以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
以下の実施形態では、遠心圧縮機の一例として、遠心圧縮機と同様の構成部を含む過給機のコンプレッサインペラ、コンプレッサインペラを搭載した過給機、コンプレッサインペラの加工方法、および、コンプレッサインペラの加工装置を例に挙げて説明する。初めに、コンプレッサインペラを搭載した過給機の概略的な構成について説明した後、コンプレッサインペラの構成とその加工方法および加工装置について詳述する。
図1は、過給機Cの概略断面図である。以下では、図に示す矢印L方向を過給機Cの左側とし、矢印R方向を過給機Cの右側として説明する。図1に示すように、過給機Cは、過給機本体1(遠心圧縮機本体)を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング2と、ベアリングハウジング2の左側に締結ボルト3によって連結されるタービンハウジング4とベアリングハウジング2の右側に締結ボルト5によって連結されるコンプレッサハウジング6とを備える。これらは一体化されている。
ベアリングハウジング2には、過給機Cの左右方向に貫通する軸受孔2aが形成されている。軸受孔2a内には、タービン軸7(シャフト)がベアリングを介して回転自在に支持されている。タービン軸7の一端にはコンプレッサインペラ8(インペラ)が一体的に固定されている。コンプレッサインペラ8は、コンプレッサハウジング6内に回転自在に収容されている。また、タービン軸7の一端にはタービンインペラ9が一体的に固定されている。タービンインペラ9は、タービンハウジング4内に回転自在に収容されている。
コンプレッサハウジング6には吸入口10が形成されている。吸入口10は、過給機Cの右側に開口する。また、吸入口10は、エアクリーナ(図示せず)に接続する。また、締結ボルト5によってベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング6とが連結された状態では、これら両ハウジング2、6の対向面が、流体を昇圧するディフューザ流路11を形成する。ディフューザ流路11は、タービン軸7(コンプレッサインペラ8)の径方向内側から外側に向けて環状に形成されている。ディフューザ流路11は、上記の径方向内側において、コンプレッサハウジング6に形成された吸入口10に、コンプレッサインペラ8を介して連通している。
コンプレッサハウジング6にはコンプレッサスクロール流路12が設けられている。コンプレッサスクロール流路12は、ディフューザ流路11よりもタービン軸7(コンプレッサインペラ8)の径方向外側に位置し、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路12は、エンジンの吸気口(図示せず)と連通する。また、コンプレッサスクロール流路12は、ディフューザ流路11にも連通している。コンプレッサインペラ8が回転すると、流体が吸入口10からコンプレッサハウジング6内に流体が吸入され、コンプレッサインペラ8の翼間を流通する。この過程において流体の速度は遠心力の作用により増加し、ディフューザ流路11およびコンプレッサスクロール流路12で昇圧されてエンジンの吸気口(図示せず)に導かれる。すなわち、コンプレッサインペラ8は、吸入口10から吸入された流体をタービン軸7の径方向外側に圧縮して送出する。
タービンハウジング4にはタービンスクロール流路13が形成されている。タービンスクロール流路13は、タービンインペラ9よりもタービン軸7の径方向外側に位置し、環状に形成される。また、タービンハウジング4には吐出口14が形成されている。吐出口14は、タービンインペラ9を介してタービンスクロール流路13に連通する。また、吐出口14は、タービンインペラ9の正面に臨み、排気ガス浄化装置(図示せず)に接続する。
締結ボルト3によってベアリングハウジング2とタービンハウジング4とが連結された状態では、これら両ハウジング2、4の対向面間に隙間15が形成される。隙間15は、タービン軸7の径方向内側から外側に向けて環状に形成されている。
