JP6621250B2 - ポリカルボン酸系重合体水溶液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカルボン酸系重合体水溶液及びその製造方法に関する。
ポリカルボン酸系重合体は、カルボキシル基又はその塩を分子内に有する重合体であり、無機粒子等に対する分散性能を有するため、例えば、顔料等の無機粒子の分散剤の他、水処理剤、洗剤ビルダー等の各種用途に広く使用されている。そして近年では、このようなポリカルボン酸系重合体の物性改善等のため、種々の検討が行われている(例えば、特許文献1〜5等参照)。
特表平5−504586号公報 国際公開第2012/086716号パンフレット 国際公開第2011/126059号パンフレット 国際公開第2011/158945号パンフレット 国際公開第2014/021345号パンフレット
上述のとおり、ポリカルボン酸系重合体の物性改善の技術が種々提案されているが、近年では、塗工技術等の高度化・精密化等に伴い、従来よりも厳しい分散性能、特に経時変化の少ない分散性能を有することが求められている。だが、従来の技術では、このような要望に充分に対応できていないのが現状である。例えば、特許文献1には、アクリル酸を水酸化カルシウムで部分的に中和して重合し、その後に1価塩基によって更に中和することで、アクリル酸系重合体を製造する手法が開示されているが、この手法で得られる重合体は分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が大きく、経時的に安定して分散性を発揮することができないため、これらの点で課題があった。また、特許文献2〜5には、アクリル酸等の単量体成分を重合した後に、アルカリ金属化合物等で中和する手法が記載されている。この手法では分散性能に極めて優れた重合体を得ることができるが、重合体の分子量分布をより狭くすることができ、かつより一層安定して分散性を発揮できるようにするための工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、経時的に安定して高分散性を発揮することができるポリカルボン酸系重合体水溶液及びこれを簡便かつ容易に製造する方法を提供することを目的とする。本発明はまた、このような重合体水溶液を含む分散剤及び無機粒子分散体を提供することも目的とする。
本発明者らは、ポリカルボン酸系重合体について検討するうち、エチレン性不飽和カルボン酸の周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物に由来する構成単位を有し、かつ周期表第2族元素の水酸化物による中和率及び分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が所定範囲にある重合体を含む水溶液が、これまでにない新規な物質であって、初期分散性と経時的な分散性との両方に極めて優れるものとなることを見いだした。この重合体は、特許文献1〜5等の従来の手法で得られる重合体とは構造や分子量分布等の点で相違しており、格段に安定して高分散性を発揮することができるものである。
本発明者らはまた、上記重合体を含む水溶液は、エチレン性不飽和カルボン酸を周期表第2族元素の水酸化物で所定の中和率になるよう中和する中和工程と、該中和工程で得られる周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物を含む単量体成分を重合する重合工程とを含む製造方法によって簡便かつ容易に得られることも見いだした。従来は、製造効率や安全性等の観点から、重合後に中和工程を行うことが一般的であったが、本発明者らはこのような従来の技術常識に反して重合前に中和工程を行うこと、すなわち周期表第2族元素の水酸化物により部分的に中和されたエチレン性不飽和カルボン酸を重合工程に供することで、初期分散性と経時的な分散性との両方に極めて優れる重合体水溶液を得ることに成功した。このような効果は、周期表第2族元素の水酸化物を用いる場合に特有の効果である。例えば、アルカリ金属化合物を用いて中和工程を行う場合、この中和工程を重合前に行うか、重合中に行うか又は重合後に行うかのいずれでも、得られる重合体が発揮する分散性の経時安定性にはあまり差がない。だが、周期表第2族元素の水酸化物を用いて中和工程を行う場合、その中和工程の段階により、得られる重合体が発揮する分散性の経時安定性に差が生じる。このようにして本発明者らは上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリカルボン酸系重合体を含む水溶液であって、該ポリカルボン酸系重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸の周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物に由来する構成単位を有し、該部分中和物は、周期表第2族元素の水酸化物による中和率が20〜70モル%であり、該重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.4以下であるポリカルボン酸系重合体水溶液である。
本発明はまた、上記ポリカルボン酸系重合体水溶液の製造方法であって、該製造方法は、エチレン性不飽和カルボン酸を部分的に周期表第2族元素の水酸化物で中和する中和工程と、該中和工程で得られる周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物を含む単量体成分を重合する重合工程とを含み、該周期表第2族元素の水酸化物によるエチレン性不飽和カルボン酸の中和率は、20〜70モル%であるポリカルボン酸系重合体水溶液の製造方法でもある。
本発明は更に、上記ポリカルボン酸系重合体水溶液を含む分散剤でもある。
本発明はそして、上記ポリカルボン酸系重合体水溶液と無機粒子とを含む無機粒子分散体でもある。
以下に本発明を詳述する。以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も本発明の好ましい形態である。
〔ポリカルボン酸系重合体水溶液〕
