JPWO2015045417A1 - カーボンナノチューブ分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を、分散剤を使用せずとも、効率的に製造する方法を提供することを目的とする。本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる工程と、溶媒中でカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる工程とを含み、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するカーボンナノチューブが、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが関係式:0.20<(3σ/Av)<0.60を満たし、且つ、平均長さが100μm以上であることを特徴とする。
Description
本発明は、カーボンナノチューブ分散液の製造方法に関するものである。
従来、導電性や機械的特性に優れる物質として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)が知られている。そして、近年では、CNTを使用することによりフィルムや繊維などの各種製品の導電性や機械的特性を向上させる技術が提案されている。具体的には、溶媒とCNTとを含むカーボンナノチューブ分散液(以下、「CNT分散液」と称することがある。)を材料として使用し、CNTを含有する製品を製造することにより、製品の導電性および機械的特性を向上させる技術が提案されている。
ここで、上記技術を用いて製品の導電性および機械的特性を効果的に向上させるためには、CNTが良好に分散したCNT分散液を使用することが有用である。しかし、一般にCNTは、凝集し易く、分散させ難い。そのため、CNTが良好に分散したCNT分散液を製造する方法の開発が求められている。
このような要求に対し、例えば特許文献1では、表面上にCNTを成長させた基体と、溶媒と、分散剤とを容器に投入した後、分散剤を含む溶媒中で基体からCNTを剥がす処理を行うことによって、CNTが良好に分散したCNT分散液を製造する方法が提案されている。化学気相成長法などを用いて基体上に成長させたCNTは隣接するCNT間の距離が比較的離れた状態で存在しているところ、この特許文献1に記載の方法によれば、凝集が少なく分離した状態を保っている基体上のCNTを分散剤の存在下で溶媒に直接分散させることができるので、CNTが良好に分散したCNT分散液が得られる。
しかし、上記特許文献1に記載の製造方法では、分散剤を含む溶媒を使用するため、得られるCNT分散液には必然的に分散剤が混入する。従って、当該CNT分散液を用いてフィルムや繊維などの各種製品を製造すると、製品中に分散剤が混入し、導電性などの性能を十分に高めることができない場合がある。一方で、洗浄や加熱などの手段を用いてCNT分散液や製品から分散剤を除去する場合、製造工程が煩雑になると共に、コストが増大する。
そこで、本発明は、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を、分散剤を使用せずとも、効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的として、鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、基板上で合成された所定の性状を有するカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒中で基板から剥離させてCNT分散液を製造した場合、驚くべきことに、分散剤を使用しなくても、CNTが均一に分散したCNT分散液が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる工程(1)と、前記溶媒中で前記カーボンナノチューブ配向集合体を前記基板から分離させる工程(2)とを含み、前記カーボンナノチューブ配向集合体を構成するカーボンナノチューブが、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが関係式:0.20<(3σ/Av)<0.60を満たし、且つ、平均長さが100μm以上であることを大きな特徴の1つとする。このように、平均直径に対する直径分布の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満であり、且つ、平均長さが100μm以上であるカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒中で基板から分離させれば、分散剤を使用しなくても、溶媒中にCNTが均一に分散したCNT分散液を効率的に製造することができる。
ここで、本発明において、「直径分布(3σ)」とは、カーボンナノチューブの直径の標本標準偏差(σ)に3を乗じたものを指す。そして、本発明において、「カーボンナノチューブの平均直径(Av)」、「カーボンナノチューブの直径の標本標準偏差(σ)」および「カーボンナノチューブの平均長さ」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡での観察下、無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)および長さを測定して求めることができる。
ここで、本発明において、「直径分布(3σ)」とは、カーボンナノチューブの直径の標本標準偏差(σ)に3を乗じたものを指す。そして、本発明において、「カーボンナノチューブの平均直径(Av)」、「カーボンナノチューブの直径の標本標準偏差(σ)」および「カーボンナノチューブの平均長さ」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡での観察下、無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)および長さを測定して求めることができる。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、前記基板から分離させた前記カーボンナノチューブ配向集合体を前記溶媒中で分散処理する工程(3)を更に含むことが好ましい。カーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させた後に更に分散処理を施せば、CNTの分散性が更に向上したCNT分散液を得ることができるからである。
また、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、前記工程(1)と前記工程(2)との間に、前記溶媒に接触している前記カーボンナノチューブ配合集合体を減圧下に置く工程(4)を更に含むことが好ましい。カーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離する前にカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒と接触させている状態で減圧下に置けば、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT間の隙間に存在する空気などが排出される。その結果、CNT間の隙間に溶媒が含浸しやすくなり、CNT配向集合体中に溶媒を万遍なく行き渡らせることができるからである。
本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、前記基板が、平板状、粒子状または線状の基板であることが好ましい。平板状、粒子状または線状の基板は、取り扱いが容易であり、また、基板からのカーボンナノチューブ配向集合体の分離を容易に行うことができるからである。
本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法によれば、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を、分散剤を使用せずとも、効率的に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、溶媒中にCNTを分散させてなるカーボンナノチューブ分散液を製造する際に用いることができる。
そして、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法に従い製造したCNT分散液は、特に限定されることなく、フィルムや繊維などの各種製品を製造する際に用いることができる。具体的には、CNT分散液は、例えば、CNT分散液を基材上に塗布し、乾燥してカーボンナノチューブ含有膜を製造する際や、樹脂やゴム等の高分子材料と混合してCNT含有複合材料を製造する際に用いることができる。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、溶媒中にCNTを分散させてなるカーボンナノチューブ分散液を製造する際に用いることができる。
そして、本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法に従い製造したCNT分散液は、特に限定されることなく、フィルムや繊維などの各種製品を製造する際に用いることができる。具体的には、CNT分散液は、例えば、CNT分散液を基材上に塗布し、乾燥してカーボンナノチューブ含有膜を製造する際や、樹脂やゴム等の高分子材料と混合してCNT含有複合材料を製造する際に用いることができる。
(カーボンナノチューブ分散液の製造方法)
