JPWO2014181805A1 - ペプチドカクテルワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、がんを有する患者へ投与されるペプチドカクテルワクチンであって、該患者において有効な少なくとも2種類以上のCTLエピトープペプチドを含む、ペプチドカクテルワクチンを提供する。本発明はまた、前記ペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを治療する方法を提供する。本発明はさらに、前記ペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを予防する方法を提供する。

Description

本発明は、がんの治療または予防のための汎HLA型対応ペプチドカクテルワクチンに関する。
現在、がん免疫療法としては、生体外で増殖させたNK細胞やT細胞を用いた養子免疫療法や樹状細胞療法、あるいはがん細胞やがん細胞を樹状細胞と融合させた細胞による能動免疫療法などがおこなわれている。しかしながら、抗原が特定されたものではないため、科学的に効果を解析することができず、第三者が検証できないという欠点を有する。また、いずれも大規模な施設を要し、高額であるため、一部の患者しか受けることができないという欠点を有する。そのため、どこででも受けられる能動特異免疫療法として、がんペプチドワクチンの開発が望まれている。
がんワクチンは、がんを特異的に認識傷害する免疫反応、特に細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte, CTL)の活性化を生体内で起こさせ、がんを拒絶退縮させる治療法であり、能動特異的免疫療法とも呼ばれる。その中でペプチドワクチンは、がん関連抗原ペプチドを乳化添加剤などとともに体内に投与し、CTLを賦活化させるものである。
CTLはT細胞抗原受容体(T cell receptor,TCR)を持つ。このTCRを介してがん細胞のヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen, HLA)クラス I分子上に提示されたペプチド(8〜10個のアミノ酸)が認識されると、活性化のシグナルがCTL内に伝達される(抗原刺激)。抗原刺激されたCTLは、賦活化T細胞と呼ばれる活性化CTLとなって、同じペプチドを提示する細胞のみを標的として傷害・排除に働く。さらにこれらのCTLは近傍の免疫系の活性化と自らの細胞(がん特異的CTL)の増加を惹起して、がん排除への免疫ネットワークを作動させる(非特許文献1〜10)。
ペプチドワクチンには、CTLが認識するがん関連抗原、即ち、がん細胞に多く発現するが、正常細胞には発現していない、もしくは発現が極めて少ない抗原のペプチドが用いられる。がん関連抗原を認識する免疫反応を起こさせると、CTLはこの抗原を持つ細胞だけを攻撃し、正常細胞を傷害しない。
ペプチドワクチンが皮下に投与された場合、まず皮膚の抗原提示細胞によって捕捉され、投与部位近くのリンパ節にペプチドが搬送される。このリンパ節内で患者のリンパ球がペプチドによって賦活化され、そのペプチドに特異的なCTLが増殖する。増殖したCTLはリンパ節から循環系に入り、体内を循環してがん細胞を探し出し傷害する。ペプチドワクチンによる治療法は、このようにして薬効を発揮させる新しい作用メカニズムに則った治療法である。
一方、ペプチドそのものはがん細胞を傷害することはない。また、その他の直接的な薬理作用は今のところ確認されていない。そのため、高い安全性が期待されている。
ペプチドを用いたワクチンは、悪性黒色腫やリンパ腫に対する特異的免疫療法として1990年代から欧米において臨床研究が行われ、有効性を示す報告がなされている。しかしながら、ペプチドワクチンとして単独の薬剤の承認はまだない。
本発明者らは、個々のがん患者末梢血におけるT細胞エピトープ(候補ペプチド)に対するハイスループット型の抗体測定法(特許文献1)を開発し、テーラーメイド型ペプチドワクチン(personalized peptide vaccine、PPV)療法を行っている(特許文献2)。当該療法では、注射刺入部の疼痛、硬結が主な副作用であり、多くの抗がん剤にみられるような悪心、嘔吐や脱毛などを伴わず、患者のQOL向上が期待できる結果を得ている。
特許第3960614号明細書 米国特許第7718614号明細書
Nakao M et al., J Immunol. 164:2565−2574, 2000. Yang D et al., Cancer Res. 59:4056−4063, 1999. Harashima N et al., Eur J Immunol. 31:323−332, 2001. Inoue Y et al., J Urol. 166:1508−1513, 2001. Harada M et al., Prostate. 57(2):152−159, 2003. Kobayashi K et al., Cancer Sci. 94(7):622−627, 2003. Ogata R et al., Prostate. 60:273−281, 2004. Yao A et al., Br J Cancer. 91:287−296, 2004. Shomura H et al., Eur J Cancer. 40:1776−1786, 2004. Yamada A et al., Cancer Res. 61: 6459−6466, 2001.