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液(単に「重合体水溶液」とも称す)は、ポリカルボン酸系重合体を1種又は2種以上含む。必要に応じて、ポリカルボン酸系重合体以外の成分(「他の成分」とも称す)を1種又は2種以上含んでいてもよい。重合体水溶液中のポリカルボン酸系重合体の割合は特に限定されないが、例えば、重合体水溶液100質量%に対し、80質量%以上であることが好ましい。より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。また、上限は100質量%でもよいが、100質量%未満でもよく、99質量%以下であることが好ましい。
<ポリカルボン酸系重合体>
ポリカルボン酸系重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸の周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物に由来する構成単位を有する。
ここで、当該部分中和物に由来する構成単位とは、エチレン性不飽和カルボン酸が有する炭素炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)となった構造を意味する。なお、この構成単位を構成するエチレン性不飽和カルボン酸や、周期表第2族元素の水酸化物等の中和剤成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記部分中和物に由来する構成単位の含有割合は、全単量体に由来する構成単位(上記部分中和物に由来する構成単位と、後述する他の単量体に由来する構成単位との合計)100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。これにより、分散性がより高められる。より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
上記部分中和物は、エチレン性不飽和カルボン酸が有するカルボキシル基(COOH)が部分的に周期表第2族元素の水酸化物によって中和された化合物である。この周期表第2族元素の水酸化物による中和率は、エチレン性不飽和カルボン酸の総量100モル%に対する、周期表第2族元素の水酸化物との塩を形成しているエチレン性不飽和カルボン酸の量(モル%)を意味し、20〜70モル%である。この範囲内にあることで、本発明の重合体水溶液による分散性能が経時的に安定して発揮される。また、70モル%を超えると、白濁してしまうため、工業プロセスには適さない。より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、また、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
上記部分中和物は、周期表第2族元素の水酸化物のみにより中和されたものであることが好ましい。だが、周期表第2族元素の水酸化物に加え、他のアルカリ成分によって更に中和されたものであってもよい。この点から、上記部分中和物は、全体として、部分中和物(総中和率が100モル%未満である中和物)であってもよいし、完全中和物(総中和率が100モル%である中和物)であってもよい。総中和率とは、エチレン性不飽和カルボン酸の総量100モル%に対し、塩を形成しているエチレン性不飽和カルボン酸の量(モル%)を意味するが、100モル%未満であることが好ましく、より好ましくは99モル%以下である。総中和率の下限は20モル%以上であるが、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上、最も好ましくは50モル%以上である。
なお、上記部分中和物が周期表第2族元素の水酸化物のみにより中和されたものである場合、すなわち他のアルカリ成分による中和率が0モル%である場合は、経時的に安定して高分散性を発揮できるという本発明の作用効果が最も発揮されることになる。
−エチレン性不飽和カルボン酸−
エチレン性不飽和カルボン酸は、エチレン性不飽和二重結合(C=C)とカルボキシル基(COOH)とをそれぞれ1又は2以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。中でも、1分子中に1つのカルボキシル基を含むモノカルボン酸;1分子中に2つのカルボキシル基を含むジカルボン酸;が好適である。この場合、本発明の重合体水溶液は、より高い分散性能を発揮できる。
上記モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、αーヒドロキシアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸及びその誘導体等が挙げられる。なお、アクリル酸及びメタクリル酸を総称して「(メタ)アクリル酸」という。
上記ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−メチレングルタル酸等の他、これらの無水物等が挙げられる。また、これらジカルボン酸とアルコール類(例えば、炭素数1〜22個のアルコール)とのハーフエステル;ジカルボン酸とアミン類(例えば、炭素数1〜22のアミン)とのハーフアミド;ジカルボン酸とグリコール類(例えば、炭素数2〜4のグリコール)とのハーフエステル;マレアミド酸とグリコール類(例えば、炭素数2〜4のグリコール)とのハーフアミド;等であってもよい。
上述したエチレン性不飽和カルボン酸の中でも、重合性や分散性向上等の観点から、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸が好適である。また、モノカルボン酸が好ましい。より好ましくは(メタ)アクリル酸であり、更に好ましくはアクリル酸である。
−周期表第2族元素の水酸化物−
周期表第2族元素の水酸化物としては特に限定されず、例えば、水酸化ベリリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。中でも、入手容易性や反応性等の観点から、水酸化カルシウム、水酸化バリウムが好ましく、より好ましくは水酸化カルシウムである。