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、(1)基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる工程(接触工程)と、(2)接触工程の後に、溶媒中でカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる工程(分離工程)と、を含む。また、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、前記カーボンナノチューブ配向集合体を構成するカーボンナノチューブが、所定の平均直径(Av)、直径分布(3σ)および平均長さを有することを大きな特徴の1つとする。
そして、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法によれば、分散剤を使用せずとも、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を効率的に製造することができる。
なお、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法では、分離工程の後に、任意に、(3)基板から分離させたカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒中で分散処理する工程(分散工程)を実施してもよい。また、接触工程と分離工程との間に、任意に、(4)溶媒に接触しているカーボンナノチューブ配合集合体を減圧下に置く工程(減圧工程)を実施してもよい。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、(1)基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる工程(接触工程)と、(2)接触工程の後に、溶媒中でカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる工程(分離工程)と、を含む。また、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法は、前記カーボンナノチューブ配向集合体を構成するカーボンナノチューブが、所定の平均直径(Av)、直径分布(3σ)および平均長さを有することを大きな特徴の1つとする。
そして、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法によれば、分散剤を使用せずとも、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を効率的に製造することができる。
なお、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法では、分離工程の後に、任意に、(3)基板から分離させたカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒中で分散処理する工程(分散工程)を実施してもよい。また、接触工程と分離工程との間に、任意に、(4)溶媒に接触しているカーボンナノチューブ配合集合体を減圧下に置く工程(減圧工程)を実施してもよい。
以下に、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法の接触工程、減圧工程、分離工程および分散工程について、順次説明する。
<接触工程>
接触工程では、所定の性状を有するカーボンナノチューブよりなる、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる。
接触工程では、所定の性状を有するカーボンナノチューブよりなる、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる。
ここで、接触は、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体を基板と共に溶媒中に浸漬することにより行ってもよいし、表面上にカーボンナノチューブ配向集合体が形成された基板に対して溶媒を加えることにより行ってもよい。
なお、溶媒との接触工程の後、後述する分離工程を円滑に行う観点からは、カーボンナノチューブ配向集合体を基板と共に溶媒中に浸漬することによりカーボンナノチューブ配向集合体と溶媒とを接触させることが好ましい。
なお、溶媒との接触工程の後、後述する分離工程を円滑に行う観点からは、カーボンナノチューブ配向集合体を基板と共に溶媒中に浸漬することによりカーボンナノチューブ配向集合体と溶媒とを接触させることが好ましい。
[カーボンナノチューブ配向集合体]
基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体とは、基板上に成長した多数のCNTが特定の方向に配向した構造体をいう。
基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体とは、基板上に成長した多数のCNTが特定の方向に配向した構造体をいう。
[[基板]]
ここで、基板としては、CNT成長用の触媒の層である触媒層を表面に有する基材を用いることができる。具体的には、基板としては、金属またはセラミック製の基材の上に、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、或いは、これらの塩化物または合金よりなる触媒層を形成してなる基板を用いることができる。
ここで、基板としては、CNT成長用の触媒の層である触媒層を表面に有する基材を用いることができる。具体的には、基板としては、金属またはセラミック製の基材の上に、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、或いは、これらの塩化物または合金よりなる触媒層を形成してなる基板を用いることができる。
なお、基板の形状は、任意の形状とすることができるが、取り扱い性および基板からのカーボンナノチューブ配向集合体の分離の容易性の観点からは、平板状、粒子状または線状であることが好ましい。
[[カーボンナノチューブ]]
また、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法において、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20を満たし、且つ、平均長さが100μm以上である必要がある。CNTが上記性状を有する場合、後述する分離工程を実施してCNT分散液を調製する際に分散剤を使用しなくても、溶媒中でCNTを均一に分散させることができるからである。なお、CNT分散液とした後でも、CNTが一定以上の長さを保持し、当該CNT分散液を用いて製造した製品の性能(例えば、導電性および機械的特性)が良好に発揮され得る観点からは、平均直径(Av)に対する直径分布(3σ)の比(3σ/Av)は、0.50超であることが好ましい。また、同様の理由により、CNTの平均長さは、好ましくは300μm以上、より好ましくは500μm以上である。更に、CNTの分散性を高めると共に、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と溶媒とを接触させる際にCNTが基板から剥離してしまうのを防止する観点からは、CNTの平均長さは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。
また、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液の製造方法において、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20を満たし、且つ、平均長さが100μm以上である必要がある。CNTが上記性状を有する場合、後述する分離工程を実施してCNT分散液を調製する際に分散剤を使用しなくても、溶媒中でCNTを均一に分散させることができるからである。なお、CNT分散液とした後でも、CNTが一定以上の長さを保持し、当該CNT分散液を用いて製造した製品の性能(例えば、導電性および機械的特性)が良好に発揮され得る観点からは、平均直径(Av)に対する直径分布(3σ)の比(3σ/Av)は、0.50超であることが好ましい。また、同様の理由により、CNTの平均長さは、好ましくは300μm以上、より好ましくは500μm以上である。更に、CNTの分散性を高めると共に、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と溶媒とを接触させる際にCNTが基板から剥離してしまうのを防止する観点からは、CNTの平均長さは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。
なお、上述したCNTは、直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取ることが好ましい。
また、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、表面にカルボキシル基等の官能基が導入されたものであってもよい。官能基の導入は、過酸化水素や硝酸等を用いる公知の酸化処理法により行うことができる。
更に、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、単層のものであっても、多層のものであってもよいが、CNT分散液を用いて製造した製品の性能(例えば、導電性および機械的特性)を向上させる観点からは、単層から5層のものが好ましく、単層のものがより好ましい。
