JP2014110077A - 燃料電池システムへのガス導入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導入したガスに起因して固体酸化物型燃料電池の性能が低下することを防止することができる燃料電池システムへのガス導入方法を提供する。
【解決手段】燃料電池システムに、還元性ガスRGの分圧比がP(RG)であり、前記還元性ガスRGを酸化して得られる酸化性ガスOGとの分圧比がP(OG)であるガスをf>v1W/{P0(T2)−P(OG)}を満たすように導入する。ただし、f:燃料電池システムに導入するガスの流量[sccm]、v1:温度T1[K]である燃料発生部材が還元性ガスRGによって還元されるときの反応速度[sccm/g]、W:燃料発生部材の酸化していない状態での質量[g]、P0(T2) :温度T2[K]である固体酸化物型燃料電池部の燃料極に用いる金属と酸化性ガスOGとの酸化反応及びその逆反応の平衡状態における酸化性ガスOGの分圧比
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化反応により燃料ガスを発生し、還元反応により再生可能な燃料発生部材と、酸素を含む酸化剤ガスと前記燃料発生部材から供給される燃料ガスとの反応により発電を行う固体酸化物型燃料電池部とを備える燃料電池システムへのガス導入方法に関する。
固体酸化物型燃料電池は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)やランタンガレート系(例えば一般式LaSrMgGaOで表されるLSGM)を用いた固体酸化物電解質膜を、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで両側から挟み込んだものを1つのセル構成としている。そして、燃料極に燃料ガス(例えば水素)を供給する燃料ガス流路と、酸化剤極に酸化剤ガス(例えば酸素や空気)を供給する酸化剤ガス流路とが設けられ、これらの流路を介して燃料ガス、酸化剤ガスがそれぞれ燃料極、酸化剤極に供給されることにより発電が行われる。
固体酸化物型燃料電池は、固体高分子型燃料電池よりも動作温度を高くする必要があるものの、固体高分子型燃料電池よりも発電効率が高いという利点を有している。
特表平11−501448号公報 国際公開第2012/098945号
特許文献1には、固体酸化物型燃料電池と鉄(水素発生部材)を組み合わせた燃料電池システムが開示されている。上記燃料電池システムでは、システムの発電動作時に鉄(水素発生部材)が水蒸気との酸化反応により水素を発生し、システムの充電動作時に酸化鉄(酸化した水素発生部材)が水素との還元反応により再生される。
特許文献1には、上記燃料電池システムの運転時の動作や条件等については記載されているが、上記燃料電池システムの組み立てやメンテナンス等については記載されていない。
例えばメンテナンスによって配管等の交換等が行われることを考えた場合、当該作業は作業容易性の観点から大気中で行われるのが一般的である。そして、配管等が大気中で外されれば、鉄(水素発生部材)は空気に晒されるため、空気中の酸素によってFe23にまで酸化される。
メンテナンス終了後に再び上記燃料電池システムを発電動作可能な状態にするためには、Fe23(酸化した水素発生部材)を還元して再生する必要がある。
ここで、Fe23(酸化した水素発生部材)を還元する方法としては、Fe23(酸化した水素発生部材)と固体酸化物型燃料電池の燃料極側との間でガスを循環させるためのガス流路内の空気を水蒸気で置換した後、上記燃料電池システムを特許文献1に記載されているエネルギー貯蔵モードで動作させることにより固体酸化物型燃料電池で水蒸気を電気分解し、電気分解により生成された水素でFe23(酸化した水素発生部材)を還元する方法、または、Fe23(酸化した水素発生部材)と固体酸化物型燃料電池の燃料極側との間でガスを循環させるためのガス流路内の空気を水素で置換してFe23(酸化した水素発生部材)を還元する方法がある。
前者の方法では、ガス流路内の空気を水蒸気で置換してから固体酸化物型燃料電池が電気分解を行う迄の期間(主として固体酸化物型燃料電池を常温から電気分解の動作温度(例えば800℃程度)に昇温するのに要する期間)、ガス流路内に高濃度の水蒸気が満たされていることになる。そして、高濃度の水蒸気によって固体酸化物型燃料電池の燃料極が酸化し、酸化による体積膨張等のために燃料極の割れや剥がれが生じて固体酸化物型燃料電池の性能が低下するおそれがあった。
