JPWO2015033891A1 - 弾性波共振子、弾性波フィルタ装置及びデュプレクサ - Google Patents

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Abstract

非線型歪みを抑制することができ、しかも小型化を図り得る1ポート型の弾性波共振子を得る。圧電基板2上に第1,第2のIDT電極4,5及び第1,第2の反射器6,7が形成されており、第1,第2のIDT電極4,5において、共有バスバー8が共有されており、第1の端子9と第2の端子10との間に第1,第2のIDT電極4,5が並列に接続されており、共有バスバー8が第1の反射器6と共に第1の端子9に接続されており、第1,第2のバスバー4c,5cが第2の反射器7に接続され、さらに第2の端子10に接続されている、弾性波共振子1。

Description

本発明は、圧電基板上にIDT電極が形成されている1ポート型の弾性波共振子に関する。また、本発明は、上記1ポート型の弾性波共振子を有する弾性波フィルタ装置及びデュプレクサに関する。
従来、フィルタ装置を構成する共振子などに、弾性表面波共振子が広く用いられている。下記の非特許文献1には、1ポート型弾性表面波共振子において、IDT電極が直列分割されている構造が開示されている。ここでは、第1のIDT電極と第2のIDT電極とが直列接続されている。分割しない場合と同じインピーダンスとなるように、第1,第2のIDT電極の面積が大きくされている。それによって、第1,第2のIDT電極内のエネルギー密度が低められ、非線形信号による歪みが低減されている。
他方、下記の特許文献1には、耐熱衝撃性を高めるための弾性表面波装置が開示されている。この弾性表面波装置では、圧電基板上に、2個の弾性表面波共振子部分が構成されている。2個の弾性表面波共振子部分は電気的に並列に接続されている。すなわち第1,第2の弾性表面波共振子部分を構成している第1,第2のIDT電極が電気的に並列に接続されている。
特開2004−320411号公報
"A Triple-Beat-Free PCS SAW Duplexer, "(IEEE Ultrason. Symp., pp. 67-70, 2012)
非特許文献1に記載の弾性表面波装置では、非線形歪みを小さくすることができる。しかしながら、第1,第2のIDT電極の面積が大きくなっていた。そのため、小型化が困難であった。
他方、特許文献1に記載の弾性表面波装置では、耐熱衝撃性の向上を目的として並列接続構造が採用されている。この構造では、IDT電極の面積を大きくせずとも、非線形歪みを抑制することが可能である。しかしながら、特許文献1に開示されている並列接続構造では、第1,第2のIDT電極を接続するための引き回し配線が大きなスペースを占める。従って、やはり小型化が困難である。
本発明の目的は、非線形歪みを抑制し、かつ小型化を図ることができる1ポート型の弾性波共振子を提供することにある。
本発明の他の目的は、非線形歪みを抑制し、かつ小型化を図り得る弾性波共振子を有する、弾性波フィルタ装置及びデュプレクサを提供することにある。
本発明に係る弾性波共振子は、第1の端子と、第2の端子とを有する1ポート型の弾性波共振子である。本発明の弾性波共振子は、圧電基板と、上記圧電基板上に形成された第1,第2のIDT電極と、上記第1,第2のIDT電極が設けられている部分の両側に配置された第1,第2の反射器とを備える。上記第1,第2の反射器は、上記第1,第2のIDT電極において共有されている。
上記第1のIDT電極は、第1のバスバーと、第1のバスバーと隔てて配置された共有バスバーとを有する。上記第2のIDT電極は、第1のIDT電極と上記共有バスバーを共有しており、該共有バスバーと隔てられた第2のバスバーを有する。
上記第1のバスバーは、上記共有バスバーを挟んで上記第2のバスバーとは反対側に配置されている。
上記共有バスバーが上記第1の反射器に電気的に接続されており、かつ上記第1の端子に接続されている。上記第2の反射器が、上記第1,第2のバスバーに接続されており、かつ上記第2の端子に接続されている。
上記第1,第2のIDT電極は、上記第1,第2の端子間において電気的に並列に接続されている。