上記周期表第2族元素の水酸化物は、粒子であることが好ましい。中でも、平均粒径が50μm以下であることが好ましい。ここでの平均粒径は平均一次粒子径を意味するが、これが50μm以下であることで、中和反応時に凝集物(いわゆる“ダマ”)が生じるおそれがより低減されるとともに、中和反応がより迅速に行われるため、生産性がより向上する。このように上記周期表第2族元素の水酸化物は、平均粒径が50μm以下であることが好適である。より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
本明細書中、周期表第2族元素の水酸化物の平均粒径(平均一次粒子径)は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記周期表第2族元素の水酸化物はまた、塩酸不溶分濃度が0.5質量%以下であることが好ましい。これにより、中和反応時に凝集物(いわゆる“ダマ”)が生じるおそれがより低減されるとともに、中和反応がより迅速に行われるため、生産性がより向上する。このように上記周期表第2族元素の水酸化物は、塩酸不溶分濃度が0.5質量%以下であることが好適である。より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。
本明細書中、塩酸不溶分濃度は、後述する実施例に記載の方法にて求めることができる。
−他のアルカリ成分−
周期表第2族元素の水酸化物以外のアルカリ成分(他のアルカリ成分とも称す)としては特に限定されないが、例えば、アルカリ金属化合物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩が好ましく、塩として、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、アルミン酸塩、有機アミン塩等が挙げられる。有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン基;等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
なお、他のアルカリ成分は、1種又は2種以上を使用することができる。
上記ポリカルボン酸系重合体はまた、上述した部分中和物に由来する構成単位の他、他の単量体に由来する構成単位(「他の単量体単位」とも称す)を1種又は2種以上有していてもよい。この場合、各構成単位の存在形態(配置形態)は、ブロック状であってもよいし、ランダム状であってもよいし、規則的であってもよい。
ここで、当該他の単量体単位とは、他の単量体が有する炭素炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)となった構造を意味する。
上記他の単量体としては特に限定されないが、例えば、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びその塩等のスルホン酸系単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン及びこれらの4級化物や塩等のアミノ基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコール系単量体;これら不飽和アルコール系単量体にアルキレンオキシドを付加した構造を有するポリアルキレングリコール系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール系単量体;イソブチレン、オクテン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;が挙げられる。なお、塩としては特に限定されず、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸系重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.4以下である。この範囲内にあることで、初期分散性と経時的な分散性との両方に極めて優れたものとなる。好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.98以下、特に好ましくは1.96以下、一層好ましくは1.94以下、最も好ましくは1.92以下である。また、下限は特に限定されないが、1以上が好ましい。
本明細書中、重量平均分子量及び数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記ポリカルボン酸系重合体の重量平均分子量は、3000〜10000であることが好ましい。これにより、経時的に安定して高分散性を発揮するという本発明の作用効果をより一層発揮することができる。重量平均分子量の上限は、より好ましくは9000以下、更に好ましくは8000以下、特に好ましくは7000以下、一層好ましくは6500以下、最も好ましくは6000以下であり、下限は、より好ましくは3500以上、更に好ましくは4000以上、特に好ましくは4500以上、最も好ましくは5000以上である。
<他の成分>
本発明の重合体水溶液は、更に、リン化合物を含むことが好ましい。これにより、経時的に安定して高分散性を発揮するという本発明の作用効果をより一層発揮することができる。中でも、リン化合物の含有量は、重合体水溶液の総量100質量%に対し、0.1〜10質量%であることが好ましい。すなわち上記ポリカルボン酸系重合体水溶液は、該重合体水溶液100質量%に対し、リン化合物を0.1〜10質量%含むことが好適である。リン化合物の含有量の上限は、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下であり、下限は、より好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上である。
本明細書中、リン化合物の含有量は、後述する実施例に記載の方法のように、仕込み量から求めることができる。その他、以下の陰イオン濃度分析法により求めることもできる。
<陰イオン濃度分析(イオンクロマト分析)>