また、後者の方法では、Fe23(酸化した水素発生部材)は、下記の(1)式の還元反応によってFe34へと還元され、さらに下記の(2)式の還元反応によってFeへと還元される。
3Fe23+H2→2Fe34+H2O …(1)
Fe34+4H2→3Fe+4H2O …(2)
しかしながら、上記の(1)式での還元速度は非常に速く、また、上記(1)式における化学平衡の水蒸気と水素とのガス組成比はほぼ100:0であるため、ガス流路内の水素は速やかに消費され、水蒸気が生成されるため、後者の方法においてもやはりガス流路内に高濃度の水蒸気が満たされていることになる。そして、高濃度の水蒸気によって固体酸化物型燃料電池の燃料極が酸化し、酸化による体積膨張等のために燃料極の割れや剥がれが生じて固体酸化物型燃料電池の性能が低下するおそれがあった。
また、特許文献2には、水素発生部と発電・電気分解部とを組み合わせた燃料電池システムであって、水素発生部と発電・電気分解部との間を循環する水素及び水蒸気を含むガスが存在する空間に水を補給する水補給部を備える燃料電池システムが開示されている。しかしながら、水素発生部と発電・電気分解部との間を循環する水素及び水蒸気を含むガスが存在する空間に水補給部によって水が補給されると、当該空間の水蒸気濃度が高くなるため、高濃度の水蒸気によって固体酸化物型燃料電池の燃料極が酸化し、酸化による体積膨張等のために燃料極の割れや剥がれが生じて固体酸化物型燃料電池の性能が低下するおそれがあった。
本発明は、上記の状況に鑑み、導入したガスに起因して固体酸化物型燃料電池の性能が低下することを防止することができる燃料電池システムへのガス導入方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る燃料電池システムへのガス導入方法は、酸化反応により燃料ガスを発生し、還元反応により再生可能な燃料発生部材と、酸素を含む酸化剤ガスと前記燃料発生部材から供給される燃料ガスとの反応により発電を行う固体酸化物型燃料電池部と、を備え、前記燃料発生部材と前記燃料電池部の燃料極との間でガスの流通が可能な燃料電池システムへのガス導入方法であって、前記燃料発生部材が温度T1[K]であり前記固体酸化物型燃料電池部が温度T2[K]である状態の前記燃料電池システムに、還元性ガスRGの分圧比がP(RG)であり、前記還元性ガスRGを酸化して得られる酸化性ガスOGの分圧比がP(OG)であるガスを下記の条件式を満たすように導入する。
ただし、
f:前記燃料電池システムに導入するガスの流量[sccm]
1:温度T1[K]である前記燃料発生部材が前記還元性ガスRGによって還元されるときの反応速度[sccm/g]
W:前記燃料発生部材の酸化していない状態での質量[g]
0(T2) :温度T2[K]である前記固体酸化物型燃料電池部の燃料極に用いる金属と前記酸化性ガスOGとの酸化反応及びその逆反応の平衡状態における前記酸化性ガスOGの分圧比
なお、前記燃料発生部材の温度T1[K]と前記固体酸化物型燃料電池部の温度T2[K]とは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、P(OG)が零であってもよい、すなわち前記燃料電池システムに導入するガスに前記酸化性ガスOGが含まれていなくてもよい。
前記還元性ガスRG、前記酸化性ガスOG、及び前記固体酸化物型燃料電池部の燃料極に用いる金属の代表的な例として、H2、H2O、及びNiを挙げることができる。
また、前記燃料電池システムへのガス導入開始後に、前記燃料発生部材の温度を徐々に上昇させるとともに、前記燃料電池システムに導入するガスの流量を徐々に増加させるようにしてもよい。
本発明に係る燃料電池システムへのガス導入方法によると、燃料電池システムに導入したガスによって固体酸化物型燃料電池部の燃料極に用いる金属が酸化することを防止することができるので、燃料電池システムに導入したガスに起因して固体酸化物型燃料電池の性能が低下することを防止することができる。
本発明の一実施形態に係るガス導入方法によってガスが導入される燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るガス導入方法によってガスが導入される燃料電池システムの他の概略構成を示す模式図である。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。なお、本発明は、後述する実施形態に限られない。