タービンスクロール流路13は、エンジンから排出される排気ガスが導かれるガス流入口(図示せず)と連通する。また、タービンスクロール流路13は、上記の隙間15にも連通している。排気ガスは、ガス流入口からタービンスクロール流路13に導かれ、タービンインペラ9を介して吐出口14に導かれる。この流通過程において排気ガスはタービンインペラ9を回転させる。そして、上記のタービンインペラ9の回転力は、タービン軸7を介してコンプレッサインペラ8に伝達され、流体はコンプレッサインペラ8の回転力によって、昇圧されてエンジンの吸気口に導かれる。
図2は、コンプレッサインペラ8の斜視図である。図2に示すように、コンプレッサインペラ8は、ハブ16(ホイール)と、複数の羽根17(ブレード)とを有する。
ハブ16は、上面16aと、上面16aよりも大きい面積をもつ底面16bとを有する。ハブ16は、さらに、上面16aから底面16bに向かって径方向外側に広がる外周面16cを有する。ハブ16は、底面16bおよび上面16aの中心を回転軸として回転する回転体である。
また、ハブ16には貫通孔16dが設けられている。貫通孔16dは、上面16aから底面16bに向けて貫通する貫通孔16dにはタービン軸7が挿通される。この挿通によって、タービン軸7の端部が上面16aから突出する。この突出した部分にはネジ溝が形成されている。このネジ溝にナットを締めることで、ハブ16がタービン軸7の一端に固定される。
羽根17は、ハブ16と一体形成された薄板形状の部材である。羽根17は、ハブ16の外周面16cに、互いに周方向に離隔して複数配される。隣り合う羽根17の周方向の隙間(翼間17a)が流体の流路となる。また、羽根17は、ハブ16の外周面16cから径方向外側に延伸し、ハブ16の周方向に傾斜するように湾曲している。
また、羽根17は、全羽根18(長羽根、フルブレード)と、全羽根18より軸方向の長さが短い半羽根19(短羽根、ハーフブレード)とから構成される。全羽根18と半羽根19とは、周方向に交互に配されている。このように、半羽根19を全羽根18の間に配することで、同数の羽根17をすべて全羽根18で構成する場合に比べ、過給機Cにおける流体の吸引効率が向上する。以下、単に羽根17という場合、全羽根18および半羽根19の両方を示す。
図3(a)は、羽根17の形状を説明するための図である。図3(a)は、本実施形態の羽根17の子午面形状を一点鎖線で示す。図3(b)は、比較例の羽根Wの子午面形状を一点鎖線で示す。子午面形状は、一枚の羽根17、Wの輪郭を、ハブ16の径方向の位置を変えずに、ハブ16の回転軸周りに回転して、ハブ16の回転軸に平行な平面に投影させた形状である。図3(a)及び図3(b)において、左右方向がタービン軸7の軸方向を示す。また、各図中の右側がハブ16の底面16b側を示し、左側がハブ16の上面16a側を示す。また、図3(a)及び図3(b)において、上下方向がタービン軸7の径方向を示す。各図中の上側が径方向外側を示し、下側が径方向内側を示す。
図3(a)に示すように、羽根17(即ち全羽根18または半羽根19)は、コンプレッサインペラ8を通過する流体の流れ方向(以下、単に流れ方向と称す)における上流側の端部であるリーディングエッジ17bを有する。なお、半羽根19のリーディングエッジ17bは、全羽根18のリーディングエッジ17bより流れ方向における下流側に位置する。
また、羽根17は、流れ方向における下流側の端部であるトレーリングエッジ17cを有する。翼面17dは、羽根17のうち、リーディングエッジ17bとトレーリングエッジ17cを流れ方向における両側の端部として有する曲面である。翼面17dは、翼間17aに形成される流路に面している。
図3(a)に示すように、子午面形状において、リーディングエッジ17bは、タービン軸7の径方向に対して大凡平行である。トレーリングエッジ17cは、タービン軸7の軸方向に大凡平行である。
