JPWO2014189020A1 - 炭酸カルシウム用分散剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、湿式粉砕及びかき混ぜ分散の何れの方法においても粘度が十分低く、かつ経時安定性の良好な炭酸カルシウムスラリーを得ることが可能なものである。当該分散剤は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる(メタ)アクリル酸系重合体であって、前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩である(メタ)アクリル酸系重合体を含むものである。

Description

本発明は、炭酸カルシウム用分散剤及びその製造方法に関する。詳しくは、湿式粉砕やかき混ぜ分散による炭酸カルシウムスラリーの製造に有用な炭酸カルシウム用分散剤及びその製造方法に関する。
炭酸カルシウムを水媒体中に分散することにより得られる炭酸カルシウムスラリーは、製紙用塗工剤、及び塗料用顔料等に広く用いられている。
炭酸カルシウムスラリーの製造方法としては、炭酸カルシウム及び分散剤等をメディアと共に水中で攪拌粉砕することによりスラリーを得る湿式粉砕法が広く採用されている。この方法によれば、平均粒子径1μm以下の小粒径の炭酸カルシウムスラリーを製造することが可能である。
また、メディアを用いずに、炭酸カルシウムと分散剤等を水中で攪拌混合することによりスラリーを得る方法(以後、「かき混ぜ分散」ともいう)もある。この方法は、特別な装置を必要とせず、比較的粒子径の大きい炭酸カルシウムスラリーを得るのに適している。
炭酸カルシウムスラリーは、搬送及び塗工する際における取扱い上の観点から、その粘度が十分に低いものであることが必要である。また、経時によりスラリーの粘度が大きく上昇することがなく、粘度安定性も良好であることが要求される。
したがって、炭酸カルシウムスラリーに用いられる分散剤には、このようなスラリーへの要求を満足するため、優れた分散性を発揮するものであることが求められている。
炭酸カルシウム用分散剤としては、(メタ)アクリル酸系重合体を含む分散剤が広く用いられており、分散剤の分散性能向上に関する検討が広く進められている。
特許文献1には、特定の末端基を有するα,β−不飽和カルボン酸を主成分とする重合体中和物からなる顔料分散剤が開示されている。
また、特許文献2〜5には、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等を特定範囲とする(メタ)アクリル酸系重合体を含む顔料分散剤が示されている。
さらに、特許文献6には、炭酸カルシウムの湿式粉砕用分散剤として、特定の末端基及び重量平均分子量を有するアクリル酸系(共)重合体が提案されている。
特開2005−307023号公報 特開昭54−82416号公報 特開2006−193418号公報 特開2000−212371号公報 特開2011−105853号公報 特開2000−281959号公報
しかしながら、特許文献1及び3〜6に記載された分散剤は、湿式粉砕により得られた炭酸カルシウムスラリーの分散には良好な効果を示すものの、かき混ぜ分散の場合には、スラリーの粘度が十分低減できない場合や、経時でスラリー粘度が上昇してしまう場合等があった。
また、特許文献2に記載された分散剤は、これを炭酸カルシウムのかき混ぜ分散に用いた場合には良好な分散性を示すものの、湿式粉砕に用いた場合には満足なスラリーを得ることができない場合があった。
このように、湿式粉砕及びかき混ぜ分散の何れの方法においても良好な分散性を示す分散剤は未だ得られていないのが現状であった。
本発明の課題は、炭酸カルシウムスラリー用分散剤であって、スラリーの製造方法によらず、粘度が十分低く、かつ経時安定性の良好な炭酸カルシウムスラリーを得ることが可能な分散剤及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、カルボキシル基の特定量がカリウム塩及びマグネシウム塩の形態である(メタ)アクリル酸系重合体が、炭酸カルシウム用分散剤として優れた性能を示すことを知得し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
1.(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる(メタ)アクリル酸系重合体であって、前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩である(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤。
2.前記(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量が3000〜10000であることを特徴とする前記1に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
3.前記(メタ)アクリル酸系重合体が、イソプロピルアルコール水溶液を溶媒として用いて、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の存在下で(メタ)アクリル酸を含む単量体を重合することにより得られるものであり、
前記亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の使用量は、前記単量体100質量部に対して、1.0〜4.5質量部であることを特徴とする前記1又は2に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
4.(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤の製造方法であって、