本発明の一実施形態に係るガス導入方法によってガスが導入される燃料電池システムの概略構成を図1に示す。図1に示す燃料電池システムは、酸化反応により燃料ガスを発生し、還元反応により再生可能な燃料発生部材1と、酸素を含む酸化剤ガスと燃料発生部材1から供給される燃料ガスとの反応により発電を行う固体酸化物型燃料電池部2(以下、燃料電池部2と称する)とを備えている。燃料電池部2は、図1に示す通り、固体酸化物電解質膜2Aの両面に燃料極2Bと酸化剤極2Cを接合したMEA構造(膜・電極接合体:Membrane Electrode Assembly)である。なお、図1では、MEAを1つだけ設けた構造を図示しているが、MEAを複数設けたり、さらに複数のMEAを積層構造にしたりしてもよい。
図1に示す燃料電池システムは、燃料発生部材1を加熱するためのヒーター3と、燃料電池部2を加熱するためのヒーター4と、燃料発生部材1及びヒーター3を収容する容器5と、燃料電池部2及びヒーター4を収容する容器6と、燃料発生部材1と燃料極2Bとの間でガスを循環させるための循環用配管7と、容器5、容器6、循環用配管7、及び固体酸化物電解質膜2Aで囲まれる空間内に存在するガスを燃料発生部材1と燃料極2Bとの間で循環させるポンプ8と、ガス導入口9と、ガス排出口10と、開閉バルブ11及び12をさらに備えている。なお、ポンプ8の代わりにブロアやコンプレッサ等の他の循環器を用いてもよく、ポンプ8やそれに代わる他の循環器を設けなくてもよい。また、必要に応じて燃料発生部材1や燃料電池部2の周辺に温度センサ等を設けてもよい。
開閉バルブ11は循環用配管7と燃料極側ガス導入口9との間に設けられ、開閉バルブ12は循環用配管7と燃料発生部材側ガス導入口10との間に設けられる。図1に示す燃料電池システムの発電時及び充電時には、開閉バルブ11及び12をともに閉状態にする。一方、例えばメンテナンス終了後に酸化した燃料発生部材を還元して再生する場合等には、開閉バルブ11及び12をともに開状態にする。
以下の説明では、燃料発生部材1として基材料(主成分)が鉄である微粒子圧縮体からなる燃料発生部材を用い、燃料ガスとして水素を用いた場合について説明する。
図1に示す燃料電池システムの発電時に燃料電池部2は外部負荷(不図示)に電気的に接続される。燃料電池部2では、図1に示す燃料電池システムの発電時に、燃料極2Bにおいて下記の(3)式の反応が起こる。
2+O2-→H2O+2e- …(3)
上記の(3)式の反応によって生成された電子は、外部負荷(不図示)を通って、酸化剤極2Cに到達し、酸化剤極2Cにおいて下記の(4)式の反応が起こる。
1/2O2+2e-→O2- …(4)
そして、上記の(4)式の反応によって生成された酸素イオンは、固体酸化物電解質膜2Aを通って、燃料極2Bに到達する。上記の一連の反応を繰り返すことにより、燃料電池部2が発電動作を行うことになる。また、上記の(3)式から分かるように、図1に示す燃料電池システムの発電動作時には、燃料極2B側においてH2が消費されH2Oが生成されることになる。
上記の(3)式及び(4)式より、図1に示す燃料電池システムの発電動作時における燃料電池部2での反応は下記の(5)式の通りになる。
2+1/2O2→H2O …(5)
一方、燃料発生部材1は、下記の(6)式に示す酸化反応により、図1に示す燃料電池システムの発電時に燃料電池部2の燃料極2B側で生成されたH2Oを消費してH2を生成する。
3Fe+4H2O→Fe34+4H2 …(6)
上記の(6)式に示す鉄の酸化反応が進むと、鉄から酸化鉄への変化が進んで鉄残量が減っていくが、上記の(6)式の逆反応(還元反応)により、燃料発生部材1を再生することができ、図1に示す燃料電池システムを充電することができる。
図1に示す燃料電池システムの充電時に燃料電池部2は外部電源(不図示)に接続される。燃料電池部2では、図1に示す燃料電池システムの充電時に、上記の(5)式の逆反応である下記の(7)式に示す電気分解反応が起こり、燃料極2B側においてH2Oが消費されH2が生成され、燃料発生部材1では、上記の(6)式に示す酸化反応の逆反応である下記(8)式に示す還元反応が起こり、燃料電池部2の燃料極2B側で生成されたH2が消費されH2Oが生成される。
2O→H2+1/2O2 …(7)
Fe34+4H2→3Fe+4H2O …(8)
燃料発生部材1及び燃料電池部2は、図1に示す燃料電池システムの発電時と充電時の両方において、例えばヒーター3及び4によって600℃程度に加熱されるようにする。
