JPWO2014188968A1 - 2次電池型燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

2次電池型燃料電池システムは、燃料発生部材と、発電・電気分解部と、燃料発生部材と発電・電気分解部との間で燃料ガスを含むガスを循環させるためのガス流路と、ガス流路上に設けられ、燃料発生部材と発電・電気分解部との間でガスを強制的に循環させる循環器と、燃料発生部材の温度を検出するための温度センサとを備える。2次電池型燃料電池システムは、2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に、温度センサの出力に基づいて、燃料発生部材の温度が完全停止許可温度まで低下したと判定した以降に循環器を完全に停止させる循環器制御部をさらに備える。

Description

本発明は、発電動作だけでなく充電動作も行える2次電池型燃料電池システムに関する。
燃料電池は、典型的には、固体ポリマーイオン交換膜を用いた固体高分子電解質膜、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質膜等を、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで両側から挟み込んだものを1つのセル構成としている。そして、燃料極に燃料ガス(例えば水素)を供給する燃料ガス流路と、酸化剤極に酸化剤ガス(例えば酸素や空気)を供給する酸化剤ガス流路とが設けられ、これらの流路を介して燃料ガス、酸化剤ガスがそれぞれ燃料極、酸化剤極に供給されることにより発電が行われる。
燃料電池は、原理的に取り出せる電力エネルギーの効率が高いため、省エネルギーになるだけでなく、環境に優れた発電方式であり、地球規模でのエネルギーや環境問題解決の切り札として期待されている。
特表平11−501448号公報 国際公開第2012/043271号
特許文献1及び特許文献2には、固体酸化物型燃料電池と、酸化反応により水素を発生し、還元反応により再生可能な水素発生部材とを組み合わせた2次電池型燃料電池システムが開示されている。上記2次電池型燃料電池システムでは、装置の発電動作時に水素発生部材が水素を発生し、装置の充電動作時に水素発生部材が再生される。
水素発生部材の形態としては、例えば酸化反応により水素を発生し、還元反応により再生可能な金属を母材とする微粒子をガスが通過する程度の空隙を残して固めた形態や上記微粒子をペレット状の粒に形成してこの粒を多数空間内に埋める形態が挙げられる。
水素発生部材の酸化反応や還元反応は水素発生部材のガスが浸透し易い箇所から進んでいく。水素発生部材へのガスの浸透が停滞すると、水素発生部材内でのガス濃度ムラが大きくなる。水素発生部材の酸化反応は発熱反応であり、水素発生部材の還元反応は吸熱反応であるため、水素発生部材内でのガス濃度ムラが大きくなると、反応の促進度合が異なり水素発生部材内での温度ムラが大きくなり歪が発生する。その結果、微粒子の脱落が促進され、水素発生部材の耐久性が落ちるおそれがある。
本発明は、上記の状況に鑑み、燃料発生部材の耐久性が高い2次電池型燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の一側面を反映した2次電池型燃料電池システムは、化学反応により燃料ガスを発生し、前記化学反応の逆反応により再生可能な燃料発生部材と、前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスを用いて発電を行う発電機能及び前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解機能を有する発電・電気分解部と、前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間で前記燃料ガスを含むガスを循環させるためのガス流路と、前記ガス流路上に設けられ、前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間でガスを強制的に循環させる循環器と、前記燃料発生部材の温度を検出するための温度センサと、前記2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に、前記温度センサの出力に基づいて、前記燃料発生部材の温度が完全停止許可温度まで低下したと判定した以降に前記循環器を完全に停止させる循環器制御部を備える構成としている。