本発明に係る弾性波共振子のある特定の局面では、上記圧電基板の分極方向を圧電基板面に投影した方向を投影分極方向とすると、上記第1のIDT電極における上記第1のバスバーと共有バスバーとの間の電圧印加方向は、上記投影分極方向と同じ方向であり、第2のIDT電極における上記共有バスバーと上記第2のバスバーとの間の電圧印加方向は、上記投影分極方向と逆方向とされている。
本発明に係る弾性波共振子の他の特定の局面では、上記第1,第2の反射器が、複数本の電極指と、該複数本の電極指の一方端部を連結している第1の端部バスバーと、上記複数本の電極指の他方端部同士を連結している第2の端部バスバーと、上記複数本の電極指の中間部分を連結している中間バスバーとを有する。
本発明に係る弾性波共振子のさらに他の特定の局面では、上記第1のバスバーが、上記第2の反射器の第1の端部バスバーと同じ方向に延びかつ連ねられて一体化されており、上記第2のバスバーが、上記第2の反射器の第2の端部バスバーと同じ方向に延びかつ連ねられて一体化されている。
本発明に係る弾性波共振子の他の特定の局面では、上記共有バスバーが、上記第1の反射器の上記中間バスバーと同じ方向に延びかつ連ねられている。
本発明に係る弾性波フィルタ装置は、複数の弾性波共振子を有し、少なくとも1つの弾性波共振子が本発明に従って構成された弾性波共振子からなる。
本発明に係る弾性波フィルタ装置の他の特定の局面では、上記複数の弾性波共振子がラダー型回路を構成している。
本発明に係る弾性波フィルタ装置の別の特定の局面では、上記ラダー型回路が、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子を有し、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子が前記複数の弾性波共振子からなり、上記直列腕共振子及び並列腕共振子のうち少なくとも1つの共振子が、本発明に従って構成された弾性波共振子からなる。
本発明に係るデュプレクサは、アンテナ端に接続されている第1の帯域フィルタと、上記アンテナ端に接続されており、上記第1の帯域フィルタと通過帯域が異なる第2の帯域フィルタとを有する。上記第1の帯域フィルタ及び第2の帯域フィルタの少なくとも一方が、本発明に従って構成されている弾性波共振子を有する。
本発明に係るデュプレクサの他の特定の局面では、第1及び第2の帯域フィルタの少なくとも一方において、複数の弾性波共振子を有し、該複数の弾性波共振子のうち上記アンテナ端に最も近い側の少なくとも1つの弾性波共振子が、本発明に従って構成された弾性波共振子からなる。
本発明に係る弾性波共振子によれば、非線形歪みを抑制することができ、しかも小型化を図ることが可能となる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波共振子の平面図及び側面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波共振子の平面図である。 図3は、本発明の第3の実施形態としてのデュプレクサを示す回路図である。 図4は、本発明の第4の実施形態としてのデュプレクサを示す回路図である。 図5は、本発明の第5の実施形態としてのデュプレクサを示す回路図である。 図6は、本発明の第6の実施形態としてのデュプレクサを示す回路図である。 図7は、本発明の第7の実施形態としてのデュプレクサを示す回路図である。 図8は、本発明の実施形態に係る弾性波共振子と、第1,第2の比較例の弾性波共振子の二次高調波の応答を示す減衰量周波数特性を示す図である。 図9は、弾性境界波装置の構造例を示す正面断面図である。 図10は、第2の比較例の弾性波共振子の平面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波共振子を示す平面図であり、図1(b)はその側面図である。
弾性波共振子1は、1ポート型の弾性波共振子である。本実施形態では、弾性波共振子1は、弾性表面波を利用している、弾性表面波共振子である。
弾性波共振子1は、圧電基板2を有する。圧電基板2は、本実施形態では、LiTaOからなる。もっとも、圧電基板2は、LiNbOなどの他の圧電単結晶または圧電セラミックスにより構成されていてもよい。
圧電基板2の分極方向は、図1(b)に示す矢印P方向である。図1(a)の投影分極方向Pxは、図1(b)に示した分極方向Pを圧電基板2の主面に投影した方向である。
