実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による平面導波路型レーザ増幅装置の構成を示す。図1(a)は平面導波路型レーザ増幅装置を横から見た側面図、図1(b)は上から見た正面図を表す。図1において、1はコア層、2はクラッド層、3は励起光、4は平面導波路、5は励起用半導体レーザ、6は全反射膜、7a、7bは反射防止膜、8は第1の信号光用レーザ、9は第2の信号光用レーザ、10は第1の信号光、11は第2の信号光、12はレーザ増幅器、13は入力部を表す。なお、各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。
図1(a)において平面導波路4内のコア層1の材質は固体であり、一般的なレーザ媒質を使用できる。レーザ媒質としては、励起用半導体レーザ5から出射された励起光3を吸収する材質を使用する。励起用半導体レーザ5は励起光3を出力し、平面導波路4内に入射する励起光源である。コア層1の媒質としては、例えば、Nd:YAG、Yb:YAG、Er:YAG、Tm:YAG、Ho:YAG、Nd:YLF、Yb:YLF、Er:YLF、Tm:YLF、Ho:YLF、Nd:Glass、Cr:LiSAF、Ti:Sapphireなどが用いられる。
平面導波路4では、コア層1の上下面にはクラッド層2が形成され、クラッド層2はコア層1内に励起光3を閉じ込める役割を果たす。クラッド層2のクラッド材はコア層1の屈折率n1よりも低い屈折率n2(n1>n2)の媒質で構成されている。クラッド層2の媒質としては、例えば、SiO2、Al2O3、MgF2などを用いることができる。
図1(b)において、レーザ増幅装置はレーザ増幅器12と入力部13により構成される。入力部13は第1の信号光用レーザ8と第2の信号光用レーザ9を含み、それぞれ同じ波長の第1の信号光10と第2の信号光11を出力する。また、第1の信号光用レーザ8と第2の信号光用レーザ9には、半導体レーザやファイバレーザを用いることができる。このように、入力部13はレーザ増幅器12に複数の光を同時に入力し、入力された複数の光は平面導波路4で増幅される。
レーザ増幅器12は平面導波路4と励起用半導体レーザ5を含み、平面導波路4の2つの側面に全反射膜6と反射防止膜7a、7bを有する。全反射膜6は第1の信号光10及び第2の信号光11を反射する媒質であり、励起光3が入射される平面導波路4の2つの側面に形成される。反射防止膜7a、7bは第1の信号光10及び第2の信号光11を透過する媒質であり、全反射膜6が形成されている側面の一部に施されている。
次に動作について説明する。レーザ増幅器12において、励起用半導体レーザ5から出射された励起光3は、平面導波路4の側面より入射される。平面導波路4内に入射された励起光3は、コア層1の上下面であるクラッド層2との界面で全反射される。コア層1とクラッド層2の界面で全反射された励起光3は、コア層1の内部に閉じ込められて導波される。コア層1の内部に閉じ込められて導波する励起光3は、コア層1で吸収されて、反転分布を形成しレーザ利得を発生させる。
入力部13では、第1の信号光用レーザ8から第1の信号光10が出力され、反射防止膜7aより平面導波路4に入力される。第1の信号光10は、平面導波路4内でコア層1とクラッド層2との界面で全反射される。コア層1とクラッド層2との界面で全反射された第1の信号光10は、コア層1の内部に閉じ込められて導波される。第1の信号光10は、平面導波路4の側面に形成されている全反射膜6の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し、励起用半導体レーザ5によって平面導波路4内に誘起されるレーザ利得により増幅される。第1の信号光10は平面導波路4の側面に形成されている反射防止膜7bを透過して平面導波路4の外部に出力される。
第2の信号光用レーザ9から出力される第2の信号光11も、反射防止膜7aより平面導波路4に入力される。第1の信号光10と同様に、第2の信号光11はコア層1の内部に閉じ込められて導波され、反射防止膜7bを透過して平面導波路4の外部に出力される。
