JPWO2015045945A1 - 修飾板状無機化合物、及びそれを含有する樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら熱処理温度は最低でも150℃必要であり、食品包材に用いられる樹脂をこのような温度で熱処理するのは困難である。
で表されるホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体で表面処理することにより得られる修飾板状無機化合物、該修飾板状無機化合物を含有する樹脂組成物に関するものである。
なお、本発明の水蒸気バリア用接着剤は酸素バリア性も有することから、本接着剤は、広くバリア材用として使用することができる。
1.板状無機化合物を、下記一般式(1)、又は(2)で表されるホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体で表面処理することにより得られる修飾板状無機化合物、
2.板状無機化合物が、層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性である1.に記載の修飾板状無機化合物、
3.板状無機化合物が、平均粒径0.1μm以上の粒子を含有するものである1.又は2.に記載の修飾板状無機化合物、
4.1.〜3.の何れかに記載の修飾板状無機化合物と樹脂を含有する樹脂組成物、
5.樹脂が、石油樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、又はテルペン樹脂である4.に記載の樹脂組成物、
6.樹脂が、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を含有する樹脂である4.に記載の樹脂組成物、
7.4.〜6.の何れかに記載の樹脂組成物を用いた水蒸気バリア用接着剤、
8.4.〜6.の何れかに記載の樹脂組成物を用いた水蒸気バリア用フィルム、
9.4.〜6.の何れかに記載の樹脂組成物を用いた水蒸気バリア用コーティング剤、
10.7.に記載の接着剤を用いて得られる水蒸気バリア用積層体。
本発明では、前記一般式(1)、(2)で表されるホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体で表面処理された修飾板状無機化合物を樹脂組成物中に含有することが特徴である。本発明に用いられる板状無機化合物は、多層フィルムの水蒸気バリア性を高める効果を有するが、前記一般式(1)、(2)で表されるホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体で表面処理された修飾板状無機化合物とすることにより更にその効果を高めることができる。
板状無機化合物の平均粒径については特に制限はないが、粒径が小さすぎると板状無機化合物による迷路効果が発現にくくなるため、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上である。大粒径側はあまりに大きすぎると塗工面が荒れるなどの塗工適性に問題が出る場合があるため、好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下である。また、アスペクト比は水蒸気バリアに対して高いほうが良く、好ましくは10以上であり、更に好ましくは50以上、最も好ましくは70以上である。中でも雲母系の板状無機化合物では、アスペクト比が100を超える材料も知られており特に好ましく用いられる。
本発明では、石油樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、テルペン樹脂、又は官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物を硬化した樹脂組成物、及び板状無機化合物の総質量を100質量%とした場合、板状無機化合物の含有率は水蒸気バリア能が向上するならば特に限定はないが、5〜50質量%であることが好ましい。5質量%以下の場合はバリア能が向上しにくく、50質量%以上では塗工表面の粘着性が低下することによりラミネート操作がしにくくなったり、ラミネート強度が不十分になったりする可能性があるためである。板状無機化合物の含有率(配合物のPWC)は下記式(a)、又は(a’)により求めることができる。
本発明では、板状無機化合物を接着層に導入することにより水蒸気バリア性の向上のみならず接着強度も高めることができる。
本発明で用いるホスホン酸誘導体は、一般式(1)
で表されるホスホン酸誘導体である。
尚、本発明においては、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体により表面が修飾された板状無機化合物を修飾板状無機化合物と称する。
本発明で用いる溶剤は、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を溶解させ、板状無機化合物に対して反応場を与えることで、板状無機化合物へのホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体の修飾を容易に行わせることにある。また、その後の工程で、石油樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、テルペン樹脂等の樹脂、又は官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、及び官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を添加する工程が含まれるため、これらと反応せずに溶解させる必要がある。従って、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を溶解させ、板状無機化合物を分散させることができ、且つ前記樹脂等と反応せずに溶解させることができる溶媒であれば特に制限はない。具体的には酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒の他、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジメチルエ−テル、ジエチルエ−テル、ジブチルエ−テル、アニソ−ル等のエ−テル類を例示することができる。中でも、酢酸エチル、2−ブタノンは現行のドライラミネート用接着剤にも多用されているため特に好ましく用いられる。
ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を溶解させる際の濃度は特に制限がないが、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体と板状無機化合物との反応が迅速に行うためには、0.001〜0.1モル/Lの間が好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.05モル/Lの間である。
板状無機化合物と、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体の量比は板状無機化合物のほぼ全周をホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体が単層または複層の薄膜で覆うことができる量比であればよい。そのため、適切な量比は板状無機化合物の溶剤中での分散サイズにより決定される。板状無機化合物が前記溶剤に非膨潤であり無機化合物層が複数積層している場合にはホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体量比は少なくても良く、一般に板状無機化合物の1質量%以下となる。
一方、板状無機化合物が膨潤性であり無機化合物層が単層にまで分散している場合は数質量%程度になる場合もある。製造工程において、板状無機化合物の全周が修飾されるのに必要な量よりも大過剰のホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を工程中で加えることは、未反応のホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体が、使用中に進入してくる水と会合することで水を取り込みやすくなる場合があるので注意を要する。
一般に有機修飾剤として用いられるシランカップリング剤では修飾反応がホスホン酸、又はリン酸誘導体に比べて遅い上、無機化合物表面のOH基のみとの反応となる。更にシランカップリング剤同士の副反応が起こりやすく、その結果生じた反応物が用途によっては悪影響を及ぼす場合がある。また、反応を起すために少量の水の添加が必要な場合も多くこの制御も工程上煩雑な要因となる。一方、本発明で有機修飾剤として用いるホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体にはこうした問題点がない利点がある。
[石油樹脂]
本発明で使用する石油樹脂としては、石油類のスチームクラッキングによりエチレン、プロピレンなどを製造するエチレンプラントから副生する分解油留分に含まれるジオレフィン類やモノオレフィン類を単離せずに重合したものが挙げられる。これらは大別して、分解留分のうちC5留分を原料としたもの(脂肪族系またはC5系石油樹脂)、C9留分を原料にしたもの(芳香族系またはC9系石油樹脂)、両者を原料にしたもの(C5C9共重合系石油樹脂)、及び、C5留分中に含まれるシクロペンタジエンを熱二量化して得られるジシクロペンタジエン系留分を精製して重合されたもの(ジシクロペンタジエン系樹脂)の4種に一般的に分類されている。
石油樹脂としては、例えば荒川化学工業(株)のアルコンP−140、アルコンM−135、エクソンモービル社のエスコレッツ1310、エスコレッツ1315、エスコレッツ5380、エスコレッツER5320、エスコレッツECR227E、出光興産(株)のアイマーブP−100、アイマーブP−125、アイマーブP―140、アイマーブS−100、アイマーブS−110などが例示できる。石油樹脂は水添タイプ、未水添タイプいずれも使用可能である。これらのうち、ジシクロペンタジエン骨格を有するものがバリア性の観点から好ましい。
本発明で用いられるフェノール樹脂は公知慣用のフェノール樹脂を用いることができる。
フェノール樹脂を得るためのフェノール類としては、特に限定されるものではなく、たとえばフェノール、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノールなどのアルキルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノールなどが挙げられる。またこれらのフェノール類は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能である。
フェノール樹脂としては、DIC(株)のPHENOLITE TD−2131、PHENOLITE TD−2106、PHENOLITE TD−2093、PHENOLITE TD−2091、PHENOLITE TD−2090、PHENOLITE VH−4150、PHENOLITE VH−4170、PHENOLITE KH−6021、PHENOLITE KA−1160、PHENOLITE KA−1163、PHENOLITE KA−1165などが例示できる。
本発明で用いられるケトン樹脂は公知慣用のケトン樹脂を用いることができる。
ケトン樹脂としては例えばエボニック社のVariPlus AP、VariPlus SK、VariPlus 1201、VariPlus CAなどが例示できる。
本発明で用いられるテルペン樹脂は公知慣用のテルペン樹脂を用いることができる。
テルペン樹脂としては例えばヤスハラケミカル(株)のYSレジンPX、クリアロンP、クリアロンM、クリアロンK、YSレジンTO、ポリスターU、ポリスターT,ポリスターS、ポリスターG、ポリスターN、ポリスターK、YSレジンSXなどが例示できる。
その他、本発明では公知慣用のウレタン樹脂、ポリエステル樹脂も用いることができる。
本発明で使用する樹脂(A)は、官能基として1分子中に水酸基を有する樹脂であって、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを含有してなることに特徴を有し、本発明の目的とする接着力、又は水蒸気バリア性を発現させうるものであれば特に限定はない。
本発明で使用する樹脂(A)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、バリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
本発明で使用する2個以上の水酸基を有する樹脂(A)として、より具体的には、
・3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)、