更に、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
更に、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。G/D比が1以上20以下であれば、溶媒に対する分散性を高めることができる。
ここで、上記したCNTの平均直径(Av)は、優れた分散性を得る観点から、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
また、CNTの比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることがより好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることがより好ましい。更に、CNTが主として開口したものにあっては、比表面積が1300m2/g以上であることが好ましい。比表面積が600m2/g以上のCNTよりなるカーボンナノチューブ配向集合体には、特に、当該集合体が形成された基板の表面近傍においてCNT間に微小な隙間が存在していると推定され、後述する分離工程において溶媒中にCNTを良好に分散させることができる。また、CNTの比表面積が600m2/g以上であれば、CNT分散液を用いて製造した製品の性能を十分に向上させることができる。また、CNTの比表面積が2500m2/g以下であれば、CNTの凝集を抑制して分散性の良好なCNT分散液を得ることができる。
なお、カーボンナノチューブの比表面積は、BET法により窒素吸着比表面積として求めることができる。
なお、カーボンナノチューブの比表面積は、BET法により窒素吸着比表面積として求めることができる。
更に、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。中でも、CNTは、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、そのマイクロ孔の存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。CNTが上記のようなマイクロ孔を有することは、溶媒中での分散性を向上させる観点から好ましい。なお、マイクロ孔容積は、例えば、CNTの調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、カーボンナノチューブの液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して容易に求めることができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、カーボンナノチューブの液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して容易に求めることができる。
また、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、質量密度が好ましくは0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下、より好ましくは0.01g/cm3以上0.1g/cm3以下である。質量密度が0.2g/cm3以下のCNTよりなるカーボンナノチューブ配向集合体は、個々のCNT同士が過度に強く結合しておらず、非常に緩やかに結合しているので、後述する分離工程において溶媒中にCNTを良好に分散させることができる。一方、CNTの質量密度が0.002g/cm3以上であれば、CNTよりなるカーボンナノチューブ配向集合体にある程度の一体性を持たせて、カーボンナノチューブ配向集合体と溶媒とを接触させる前にCNTが基板から剥離してしまうのを防止することができる。
なお、質量密度は、カーボンナノチューブ配向集合体の質量を体積で割って算出することができ、カーボンナノチューブ配向集合体の質量は、カーボンナノチューブ配向集合体を形成した後の基板の質量と、カーボンナノチューブ配向集合体を形成する前の基板の質量との差を求めることにより算出することができる。そして、CNTの質量密度は、例えば、基板の基材上に存在する触媒微粒子の個数密度を調整することによって制御可能である。
なお、質量密度は、カーボンナノチューブ配向集合体の質量を体積で割って算出することができ、カーボンナノチューブ配向集合体の質量は、カーボンナノチューブ配向集合体を形成した後の基板の質量と、カーボンナノチューブ配向集合体を形成する前の基板の質量との差を求めることにより算出することができる。そして、CNTの質量密度は、例えば、基板の基材上に存在する触媒微粒子の個数密度を調整することによって制御可能である。
[[配向性]]
ここで、上述したカーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、高い配向度を有して基板上に整列していることが好ましい。具体的には、CNTは、下記(i)〜(iii)の少なくとも1つ以上を満たすような高い配向度を有していることが好ましい。
(i)CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ、第1方向からの反射強度が第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在する
(ii)CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現する
(iii)ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0より大きく1より小さい
ここで、上述したカーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、高い配向度を有して基板上に整列していることが好ましい。具体的には、CNTは、下記(i)〜(iii)の少なくとも1つ以上を満たすような高い配向度を有していることが好ましい。
(i)CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ、第1方向からの反射強度が第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在する
(ii)CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現する
(iii)ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0より大きく1より小さい
[[カーボンナノチューブ配向集合体の製造]]
なお、上述したカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ配向集合体は、例えば、上述した基板上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりカーボンナノチューブを合成する際に、系内に微量の酸化剤を存在させることで、CNT製造用の触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガス(例えば、アセチレンを50体積%以上含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。
なお、上述したカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ配向集合体は、例えば、上述した基板上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりカーボンナノチューブを合成する際に、系内に微量の酸化剤を存在させることで、CNT製造用の触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガス(例えば、アセチレンを50体積%以上含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。
[溶媒]
上述したカーボンナノチューブ配向集合体と接触させる溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と接触させる溶媒の量は、所望のカーボンナノチューブ分散液の濃度に応じて調整することができる。ここで、CNT分散液中でのCNTの分散性を良好に保つ観点からは、溶媒の使用量は、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT1質量部当たり、20質量部以上とすることが好ましい。一方、経済性の観点からは、溶媒の使用量は、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT1質量部当たり、20000質量部以下とすることが好ましい。
上述したカーボンナノチューブ配向集合体と接触させる溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と接触させる溶媒の量は、所望のカーボンナノチューブ分散液の濃度に応じて調整することができる。ここで、CNT分散液中でのCNTの分散性を良好に保つ観点からは、溶媒の使用量は、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT1質量部当たり、20質量部以上とすることが好ましい。一方、経済性の観点からは、溶媒の使用量は、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT1質量部当たり、20000質量部以下とすることが好ましい。
[その他の成分]