翼面17dは、リーディングエッジ17bと、トレーリングエッジ17cとを端部とし、直線の母線17e(図3(a)中、破線で示す)を連続的に移動させた軌跡が描く曲面、いわゆる線織面である。すなわち、母線17eは、直線(線分)の移動によって曲面を描いた時の、いずれかの位置における直線である。したがって、コンプレッサインペラ8は、所謂母線インペラとして構成されている。
図3(a)は、母線17eの向きの理解を容易とするため、翼面17dのトレーリングエッジ17c側から母線17eを突出させて示す。
母線17eは、トレーリングエッジ17c側において、トレーリングエッジ17cとの交点aを有する。また、母線17eは、タービン軸7の軸方向の一端側(図3中、左側)から他端側(図3中、右側)へ向かうにしたがって、タービン軸7の径方向内側に近づく向きに傾斜している。すなわち、トレーリングエッジ17cと交差する母線17eにおいて、タービン軸7の軸方向の一端側の方が、他端側よりも、径方向外側に位置している。
また、交点aよりもタービン軸7の軸方向の他端側(図3中、右側)に位置するトレーリングエッジ17cと、交点aよりもタービン軸7の軸方向の他端側(図3中、右側)に位置する母線17eとが成す角を角Aとすると、角Aは20度以上である。
図3(b)は、比較例の羽根Wを示す。この図に示すように、母線Weは、羽根Wの翼面Wdの曲面形状によって特定される。母線Weは、トレーリングエッジWc側において、タービン軸7の軸方向と大凡平行である。したがって、図3(a)に示す羽根17と異なり、母線WeとトレーリングエッジWcは交点を有さない。この場合、羽根Wの加工が困難となる可能性がある。以下、コンプレッサインペラ8の加工装置について説明した後、コンプレッサインペラ8の加工方法を示しながら、羽根17、Wの加工性を比較して詳述する。
図4(a)及び図4(b)は、コンプレッサインペラ8の加工装置20を説明するための図である。図4(a)は、加工装置20の外観図を示す。図4(b)は、加工装置20がコンプレッサインペラ8の素材Mを加工する様子を示す。
加工装置20は、例えば、同時5軸マシニングセンタで構成される。図4(a)に示すように、加工装置20は、回転部21と、移動部22と、保持部23と、移動部24と、制御部25と、操作部26とを備える。図4(b)に示すように、回転部21は、エンドミルなどの工具Tを支持するチャック部21aと、モータ(図示せず)とを有する。回転部21は、チャック部21aが工具Tを支持した状態で、モータの動力によってチャック部21aと共に工具Tを回転させる。チャック部21aは、チャック部21aの回転軸が工具Tの軸中心と一致する状態で、工具Tを支持する。
移動部22は、例えば、モータ(図示せず)によって、互いに直交する3軸の移動が可能な自動ステージで構成される。移動部22は、回転部21を支持している。そして、移動部22は、回転部21を3軸のいずれの方向にも、移動させることができる。
保持部23は、例えば、クランプ装置で構成される。保持部23は、コンプレッサインペラ8の素材Mを保持する。素材Mは、予め、ハブ16の貫通孔16dとなる孔が形成されている。保持部23は、素材Mの外周面を保持する第1クランプ23aを有する。また、素材Mを挟んで第1クランプ23aと反対側には、第2クランプ23bが配される。第2クランプ23bには、ピン23cが固定されている。ピン23cの先端は、先端側ほど径が小さいテーパ形状を有する。ピン23cの先端は、ハブ16の貫通孔16dとなる素材Mの孔に挿通される。こうして、第1クランプ23aとピン23cで素材Mが挟持されている。
移動部24は、保持部23を支持する。移動部24は、例えば、のモータ(図示せず)によって、保持部23ごと素材Mを、互いに異なる2軸の軸周りに旋回させることができる。
移動部22、24が協働することで、工具Tおよび素材Mの相対的な位置および姿勢を高い自由度で変位させることができる。