イソプロピルアルコール水溶液を溶媒として用いて、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の存在下で、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる単量体を重合させる重合工程を有し、
前記重合工程では、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物を前記単量体100質量部に対して、1.0〜4.5質量部使用し、
必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩であるように中和を行うことを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤の製造方法。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤によれば、湿式粉砕及びかき混ぜ分散の何れの方法で炭酸カルシウムスラリーを製造した場合であっても、粘度が十分低く、かつ経時安定性の良好な炭酸カルシウムスラリーを得ることが可能となる。
本発明は、(メタ)アクリル酸系重合体であって、当該重合体が有するカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩である(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤及びその製造方法に関する。
以下、本発明について詳しく説明する。尚、本願明細書においては、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を、(メタ)アクリル酸と表す。
本発明による(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体を必須の構造単位とするものである。全構造単位におけるこれらの使用割合は、80〜100質量%であり、好ましくは90〜100質量%であり、特に好ましくは、100質量%である。
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体の使用割合が80質量%以上であると、得られる重合体の水への溶解度を十分なものにすることができる。
また、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムの中でも、得られた重合体が良好な水溶性を示す観点からアクリル酸及びそのカリウム塩若しくはマグネシウム塩を使用することが好ましい。中でも、重合性がよく、原料単量体を準備するに際して別途の中和設備等が不要であるという観点からアクリル酸が好ましい。
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウム以外の単量体(以後、「その他の単量体」ともいう)としては、これらと共重合可能な単量体であれば、特に限定されない。具体的には、ラジカル重合性を有するビニル系単量体(重合性不飽和化合物)が挙げられる。上記ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸以外のエチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸の中和塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香族ビニル化合物、酸無水物、アミノ基含有ビニル化合物、アミド基含有ビニル化合物、スルホン酸基含有ビニル化合物、ポリオキシアルキレン基含有ビニル化合物、アルコキシル基含有ビニル化合物、シアノ基含有ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、共役ジエン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、得られる分散剤の分散安定性、着色抑制等の性能が優れる点から(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、及び、ポリオキシアルキレン基含有ビニル化合物が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸以外のエチレン性不飽和カルボン酸としては、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水フタル酸をアルキルアルコールでハーフエステル化したもの、及び、無水イタコン酸をアルキルアルコールでハーフエステル化したもの等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和カルボン酸の中和塩としては、(メタ)アクリル酸については、カリウム塩以外のアルカリ金属塩、マグネシウム塩以外のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩等が挙げられる。その他にもエタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水フタル酸をアルキルアルコールでハーフエステル化したもの、及び、無水イタコン酸をアルキルアルコールでハーフエステル化したもの等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの内でも、水への溶解性と良好な分散性のバランスの点から、炭素数が1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物が好ましい。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ハロゲン化スチレン、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等が挙げられる。