陰イオン濃度分析は、下記条件にてイオンクロマト分析を行い、次亜リン酸イオン及び亜リン酸イオン量を測定し、それぞれ、溶液中の溶存次亜リン酸Na塩及び亜リン酸Na塩に換算することが可能である。
装置 :Metrohm社製(762 Interface)
検出器 :Metrohm社製(732 IC Detecter)
イオン分析方式:サプレッサー法
カラム :Shodex IC SI−90 4E
ガードカラム :Shodex SI−90 G
カラム温度 :40℃
溶離液 :NaHCO水(2gを水で2000gに希釈)
流速 :1.0mL/min
上記リン化合物は、リン原子を含有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩(これを「次亜リン酸(塩)」とも称す)、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩(これを「亜リン酸(塩)」とも称す)等が挙げられる。中でも、次亜リン酸(塩)が好適である。
なお、次亜リン酸(塩)には、次亜リン酸塩の水和物も含むものとする。
上記リン化合物はまた、重合に使用される連鎖移動剤として好適な次亜リン酸(塩)に由来するものであることが好ましい。後述するように、本発明の重合体水溶液が次亜リン酸(塩)の存在下で単量体成分を重合して得られるものであると、重合体の分子量分布がより狭くなる他、分散性能がより経時的に安定して発揮されるため、好適である。
上記次亜リン酸(塩)及び亜リン酸(塩)のうち、次亜リン酸塩及び亜リン酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好適である。金属塩を与える金属原子としては特に限定されないが、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1価金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2価金属;アルミニウム等の3価金属;鉄等のその他の金属;等が挙げられる。有機アミン塩を与える有機アミンとしては特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;メチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン;等が挙げられる。これらの中でも、アンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましく、より好ましくは、ナトリウム塩である。
〔製造方法〕
本発明の重合体水溶液は、上述した部分中和物を含む単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。具体的には、エチレン性不飽和カルボン酸を部分的に周期表第2族元素の水酸化物で中和する中和工程と、該中和工程で得られる周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物を含む単量体成分を重合する重合工程とを含む製造方法によって得ることが好ましい。この製造方法を用いれば、本発明の重合体水溶液を簡便かつ容易に製造することができる。このような製造方法は、本発明の1つである。なお、通常の重合体製造時に行われる他の工程を1又は2以上含んでもよい。
以下、各工程について更に説明する。
<中和工程>
中和工程は、エチレン性不飽和カルボン酸を部分的に周期表第2族元素の水酸化物で中和する工程である。この際、周期表第2族元素の水酸化物による中和率を20〜70モル%に設定する。この中和率になるよう中和したエチレン性不飽和カルボン酸を後の重合工程に供することで、初期分散性と経時的な分散性との両方に極めて優れる重合体水溶液を与えることが可能になる。上記中和率は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは30モル%以上であり、更に好ましくは35モル%以上であり、また、好ましくは65モル%以下、更に好ましくは60モル%以下であり、特に好ましくは55モル%以下である。
上記中和工程における中和方法は特に限定されないが、例えば、水に周期表第2族元素の水酸化物を分散した後、エチレン性不飽和カルボン酸を、周期表第2族元素の水酸化物による中和率が20〜70モル%となる量で添加することにより行うことが好ましい。この際、水溶液中に周期表第2族元素の水酸化物が完全に溶解して透明になるまで撹拌することが好ましく、また、中和工程は、温度30℃以上に維持して行うことが好適である。
周期表第2族元素の水酸化物及びエチレン性不飽和カルボン酸は上述したとおりである。
<重合工程>
重合工程は、上記中和工程で得られる周期表第2族元素の水酸化物による部分中和物を含む単量体成分を重合する重合工程である。この単量体成分は、当該部分中和物を1種又は2種以上含むものであればよいが、必要に応じ、更に他の単量体を1種又は2種以上含んでもよい。当該部分中和物及び他の単量体については上述したとおりである。
上記部分中和物の含有量は、全単量体成分の総量(上記部分中和物と他の単量体との合計量)100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
上記重合工程における重合方法は特に限定されず、例えば、溶液重合法、バルク重合、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、或いは注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等の通常の手法で行うことができる。中でも、溶液重合が好ましい。また、重合工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記重合工程は、1種又は2種以上の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化水素;過硫酸、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸(塩);ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;等が好適である。中でも、過硫酸(塩)、すなわち過硫酸及び/又は過硫酸塩を用いることがより好ましい。
