JPWO2015029975A1 - 可撓性熱制御材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の可撓性熱制御材料10Aは、太陽光を反射する反射層12と、赤外線を放射する赤外線放射層13とを積層してなり、前記赤外線放射層13は放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成され、太陽光吸収率(α)、全半球赤外線放射率(ε)、耐放射線性、耐原子状酸素性の全てを満たすものとなる。

Description

本発明は、可撓性熱制御材料及びその製造方法に関するものである。
宇宙空間で使用される人工衛星やロケットは、太陽光の入射による機体の温度上昇を防ぐために、太陽光を反射し、太陽光の熱エネルギーを宇宙空間に放出する機能を有する熱制御材料で表面を被覆される。
このような熱制御材料として、被覆される機体や構造物の表面形状に合わせて加工しやすい可撓性をもった可撓性熱制御材料、所謂フレキシブルOSR(Flexible Optical Solar Reflector)が注目されている。
特許文献1には、ポリイミドフィルム上に金属層を設けた可撓性熱制御材料が記載されている。特許文献1においては、ポリイミドフィルムの表面を粗面化処理することで、太陽光の2次反射を抑制し、反射性と拡散性の向上を図っている。
特開2007−253399号公報
本発明者らの知見によれば、可撓性熱制御材料においては、宇宙環境における長期使用を可能にする観点から、太陽光吸収率(α)が低いこと、全半球赤外線放射率(ε)が高いこと、放射線への耐性が高いこと、宇宙空間における原子状酸素への耐性が高いことの要件全てを満たすことが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の可撓性熱制御材料は、これら全ての要件を満足するものではない。
したがって、上記要件の全てを充足する可撓性熱制御材料の出現が切望されている。
本発明は、上記問題に鑑み、太陽光吸収率(α)、全半球赤外線放射率(ε)、耐放射線性、耐原子状酸素性の全てを満たす可撓性熱制御材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、太陽光を反射する反射層と、赤外線を放射する赤外線放射層とを積層してなり、前記赤外線放射層は、放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成される可撓性熱制御材料である。
上記可撓性熱制御材料は、前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、支持層を更に積層してなることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料は、前記赤外線放射層において、前記反射層が積層された面とは反対側の面に、保護層を更に積層してなることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料は、前記保護層の上に導電層を更に積層してなることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料は、前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、酸化防止層を更に積層してなることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料において、前記酸化防止層は、前記反射層と前記支持層との間に設けられることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料は、接合層により被着体の表面に固定されることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料は、締結部材により被着体の表面に固定されることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料において、前記被着体が宇宙空間で使用されるロケット又は人工衛星の推進薬タンクであることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料において、前記推進薬タンクが液体水素タンクであることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料において、前記被着体の表面はポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体の断熱層であることが好ましい。
上記可撓性熱制御材料において、前記被着体の表面がポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体にガス抜き用溝を有することが好ましい。
本発明は、反射層と、赤外線放射層とを少なくとも積層してなり、前記赤外線放射層は放射線架橋したフッ素樹脂で構成される可撓性熱制御材料の製造方法であって、放射線を照射してフッ素樹脂を架橋させて前記赤外線放射層を形成する放射線架橋工程を有し、前記放射線架橋工程によって得られる前記赤外線放射層の表面に、金属膜を積層して前記反射層を形成する工程を更に有する可撓性熱制御材料の製造方法である。
上記製造方法において、前記反射層の表面に、酸化防止層を更に積層する酸化防止層形成工程を更に有することが好ましい。
本発明は、支持層と、反射層と、赤外線放射層とを積層してなり、前記赤外線放射層は放射線架橋したフッ素樹脂で構成される可撓性熱制御材料の製造方法であって、放射線を照射してフッ素樹脂を架橋させて前記赤外線放射層を形成する放射線架橋工程を有し、前記放射線架橋工程の前に、前記支持層上に、金属膜を積層して前記反射層を形成し、前記反射層上に放射線未架橋フッ素樹脂を積層して積層体を形成する積層体形成工程を更に有する可撓性熱制御材料の製造方法である。
上記製造方法において、前記支持層をポリイミド材料又はポリエステル材料により形成することが好ましい。
上記製造方法において、前記金属膜は、蒸着によって形成されることが好ましい。
本発明は、太陽光吸収率(α)、全半球赤外線放射率(ε)、耐放射線性、耐原子状酸素性の全てを満たす可撓性熱制御材料及びその製造方法を提供することができる、という効果を奏する。
図1は、実施例1に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図2は、実施例2に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図3は、実施例3に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図4は、実施例4に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図5は、実施例5に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図6は、実施例6に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図7は、可撓性熱制御材料を被着体へ施工する一例を示す模式図である。 図8は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。 図9は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。 図10は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。 