上述の養子免疫療法や樹状細胞療法、あるいはがん細胞やがん細胞を樹状細胞と融合させた細胞による能動免疫療法などには、第三者が検証することが困難であるという問題点がある。さらに、このような治療法を行うには大規模な施設を要し、また高額であるため一部の患者しか受けることができないなどの欠点を有する。これらの問題点を克服するため、本発明者らはテーラーメイド型ペプチドワクチン(personalized peptide vaccine、PPV)療法を開発中である。しかしながら、PPV療法は患者ごとに用いるペプチドの選択を要するため、汎用性の面で短所を有する。そこで、PPV療法の短所を克服した、ペプチドワクチンの開発が望まれている。
本発明者らは、従来から行われている能動免疫療法およびPPV療法の有する上述の短所を克服するために、鋭意研究を重ね、患者へ投与されるペプチドカクテルワクチンであって、該患者において有効な少なくとも2種類以上のCTLエピトープペプチドを含む、ペプチドカクテルワクチンを完成させた。
カクテル製剤の場合、親和性の高いペプチドが競合的にHLA分子に結合し、親和性が相対的に低いペプチドの効果が落ちる可能性が指摘されていた。この点に関しては、HLA−A24結合性ペプチドのカクテルにおいて効果が認められるという報告があることから(Akiyama Y et al., Anticancer Res, 2004, 24:571−7を参照のこと)、カクテルワクチンの可能性が示唆されている。しかしながら、当該報告は、異なるHLAタイプのペプチドカクテルによる汎HLAペプチドワクチンの可能性を示唆したものではない。一方、Rosenberg SAら(Rosenberg SA et al., J Immunother, 2006, 29:224−231Masanori Noguchi et al., Cancer Biology & Therapy 2010, 29;10(12))は、ペプチドの種類や組み合わせによって、別々に投与する場合と混合して投与する場合で、結果が異なることを示した。これらの違いは、局所の非特異的な炎症の惹起やHLA分子に対する競合的なペプチドの結合などが考えられている。従って、カクテルにした場合のワクチンとしての効果は容易に類推できるものではなく、臨床試験によってのみ明らかになると考えられる。
本発明は、過去の単独ペプチド投与における臨床試験の結果に基づいて、候補ペプチドを選び、これらのペプチドをカクテルにした場合、HLAタイプに依存せずに臨床効果が得られるかどうかを、異なるがん種における臨床試験に供することで検証した結果完成された、TNを含む標準治療抵抗性乳がん患者、スキルス胃がんを含む進行・再発胃がん患者、および前立腺がんの治療に用いるペプチドカクテル製剤に関するものである。
すなわち、本発明は、以下のものを提供するものである:
(1)がんを有する患者へ投与されるペプチドカクテルワクチンであって、
該患者において有効な少なくとも2種類以上のCTLエピトープペプチドを含む、
ペプチドカクテルワクチン;
(2)Lck−488(配列番号1)、SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、PSA−248(配列番号4)、Lck−486(配列番号5)、EGFR−800(配列番号6)、WHSC2−141(配列番号7)、Lck−246(配列番号8)、PAP−213(配列番号9)、HNRPL−140(配列番号10)、SART3−109(配列番号11)、WHSC2−103(配列番号12)、MRP3−1293(配列番号13)、UBE2V−43(配列番号14)、SART3−302(配列番号15)、Lck−449(配列番号16)、PSMA−624(配列番号17)、PTHrP−102(配列番号18)、CypB−129(配列番号19)およびLck−208(配列番号20)からなる群から選択される少なくとも2個以上のCTLエピトープペプチドを含む、(1)に記載のペプチドカクテルワクチン;
(3)PAP−248(配列番号21)、EZH2−735(配列番号22)、UBE2V−85(配列番号23)、MRP3−503(配列番号24)、SART2−93(配列番号25)、SART3−511(配列番号26)、SART3−309(配列番号27)、HNRPL−501(配列番号28)、SART2−161(配列番号29)、ppMAPkkk−432(配列番号30)およびLck−422(配列番号31)からなる群から選択される少なくとも1個以上のCTLエピトープペプチドをさらに含む、(2)に記載のペプチドカクテルワクチン;
(4)SART2−93(配列番号25)、SART3−109(配列番号11)、Lck−488(配列番号1)、PAP−213(配列番号9)およびUBE2V−43(配列番号14)を含む、(2)に記載のペプチドカクテルワクチン;
(5)PSA−248(配列番号4)、CypB−129(配列番号19)、WHSC2−103(配列番号12)、SART3−302(配列番号15)およびLck−246(配列番号8)を含む、(1)に記載のペプチドカクテルワクチン;
(6)SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、Lck−449(配列番号16)、MRP3−1293(配列番号13)およびWHSC2−141(配列番号7)を含む、(1)に記載のペプチドカクテルワクチン;
(7)(1)〜(6)のいずれか一つに記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを治療するための方法;および
(8)(1)〜(6)のいずれか一つに記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを予防するための方法、
に関する。
(9)5〜10日に1回、0.5〜3mg/ペプチド/回の投与量で投与される、(1)〜(6)のいずれか一つに記載のペプチドカクテルワクチン。
(10)5〜10日に1回、0.5〜3mg/ペプチド/回の投与量で(1)〜(6)のいずれか一つに記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを治療するための方法。