なお、塩としては特に限定されず、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が例示される。
上記重合開始剤の使用量は特に限定されないが、例えば、全単量体成分の総量(上記部分中和物と他の単量体との合計量)1モルに対し、0.1〜20gとすることが好ましい。より好ましくは0.2〜18gであり、更に好ましくは0.3〜10gである。
上記重合工程はまた、1種又は2種以上の連鎖移動剤の存在下で行うことも好適である。連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸(塩)(これらの水和物を含む);亜リン酸、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸(塩);亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸(塩);亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の重亜硫酸(塩);亜ジチオン酸ナトリウム等の亜ジチオン酸(塩);ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸(塩);等が挙げられる。中でも、次亜リン酸(塩)、すなわち次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩を用いることがより好ましい。
なお、塩としては特に限定されず、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が例示される。
上記連鎖移動剤の使用量は特に限定されないが、例えば、全単量体成分の総量(上記部分中和物と他の単量体との合計量)1モルに対し、0.1〜20gとすることが好ましい。より好ましくは0.2〜15gであり、更に好ましくは0.3〜10gである。
本発明では特に、得られるポリカルボン酸系重合体水溶液の着色や臭気をより抑制できる観点から、過硫酸(塩)と次亜リン酸(塩)とを併用することが好ましい。これにより、重合体の分子量分布が狭いながらも、着色や臭気発生のおそれが充分に抑制され、種々の用途により一層有用なポリカルボン酸系重合体水溶液を容易に与えることが可能になる。このように上記重合工程は、過硫酸(塩)及び次亜リン酸(塩)の存在下で行われることが好適である。
上記重合工程では、溶媒を1種又は2種以上使用することが好ましい。
上記溶媒としては、水;有機溶剤;水と有機溶剤との混合溶媒;が挙げられる。有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;等が挙げられる。中でも、水を含むこと、すなわち、水、又は、水と有機溶剤との混合溶媒が好適である。より好ましくは、溶媒の総量100質量%に対して水を50質量%以上含むことであり、更に好ましくは80質量%以上含むこと、特に好ましくは90質量%以上含むことである。最も好ましい溶媒は水である。
上記溶媒の使用量は、例えば、全単量体成分の総量(上記部分中和物と他の単量体との合計量)100質量部に対し、40〜200質量部とすることが好ましい。この範囲に設定することにより、得られるポリカルボン酸系重合体の分子量が高くなり過ぎることが抑制されるうえ、得られる重合体水溶液中の固形分濃度(ポリカルボン酸系重合体の濃度)がより適切なものとなり、保管等のコストを低く抑えることが可能になる。より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは100質量部以上であり、また、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。
上記重合工程での重合温度は特に限定されないが、例えば、0℃以上で行われることが好ましい。より好ましくは40〜150℃、更に好ましくは60〜120℃、特に好ましくは80〜120℃である。なお、重合温度は、重合反応において常にほぼ一定に保持しなくてもよい。例えば、室温から重合を開始して適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温した後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
上記重合工程での重合時間は特に制限されないが、例えば、30〜420分とすることが好ましい。より好ましくは45〜390分、更に好ましくは60〜360分、特に好ましくは90〜300分である。なお、本明細書中、「重合時間」とは、特に断らない限り、単量体成分を添加している時間を表す。
上記重合工程での反応系内の圧力は特に限定されず、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点で、常圧下で行うか、又は、反応系内を密閉して加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点で、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気は、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気であってもよく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換してもよい。
<他の工程>
上記製造方法はまた、その他の工程等を1又は2以上含んでもよい。例えば、熟成工程、重合後の中和工程、重合開始剤や連鎖移動剤の失活工程、希釈工程、乾燥工程、濃縮工程、精製工程等が挙げられる。
例えば、重合後の中和工程は、上記重合工程後に、温度を10〜130℃に維持して中和工程を行うことが好適である。より好ましくは20〜110℃である。重合後の中和工程では、他のアルカリ成分を用いて中和してもよい。また、周期表第2族元素の水酸化物を用いて中和してもよいが、上記中和工程(重合前の中和工程)において充分な中和反応を行うことで、周期表第2族元素の水酸化物によるエチレン性不飽和カルボン酸の中和率を20〜70モル%としておくことが必要である。