図11は、ロケットの模式図の一例を示す図である。 図12−1は、可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した長手方向の断面図である。 図12−2は、図12−1のB−B線断面図である。 図13は、本実施例の他の可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した断面図である。 図14は、可撓性熱制御材料の第1の製造方法の一例を示す模式図である。 図15は、可撓性熱制御材料の第2の製造方法の一例を示す模式図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明について説明する。なお、以下の実施形態又は実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態又は実施例における構成要素には、当業者が置換可能であって置換容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、実施例1に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施例に係る可撓性熱制御材料10Aは、反射層12と赤外線放射層13とを有している。図1の例において、反射層12は被着体側(図中下側)に設けられており、反射層12の外側(図中上側)に赤外線放射層13が設けられている。すなわち、図示の例においては、反射層12は、被着体である機体側20に設けられており、赤外線放射層13は、宇宙空間側21の表面として設けられている。すなわち、この例では、赤外線放射層13が、宇宙空間に晒される層となる。
<反射層>
反射層12は、高反射性材料層であることが好ましい。それにより太陽光を反射することで、機体への入熱を低減することが可能となる。ここで、高反射性材料層とは、一般に高反射性金属と称される材料で構成された層である。そのような高反射性金属の具体例としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、及び金(Au)等を挙げることができるが、これらに限定されない。また高反射性材料層としては、金属元素の単体のみならず、合金、各種複合材料等を使用することができる。
<赤外線放射層>
赤外線放射層13は、反射層12で反射された太陽光を吸収せずに、熱を宇宙空間に放射する機能を有する層である。宇宙空間においては、酸素のない真空状態となるため、熱移動媒体を必要としない輻射による熱移動が支配的となる。機体の熱を赤外線として効率よく宇宙空間に放出することが重要となる。
赤外線放射層13は、放射線架橋したフッ素樹脂で構成される層である。フッ素樹脂としては、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂の単体又は混合体を元素材として使用することができる。また放射線としては、γ線、X線、電子線等の電離性放射線を使用することが好ましい。FEPやPFAのような元素材を、それらの結晶融点以上、結晶融点+20℃となる温度以下の温度範囲で、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気において電離性放射線を数十KGy以上200KGy以下の線量で照射することにより、透明性が改善され、さらに耐放射線性や耐熱性及び機械的特性が向上した放射線架橋フッ素樹脂を得ることができる。
放射線架橋したフッ素樹脂を赤外線放射層13として使用することにより、太陽光を反射層12に入射させるに十分な透明性を確保し、且つ、太陽光の熱エネルギーを宇宙空間に放射させる放射性を確保することができる。また放射線架橋したフッ素樹脂は、耐放射線性、耐原子状酸素性に優れているため、放射線架橋したフッ素樹脂を赤外線放射層13として使用することにより、宇宙環境による性能低下を起こし難い可撓性熱制御材料を実現することができる。
赤外線放射層13の厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましい。この範囲において、太陽光吸収率(α)と全半球赤外線放射率(ε)とのバランスが良好となる。
上記構成によれば、太陽光吸収率(α)が0.2以下であり、全半球赤外線放射率(ε)が0.8以上であるバランスのよい可撓性熱制御材料を実現することができる。また耐放射線性、耐原子状酸素性に優れた放射線架橋したフッ素樹脂材料を赤外線放射層として使用することにより、熱制御材料(熱制御皮膜)全体としての耐放射線性、耐原子状酸素性を向上させることができ、宇宙環境で性能低下を起こし難い、可撓性熱制御材料を提供することができる。
また、熱設計上許容されるのであれば、機体の温度上昇の抑制効果は低下するが、赤外線放射層13の厚さを50μm未満とすることもできる。
また上記構成によれば、被着体である各種構造物との接合も良好な可撓性熱制御材料を提供することができる。またシート状の可撓性熱制御材料を芯材に巻き取り、ロール成形体とすることによって、円筒形の外形を有する被着体への施工が容易となる。
図2は、実施例2に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図2に示すように、可撓性熱制御材料10Bは、実施例1に係る可撓性熱制御材料10Aにおいて、反射層12の赤外線放射層13が積層された面とは反対側の面に、酸化防止層14を更に積層してなる。換言すれば、反射層12の下側(図中下側)、すなわち可撓性熱制御材料10Bで被覆される構造物(被着体である機体側20)側に、酸化防止層14を更に備えている。本実施例においては、実施例1と同様の構成については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
酸化防止層14は、例えば、ニッケル基超合金(インコネル等)、クロム、ニッケル、金(アルミ表面に蒸着)等で構成できる。なかでも酸化防止性、耐食性の観点から、ニッケル基超合金が特に好ましい。
上記構成によれば、宇宙空間における原子状酸素による酸化防止効果を一層向上させることができる。なお、本実施形態の構成に加えて、支持層を設ける場合は、酸化防止層を、反射層と支持層との間に設けることが好ましい。
図3は、実施例3に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図3に示すように、可撓性熱制御材料10Cは、実施例1に係る可撓性熱制御材料10Aにおいて、赤外線放射層13が積層された面とは反対側の面に、支持層15を更に積層してなる。換言すれば、反射層12の下側(図中下側)、すなわち可撓性熱制御材料10Cで被覆される構造物(被着体である機体側20)側に、支持層15を更に備えている。
後述するように、放射線架橋したフッ素樹脂を赤外線放射層13とする可撓性熱制御材料を製造する方法は2つに大別される。すなわち、放射線架橋したフッ素樹脂を形成してから、その上に反射層12、酸化防止層14を積層する第1の方法と、必要な層構造を形成してからフッ素樹脂を放射線架橋する第2の方法とがある。前者の第1の方法の場合は、放射線架橋によってフッ素樹脂の機械的特性が向上するため、フッ素樹脂上に金属層を設けることが容易であるが、後者の第2の方法の場合は、架橋前のフッ素樹脂上に金属層を設けることが困難であるため、支持層15に金属層を形成し、その上に熱融着によりフッ素樹脂を積層させた後、フッ素樹脂を上記条件で放射線架橋させることにより、可撓性熱制御材料を製造することが好適である。
支持層15としては、強度、耐熱性の観点からポリイミド樹脂などのポリイミド系材料を使用することが好ましい。或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル材料等、反射層と赤外線放射層のクラック発生や破れを抑制する機能と効果を有する材料を使用するようにしてもよい。