圧電基板2の上面2a上に、電極構造3が形成されている。この電極構造3は、本実施形態では、TiとAlCu合金の積層構造からなる。もっとも、電極構造を形成する金属材料はTi/AlCuに限定されず、Pt、Cu、Au、Al、Ti、Ag、Pd、W、Moおよびこれらを主体とする適宜の合金などを用いることができる。また、電極構造3は、積層金属膜により形成されていてもよい。
上記電極構造3は、第1のIDT電極4と第2のIDT電極5と、第1,第2の反射器6,7とを有する。
第1のIDT電極4は、複数本の第1の電極指4aと、複数本の第2の電極指4bとを有する。複数本の第1の電極指4aと複数本の第2の電極指4bとは互いに間挿し合っている。
複数本の第1の電極指4a及び複数本の第2の電極指4bは、それぞれ、投影分極方向Pxと平行な方向に延ばされている。
複数本の第1の電極指4aの一端が第1のバスバー4cに接続されている。また、複数本の第2の電極指4bの一端が、共有バスバー8に電気的に接続されている。
第2のIDT電極5は、複数本の第3の電極指5aと、複数本の第4の電極指5bとを有する。複数本の第3の電極指5aと、複数本の第4の電極指5bとが互いに間挿し合っている。複数本の第3,第4の電極指5a,5bは、投影分極方向Pxと平行な方向に延ばされている。
複数本の第3の電極指5aの一端が共有バスバー8に接続されている。他端が第2のバスバー5c側に向かって延ばされている。
複数本の第4の電極指5bは一端が第2のバスバー5cに接続されており、他端が共有バスバー8側に向かって延ばされている。
本実施形態では、第1のバスバー4c、第2のバスバー5c及び共有バスバー8は、上記投影分極方向Pxと直交する方向に延びている。また、第1のバスバー4c及び第2のバスバー5cは、共有バスバー8と平行に延ばされている。
上記電極構造3においては、第1のIDT電極4と第2のIDT電極5とは、上記共有バスバー8を介して背中合わせに配置されている。すなわち、共有バスバー8の一方側に第1のIDT電極4が、反対側に第2のIDT電極5が構成されている。
第1,第2のIDT電極4,5では、共有バスバー8が共有され、第1,第2のIDT電極4,5が背中合わせに配置されている。従って、第1,第2のIDT電極4,5が形成されている部分の小型化を図ることができる。
他方、第1,第2の反射器6,7は、第1,第2のIDT電極4,5が設けられている領域の弾性表面波伝搬方向両側に配置されている。第1,第2の反射器6,7は、第1,第2のIDT電極4,5でそれぞれ構成される第1,第2の共振部分において共有されている。すなわち、第1のIDT電極4で励振された弾性表面波及び第2のIDT電極5で励振された弾性表面波を反射し得るように、第1,第2の反射器6,7が配置されている。
より具体的には、第1の反射器6は、複数本の電極指6aと、第1,第2の端部バスバー6b,6cとを有する。複数本の電極指6aの一端が第1の端部バスバー6bにより連結されている。複数本の電極指6aの他端が、第2の端部バスバー6cにより連結されている。複数本の電極指6aは、上記第1,第2のIDT電極4,5の側方に位置している。より具体的には、上記のように伝搬してきた弾性表面波を反射するために、第1,第2のIDT電極4,5の電極指交差部の側方に、複数本の電極指6aが位置している。
第2の反射器7も、第1の反射器6と同様に、複数本の電極指7aと、第1,第2の端部バスバー7b,7cとを有する。第2の反射器7も、第1,第2のIDT電極4,5で励振された弾性表面波を反射するように設けられている。
ところで、本実施形態の弾性波共振子1は、第1の端子9と第2の端子10とを有する1ポート型の弾性波共振子である。上記共有バスバー8と、第1の反射器6とは電気的に接続されている。すなわち、共有バスバー8は、本実施形態では、第1の反射器6側に延ばされており、第1の反射器6の電極指6aの中間部分に連結されている。そして、第1の端子9は、この共有バスバー8及び第1の反射器6に電気的に接続されている。
他方、第1のバスバー4cは、本実施形態では、第2の反射器7の第1の端部バスバー7bに連ねられ、一体化されている。同様に、第2のバスバー5cも、第2の端部バスバー7cに連ねられ一体化されている。本実施形態では、第1のバスバー4cと第1の端部バスバー7bとは、同じ幅で同じ方向に延び、かつ連ねられて一体化されている。第2のバスバー5cと第2の端部バスバー7cも、同じ幅で同じ方向に延び、連ねられて一体化されている。そして、第2の端子10が、この第2の反射器7及び第1,第2のバスバー4c,5cに接続されている。