なお、前記発電・電気分解部は、例えば、前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスを用いて発電を行う発電動作と、前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解動作とを切り替える燃料電池を備える構成であってもよく、また、例えば、前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスを用いて発電を行う燃料電池と、前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解器とを別個に備える構成であってもよい。
本発明の一側面を反映した2次電池型燃料電池システムによると、2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に、燃料発生部材の温度が完全停止許可温度まで低下したと判定した以降に循環器を完全に停止させることにより、燃料発生部材内でのガス濃度ムラを抑えている。これにより、燃料発生部材に歪が発生することを抑えられるので、燃料発生部材の耐久性を高くすることができる。
本発明の一実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。 燃料発生部材及びそれを収容する容器の一例を示す模式図である。 燃料発生部材の他の例を示す模式図である。 システムコントローラが実行する参考制御例を示すフローチャートである。 システムコントローラが参考制御例を実行した場合の循環ガス流量を示すタイムチャートである。 第1モード又は第2モードにおいてポンプを動作させている場合のガス濃度分布を示す模式図である。 システムコントローラが参考制御例を実行した場合のガス濃度分布を示す模式図である。 システムコントローラが実行する第1制御例及び第3制御例を示すフローチャートである。 システムコントローラが第1制御例を実行した場合の循環ガス流量を示すタイムチャートである。 システムコントローラが実行する第2制御例を示すフローチャートである。 システムコントローラが第2制御例を実行した場合の循環ガス流量を示すタイムチャートである。 システムコントローラが第3制御例を実行した場合の循環ガス流量を示すタイムチャートである。 システムコントローラが実行する第4制御例を示すフローチャートである。 システムコントローラが第4制御例を実行した場合の循環ガス流量を示すタイムチャートである。 システムコントローラが第5制御例を実行した場合の循環ガス流量を示すタイムチャートである。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。なお、本発明は、後述する実施形態に限られない。
本発明の一実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を図1に示す。2次電池型燃料電池システム100は、燃料発生部材1と、燃料電池部2と、燃料発生部材1を加熱するヒーター3と、燃料電池部2を加熱するヒーター4と、燃料発生部材1及びヒーター3を収容する容器5と、燃料電池部2及びヒーター4を収容する容器6と、燃料発生部材1と燃料電池部2の間で燃料ガスを含むガスを循環させるための配管7と、燃料発生部材1と燃料電池部2の間でガスを強制的に循環させるポンプ8と、燃料電池部2の空気極2Cに空気を供給するための配管9と、燃料電池部2の空気極2Cから空気を排出するための配管10と、発電充電制御部11と、燃料発生部材1の温度を検出するための温度センサ12と、2次電池型燃料電池システム100全体を制御するシステムコントローラ13とを備えている。
ポンプ8が動作することにより、配管7内のガスは図1に示す矢印の方向(時計回り)で循環する。
発電充電制御部11は、2次電池型燃料電池システム100の発電動作時において、燃料電池部2の発電電力を外部負荷(不図示)に出力する。また、発電充電制御部11は、2次電池型燃料電池システム100の充電動作時において、外部電源(不図示)の出力電力を燃料電池部2に供給する。
なお、図1においては、図が煩雑になることを防ぐため、システムコントローラ13と2次電池型燃料電池システム100の各部との間で制御信号を伝送する制御ラインなどの図示は省略している。また、必要に応じて、燃料電池部2の周辺に温度センサ等を設けてもよい。また、ポンプ8の代わりに、例えばコンプレッサ、ファン、ブロアなどの他の循環器を用いてもよい。