なお、重合中に周期表第2族元素の水酸化物を用いて中和すると、不溶分が発生し、重合を継続することができないことがあるため、重合中には周期表第2族元素の水酸化物を用いた中和反応を行わないことが好適である。
〔好ましい用途等〕
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液は、上述したように経時的に安定して高分散性を発揮することができるため、分散剤用途に用いることが特に有用である。このように上記ポリカルボン酸系重合体水溶液を含む分散剤もまた、本発明の1つである。また、本発明の分散剤を用いれば、低粘度で粘性の経時安定性を有し、かつ高濃度の無機粒子分散体を得ることが可能となる。このような上記ポリカルボン酸系重合体水溶液と無機粒子とを含む無機粒子分散体は、本発明の1つである。
なお、本発明の分散剤は、無機物質を粉砕して無機微粒子を製造する際の粉砕助剤として使用することもできる。
<分散剤>
本発明の分散剤は、上述した本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液を含むが、必要に応じ、他の配合剤として、縮合リン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、ポリビニルアルコール等を含んでいてもよい。各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記ポリカルボン酸系重合体水溶液は、特に無機粒子の分散性に優れるため、当該分散剤は無機粒子の分散剤であることが好ましい。中でも、無機顔料の分散剤であることが特に好ましい。このように上記分散剤は、無機顔料の分散剤であることが好適である。
<無機粒子分散体>
本発明の無機粒子分散体(「無機粒子スラリー」とも称す)は、上述したポリカルボン酸系重合体、水及び無機粒子を含むが、必要に応じて、上述した他の配合剤等を含んでもよい。各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記無機粒子としては特に限定されないが、例えば、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
上記無機粒子分散体中の無機粒子の平均粒径(平均一次粒子径)は、特に限定されないが、例えば、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下、特に好ましくは1.5μm以下である。また、無機粒子の総量100質量%に対し、所望の粒径が80体積%以上であることが好ましく、より好ましくは85体積%以上であり、更に好ましくは90体積%以上であり、特に好ましくは95体積%以上である。
無機粒子の平均粒径(平均一次粒子径)は、例えば、レーザー粒度分布計又はX線検出器を有する粒度分布計にて計測された粒径である。
上記無機粒子分散体において、本発明の重合体水溶液の含有量は、固形分量(すなわち水等の揮発成分を除く量)で、無機粒子100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。これにより、より充分な分散効果を得ることが可能になる他、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利になり得る。より好ましくは0.1〜4質量部であり、更に好ましくは0.2〜3質量部であり、特に好ましくは0.3〜2質量部である。
上記無機粒子分散体はまた、無機粒子分散体の総量100質量%に対し、固形分濃度が60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。また、無機粒子分散体の粘度は特に限定されず、固形分濃度によっても異なるが、例えば、固形分濃度を75質量%に調整したときに、25℃1時間保存後の粘度(初期粘度)が1000mPa・s以下となるものであることが好ましい、より好ましくは900mPa・s以下である。
本明細書中、分散体(スラリー)の粘度及び固形分濃度は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記無機粒子分散体を調製する方法は特に限定されないが、例えば、粉体のまま粉砕する乾式粉砕法や、媒体を併用した湿式粉砕法が挙げられ、より粒子径の細かい微粒子を得るためには湿式粉砕法を採用することが好ましい。湿式粉砕法は、低粘度で、かつ経時の分散安定性に優れた高濃度の無機粒子スラリーを得ることができる点で好適である。無論、湿式粉砕法のみに限定されるものではない。
上記湿式粉砕法では、例えば、無機粒子が重質炭酸カルシウムの場合、天然鉱石を粗粉砕した後、湿式粉砕プロセスによって目標粒径まで一気に粉砕する工程を採用してもよく、また、段階的に所定の粒子径まで小さくしていく粉砕工程を採用してもよい。本発明の分散剤はいずれの粉砕の段階においても使用可能であり、例えば粉砕後の経時的なスラリー粘度の増加を押さえること等を目的として、粉砕後に添加することも可能である。無機粒子が軽質炭酸カルシウムの場合でも、得られた凝集粒子を湿式粉砕プロセスによって目標粒径まで一気に粉砕する工程を採用してもよいし、また、段階的に所定の粒子径まで小さくしていくといった粉砕工程を採用してもよく、本発明の分散剤はいずれの粉砕の段階においても使用可能であり、上記と同様に粉砕後に添加することも可能である。
上記無機粒子分散体の調製方法において、無機粒子の分散(一次分散)方法は特に制限されないが、例えば、ミキサーを用いて混合することが好ましい。ミキサーとしては、例えば、高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、コーレスミキサー、撹拌式ディスパー等の剪断力の高いものを用いることが好適である。湿式粉砕を行う場合、本発明の分散剤を粉砕機に仕込んで粉砕してもよい。このような場合、分散剤は粉砕助剤としての役割も発揮する。