なお、本発明の製造方法に従い製造されるカーボンナノチューブ分散液は、必要に応じて、分散剤、有機もしくは無機バインダー、カップリング剤、架橋剤、安定化剤、着色剤、電荷調整剤、滑剤などの添加物を含有していてもよい。従って、上記溶媒は、上述した添加物を含有するものであってもよい。
なお、本発明の製造方法に従い製造されるカーボンナノチューブ分散液は、必要に応じて、分散剤、有機もしくは無機バインダー、カップリング剤、架橋剤、安定化剤、着色剤、電荷調整剤、滑剤などの添加物を含有していてもよい。従って、上記溶媒は、上述した添加物を含有するものであってもよい。
但し、本発明の製造方法に従い製造されるカーボンナノチューブ分散液の汎用性を高める観点からは、カーボンナノチューブ分散液は分散剤を実質的に含有しないことが好ましく、上述した溶媒は、分散剤(例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤や、ポリペプチド、多糖類、核酸、共役系ポリマーなどのポリマー)を実質的に含まないことが好ましい。なお、本発明において、「分散剤を実質的に含まない」とは、上述した分散剤の濃度が、0.01質量%未満、好ましくはゼロであることを指す。
<減圧工程>
減圧工程では、上述の接触工程後、カーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる前に、溶媒と接触しているカーボンナノチューブ配向集合体を減圧下に置く。接触工程を経て溶媒と接触したカーボンナノチューブ配向集合体を減圧下に置くことで、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT間の隙間に存在する空気などがカーボンナノチューブ配向集合体から排出され、CNT間の隙間に溶媒が含浸しやすくなる。そのため、減圧工程では、基板から分離する前のカーボンナノチューブ配向集合体中に溶媒を万遍なく行き渡らせることができると推察される。その結果、CNT分散液中でのCNTの分散性がより高まると考えられる。そして、減圧工程を経て得られたCNT分散液を用いて調製した導電膜などは、減圧工程を経ていないCNT分散液を用いた場合と比べて、導電性が高まる。
ここで、減圧の方法は、接触工程後のカーボンナノチューブ配向集合体を、溶媒と共に減圧下に置ければ特に限定されないが、例えば溶媒と接触しているカーボンナノチューブ配合集合体を基板ごとデシケーター内に移し、デシケーター内を脱気する方法が挙げられる。減圧工程の条件は特に限定されないが、通常は大気圧未満(例えば、圧力0.0001Pa〜5000Pa)で、1分間〜600分間、より好ましくは5分間〜180分間程度である。なお、減圧工程の条件は溶媒の種類等に応じて適宜調整することができる。
減圧工程では、上述の接触工程後、カーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる前に、溶媒と接触しているカーボンナノチューブ配向集合体を減圧下に置く。接触工程を経て溶媒と接触したカーボンナノチューブ配向集合体を減圧下に置くことで、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNT間の隙間に存在する空気などがカーボンナノチューブ配向集合体から排出され、CNT間の隙間に溶媒が含浸しやすくなる。そのため、減圧工程では、基板から分離する前のカーボンナノチューブ配向集合体中に溶媒を万遍なく行き渡らせることができると推察される。その結果、CNT分散液中でのCNTの分散性がより高まると考えられる。そして、減圧工程を経て得られたCNT分散液を用いて調製した導電膜などは、減圧工程を経ていないCNT分散液を用いた場合と比べて、導電性が高まる。
ここで、減圧の方法は、接触工程後のカーボンナノチューブ配向集合体を、溶媒と共に減圧下に置ければ特に限定されないが、例えば溶媒と接触しているカーボンナノチューブ配合集合体を基板ごとデシケーター内に移し、デシケーター内を脱気する方法が挙げられる。減圧工程の条件は特に限定されないが、通常は大気圧未満(例えば、圧力0.0001Pa〜5000Pa)で、1分間〜600分間、より好ましくは5分間〜180分間程度である。なお、減圧工程の条件は溶媒の種類等に応じて適宜調整することができる。
<分離工程>
接触工程の後、任意に減圧工程を行ってから、分離工程を実施する。分離工程では、溶媒中でカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる。その際、溶媒は分散剤を実質的に含まないのが好ましい。
接触工程の後、任意に減圧工程を行ってから、分離工程を実施する。分離工程では、溶媒中でカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離させる。その際、溶媒は分散剤を実質的に含まないのが好ましい。
ここで、基板からのカーボンナノチューブ配向集合体の分離は、カーボンナノチューブ配向集合体を基板から物理的、化学的あるいは機械的な方法を用いて剥離することにより行うことができる。具体的には、剥離方法としては、例えば電場、磁場、遠心力または表面張力を用いて基板からカーボンナノチューブ配向集合体を剥離する方法、カッターブレードなどの薄い刃物による切断や真空ポンプによる吸引を用いて基板からカーボンナノチューブ配向集合体を機械的に直接剥ぎ取る方法、或いは、圧力や熱を用いて基板からカーボンナノチューブ配向集合体を剥離する方法などを用いることができる。
そして、分離工程で基板から分離されたカーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、溶媒中に良好に分散する。ここで、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを、分散剤を使用することなく良好に分散させることができる理由は、明らかではないが、CNTが上記性状を有しているためであると推察される。即ち、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20を満たし、且つ、平均長さが100μm以上であるので、当該集合体が形成された基板の表面近傍においては、CNT間に微小な隙間が存在していると推定される。従って、当該集合体を溶媒に接触させた際に当該隙間に溶媒が浸透し、その結果、溶媒中でCNTを基板から剥離した際に、CNTが凝集することなく解れ易くなり、分散剤の不存在下でもCNTが溶媒中で均一に分散すると推定される。
なお、カーボンナノチューブ配向集合体を分離させた後の基板は、デカンテーション、遠心分離、フィルター濾過、ピンセットやロボットアーム等を用いたピッキングなどの既知の手法を用いて溶媒中から除去することができる。これらの中でも、機械的に基板のみを容易に取り除けることから、基板を分離する方法としては、ピッキングを採用するのが好ましい。
<分散工程>
分散工程では、分離工程において基板から分離したカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒中で分散処理し、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを溶媒中で更に良好に分散させる。
なお、分散工程を実施する場合、上述した基板の除去は、分散工程の前に実施してもよいし、分散工程の後に実施してもよいが、分散処理を良好に行う観点からは、基板は分散工程の前に除去することが好ましい。また、不純物の混入などによる、CNTの純度や品質の低下を防止する観点からは、分散工程は、分離工程とは別個に行うことが好ましい。分離工程と分散工程とを同時に実施した場合、換言すれば、後述する分散処理方法を用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した場合、分離したCNTと基板との衝突が生じ、不純物の混入やCNTの劣化が生じやすくなる。
分散工程では、分離工程において基板から分離したカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒中で分散処理し、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを溶媒中で更に良好に分散させる。
なお、分散工程を実施する場合、上述した基板の除去は、分散工程の前に実施してもよいし、分散工程の後に実施してもよいが、分散処理を良好に行う観点からは、基板は分散工程の前に除去することが好ましい。また、不純物の混入などによる、CNTの純度や品質の低下を防止する観点からは、分散工程は、分離工程とは別個に行うことが好ましい。分離工程と分散工程とを同時に実施した場合、換言すれば、後述する分散処理方法を用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した場合、分離したCNTと基板との衝突が生じ、不純物の混入やCNTの劣化が生じやすくなる。
ここで、分散処理方法としては、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理が挙げられる。そこで、以下に、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理について説明する。
[キャビテーション効果が得られる分散処理]
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。この分散方法を用いることにより、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを更に良好に分散させることができる。