燃料発生部材1としては、例えば、金属を母材として、その表面に金属または金属酸化物が添加されており、酸化性ガス(例えば水蒸気)との酸化反応によって燃料ガス(例えば水素)を発生し、還元性ガス(例えば水素)との還元反応により再生可能なものを用いることができる。母材の金属としては例えば、Ni、Fe、Pd、V、Mgやこれらを基材とする合金が挙げられ、特にFeは安価で、加工も容易なので好ましい。また、添加される金属としては、Al、Rh、Pd、Cr、Ni、Cu、Co、V、Moが挙げられ、添加される金属酸化物としてはSiO2、TiO2が挙げられる。ただし、母材となる金属と、添加される金属は同一の材料ではない。なお、本実施形態においては、燃料発生部材1として、Feを主体とする燃料発生部材を用いる。また、図1では、燃料発生部材1を1つだけ設けた構造を図示しているが、燃料発生部材1を複数設けてもよい。
Feを主体とする燃料発生部材は、例えば、下記の(1)式や(1)’式に示す酸化反応により、水蒸気を消費して水素を生成することができる。
4H2O+3Fe→4H2+Fe34 …(1)
Fe+H2O→FeO+H2 …(1)’
上記の(1)式や(1)’式に示す鉄の酸化反応が進むと、鉄から酸化鉄への変化が進んで鉄の残量が減っていくが、上記の(1)式の逆反応すなわち下記の(2)式に示す還元反応や上記の(1)’式の逆反応すなわち下記の(2)’式に示す還元反応により、燃料発生部材1を再生することができる。なお、上記の(1)式や(1)’式に示す鉄の酸化反応及び下記の(2)式や(2)’式に示す還元反応は600℃未満の低い温度で行うこともできる。
4H2+Fe34→3Fe+4H2O …(2)
FeO+H2→Fe+H2O …(2)’
燃料発生部材1においては、その反応性を上げるために単位体積当りの表面積を大きくすることが望ましい。燃料発生部材1の単位体積当りの表面積を増加させる方策としては、例えば、燃料発生部材1の主体を微粒子化し、その微粒子化したものを成型すればよい。微粒子化の方法は例えばボールミル等を用いた粉砕によって粒子を砕く方法が挙げられる。さらに、機械的な手法などにより微粒子にクラックを発生させることで微粒子の表面積をより一層増加させてもよく、酸処理、アルカリ処理、ブラスト加工などによって微粒子の表面を荒らして微粒子の表面積をより一層増加させてもよい。
燃料発生部材1としては、例えば、微粒子をペレット状の粒に形成してこの粒を多数空間内に埋める形態であってもよく、微粒子をガスが通過する程度の空隙を残して固めたものであってもよい。前者の一例を図2に示し、後者の一例を図3に示す。
図2では、燃料発生部材1は複数の球状ペレット14によって構成されており、容器5はガス流路を長くするための仕切板15を備えている。図2ではガスの流れを矢印で模式的に示している。なお、図2ではペレットの形状が球状であるが、他の形状であっても構わない。
図3では、燃料発生部材1はガス流路が形成されている成型体16によって構成されている。なお、図3の例ではガス流路の断面形状が正方形であるが、他の形状であっても構わない。例えばガス流路の断面形状を正六角形にすれば、ハニカム構造の成型体になる。
燃料電池部2は、図1に示す通り、電解質膜2Aの両面に燃料極2Bと酸化剤極である空気極2Cを接合したMEA構造(膜・電極接合体:Membrane Electrode Assembly)である。なお、図1では、MEAを1つだけ設けた構造を図示しているが、MEAを複数設けたり、さらに複数のMEAを積層構造にしたりしてもよい。
電解質膜2Aの材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質を用いることができ、また例えば、ナフィオン(デュポン社の商標)、カチオン導電性ポリマー、アニオン導電性ポリマー等の固体高分子電解質を用いることができるが、これらに限定されることなく、水素イオンを通すものや酸素イオンを通すもの、また、水酸化物イオンを通すもの等、燃料電池の電解質としての特性を満たすものであればよい。なお、本実施形態においては、電解質膜2Aとして、酸素イオン又は水酸化物イオンを通す電解質、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質を用いる。
電解質膜2Aは、固体酸化物電解質の場合であれば、電気化学蒸着法(CVD−EVD法;Chemical Vapor Deposition - Electrochemical Vapor Deposition)等を用いて形成することができ、固体高分子電解の場合であれば、塗布法等を用いて形成することができる。