上記酸無水物単量体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
上記アミノ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル等が挙げられる。
上記アミド基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有ビニル化合物としては、メタリルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチル−2−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及び3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸等、並びに、これらの塩が挙げられる。
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル化合物としては、ポリオキシエチレン基、及び/又は、ポリオキシプロピレン基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記アルコキシル基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等が挙げられる。
上記シアノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニルエステル単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
その他、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系化合物;マレイン酸エステル化合物;イタコン酸エステル化合物;ビニルピリジン等のN−ビニル複素環化合物等が挙げられる。
これらの他の単量体のうち、好ましくは、マレイン酸、アクリルアミド−2−メチル−2−プロパンスルホン酸及びこれらの塩等である。これらを(メタ)アクリル酸と併用することにより、かきまぜ分散して得られるスラリーの初期粘度に優れる分散剤が得られる。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体は、その構造単位たる(メタ)アクリル酸に由来するカルボキシル基を有し、当該カルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩である。カリウム塩の好ましい範囲は25〜60mol%であり、より好ましくは30〜50mol%である。
カリウム塩が20mol%未満の場合は、かき混ぜ分散による炭酸カルシウムスラリーの粘度を十分低減できない傾向がある。また、65mol%を超える場合は、かき混ぜ分散による炭酸カルシウムスラリーの経時安定性が不十分となる場合がある。
また、本発明の(メタ)アクリル酸系重合体は、前記カルボキシル基の35〜70mol%がマグネシウム塩である。マグネシウム塩の好ましい範囲は40〜65mol%であり、より好ましくは45〜65mol%である。
マグネシウム塩が35mol%未満の場合は、湿式粉砕による炭酸カルシウムスラリーの経時安定性が十分でない場合がある。また、70mol%を超える場合は、分散剤の溶解性が不十分となるときがある。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体は、重合溶媒中、重合開始剤等の存在下で(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%を含む単量体混合物を重合し、必要に応じて得られた重合体のカルボキシル基を中和することによって得ることができる。単量体として(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムを用いた場合、得られた(メタ)アクリル酸系重合体のカリウム塩及びマグネシウム塩の割合が本願規定の範囲にあるときは、得られた重合体をさらに中和しなくても良い。
また、本発明の(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基は、上記カリウム塩及びマグネシウム塩以外のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等の形態を含んでも良い。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体の中和率は、55〜100mol%であり、60〜98mol%が好ましく、60〜95mol%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸系重合体の重合反応中及び最終製品における中和率、並びにその溶液のpHを調整するために、アルカリ剤(中和剤)が用いられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸系重合体の重合方法は特に制限されないが、溶液重合法が好ましい。溶液重合によれば、均一な溶液として分散剤を得ることができる。
溶液重合の際の重合溶媒には、水、又は水及び有機溶剤の混合液を使用することができる。水及び有機溶剤の混合液を使用する際の好ましい有機溶剤としては、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられ、特に好ましくはイソプロピルアルコールである。
