JPWO2014171549A1 - 難燃マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たす難燃マグネシウム合金を溶解することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式1)0.5≦a<5.0
(式2)0.5<b<5.0
(式3)2/3a−5/6≦b
(式4)0<x≦0.5(好ましくは0.1≦x≦0.5、更に好ましくは0.15≦x≦0.5)
[2]Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たす難燃マグネシウム合金を溶解することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式1)0.25≦a≦5.0
(式2)0.5≦b≦5.0
(式3)0.5a≦b
(式4)0<x≦0.5(好ましくは0.1≦x≦0.5、更に好ましくは0.15≦x≦0.5)
[3]上記[1]または[2]において、前記難燃マグネシウム合金は800℃以上(好ましくは850℃以上)の発火温度を有することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれか一項において、前記難燃マグネシウム合金を溶解する際は800℃以下(好ましくは850℃以上)の温度で行われることを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、前記難燃マグネシウム合金を溶解した後に、溶解した難燃マグネシウム合金を鋳造することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
[6]上記[5]において、前記難燃マグネシウム合金を鋳造する際の冷却速度は1000K/秒以下(好ましくは100K/秒以下)であることを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
[7]上記[1]乃至[6]のいずれか一項において、前記難燃マグネシウム合金はAlをy原子%含有し、yは下記(式5)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式5)0<y≦0.5(好ましくは0.05≦y≦0.5)
[8]上記[1]または[7]において、前記難燃マグネシウム合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすこと、または(式7)及び(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c<2.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0
(式8)c/b≦1.5
[9]上記[2]または[7]において、前記難燃マグネシウム合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0
[10]上記[1]または[7]において、前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式8)0≦c≦3.0
(式9)0.2≦b+c≦6.0
[11]上記[2]または[7]において、前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式8)0≦c≦3.0
(式9)0.1≦b+c≦6.0
[12]上記[1]または[7]において、前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすこと、又は(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d<2.0
(式8)0.2≦b+c+d≦6.0
(式9)d/b≦1.5
[13]上記[2]または[7]において、前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d≦3.0
(式8)0.1≦b+c+d≦6.0
[14]上記[1]乃至[13]のいずれか一項において、前記難燃マグネシウム合金にTh、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
[15]Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式1)0.5≦a<5.0
(式2)0.5<b<5.0
(式3)2/3a−5/6≦b
(式4)0<x≦0.5(好ましくは0.1≦x≦0.5、更に好ましくは0.15≦x≦0.5)
[16]Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式1)0.25≦a≦5.0
(式2)0.5≦b≦5.0
(式3)0.5a≦b