上記構成により、加工しやすい適度な剛性や強度を付与することができる。このため、ロケットや人工衛星等の構造物(機体)への貼着や接合などの際に、反射層12におけるクラック発生を抑制することができる。
図4は、実施例4に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図4に示すように、可撓性熱制御材料10Dは、実施例3に係る可撓性熱制御材料10Cにおいて、赤外線放射層13の反射層12が積層された面とは反対側の面に、保護層16を更に積層してなる。すなわち、赤外線放射層13の上側(図中上側)、すなわち宇宙空間側21に、保護層16を更に備えている。
この保護層16は太陽光吸収率(α)が許容される範囲とするのが好ましく、さらには透明な保護層とするのが好ましい。
保護層16は、可撓性熱制御材料の表面汚染を防止する機能及び効果を有する。例えば、可撓性熱制御材料をロケットに適用する場合、ロケットの推進薬タンクが被着体となり、ロケットの推進薬タンクの外表面が、可撓性熱制御材料で被覆される。この場合、保護層16を赤外線放射層13の宇宙空間側21の表面に設けることによって、施工時からロケット発射前までの可撓性熱制御材料10Dの表面汚染の抑制又は損傷の防止を図ることができる。
保護層16としては、シリコーン材料の中でも耐原子状酸素性が更に高い、例えばシルセスキオキサンで構成することが好ましい。可撓性熱制御材料の表面をシルセスキオキサンで被覆(コーティング)することにより、一層高い耐原子状酸素性を得ることができる。
また、保護層16としては、表面の損傷防止のために例えばフッ素系材料のハードコート材料を用いることもできる。
さらに、保護層16としては、例えば中空シリカ等のナノ粒子を分散させた樹脂材料等を用いるようにしてもよい。この結果、例えばロケット打上時の空力加熱による酸化劣化を防止するガスバリア層や耐熱バリア層を形成することとなり、ガスバリア性や断熱性を向上させることができる。
図5は、実施例5に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図5に示すように、可撓性熱制御材料10Eは、実施例3に係る可撓性熱制御材料10Cにおいて、赤外線放射層13の上に導電層17を更に積層してなる。換言すれば、赤外線放射層13の表面上、すなわち宇宙空間側21の最表面に、導電層17を更に備えている。
導電層17は、放電による可撓性熱制御材料10Eの損傷を抑制する機能及び効果を有する。また導電層17は、反射層へ太陽光を入射させる程度の透明性を有する透明導電層であることが好ましい。
導電層17としては、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモン錫酸化物)、NbをドープしたTiO(二酸化チタン)等の導電性を有する金属化合物材料、或いはカーボンナノチューブ等のカーボン系材料を使用することができる。
上記構成により、放電による損傷リスクを軽減した可撓性熱制御材料を提供することができる。
図6は、実施例6に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図6に示すように、可撓性熱制御材料10Fは、実施例5に係る可撓性熱制御材料10Dにおいて、保護層16の上に導電層17を更に積層してなる。すなわち、保護層16の表面上、すなわち宇宙空間側21の最表面に、導電層17を更に備えている。
上記構成により、保護層16の表面上に導電層17を更に備えることにより、保護効果と共に、放電による損傷リスクを軽減した可撓性熱制御材料を提供することができる。
<可撓性熱制御材料の適用例(1)>
図7は、可撓性熱制御材料を被着体へ施工する一例を示す模式図である。図示の例においては、被着体は、ロケットの推進薬タンク(例えば、液体水素タンク)である。図8〜図10は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。
図7に示す例では、液体水素タンクなどの推進薬タンク30は、そのタンク本体30aの表面が、実施例3に係る可撓性熱制御材料10Cで被覆されている。ここで、推進薬タンク表面は、ポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層(以下「PIF断熱層」という)31が形成され、この表面に可撓性熱制御材料10Cが施工されている。
図8は、図7における推進薬タンク表面すなわちPIF断熱層31と可撓性熱制御材料10Cとの関係を詳細に説明する図である。図8に示すように、支持層15上に反射層12を積層し、更にその表面上に赤外線放射層13を積層した可撓性熱制御材料10Cは、接合層18を介して、PIF断熱層31上に貼着され、タンク本体30aを覆っている。
接合層18は、例えば、粘着剤又は接着剤により構成される層である。粘着剤又は接着剤としては、宇宙空間のような真空環境でガスを発生させ難いものが好ましい。
本実施形態では、接合層18により可撓性熱制御材料10Cを液体水素タンク表面のPIF断熱層31に接合させているが、可撓性熱制御材料10Cは、締結部材により液体水素タンク表面に接合させることも可能である。締結部材としては、例えば、部品と部品を締めつけ固定するためのファスナを用いることができる。ファスナとしては、例えばリベット等を使用することができる。
図9は、図8におけるPIF断熱層31の代わりに、ポリイミド発泡体断熱層61を用いて可撓性熱制御材料10(10A〜10F)を接合層18により設けたものである。ポリイミド発泡体断熱層61は、気泡がオープンセル構造の発泡体であり、真空断熱効果を発揮するものとなる。ポリイミド発泡体断熱層61の厚さは、例えば10〜50mm程度とするのが好ましい。
図10は、図8におけるPIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との2層の積層体構造の断熱層62の上に可撓性熱制御材料10(10A〜10F)を設けたものである。
ポリイミド発泡体断熱層61は、気泡がオープンセル構造の発泡体であり、真空断熱効果を発揮するものとなる。PIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との2層の断熱層62の厚さは、例えば10〜50mm程度とするのが好ましい。
本実施例では、PIF断熱層31をタンク本体30a側としているが、ポリイミド発泡体断熱層61側をタンク本体30a側としてその上層にPIF断熱層31を設けるようにしてもよい。
<可撓性熱制御材料の適用例(2)>
図11は、ロケットの模式図の一例を示す図である。図11に示すように、推進薬タンクである液体水素タンク71の頭部側には台座72を介して衛星73が設けられている。液体水素タンク71の後方側にはロッド74を介して液体酸素タンク75が設けられ、エンジン76側に供給している。
図12−1は、可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した長手方向の断面図であり、図12−2は、図12−1のB−B線断面図である。
本実施例では、液体水素タンク71の表面に、PIF断熱層31が形成されており、このPIF断熱層31の表面に、前述した実施例に係る可撓性熱制御材料10(10A〜10F)が被覆されている。なお、可撓性熱制御材料10(10A〜10F)は実施例1乃至6と同一であるので、その説明は省略する。
また、本実施例では、このPIF断熱層31の軸方向に亙ってガス抜き用溝32が形成されており、PIF断熱層31で発生する出ガス(例えば低分子成分)33のガス抜きを行うようにしている。