重合溶媒として水及びイソプロピルアルコールの混合液(以下、「イソプロピルアルコール水溶液」ともいう)を用いた場合、イソプロピルアルコールは、連鎖移動剤としても作用する。従って、イソプロピルアルコール水溶液は、反応溶媒及び連鎖移動剤として用いられる。
イソプロピルアルコール水溶液のイソプロピルアルコール濃度は、好ましくは30質量%〜60質量%であり、より好ましくは35〜50質量%である。
イソプロピルアルコールの濃度が30質量%以上であれば、イソプロピルアルコールが有する連鎖移動剤としての連鎖移動効果が有効に作用する。また、60質量%以下であれば重合中の反応液が均一に保たれるため、分子量分布の狭い重合体を得やすい。
また、重合時におけるイソプロピルアルコールの使用量は、単量体100質量部に対して、好ましくは30〜95質量部であり、より好ましくは40〜85質量部である。イソプロピルアルコールの使用量が30質量部以上であると、イソプロピルアルコールの連鎖移動効果が有効に作用する。また、95質量部以下であると、後述する溶剤留去に要する時間を短くすることができるため、着色の少ない重合体溶液が得られる。
重合時にイソプロピルアルコール水溶液を用いた場合は、重合終了後に反応系を減圧及び/又は反応系を加熱することにより、イソプロピルアルコールを系外へ留出させ、反応液からイソプロピルアルコールを留去することが好ましい。
留去されるイソプロピルアルコールは、通常、水との共沸混合物である。従って、イソプロピルアルコールは、水溶液として反応液から留去され、イソプロピルアルコール及び水を低減させた濃縮組成物となる。
イソプロピルアルコールの留去の方法は、特に限定されない。例えば、反応系を減圧に供し、その内温をイソプロピルアルコールの共沸温度以上に保つことで水とイソプロピルアルコールとを系外へ留出させることができる。また、減圧にした薄膜蒸発機へ反応液を通液することにより、水とイソプロピルアルコールとを系外へ留出させてもよい。
イソプロピルアルコールを留去した場合、得られる濃縮組成物に含まれるイソプロピルアルコールの含有量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは5000質量ppm以下であり、更に好ましくは2000質量ppm以下、特に好ましくは1000質量ppm以下である。
また、前記重合の際には公知の重合開始剤を使用出来るが、特にラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、過酸化水素等の水溶性過酸化物、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド等の油溶性の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物等が挙げられる。
前記過酸化物系のラジカル重合開始剤は1種類のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
前記過酸化物系のラジカル重合開始剤の中でも、重合反応の制御が行い易い点より過硫酸塩類やアゾ化合物が好ましく、特に好ましくは過硫酸塩類である。
前記ラジカル重合開始剤は、例えば水性媒体等に希釈して、前記単量体とは別の供給口から反応器に供給する。
ラジカル重合開始剤の使用割合は特に制限されないが、アクリル酸系重合体を構成する全単量体の合計重量に基づいて、0.1〜15重量%、特に0.5〜10重量%の割合で使用することが好ましい。この割合を0.1重量%以上にすることにより(共)重合率を向上させることができ、15重量%以下とすることにより、得られる重合体の安定性を向上させ、分散剤等に使用した際に性能に優れたものとなる。
又、場合によっては、重合開始剤として水溶性レドックス系重合開始剤を使用して製造してもよい。レドックス系重合開始剤としては、酸化剤(例えば上記した過酸化物)と、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム等の還元剤や、鉄明礬、カリ明礬等の組合せを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸系重合体の製造において、分子量を調整するために、連鎖移動剤を重合系に適宜添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム等の亜リン酸化合物;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸化合物;重亜硫酸ナトリウム、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。
上記した連鎖移動剤は1種類のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
上記した連鎖移動剤の中でも、分子量の制御が行い易い点から亜リン酸化合物、次亜リン酸化合物およびイソプロピルアルコールが好ましい。
上記連鎖移動剤は、前記単量体または重合開始剤と別の供給口から反応器に供給してもよいが、反応器に供給する直前に単量体と混合してもよい。その好ましい使用量は、単量体の量(モル数)に対して0.3〜50モル%であり、さらに好ましくは1.0〜25モル%である。
本発明では、重合溶媒をイソプロピルアルコール水溶液とし、連鎖移動剤に亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物を使用するのが湿式粉砕して得られるスラリーの初期粘度が低い点で好ましい。
亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の使用量は、単量体100質量部に対して、好ましくは1.0〜4.5質量部であり、より好ましくは1.5〜4.0質量部、さらに好ましくは1.7〜3.8質量部である。亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の使用量が1.0質量部以上であれば得られる(メタ)アクリル酸系重合体の分子量の調整が容易になる。また、4.5質量部以下であれば副生する無機塩類が少ないため、炭酸カルシウム分散液の経時安定性が良好となる。
重合時における反応温度としては、60〜95℃が好ましく、65〜90℃がより好ましく、70〜85℃がさらに好ましい。
重合方法は、バッチ重合法及び連続重合法のいずれの方法も採用し得る。バッチ重合法の場合、単量体を含む原料(原料組成物)等を供給する工程の所要時間は、好ましくは2〜12時間であり、より好ましくは3〜8時間である。所要時間が2時間以上であると重合熱の除熱が容易になり、12時間以下であれば生産性が高くなることから好ましい。
また、連続重合法の場合、プロセスは多段CSTR(複数の反応槽を有する連続攪拌槽型反応器)によることが好ましい。この場合、各反応槽の平均滞留時間は60〜240分が好ましく、80〜180分がより好ましい。平均滞留時間が60分以上であると、未反応の単量体を低減することができる。また、240分以下であると、反応槽のサイズを小さくすることができる。
本発明におけるアクリル酸系重合体の重量平均分子量(Mw)は3000〜10000の範囲であることが好ましく、4000〜8000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量が3000以上であると、かき混ぜ分散及び湿式粉砕による分散液の経時安定性が向上する。また、10000以下であると、湿式粉砕による炭酸カルシウムスラリーの粘度が低減される。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリアクリル酸ナトリウム等の標準物質を用いて測定することができる。
本発明の分散剤のpH及び固形分濃度は、特に限定されない。pHとしては、好ましくは5〜10であり、より好ましくは6〜9である。また、固形分濃度としては、好ましくは30〜55%であり、より好ましくは35〜50%である
また、本発明の分散剤は、更に、消泡剤、及び、防腐剤等のその他成分を含有することができる。
前記消泡剤としては、ポリエーテル系、鉱物油系、シリコーン系、及び、アマイド系等が挙げられる。本発明の分散剤が、前記消泡剤を含有する場合、その含有量は、アクリル系重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜1.0質量%である。
前記防腐剤としては、イソチアゾリン系、及び、パラベン等が挙げられる。本発明の分散剤が、上記防腐剤を含有する場合、その含有量は、アクリル系重合体100質量部に対して、好ましくは0.001〜1.0質量%である。
本発明の分散剤は、(メタ)アクリル系重合体及び必要に応じて配合される前記その他成分が水系媒体に含まれる溶液又は分散液であってもよい。
また、本発明の分散剤が、前記その他成分を含有する場合、その他成分を添加して混合する。尚、前記混合は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
本発明の分散剤を用いて炭酸カルシウムスラリーを得る場合、分散剤の配合量としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム100質量部に対して、(メタ)アクリル系重合体が0.1〜10.0質量部、及び水系媒体が20〜100質量部となるように配合することが好ましい。
分散剤は、一括で添加してもよいし、2回以上に分割して添加してもよい。また、連続的に添加してもよい。これらの内でも、粘度の低い炭酸カルシウムスラリーが得やすい点から、分割して添加する方法又は連続的に添加する方法が好ましい。
炭酸カルシウムスラリーを得る際には、本発明の分散剤を1種又は2種以上使用することができる。また、分散剤を分割して添加する場合には、本発明の分散剤以外の分散剤を併用してもよい。
そして、前記の通り配合した、炭酸カルシウム及び(メタ)アクリル系重合体を含む分散剤の混合物を公知の方法により、湿式粉砕またはかき混ぜ分散することによって、炭酸カルシウムスラリーを得ることができる。
本発明の分散剤は、炭酸カルシウムの分散性に優れ、炭酸カルシウムを湿式粉砕またはかき混ぜ分散して炭酸カルシウムスラリーを得る場合の炭酸カルシウム用分散剤として好適に用いられる。本発明の分散剤を用いて得られる炭酸カルシウムスラリーは、初期粘度が低く、経時による粘度の顕著な上昇が抑制され、長期分散安定性に優れたスラリーとすることができる。
また、本発明の分散剤が、前記その他成分を含有する場合、(メタ)アクリル系重合体と必要に応じて添加されるその他成分を混合することができる。また、本発明の分散剤が、(メタ)アクリル系重合体を含有する水系媒体による水溶液あるいは分散液である場合、この水溶液及び分散液に、その他成分を必要に応じて添加して混合する。尚、上記混合は、特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の記載において「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。
また、各例において得られた重合体等の固形分濃度は、以下に記載の方法により測定した。
<固形分>
測定サンプル約1gを秤量(a)し、次いで、通風乾燥機155℃、30分間乾燥後の残分を測定(b)し、以下の式より算出した。測定には秤量ビンを使用した。その他の操作については、JIS K 0067−1992(化学製品の減量及び残分試験方法)に準拠した。
固形分(%)=(b/a)×100
<分子量測定(GPC)>
重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定した。