従って、第1の端子9と第2の端子10との間に、第1のIDT電極4と第2のIDT電極5とが電気的に並列に接続されている。そして、第1のIDT電極4における第1のバスバー4cと共有バスバー8との間の電圧印加方向V1と、第2のIDT電極5における共有バスバー8と第2のバスバー5cとの間の電圧印加方向V2が図示のように逆方向とされている。より具体的には、上記電圧印加方向V1は、投影分極方向Pxと同じ方向であり、上記電圧印加方向V2は投影分極方向Pxと逆方向とされている。
本実施形態の弾性波共振子1では、上記のように構成されているため、非線形歪みを抑制することができると共に、小型化を図り得る。これを、図8を参照しつつ、具体的に説明する。
図8の実線は、上記弾性波共振子1を以下の仕様で作製した場合の非線形歪みを発生させる二次高調波の応答を示す減衰量周波数特性である。
弾性波共振子1の仕様:
IDT電極4,5:電極材料〔Ti/AlCu膜、厚み30/380(nm)の積層構造〕。電極指の対数=〔80対〕。電極指交差幅=〔50μm〕。共有バスバー8の幅方向寸法=〔15μm〕。第1,第2のバスバー4c,5cの幅方向寸法=〔15μm〕。第1,第2の反射器6,7における電極指6a,7aの本数=各15本。第1,第2の端部バスバー6b,6c,7b,7cの幅方向寸法=〔15μm〕。
比較のために、以下の第1及び第2の比較例を用意した。第1の比較例:並列分割せずに、1つのIDT電極の両側に反射器が配置されている通常の1ポート型弾性波共振子を用意した。IDT電極の電極指交差幅を100μmとし、IDT電極を並列分割しなかったこと、両側の反射器をIDT電極に電気的に接続していないことを除いては、上記実施形態と同様とした。
第2の比較例:図10に示す電極構造の弾性波共振子101を作製した。図10に示す弾性波共振子101では、弾性波共振子1と同様にIDT電極104,105が第1,第2の端子109,110間において並列に接続されている。もっとも、第1のIDT電極104及び第2のIDT電極105の各一方のバスバーを引き回し配線106により接続し、第1の端子109に接続している。また、第1,第2のIDT電極104,105の各他方のバスバーをIDT電極104,105が設けられている部分を囲むように設けられた引き回し配線107により共通接続している。この引き回し配線107を第2の端子110に接続している。その他の構成は上記実施形態と同様とした。
図8の破線は、上記第1の比較例の結果を示す。また一点鎖線は、上記第2の比較例の結果を示す。
図8から明らかなように、第1の比較例に比べ、並列反転接続構造を有する第2の比較例及び上記実施形態によれば、二次高調波の応答を効果的に抑圧し得ることがわかる。特に、上記実施形態によれば、第2の比較例に比べても、二次高調波の応答を抑制でき、すなわち二次の非線形歪みをより一層効果的に抑制し得ることがわかる。第2の比較例に対して非線形歪みが改善したのは、バスバーを共有したことにより、2つのIDT間で波動の結合が生じて構造の対称性が改善されたため、と考えられる。
他方、図10と図1(a)とを対比すれば明らかなように、第2の比較例では、大きな面積を占める引き回し配線を設けなければならなかった。また、第1,第2のIDT電極のバスバーが共通化されておらず、反射器も第1,第2のIDT電極104,105で個別に設けられている。従って、圧電基板上における電極構造形成面積が非常に大きいことがわかる。これに対して、上記実施形態の弾性波共振子1では、電極構造3の小型化を図ることができる。すなわち、非線形歪みを効果的に抑制しつつ、弾性波共振子の大幅な小型化を図り得ることがわかる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波共振子の平面図である。第2の実施形態の弾性波共振子では、第1,第2の反射器6,7が中間バスバー6d,7dを有する。その他の点は、第1の実施形態と同様である。従って、同一部分については同一の参照番号を付することによりその説明を省略する。本実施形態では、中間バスバー6d,7dが、複数本の電極指6a,7aの中間部分を連結するようにそれぞれ設けられている。従って、第1,第2の反射器6,7を経て、第1,第2の端子9,10に至る電流経路が増加する。そのため、第1の実施形態に比べ、第2の実施形態によれば、電極指の抵抗による伝送信号の損失を低減することができる。