これにより、PIF断熱層31の表面に形成される可撓性熱制御材料10(10A〜10F)や衛星73に対して、出ガス33による蒸着等の悪影響を抑制するようにし、衛星73を保護するようにしている。
図13は、本実施例の他の可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した断面図である。
本実施例では、液体水素タンク71のタンク本体30aの表面に、PIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との2層構造の断熱層62が形成されており、この2層構造の断熱層62の表面に、前述した実施例に係る可撓性熱制御材料10(10A〜10F)が被覆されている。
また、本実施例では、このPIF断熱層31とポリイミド発泡体層断熱層61との界面には、軸方向に亙ってガス抜き用溝32が連続して形成されており、断熱層62で発生する出ガス(例えば低分子成分)33のガス抜きを行うようにしている。なお、PIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との接合面を略歯車構造として、ガス抜き用溝32を形成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記の如く、本発明に係る可撓性熱制御材料で、ロケット推進薬タンクの外表面を被覆することにより、PIF断熱層のみでは不十分であった宇宙空間における断熱を好適に実現しうる。従来、ロケットや人工衛星など、宇宙空間で使用される構造物は、PIF断熱層により外部からの入熱を防ぎ、推進薬である液体水素の蒸発を防いでいたが、無酸素の真空状態となる宇宙空間では太陽光の輻射入熱が支配的となり、PIF断熱層のみでは十分な断熱性能を得ることができない。本発明に係る可撓性熱制御材料で、PIF表面を更に被覆することにより、宇宙空間における輻射入熱の問題を抑制して断熱性能を向上させることができる。
<可撓性熱制御材料の製造例1>
図14は、可撓性熱制御材料の第1の製造方法の一例を示す模式図である。以下、図14を用いて可撓性熱制御材料の製造方法を説明する。
ステップS102において、支持体41となるポリイミド樹脂シート上に、FEP樹脂42を積層した軽密着積層体を作製する。軽密着とは、放射線架橋した後に支持体41からFEP樹脂42を剥離しうる程度の密着度で積層することをいう。このような軽密着積層体は熱融着、プラズマ処理等によって得ることができる。
ステップS104において、ステップS102で積層した軽密着積層体を、電離性放射線45を用いて、下記条件下で架橋させる。FEP樹脂42は、架橋後に支持体41から剥離させる。
(架橋条件)
架橋温度:260℃以上280℃以下
電離性放射線:電子線
線量:数十KGy以上200KGy以下
架橋雰囲気:不活性ガス雰囲気(アルゴン、窒素等)
ステップS106において、ステップS104で架橋された後、支持体41から剥離されたFEP樹脂42の表面上に、反射層43となる金属膜を形成する。金属膜は、アルミニウム、銀等の高反射性金属を、蒸着法等により堆積させて形成することができる。
ステップS108において、ステップS106で形成された反射層43上に、酸化防止層44を形成する。酸化防止層44は、例えば、ニッケル基超合金(インコネル等)薄膜を、反射層43上に化学的、物理的に堆積させる方法、ニッケル基超合金薄膜を反射層43上に貼着する方法等により形成することができる。
本実施例により形成された可撓性熱制御材料は、放射線架橋されたフッ素樹脂であるFEP樹脂42が赤外線放射層となって、宇宙空間側21の層となり、酸化防止層44が、機体側20の層となる。
<可撓性熱制御材料の製造例2>
図15は、可撓性熱制御材料の第2の製造方法の一例を示す模式図である。以下、図15を用いて可撓性熱制御材料の製造方法を説明する。なお、実施例9と重複する説明は適宜省略する。
ステップS202において、ポリイミド樹脂フィルムからなる支持層51の上面に、反射層52となる金属膜を形成する。金属膜は、アルミニウム、銀等の高反射性金属を、蒸着法等により堆積させて形成することができる。更に、反射層52の上面に放射線未架橋フッ素樹脂であるFEP樹脂53を積層して積層体を形成する。FEP樹脂53は、熱融着により反射層52の表面上に積層することができる。
ステップS204において、ステップS202で形成した積層体を、電離性放射線55を用いて、下記条件下で架橋させる。
(架橋条件)
架橋温度:260℃以上280℃以下
電離性放射線:電子線
線量:数十KGy以上200KGy以下
架橋雰囲気:不活性ガス雰囲気(アルゴン、窒素等)
ステップS206において、放射線架橋後のFEP樹脂53を赤外線放射層とする可撓性熱制御材料が得られる。本実施例により形成された可撓性熱制御材料は、ポリイミド樹脂フィルムからなる支持層51が、機体側20の層となり、放射線架橋されたフッ素樹脂であるFEP樹脂53が赤外線放射層となり、宇宙空間側21の層となる。
10(10A〜10F) 可撓性熱制御材料
12 反射層
13 赤外線放射層
14 酸化防止層
15 支持層
17 導電層
18 接合層
20 機体側(被着体側)
21 宇宙空間側
30 推進薬タンク(被着体)
31 PIF断熱層(推進薬タンク表面)
41 支持体
42 FEP樹脂
43 反射層
44 酸化防止層
51 支持層
52 反射層
53 FEP樹脂
61 ポリイミド発泡体断熱層
本発明は、可撓性熱制御材料及びその製造方法に関するものである。
宇宙空間で使用される人工衛星やロケットは、太陽光の入射による機体の温度上昇を防ぐために、太陽光を反射し、太陽光の熱エネルギーを宇宙空間に放出する機能を有する熱制御材料で表面を被覆される。
このような熱制御材料として、被覆される機体や構造物の表面形状に合わせて加工しやすい可撓性をもった可撓性熱制御材料、所謂フレキシブルOSR(Flexible Optical Solar Reflector)が注目されている。
特許文献1には、ポリイミドフィルム上に金属層を設けた可撓性熱制御材料が記載されている。特許文献1においては、ポリイミドフィルムの表面を粗面化処理することで、太陽光の2次反射を抑制し、反射性と拡散性の向上を図っている。
特開2007−253399号公報
本発明者らの知見によれば、可撓性熱制御材料においては、宇宙環境における長期使用を可能にする観点から、太陽光吸収率(α)が低いこと、全半球赤外線放射率(ε)が高いこと、放射線への耐性が高いこと、宇宙空間における原子状酸素への耐性が高いことの要件全てを満たすことが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の可撓性熱制御材料は、これら全ての要件を満足するものではない。
したがって、上記要件の全てを充足する可撓性熱制御材料の出現が切望されている。
本発明は、上記問題に鑑み、太陽光吸収率(α)、全半球赤外線放射率(ε)、耐放射線性、耐原子状酸素性の全てを満たす可撓性熱制御材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決する第1の発明は、太陽光を反射する反射層と、赤外線を放射する赤外線放射層とを積層してなり、前記赤外線放射層は、放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成され、前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、支持層を更に積層してなると共に、前記支持層がポリイミド材料又はポリエステル材料である可撓性熱制御材料である。