・重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)、
・グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)、
・オルト配向多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)、
・イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)、
等を挙げることができる。
以下、各成分について説明する。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A1)は、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)にカルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)は多価カルボン酸または多価アルコールの一部を三価以上とすることで得られる。
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これにより水蒸気バリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力と水蒸気バリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価カルボン酸成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上のカルボン酸を少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としては、トリメリット酸及びその酸無水物、ピロメリット酸及びその酸無水物等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価カルボン酸としては三価カルボン酸が好ましい。
本発明で使用する多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価アルコール成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上の多価アルコールを少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、更に、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するものを挙げることができる。
多価カルボン酸において重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸として無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物等があげられる。中でも、炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
本発明のポリエステルポリオール(A2)は、重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸以外の多価カルボン酸成分として前述の各種脂肪族多価カルボン酸、環族多価カルボン酸、香族多価カルボン酸等を用いることができる。中でもバリア機能を付与する為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
多価アルコールにおいて重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコールとして2−ブテン−1,4−ジオール等があげられる。
本発明で使用する多価アルコールは、重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコール以外の多価アルコール成分を用いても差し支えない。具体的には、前述の脂肪族多価アルコール、芳香族多価フェノール類等を使用することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングクリコールがより好ましい。
本発明のポリエステルポリオール(A3)として、更に、一般式(3)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
水蒸気バリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量を水蒸気バリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A3)は、多価アルコールとして、炭素原子数2〜6のアルキレンジオール以外の多価アルコール成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。これには各種脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価フェノール等を例示することができる。
本発明のポリエステルポリオール(A3)は、多価カルボン酸成分としてカルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、前述の脂肪族多価カルボン酸、不飽和結合含有多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸等を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A4)は、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
本発明のポリエステルポリオール(A4)は、多価カルボン酸成分として前記オルトフタル酸及びその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、前述の脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
多価アルコール成分及びその他の成分としては、前記エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノール以外のものを発明の効果を妨げない範囲で添加することができる。これには各種脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価フェノール等を例示することができる。