なお、第1,第2の実施形態では、第1のバスバー4c及び第2のバスバー5cは、それぞれ、第1,第2の端部バスバー7b,7cと同一幅で同じ方向に延ばされていた。しかしながら、本発明では、第1のバスバー4c及び第2のバスバー5cは、第1,第2のバスバー7b,7cと同一幅である必要はない。
また、第1のバスバー4c,第2のバスバー5cは、第1,第2の端部バスバー7b,7cと異なる方向に延びていてもよい。
もっとも、好ましくは、上記のように、同じ幅で同じ方向に延びていることが望ましく、それによってより一層の小型化を図ることが可能とされている。
共有バスバー8は、第1,第2のバスバー4c,5cと平行に延ばされていたが、非平行であってもよい。
さらに、第1の反射器6及び第2の反射器7と、IDT電極4,5とが形成されている領域、すなわちこれらからなる電極構造3が形成されている領域が、図1(a)に示すように、矩形の領域を形成することが望ましい。それによって、小型化をより一層図ることができる。
次に、本発明の第3〜第7の実施形態としてのデュプレクサを説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態としてのデュプレクサの回路図である。デュプレクサ31ではアンテナ32にアンテナ端子33が接続されている。アンテナ端子33に、第1の帯域フィルタ34と第2の帯域フィルタ35との各一端が接続されている。本実施形態では、第1の帯域フィルタ34が、携帯電話機の送信フィルタを構成しており、第2の帯域フィルタ35が受信フィルタを構成している。すなわち、第2の帯域フィルタ35の通過帯域は、第1の帯域フィルタ34の通過帯域と異なっている。
第3の実施形態では、第1の帯域フィルタ34が、複数の直列腕共振子S1〜S4及び複数の並列腕共振子P1,P2を有する。すなわち、ラダー型回路が構成されている。
複数の直列腕共振子S1〜S4及び複数の並列腕共振子P1,P2は弾性波共振子からなる。本実施形態では、これらの弾性波共振子のうち、アンテナ端子33に最も近い直列腕共振子S1及び並列腕共振子P1が、上記実施形態の弾性波共振子1により構成されている。従って、非線形歪みを効果的に抑制することができると共に、弾性波フィルタ装置からなる第1の帯域フィルタ34の小型化、ひいてはデュプレクサ31の小型化を図ることが可能とされている。
なお、デュプレクサ31では、第1の帯域フィルタ34において、直列腕共振子S1及び並列腕共振子P1が、上記実施形態の弾性波共振子1で構成されていたが、直列腕共振子S1のみが上記弾性波共振子1により構成されていてもよい。さらに、複数の直列腕共振子S1〜S4及び並列腕共振子P1,P2の全てが上記弾性波共振子1により構成されていてもよい。すなわち、複数の弾性波共振子のうち少なくとも1個が本発明の弾性波共振子により構成されていればよい。
もっとも、デュプレクサ31の第1の帯域フィルタ34では、合成端側に最も近い弾性波共振子において非線形歪みを抑制することが望ましい。従って、上記実施形態のように、直列腕共振子S1及び並列腕共振子P1として、上記実施形態の弾性波共振子1を用いることが望ましい。この場合、アンテナ端子33に最も近い直列腕共振子S1にのみ上記弾性波共振子1を用いてもよい。
図4に示す第4の実施形態としてのデュプレクサ41では、第1の帯域フィルタ34は第3の実施形態のデュプレクサ31と同様に構成されている。ここでは、第2の帯域フィルタ35が縦結合共振子型弾性波フィルタ42と、弾性波共振子43,44とを有する。弾性波共振子43は、縦結合共振子型弾性波フィルタ42とアンテナ端子33との間に接続されており、弾性波共振子44は、弾性波共振子43と縦結合共振子型弾性波フィルタ42との間の接続点とグラウンド電位との間に接続されている。
このような縦結合共振子型弾性波フィルタ42を有する第2の帯域フィルタ35においても、上記弾性波共振子43,44のうち少なくとも一方を、上記弾性波共振子1により構成することが望ましい。それによって、第2の帯域フィルタ35における非線形歪みを抑制することができる。この場合においても、弾性波共振子43のみを弾性波共振子1で構成してもよい。また、弾性波共振子44のみを弾性波共振子1で構成してもよい。