実施の形態1では、入力部13で生成される複数の光である第1の信号光10と第2の信号光11はレーザ増幅器12内の平面導波路4に同じ側面から入力されるが、平面導波路4に入力される角度が異なる。したがって、第2の信号光11は平面導波路4内で第1の信号光10と異なる経路を辿り、第1の信号光10が利用できない部分の平面導波路4の利得を利用することができる。
このように、本発明の実施の形態1では、入力された光を増幅して出力するレーザ増幅器12と、レーザ増幅器12に複数の光を同時に入力する入力部を備える。このような構成を用いると、複数の光である第1の信号光10と第2の信号光11がそれぞれ異なる経路をたどることによって、コア層1で反転分布を形成する励起光3に入射され、レーザ光の増幅率を上げることが可能となる。その結果、一定強度の励起光3に対して従来の平面導波路型レーザ増幅器よりも高い抜き出し効率を得ることができ、入力励起光に対する出力増幅光の抜出し効率を改善することができる。また、信号光の出力が同じとなるように設定すると、単独の信号光で出力を抜き出す従来技術よりも、信号光あたりの出力を低くでき、ブリルアン散乱、ラマン散乱等の非線形効果を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、入力部13はレーザ増幅器12の同じ側面から第1の信号光10と第2の信号光11を入力したのに対して、実施の形態2はレーザ増幅器12の異なる側面から第1の信号光10と第2の信号光11をレーザ増幅器12に入力する構成を示す。
図2はこの発明の実施の形態2による平面導波路型レーザ増幅装置の構成を示している。図2(a)は平面導波路型レーザ増幅器を横から見た側面図、図2(b)は上から見た正面図を表す。図2において、7c、7dは反射防止膜、14、15は入力部を表す。
実施の形態2では、入力部14内にある第1の信号光10はレーザ増幅器12の1つの側面にある反射防止膜7aよりレーザ増幅器12内の平面導波路4に入力される。一方、入力部15にある第2の信号光11は、レーザ増幅器12の他の側面にある反射防止膜7cよりレーザ増幅器12の平面導波路4に入力される。平面導波路4内で反射防止膜7aより入力された第1の信号光10は、コア層1とクラッド層2との界面で全反射される。コア層1とクラッド層2との界面で全反射された第1の信号光10は、コア層1の内部に閉じ込められて導波される。第1の信号光10は、導波方向と垂直な方向では、平面導波路4の側面に形成されている全反射膜6の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し、平面導波路4内に励起用半導体レーザ5によって誘起されるレーザ利得により増幅される。第1の信号光10は平面導波路4の側面に形成されている反射防止膜7bを透過して平面導波路4の外部に出力される。
同様に、反射防止膜7aと反対のレーザ増幅器12の側面に設けられた反射防止膜7cより入力された第2の信号光11は、平面導波路4内でコア層1の内部に閉じ込められて導波される。第2の信号光11は、平面導波路4の側面に形成されている全反射膜6の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し、励起用半導体レーザ5によって平面導波路4内に誘起されるレーザ利得により増幅される。このとき、第2の信号光11は、平面導波路4の中で第1の信号光10とは別の経路を辿る。第2の信号光11は平面導波路4の側面に形成されている反射防止膜7dを透過して平面導波路4の外部に出力される。このように、入力部14、15は複数の光をレーザ増幅器12の異なる側面に入力することを特徴とする。
第2の信号光11は平面導波路4内で第1の信号光10と異なる経路を辿り、第1の信号光10が利用できない部分の平面導波路4の利得を利用することができる。その結果、この発明の実施の形態2で示す構成を用いると、従来の平面導波路型レーザ増幅器よりも高い抜き出し効率を得ることができる。実施の形態1では第1の信号光10と第2の信号光11の入出力は同じ位置であったが、実施の形態2では第1の信号光10と第2の信号光11の入出力位置が異なる。具体的には、入力部14、15はそれぞれレーザ増幅器12の異なる側面から第1の信号光10と第2の信号光11をレーザ増幅器12に入力する。その結果、反射防止膜7aにおけるレーザパワー密度が実施の形態1の場合よりも低くなり、レーザ出力による反射防止膜7bの劣化の可能性を低くすることができる。
実施の形態3.