制御部25は、操作部26を通じて入力された加工パスなどの情報に応じ、回転部21による工具Tの回転、および、移動部22、24による工具Tと素材Mの相対的な位置および姿勢の変位を制御する。以下、制御部25によるコンプレッサインペラ8の加工処理の流れを詳述する。
図5は、コンプレッサインペラ8の加工方法を説明するための図である。図5(a)〜(c)は、本実施形態の羽根17の加工処理の様子を示す。図5(d)〜(f)は、比較例の羽根Wの加工処理の様子を示す。理解を容易とするため、各図における加工装置20の図示を省略する。
母線インペラの加工においては、工具Tの刃の側面Taを使ってコンプレッサインペラ8の素材Mを切削する。このとき、工具Tの回転軸方向は母線17e、Weの向きに合わせられている。
図5(a)に示すように、制御部25は、移動部22、24および回転部21を制御し、工具Tの回転軸の軸方向が、リーディングエッジ17bの向きと平行であって、工具Tの先端が、ハブ16側(図5中、下側)に向いた初期位置に、工具Tを配する。
続いて、制御部25は、移動部22、24および回転部21を制御し、図5(b)に示すように、工具Tの回転軸を母線17eの向き(延伸方向)に合わせながら、工具Tの側面Taを使って素材Mを切削する。すなわち、制御部25は、工具Tを回転させ、リーディングエッジ17bからトレーリングエッジ17cに向かって、側面Taで複数の羽根17の隙間(翼間17a)となる部分の素材Mを切削する。この切削のあいだ、制御部25は、工具Tの軸方向の初期位置からの傾斜角を、工具Tの軸方向がトレーリングエッジ17cの向き(延伸方向)に近づく方向に連続的に大きくさせる。
そして、図5(c)に示すように、工具Tがトレーリングエッジ17c側まで加工し終えると、工具Tの回転軸は、タービン軸7の軸方向に対して傾斜する。具体的には、工具Tの回転軸は、工具Tの先端側がタービン軸7の径方向内側に近くなるように傾斜している。すなわち、制御部25は、トレーリングエッジ17cまで切削して翼面17dを削り出したとき、工具Tの軸方向の初期位置からの傾斜角(図5(a)から図5(c)までに、工具Tの軸方向が傾く角度)が鋭角となるように、回転部21および移動部22、24を制御している。
一方、比較例の羽根Wの加工では、羽根17の加工と同様、工具Tの先端をタービン軸7の径方向内側に向けた状態で、リーディングエッジWb側から切削が開始される(図5(d)参照)。そして、図5(e)に示すように、母線Weの向きが工具Tの回転軸の向きとなるように工具Tの姿勢が制御されながら、リーディングエッジWbからトレーリングエッジWcに向かって切削が行われる。トレーリングエッジWcに到達した時点では、図5(f)に示すように、工具Tの回転軸がタービン軸7の軸方向と大凡平行になる。
図6(a)及び図6(b)は、それぞれ羽根17、羽根Wの加工における加工性を説明するための図である。図6(a)は、図5(c)のようにトレーリングエッジ17cまで加工した状態の羽根17と工具Tを示す。図6(b)は、図5(f)のようにトレーリングエッジWcまで加工した状態の羽根Wと工具Tを示す。これらの図は、理解を容易とするため、羽根17、Wの枚数を間引いて当該羽根17、Wを示す。
図6(b)に示す状態から、工具Tをタービン軸7の径方向に離隔させると、工具Tの先端が、素材Mのうち、ハブの外周面Wfにおける底面Wg側に形成される部分に引っかかる。すなわち、不要な所謂押し加工を行ってしまう。この場合、外周面Wfの底面Wg側に不要な加工痕が残ってしまうおそれがある。押し加工を確実に回避するため、加工中の工具Tの移動速度を低く抑えることが考えられるものの、加工性や加工時間が犠牲になる。
本実施形態の羽根17の加工においては、図6(a)に示す状態で、工具Tが羽根17のトレーリングエッジ17c側から、タービン軸7の径方向に離隔する。この場合、タービン軸7の軸方向に対して、工具Tの軸方向は、工具Tの先端側がタービン軸7の径方向内側に近くなる向きに傾斜している。そのため、押し加工の発生が抑えられ、加工性の向上や加工時間の短縮が可能になる。