図5に示す第5の実施形態のデュプレクサ51では、第1の帯域フィルタ34は第3の実施形態のデュプレクサ31と同様に構成されている。第2の帯域フィルタ35は、複数の直列腕共振子S11〜S14及び複数の並列腕共振子P11,P12を有するラダー型フィルタである。このように第2の帯域フィルタ35もまたラダー型フィルタにより構成されていてもよい。この場合、複数の直列腕共振子S11〜S14及び複数の並列腕共振子P11,P12が弾性波共振子からなる。そして、複数の弾性波共振子のうち少なくとも1つの弾性波共振子が上記実施形態の弾性波共振子1により構成されていることが望ましい。
より好ましくは、アンテナ端子33すなわち合成端に最も近い直列腕共振子S11及び並列腕共振子P11のうち少なくとも一方が本発明に従って構成された弾性波共振子からなることが望ましい。それによって、第2の帯域フィルタ35側における二次の非線形歪みを効果的に抑制することができる。
図6は、本発明の第6の実施形態に係るデュプレクサ61の回路図である。デュプレクサ61では、第1の帯域フィルタ34が、アンテナ端子33側に、直列腕共振子S1A,S1Bを互いに直列接続した構造を有する。第2の帯域フィルタ35においても、アンテナ端子33側において、複数の弾性波共振子S43A,S43Bを直列に接続した構造を有する。
第1の帯域フィルタ34は、上記の点を除けば、第3の実施形態のデュプレクサ31の第1の帯域フィルタ34と同様である。また、第2の帯域フィルタ35は、上記の点を除けば、第4の実施形態のデュプレクサ41の第2の帯域フィルタ35と同様である。このように、合成端に最も近い直列腕共振子が2分割されていてもよい。この場合においても、例えば、並列腕共振子P1及び弾性波共振子44を上記実施形態の弾性波共振子1で構成することにより、二次の非線形歪みを効果的に抑圧することができると共に、小型化を図ることができる。
図7は、第7の実施形態に係るデュプレクサ71の回路図である。デュプレクサ71では、第1の帯域フィルタ34は、第6の実施形態の第1の帯域フィルタ34と同様に構成されている。また、第2の帯域フィルタ35では、アンテナ端子33に最も近い直列腕共振子が2つの直列腕共振子S11A,S11Bに分割されている。上記の点を除けば、第2の帯域フィルタ35は第5の実施形態のデュプレクサ51の第2の帯域フィルタ35と同様に構成されている。
第7の実施形態においても、並列腕共振子P1,P11を、上記実施形態の弾性波共振子1で構成することにより、二次の非線形歪みを効果的に抑圧することができ、かつ小型化を図ることができる。
上記第3〜第7の実施形態では、第1,第2の帯域フィルタ34,35を有するデュプレクサを示したが、本発明は、このような第1の帯域フィルタ34や第2の帯域フィルタ35のような帯域フィルタ装置にも適用することができる。従って、例えば、第3の実施形態の第1の帯域フィルタ34のように、複数の弾性波共振子を用いたラダー型回路構成のフィルタ装置もまた、本発明のフィルタ装置に相当する。同様に、ラダー型回路構成を有するものに限らず、複数の弾性波共振子を有する弾性波フィルタ装置に一般的に本発明を適用することができる。さらに、縦結合共振子型弾性波フィルタ42をも有する第4の実施形態の第2の帯域フィルタ35のように、弾性波共振子と他のフィルタ素子とを含むフィルタ装置にも本発明を適用することができる。
さらに、弾性表面波共振子に限らず、図9に示すような構造を有する弾性境界波共振子にも本発明を適用することができる。図9に示す弾性境界波共振子81は、圧電基板82と、圧電基板82とは異なる固体の第2の媒質83とを有する。圧電基板82と媒質83との界面にIDT電極84及び反射器85,86が構成されている。これらのIDT電極84及び反射器85,86を含む電極構造を、上記実施形態の弾性波共振子1の電極構造3と同様とすることにより、本発明に従って1ポート型の弾性境界波共振子を提供することができる。
1…弾性波共振子
2…圧電基板
2a…上面
3…電極構造
4…第1のIDT電極
4a,4b…第1,第2の電極指
4c…第1のバスバー
5…第2のIDT電極
5a,5b…第3,第4の電極指
5c…第2のバスバー
6…第1の反射器
6a…電極指
6b,6c…第1,第2の端部バスバー
6d…中間バスバー
7…第2の反射器
7a…電極指
7b,7c…第1,第2の端部バスバー
7d…中間バスバー
8…共有バスバー
9,10…第1,第2の端子
31,41,51,61,71…デュプレクサ
32…アンテナ
33…アンテナ端子
34,35…第1,第2の帯域フィルタ
42…縦結合共振子型弾性波フィルタ
43,44,S43A,S43B…弾性波共振子
81…弾性境界波共振子