実施の形態1、2では、第1の信号光10と第2の信号光11は個別の信号光用レーザから出射されたのに対し、実施の形態3では第1の信号光10と第2の信号光11が同じ信号光用レーザから出射される構成を示す。
図3はこの発明の実施の形態3による平面導波路型レーザ増幅装置の構成を示している。図3(a)は平面導波路型レーザ増幅器を横から見た側面図、図3(b)は上から見た正面図を表す。図3において、16、17は全反射鏡、18はビームスプリッタ、20は信号光用レーザを示す。
実施の形態3では実施の形態1と実施の形態2で個別の信号光用レーザから出力されていた信号光を単一の信号光用レーザ20によって出力することを特徴としている。入力部13において単一の信号光用レーザ20から出力された信号光はビームスプリッタ18で、第1の信号光10と第2の信号光11に分割される。第1の信号光10は、全反射鏡16により角度調整され、反射防止膜7aより平面導波路4に入力される。同様に、第2の信号光11も全反射鏡17により角度調整され、反射防止膜7aより平面導波路4に入力される。このように、単一の信号光用レーザ20から出力された光をビームスプリッタ18などのスプリッタで分割することで複数の光を生成し、複数の光を異なる位置からレーザ増幅器12内の平面導波路4に入力する。
図4は単一の信号光用レーザ20から出力した信号光を第1の信号光10と第2の信号光11に分割する方法を説明する図である。信号光用レーザ20には無偏波レーザ22を用いている。図において、21は半波長板、22は無偏波レーザを示す。無偏波レーザ22では図4の紙面に垂直な偏光と平行な偏光が混在している。無偏波レーザ22から出力された偏光が混在したレーザを偏光ビームスプリッタ18に入力すると、紙面に垂直な偏光成分は偏光ビームスプリッタ18で反射され、第1の信号光10となる。一方、紙面に平行な偏光成分は偏光ビームスプリッタ18で透過され、第2の信号光11となる。このように偏光ビームスプリッタ18によって、複数の光に分離することができる。また、第1の信号光10か第2の信号光11に半波長板21を挿入すれば、第1の信号10と第2の信号11の偏光方向を同じ向きに揃えることができる。図4で説明する方法によれば、単一のレーザから第1の信号光10と第2の信号光11を得ることができ、第1の信号光10と第2の信号光11の波長やビーム品質を同じとすることができる。このように、入力部13では偏光ビームスプリッタ18などのスプリッタで分割された複数の光の一方を半波長板に挿入することで複数の光の偏光方向を揃える。
図5は単一の信号光用レーザ20から出力した信号光を第1の信号光10と第2の信号光11に分割する別の方法を説明する図である。図において、23は半波長板、24は直線偏光レーザを示す。信号光用レーザ20には直線偏光レーザ24を用いる。直線偏光レーザ24は図5の紙面に平行に偏光しているとする。紙面に平行に偏光したレーザの偏光を半波長板23により、45度回転させる。偏光が45度回転したレーザを偏光ビームスプリッタ18に入力すると、紙面に垂直な偏光成分は偏光ビームスプリッタ18で反射されて第1の信号光10となり、紙面に平行な偏光成分は偏光ビームスプリッタ18で透過されて第2の信号光11となる。その結果、第1の信号光10と第2の信号光11に分離することができる。また、第1の信号光10か第2の信号光11に半波長板21を挿入すれば、第1の信号光10と第2の信号光11の偏光方向を同じ向きに揃えることができる。図5で説明する方法によれば、単一のレーザから第1の信号光10と第2の信号光11を得ることができ、第1の信号光10と第2の信号光11の波長やビーム品質等を同じとできる。また、偏光ビームスプリッタ18の前に置かれた半波長板23によりレーザの偏光の回転角を調整する。レーザの偏光の回転角を調整することにより、第1の信号光10と第2の信号光11のパワーの比率を任意に調整することができる。