GPCの装置として、HLC8020システム(東ソー株式会社製)を使い、カラムは、G4000PWxl、G3000PWxl及びG2500PWxl(カラムはいずれも東ソー株式会社製)を連結して使用した。また、溶離液は、0.1MNaCl+リン酸バッファー(pH7)とし、検量線はポリアクリル酸Na(創和科学株式会社製)を使用して作成した。
<粘度>
B型粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で測定した。
<炭酸カルシウムスラリーの粒子径>
炭酸カルシウムスラリーの2μmアンダー積算値は、粒度分布測定装置セディグラフ5120(マイクロメリティック社製)を用いて測定した。
実施例1
<分散剤E1の製造>
攪拌機、コンデンサを備えたフラスコへ、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という)濃度44%の水溶液300gを仕込み75℃に保持した。このフラスコへ、アクリル酸(以下、「AA」という)500g、次亜リン酸ナトリウム18g及びIPA濃度44%の水溶液250gを混合した液、並びに、15%過硫酸ナトリウム水溶液33gを4時間かけて供給し、重合反応を行った。供給終了後、反応液をさらに75℃で1時間保持して反応させた。次いで、得られた反応液について、IPA濃度が1000質量ppm以下になるまで、脱イオン水を投入しながらIPAを減圧留去した。続いて、IPAを減圧留去した反応液を75℃に保持し、水酸化マグネシウム100g(使用したAAの49mol%に相当)、48%水酸化カリウム水溶液370g(使用したAAの46mol%に相当)及び脱イオン水を供給した。これにより、(メタ)アクリル系重合体E1を含む、固形分濃度が40%及びpHが7.0である分散剤E1を得た。
また、(メタ)アクリル系重合体E1のMwは4900、Mw/Mnは2.1であった。
<炭酸カルシウムの湿式粉砕試験>
分散剤E1を7g、イオン交換水320g及び重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社社製、商品名「No.A重炭」)900gを円筒型容器へ投入し、軽く撹拌して均一になじませた。次いで、メディア(1mmφセラミックビーズ)3000gを上記円筒型容器に投入し、1000rpmで50分間攪拌することにより湿式粉砕を行った。その後、200目濾布を通してスラリーを回収し、イオン交換水を添加して固形分を75%に調整し、重質炭酸カルシウムのスラリーを得た。そして、このスラリーの湿式粉砕した直後の粘度、及び25℃で7日間静置後の粘度を上記のとおり測定したところ、湿式粉砕直後の粘度は190mPa・sであり、7日後の粘度は1700mPa・sであった。
また、湿式粉砕直後のスラリーの2μmアンダー値は99%であった。これらの結果を表1に示す。
<炭酸カルシウムのかき混ぜ分散試験>
分散剤E1を6.3g、イオン交換水330g及び重質炭酸カルシウム(No.A重炭)1000gを攪拌機を備えた円筒形容器へ投入し、4000rpmで10分攪拌することで分散した。このスラリーの分散直後の粘度、及び、25℃で7日静置後の粘度を測定したところ、かき混ぜ分散直後の粘度は150mPa・s、7日後の粘度は1000mPa・sであった。
実施例2〜15、比較例1〜4
重合反応及びその後の中和に用いた各原料を表1〜表3の通りとした以外は、実施例1と同様の操作により(メタ)アクリル系重合体E2〜E15及びC1〜C4を含む分散剤E2〜E15及びC1〜C4を得た。
その後、分散剤E1の代わりに分散剤E2〜E15及びC1〜C4を用いた以外は実施例1と同様の操作により、炭酸カルシウムの湿式粉砕試験及び炭酸カルシウムのかき混ぜ分散試験を行った。結果を表1〜表3に示す。
Figure 2014189020
Figure 2014189020
Figure 2014189020
表1〜3において、特記事項欄に付した(a)〜(c)の記号は、以下の状態を意味するものである。
(a):重合体水溶液が褐色に着色した。
(b):重合体水溶液に濁りが発生した。
(c):重合体水溶液が分離した。このため、湿式粉砕試験及びかき混ぜ分散試験を実施しなかった。
実施例1〜15において示された(メタ)アクリル酸系重合体E1〜E15は、いずれも当該(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基が、本願において規定する範囲のカリウム塩及びマグネシウム塩となっているものである。これらの(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を分散剤とした場合、湿式粉砕、かき混ぜ分散のいずれにおいても粘度の低いスラリーが得られ、経時による大幅な粘度上昇も見られなかった。
尚、実施例7ではIPAの使用量が比較的多く、重合後にこれを留去する際に他の実験例よりも長時間を要した。このため、得られた重合体水溶液は褐色に着色していた。また、マグネシウム塩の割合が比較的高い実施例11、及びカリウム塩の割合が比較的低い実施例12は、重合体水溶液に濁りが認められるものであった。
これに対し、比較例1は、マグネシウム塩の割合が低い(メタ)アクリル酸系重合体を分散剤として用いた例であるが、特に湿式粉砕においてスラリー粘度の安定性が悪い結果となった。また、マグネシウム塩の割合が高い(メタ)アクリル酸系重合体を分散剤として用いた比較例2では、重合体水溶液が分離したために湿式粉砕試験及びかき混ぜ分散試験が実施できなかった。
一方、(メタ)アクリル酸系重合体のカリウム塩の割合が本願にて規定する範囲外である比較例3及び4は、特にかき混ぜ分散試験におけるスラリー粘度が高い結果となった。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤によれば、湿式粉砕やかき混ぜ分散といった分散方法を問わず、低粘度かつ分散安定性の良好なスラリーを製造することが可能である。