燃料極2B、空気極2Cはそれぞれ、例えば、電解質膜2Aに接する触媒層と、その触媒層に積層された拡散電極とからなる構成にすることができる。触媒層としては、例えば白金黒或いは白金合金をカーボンブラックに担持させたもの等を用いることができる。また、燃料極2Bの拡散電極の材料としては、例えばカーボンペーパ、Ni−Fe系サーメットやNi−YSZ系サーメット等を用いることができる。また、空気極2Cの拡散電極の材料としては、例えばカーボンペーパ、La−Mn−O系化合物やLa−Co−Ce系化合物等を用いることができる。燃料極2B、空気極2Cはそれぞれ、例えば蒸着法等を用いて形成することができる。
以下の説明では、燃料ガスとして水素を用いた場合について説明する。
燃料電池部2では、2次電池型燃料電池システム100の発電時に、燃料極2Bにおいて下記の(3)式の反応が起こる。
2+O2-→H2O+2e- …(3)
上記の(3)式の反応によって生成された電子は、発電充電制御部11を通って、空気極2Cに到達し、空気極2Cにおいて下記の(4)式の反応が起こる。
(1/2)O2+2e-→O2- …(4)
そして、上記の(4)式の反応によって生成された酸素イオンは、電解質膜2Aを通って、燃料極2Bに到達する。上記の一連の反応を繰り返すことにより、燃料電池部2が発電動作を行うことになる。また、上記の(3)式から分かるように、2次電池型燃料電池システム100の発電動作時には、燃料極2B側においてH2が消費されH2Oが生成されることになる。
上記の(3)式及び(4)式より、2次電池型燃料電池システム100の発電動作時における燃料電池部2での反応は下記の(5)式の通りになる。
2+(1/2)O2→H2O …(5)
一方、燃料発生部材1は、上記の(1)式や(1)’式に示す酸化反応により、2次電池型燃料電池システム100の発電時に燃料電池部2の燃料極2B側で生成されたH2Oを消費してH2を生成する。
上記の(1)式や(1)’式に示す鉄の酸化反応が進むと、鉄から酸化鉄への変化が進んで鉄残量が減っていくが、上記の(2)式や(2)’式に示す還元反応により、燃料発生部材1を再生することができ、2次電池型燃料電池システム100を充電することができる。
燃料電池部2では、2次電池型燃料電池システム100の充電時に、上記の(5)式の逆反応である下記の(6)式に示す電気分解反応が起こり、燃料極2B側においてH2Oが消費されH2が生成され、燃料発生部材1では、上記の(2)式や(2)’式に示す還元反応が起こり、燃料電池部2の燃料極2B側で生成されたH2が消費されH2Oが生成される。
2O→H2+(1/2)O2 …(6)
なお、燃料発生部材1の酸化反応や還元反応は燃料発生部材1のガスが浸透し易い箇所から進んでいく。図2に示す構造ではペレット14の外周から反応が始まり、反応が起こっている主たる箇所が次第にペレット14の内部に移行する。図3に示す構造では成型体16のガス流路形成面から始まり、反応が起こっている主たる箇所が次第に成型体16の内部(ガス流路から離れた場所)に移行する。
燃料発生部材1に供給されたガスとペレット14の外周面又は成型体16のガス流路形成面との反応により生成されたガスの大半は、ポンプ8の駆動によって生じるガス流によって燃料電池部2に運び去られる。ペレット14の外周面又は成型体16のガス流路形成面と反応しなかったガスの大半も同様にポンプ8の駆動によって生じるガス流によって燃料電池部2に運び去られる。ペレット14の外周面又は成型体16のガス流路形成面との反応により生成されたガスの一部及びペレット14の外周面又は成型体16のガス流路形成面と反応しなかったガスの一部は、圧力差及びガス濃度拡散によってペレット14間の空隙及びペレット14の内部又は成型体16の内部に浸透する。ペレット14間の空隙及びペレット14の内部又は成型体16の内部でも同様に、反応により生成されたガス及び反応しなかったガスの一部がペレット14の外周面又は成型体16のガス流路形成面に移動し、残りがペレット14間の空隙及びペレット14の内部又は成型体16のより内部へ浸透する。圧力差及びガス濃度差はペレット14又は成型体16内の空隙の内部に進むにつれて小さくなるので、ペレット14又は成型体16の内部に進むにつれてガスが浸透し難くなる。
燃料発生部材1の大きさや形状にもよるが、ポンプ8によって水素と水蒸気の混合ガスを循環していない状態で、混合ガスとペレット14の内部又は成型体16の内部とが完全な平衡状態になるには数時間から数日かかる。
<参考制御例>
ここで、システムコントローラが実行する参考制御例(本発明には含まれない制御例)について図4に示すフローチャート及び図5に示すタイムチャートを参照して説明する。なお、説明の便宜上、図1に示す本発明の一実施形態に係る2次電池型燃料電池システムと同一の符号を付して説明を行う。