(式4)0<x≦0.5(好ましくは0.1≦x≦0.5、更に好ましくは0.15≦x≦0.5)
[17]上記[15]または[16]において、前記合金は800℃以上(好ましくは850℃以上)の発火温度を有することを特徴とする難燃マグネシウム合金。
[18]上記[15]乃至[17]のいずれか一項において、前記合金はAlをy原子%含有し、yは下記(式5)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式5)0<y≦0.5(好ましくは0.05≦y≦0.5)
[19]上記[15]または[18]において、前記合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすこと、または(式7)及び(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c<2.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0
(式8)c/b≦1.5
[20]上記[16]または[18]において、前記合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0
[21]上記[15]または[18]において、前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0
[22]上記[16]または[18]において、前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0
[23]上記[15]または[18]において、前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすこと、又は(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d<2.0
(式8)0.2≦b+c+d≦6.0
(式9)d/b≦1.5
[24]上記[16]または[18]において、前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d≦3.0
(式8)0.1≦b+c+d≦6.0
[25]上記[15]乃至[24]のいずれか一項において、前記合金にTh、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有することを特徴とする難燃マグネシウム合金。
[26]上記[15]乃至[25]のいずれか一項において、前記合金は鋳造物であることを特徴とする難燃マグネシウム合金。
図2は、実施例の試料に523Kの温度で引張試験を行った場合のCa含有量と引張降伏強度及び伸びの関係を示すグラフである。
図3は、実施例の試料のCa含有量と発火温度の関係を示すグラフである。
図4は、実施例のMg95.75−XZn2Y1.9La0.1Al0.25CaX合金(X=0,0.3,0.6,0.9)の押出し相の結晶組織を示すSEM写真である。
図5は、実施例のMg95.75−XZn2Y1.9La0.1Al0.25CaX合金(X=0.9)の押出し材の結晶組織を示すSEM写真とEDS像である。
図6は、比較例の試料に室温で引張試験を行った場合のAl含有量と引張強度及び伸びの関係を示すグラフである。
図7は、比較例の試料に523Kの温度で引張試験を行った場合のAl含有量と引張強度及び伸びの関係を示すグラフである。
図8は、比較例のMg96−XZn2Y1.9La0.1AlX(但し、X=0.05,0.1,0.15,0.2,0.25)の押出し材の結晶組織を示すSEM写真である。
図9は、比較例のMg96−XZn2Y1.9La0.1AlX(但し、X=0.3,0.35,0.4,0.5)の押出し材の結晶組織を示すSEM写真である。
図10は、比較例のMg95.7Zn2Y1.9La0.1Al0.3合金の押出し材のEDS像である。
図11は、比較例のMg95.5Zn2Y1.9La0.1Al0.5合金の押出し材のEDS像である。
図12は、比較例のMg96−XZn2Y1.9La0.1AlX(但し、X=0.1,0.2,0.3,0.4,0.5)の押出し材の結晶組織を示す写真である。
図13は、比較例の押出し材にクリープ試験を行った結果を示すグラフである。
図14は、Mg98.4−XZnXY1.5La0.1(但し、X=0.25,0.5,1.0,1.5,2.0)の押出し材の結晶組織を示す写真である。
また、以下に示す各実施の形態によるマグネシウム合金における長周期積層構造相を発生させるための組成範囲及び製造工程の条件等について、各々の成分の上限及び下限を決めた理由や製造工程の条件範囲を決めた理由は、特許第3905115号、特許第3940154号、特許第4139841号に記載したとおりである。
<実施の形態1>
本発明の一態様に係る難燃マグネシウム合金の製造方法について説明する。
Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たす合金を、800℃以下(好ましくは850℃以下)の温度で溶解して鋳造する。この合金は、Caを含有することにより800℃以上(好ましくは850℃以上)の発火温度を有する。このようにしてマグネシウム合金鋳造物を作る。鋳造時の冷却速度は1000K/秒以下であり、より好ましくは100K/秒以下である。
(式1)0.5≦a<5.0
(式2)0.5<b<5.0
(式3)2/3a−5/6≦b
(式4)0<x≦0.5(好ましくは0.1≦x≦0.5、更に好ましくは0.15≦x≦0.5)
上記のマグネシウム合金鋳造物を作るプロセスとしては、種々のプロセスを用いることが可能であり、例えば、高圧鋳造、ロールキャスト、傾斜板鋳造、連続鋳造、チクソモールディング、ダイカストなどを用いることが可能である。また、マグネシウム合金鋳造物としてはインゴットから所定形状に切り出したものを用いてもよい。
次いで、マグネシウム合金鋳造物に均質化熱処理を施しても良い。この際の熱処理条件は、温度が400℃〜550℃、処理時間が1分〜1500分(又は24時間)とすることが好ましい。
次に、前記マグネシウム合金鋳造物に塑性加工を行う。この塑性加工の方法としては、例えば押出し、ECAE(equal−channel−angular−extrusion)加工法、圧延、引抜及び鍛造、これらの繰り返し加工、FSW(friction stir welding;摩擦撹拌溶接)加工などを用いる。
押出しによる塑性加工を行う場合は、押出し温度を250℃以上500℃以下とし、押出しによる断面減少率を5%以下とすることが好ましい。
ECAE加工法は、試料に均一なひずみを導入するためにパス毎に試料長手方向を90°ずつ回転させる方法である。具体的には、断面形状がL字状の成形孔を形成した成形用ダイの前記成形孔に、成形用材料であるマグネシウム合金鋳造物を強制的に進入させて、特にL状成形孔の90°に曲げられた部分で前記マグネシウム合金鋳造物に応力を加えて強度及び靭性が優れた成形体を得る方法である。ECAEのパス回数としては1〜8パスが好ましい。より好ましくは3〜5パスである。ECAEの加工時の温度は250℃以上500℃以下が好ましい。
圧延による塑性加工を行う場合は、圧延温度を250℃以上500℃以下とし、圧下率を5%以上とすることが好ましい。
引抜加工による塑性加工を行う場合は、引抜加工を行う際の温度が250℃以上500℃以下、前記引抜加工の断面減少率が5%以上であることが好ましい。
鍛造による塑性加工を行う場合は、鍛造加工を行う際の温度が250℃以上500℃以下、前記鍛造加工の加工率が5%以上であることが好ましい。
前記マグネシウム合金鋳造物に行う塑性加工は、1回あたりの歪量が0.002以上4.6以下であって総歪量が15以下であることが好ましい。また、前記塑性加工は、1回あたりの歪量が0.002以下4.6以下であって総歪量が10以下であることがより好ましい。好ましい総歪量を15以下、より好ましい総歪量を10以下にする理由は、総歪量を多くしてもそれに従ってマグネシウム合金の強度が増加するわけではないからであり、また、総歪量を多くすればするほど製造コストが高くなってしまうからである。
尚、ECAE加工の歪量は0.95〜1.15/回であり、例えばECAE加工を16回行った場合の総歪量は0.95×16=15.2となり、ECAE加工を8回行った場合の総歪量は0.95×8=7.6となる。
また、押出し加工の歪量は、押出し比が2.5のの場合が0.92/回であり、押出し比が4の場合が1.39/回であり、押出し比が10の場合が2.30/回であり、押出し比が20の場合が2.995/回であり、押出し比が50の場合が3.91/回であり、押出し比が100の場合が4.61/回であり、押出し比が1000の場合が6.90/回である。
上記のようにマグネシウム合金鋳造物に塑性加工を行った塑性加工物は、常温においてhcp構造マグネシウム相及び長周期積層構造相の結晶組織を有し、この長周期積層構造を持つ結晶粒の体積分率は5%以上(より好ましくは10%以上)となり、マグネシウム合金の結晶粒径は100nm以上500μm以下である。前記hcp構造マグネシウム相の平均粒径は2μm以上であり、前記長周期積層構造相の平均粒径は0.2μm以上である。この長周期積層構造相の結晶粒内には複数のランダム粒界が存在し、このランダム粒界で規定される結晶粒の平均粒径は0.05μm以上である。ランダム粒界においては転移密度が大きいが、長周期積層構造相におけるランダム粒界以外の部分の転位密度は小さい。従って、hcp構造マグネシウム相の転移密度は、長周期積層構造相におけるランダム粒界以外の部分の転位密度に比べて1桁以上大きい。