(11)5〜10日に1回、0.5〜3mg/ペプチド/回の投与量で(1)〜(6)のいずれか一つに記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを予防するための方法。
本発明によれば、HLA−A24、HLA−A2、HLA−A3スーパータイプあるいはHLA−A26のそれぞれに拘束性の細胞傷害性T細胞を誘導することにより、汎HLA型のペプチドカクテルワクチンを提供することが可能になる。またそのようなペプチドカクテルワクチンを投与することによる、がんの治療または予防が可能になる。
本発明のペプチドワクチンカクテル製剤は、ペプチドワクチンの長所(がん抗原エピトープのみ)およびテーラーメイド型の長所(2次免疫賦活)、ならびにタンパク質ワクチンの長所(HLA非拘束)を有する世界最初の発明といえる。本発明のペプチドワクチンカクテル製剤は、設備の整った大病院のみならず、小規模の診療所でも投与できる。また、抗がん剤治療のような重篤な副作用も少なく、QOLが維持されるため、入院の必要がない。従って、手術療法、抗がん剤療法、放射線療法に続く第4のがんの治療法として有用である。また、作用機序が異なる治療法との併用療法などの可能性を有する。
KRM−20第I相臨床試験におけるA群(0.3mg/0.15mL/ペプチド)の細胞性免疫能(CTL)を示す。黒:症例番号1105、左下がり斜線:症例番号1106、右下がり斜線:症例番号1301、白:症例番号1401、格子柄:症例番号1402 KRM−20第I相臨床試験におけるB群(1mg/0.5mL/ペプチド)の細胞性免疫能(CTL)を示す。黒:症例番号1101、左下がり斜線:症例番号1201、右下がり斜線:症例番号1202、白:症例番号1204、格子柄:症例番号1302、横線:症例番号1404 KRM−20第I相臨床試験におけるC群(3mg/1.5mL/ペプチド)の細胞性免疫能(CTL)を示す。黒:症例番号1102、左下がり斜線:症例番号1103、右下がり斜線:症例番号1104、白:症例番号1107、格子柄:症例番号1303、横線:症例番号1403 KRM−20第I相臨床試験におけるA群(0.3mg/0.15mL/ペプチド)の血清PSA値の推移を示す。丸・実線:症例番号1105、四角・破線:症例番号1106、四角・実線:症例番号1301、三角・実線:症例番号1401、丸・破線:症例番号1402 KRM−20第I相臨床試験におけるB群(1mg/0.5mL/ペプチド)の血清PSA値の推移を示す。丸・実線:症例番号1101、四角・実線:症例番号1201、丸・破線:症例番号1202、白四角・破線:症例番号1204、三角・実線:症例番号1302、黒四角・破線:症例番号1404 KRM−20第I相臨床試験におけるC群(3mg/1.5mL/ペプチド)の血清PSA値の推移を示す。三角・破線:症例番号1102、丸・破線:症例番号1103、白菱形・実線:症例番号1104、丸・実線:症例番号1107、四角・破線:症例番号1303、黒菱形・実線:症例番号1403
1つの態様において、本発明は、がんを有する患者へ投与されるペプチドカクテルワクチンであって、該患者において有効な少なくとも2種類以上のCTLエピトープペプチドを含む、ペプチドカクテルワクチンに関する。
一実施形態では、前記ペプチドカクテルワクチンは、前記CTLエピトープペプチドとして、Lck−488(配列番号1)、SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、PSA−248(配列番号4)、Lck−486(配列番号5)、EGFR−800(配列番号6)、WHSC2−141(配列番号7)、Lck−246(配列番号8)、PAP−213(配列番号9)、HNRPL−140(配列番号10)、SART3−109(配列番号11)、WHSC2−103(配列番号12)、MRP3−1293(配列番号13)、UBE2V−43(配列番号14)、SART3−302(配列番号15)、Lck−449(配列番号16)、PSMA−624(配列番号17)、PTHrP−102(配列番号18)、CypB−129(配列番号19)およびLck−208(配列番号20)からなる群から選択される、少なくとも2個以上のペプチドを含む。例えば、前記ペプチドカクテルワクチンは、Lck−488(配列番号1)、SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、PSA−248(配列番号4)、Lck−486(配列番号5)、EGFR−800(配列番号6)、WHSC2−141(配列番号7)、Lck−246(配列番号8)、PAP−213(配列番号9)、HNRPL−140(配列番号10)、SART3−109(配列番号11)、WHSC2−103(配列番号12)、MRP3−1293(配列番号13)、UBE2V−43(配列番号14)、SART3−302(配列番号15)、Lck−449(配列番号16)、PSMA−624(配列番号17)、PTHrP−102(配列番号18)、CypB−129(配列番号19)およびLck−208(配列番号20)を含む。
他の実施形態では、前記ペプチドカクテルワクチンは、PAP−248(配列番号21)、EZH2−735(配列番号22)、UBE2V−85(配列番号23)、MRP3−503(配列番号24)、SART2−93(配列番号25)、SART3−511(配列番号26)、SART3−309(配列番号27)、HNRPL−501(配列番号28)、SART2−161(配列番号29)、ppMAPkkk−432(配列番号30)およびLck−422(配列番号31)からなる群から選択される少なくとも1個以上のペプチドをさらに含んでもよい。
別の実施形態では、前記ペプチドカクテルワクチンは、SART2−93(配列番号25)、SART3−109(配列番号11)、Lck−488(配列番号1)、PAP−213(配列番号9)およびUBE2V−43(配列番号14)を含む。また別の実施形態では、前記ペプチドカクテルワクチンは、PSA−248(配列番号4)、CypB−129(配列番号19)、WHSC2−103(配列番号12)、SART3−302(配列番号15)およびLck−246(配列番号8)を含む。さらに別の実施形態では、前記ペプチドカクテルワクチンは、SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、Lck−449(配列番号16)、MRP3−1293(配列番号13)およびWHSC2−141(配列番号7)を含む。