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。この分散方法を用いることにより、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを更に良好に分散させることができる。
ここで、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波による分散処理、ジェットミルによる分散処理および高剪断撹拌による分散処理が挙げられる。これらの分散処理は一つのみを行なってもよく、複数の分散処理を組み合わせて行なってもよい。より具体的には、例えば超音波ホモジナイザー、ジェットミルおよび高剪断撹拌装置が好適に用いられる。これらの装置は従来公知のものを使用すればよい。
カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTの分散に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、基板から分離されたカーボンナノチューブ配向集合体を含む溶媒に対し、超音波ホモジナイザーにより超音波を照射すればよい。照射する時間は、カーボンナノチューブ配向集合体の量等により適宜設定すればよく、例えば、3分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、また、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。また、例えば、出力は0.1W以上500W以下が好ましく、1W以上300W以下がより好ましく、5W以上100W以下がさらに好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合、処理回数は、カーボンナノチューブ配向集合体の量等により適宜設定すればよく、例えば、2回以上が好ましく、5回以上がより好ましく、100回以下が好ましく、50回以下がより好ましい。また、例えば、圧力は20MPa以上250MPa以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
さらに、高剪断撹拌を用いる場合には、基板から分離されたカーボンナノチューブ配向集合体を含む溶媒に対し、高剪断撹拌装置により撹拌および剪断を加えればよい。旋回速度は速ければ速いほどよい。例えば、運転時間(機械が回転動作をしている時間)は3分以上4時間以下が好ましく、周速は5m/s以上50m/s以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
なお、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理は、50℃以下の温度で行なうことがより好ましい。溶媒の揮発による濃度変化が抑制されるからである。
[解砕効果が得られる分散処理]
解砕効果が得られる分散処理は、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを溶媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波によるCNTの損傷を抑制することができる点で一層有利である。
解砕効果が得られる分散処理は、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTを溶媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波によるCNTの損傷を抑制することができる点で一層有利である。
この解砕効果が得られる分散処理では、基板から分離されたカーボンナノチューブ配向集合体を含む溶媒にせん断力を与えてCNTの凝集体を解砕・分散させ、さらにCNTを含む溶媒に背圧を負荷し、また必要に応じ、CNTを含む溶媒を冷却することで、気泡の発生を抑制しつつ、CNTを溶媒中に均一に分散させることができる。
なお、CNTを含む溶媒に背圧を負荷する場合、CNTを含む溶媒に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
なお、CNTを含む溶媒に背圧を負荷する場合、CNTを含む溶媒に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
ここに、CNTを含む溶媒にせん断力を与えて溶媒中のCNTをさらに分散させるには、例えば、以下のような構造の分散器を有する分散システムを用いればよい。
すなわち、分散器は、CNTを含む溶媒の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)のCNTを含む溶媒が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速のCNTを含む溶媒は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、CNTを含む溶媒の流速が低下すると共に、溶媒中のCNTが良好に分散する。そして、終端部から、流入したCNTを含む溶媒の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、CNT分散液として流出することになる。
すなわち、分散器は、CNTを含む溶媒の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)のCNTを含む溶媒が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速のCNTを含む溶媒は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、CNTを含む溶媒の流速が低下すると共に、溶媒中のCNTが良好に分散する。そして、終端部から、流入したCNTを含む溶媒の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、CNT分散液として流出することになる。
なお、CNTを含む溶媒の背圧は、CNTを含む溶媒の流れに負荷をかけることでCNTを含む溶媒に負荷することができ、例えば、多段降圧器を分散器の下流側に配設することにより、CNTを含む溶媒に所望の背圧を負荷することができる。
そして、CNTを含む溶媒の背圧を多段降圧器により多段階で降圧することで、最終的にCNT分散液を大気圧に開放した際に、CNT分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
そして、CNTを含む溶媒の背圧を多段降圧器により多段階で降圧することで、最終的にCNT分散液を大気圧に開放した際に、CNT分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
また、この分散器は、CNTを含む溶媒を冷却するための熱交換器や冷却液供給機構を備えていてもよい。というのは、分散器でせん断力を与えられて高温になったCNTを含む溶媒を冷却することにより、CNTを含む溶媒中で気泡が発生するのをさらに抑制できるからである。
なお、熱交換器等の配設に替えて、CNTを含む溶媒を予め冷却しておくことでも、CNTを含む溶媒中で気泡が発生することを抑制できる。
なお、熱交換器等の配設に替えて、CNTを含む溶媒を予め冷却しておくことでも、CNTを含む溶媒中で気泡が発生することを抑制できる。
上記したように、この解砕効果が得られる分散処理では、キャビテーションの発生を抑制できるので、時として懸念されるキャビテーションに起因したCNTの損傷、特に、気泡が消滅する際の衝撃波に起因したCNTの損傷を抑制することができる。加えて、CNTへの気泡の付着や、気泡の発生によるエネルギーロスを抑制して、比表面積が大きいCNTであっても、均一かつ効率的に分散させることができる。
なお、CNTへの気泡の付着の抑制による分散性の向上効果は、比表面積が大きいCNT、特に、比表面積が800m2/g以上のCNTにおいて非常に大きい。CNTの比表面積が大きく、表面に気泡が付着し易いCNTであるほど、気泡が発生して付着した際に分散性が低下し易いからである。
なお、CNTへの気泡の付着の抑制による分散性の向上効果は、比表面積が大きいCNT、特に、比表面積が800m2/g以上のCNTにおいて非常に大きい。CNTの比表面積が大きく、表面に気泡が付着し易いCNTであるほど、気泡が発生して付着した際に分散性が低下し易いからである。
以上のような構成を有する分散システムとしては、例えば、製品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)を用いて構成した分散システムなどがある。そして、解砕効果が得られる分散処理は、このような分散システムを用い、分散条件を適切に制御することで、実施することができる。
以上の本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法によれば、所望のCNT分散液を効率的に製造することができる。得られたCNT分散液は、例えば、CNT含有膜やカーボンナノチューブ含有複合材料の製造に好適に用いられる。特に、CNT含有膜は導電膜として好適に用いられる。
(CNT含有膜の作製方法)
本発明により得られるCNT分散液を用いる、CNT含有膜の作製方法は特に限定されず、公知の膜形成方法を使用することができる。例えば、CNT含有膜は、前記CNT分散液を用いて、以下の(i)または(ii)の方法を用いて作製することができる。
(i)CNT分散液を基材フィルム上に塗布し、塗布したCNT分散液から溶媒を除去し、基材フィルム上に積層されたCNT含有膜を得る方法。