第2の発明は、太陽光を反射する反射層と、赤外線を放射する赤外線放射層と、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に設けた支持層と、を積層してなり、前記反射層と前記支持層との間に酸化防止層を設けると共に、前記赤外線放射層は、放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成される可撓性熱制御材料である。
第3の発明は、太陽光を反射する反射層と、赤外線を放射する赤外線放射層とを積層してなり、前記赤外線放射層は、放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成され、接合層により被着体の表面に固定されると共に、前記被着体の表面がポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体の断熱層であり、該断熱層にガス抜き用溝を有する可撓性熱制御材料である。
第4の発明は、太陽光を反射する反射層と、赤外線を放射する赤外線放射層とを積層してなり、前記赤外線放射層は、放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成され、締結部材により被着体の表面に固定されると共に、前記被着体の表面がポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体の断熱層であり、該断熱層にガス抜き用溝を有する可撓性熱制御材料である。
第5の発明は、前記赤外線放射層において、前記反射層が積層された面とは反対側の面に、保護層を更に積層してなる第1の発明からの第4の発明のいずれか1つに記載の可撓性熱制御材料である。
第6の発明は、前記保護層の上に導電層を更に積層してなる第5の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第7の発明は、前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、酸化防止層を更に積層してなる第1の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第8の発明は、前記酸化防止層は、前記反射層と前記支持層との間に設けられる第7の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第9の発明は、前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、酸化防止層を更に積層してなる第3の発明または第4の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第10の発明は、前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、支持層を更に積層してなると共に、前記酸化防止層は、前記反射層と前記支持層との間に設けられる第9の発明に記載の可撓性熱制御材料にある。
第11の発明は、接合層により被着体の表面に固定される第1の発明、第2の発明、第5の発明から第8の発明のいずれか1つに記載の可撓性熱制御材料である。
第12の発明は、締結部材により被着体の表面に固定される第1の発明、第2の発明、第5の発明から第8の発明のいずれか1つに記載の可撓性熱制御材料である。
第13の発明は、前記被着体が宇宙空間で使用されるロケット又は人工衛星の推進薬タンクである第3の発明、第4の発明、第11の発明または第12の発明のいずれか1つに記載の可撓性熱制御材料である。
第14の発明は、前記推進薬タンクが液体水素タンクである第13の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第15の発明は、前記被着体の表面はポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体の断熱層である第11の発明または第12の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第16の発明は、上記可撓性熱制御材料において、前記被着体の表面がポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体にガス抜き用溝を有する第15の発明に記載の可撓性熱制御材料である。
第17の発明は、反射層と、赤外線放射層とを少なくとも積層してなり、前記赤外線放射層は放射線架橋したフッ素樹脂で構成される可撓性熱制御材料の製造方法であって、放射線を照射してフッ素樹脂を架橋させて前記赤外線放射層を形成する放射線架橋工程を有し、前記放射線架橋工程によって得られる前記赤外線放射層の表面に、金属膜を積層して前記反射層を形成する工程を更に有すると共に、前記支持層をポリイミド材料又はポリエステル材料により形成する可撓性熱制御材料の製造方法である。
第18の発明は、前記支持層上に、酸化防止層を形成するとともに、前記酸化防止層の上に、金属膜を積層して前記反射層を形成する第17の発明に記載の可撓性熱制御材料の製造方法である。
第19の発明は、前記金属膜は、蒸着によって形成される第17の発明または第18の発明に記載の可撓性熱制御材料の製造方法である
本発明は、太陽光吸収率(α)、全半球赤外線放射率(ε)、耐放射線性、耐原子状酸素性の全てを満たす可撓性熱制御材料及びその製造方法を提供することができる、という効果を奏する。
図1は、実施例1に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図2は、実施例2に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図3は、実施例3に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図4は、実施例4に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図5は、実施例5に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図6は、実施例6に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。 図7は、可撓性熱制御材料を被着体へ施工する一例を示す模式図である。 図8は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。 図9は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。 図10は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。 図11は、ロケットの模式図の一例を示す図である。 図12−1は、可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した長手方向の断面図である。 図12−2は、図12−1のB−B線断面図である。 図13は、本実施例の他の可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した断面図である。 図14は、可撓性熱制御材料の第1の製造方法の一例を示す模式図である。 図15は、可撓性熱制御材料の第2の製造方法の一例を示す模式図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明について説明する。なお、以下の実施形態又は実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態又は実施例における構成要素には、当業者が置換可能であって置換容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、実施例1に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施例に係る可撓性熱制御材料10Aは、反射層12と赤外線放射層13とを有している。図1の例において、反射層12は被着体側(図中下側)に設けられており、反射層12の外側(図中上側)に赤外線放射層13が設けられている。すなわち、図示の例においては、反射層12は、被着体である機体側20に設けられており、赤外線放射層13は、宇宙空間側21の表面として設けられている。すなわち、この例では、赤外線放射層13が、宇宙空間に晒される層となる。