前記長周期積層構造相の少なくとも一部は湾曲又は屈曲している。また、前記塑性加工物は、Mgと希土類元素の化合物、MgとZnの化合物、Znと希土類元素の化合物及びMgとZnと希土類元素の化合物からなる析出物群から選択される少なくとも1種類の析出物を有していても良い。前記析出物の合計体積分率は0%超40%以下であることが好ましい。また、前記塑性加工物はhcp−Mgを有する。前記塑性加工を行った後の塑性加工物については、塑性加工を行う前の鋳造物に比べてビッカース硬度及び降伏強度がともに上昇する。
前記マグネシウム合金鋳造物に塑性加工を行った後の塑性加工物に熱処理を施しても良い。この熱処理条件は、温度が200℃以上500℃未満、熱処理時間が10分〜1500分(又は24時間)とすることが好ましい。熱処理温度を500℃未満とするのは、500℃以上とすると、塑性加工によって加えられた歪量がキャンセルされてしまうからである。
この熱処理を行った後の塑性加工物については、熱処理を行う前の塑性加工物に比べてビッカース硬度及び降伏強度がともに上昇する。また、熱処理後の塑性加工物にも熱処理前と同様に、常温においてhcp構造マグネシウム相及び長周期積層構造相の結晶組織を有し、この長周期積層構造を持つ結晶粒の体積分率は5%以上(より好ましくは10%以上)となり、前記hcp構造マグネシウム相の平均粒径は2μm以上であり、前記長周期積層構造相の平均粒径は0.2μm以上である。この長周期積層構造相の結晶粒内には複数のランダム粒界が存在し、このランダム粒界で規定される結晶粒の平均粒径は0.05μm以上である。ランダム粒界においては転移密度が大きいが、長周期積層構造相におけるランダム粒界以外の部分の転位密度は小さい。従って、hcp構造マグネシウム相の転移密度は、長周期積層構造相におけるランダム粒界以外の部分の転位密度に比べて1桁以上大きい。
上記の熱処理後の塑性加工物の長周期積層構造相の少なくとも一部は湾曲又は屈曲している。また、この塑性加工物は、Mgと希土類元素の化合物、MgとZnの化合物、Znと希土類元素の化合物及びMgとZnと希土類元素の化合物からなる析出物群から選択される少なくとも1種類の析出物を有していても良い。前記析出物の合計体積分率は0%超40%以下であることが好ましい。
本実施の形態によれば、長周期積層構造相を有することで高強度及び高延性の機械的特性を備えたマグネシウム合金を製造するための溶解及び鋳造の工程において燃焼を防ぐ雰囲気(コストおよび環境に課題がある不活性ガス雰囲気)とすることなく空気中で実施することが可能となる。その理由は、Caを微量添加することによりマグネシウム合金の発火温度を800℃以上(好ましくは850℃以上)とすることができるからである。Caの添加量は、0原子%超0.5原子%以下(好ましくは0.1原子%以上0.5原子%以下、更に好ましくは0.15原子%以上0.5原子%以下)である。
つまり、Caを添加しないとマグネシウム合金の溶解時の温度が発火温度に近いために燃焼を防ぐ雰囲気とする必要があるのに対し、Caを微量添加することで発火温度を溶解時の温度より高くできるために空気中で溶解及び鋳造を実施することが可能となる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は発火温度を高くして難燃化を達成したものであり、従来の金属加工設備をそのまま利用してもよく、加工時に発生する微細な粉末や削り屑が発火する危険性を低減でき、加工工程における、環境・コスト・安全の課題が一気に解決できる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、長周期積層構造相を有することで強度を高くすることができ、且つ溶解、鋳造、加工時に燃焼しにくい性質を有する。つまり、高強度と難燃化の両方の利点を兼ね備えたマグネシウム合金を実現することができる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金の適用範囲は、IT分野(スマートホン、ノートパソコンなど)、医療分野、自動車、航空機、鉄道分野など多岐にわたる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金の組成範囲について説明する。
亜鉛の含有量が5原子%以上であると、特に靭性(又は延性)が低下する傾向があるからである。またYの含有量が合計で5原子%以上であると、特に靭性(又は延性)が低下する傾向があるからである。
強度及び靭性の増大は亜鉛が0.5〜1.5原子%において顕著になる。亜鉛含有量が0.5原子%付近において希土類元素含有量が少なくなると強度が低下する傾向があるが、その範囲の場合でも従来よりも高強度及び高靭性を示す。従って、本実施の形態のマグネシウム合金における亜鉛の含有量の範囲は最も広くて0.5原子%以上5.0原子%以下である。
本実施の形態のMg−Zn−Y系マグネシウム合金では、前述した範囲の含有量を有するが、合金特性に影響を与えない程度の不純物を含有しても良い。