(ii)CNT分散液を剥離用支持体上に塗布し、塗布したCNT分散液から溶媒を除去して剥離用支持体付きCNT含有膜を形成後、任意に得られた剥離用支持体付きCNT含有膜から剥離用支持体を剥離することでCNT含有膜を得る方法。
そして、上述の(i)または(ii)の方法を用いて作製されたCNT含有膜は、通常、CNTと、任意の添加剤と、をCNT分散液と同様の比率で含有している。
本発明により得られるCNT分散液を用いる、CNT含有膜の作製方法は特に限定されず、公知の膜形成方法を使用することができる。例えば、CNT含有膜は、前記CNT分散液を用いて、以下の(i)または(ii)の方法を用いて作製することができる。
(i)CNT分散液を基材フィルム上に塗布し、塗布したCNT分散液から溶媒を除去し、基材フィルム上に積層されたCNT含有膜を得る方法。
(ii)CNT分散液を剥離用支持体上に塗布し、塗布したCNT分散液から溶媒を除去して剥離用支持体付きCNT含有膜を形成後、任意に得られた剥離用支持体付きCNT含有膜から剥離用支持体を剥離することでCNT含有膜を得る方法。
そして、上述の(i)または(ii)の方法を用いて作製されたCNT含有膜は、通常、CNTと、任意の添加剤と、をCNT分散液と同様の比率で含有している。
<CNT含有膜の作製方法(i)>
ここで、CNT含有膜を作製する際にCNT分散液を塗布する基材フィルムとしては、特に限定されることなく、作製するCNT含有膜の用途に応じて既知の基材フィルムを用いることができる。具体的には、例えば、得られたCNT含有膜を透明導電膜として使用する場合には、基材フィルムとしては、樹脂基材、ガラス基材などを挙げることができる。樹脂基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどよりなる基材を挙げることができる。ガラス基材としては、通常のソーダガラスよりなる基材を挙げることができる。
ここで、CNT含有膜を作製する際にCNT分散液を塗布する基材フィルムとしては、特に限定されることなく、作製するCNT含有膜の用途に応じて既知の基材フィルムを用いることができる。具体的には、例えば、得られたCNT含有膜を透明導電膜として使用する場合には、基材フィルムとしては、樹脂基材、ガラス基材などを挙げることができる。樹脂基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどよりなる基材を挙げることができる。ガラス基材としては、通常のソーダガラスよりなる基材を挙げることができる。
そして基材フィルムは、UV照射による処理、コロナ放電照射による処理またはオゾンによる処理や、シランカップリング剤、アクリル樹脂またはウレタン樹脂の塗布による処理など、公知の方法に従って、その表面が処理されたものであってもよい。基材フィルムの表面を上記のようにして処理することで、CNT含有膜との密着性やCNT分散液の濡れ性などを制御することができる。また、例えば、上述した樹脂基材、ガラス基材の上には、ハードコート層、ガスバリア層、粘着剤層およびCNT含有膜とは別の導電層(導電膜)等が形成されていてもよい。基材フィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜10000μmである。
また、CNT含有膜を透明導電膜として使用する場合に使用される基材フィルムの光線透過率(測定波長:500nm)は、好ましくは60%以上である。なお、基材フィルムの光線透過率(測定波長:500nm)は、例えば、分光光度計(日本分光社製、V−570)を用いて測定することができる。
また、CNT含有膜を透明導電膜として使用する場合に使用される基材フィルムの光線透過率(測定波長:500nm)は、好ましくは60%以上である。なお、基材フィルムの光線透過率(測定波長:500nm)は、例えば、分光光度計(日本分光社製、V−570)を用いて測定することができる。
CNT分散液を基材フィルム上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を採用できる。具体的には、塗布方法としては、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等を用いることができる。
基材フィルム上に塗布したCNT分散液から溶媒を除去する方法としては、公知の乾燥方法を採用できる。乾燥方法としては、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、室温〜200℃、乾燥時間は、特に限定されないが、通常、0.1〜150分である。
溶媒の除去後に得られるCNT含有膜の厚みは、特に限定されないが、通常、100nmから1mmである。また、CNT含有膜中に含まれるカーボンナノチューブの含有量は、特に限定されないが、通常、0.1×10-6〜15mg/cm2である。
<CNT含有膜の作製方法(ii)>
CNT含有膜を作製する際にCNT分散液を塗布する剥離用支持体としては、その上に形成した膜を十分に固定することができ、かつ、薄膜剥離方法を用いて、形成した膜を剥離用支持体から剥離することができるものであれば特に限定されない。剥離用支持体としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等の合成樹脂シートや、ニトロセルロース等からなるメンブレンフィルター等が挙げられる。
剥離用支持体の厚みは、適宜決定すればよいが、通常、10〜10000μmである。
CNT含有膜を作製する際にCNT分散液を塗布する剥離用支持体としては、その上に形成した膜を十分に固定することができ、かつ、薄膜剥離方法を用いて、形成した膜を剥離用支持体から剥離することができるものであれば特に限定されない。剥離用支持体としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等の合成樹脂シートや、ニトロセルロース等からなるメンブレンフィルター等が挙げられる。
剥離用支持体の厚みは、適宜決定すればよいが、通常、10〜10000μmである。
剥離用支持体上に形成されたCNT含有膜は、公知の薄膜剥離方法を利用することにより、剥離用支持体から剥離することができる。例えば、剥離用支持体が所定の溶媒に溶解するものである場合、剥離用支持体付きCNT含有膜をその溶媒に浸漬させて剥離用支持体を溶解させることで、CNT含有膜を単独で取り出すことができる。
CNT分散液を剥離用支持体上に塗布する方法、および剥離用支持体上に塗布したCNT分散液から溶媒を除去する方法としては、上述したCNT含有膜の作製方法(i)と同様の方法を採用することができる。
なお、CNT含有膜は、通常、一層からなるが、CNT分散液の塗布と溶媒の除去とを適宜繰り返すことにより、二層以上の複数層構造を有する膜としてもよい。また、CNT含有膜を得た後、公知の方法に従って、該膜から適宜分散剤を洗浄除去してもよい。さらに、CNT含有膜に対し、公知の方法により、p型ドーパントやn型ドーパントなどでドーピング処理を行ってもよい。
(導電膜)
本発明により得られるCNT分散液を用いて作製した導電膜は、優れた導電性および信頼性を有している。
本発明により得られるCNT分散液を用いて作製した導電膜は、優れた導電性および信頼性を有している。
(導電性フィルム)
また、前記導電膜を基材フィルム上に積層することで導電性フィルムが得られる。導電性フィルムは、前記導電膜と同様、優れた導電性および信頼性を有している。かかる導電性フィルムは、剥離用支持体上に作製した導電膜を、基材フィルムに転写することで得ることもできるし、自立膜である導電膜を、基材フィルム上に貼り付けることで得ることもできる。また、導電性フィルムは、CNT分散液を基材フィルム上に塗布し、塗布したCNT分散液から溶媒を除去するなど、基材フィルム上に導電膜を直接形成することによっても得ることができる。
また、前記導電膜を基材フィルム上に積層することで導電性フィルムが得られる。導電性フィルムは、前記導電膜と同様、優れた導電性および信頼性を有している。かかる導電性フィルムは、剥離用支持体上に作製した導電膜を、基材フィルムに転写することで得ることもできるし、自立膜である導電膜を、基材フィルム上に貼り付けることで得ることもできる。また、導電性フィルムは、CNT分散液を基材フィルム上に塗布し、塗布したCNT分散液から溶媒を除去するなど、基材フィルム上に導電膜を直接形成することによっても得ることができる。
前記導電性フィルムの表面抵抗率は、通常、105Ω/□以下、好ましくは104Ω/□以下、より好ましくは5×103Ω/□以下、特に好ましくは2×103Ω/□以下であり、下限は特に限定されないが、通常、0.01Ω/□以上である。なお、本発明において導電性フィルムの表面抵抗率は、本明細書の実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明のCNT分散液を用いて得られる導電膜、および該導電膜を備える導電性フィルムは、例えば、帯電防止フィルム、電子ペーパー、調光フィルム、タッチパネルおよび太陽電池に好適に用いられ、特に太陽電池用電極に好適に用いられる。
また、本発明のCNT分散液を用いて得られる、ゴムまたは樹脂とCNTとの複合材料(CNT含有複合材料)は、導電性と強度とを備えているため、帯電防止シート、容器、タイヤ、ホース、タイミングベルト、ゴムパッキン、チューブ、糸などに好適に用いられる。なお、CNT含有複合材料は、CNT分散液とゴムまたは樹脂のラテックスとを混合した後に凝固させるなど、公知の方法を用いて調製することができる。