また、例えばメンテナンス終了後に酸化した燃料発生部材を還元して再生する場合等に、外部から水素を含むガスをガス導入口9に導入し、燃料発生部材1または燃料電池部2を通過したガスをガス排出口10から外部に排出する。
そして、外部から水素を含むガスをガス導入口9に導入する際に、燃料発生部材1を温度T1[K]とし、燃料電池部2を温度T2[K]とし、 H2の分圧比がP(H2)であり、H2Oの分圧比がP(H2O)であるガスを下記の条件式を満たすように導入する。これにより、ガス導入口9に導入したガスによって燃料電池部2の燃料極2Bに用いるNiが酸化することを防止することができるので、ガス導入口9に導入したガスに起因して燃料電池部2の性能が低下することを防止することができる。なお、燃料発生部材1の温度T1[K]は例えばヒーター3を用いて制御することができ、燃料電池部2の温度T2[K]は例えばヒーター4を用いて制御することができる。
ただし、
f:ガス導入口9に導入するガスの流量[sccm]
1:温度T1[K]である燃料発生部材1がH2によって還元されるときの反応速度[sccm/g]
W:燃料発生部材1の酸化していない状態での質量[g]
0(T2) :温度T2[K]である燃料電池部2の燃料極2Bに用いるNiとH2Oとの酸化反応及びその逆反応の平衡状態におけるH2Oの分圧比
上記の条件式の導出手順について説明する。
2の分圧比がP(H2)であり、H2Oの分圧比がP(H2O)であるガスをf[sccm]の流量でガス導入口9に導入した場合、Fe23にまで酸化されている燃料発生部材1は下記の(9)式に従って反応速度v1[sccm/g]で還元され、v1W[sccm]のH2を消費しながらv1W[sccm]のH2Oを発生させる。
Fe23+3H2⇔2Fe+3H2O …(9)
したがって、Fe23にまで酸化されている燃料発生部材1の還元反応によって、ガス導入口9に導入したガスは、H2の分圧比がP(H2)から下記(10)式に示すP (H2) ’に減少し、H2Oの分圧比がP(H2O)から下記(10)式に示すP(H2O)’に増加する。
P (H2) ’:P(H2O)’=fP(H2)−v1W:fP(H2O)+v1W …(10)
ここで、P(H2) ’とP(H2O)’の合計は、P(H2)とP(H2O)の合計と同様に1となる。したがって、上記の(10)式から
P(H2O)’={fP(H2O)+v1W}/f …(11)
となる。
このP(H2O)’が、温度T2[K]でのNi+H2O⇔NiO+H2の平衡状態におけるH2Oの分圧比P0(T2)より小さければ、温度T2[K]である燃料電池部2の燃料極2Bに用いるNiの酸化は起こらない。したがって、温度T2[K]である燃料電池部2の燃料極2Bに用いるNiの酸化は起こらない条件は、上記の(11)式から
{fP(H2O)+v1W}/f<P0(T2)
f>v1W/{P0(T2)−P(H2O)}
となり、上述した条件式が得られる。
なお、反応速度v1[sccm/g]は一般的に
で表される。Aは定数、Rは気体定数、Eaは上記の(9)式における活性化エネルギー、Kp1は上記の(9)式における温度T1[K]での圧平衡定数である。
さらに、上記の(9)式において、T1[K]におけるギブスの自由エネルギーをΔGFe1、T1[K]におけるギブスの標準自由エネルギーをΔGFe1 0[kJ/mol]、Fe23、H2、Fe、H2Oの各々の活量をaFe23、aH2、aFe、aH2Oとすると、
となる。上記の(9)式での酸化還元反応が平衡状態であるときはΔGFe1=0であり、固体であるFe23、Feの活量aFe23、aFeは1とみなすことができ、ガスであるH2、H2Oの活量aH2、aH2Oは分圧とみなせるためaH23/aH2 3を温度T1[K]での圧平衡定数Kp1で表すことができるので、
となる。
したがって、一般的なアレニウスプロット(実測された反応速度とそのときの絶対温度の逆数を片対数グラフにプロットしたもの)から活性化エネルギーEaを算出し、ギブスの標準自由エネルギーΔGFe1 0[kJ/mol]を熱力学のデータベースから得ることにより、反応速度v1[sccm/g]を求めることができる。定数Aもまた、アレニウスプロットから求めることができる。
また、温度T2[K]でのNi+H2O⇔NiO+H2の平衡状態におけるH2Oの分圧比P0(T2)は次のようにして求めることができる。Ni+H2O⇔NiO+H2の反応式において、T2[K]におけるギブスの自由エネルギーをΔGNi2、T2[K]におけるギブスの標準自由エネルギーをΔGNi2 0[kJ/mol]、Ni、NiO、H2O、H2の各々の活量をaNi、aNiO、aH2O、aH2とすると、
