JPWO2014207832A1 - 絶縁監視装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このうち、Igr方式は、受電用トランスの接地線に系統周波数とは異なる所定周波数の監視信号を注入し、系統の配電線から対地静電容量または対地絶縁抵抗を介して還流してきた監視信号を抽出すると共に、抽出した監視信号に含まれる抵抗成分電流の大きさを所定の監視設定値と比較して電力系統の絶縁状態を監視するものである。
また、I0r方式は、電力系統に監視信号を注入することなく、受電用トランスの接地線を流れる零相電流から系統の対地電圧と同相の抵抗成分電流を抽出し、この抵抗成分電流の大きさを所定の監視設定値と比較して電力系統の絶縁状態を監視するものである。
図13は、このような負荷設備及びノイズフィルタを備えた電力系統に適用されるIgr方式の絶縁監視装置の全体構成を示している。
この監視装置本体42では、周波数抽出部42a,42bにより、基準電圧Vst及び漏洩電流I0から監視信号と同一の周波数成分が抽出され、Igr抽出部42cにより基準電圧Vstと同相の抵抗成分電流Igrが抽出される。そして、絶縁判定部42dが抵抗成分電流Igrの大きさを所定の監視設定値Irrefと比較し、Igrが監視設定値Irrefを上回った場合に絶縁不良と判定して警報出力部42eに信号を送り、視覚的表示や外部への信号伝送により適宜な警報を出力させている。
ここで、ノイズフィルタ31の容量成分に流れる電流の位相は、理想的には基準電圧Vstに対して90度進み方向になるはずである。しかし、実際には、ノイズフィルタ31を構成する各コンデンサの等価直列抵抗や等価直列インダクタンスの影響により、図15に示すように、系統の容量成分(ノイズフィルタ31及び対地静電容量22)に流れる電流の位相は基準電圧Vstに対して90度未満となり、基準電圧Vstと同相の抵抗成分誤差電流Igr’を含んだものとなる。また、コンデンサの静電容量は温度特性を持つので、図15における容量成分電流(現実)の大きさは温度に応じて変化し、これに伴って抵抗成分誤差電流Igr’の大きさも変化する。
このため、監視装置本体42では、配電線20の絶縁が保たれていても、図15に示す抵抗成分誤差電流Igr’を検出することになり、結果として配電線20の絶縁不良と誤認してしまう恐れがある。
自家用電気工作物保安管理規定JEAC8021−2006では、50[mA]を監視上限値としているが、前述したように、ノイズフィルタ31の投入/遮断、更には周囲温度により抵抗成分電流の大きさが異なるため、この抵抗成分電流と比較される監視設定値を一律かつ固定的に定めている場合には、電路及び設備の絶縁劣化がなくても監視レベルを超える場合があり、高精度な絶縁監視を行うことができないという問題があった。
そして、請求項1に係る発明は、前記コンデンサの静電容量成分電流に起因する抵抗成分誤差電流(設定値)を、電力系統及び設備の絶縁監視のための監視基底設定値(例えば、自家用電気工作物保安管理規定に定められた監視上限値の50[mA])に加算して求めた監視設定値を負荷設備の運転スケジュールに応じて予め設定したテーブルと、現在時刻の運転スケジュールに応じて前記テーブルから読み出した監視設定値を出力する監視設定値演算部と、を備え、この監視設定値演算部から出力される監視設定値を抵抗成分電流との比較に用いて絶縁監視を行うものである。
まず、図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る監視装置本体の構成を示すブロック図である。図1の監視装置本体42Aにおいて、図13と同様に、周波数抽出部42a,42bにより、基準電圧Vst及び漏洩電流I0から監視信号と同一の周波数成分が抽出される。Igr抽出部42cでは、周波数抽出部42bの出力から、基準電圧Vstと同相の抵抗成分電流Igrが抽出される。
なお、図2は、時間帯に応じた抵抗成分誤差電流Igr’と監視設定値Irrefとの関係を示す図であり、8:00〜20:00の間の監視設定値Irrefを他の時間帯よりも大きめに設定した例である。また、8:00〜20:00の間で抵抗成分電流(誤差)Igr’が変化しているのは、インバータの運転状況や運転台数によりノイズフィルタを流れる容量成分電流(現実)が変化するためである。
絶縁判定部42dでは、Igr抽出部42cから出力される抵抗成分電流Igrが監視設定値演算部42hから送られた監視設定値Irrefを超えたか否か判定することにより、通常の絶縁監視を行う。抵抗成分電流Igrが監視設定値Irrefを超えた場合には、従来と同様に警報出力部42eを動作させて適宜な警報を行うものである。