本発明は以下の通りである。
1.(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる(メタ)アクリル酸系重合体であって、
前記(メタ)アクリル酸系重合体は、前記単量体100質量部に対して、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物を1.0〜4.5質量部使用して得られるものであり、
前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩である(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤。
2.前記(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量が3000〜10000であることを特徴とする前記1に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
3.前記(メタ)アクリル酸系重合体が、イソプロピルアルコール水溶液を溶媒として用いて、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の存在下で(メタ)アクリル酸を含む単量体を重合することにより得られるものであ前記1又は2に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
4.(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤の製造方法であって、
イソプロピルアルコール水溶液を溶媒として用いて、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の存在下で、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる単量体を重合させる重合工程を有し、
前記重合工程では、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物を前記単量体100質量部に対して、1.0〜4.5質量部使用し、
必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩であるように中和を行うことを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤の製造方法。
5.炭酸カルシウム100質量部に対して、前記1〜3のいずれかに記載の炭酸カルシウム用分散剤に含まれる(メタ)アクリル酸系重合体0.1〜10.0質量部、及び水系媒体20〜100質量部を含む炭酸カルシウムスラリー。
6.湿式粉砕またはかき混ぜ分散することにより、前記5に記載の炭酸カルシウムスラリーを製造する方法。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる(メタ)アクリル酸系重合体であって、前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩である(メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤。
  2. 前記(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量が3000〜10000であることを特徴とする請求項1に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
  3. 前記(メタ)アクリル酸系重合体が、イソプロピルアルコール水溶液を溶媒として用いて、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の存在下で(メタ)アクリル酸を含む単量体を重合することにより得られるものであり、
    前記亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の使用量は、前記単量体100質量部に対して、1.0〜4.5質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
  4. (メタ)アクリル酸系重合体を含む炭酸カルシウム用分散剤の製造方法であって、
    イソプロピルアルコール水溶液を溶媒として用いて、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物の存在下で、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カリウム及び(メタ)アクリル酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上の単量体80〜100質量%、並びにその他の単量体0〜20質量%からなる単量体を重合させる重合工程を有し、
    前記重合工程では、亜リン酸化合物及び/又は次亜リン酸化合物を前記単量体100質量部に対して、1.0〜4.5質量部使用し、
    必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の20〜65mol%がカリウム塩であり、35〜70mol%がマグネシウム塩であるように中和を行うことを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤の製造方法。
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