本発明者らは以前、CTLエピトープに対する抗体の陽性率が患者の予後と良い相関を示すことを見出した(Masanori Noguchi et al., Cancer Biology & Therapy 2010, 29;10(12)を参照のこと)。これより、当該抗体に対する陽性率の高いペプチドを選択することで、治療効果の高いペプチドワクチンカクテルを作製できると考えた。従って、本発明のペプチドカクテルワクチンに用いられるペプチドは、患者の血液試料中の抗ペプチド抗体陽性率を指標に選別される。用いられる血液試料は、ペプチドワクチンによるがん治療の開始前に採取されたものであり、全血、血清および血漿が含まれる。血液試料は、当技術分野において知られる常套的方法によって調製することができる。
患者血液試料中の抗ペプチド抗体は、当技術分野において知られるいずれの方法により測定してもよい。測定方法としては、例えばELISA法(Pedersen MK, et al., J Immunol Methods. 2006 Apr 20;311(1−2):198−206. Epub 2006 Mar 6.)、ルミネックス法(Komatsu N, et al., Scand J Clin Lab Invest 64, 535−546, 2004)、RIA法(Maruta T, et al., Immunol Invest. 2006;35(2):137−48.)が挙げられる。本発明では、ルミネックス法により測定することが好ましい。測定する抗ペプチド抗体のクラスはペプチドの種類にしたがい適宜決定されるが、通常IgGまたはIgMである。
本発明のペプチドカクテルワクチンには、上述のように測定した抗ペプチド抗体の陽性率が高いペプチドが用いられる。好ましくは、抗ペプチドIgG1抗体陽性率が高いペプチドが用いられる。
ペプチドの選別に用いられるIgG1抗体は、主にTヘルパー1細胞の指令下に産生される。この抗体は、がん免疫活性化において重要な役割を担うと考えられており、一般的には用いられていない。本発明のペプチドカクテルワクチンは、日本人の98%以上をカバーすることができるHLA−A24、−A2、−A3super typeおよびHLA−A26結合ペプチドから構成される。そのため、本発明のペプチドカクテルワクチンは、それぞれのHLAタイプに拘束性の細胞傷害T細胞を誘導することが明らかにされ、かつ以下の実施例に記載されるように、臨床試験において安全性が証明され、生体内での特異的免疫応答を誘導できることが確認されている。従って、本発明のペプチドカクテルワクチンは、ペプチドワクチンの長所(がん抗原エピトープのみ)、テーラーメイド型の長所(2次免疫賦活)およびタンパク質ワクチンの長所(HLA非拘束)を有する。
抗ペプチド抗体陽性率は、がんの種類によって異なる。すなわち、ある種類のがんに対するペプチドカクテルワクチンに用いるペプチドから除かれたペプチドであっても、他の種類のがんの患者における抗ペプチド抗体陽性率が高ければ、当該他の種類のがんに対する本発明のペプチドカクテルワクチンに用いることができる。
さらに本発明において、ペプチドカクテルワクチンに含まれる上述のCTLエピトープペプチドは、それらの変異体も包含する。変異体は、例えば上記のうちの1つのアミノ酸配列において、1個〜数個、例えば2、3または4個のアミノ酸が、置換、欠失または付加されたアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。あるいは、上述のペプチドを構成するアミノ酸のいずれかが適宜修飾されたものであってもよい。アミノ酸残基の修飾は、公知の方法にて実施することができる。これらの変異体および修飾体は、細胞傷害性T細胞(CTL)に認識されるものである限り、本発明のペプチドカクテルワクチンに含まれるペプチドに含まれ得る。
本発明のペプチドカクテルワクチンは、2〜14日に1回、例えば3〜12日に1回、5〜10日に1回または1週間に1回投与される。本発明のペプチドカクテルワクチンの1回あたりの投与量は、0.2〜10mg/ペプチド、例えば0.3〜8mg/ペプチド、0.3〜5mg/ペプチド、0.3〜4mg/ペプチド、0.3〜3mg/ペプチド、0.3〜2.5mg/ペプチド、0.3〜2mg/ペプチド、0.3〜1.5mg/ペプチド、0.5〜5mg/ペプチド、0.5〜4mg/ペプチド、0.5〜3mg/ペプチド、0.5〜2.5mg/ペプチド、0.5〜2mg/ペプチド、0.5〜1.5mg/ペプチド、1〜3mg/ペプチド、1〜2.5mg/ペプチド、1〜2mg/ペプチドまたは1〜1.5mg/ペプチドである。なお、投与頻度、投与回数および投与量などは、疾患の種類、投与される患者の状態などの条件に応じて適宜選択できる。
他の態様において、本発明は、本発明のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを治療する方法を提供する。他の態様において、本発明は、本発明のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを予防する方法を提供する。前記のがんを予防する方法は、がんの再発を予防する方法であってもよい。この場合、手術後の微少残存病変を治療標的としてもよい。
さらなる態様において、本発明は、がんの治療における使用のための、本発明のペプチドカクテルワクチンに関する。あるいは、本発明は、がんの予防における使用のための、本発明のペプチドカクテルワクチンに関する。
別の態様において、本発明は、がんを治療するための医薬の製造のための、本発明のペプチドカクテルワクチンの使用に関する。あるいは、がんを予防するための医薬の製造のための、本発明のペプチドカクテルワクチンの使用に関する。
さらに、本発明は、がんを治療するための本発明のペプチドカクテルワクチンの製造のための、上述のCTLエピトープペプチドまたはそれらの変異体もしくは修飾体の使用に関する。あるいは、本発明は、がんを予防するための本発明のペプチドカクテルワクチンの製造のための、上述のCTLエピトープペプチドまたはそれらの変異体もしくは修飾体の使用に関する。