<反射層>
反射層12は、高反射性材料層であることが好ましい。それにより太陽光を反射することで、機体への入熱を低減することが可能となる。ここで、高反射性材料層とは、一般に高反射性金属と称される材料で構成された層である。そのような高反射性金属の具体例としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、及び金(Au)等を挙げることができるが、これらに限定されない。また高反射性材料層としては、金属元素の単体のみならず、合金、各種複合材料等を使用することができる。
<赤外線放射層>
赤外線放射層13は、反射層12で反射された太陽光を吸収せずに、熱を宇宙空間に放射する機能を有する層である。宇宙空間においては、酸素のない真空状態となるため、熱移動媒体を必要としない輻射による熱移動が支配的となる。機体の熱を赤外線として効率よく宇宙空間に放出することが重要となる。
赤外線放射層13は、放射線架橋したフッ素樹脂で構成される層である。フッ素樹脂としては、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂の単体又は混合体を元素材として使用することができる。また放射線としては、γ線、X線、電子線等の電離性放射線を使用することが好ましい。FEPやPFAのような元素材を、それらの結晶融点以上、結晶融点+20℃となる温度以下の温度範囲で、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気において電離性放射線を数十KGy以上200KGy以下の線量で照射することにより、透明性が改善され、さらに耐放射線性や耐熱性及び機械的特性が向上した放射線架橋フッ素樹脂を得ることができる。
放射線架橋したフッ素樹脂を赤外線放射層13として使用することにより、太陽光を反射層12に入射させるに十分な透明性を確保し、且つ、太陽光の熱エネルギーを宇宙空間に放射させる放射性を確保することができる。また放射線架橋したフッ素樹脂は、耐放射線性、耐原子状酸素性に優れているため、放射線架橋したフッ素樹脂を赤外線放射層13として使用することにより、宇宙環境による性能低下を起こし難い可撓性熱制御材料を実現することができる。
赤外線放射層13の厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましい。この範囲において、太陽光吸収率(α)と全半球赤外線放射率(ε)とのバランスが良好となる。
上記構成によれば、太陽光吸収率(α)が0.2以下であり、全半球赤外線放射率(ε)が0.8以上であるバランスのよい可撓性熱制御材料を実現することができる。また耐放射線性、耐原子状酸素性に優れた放射線架橋したフッ素樹脂材料を赤外線放射層として使用することにより、熱制御材料(熱制御皮膜)全体としての耐放射線性、耐原子状酸素性を向上させることができ、宇宙環境で性能低下を起こし難い、可撓性熱制御材料を提供することができる。
また、熱設計上許容されるのであれば、機体の温度上昇の抑制効果は低下するが、赤外線放射層13の厚さを50μm未満とすることもできる。
また上記構成によれば、被着体である各種構造物との接合も良好な可撓性熱制御材料を提供することができる。またシート状の可撓性熱制御材料を芯材に巻き取り、ロール成形体とすることによって、円筒形の外形を有する被着体への施工が容易となる。
図2は、実施例2に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図2に示すように、可撓性熱制御材料10Bは、実施例1に係る可撓性熱制御材料10Aにおいて、反射層12の赤外線放射層13が積層された面とは反対側の面に、酸化防止層14を更に積層してなる。換言すれば、反射層12の下側(図中下側)、すなわち可撓性熱制御材料10Bで被覆される構造物(被着体である機体側20)側に、酸化防止層14を更に備えている。本実施例においては、実施例1と同様の構成については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
酸化防止層14は、例えば、ニッケル基超合金(インコネル等)、クロム、ニッケル、金(アルミ表面に蒸着)等で構成できる。なかでも酸化防止性、耐食性の観点から、ニッケル基超合金が特に好ましい。
上記構成によれば、宇宙空間における原子状酸素による酸化防止効果を一層向上させることができる。なお、本実施形態の構成に加えて、支持層を設ける場合は、酸化防止層を、反射層と支持層との間に設けることが好ましい。
図3は、実施例3に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図3に示すように、可撓性熱制御材料10Cは、実施例1に係る可撓性熱制御材料10Aにおいて、赤外線放射層13が積層された面とは反対側の面に、支持層15を更に積層してなる。換言すれば、反射層12の下側(図中下側)、すなわち可撓性熱制御材料10Cで被覆される構造物(被着体である機体側20)側に、支持層15を更に備えている。
後述するように、放射線架橋したフッ素樹脂を赤外線放射層13とする可撓性熱制御材料を製造する方法は2つに大別される。すなわち、放射線架橋したフッ素樹脂を形成してから、その上に反射層12、酸化防止層14を積層する第1の方法と、必要な層構造を形成してからフッ素樹脂を放射線架橋する第2の方法とがある。前者の第1の方法の場合は、放射線架橋によってフッ素樹脂の機械的特性が向上するため、フッ素樹脂上に金属層を設けることが容易であるが、後者の第2の方法の場合は、架橋前のフッ素樹脂上に金属層を設けることが困難であるため、支持層15に金属層を形成し、その上に熱融着によりフッ素樹脂を積層させた後、フッ素樹脂を上記条件で放射線架橋させることにより、可撓性熱制御材料を製造することが好適である。
支持層15としては、強度、耐熱性の観点からポリイミド樹脂などのポリイミド系材料を使用することが好ましい。或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル材料等、反射層と赤外線放射層のクラック発生や破れを抑制する機能と効果を有する材料を使用するようにしてもよい。
上記構成により、加工しやすい適度な剛性や強度を付与することができる。このため、ロケットや人工衛星等の構造物(機体)への貼着や接合などの際に、反射層12におけるクラック発生を抑制することができる。
図4は、実施例4に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図4に示すように、可撓性熱制御材料10Dは、実施例3に係る可撓性熱制御材料10Cにおいて、赤外線放射層13の反射層12が積層された面とは反対側の面に、保護層16を更に積層してなる。すなわち、赤外線放射層13の上側(図中上側)、すなわち宇宙空間側21に、保護層16を更に備えている。
この保護層16は太陽光吸収率(α)が許容される範囲とするのが好ましく、さらには透明な保護層とするのが好ましい。