82…圧電基板
83…媒質
84…IDT電極
85,86…反射器
P1,P2,P11,P12…並列腕共振子
S1〜S4,S11〜S14,S1A,S1B,S11A,S11B…直列腕共振子

Claims (10)

  1. 第1の端子と、第2の端子とを有する1ポート型の弾性波共振子であって、
    圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成された第1,第2のIDT電極と、
    前記第1,第2のIDT電極が設けられている部分の弾性波伝搬方向両側に配置されており、前記第1,第2のIDT電極で共有されている第1,第2の反射器とを備え、
    前記第1のIDT電極が、第1のバスバーと、前記第1のバスバーと隔てられて配置された共有バスバーとを有し、
    前記第2のIDT電極が、前記第1のIDT電極と共有している前記共有バスバーと、前記共有バスバーと隔てられた第2のバスバーとを有し、
    前記第1のバスバーが、前記共有バスバーを挟んで前記第2のバスバーとは反対側に配置されており、
    前記共有バスバーが前記第1の反射器に電気的に接続されており、かつ前記第1の端子に接続されており、
    前記第2の反射器が前記第1,第2のバスバーに電気的に接続されており、かつ前記第2の端子に接続されており、
    前記第1,第2のIDT電極が前記第1,第2の端子間で電気的に並列に接続されている、弾性波共振子。
  2. 前記第1のIDT電極における前記第1のバスバーと前記共有バスバーとの間での電圧印加方向が、前記圧電基板の分極方向を圧電基板面に投影した投影分極方向と同じ方向であり、前記第2のIDT電極における前記共有バスバーと前記第2のバスバーとの間での電圧印加方向が前記投影分極方向と逆方向とされている、請求項1に記載の弾性波共振子。
  3. 前記第1,第2の反射器が、複数本の電極指と、前記複数本の電極指の一方端部を連結している第1の端部バスバーと、前記複数本の電極指の他方端部同士を連結している第2の端部バスバーと、前記複数本の電極指の中間部分を連結している中間バスバーとを備える、請求項1または2に記載の弾性波共振子。
  4. 前記第1のバスバーと前記第2の反射器の前記第1の端部バスバーとが同じ方向に延びかつ連ねられて一体化されており、前記第2のバスバーと前記第2の反射器の前記第2の端部バスバーとが同じ方向に延びかつ連ねられて一体化されている、請求項3に記載の弾性波共振子。
  5. 前記共有バスバーが、前記第1の反射器の前記中間バスバーと同じ方向に延びかつ連ねられている、請求項3または4に記載の弾性波共振子。
  6. 複数の弾性波共振子を有する弾性波フィルタ装置であって、少なくとも1つの前記弾性波共振子が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性波共振子からなる、弾性波フィルタ装置。
  7. 前記複数の弾性波共振子によりラダー型回路が構成されている、請求項6に記載の弾性波フィルタ装置。
  8. 前記ラダー型回路が、複数の直列腕共振子及び複数の並列腕共振子を有し、前記複数の直列腕共振子及び前記複数の並列腕共振子が前記複数の弾性波共振子からなり、前記直列腕共振子及び前記並列腕共振子のうち少なくとも1つの共振子が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性波共振子からなる、請求項7に記載の弾性波フィルタ装置。
  9. アンテナ端に接続されている第1の帯域フィルタと、前記アンテナ端に接続されており、通過帯域が前記第1の帯域フィルタと異なる第2の帯域フィルタとを有するデュプレクサであって、
    前記第1及び第2の帯域フィルタの少なくとも一方が請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性波共振子を有する、デュプレクサ。
  10. 前記第1及び第2の帯域フィルタの少なくとも一方が、複数の弾性波共振子を有し、該複数の弾性波共振子のうち前記アンテナ端に最も近い側の少なくとも1つの弾性波共振子が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性波共振子からなる、請求項9に記載のデュプレクサ。
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