本発明のポリカルボン酸系重合体は、上述した構成よりなり、経時的に安定して高分散性を発揮することができるため、例えば、分散剤、中でも無機顔料の分散剤として特に有用である。また、本発明の製造方法は、このような重合体やこれを含む重合体水溶液を簡便かつ容易に製造することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」とは「質量%」を意味し、「部」とは「質量部」を意味する。
なお、物性等は、以下の測定方法に従って測定した。
1、水酸化カルシウムの物性評価
(1)平均粒径(平均一次粒子径)の測定方法
日立社製のレーザー式粒度分布測定装置LA−950V2にて測定した。
(2)塩酸不溶分濃度の測定方法
「JIS K8001(1998年)5.3不溶分(3)」の方法を参考に分析した。
具体的には、以下の手順で分析を行った。
1)試料74.1gと水200gとを、撹拌装置を有する1Lセパラブルフラスコに測り取り、撹拌翼にてウォーターバスで50℃に加熱する。
2)ここに、撹拌しながら滴下漏斗より35%塩酸250gを加えて加熱して溶かし、水75gを加え冷却する。
3)この溶液を、吸引瓶を用いて、ポアサイズ0.45μmのメンブレンフィルターを通して濾過する。
4)そして、このメンブレンフィルターを適当なサイズのシャーレに高温乾燥機にて105℃で恒量になるまで乾燥して、残渣の質量を求める。
計算式は、以下の通りとなる。
塩酸不溶分濃度=[残渣の質量(g)]÷[試料質量:74.1g]×100(質量%)
2、重合体水溶液及び重合体の物性評価
(1)重合体水溶液の固形分測定方法
試験例1〜5では、130℃に加熱したオーブンで重合体水溶液(重合体1g+水3g)を1.5時間放置して乾燥処理した。試験例6、7では、170℃に加熱したオーブンで重合体水溶液(重合体1g+水3g)を1時間放置して乾燥処理した。それぞれ乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と揮発成分(%)とを算出した。
(2)重量平均分子量及び数平均分子量の測定条件(GPC)
重合体の重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、下記条件で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて行った。
装置:東ソー社製、TOSOH ECOSEC HLC−8320GPC
検出器:HITACHI RI Detector L−2490
カラム:東ソー社製、TSK−GEL G3000PWXL
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min
検量線:創和科学社製、POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
(3)有効成分の測定方法
有効成分値は、重合して得られた各重合体のカルボキシル基濃度として、平沼産業社製の自動滴定装置COM−1500にて測定し、算出した。
具体的にいうと、まず1N水酸化ナトリウム水溶液で重合体中のカルボン酸(カルボキシル基)を完全に中和した後、1N塩酸水溶液にて滴定曲線を作成し、その曲線の第2変曲点と第1変曲点との差(1N塩酸水溶液量)から、以下のように算出した。
有効成分値(%)=9.4×(第2変曲点での1N塩酸量(質量)−第1変曲点での1N塩酸量(質量))×塩酸力価/分析物量(質量)
なお、分析物量とは、分析した重合体水溶液の質量を表す。
(4)リン化合物の含有量
重合体水溶液を得るための総仕込量を100質量%としたときの、リン化合物(試験例1〜7ではホスフィン酸ナトリウム)の固形分総量を「リン化合物の含有量」とした。
具体的にいうと、例えば、試験例1では、45%SHPを合計で90g使用し、総仕込量は2476gであり、また、SHP(ホスフィン酸ナトリウム・1水和物)の分子量は106、SHPのうち結晶水を除いた部分の分子量は88であるから、「1.36%(={90g×0.45×(88/106)}÷2476g×100(%))」となる。
3、スラリーの物性評価
(1)スラリー中の粒子の平均粒径(平均一次粒子径)の測定方法
日立社製のレーザー式粒度分布測定装置LA−950V2にて測定した。
(2)粘度の測定方法
市販の重質炭酸カルシウム粉体(丸尾カルシウム社製)200部(スラリー液全仕込量100%に対し、76.3%)を、500mlのSUS製容器に投入し、ガラス製四つ口セパラブルフラスコの蓋上部の一番広い口に撹拌シールを取り付けたものに3段ピンを装着したSUS製撹拌翼を装着し、残りの口はシリコーンゴム栓で蓋をして、SUS製容器とガラス製蓋上部とを固定用の止め具で3箇所固定する。このSUS製撹拌翼と強力な撹拌モーターとを接続し、粉砕途中で絡まないように容器全体を支柱にしっかりと固定した。
続いて、四つ口セパラブルフラスコのシリコーンゴム栓の一つを開けてロートを差し込み、撹拌モーターを200〜300rpm程度の低速回転の状態で撹拌しながら、ここから、有効成分値10%に調整(水で希釈又は濃縮)した重合体水溶液8.0部及び純水46部を混合したものと、2mmセラミックスビーズ500部とを順に少しずつ投入していった。すべて投入後、80℃のウォーターバスでSUS製容器を保温しながら、一気に1000rpmまで回転数を上昇させ、ビーズの状態を確認後、更に1500rpmまで回転数を上げた。粉砕開始40分後に有効成分値10%の重合体水溶液を4.0部投入し、更に70分後及び90分後に2.0部ずつ投入した。この状態で2μm以下の粒径が90体積%以上に到達するまで粉砕を継続した。最終的には、重質炭酸カルシウム100部に対し0.80部の重合体添加量となった。粉砕後、内容物をセラミックと分離し、回収した。粒径は、上記3(1)の方法にて分析した。
回収したスラリーの粘度を1時間25℃で保管した後、B型粘度計(回転子No.4、60rpm)で5分後の粘度を測定した(スラリー初期粘度)。なお、回収したスラリーは、測定直前まで25℃の環境下で保存した。
このサンプルを24時間又は168時間、25℃で保存した後、B型粘度計(回転子No.4、60rpm)で5分後の粘度を測定した(スラリー経時粘度)。
(3)スラリー固形分濃度の測定方法