保護層16は、可撓性熱制御材料の表面汚染を防止する機能及び効果を有する。例えば、可撓性熱制御材料をロケットに適用する場合、ロケットの推進薬タンクが被着体となり、ロケットの推進薬タンクの外表面が、可撓性熱制御材料で被覆される。この場合、保護層16を赤外線放射層13の宇宙空間側21の表面に設けることによって、施工時からロケット発射前までの可撓性熱制御材料10Dの表面汚染の抑制又は損傷の防止を図ることができる。
保護層16としては、シリコーン材料の中でも耐原子状酸素性が更に高い、例えばシルセスキオキサンで構成することが好ましい。可撓性熱制御材料の表面をシルセスキオキサンで被覆(コーティング)することにより、一層高い耐原子状酸素性を得ることができる。
また、保護層16としては、表面の損傷防止のために例えばフッ素系材料のハードコート材料を用いることもできる。
さらに、保護層16としては、例えば中空シリカ等のナノ粒子を分散させた樹脂材料等を用いるようにしてもよい。この結果、例えばロケット打上時の空力加熱による酸化劣化を防止するガスバリア層や耐熱バリア層を形成することとなり、ガスバリア性や断熱性を向上させることができる。
図5は、実施例5に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図5に示すように、可撓性熱制御材料10Eは、実施例3に係る可撓性熱制御材料10Cにおいて、赤外線放射層13の上に導電層17を更に積層してなる。換言すれば、赤外線放射層13の表面上、すなわち宇宙空間側21の最表面に、導電層17を更に備えている。
導電層17は、放電による可撓性熱制御材料10Eの損傷を抑制する機能及び効果を有する。また導電層17は、反射層へ太陽光を入射させる程度の透明性を有する透明導電層であることが好ましい。
導電層17としては、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモン錫酸化物)、NbをドープしたTiO(二酸化チタン)等の導電性を有する金属化合物材料、或いはカーボンナノチューブ等のカーボン系材料を使用することができる。
上記構成により、放電による損傷リスクを軽減した可撓性熱制御材料を提供することができる。
図6は、実施例6に係る可撓性熱制御材料の構成例を示す模式断面図である。図6に示すように、可撓性熱制御材料10Fは、実施例5に係る可撓性熱制御材料10Dにおいて、保護層16の上に導電層17を更に積層してなる。すなわち、保護層16の表面上、すなわち宇宙空間側21の最表面に、導電層17を更に備えている。
上記構成により、保護層16の表面上に導電層17を更に備えることにより、保護効果と共に、放電による損傷リスクを軽減した可撓性熱制御材料を提供することができる。
<可撓性熱制御材料の適用例(1)>
図7は、可撓性熱制御材料を被着体へ施工する一例を示す模式図である。図示の例においては、被着体は、ロケットの推進薬タンク(例えば、液体水素タンク)である。図8〜図10は、図7におけるA部分を拡大した拡大模式断面図である。
図7に示す例では、液体水素タンクなどの推進薬タンク30は、そのタンク本体30aの表面が、実施例3に係る可撓性熱制御材料10Cで被覆されている。ここで、推進薬タンク表面は、ポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層(以下「PIF断熱層」という)31が形成され、この表面に可撓性熱制御材料10Cが施工されている。
図8は、図7における推進薬タンク表面すなわちPIF断熱層31と可撓性熱制御材料10Cとの関係を詳細に説明する図である。図8に示すように、支持層15上に反射層12を積層し、更にその表面上に赤外線放射層13を積層した可撓性熱制御材料10Cは、接合層18を介して、PIF断熱層31上に貼着され、タンク本体30aを覆っている。
接合層18は、例えば、粘着剤又は接着剤により構成される層である。粘着剤又は接着剤としては、宇宙空間のような真空環境でガスを発生させ難いものが好ましい。
本実施形態では、接合層18により可撓性熱制御材料10Cを液体水素タンク表面のPIF断熱層31に接合させているが、可撓性熱制御材料10Cは、締結部材により液体水素タンク表面に接合させることも可能である。締結部材としては、例えば、部品と部品を締めつけ固定するためのファスナを用いることができる。ファスナとしては、例えばリベット等を使用することができる。
図9は、図8におけるPIF断熱層31の代わりに、ポリイミド発泡体断熱層61を用いて可撓性熱制御材料10(10A〜10F)を接合層18により設けたものである。ポリイミド発泡体断熱層61は、気泡がオープンセル構造の発泡体であり、真空断熱効果を発揮するものとなる。ポリイミド発泡体断熱層61の厚さは、例えば10〜50mm程度とするのが好ましい。
図10は、図8におけるPIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との2層の積層体構造の断熱層62の上に可撓性熱制御材料10(10A〜10F)を設けたものである。
ポリイミド発泡体断熱層61は、気泡がオープンセル構造の発泡体であり、真空断熱効果を発揮するものとなる。PIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との2層の断熱層62の厚さは、例えば10〜50mm程度とするのが好ましい。
本実施例では、PIF断熱層31をタンク本体30a側としているが、ポリイミド発泡体断熱層61側をタンク本体30a側としてその上層にPIF断熱層31を設けるようにしてもよい。
<可撓性熱制御材料の適用例(2)>
図11は、ロケットの模式図の一例を示す図である。図11に示すように、推進薬タンクである液体水素タンク71の頭部側には台座72を介して衛星73が設けられている。液体水素タンク71の後方側にはロッド74を介して液体酸素タンク75が設けられ、エンジン76側に供給している。
図12−1は、可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した長手方向の断面図であり、図12−2は、図12−1のB−B線断面図である。
本実施例では、液体水素タンク71の表面に、PIF断熱層31が形成されており、このPIF断熱層31の表面に、前述した実施例に係る可撓性熱制御材料10(10A〜10F)が被覆されている。なお、可撓性熱制御材料10(10A〜10F)は実施例1乃至6と同一であるので、その説明は省略する。
また、本実施例では、このPIF断熱層31の軸方向に亙ってガス抜き用溝32が形成されており、PIF断熱層31で発生する出ガス(例えば低分子成分)33のガス抜きを行うようにしている。
これにより、PIF断熱層31の表面に形成される可撓性熱制御材料10(10A〜10F)や衛星73に対して、出ガス33による蒸着等の悪影響を抑制するようにし、衛星73を保護するようにしている。
図13は、本実施例の他の可撓性熱制御材料を液体水素タンクに施工した断面図である。
本実施例では、液体水素タンク71のタンク本体30aの表面に、PIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との2層構造の断熱層62が形成されており、この2層構造の断熱層62の表面に、前述した実施例に係る可撓性熱制御材料10(10A〜10F)が被覆されている。