またさらに、本発明は、がんを治療するための、本発明のペプチドカクテルワクチンを含有する医薬組成物に関する。あるいは、本発明は、がんを予防するための、本発明のペプチドカクテルワクチンを含有する医薬組成物に関する。このような医薬組成物は、医薬上許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでもよい。本発明の医薬組成物に含まれるペプチドカクテルワクチンの量および各CTLエピトープペプチドの量、医薬組成物の剤形、投与頻度などは、がんの種類、投与される対象の状態、標的部位などの条件に応じて適宜選択できる。
さらなる態様において、本発明は、上述のペプチドカクテルワクチンを製造するための方法に関する。また、それらを含む医薬組成物を製造するための方法に関する。
本発明において、上述のペプチドカクテルワクチンは、不完全フロイントアジュバントあるいはその他のアジュバントと、混合または混合・乳化されるものであってもよい。
本発明において、治療または予防の対象であるがんはいずれのがんであってもよい。また、標準治療法抵抗性の進行がんなどの高度進行がんであってもよい。例えば、食道がん、胃がん、十二指腸がん、大腸がん、小腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管がん、膵臓がんなどの消化器がん、非小細胞肺がんなどの肺がん、乳がん、胚細胞がん、皮膚がん、膀胱がん、尿路上皮がん、前立腺がん、子宮がん、子宮頸がん、卵巣がん、内分泌がん、頭頸部がん、神経膠腫などの脳腫瘍、胸腺がん、血液腫瘍あるいは肉腫である。好ましくは、消化器がん、乳がんあるいは前立腺がんである。特に、スキルス胃がんを含む標準治療抵抗性胃がん、エストロジェン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性かつHER2陰性であるトリプルネガティブ(TN)乳がん、あるいは去勢抵抗性前立腺がんである。
本発明のペプチドカクテルワクチンの投与方法は、がんの種類、投与される対象の状態、および/または標的部位などの条件に応じて適宜選択することができる。当該方法としては、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経鼻投与、経口投与、経肺投与、座剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、本発明のペプチドカクテルワクチンの投与方法は皮下投与である。
本発明のペプチドカクテルワクチンは、汎HLA型対応ペプチドカクテルワクチンである。本発明のペプチドカクテルワクチンはまた、少なくとも日本人の98%以上のHLA型に適合しうる。従って、本発明のペプチドカクテルワクチンが投与される患者は、ペプチドカクテルワクチンの投与前および/または投与後に、そのHLA型が確認されていても、されていなくてもよい。一実施形態では、患者は7種類の異なるHLA−クラスI分子(HLA−A2、HLA−A3、HLA−A11、HLA−A24、HLA−A26、HLA−A31およびHLA−A33)のいずれかに陽性である。しかしながら、この場合であっても、患者がどのHLA型であるかを事前に確認することを要しない。
以下に、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例により本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.混合ペプチド製剤(ペプチドカクテルワクチン)に用いるペプチドの選択
7種類の異なるHLAクラスI分子のいずれかに陽性である患者において有効な、汎HLA型対応混合ペプチド製剤を作製するため、候補となるペプチドを選択した。候補ペプチドは、複数のHLA型に対応する31種類のCTLエピトープペプチドの中から選択された。これらの31種類のペプチドを、以下の表に示す。
Figure 2014181805
1−1.乳がん、胃がんおよび前立腺がんにおける抗体陽性率
上述の31種類のペプチドについて、乳がん、胃がんまたは前立腺がんを患っている102名の患者の末梢血における抗ペプチドIgG1抗体陽性率を調べた。結果を以下の表に示す。
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
表2−1〜表2−6において、数値が太字で示されている場合、当該がんにおいて当該ペプチドが陽性であることを示す。「陽性率」の欄が太字であるペプチドは、調査した102名のがん患者末梢血における陽性率の高いものであり、後述の実施例で用いるペプチドとして選択された。7種類のペプチド(SART2−93、SART3−511、SART3−309、HNRPL−501、SART2−161、ppMAPkkk−432、およびLck−422)は、カクテルワクチンとしての製剤上、問題があったため、後述の実施例で用いる候補からは削除された。また、乳がん、胃がんおよび前立腺がん患者における抗ペプチドIgG1抗体陽性率が相対的に低い(6〜36%)4種類のペプチド(PAP−248、EZH2−735、UBE2V−85、およびMRP3−503)も、後述の実施例で用いる候補からは削除された。これら11種類を除いた20種類(Lck−488、SART3−734、Lck−90、WHSC2−103、PSA−248、Lck−486、EGFR−800、WHSC2−141、Lck−246、PAP−213、HNRPL−140、SART3−109、MRP3−1293、UBE2V−43、SART3−302、Lck−449、PSMA−624、PTHrP−102、CypB−129、Lck−208)を、胃がん、乳がんおよび前立腺がんに対するペプチドカクテルワクチンに用いるペプチドとして選別した。
1−2.がん種別の抗体陽性率
がん種によって選ばれるペプチドの種類が同じであるかを検討するため、上述の結果(表2−1〜表2−6)をがん種別に分類した。結果を以下の表に示す。表3−1〜表3−3は乳がん、表4−1〜表4−3は胃がんについての結果を示す。
Figure 2014181805