空気雰囲気下、150℃に加熱したオーブンでスラリーを0.5時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)を算出した。
調製例1
2Lセパラブルフラスコに、アルドリッチ社製の水酸化カルシウム粉体(SAJ特級、平均粒径:15μm、塩酸不溶分濃度:0.03%以下)及びイオン交換水を表1に示す量だけ仕込み、撹拌しながら、80%アクリル酸水溶液(「80%AA」とも称す)を表に示す量だけ1時間かけて滴下し、10分撹拌した。このようにして調製体(1)を得た。
調製例2〜5
表1に示す処方としたこと以外は調製例1と同様に行い、調製体をそれぞれ得た。
比較調製例
調製例1において、アルドリッチ社製の水酸化カルシウム粉体に代えて、和光純薬社製の水酸化カルシウム粉体(試薬特級、平均粒径:75μm、塩酸不溶分濃度:0.1%以下)、ナカライテスク社製の水酸化カルシウム粉体(特級、平均粒径:75μm)、及び、奥多摩工業社製の水酸化カルシウム粉体(タマエースU(特号)、平均粒径:75μm)をそれぞれ用い、このそれぞれに80%AAを滴下したところ、いずれもダマが発生して、調製体を得ることが困難であった。
Figure 0006621250
試験例1
2.5Lセパラブルフラスコにイオン交換水600gを仕込み、撹拌しながら沸点を維持するよう加熱した。その条件下で、調製例1で得た調製体(1)1006gを180分間、45%ホスフィン酸ナトリウム水溶液(「45%SHP」とも称す)90gを180分間(このうち20gを最初の20分間で供給し、残りの70gをその後の160分間で供給する。つまり2段階の供給速度で供給する)、15%過硫酸ナトリウム水溶液(「15%NaPS」とも称す)48gを185分間で、それぞれ別々の供給経路を通じて滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。
滴下終了後、液温を沸点に維持しながら30分間撹拌した。
その後、70℃以下まで冷却した後、48%水酸化ナトリウム水溶液(「48%NaOH」とも称す)732gを滴下して重合体を中和した。
得られた重合体水溶液(1)中の重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をGPCにより測定した。結果を表3に示す。
試験例2〜7
表2に示す処方としたこと以外は試験例1と同様に行い、重合体水溶液をそれぞれ得た。
Figure 0006621250
試験例1〜7で得られた各重合体水溶液について、上述の方法により、リン化合物の含有量や、重質炭酸カルシウムとのスラリーの粘度及び固形分濃度を測定した。結果を表3に示す。なお、表3には、中和率及び中和段階を併記した。
Figure 0006621250
表3より、以下のことを確認した。
試験例1〜5は、重合に供したアクリル酸の中和率(水酸化カルシウムによる中和率)の点で主に相違する。この相違の下、得られた重合体水溶液を含むスラリーの経時粘度を比較すると、この中和率を10モル%とした重合体水溶液(1)を用いた場合に比べ、20〜70モル%の範囲内とした重合体水溶液(2)〜(5)を用いた場合の方が、粘度上昇が大幅に抑制されていることが分かる(評価例1〜5参照)。また、試験例6は、重合には未中和のアクリル酸を用い、重合後に水酸化ナトリウムにより中和した例であり、試験例7は、重合には未中和のアクリル酸を用い、重合後に水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウムにより中和した例であり、いずれも得られた重合体の総中和率としては試験例(2)〜(5)と同じ98モル%とした例である。得られた重合体水溶液(6)又は(7)を含むスラリーの粘度を、重合体水溶液(2)〜(5)を含むスラリーの粘度と比較すると、重合体水溶液(6)又は(7)を含むスラリーは、初期粘度も高いうえ、経時の粘度上昇が著しいことが分かる(評価例2〜7参照)。したがって、本発明の重合体水溶液の構成とすることで、経時的に安定して高分散性を発揮することが可能になることが確認された。また、本発明の製造方法を採用すれば、このような本発明の重合体水溶液を簡便かつ容易に製造できることも分かった。

Claims (2)

  1. ポリカルボン酸系重合体水溶液の製造方法であって、
    該ポリカルボン酸系重合体水溶液は、ポリカルボン酸系重合体を含む水溶液であり、
    該ポリカルボン酸系重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸の水酸化カルシウム又は水酸化バリウムによる部分中和物に由来する構成単位を有し、
    該部分中和物は、水酸化カルシウム又は水酸化バリウムによる中和率が20〜70モル%であり、
    該重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.0以下であり、
    該重合体の重量平均分子量は、3000〜10000であり、
    該ポリカルボン酸系重合体水溶液は、該重合体水溶液100質量%に対し、次亜リン酸(塩)を0.1〜10質量%含み、
    該製造方法は、エチレン性不飽和カルボン酸を部分的に水酸化カルシウム又は水酸化バリウムで中和する中和工程と、該中和工程で得られる水酸化カルシウム又は水酸化バリウムによる部分中和物を含む単量体成分を重合する重合工程とを含み、
    該水酸化カルシウム又は水酸化バリウムによるエチレン性不飽和カルボン酸の中和率は、20〜70モル%であり、
    該重合工程は、過硫酸(塩)及び次亜リン酸(塩)の存在下で行われ
    該水酸化カルシウム又は水酸化バリウムは、平均粒径が50μm以下であり、塩酸不溶分濃度が0.5質量%以下である
    ことを特徴とするポリカルボン酸系重合体水溶液の製造方法。
  2. 前記水酸化カルシウム又は水酸化バリウムは、塩酸不溶分濃度が0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカルボン酸系重合体水溶液の製造方法。
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