本制御例では、2次電池型燃料電池システム100の運転が開始されると、システムコントローラ13は、ユーザーによる操作等によって2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされたか否を判定する(ステップS1)。
2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされていない場合(ステップS1のNO)、システムコントローラ13は、ポンプ8による循環ガス流量が各運転モード(詳細は後述する)に応じた循環ガス流量になるようにポンプ8を駆動させ(ステップS2)、ステップS1に戻る。なお、ステップS2において、システムコントローラ13は、必要に応じてヒーター3及び4を動作させ、燃料発生部材1及び燃料電池部2を所望の温度にする。
一方、2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされた場合(ステップS1のYES)、システムコントローラ13は、直ちにヒーター3及び4への通電を完全に停止し、直ちにポンプ8を完全に停止させ(ステップS3)、制御を終了する。
本制御例によると、期間P1、期間P2、期間P3の順に、2次電池型燃料電池システム100の運転モードを、燃料電池部2が電気分解を行う第2モード、燃料電池部2が発電も電気分解も行わない第3モード、燃料電池部2が発電を行う第1モードとし、期間P3の終了時点(時間t1)において、2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされた場合、ポンプ8による循環ガス流量は図5に示すようになる。なお、図5に示す例では第1モードに応じた循環ガス流量>第2モードに応じた循環ガス流量>第3モードに応じた循環ガス流量としている。また、図5に示す例では、第1〜第3モードにおいて、燃料発生部材1の温度を酸化反応及び還元反応が促進される600℃以上の同一温度に制御している。
図5に示すように、時間t1において第1モードの運転状態から完全停止状態に切り替わると、直ちにポンプ8が完全に停止する。第1モードの運転状態(図5の期間P3)においては、図6に示すように燃料発生部材1と燃料電池部2とを境に水蒸気濃度(図6において色が濃いほど水蒸気濃度が高い)が異なる分布となっている。次に、時間t1において第1モードの運転状態から完全停止状態に切り替わり、ポンプ8が完全に停止すると、ガス濃度差によって燃料発生部材1内でガスが次第に内部に移動することから、内部で反応が起こり水蒸気が消費されて水素が発生する。かつ、ポンプ8によるガスの移動が行われずに内部でガスが滞留する。その結果、次第に図7に示すように燃料発生部材1内のガス濃度(図7において色が濃いほど水蒸気濃度が高い)にムラがある状態になり、更に時間が経過すると、自然拡散により、最終的に燃料発生部材1内のガス濃度が均一になる。ちなみに、第2モードの運転状態では、図6に示すように燃料発生部材1と燃料電池部2とを境に水蒸気濃度(図6において色が濃いほど水素濃度が高い)が異なる分布となっている。次に、第2モードの運転状態から完全停止状態に切り替わりポンプ8が完全に停止すると濃度差によって燃料発生部材1内でガスが次第に内部に移動し、内部で反応が起こり水素が消費されて水蒸気が発生する。かつ、ポンプ8によるガスの移動が行われずに内部でガスが滞留する。その結果、次第に図7に示すように燃料発生部材1内のガス濃度(図7において色が濃いほど水蒸気濃度が低い)にムラがある状態になり、更に時間が経過すると、自然拡散により、最終的に燃料発生部材1内のガス濃度が均一になる。
上述したように、ポンプ8によって水素と水蒸気の混合ガスを循環していない状態で、混合ガスとペレット又は成型体の内部とが完全な平衡状態になるには数時間から数日かかるため、長時間にわたって燃料発生部材1に歪が発生し、微粒子の脱落が促進され、燃料発生部材1の耐久性が落ちるおそれがある。
そこで、本実施形態では、2次電池型燃料電池システム100を運転状態から完全停止状態に移行させる際に、システムコントローラ13は、燃料発生部材1の温度が完全停止許可温度まで低下したと判定した以降にポンプ8を完全に停止させる。これにより、2次電池型燃料電池システム100を運転状態から完全停止状態に移行させる際に、少なくとも燃料発生部材1の温度が完全停止許可温度まで低下するまではポンプ8の駆動によって生じるガス流によって燃料発生部材1内のガス濃度ムラが抑えられ、燃料発生部材1に歪が発生することを抑えられる。したがって、燃料発生部材1の耐久性を高くすることができる。以下、本実施形態においてシステムコントローラ13が実行する制御例について説明する。