本発明で使用する樹脂(A)は、下記一般式(5)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を含むと更に好ましい。
で表される基を表す。但しR1、R2及びR3の少なくとも1つは前記一般式(6)で表される基である)
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
水蒸気量、無機成分を除く質量を水蒸気バリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
樹脂(A)がポリエステルテルポリオールは、公知のポリエステルの製造方法により得ることができる。具体的には、触媒共存下、反応温度200〜220℃で、生成する水を系外へ取り除きながら反応させる製造方法にて合成できる。
一方、−30℃より低すぎる場合、常温付近でのポリエステルポリオールの分子運動が激しいことにより十分な水蒸気バリア性が出ないおそれがある。
本発明で使用する硬化剤;官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)は、前記樹脂(A)の水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ジイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用できる。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂組成物は、水蒸気バリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、板状無機化合物、結晶核剤や、硬化塗膜の耐酸性を向上させるために、フタル酸無水物、コハク酸無水物等の酸無水物等が例示できる。
本発明の修飾板状無機化合物は、溶剤中で、前記一般式(1)、(2)で表されるホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体と板状無機化合物を混合することによって該板状化合物の表面修飾を行い、ろ過、洗浄、乾燥等の操作を行って得ることができる。
また、該修飾板状化合物を含有する樹脂組成物を簡便に作製する方法として、修飾板状無機化合物の単離を行わずに、連続的な操作によってもよく、工程上簡便なので、当該連続的な操作の方が好ましい場合がある。
このような製造工程の一例を示すと、(1)ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を溶剤に溶解させる工程と、(2)(1)で得られた、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体の溶液に板状無機化合物を添加し反応させて修飾板状無機化合物とする工程と、(3)前記(2)で得られる修飾板状無機化合物の分散液に、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、及び官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を添加する工程とから構成される。
ホスホン酸を溶剤に溶解させる工程である工程(1)については、一般に溶剤を所定の容器に入れ、その後所定量のホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体をいれ、公知慣用の方法で攪拌することで溶解させる。溶解操作は常温で実施してもよいし、ホスホン酸に溶剤が溶解しにくい場合には溶剤の熱的性質によっては加温しても差し支えない。
板状無機化合物とホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体との反応工程(2)については、(1)で製造した溶液に対して、板状無機化合物をいれ分散させつつ、溶剤中のホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を板状無機化合物と反応させ、修飾板状無機化合物を製造するものである。一般にホスホン酸部位と板状無機化合物との修飾反応は迅速である。従って、具体的には(1)で製造の溶液に対して板状無機化合物を導入した後、公知慣用の方法で板状無機化合物を一定時間分散させることで修飾反応は終了する。反応時間は一般に10分程度の接触時間でも修飾反応が進行する場合が多い。
反応させる板状無機化合物の溶剤に対する量が少ない場合は工程(1)と工程(2)とを逆の順に行っても良い。しかし、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体は板状無機化合物の分散剤としての機能も有するため、ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を予め溶剤に溶解させた後に板状無機化合物を添加する方が、板状無機化合物の分散体が低粘度化し、工程(2)の反応工程が容易になる場合が多い
樹脂成分の添加工程(3)は、前記(2)で得られた分散液に、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、及び官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を添加する工程である。
(2)で得られた分散液に対し樹脂(A)、イソシアネート化合物(B)を添加する順序はどちらからでもかまわないが、通常は(2)で得られた分散液に、樹脂(A)を添加後攪拌し、まずはホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体で修飾した板状無機化合物が樹脂樹脂(A)に分散した分散体を製造する。そして、ラミネート直前に硬化剤としてイソシアネート化合物(B)を添加し、ラミネート工程に供することが、保存安定性の観点から好ましい。
本発明での樹脂(A)及びイソシアネート化合物(B)と修飾板状無機化合物の分散方法としては公知の分散方法が利用できる。例えば、ディゾルバー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができる。更により好ましくは、高い剪断力を発生させることのできる機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。この時は前術の通りまずは樹脂(A)に対して修飾板状無機化合物を分散させた後、硬化剤としてのイソシアネート化合物(B)を添加することが好ましい。