図7(a)〜図7(f)は、羽根17の加工における干渉について説明するための図である。図7(a)〜図7(c)は、図5(a)〜図5(c)と同じ図を示す。図7(d)〜図7(f)は、それぞれ、図7(a)〜図7(c)に対応するチャック部21aの保持部23に対する相対的な姿勢を示す。なお、図7(d)〜図7(f)では、理解を容易とするため、チャック部21aの姿勢が変化する様子を示す。実際には(たとえば同時5軸マシニングセンタを用いた場合には)、保持部23および保持部23に保持された素材Mの姿勢(傾斜)が変化する。
図7(a)〜図7(c)に示すように、工具Tが翼面17dを削り出しながら、リーディングエッジ17bからトレーリングエッジ17cに到達すると、図7(d)〜(f)に示すように、チャック部21aと第2クランプ23bの距離が近づく方向に、姿勢制御される。
例えば、比較例の羽根Wの加工のように、工具Tの回転軸の向きを、タービン軸7の軸方向と大凡平行となるまで移動させると、チャック部21aと第2クランプ23bの距離が、図7(f)に示す状態よりもさらに近づく。この場合、チャック部21aと第2クランプ23bが干渉するおそれがある。このような干渉を回避するため、回転軸方向に長い工具を用いることが考えられる。このような工具であれば、チャック部21aの代わりに工具が第2クランプ23bに近づくことになるが、工具は第2クランプ23bよりも径が小さいため、工具と第2クランプ23bは干渉し難い。しかし、チャック部21aから工具と素材Mの接触部分までの距離が長くなると、加工中に工具が振動する、所謂びびりが生じる可能性がある。
本実施形態の羽根17の加工においては、図7(f)に示す傾きまでしか、工具Tの向きを変位させないため、工具Tのチャック部21aが第2クランプ23bに干渉しづらくなる。つまり、短い工具Tを用いることができる。その結果、加工中に生じる工具の振動を抑制することができ、加工性を向上することができる。
また、上述の実施形態における角Aは20度以上である。しかしながら、タービン軸7の軸方向に対する母線17eの傾斜によって、本発明の効果が得られる限り、角Aの値は任意である。ただし、図3(a)に示すように角Aを20度以上とすると、上記の押し加工や、工具Tのチャック部21aと保持部23との間の干渉に関し、抑制効果が顕著に表れ、加工性の向上や加工時間の短縮がさらに可能となる。また、角Aは望ましくは40度以下であるとよい。角Aを40度以下とすることで、羽根17の翼面17dとして設計可能な曲面形状の範囲を、実用的な水準とすることができる。
ここで、コンプレッサインペラを通過する空気の流れを想定する。一般的に、空気の流れにおける上流側の変化は、コンプレッサ効率に影響を及ぼしやすい傾向がある。一方、この空気の流れの上流側(上流端)にはリーディングエッジが位置し、下流側(下流端)にはトレーリングエッジが位置している。本実施形態の母線の傾きは、リーディングエッジからトレーリングエッジに向けて徐々に変化する。即ち、本実施形態の母線は比較例(図3(b)参照)と同じくリーディングエッジに対して平行であるものの、トレーリングエッジに対しては傾斜している。このため、流れにおける上流側での変化が抑制され、流れの変化によるコンプレッサ効率への影響を小さくすることができる。
なお、CFD(Computational Fluid Dynamics)解析を用いて、角Aが0度の場合(即ち、トレーリングエッジにおける母線が傾きを持たない場合)と、角Aが20度の場合と、角Aが40度である場合のコンプレッサ効率を比較すると、角Aが20度又は40度のコンプレッサ効率は、角Aが0度の場合と比べて遜色なく、その差は1%未満の変化に抑えられていることが判った。
このように、本実施形態のコンプレッサインペラ8、過給機C、コンプレッサインペラ8の加工方法、および、コンプレッサインペラ8の加工装置20では、加工性の向上や加工時間の短縮が可能になる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。