図6は単一の信号光用レーザから出力した信号光を第1の信号光10と第2の信号光11に分割する別の方法を説明する図である。図において、25は部分反射鏡を示す。信号光用レーザ20は無偏波レーザ22または直線偏光レーザ24のいずれであっても構わない。信号光用レーザ20からの出力は部分反射鏡25の透過と反射により、第1の信号光10と第2の信号光11に分離することができる。図6で説明する方法によれば、単一のレーザから第1の信号光10と第2の信号光11を得ることができ、第1の信号光10と第2の信号光11の波長やビーム品質等を同じにすることができる。部分反射鏡25の反射率を選ぶことにより、第1の信号光10と第2の信号光11のパワーの比率を任意に調整することができる。
このように、実施の形態3では、入力部13は複数の光をレーザ増幅器12の異なる角度から入力する。このような構成によって、従来の平面導波路型レーザ増幅器よりも高い抜き出し効率を得ることができる。また、単一の信号光用レーザ20から出力した信号光を偏光ビームスプリッタ18などのスプリッタで分割することで複数の光を生成する。このような構成によって、単一の信号光用レーザ20で複数の光を生成することができ、複数の光を効率的に生成できる。さらに、入力部13はスプリッタで分割された複数の光の一方を半波長板に挿入する。本構成によって、複数の光の偏光方向を揃えることができる。
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、第1の信号光10と第2の信号光11は同じ波長を有していたのに対して、実施の形態4では複数の光である第1の信号光10と第2の信号光11が異なる波長を有する構成を示す。
図7はこの発明の実施の形態4による平面導波路型レーザ増幅装置の構成を示している。図7(a)は平面導波路型レーザ増幅装置を横から見た側面図、図7(b)は上から見た正面図を表す。
第2の信号光用レーザ9から出力される第2の信号光11は、第1の信号光用レーザ8から出力される第1の信号光10と異なる波長を持っている。第1の信号光用レーザ8から出力される第1の信号光10と第2の信号光用レーザ9から出力される第2の信号光11は、反射防止膜7aより平面導波路4に入力される。
実施の形態4では、実施の形態1と同様に、第1の信号光10と第2の信号光11はコア層1の内部に閉じ込められて導波される。ただし、第2の信号光用レーザ9から出力される第2の信号光11は、第1の信号光用レーザ8から出力される第1の信号光10と異なる波長を持っている。したがって、一つの平面導波路型レーザ増幅器から複数の波長を出力できる。また、レーザ利得が不均一な広がりを持っていれば、波長が異なる複数の信号光は異なる増幅率を有する。この場合、特定の周波数のスペクトルに穴が生じるスペクトルホールバーニングによる利得低下が軽減され、抜出し効率を向上できる。
また、単一の信号光用レーザ20から出力した信号光を偏光ビームスプリッタ18などのスプリッタで分割することで複数の光を生成する。このような構成によって、単一の信号光用レーザ20で複数の光を生成することができ、複数の光を効率的に生成できる。さらに、入力部13はスプリッタで分割された複数の光の一方を半波長板に挿入する。本構成によって、複数の光の偏光方向を揃えることができる。
ここまでは、コア層1の上下面にクラッド層2を設け、励起光と信号光をコア層1とクラッド層2の界面で全反射してコア層1の内部に閉じ込めるようにしたシングルクラッド構造で説明した。この他の形態として、クラッド層2の上下面にさらにクラッド層2よりも屈折率の低い第2のクラッド層を設けることも可能である。この場合、励起光3はクラッド層2と第2のクラッド層の界面で全反射してコア層1とクラッド層2の内部に閉じ込められる。また、信号光はコア層1とクラッド層2の界面で全反射してコア層1に閉じ込められる。このようなダブルクラッド構造の導波路でも、上述の実施の形態1〜4に記載の方法を実施することができる。
このように、実施の形態4では、入力部13は波長の異なる複数の光をレーザ増幅器12に入力する。このような構成によって、従来の平面導波路型レーザ増幅器よりも高い抜き出し効率を得ることができる。
本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは省略が可能である。例えば、信号光用レーザは3つ以上でもよい。また、レーザ増幅器12は平面導波路型レーザ増幅器であっても構わない。
実施の形態5.