となる。Ni+H2O⇔NiO+H2での酸化還元反応が平衡状態であるときはΔGNi2=0であり、固体であるNi、NiOの活量aNi、aNiOは1とみなすことができ、ガスであるH2O、H2の活量aH2、aH2Oは分圧とみなせるためaH2/aH2Oを温度T2[K]でのNi+H2O⇔NiO+H2の平衡状態におけるH2Oの分圧比P0(T2)で表すことができるので、
となる。
したがって、ギブスの標準自由エネルギーΔGNi2 0[kJ/mol]を熱力学のデータベースから得ることにより、温度T2[K]でのNi+H2O⇔NiO+H2の平衡状態におけるH2Oの分圧比P0(T2)を求めることができる。
なお、ガス導入口9へのガス導入開始後に、燃料発生部材1の温度T1[K]を徐々に上昇させるとともに、ガス導入口9に導入するガスの流量を徐々に増加させるようにしてもよい。これにより、ガス導入口9へのガス導入開始直後は、図1に示す燃料電池システム内部の圧力がガスの導入によって急激に上昇することを防ぐことができ、圧力の急激な上昇による破損を防止することができる。また、ガス導入口9に導入するガスの流量を増加させたときに、燃料発生部材1の温度T1[K]を上昇させるので、燃料発生部材1の無駄な加熱を防止でき、省エネルギー化を図ることができる。
また、燃料電池部2の温度T2[K]を燃料発生部材1の温度T1[K]よりも低くすることが好ましい。これにより、燃料電池部2の温度調整のために消費されるエネルギーを小さくし、省エネルギー化を図ることができる。
また、図1に示す燃料電池システムは燃料発生部材1と燃料電池部2とが別々の容器に収容されている構成であったが、図2に示すような燃料発生部材1と燃料電池部2とが同一の容器13に収容されている構成の燃料電池システムに対して本発明に係るガス導入方法を適用してもよい。
上述した説明では、燃料電池部2の燃料ガスを水素にしているが、一酸化炭素や炭化水素など水素以外の還元性ガスを燃料電池部2の燃料ガスとして用いても構わない。そして、例えばメンテナンス終了後に酸化した燃料発生部材を還元して再生する場合等に、燃料ガスと同一のガスを外部から導入すればよい。
また、燃料電池部2の燃料極2Bに用いる金属としては、Ni以外に例えばNi−Fe合金を挙げることができる。
1 燃料発生部材
2 固体酸化物型燃料電池部
2A 固体酸化物電解質膜
2B 燃料極
2C 酸化剤極
3、4 ヒーター
5、6、13 容器
7 循環用配管
8 ポンプ
9 ガス導入口
10 ガス排出口
11、12 開閉バルブ

Claims (3)

  1. 酸化反応により燃料ガスを発生し、還元反応により再生可能な燃料発生部材と、
    酸素を含む酸化剤ガスと前記燃料発生部材から供給される燃料ガスとの反応により発電を行う固体酸化物型燃料電池部と、を備え、前記燃料発生部材と前記燃料電池部の燃料極との間でガスの流通が可能な燃料電池システムへのガス導入方法であって、
    前記燃料発生部材が温度T1[K]であり前記固体酸化物型燃料電池部が温度T2[K]である状態の前記燃料電池システムに、
    還元性ガスRGの分圧比がP(RG)であり、前記還元性ガスRGを酸化して得られる酸化性ガスOGの分圧比がP(OG)であるガスを下記の条件式を満たすように導入することを特徴とする燃料電池システムへのガス導入方法。
    ただし、
    f:前記燃料電池システムに導入するガスの流量[sccm]
    1:温度T1[K]である前記燃料発生部材が前記還元性ガスRGによって還元されるときの反応速度[sccm/g]
    W:前記燃料発生部材の酸化していない状態での質量[g]
    0(T2) :温度T2[K]である前記固体酸化物型燃料電池部の燃料極に用いる金属と前記酸化性ガスOGとの酸化反応及びその逆反応の平衡状態における前記酸化性ガスOGの分圧比
  2. 前記還元性ガスRGがH2であり、前記酸化性ガスOGがH2Oであり、前記固体酸化物型燃料電池部の燃料極に用いる金属がNiであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムへのガス導入方法。
  3. 前記燃料電池システムへのガス導入開始後に、前記燃料発生部材の温度を徐々に上昇させるとともに、前記燃料電池システムに導入するガスの流量を徐々に増加させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムへのガス導入方法。
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