また、本実施例では、このPIF断熱層31とポリイミド発泡体層断熱層61との界面には、軸方向に亙ってガス抜き用溝32が連続して形成されており、断熱層62で発生する出ガス(例えば低分子成分)33のガス抜きを行うようにしている。なお、PIF断熱層31とポリイミド発泡体断熱層61との接合面を略歯車構造として、ガス抜き用溝32を形成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記の如く、本発明に係る可撓性熱制御材料で、ロケット推進薬タンクの外表面を被覆することにより、PIF断熱層のみでは不十分であった宇宙空間における断熱を好適に実現しうる。従来、ロケットや人工衛星など、宇宙空間で使用される構造物は、PIF断熱層により外部からの入熱を防ぎ、推進薬である液体水素の蒸発を防いでいたが、無酸素の真空状態となる宇宙空間では太陽光の輻射入熱が支配的となり、PIF断熱層のみでは十分な断熱性能を得ることができない。本発明に係る可撓性熱制御材料で、PIF表面を更に被覆することにより、宇宙空間における輻射入熱の問題を抑制して断熱性能を向上させることができる。
<可撓性熱制御材料の製造例1>
図14は、可撓性熱制御材料の第1の製造方法の一例を示す模式図である。以下、図14を用いて可撓性熱制御材料の製造方法を説明する。
ステップS102において、支持体41となるポリイミド樹脂シート上に、FEP樹脂42を積層した軽密着積層体を作製する。軽密着とは、放射線架橋した後に支持体41からFEP樹脂42を剥離しうる程度の密着度で積層することをいう。このような軽密着積層体は熱融着、プラズマ処理等によって得ることができる。
ステップS104において、ステップS102で積層した軽密着積層体を、電離性放射線45を用いて、下記条件下で架橋させる。FEP樹脂42は、架橋後に支持体41から剥離させる。
(架橋条件)
架橋温度:260℃以上280℃以下
電離性放射線:電子線
線量:数十KGy以上200KGy以下
架橋雰囲気:不活性ガス雰囲気(アルゴン、窒素等)
ステップS106において、ステップS104で架橋された後、支持体41から剥離されたFEP樹脂42の表面上に、反射層43となる金属膜を形成する。金属膜は、アルミニウム、銀等の高反射性金属を、蒸着法等により堆積させて形成することができる。
ステップS108において、ステップS106で形成された反射層43上に、酸化防止層44を形成する。酸化防止層44は、例えば、ニッケル基超合金(インコネル等)薄膜を、反射層43上に化学的、物理的に堆積させる方法、ニッケル基超合金薄膜を反射層43上に貼着する方法等により形成することができる。
本実施例により形成された可撓性熱制御材料は、放射線架橋されたフッ素樹脂であるFEP樹脂42が赤外線放射層となって、宇宙空間側21の層となり、酸化防止層44が、機体側20の層となる。
<可撓性熱制御材料の製造例2>
図15は、可撓性熱制御材料の第2の製造方法の一例を示す模式図である。以下、図15を用いて可撓性熱制御材料の製造方法を説明する。なお、実施例9と重複する説明は適宜省略する。
ステップS202において、ポリイミド樹脂フィルムからなる支持層51の上面に、反射層52となる金属膜を形成する。金属膜は、アルミニウム、銀等の高反射性金属を、蒸着法等により堆積させて形成することができる。更に、反射層52の上面に放射線未架橋フッ素樹脂であるFEP樹脂53を積層して積層体を形成する。FEP樹脂53は、熱融着により反射層52の表面上に積層することができる。
ステップS204において、ステップS202で形成した積層体を、電離性放射線55を用いて、下記条件下で架橋させる。
(架橋条件)
架橋温度:260℃以上280℃以下
電離性放射線:電子線
線量:数十KGy以上200KGy以下
架橋雰囲気:不活性ガス雰囲気(アルゴン、窒素等)
ステップS206において、放射線架橋後のFEP樹脂53を赤外線放射層とする可撓性熱制御材料が得られる。本実施例により形成された可撓性熱制御材料は、ポリイミド樹脂フィルムからなる支持層51が、機体側20の層となり、放射線架橋されたフッ素樹脂であるFEP樹脂53が赤外線放射層となり、宇宙空間側21の層となる。
10(10A〜10F) 可撓性熱制御材料
12 反射層
13 赤外線放射層
14 酸化防止層
15 支持層
17 導電層
18 接合層
20 機体側(被着体側)
21 宇宙空間側
30 推進薬タンク(被着体)
31 PIF断熱層(推進薬タンク表面)
41 支持体
42 FEP樹脂
43 反射層
44 酸化防止層
51 支持層
52 反射層
53 FEP樹脂
61 ポリイミド発泡体断熱層

Claims (17)

  1. 太陽光を反射する反射層と、
    赤外線を放射する赤外線放射層とを積層してなり、
    前記赤外線放射層は、放射線架橋したフッ素樹脂材料で構成される可撓性熱制御材料。
  2. 前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、支持層を更に積層してなる請求項1に記載の可撓性熱制御材料。
  3. 前記赤外線放射層において、前記反射層が積層された面とは反対側の面に、保護層を更に積層してなる請求項1又は2に記載の可撓性熱制御材料。
  4. 前記保護層の上に導電層を更に積層してなる請求項3に記載の可撓性熱制御材料。
  5. 前記反射層において、前記赤外線放射層が積層された面とは反対側の面に、酸化防止層を更に積層してなる請求項1から4いずれかに記載の可撓性熱制御材料。
  6. 前記酸化防止層は、前記反射層と前記支持層との間に設けられる請求項5に記載の可撓性熱制御材料。
  7. 接合層により被着体の表面に固定される請求項1から6いずれかに記載の可撓性熱制御材料。
  8. 締結部材により被着体の表面に固定される請求項1から6いずれかに記載の可撓性熱制御材料。
  9. 前記被着体が宇宙空間で使用されるロケット又は人工衛星の推進薬タンクである請求項7又は8に記載の可撓性熱制御材料。
  10. 前記推進薬タンクが液体水素タンクである請求項9に記載の可撓性熱制御材料。
  11. 前記被着体の表面がポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体の断熱層である請求項7から10いずれかに記載の可撓性熱制御材料。
  12. 前記被着体の表面がポリイソシアヌレートフォーム(PIF)断熱層又はポリイミド発泡体断熱層のいずれか一方又はこれらの積層体にガス抜き用溝を有する請求項11に記載の可撓性熱制御材料。
  13. 反射層と、赤外線放射層とを少なくとも積層してなり、前記赤外線放射層は放射線架橋したフッ素樹脂で構成される可撓性熱制御材料の製造方法であって、
    放射線を照射してフッ素樹脂を架橋させて前記赤外線放射層を形成する放射線架橋工程を有し、
    前記放射線架橋工程によって得られる前記赤外線放射層の表面に、金属膜を積層して前記反射層を形成する工程を更に有する可撓性熱制御材料の製造方法。
  14. 前記反射層の表面に、酸化防止層を更に積層する酸化防止層形成工程を更に有する請求項13に記載の可撓性熱制御材料の製造方法。
  15. 支持層と、反射層と、赤外線放射層とを積層してなり、前記赤外線放射層は放射線架橋したフッ素樹脂で構成される可撓性熱制御材料の製造方法であって、
    放射線を照射してフッ素樹脂を架橋させて前記赤外線放射層を形成する放射線架橋工程を有し、
    前記放射線架橋工程の前に、前記支持層上に、金属膜を積層して前記反射層を形成し、前記反射層上に放射線未架橋フッ素樹脂を積層して積層体を形成する積層体形成工程を更に有する可撓性熱制御材料の製造方法。
  16. 前記支持層をポリイミド材料又はポリエステル材料により形成する請求項15に記載の可撓性熱制御材料の製造方法。
  17. 前記金属膜は、蒸着によって形成される請求項13から16いずれかに記載の可撓性熱制御材料の製造方法。
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