また、本発明のCNT分散液を用いて得られる、ゴムまたは樹脂とCNTとの複合材料(CNT含有複合材料)は、導電性と強度とを備えているため、帯電防止シート、容器、タイヤ、ホース、タイミングベルト、ゴムパッキン、チューブ、糸などに好適に用いられる。なお、CNT含有複合材料は、CNT分散液とゴムまたは樹脂のラテックスとを混合した後に凝固させるなど、公知の方法を用いて調製することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において使用したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板は、それぞれ以下の方法で調製した。また、カーボンナノチューブ分散液中の凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
なお、実施例および比較例において使用したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板は、それぞれ以下の方法で調製した。また、カーボンナノチューブ分散液中の凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
(カーボンナノチューブ配向集合体付き基板の調製)
<調製例1>
国際公開第2006/011655号の記載に従って、スーパーグロース法によりカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aを得た。
具体的には、シリコンウェハーよりなる基材(1cm×1cm)上に鉄薄膜(厚み1nm)よりなる金属触媒層を設けてなる平板状の基板上にカーボンナノチューブを成長させた。
得られたカーボンナノチューブ配向集合体は、主に単層CNTから構成されていた。そして、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、BET比表面積が800m2/gであり、質量密度が0.03g/cm3であり、マイクロ孔容積が0.44mL/gであり、平均直径(Av)が3.3nmであり、直径分布(3σ)が1.9nmであり、(3σ/Av)が0.58であり、平均長さが500μmであった。
<調製例1>
国際公開第2006/011655号の記載に従って、スーパーグロース法によりカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aを得た。
具体的には、シリコンウェハーよりなる基材(1cm×1cm)上に鉄薄膜(厚み1nm)よりなる金属触媒層を設けてなる平板状の基板上にカーボンナノチューブを成長させた。
得られたカーボンナノチューブ配向集合体は、主に単層CNTから構成されていた。そして、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、BET比表面積が800m2/gであり、質量密度が0.03g/cm3であり、マイクロ孔容積が0.44mL/gであり、平均直径(Av)が3.3nmであり、直径分布(3σ)が1.9nmであり、(3σ/Av)が0.58であり、平均長さが500μmであった。
<調製例2>
金属触媒層としての鉄薄膜の厚みを5nmにした以外は調製例1と同様にして、カーボンナノチューブ配向集合体付き基板Bを得た。
得られたカーボンナノチューブ配向集合体は、二層CNTを含むCNTから構成されていた。そして、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、BET比表面積が620m2/gであり、質量密度が0.03g/cm3であり、マイクロ孔容積が0.41mL/gであり、平均直径(Av)が5.9nmであり、直径分布(3σ)が3.3nmであり、(3σ/Av)が0.56であり、平均長さが500μmであった。
金属触媒層としての鉄薄膜の厚みを5nmにした以外は調製例1と同様にして、カーボンナノチューブ配向集合体付き基板Bを得た。
得られたカーボンナノチューブ配向集合体は、二層CNTを含むCNTから構成されていた。そして、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、BET比表面積が620m2/gであり、質量密度が0.03g/cm3であり、マイクロ孔容積が0.41mL/gであり、平均直径(Av)が5.9nmであり、直径分布(3σ)が3.3nmであり、(3σ/Av)が0.56であり、平均長さが500μmであった。
<調製例3>
基板上にカーボンナノチューブを成長させる時間(原料ガスの供給・加熱時間)を2倍にしたこと以外は、調製例1と同様にして、カーボンナノチューブ配向集合体付き基板Cを得た。
得られたカーボンナノチューブ配向集合体は、主に単層CNTから構成されていた。そして、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、BET比表面積が820m2/gであり、質量密度が0.03g/cm3であり、マイクロ孔容積が0.42mL/gであり、平均直径(Av)が3.5nmであり、直径分布(3σ)が2.0nmであり、(3σ/Av)が0.57であり、平均長さが1000μmであった。
基板上にカーボンナノチューブを成長させる時間(原料ガスの供給・加熱時間)を2倍にしたこと以外は、調製例1と同様にして、カーボンナノチューブ配向集合体付き基板Cを得た。
得られたカーボンナノチューブ配向集合体は、主に単層CNTから構成されていた。そして、カーボンナノチューブ配向集合体を構成するCNTは、BET比表面積が820m2/gであり、質量密度が0.03g/cm3であり、マイクロ孔容積が0.42mL/gであり、平均直径(Av)が3.5nmであり、直径分布(3σ)が2.0nmであり、(3σ/Av)が0.57であり、平均長さが1000μmであった。
(評価方法)
<凝集物の有無>
得られたカーボンナノチューブ分散液を光学顕微鏡で観察し、直径1mm以上の凝集物の有無を確認した。
<カーボンナノチューブの分散性>
得られたカーボンナノチューブ分散液を1000Gで15分間遠心し、沈殿物の有無を目視にて確認し、以下の基準でカーボンナノチューブの分散性を評価した。
○:カーボンナノチューブが良好に分散しており、沈殿物が確認できない。
×:カーボンナノチューブが良好に分散しておらず、沈殿物が確認できた。
<表面抵抗率>
抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)−GP MCP−T610」)を使用し、JIS K7194に準拠した方法で以下のように測定し、評価した。
具体的には、四端子法を用いて、温度25℃、湿度20%RHの環境で、積層体の表面抵抗率(シート抵抗)を測定し、以下の基準に従って評価した。
A:6000Ω/□未満
B:6000Ω/□以上7000Ω/□未満
C:7000Ω/□以上
<凝集物の有無>
得られたカーボンナノチューブ分散液を光学顕微鏡で観察し、直径1mm以上の凝集物の有無を確認した。
<カーボンナノチューブの分散性>
得られたカーボンナノチューブ分散液を1000Gで15分間遠心し、沈殿物の有無を目視にて確認し、以下の基準でカーボンナノチューブの分散性を評価した。
○:カーボンナノチューブが良好に分散しており、沈殿物が確認できない。
×:カーボンナノチューブが良好に分散しておらず、沈殿物が確認できた。
<表面抵抗率>
抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)−GP MCP−T610」)を使用し、JIS K7194に準拠した方法で以下のように測定し、評価した。
具体的には、四端子法を用いて、温度25℃、湿度20%RHの環境で、積層体の表面抵抗率(シート抵抗)を測定し、以下の基準に従って評価した。
A:6000Ω/□未満
B:6000Ω/□以上7000Ω/□未満
C:7000Ω/□以上
(実施例1)
調製例1で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aを、溶媒としてのオルトジクロロベンゼン中に浸漬した(接触工程)。次に、溶媒中で、スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した(分離工程)。その後、ピンセットにより基板を除去し、超音波ホモジナイザーを用いて20W、30分間の条件で分散処理を施して(分散工程)、カーボンナノチューブ分散液を得た。
そして、得られたカーボンナノチューブ分散液について凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、基材フィルムとしてのPETフィルム(東洋紡社製、「コスモシャイン(登録商標)」、品番A4100、易接着層有り)上に、上記のCNT分散液を、スプレーコート法を用いて塗布し、PETフィルム上のCNT分散液を80℃で乾燥して、CNT含有膜を形成した。得られたCNT含有膜とPETフィルムの積層体(CNT含有膜からなる導電膜を基材フィルム上に積層してなる導電性フィルム)のCNT含有膜側の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
調製例1で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aを、溶媒としてのオルトジクロロベンゼン中に浸漬した(接触工程)。次に、溶媒中で、スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した(分離工程)。その後、ピンセットにより基板を除去し、超音波ホモジナイザーを用いて20W、30分間の条件で分散処理を施して(分散工程)、カーボンナノチューブ分散液を得た。