監視設定値演算部42hでは、数式1に示すように、負荷設備の運転台数nと単位設定値Irref1との乗算値に基底設定値Irref0を加算して監視設定値Irrefを演算し、絶縁判定部42dに出力する。
[数式1]
Irref=Irref1×n+Irref0
絶縁判定部42dでは、負荷設備の運転台数に応じて図4のように変更される監視設定値Irrefを用いて抵抗成分電流Igrとの比較を行い、絶縁監視を行う。
なお、管理部42jと通信部42kとの間の通信手段、負荷設備1〜nと管理部42jとの間の通信手段は、有線、無線いずれでも良い。
図6の監視装置本体42Dでは、Igr抽出部42cの他にIgc抽出部42lを備えている。このIgc抽出部42lは、漏洩電流I0に含まれる監視信号と同一の周波数成分であって、基準電圧Vstに対して位相が90度進んだ容量成分電流Igcを抽出する。
更に、監視装置本体42Dには、単位容量成分電流あたりの監視設定値(単位設定値)α、または容量成分電流から換算した単位静電容量あたりの監視設定値(単位設定値)βが記憶されている。図7は、単位容量成分電流あたりの単位設定値αの説明図であり、この単位設定値αは、例えば単位容量成分電流100[mA]あたりの抵抗成分誤差電流に相当する。
[数式2]
Irref=(Igc/100[mA])×α+Irref0
また、単位静電容量を例えば1[μF]としたとき、監視設定値Irrefは数式3によって演算される。数式3において、Cは容量成分電流Igcから換算した静電容量値である。
[数式3]
Irref=(C/1 [μF])×α+Irref0
こうして演算された監視設定値Irrefは絶縁判定部42dに入力され、Igr抽出部42cから出力される抵抗成分電流Igrと比較することで絶縁監視を行う。
このため、第1〜第3実施形態のように負荷設備の運転スケジュールや運転台数から抵抗成分誤差電流Igr’を推定して監視設定値Irrefを決定する場合に比べて、系統に実際に流れる容量成分電流Igcを反映させた監視設定値Irrefを得ることができ、この監視設定値Irrefを使用してより正確な絶縁監視を行うことができる。
図9の監視装置本体42Eでは、抽出した容量成分電流Igcを静電容量Cに換算し、この静電容量Cを温度補正して監視設定値Irrefの演算に用いている。
温度補正演算部42pには、監視装置本体42Eの内部の温度計測部42nによる温度計測値、または、監視装置本体42Eの外部の温度計測部42mにより計測され、管理部42j及び通信部42kを介して受信した温度計測値が入力されている。
図10において、静電容量補正部42rは、静電容量換算部42qから入力される温度補正前の静電容量Cを、温度計測値及び後述の静電容量変化率を用いてC’に補正し、監視設定値演算部42hに出力する。
また、種類入力部42sは、オペレータの手動操作により、ノイズフィルタ31を構成するコンデンサの種類(誘電体の種類やメーカ、型式等)を静電容量補正部42rに入力するためのものである。なお、この種類入力部42sの代わりに、図9の通信部42kを介して外部から通信によりコンデンサの種類を静電容量補正部42rに入力しても良い。
このため、静電容量補正部42rは、コンデンサの種類に応じた温度特性を例えば図11のC1,C2,C3の中から選択すると共に、選択した特性上で温度計測値に対応する静電容量変化率を静電容量Cに乗算することで、温度補正後の静電容量C’を得ることができる。
図12は、図11に示したようなコンデンサの温度特性をテーブルとして示したものである。このテーブルを静電容量補正部42rに内蔵しておき、温度計測値に応じた静電容量変化率を用いれば、温度補正後の静電容量C’を速やかに演算することができる。
42a,42b:
42c:Igr抽出部
42d:絶縁判定部
42e:警報出力部
42f:時計
42g:スケジュール設定テーブル
42h:監視設定値演算部
42i:運転台数取得部
42j:管理部
42k:通信部
42l:Igc抽出部
42m,42n:温度計測部
42p:温度補正演算部
42q:静電容量換算部
42r:静電容量補正部
42s:種類入力部
図9の監視装置本体42Eでは、抽出した容量成分電流Igcを静電容量Cに換算し、この静電容量Cを温度補正して監視設定値Irrefの演算に用いている。
42a,42b:周波数抽出部
42c:Igr抽出部