本発明で製造した水蒸気バリア用樹脂組成物の使用法は一般的に各種の樹脂フィルムを基材に塗工することによる。
基材として使用する積層用のフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:直鎖低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸或いは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。更にこれら樹脂フィルム以外にも紙、布等のシート状物を基材として用いても差し支えない。
本発明により製造される水蒸気バリア接着剤用樹脂組成物は前記のフィルム、シートを2枚貼り合せるのに用いるラミネート用接着剤として使用することができる。本発明で製造される樹脂組成物は溶剤を含んだ形で製造されるため、ドライラミネーション方式に使用する接着剤として用いるのが適している。ドライラミネーション方式は、具体的には、基材フィルムの一方に樹脂組成物をグラビアロール方式で塗工後、もう一方の基材フィルムを重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる。ラミネートロールの温度は室温〜60℃程度が好ましい。ラミネート処理後はエージング処理を行うことが好ましく、その処理条件は室温〜80℃で、12〜240時間の間であり、この間に樹脂(A)とイソシアネート化合物(B)とが架橋反応することで接着強度が生じる。但し、溶媒を除去する工程を加えることで、無溶剤型接着剤用の水蒸気バリア接着剤用樹脂組成物とすることも可能である。
本発明により製造される水蒸気バリア接着剤用樹脂組成物は前記のように水蒸気バリア接着剤として使用された場合には、水蒸気バリア用積層体として用いることができる。この時の積層体の構成としては最外層にPETフィルム、OPPフィルム等の延伸フィルムを、最内層にLLDPE、CPP等の未延伸フィルムを持つ構成にして、そのフィルム間を接着する接着剤として、本発明により製造される樹脂組成物を用いればよい。
また、積層体に用いるフィルムは2層には限らず、中間層としてもう一層フィルムが入る3層のフィルムの積層体で少なくとも何れか2層の接着用途に本発明での樹脂組成物を用いる場合や、フィルムの一部に蒸着フィルム、透明蒸着フィルム、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層等の水蒸気バリアフィルムを用いてバリア機能を更に高めた積層体としても良い。
本発明で得られた樹脂組成物での樹脂構造や分子量や硬化剤の種類を適切に選定することで塗工、乾燥後に粘着性を持たないようにすることで、溶剤系コーティング材料として用いることもできる。この場合は接着剤で用いる樹脂と比べて高分子量で且つ高ガラス転移点の樹脂を用い、さらに添加剤としてブロッキング防止剤として板状無機化合物類を添加すると好適に用いることができる。
本発明により製造された樹脂組成物は前記のように水蒸気バリアコーティング剤として各種フィルムに塗布した場合には、水蒸気バリア接着剤用フィルムとして使用することができる。コーティングする基材として用いるフィルムとしては延伸フィルムでも未延伸フィルムでも良いが、コーティング操作の容易さからは延伸フィルムを用いることが好ましい。この場合もまた前記の水蒸気バリア用積層体と同様に各種のバリアフィルムを併用しても良い。
本発明で得た樹脂組成物層を持つ積層体やフィルムが遮断できるガスとしては水蒸気の他、ガス分子が極性構造を持つメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類の他、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス、等の香り成分を例示することができる。
オクタデシルホスホン酸(東京化成工業(株)製 ODPAと記す)を1.18質量部とテトラヒドロフラン622質量部の溶液を調製し、その溶液に白雲母((株)ヤマグチマイカ製 Y1800:平均長径 10μm)を100質量部加えて室温で5時間撹拌した。その後、懸濁液をろ過、洗浄、乾燥してODPA−Y1800を得た。
白雲母をSJ005((株)ヤマグチマイカ製:平均長径 5μm)に変更し、仕込み量を10質量部とした以外は製造例1と同様にしてODPA−SJ005を得た。
白雲母をSYA21RS((株)ヤマグチマイカ製:平均長径 27μm)に変更し、仕込み量を10質量部とした以外は製造例1と同様にしてODPA−SJ005を得た。
白雲母をHM6025(Heng Hao社製:平均長径 10μm)に変更し、仕込み量を10質量部とした以外は製造例1と同様にしてODPA−HM6025を得た。
オクチルホスホン酸(Aldrich社製 OPAと記す)を0.70質量部とテトラヒドロフラン622質量部の溶液を調製し、その溶液に白雲母((株)ヤマグチマイカ製 Y1800:平均長径 10μm)を10質量部加えて室温で5時間撹拌した。その後懸濁液をろ過、洗浄、乾燥してOPA−Y1800を得た。
ドデシルホスホン酸(和光純薬工業(株)製 DDPAと記す)を0.88質量部とテトラヒドロフラン622質量部の溶液を調製し、その溶液に白雲母((株)ヤマグチマイカ製 Y1800:平均長径 10μm)を10質量部加えて室温で5時間撹拌した。その後懸濁液をろ過、洗浄、乾燥してDDPA−Y1800を得た。
ホスホン酸誘導体又はリン酸誘導体、及び板状無機物を表1に記載の比率で用いる他は実施例1と同様にして、実施例7〜15を行った。
何も処理を加えていないY1800を比較例1とした。
(比較例2)
板状無機化合物にHM6025、ホスホン酸又はリン酸誘導体としてAP−1を用いて、実施例と同様にして比較例2とした。
TG/DTA(セイコーインスツル(株)製 TGDTA6200)にて表面修飾率を測定した。室温から800℃まで10℃/minで昇温し、
TG1−TG0 = 表面修飾率(wt%)
として算出した。
TG1:修飾板状無機物の200−400℃までの重量減少率(wt%)
TG0:未修飾板状無機物の200−400℃までの重量減少率(wt%)
自動表面張力計(KRUSS社製 K−12)にて、実施例1(オクタデシルホスホン酸修飾品)、実施例5(オクチルホスホン酸修飾品)、実施例6(ドデシルホスホン酸修飾品)、及び比較例1(未修飾品)の接触角と表面自由エネルギーの測定を行った。測定対象の原料板状無機物はY1800とした。
結果を表2に示す。