Figure 2014181805

Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
乳がん患者のみの結果(表3−1〜表3−3)から選択されるペプチドでは、上位20番目のペプチドが、Lck−208ではなくPAP−248であった(表3−2)。すなわち、乳がん患者においては、Lck−208の代わりにPAP−248を用いることができることが示された。その他のペプチドは、3種のがん(乳がん、胃がんおよび前立腺がん)をまとめて解析した結果に基づいて選ばれたペプチド(表2−1〜表2−6)と共通していることがわかった。胃がん患者のみの結果(表4−1〜表4−3)からは、3種のがんをまとめて解析した結果と同じペプチドが選択された。同様に、前立腺がん患者の結果からも、3種のがんをまとめて解析した結果と同じペプチドが選択されることがわかった。
また、それぞれの患者のHLAタイプが該当するペプチド(表3−1〜表4−3において、数値が太字で示されている部分)に絞って解析しても、同様のペプチドが選択されることがわかった。さらに乳がんにおけるTN症例(7例)および胃がんにおけるスキルス胃がん症例(12例)でも同様のペプチドが選択されることがわかった。
以上の結果から、配列番号1から20のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドが、本発明の製剤に好適であることが示された。これらのペプチド、および乳がんの結果で上位20番目であったPAP−248について、由来するタンパク質名、タンパク質の一次構造における位置、アミノ酸配列、結合するHLAタイプ、各がん種における抗体陽性率を以下の表にまとめる。
Figure 2014181805
1.ペプチドカクテルのラット単回皮下投与毒性試験
次に、候補ペプチドをカクテルにした場合の急性毒性を、ラットを用いた単回皮下投与毒性試験(ボゾリサーチセンター:試験番号N−B481, N−B482)によって調査し、安全性を確認した。
1−1.ペプチドカクテルの調製
用いたペプチドは、以下の表の通りである。それぞれ0.5および5mg/kg/日を6週齢のSprague−Dawley系SPFラット(1群雄雌各5匹)に単回皮下投与し、毒性を検討した。なお、比較対象として、生理食塩液を同様に投与する生食対照群と、生理食塩液と7%炭酸水素ナトリウム注射液とを1:1で混合したものを同様に投与する媒体対照群の2群を設けた。
Figure 2014181805
1−2.結果
雌雄ともに死亡動物は見られず、最小致死量は5mg/kgを上回った。また、雌雄ともに一般状態、体重推移に異常は見られなかった。さらに、剖検によって確認したところ、雌雄ともに投与部位ならびにいずれの器官および組織にも異常は見られなかった。これらの結果から、がんペプチド10種カクテルおよびがんペプチド16種カクテルを、ヒトにおける最大投与予定量の100倍に相当する5mg/kg/日でラットに単回皮下投与しても、何ら毒性兆候は認められないことが示された。
1.ペプチドの溶解順番の検討
20種類のペプチド(配列番号1〜20)のうち、以下の表に示すペプチドは7%炭酸水素ナトリウム注射液に順次溶解する場合、溶解する順番によって不溶化物が認められた。そのため、溶解する順番を検討した。結果、溶解する順番を以下のように変更することによって溶解性を改善することができた。
Figure 2014181805
1.ペプチド混合溶液を用いたCTL誘導実験
1−1.混合ペプチドの調製
以下の表に示す混合ペプチド1〜3を用いて、CTL誘導実験を行った。各ペプチドをそれぞれ50mg/mLに調製し、同量を混合することにより、混合ペプチドを作製した。
Figure 2014181805
1−2.ペプチドによる末梢単核球(PBMC)の刺激
HLA−A2/A24陽性である検体番号Pt.2から末梢血を採取し、常法によってPBMCを得た。得られたPBMCを、in vitroでMix1〜3のいずれか、または各混交物に含まれるいずれかのシングルペプチドで刺激した。得られたペプチド刺激PBMCを、PBMCへのペプチド刺激に用いた混合ペプチドに含まれるシングルペプチド、また刺激に用いたシングルペプチドと同一のペプチドをパルスした標的細胞と共に培養した。産生されるIFN−γを測定し、CTL誘導の指標とした。
詳細には、PBMCを1x10細胞/mLとなるように、RPMI1640培養液(10%FCS含有)に浮遊させた。20μg/mLのペプチド濃度を有するように、Mix1〜3溶液を調製した。96ウェルU底プレートに、浮遊したPBMCを100μL採取し、調製したMix1〜3溶液を、それぞれ100μL/ウェルで添加した。各検体のHLAのシングルペプチドについても同様に調製し、それぞれ100μL/ウェルで添加した。次いで、COインキュベーター(5%CO)にて37℃で培養した。培養開始から3日目、6日目、8日目、10日目に、以下の手順で培養上清の交換を行った。まずウェル中の培養上清を、100μLだけ残るように吸引廃棄した。次に、上述のように調製したMix1〜3およびシングルペプチドを、それぞれ100μL/ウェルで添加した。培養開始から13日目に、ウェル中の培養上清を、100μLだけ残るように吸引廃棄し、次いで、新しい培養液を100μL添加した。
培養開始から14日目に、標的細胞に活性化T細胞を加えた。HLA−A2の場合は、PBMCへのペプチド刺激に用いたものと同じペプチドをパルスしたT2細胞を、標的細胞として用いた。HLA−A24の場合は、PBMCへのペプチド刺激に用いたものと同じペプチドをパルスしたC1R−A24細胞を、標的細胞として用いた。対照として、HIVペプチド(対照ペプチド)でパルスした標的細胞を用いた。活性化T細胞は、上述の通りに刺激したPBMCのうちT細胞が活性化した細胞である。まず、標的細胞を2x10細胞/mLとなるように、RPMI1640培養液(10%FCS含有)に浮遊させた。ペプチド溶液を、ペプチド濃度が40μg/mLとなるように、RPMI1640培養液(10%FCS含有)を用いて調製した。96ウェル平底プレートの各ウェルに、標的細胞を50μL/ウェルの密度で加えた。調製したペプチド溶液を1ウェル当たり50μL添加した。その後、2時間以上培養した。次に、上述の通り培養したPBMCを遠心分離に供した。沈んでいるPBMCを吸引しないように、培養上清を吸引廃棄し、RPMI1640培養液(10%FCS含有)を適量添加した。1500rpmで5分間遠心分離に供した。再度、沈んでいる細胞を吸引しないように上清を吸引廃棄し、全量が220μL/ウェルになるようにRPMI1640培養液(10%FCS含有)を加えた。培養した標的細胞に、前述の通り調製したPBMCを100μL添加した。シングルペプチドで培養したものはそのペプチドを提示した標的細胞と、Mix1〜3で培養したものは、それぞれに含まれる5種類の各シングルペプチドを提示した標的細胞と混合した。16〜18時間インキュベートした。培養開始から15日目に、HTSにてELISAを実施した。