42d:絶縁判定部
42e:警報出力部
42f:時計
42g:スケジュール設定テーブル
42h:監視設定値演算部
42i:運転台数取得部
42j:管理部
42k:通信部
42l:Igc抽出部
42m,42n:温度計測部
42p:温度補正演算部
42q:静電容量換算部
42r:静電容量補正部
42s:種類入力部
Claims (4)
- 電力系統または前記電力系統に接続された負荷設備の対地絶縁抵抗を介して還流する漏洩電流を検出すると共に、前記漏洩電流から前記電力系統に重畳した基準電圧と同相の抵抗成分電流を求め、前記抵抗成分電流が監視設定値を超えた時に前記対地絶縁抵抗の低下による絶縁不良を検出する絶縁監視装置であって、前記負荷設備の運転時にコンデンサを含むノイズフィルタが接続される電力系統を対象とした絶縁監視装置において、
前記コンデンサの静電容量と前記電力系統の対地絶縁容量との和によって流れる抵抗成分誤差電流よりも大きい前記監視設定値を、前記負荷設備の運転スケジュールに応じて予め設定したテーブルと、
現在時刻の前記運転スケジュールに応じて前記テーブルから読み出した前記監視設定値を出力する監視設定値演算部と、
を備え、
前記監視設定値演算部から出力される前記監視設定値を前記抵抗成分電流との比較に用いることを特徴とする絶縁監視装置。 - 電力系統または前記電力系統に接続された負荷設備の対地絶縁抵抗を介して還流する漏洩電流を検出すると共に、前記漏洩電流から前記電力系統に重畳した基準電圧と同相の抵抗成分電流を求め、前記抵抗成分電流が監視設定値を超えた時に前記対地絶縁抵抗の低下による絶縁不良を検出する絶縁監視装置であって、前記負荷設備の運転時にコンデンサを含むノイズフィルタが接続される電力系統を対象とした絶縁監視装置において、
前記負荷設備の運転台数を取得する運転台数取得部と、
前記負荷設備1台あたりの単位設定値、前記運転台数、及び、前記電力系統の対地絶縁容量によって流れる抵抗成分誤差電流に応じた基底設定値を用いて、前記監視設定値を演算する監視設定値演算部と、
を備え、
前記監視設定値演算部により演算した前記監視設定値を前記抵抗成分電流との比較に用いることを特徴とする絶縁監視装置。 - 電力系統または前記電力系統に接続された負荷設備の対地絶縁抵抗を介して還流する漏洩電流を検出すると共に、前記漏洩電流から前記電力系統の基準電圧と同相の抵抗成分電流を求め、前記抵抗成分電流が監視設定値を超えた時に前記対地絶縁抵抗の低下による絶縁不良を検出する絶縁監視装置であって、前記負荷設備の運転時にコンデンサを含むノイズフィルタが接続される電力系統を対象とした絶縁監視装置において、
前記監視信号と同一周波数成分の電流から、前記抵抗成分電流より位相が進んだ容量成分電流を抽出する容量成分電流抽出部と、
前記容量成分電流抽出部により抽出した前記容量成分電流、単位容量成分電流または単位静電容量あたりの単位設定値、及び、前記電力系統の対地絶縁容量によって流れる抵抗成分誤差電流に応じた基底設定値を用いて、前記監視設定値を演算する監視設定値演算部と、
を備え、
前記監視設定値演算部により演算した前記監視設定値を前記抵抗成分電流との比較に用いることを特徴とする絶縁監視装置。 - 電力系統または前記電力系統に接続された負荷設備の対地絶縁抵抗を介して還流する漏洩電流を検出すると共に、前記漏洩電流から前記電力系統の基準電圧と同相の抵抗成分電流を求め、前記抵抗成分電流が監視設定値を超えた時に前記対地絶縁抵抗の低下による絶縁不良を検出する絶縁監視装置であって、前記負荷設備の運転時にコンデンサを含むノイズフィルタが接続される電力系統を対象とした絶縁監視装置において、
前記監視信号と同一周波数成分の電流から、前記抵抗成分電流より位相が進んだ容量成分電流を抽出する容量成分電流抽出部と、
前記容量成分電流抽出部により抽出した前記容量成分電流を静電容量に換算する静電容量換算部と、
前記静電容量換算部により換算した静電容量を、前記コンデンサの種類に応じた静電容量変化率と周囲温度計測値とを用いて補正する温度補正演算部と、
前記温度補正演算部により補正された静電容量によって流れる抵抗成分誤差電流と、前記電力系統の対地絶縁容量によって流れる抵抗成分誤差電流に応じた基底設定値とを用いて、前記監視設定値を演算する監視設定値演算部と、
を備え、
前記監視設定値演算部により演算した前記監視設定値を前記抵抗成分電流との比較に用いることを特徴とする絶縁監視装置。
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