MP−10:イソデシルアシッドホスフェート(大八化学工業(株))
PhoslexA−18:ステアリルアシッドホスフェート(SC有機化学(株))
JP−518−O:オレイルアシッドホスフェート(城北化学工業(株))
AP−4:ブチルアシッドホスフェート(大八化学工業(株))
JP−506−H:ブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業(株))
EGAP:エチレングリコールアシッドホスフェート(城北化学工業(株))
AP−1:メチルアシッドホスフェート(大八化学工業(株))
石油樹脂(エクソンモービル社製 エスコレッツER5320)8.5質量部、実施例1で作製した板状無機化合物3.6質量部、ヘプタン7.5質量部を混合して塗布液を調製した。これを12μm厚のPETフィルムにバーコータ#4で塗布し、80℃で30秒乾燥して約2μmの膜をPET上に作製し、透湿度測定試料とした。
前記実施例で作製した修飾板状無機化合物、樹脂、溶媒ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を表3に記載の比率で用いる他は、実施例16と同様にして、実施例17〜33を行った。
石油樹脂(エクソンモービル社製 エスコレッツER5320)8.5質量部、ヘプタン7.5質量部を混合して塗布液を調製した。これを12μm厚のPETフィルムにバーコータ#4で塗布し、80℃で30秒乾燥して約2μmの膜をPET上に作製し、透湿度測定試料とした。
板状無機化合物として表面修飾を行っていないY1800を3.6質量部加えて塗布液を調製し、比較例3と同様にして透湿度測定試料を作製した。
板状無機化合物、樹脂、溶媒ホスホン酸誘導体、又はリン酸誘導体を表3に記載の比率で用いる他は、比較例3と同様にして、比較例5〜12を行った。
(透湿度の評価)
12μmのPETフィルム、またはPA6(ナイロン6)フィルムにバーコータで各塗布液を塗布し、80℃で30秒乾燥して透湿度測定試料とした。JISZ0208防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準拠して行った。得られた結果は塗膜単体、膜厚2μm換算で算出した。
前記の実施例16〜33、及び比較例3〜12の結果を表3に示す。
樹脂a:エスコレッツER5320(石油樹脂、エクソンモービル製)
樹脂b:PHENOLITE KA−1165(フェノール樹脂、DIC(株)製)
樹脂c:CLEARON P115(水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル(株)製)
樹脂d:VariPlus CA(ケトン樹脂、エポニック社製)
樹脂e:下記調整法によるウレタン樹脂
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、トリシクロデカンジメタノール70質量部、溶媒としてメチルエチルケトン(以下、MEK)70質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら60℃に昇温した。次いで、フラスコ内を60℃に保ちながらキシリレンジイソシアネート33.6質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で5時間攪拌することで、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認された。次いで、MEKを加え、樹脂eを50質量%含有するMEK溶液を得た。得られた樹脂eの分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,050、重量平均分子量1,350であり、水酸基価は206であった。
ホスホン酸が板状無機化合物表面に付着しているだけなのか結合しているのかの確認を31P−NMR(シングルパルスデカップリングマジックアングルスピニング核磁気共鳴分光分析)(日本電子(株)製 JNM−ECA600)にて行った。結果を図1に示す。ホスホン酸単体と修飾板状無機物ではPの異なるケミカルシフトが見られ、付着ではなく結合していることを確認した。
・Pの存在箇所の分析
Pが板状無機物表面のどこから検出されるかで修飾箇所の特定を行った。分析は表面観察と同じ装置を用いてエネルギー分散型X線分光法にて元素分析を行った。結果を図2に示す。未修飾板状無機物からはPが検出されなかったが、実施例1の板状無機物は表面全体にPが存在分布していたことから、表面全体に修飾されていることを確認した。
・板状無機化合物の表面観察
修飾前後で板状無機物表面に違いが見られるかを走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−7800F)にて観察した。結果を図3に示す。修飾前は板状無機物表面に凹凸がなかったのに対し、修飾後は表面に凹凸が形成されており、板状無機物表面全体に修飾されていることを確認した。
Claims (10)
- 板状無機化合物が、層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性である請求項1に記載の修飾板状無機化合物。
- 板状無機化合物が、平均粒径0.1μm以上の粒子を含有するものである請求項1又は2に記載の修飾板状無機化合物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の修飾板状無機化合物と樹脂を含有する樹脂組成物。
- 樹脂が、石油樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、又はテルペン樹脂である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 樹脂が、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を含有する樹脂である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 請求項4〜6の何れかに記載の樹脂組成物を用いた水蒸気バリア用接着剤。
- 請求項4〜6の何れかに記載の樹脂組成物を用いた水蒸気バリア用フィルム。
- 請求項4〜6の何れかに記載の樹脂組成物を用いた水蒸気バリア用コーティング剤。
- 請求項7に記載の接着剤を用いて得られる水蒸気バリア用積層体。
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