結果を以下の表に示す。HLA−A2/A24陽性である検体番号Pt.2由来の末梢血を用いた測定で、3種類のペプチド(SART2−93、UBE2V−43、SART3−302)において、IFN−γのネット値が50pg/mL以上であり、危険率5%以下を有意とした場合に有意差が認められた。なお、上記「ネット値」とは、バックグラウンドを差し引いた蛍光強度で表される測定値である。また、Mix1で刺激したウェルではSART2−93とLck−488、Mix2で刺激したウェルではLck−246、Mix3で刺激したウェルではSART3−734とLck90で、それぞれ有意なCTL活性が誘導された。以上のことから、複数のペプチドの混合物を加えて培養してもペプチド特異的CTLの誘導が認められることがわかった。さらに、単独のペプチドを加えて培養する場合と複数のペプチドの混合物を加えて培養した場合とでは、誘導されるCTLのペプチド特異性に違いがあることがわかった。
Figure 2014181805
1.20種類ペプチドを混合した混合ペプチドワクチン(KRM−20)を用いた去勢抵抗性再燃前立腺がん患者に対する第I相ワクチン臨床試験
配列番号1から20のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドを含有する混合20ペプチドワクチン(KRM−20)の去勢抵抗再燃前立腺がん(castration resistant prostate cancer:CRPC)に対する最小免疫効果用量(MIED)、安全性、免疫応答、および予備的な抗腫瘍効果を調べるために、臨床試験を行った。KRM−20は、配列番号1から20のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドを生理食塩水に溶解した溶液と、これら20種類のペプチドを7%炭酸水素ナトリウム溶液に溶解した溶液を、1:1の割合で混合した混合ペプチドワクチン製剤である。
1−1.方法
無作為に割り当てられた3群(A〜C群)の患者に対して、3種類の異なる用量のKRM−20をそれぞれ1週間に1回、計6回投与した。6回目の投与から1週間後に、ペプチド特異的細胞傷害性T細胞および抗体(IgG)を測定することにより、免疫応答を解析した。各群の投与量は以下の表の通りである。
Figure 2014181805
臨床試験に登録した17例の患者の背景は以下の表の通りである。
Figure 2014181805
PS:全身状態(Performance Status)、Eastern Cooperative Oncology Groupの分類に従って記載した。
SC:スクリーニング
PSA:前立腺特異抗原(prostate specific antigen)
CR:完全奏効(complete response)、血清PSA値が4ng/mL以下に下降し、前立腺生検にてがん病巣が検出されず、がんに関連した症状を認めない場合を指す。
PR:部分奏効(partial response)、血清PSA値が50%以上下降したものの4ng/mL以下には下降しなかった場合、もしくは血清PSA値が4ng/mL以下に下降したものの生検でがん細胞を認める場合を指す。
NC:変化無し(No Change)、血清PSA値が50%未満の改善か25%未満の増悪を呈した場合を指す。
PD:進行(progressive disease)、血清PSA値が25%以上の増悪を呈した場合、もしくは推定腫瘍体積の25%あるいはそれ以上の増加が見られた場合、または同等の新しい病変が生じた場合を指す。
臨床試験を中止した2例(症例番号:1204および1103)で見られた有害事象は、いずれもKRM−20投与との関連はないと考えられた。
1−2.結果
1−2−1.有害事象およびPSA値
臨床試験を実施した17名の患者において、ワクチン投与に関連する重篤な有害事象は認められなかった。最も一般的なワクチン投与に関連する有害事象としては、投与箇所におけるグレード1の皮膚炎症反応(76.5%)、グレード2のアミノトランスフェラーゼの上昇(5.9%)、およびグレード2の皮膚感染(5.9%)であった。3名の患者で血清PSA値の減少が観察された。
1−2−2.液性免疫能(抗体価)の増強
第I相臨床試験において臨床試験を中止した2名を除く15名の患者について免疫応答を解析した。KRM−20に含まれる各ペプチドに対する抗ペプチド抗体価の推移を、以下の表に示す。太字で表した数値は、投与開始時の抗体価に比べて2倍以上の値が得られている数値であり、「増強」と判定した。「増強」と判定された結果を示すペプチドを、「増強ペプチド」とする。増強ペプチドのうち、被験者のHLA型に相当するペプチド(太字、斜体)の数を、増強ペプチド数として最下段に示した。KRM−20の表示欄は各ペプチド抗体価の総和である。
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
10例(66.7%)でCTLの上昇が、11例(73.3%)でIgGの上昇が観察された。線形回帰モデル(logistic regression model)による計算の結果、CTL応答におけるKRM−20のMIEDは0.8mg/ペプチドであり、KRM−20の推奨用量は1mg/ペプチドであった。増強ペプチドを1つでも有している患者は、0.3mg投与群では4/5(4/5、括弧内は投与完了症例)例、1mg投与群では3/6(2/5)例、3mg投与群では5/6(5/5)例であった。