そして、得られたカーボンナノチューブ分散液について凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、基材フィルムとしてのPETフィルム(東洋紡社製、「コスモシャイン(登録商標)」、品番A4100、易接着層有り)上に、上記のCNT分散液を、スプレーコート法を用いて塗布し、PETフィルム上のCNT分散液を80℃で乾燥して、CNT含有膜を形成した。得られたCNT含有膜とPETフィルムの積層体(CNT含有膜からなる導電膜を基材フィルム上に積層してなる導電性フィルム)のCNT含有膜側の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
分散工程を実施せず、接触工程の後に分離工程のみを行ってカーボンナノチューブ分散液を得た以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液および積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
分散工程を実施せず、接触工程の後に分離工程のみを行ってカーボンナノチューブ分散液を得た以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液および積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
カーボンナノチューブ配向集合体付き基板として調製例2で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Bを使用した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液および積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ配向集合体付き基板として調製例2で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Bを使用した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液および積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
調製例1で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aを、溶媒としてのオルトジクロロベンゼンに容器(ガラスシャーレ)中で浸漬した(接触工程)。次に、CNT配向集合体付き基板Aをガラスシャーレごとデシケーターに入れ、ダイアフラムポンプでデシケーター内を大気圧未満(1000Pa)に減圧した(減圧工程)。オルトジクロロベンゼンに含浸させたCNT配向集合体から発泡が観察され、発泡は減圧開始から180分間ほど続いた。その後、常圧に戻してガラスシャーレをデシケーターから取り出し、溶媒中で、スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した(分離工程)。その後、ピンセットにより基板を除去し、超音波ホモジナイザーを用いて20W、30分間の条件で分散処理を施して(分散工程)、カーボンナノチューブ分散液を得た。また、得られたカーボンナノチューブ分散液を使用し、実施例1と同様にして積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
調製例1で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aを、溶媒としてのオルトジクロロベンゼンに容器(ガラスシャーレ)中で浸漬した(接触工程)。次に、CNT配向集合体付き基板Aをガラスシャーレごとデシケーターに入れ、ダイアフラムポンプでデシケーター内を大気圧未満(1000Pa)に減圧した(減圧工程)。オルトジクロロベンゼンに含浸させたCNT配向集合体から発泡が観察され、発泡は減圧開始から180分間ほど続いた。その後、常圧に戻してガラスシャーレをデシケーターから取り出し、溶媒中で、スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した(分離工程)。その後、ピンセットにより基板を除去し、超音波ホモジナイザーを用いて20W、30分間の条件で分散処理を施して(分散工程)、カーボンナノチューブ分散液を得た。また、得られたカーボンナノチューブ分散液を使用し、実施例1と同様にして積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
調製例3で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Cを、溶媒としてのオルトジクロロベンゼンにガラスシャーレ中で浸漬した(接触工程)。次に、CNT配向集合体付き基板Cをガラスシャーレごとデシケーターに入れ、ダイアフラムポンプでデシケーター内を大気圧未満(1000Pa)に減圧した(減圧工程)。オルトジクロロベンゼンに含浸させたCNT配向集合体から発泡が観察され、発泡は減圧開始から180分間ほど続いた。その後、常圧に戻してガラスシャーレをデシケーターから取り出し、溶媒中で、スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した(分離工程)。その後、ピンセットにより基板を除去し、超音波ホモジナイザーを用いて20W、30分間の条件で分散処理を施して(分散工程)、カーボンナノチューブ分散液を得た。また、得られたカーボンナノチューブ分散液を使用し、実施例1と同様にして積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
調製例3で作製したカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Cを、溶媒としてのオルトジクロロベンゼンにガラスシャーレ中で浸漬した(接触工程)。次に、CNT配向集合体付き基板Cをガラスシャーレごとデシケーターに入れ、ダイアフラムポンプでデシケーター内を大気圧未満(1000Pa)に減圧した(減圧工程)。オルトジクロロベンゼンに含浸させたCNT配向集合体から発泡が観察され、発泡は減圧開始から180分間ほど続いた。その後、常圧に戻してガラスシャーレをデシケーターから取り出し、溶媒中で、スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体を基板から分離した(分離工程)。その後、ピンセットにより基板を除去し、超音波ホモジナイザーを用いて20W、30分間の条件で分散処理を施して(分散工程)、カーボンナノチューブ分散液を得た。また、得られたカーボンナノチューブ分散液を使用し、実施例1と同様にして積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aからカーボンナノチューブ配向集合体を剥離した。その後、剥離したカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒としてのオルトジクロロベンゼン中に投入し、撹拌してカーボンナノチューブ分散液を調製した。また、得られたカーボンナノチューブ分散液を使用し、実施例1と同様にして積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
スパチュラを用いてカーボンナノチューブ配向集合体付き基板Aからカーボンナノチューブ配向集合体を剥離した。その後、剥離したカーボンナノチューブ配向集合体を溶媒としてのオルトジクロロベンゼン中に投入し、撹拌してカーボンナノチューブ分散液を調製した。また、得られたカーボンナノチューブ分散液を使用し、実施例1と同様にして積層体を調製した。
そして、実施例1と同様にして、凝集物の有無およびカーボンナノチューブの分散性を評価した。また、得られた積層体の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜5では、分散剤を使用せずとも、CNTが良好に分散したCNT分散液が得られることが分かる。特に減圧工程を実施した実施例4および5で得られたCNT分散液によれば、導電性に特に優れたCNT含有膜(導電膜)が得られることが分かる。
本発明のカーボンナノチューブ分散液の製造方法によれば、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を、分散剤を使用せずとも、効率的に製造することができる。
Claims (4)
- 基板上に形成されたカーボンナノチューブ配向集合体と、溶媒とを接触させる工程(1)と、
前記溶媒中で前記カーボンナノチューブ配向集合体を前記基板から分離させる工程(2)と、を含み、
前記カーボンナノチューブ配向集合体を構成するカーボンナノチューブが、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが関係式:0.20<(3σ/Av)<0.60を満たし、且つ、平均長さが100μm以上であることを特徴とする、カーボンナノチューブ分散液の製造方法。 - 前記基板から分離させた前記カーボンナノチューブ配向集合体を前記溶媒中で分散処理する工程(3)を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
- 前記工程(1)と前記工程(2)との間に、前記溶媒に接触している前記カーボンナノチューブ配合集合体を減圧下に置く工程(4)を更に含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
- 前記基板が、平板状、粒子状または線状の基板であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
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