<本実施形態に係る第1制御例>
本制御例について図8に示すフローチャート及び図9に示すタイムチャートを参照して説明する。以下の各制御例では、期間P1,期間P2,期間P3の順に、第2モード、第3モード、第1モードの順に運転モードを切り替え、第1モードでの運転中に2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされた場合について説明する。尚、期間P1,期間P2,期間P3の運転モードはこれに限らず、例えば、第1モード、第3モード、第2モードの順に運転モードを切り替えている場合、第1モード、第3モード、第1モードの順に運転モードを切り替えている場合、及び第2モード、第3モード、第2モードの順に運転モードを切り替えている場合についても同様の制御を行うようにする。
本制御例では、2次電池型燃料電池システム100の運転が開始されると、システムコントローラ13は、ユーザーによる操作等によって2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされたか否を判定する(ステップS10)。
2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされていない場合(ステップS10のNO)、システムコントローラ13は、ポンプ8による循環ガス流量が各運転モードに応じた循環ガス流量になるようにポンプ8を駆動させ(ステップS20)、ステップS10に戻る。なお、ステップS20において、システムコントローラ13は、必要に応じてヒーター3及び4を動作させ、燃料発生部材1及び燃料電池部2を所望の温度にする。
一方、2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされた場合(ステップS10のYES)、システムコントローラ13は、直ちにヒーター3及び4への通電を完全に停止し、ポンプ8による循環ガス流量が所定の循環ガス流量になるようにポンプ8を駆動させる(ステップS30)。
ステップS30に続くステップS40において、システムコントローラ13は、温度センサ12の出力を監視して、燃料発生部材1の温度が完全停止許容温度まで低下したか否かを判定する(ステップS40)。完全停止許容温度の設定値は例えばシステムコントローラ13の内部メモリに記憶させておくとよい。完全停止許容温度の設定値としては、燃料発生部材1の酸化還元反応が進まない300℃以下にすることが望ましい。300℃以下になると酸化反応、還元反応が進まないので、ポンプ8の駆動を完全に停止させてもガス反応が発生せず、それ以上ガス濃度のムラは生じず、よって歪は拡大しないと考えられる。
燃料発生部材1の温度が完全停止許容温度まで低下すると(ステップS40のYES)、システムコントローラ13は、ポンプ8を完全に停止させ(ステップS50)、制御を終了する。
本制御例によると、期間P1、期間P2、期間P3の順に、上記第2モードと、上記第3モード、上記第1モードとし、期間P3の終了時点(時間t1)において、2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされた場合、ポンプ8による循環ガス流量は図9に示すようになる。なお、図9に示す例では第1モードに応じた循環ガス流量>第2モードに応じた循環ガス流量>第3モードに応じた循環ガス流量としている。また、図9に示す例では、第1〜第3モードにおいて、燃料発生部材1の温度を600℃以上の同一温度に制御している。また、図9に示す例では、ステップS30において、ポンプ8による循環ガス流量を上記第3モードに応じた循環ガス流量としているが、例えば、上記第3モードに応じた循環ガス流量より小さくしてもよい。なお、本制御例及び後述する他の制御例において、ステップS30におけるポンプ8による循環ガス流量は、省エネルギー化の観点から、上記第1モードに応じた循環ガス流量以下とすることが望ましい。さらに、ステップS30におけるポンプ8による循環ガス流量を上記第2モードに応じた循環ガス流量以下にしてもよい。
<本実施形態に係る第2制御例>
本制御例について図10に示すフローチャート及び図11に示すタイムチャートを参照して説明する。
図10に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートのステップS40とステップS50との間にステップS41を設けたフローチャートである。
