン酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、又はホウ酸塩ガラスからなることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造方法。
  4. 前記ガラス素球が、液相温度が900℃以上の光学ガラスからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記ガラス素球が、屈折率ndが1.7以上、または分散νdが60以上の光学ガラスからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記光学的不均一層が、脈理又は気泡を含む層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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