カクテルワクチンを1mg/0.5mL/ペプチドおよび3mg/0.5mL/ペプチドで6回投与した後、抗体価が2倍以上上昇した患者の割合を、テーラーメイドタイプのワクチン投与と比較した。結果を以下の表に示す。ほとんどのペプチドで抗体価の上昇する患者の割合が増加していた。PTHrP−102のみテーラーメイドタイプの方の割合が高かった。このことから、カクテルワクチンの方がテーラーメイドタイプのワクチンと比べて抗体産生応答が早くおこることが示された。
Figure 2014181805
1−2−3.細胞性免疫能(CTL)の増強
細胞性免疫能(CTL)の賦活化作用について、表16〜18および図1〜3に示した。
Figure 2014181805
Figure 2014181805
Figure 2014181805
以上の抗体価とCTLの増強の成績からロジスティック解析を行い、免疫学的最小免疫反応有効量は液性免疫(抗体価)および細胞性免疫(CTL)でそれぞれ0.27mgおよび0.80mgと算出された。
カクテルワクチンを1mg/0.5mL/ペプチドまたは3mg/0.5mL/ペプチドで4回または6回投与した後、ELISPOTで測定したCTL値が2倍以上上昇した患者の割合を、テーラーメイドタイプのワクチン投与と比較した。結果を以下の表に示す。CypB−129、PAP−248、WHSC2−103、WHSC2−141など一部のペプチドでは、投与回数4回でもCTL値の上昇を示す患者の割合が増加していた。このことから、カクテルワクチンの方がテーラーメイドタイプのワクチンと比べてCTL誘導が早くおこることが示された。
Figure 2014181805
1−2−3.PSAの推移
PSAの推移を図4〜6に示す。低用量群の0.3mg投与群では投与前の上昇カーブとほぼ同じ様に推移した。1mg投与群では1例で50%以上の減少(PR症例)を示し、更に1例は基準値内まで回復(CR症例)した。3mg投与群では2例でPSAの減少が見られたが、NC判定であった。以上のことから、PSAに対する効果から考えると、1mg程度の投与量で十分であることがわかった。
本発明によれば、がん治療において、患者のHLAタイプに依存せずに用いることができるペプチド製剤の提供が可能になる。これは、従来から行われている能動免疫療法およびPPV療法の有する短所を克服するものである。本発明は、TNを含む標準治療抵抗性乳がん患者、スキルス胃がんを含む進行・再発胃がん患者、および前立腺がんなどのがんの治療において利用可能である。

Claims (11)

  1. がんを有する患者へ投与されるペプチドカクテルワクチンであって、
    該患者において有効な少なくとも2種類以上のCTLエピトープペプチドを含む、
    ペプチドカクテルワクチン。
  2. Lck−488(配列番号1)、SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、PSA−248(配列番号4)、Lck−486(配列番号5)、EGFR−800(配列番号6)、WHSC2−141(配列番号7)、Lck−246(配列番号8)、PAP−213(配列番号9)、HNRPL−140(配列番号10)、SART3−109(配列番号11)、WHSC2−103(配列番号12)、MRP3−1293(配列番号13)、UBE2V−43(配列番号14)、SART3−302(配列番号15)、Lck−449(配列番号16)、PSMA−624(配列番号17)、PTHrP−102(配列番号18)、CypB−129(配列番号19)およびLck−208(配列番号20)からなる群から選択される少なくとも2個以上のCTLエピトープペプチドを含む、請求項1に記載のペプチドカクテルワクチン。
  3. PAP−248(配列番号21)、EZH2−735(配列番号22)、UBE2V−85(配列番号23)、MRP3−503(配列番号24)、SART2−93(配列番号25)、SART3−511(配列番号26)、SART3−309(配列番号27)、HNRPL−501(配列番号28)、SART2−161(配列番号29)、ppMAPkkk−432(配列番号30)およびLck−422(配列番号31)からなる群から選択される少なくとも1個以上のCTLエピトープペプチドをさらに含む、請求項2に記載のペプチドカクテルワクチン。
  4. SART2−93(配列番号25)、SART3−109(配列番号11)、Lck−488(配列番号1)、PAP−213(配列番号9)およびUBE2V−43(配列番号14)を含む、請求項2に記載のペプチドカクテルワクチン。
  5. PSA−248(配列番号4)、CypB−129(配列番号19)、WHSC2−103(配列番号12)、SART3−302(配列番号15)およびLck−246(配列番号8)を含む、請求項1に記載のペプチドカクテルワクチン。
  6. SART3−734(配列番号2)、Lck−90(配列番号3)、Lck−449(配列番号16)、MRP3−1293(配列番号13)およびWHSC2−141(配列番号7)を含む、請求項1に記載のペプチドカクテルワクチン。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを治療するための方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを予防するための方法。
  9. 5〜10日に1回、0.5〜3mg/ペプチド/回の投与量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドカクテルワクチン。
  10. 5〜10日に1回、0.5〜3mg/ペプチド/回の投与量で請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを治療するための方法。
  11. 5〜10日に1回、0.5〜3mg/ペプチド/回の投与量で請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドカクテルワクチンを投与することを含む、がんを予防するための方法。
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