ステップS41では、システムコントローラ13は、温度センサ12の出力を監視して、燃料発生部材1の温度が常温まで低下したか否かを判定する。燃料発生部材1の温度が常温まで低下すると(ステップS41のYES)、ステップS50に移行する。燃料発生部材1の温度が常温まで低下する頃にはガスの拡散が進みガス濃度が均一化されていると考えられるので、ポンプ8の駆動を完全に停止しても歪は拡大しない。
なお、本制御例において、ステップS40を廃止してもよい。
本制御例によると、期間P1、期間P2、期間P3の順に、上記第2モードと、上記第3モード、上記第1モードとし、期間P3の終了時点(時間t1)において、2次電池型燃料電池システム100を完全停止状態にする指示がなされた場合、ポンプ8による循環ガス流量は図11に示すようになる。なお、図11に示す例では第1モードに応じた循環ガス流量>第2モードに応じた循環ガス流量>第3モードに応じた循環ガス流量としている。また、図11に示す例では、第1〜第3モードにおいて、燃料発生部材1の温度を600℃以上の同一温度に制御している。また、図11に示す例では、ステップS30において、ポンプ8による循環ガス流量を上記第3モードに応じた循環ガス流量より小さくしているが、例えば、上記第3モードに応じた循環ガス流量と同一にしてもよい。
<本実施形態に係る第3制御例>
本制御例について図8に示すフローチャート及び図12に示すタイムチャートを参照して説明する。
本制御例は、ステップS30におけるポンプ8の駆動を連続駆動とせず、間欠駆動としている点を除いて、上述した第1制御例と同一である。ポンプ8の駆動を間欠駆動とすることにより、閉空間(容器5、容器6、配管7、及び電解質膜2Aによって囲まれる閉空間)内の圧力を脈動させ、ガスの拡散及びガス濃度の均一化を促進することができる。
<本実施形態に係る第4制御例>
本制御例について図13に示すフローチャート及び図14に示すタイムチャートを参照して説明する。
図13に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートのステップS30とステップS40との間にステップS31及びステップS32を設けたフローチャートである。
ステップS31では、システムコントローラ13は、温度センサ12の出力を監視して、燃料発生部材1の温度が流量低減温度(>完全停止許容温度)まで低下したか否かを判定する。流量低減温度の設定値は例えばシステムコントローラ13の内部メモリに記憶させておくとよい。
燃料発生部材1の温度が流量低減温度まで低下すると(ステップS31のYES)、システムコントローラ13は、ポンプ8による循環ガス流量が所定の循環ガス流量より小さくなるようにポンプ8を駆動させ(ステップS32)、その後ステップS40に移行する。このような制御により、ポンプ8による循環ガス流量を段階的に減らすことができるので、燃料発生部材1内のガス濃度ムラを抑えながら、省エネルギー化を図ることができる。
なお、本制御例では、流量低減温度を一つのみ設定したが、互いに設定値が異なる流量低減温度を複数設定し、ポンプ8による循環ガス流量の段階的に減少させる段階数を増やしてもよい。
<本実施形態に係る第5制御例>
本制御例について図15に示すタイムチャートを参照して説明する。
本制御例は、ステップS30及びステップS32におけるポンプ8の駆動を連続駆動とせず、間欠駆動としている点を除いて、上述した第4制御例と同一である。本制御例では、間欠駆動のデューティ比を変更することで循環ガス流量を変更している。例えば、燃料発生部材1の温度が低下しガス濃度の均一化が進むにつれて、ガスを循環させる期間の比率を段階的に小さくすればよい。これにより、ポンプ8を駆動させる時間を減らし、省エネルギー化を図ることができる。
なお、本制御例においても第4制御例において述べた変形例と同様に、互いに設定値が異なる流量低減温度を複数設定し、ポンプ8による循環ガス流量の段階的に減少させる段階数を増やしてもよい。
<その他>
上述した実施形態においては、燃料電池部2の電解質膜2Aとして固体酸化物電解質を用いて、発電の際に燃料極2B側で水を発生させるようにする。この構成によれば、燃料発生部材1が設けられた側で水を発生するため、装置の簡素化や小型化に有利である。一方、特開2009−99491号公報に開示された燃料電池のように、燃料電池部2の電解質膜2Aとして水素イオンを通す固体高分子電解質を用いることも可能である。但し、この場合には、発電の際に燃料電池部2の酸化剤極である空気極2C側で水が発生されることになるため、この水を燃料電池部2のガス流出側に送る流路を設ければよい。