実施の形態1〜4では、異なる偏光を持つ複数の信号光が異なる波長を有する具体的な構成を記載しなかったが、実施の形態5では、この場合の効果的な構成について述べる。特に、偏光方向により異なる波長に最大の利得を有するレーザ媒質を用いることによって、波長が異なる複数の信号光をそれぞれの利得が最大となる偏光方向の向きで平面導波路型レーザ増幅器に入力し、それぞれの信号光で最大の増幅利得を得る形態を説明する。
図8はこの発明の実施の形態5による平面導波路型レーザ増幅装置の構成を示している。図8(a)は平面導波路型レーザ増幅装置を横から見た側面図、図8(b)は上から見た正面図を表す。
実施の形態5では、第1の信号光用レーザ8から出力される第1の信号光10と第2の信号光用レーザ9から出力される第2の信号光11がそれぞれ異なる波長を有し、さらに偏光方向が互いに直交していることを特徴としている。また、コア層1は、レーザ光の偏光方向により異なる波長に最大の利得を有するレーザ媒質で形成されることを特徴としている。レーザ光の偏光方向により異なる波長に最大の利得を有するレーザ媒質としては、例えば、Nd:YLFなどが挙げられる。Nd:YLFでは、信号光はP偏光(結晶のc軸に垂直な方向)において波長1047nmに高い利得を有し、S偏光(結晶のc軸に平行な方向)において波長1053nmに高い利得を有する。
第1の信号光10は1053nmの波長を有し、コア層1に対してP偏光となるようにレーザ増幅器12の1つの側面にある反射防止膜7aよりレーザ増幅器12内の平面導波路4に入力される。一方、入力部15にある第2の信号光11は、1047nmの波長を有し、コア層1に対してS偏光となるようにレーザ増幅器12の他の側面にある反射防止膜7cよりレーザ増幅器12の平面導波路4に入力される。なお、コア層1の結晶のc軸は導波路の厚さ方向に平行な方向であるものとする(コア層1の結晶のc軸はクラッド層2に対して垂直)。平面導波路4に入力された第1の信号光10は、平面導波路4内でコア層1とクラッド層2との界面で全反射され、コア層1の内部に閉じ込められて導波される。第1の信号光10は、平面導波路4の側面に形成されている全反射膜6の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し、励起用半導体レーザ5によって平面導波路4内に誘起されるレーザ利得により増幅される。第1の信号光10は平面導波路4の側面に形成されている反射防止膜7bを透過して平面導波路4の外部に出力される。
同様に、反射防止膜7aと反対のレーザ増幅器12の側面に設けられた反射防止膜7cより入力された第2の信号光11は、平面導波路4内でコア層1の内部に閉じ込められて導波される。第2の信号光11は、平面導波路4の側面に形成されている全反射膜6の間で反射を繰り返しながらジグザグに進行し、励起用半導体レーザ5によって平面導波路4内に誘起されるレーザ利得により、波長1047nmの信号光が増幅される。このとき、第2の信号光11は、平面導波路4の中で第1の信号光10とは別の経路を辿る。
実施の形態5では、実施の形態4と同様に、第2の信号光用レーザ9から出力される第2の信号光11は、第1の信号光用レーザ8から出力される第1の信号光10と異なる波長を持っている。信号光10の波長1053nmと信号光11の波長1047nmは、レーザ利得の同じ遷移帯を利用するため、信号光10と信号光11が平面導波路4で同じ経路を通過する場合、より大きな利得を持つ波長1047nmの信号光11は、利得の小さい波長1053nmの信号光10よりも出力が大きくなるが、実施の形態5では信号光10と信号光11は平面導波路4で異なる経路を辿り、第1の信号光10は第2の信号光11が利用しない部分の平面導波路4の利得を利用することができる。このような構成を用いることによって、一つの平面導波路型レーザ増幅器から、異なる波長の信号光を高い出力で得ることができる。
ここまでは、コア層1の上下面にクラッド層2を設け、励起光と信号光をコア層1とクラッド層2の界面で全反射してコア層1の内部に閉じ込めるようにしたシングルクラッド構造で説明した。この他の形態として、クラッド層2の上下面にさらにクラッド層2よりも屈折率の低い第2のクラッド層を設けることも可能である。この場合、励起光3はクラッド層2と第2のクラッド層の界面で全反射してコア層1とクラッド層2の内部に閉じ込められる。また、信号光はコア層1とクラッド層2の界面で全反射してコア層1に閉じ込められる。このようなダブルクラッド構造の導波路でも、実施の形態5に記載の方法を実施することができる。
本発明はその発明の範囲内において、実施の形態5と実施の形態1〜4の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは省略が可能である。例えば、信号光用レーザは3つ以上でもよい。また、レーザ増幅器12はスラブ型のレーザ媒質を用いたレーザ増幅器であっても構わない。