また、上述した実施形態では、1つの燃料電池部2が発電も水の電気分解も行っているが、燃料電池(例えば発電専用の固体酸化物燃料電池)と水の電気分解器(例えば水の電気分解専用の固体酸化物燃料電池)が燃料発生部材1に接続される構成にしてもよい。
また、上述した実施形態では、燃料電池部2の燃料ガスを水素にしているが、一酸化炭素や炭化水素など水素以外の還元性ガスを燃料電池部2の燃料ガスとして用いても構わない。
また、上述した実施形態では、酸化剤ガスに空気を用いているが、空気以外の酸化剤ガスを用いても構わない。
1 燃料発生部材
2 燃料電池部
2A 電解質膜
2B 燃料極
2C 空気極
3、4 ヒーター
5、6 容器
7、9、10 配管
8 ポンプ
11 発電充電制御部
12 温度センサ
13 システムコントローラ
14 ペレット
15 仕切板
16 成型体
100 2次電池型燃料電池システム

Claims (7)

  1. 化学反応により燃料ガスを発生し、前記化学反応の逆反応により再生可能な燃料発生部材と、
    前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスを用いて発電を行う発電機能及び前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解機能を有する発電・電気分解部と、
    前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間で前記燃料ガスを含むガスを循環させるためのガス流路と、
    前記ガス流路上に設けられ、前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間でガスを強制的に循環させる循環器と、
    前記燃料発生部材の温度を検出するための温度センサとを備える2次電池型燃料電池システムであって、
    前記2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に、前記温度センサの出力に基づいて、前記燃料発生部材の温度が完全停止許可温度まで低下したと判定した以降に前記循環器を完全に停止させる循環器制御部を備えることを特徴とする2次電池型燃料電池システム。
  2. 前記燃料発生部材は前記発電・電気分解部の発電によって生じた水蒸気との酸化反応により燃料を発生し、前記発電・電気分解部による水蒸気の電気分解によって生じた水素との還元反応により還元され、
    前記完全停止許可温度は、前記燃料発生部材の温度がそれ以下の温度になると前記酸化反応又は前記還元反応が促進されなくなる温度であることを特徴とする請求項1に記載の2次電池型燃料電池システム。
  3. 前記2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に前記循環器によって強制的に循環させるガスの循環量は、前記発電・電気分解部が発電を行っている時に前記循環器によって強制的に循環させるガスの循環量以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2次電池型燃料電池システム。
  4. 前記2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に前記循環器によって強制的に循環させるガスの循環量は、前記発電・電気分解部が電気分解を行っている時に前記循環器によって強制的に循環させるガスの循環量以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の2次電池型燃料電池システム。
  5. 前記2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に前記循環器によって強制的に循環させるガスの循環量は、前記燃料発生部材の温度の低下に伴い段階的に減少させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の2次電池型燃料電池システム。
  6. 前記循環器制御部は、前記2次電池型燃料電池システムを運転状態から完全停止状態に移行させる際に、前記循環器を間欠駆動させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の2次電池型燃料電池システム。
  7. 前記循環器制御部は、前記循環器の間欠駆動のデューティ比を、前記燃料発生部材の温度の低下に伴い減少させることを特徴とする請求項6に記載の2次電池型燃料電池システム。
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