なお、本実施の形態によるマグネシウム合金はさらにAlをy原子%含有してもよく、yは下記(式5)、好ましくは下記(式51)、更に好ましくは下記(式52)または(式53)、より好ましくは下記(式54)または(式55)を満たすとよい。Al含有量の上限を0.35原子%未満(好ましくは0.3原子%以下)とすることで高温での強度を高く維持することができる。
(式5)0<y≦0.5
(式51)0.05≦y≦0.5
(式52)0<y<0.35
(式53)0.05≦y<0.35
(式54)0<y≦0.3
(式55)0.05≦y≦0.3
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有してもよく、cは下記(式6)及び(式7)を満たすこと、または(式7)及び(式8)を満たすとよい。
(式6)0≦c<2.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0
(式8)c/b≦1.5
Mm(ミッシュメタル)とは、Ce及びLaを主成分とする複数の希土類元素の混合物又は合金であり、鉱石から有用な希土類元素であるSmやNdなどを精錬除去した後の残渣であり、その組成は精錬前の鉱石の組成に依存するものである。
La等の含有量の上限を2.0原子%とした主な理由は、La等の固溶限が殆ど無いからである。また、La等を含有させる理由は、結晶粒を微細化させる効果があること、金属間化合物を析出させる効果があることによる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、Yb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有してもよく、cは下記(式8)及び(式9)を満たすとよい。
(式8)0≦c≦3.0
(式9)0.2≦b+c≦6.0
Yb等の含有量の上限を3.0原子%とした理由は、Yb等の固溶限が低いからである。また、Yb等を含有させる理由は、結晶粒を微細化させる効果があること、金属間化合物を析出させる効果があることによる。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、Yb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有してもよく、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有してもよく、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすこと、又は(式8)及び(式9)を満たすとよい。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d<2.0
(式8)0.2≦b+c+d≦6.0
(式9)d/b≦1.5
Y、Yb等及びLa等の合計含有量を6.0原子%以下とする理由は、6%を超えると重くなり、原料コストが高くなり、さらに靭性が低下するからである。また、Yb等、La等を含有させる理由は、結晶粒を微細化させる効果があること、金属間化合物を析出させる効果があることによる。また、上記(式9)とする理由は、1.5倍より大きくすると長周期積層構造相の形成の効果が薄れるためであり、マグネシウム合金の重さが重くなってしまうからである。
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、Th、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有するとよい。Th等を添加すると、高強度高靭性を維持したまま、他の性質を改善することができる。例えば、耐食性や結晶粒微細化などに効果がある。
また、0原子%超2.5原子%以下のZrを添加したマグネシウム合金を溶解して鋳造した場合、このマグネシウム合金鋳造物にはMg3Zn3RE2のような化合物の析出が抑制され、長周期積層構造相の形成が促進され、結晶組織が微細化される。従って、このマグネシウム合金鋳造物は押出しなどの塑性加工が容易になり、塑性加工を行った塑性加工物はZrを添加しないマグネシウム合金の塑性加工物に比べて多量の長周期積層構造相を有すると共に微細化された結晶組織を有することになる。このように多量の長周期積層構造相を有することにより、強度及び靭性を向上させることができる。
<実施の形態2>
本発明の一態様に係る難燃マグネシウム合金の製造方法について説明する。なお、実施の形態2による難燃マグネシウム合金の製造方法については、実施の形態1による難燃マグネシウム合金の製造方法と同一部分の説明をなるべく省略する。
Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たす合金を、800℃以下(好ましくは850℃以下)の温度で溶解して鋳造する。この合金は、Caを含有することにより800℃以上(好ましくは850℃以上)の発火温度を有する。このようにしてマグネシウム合金鋳造物を作る。このマグネシウム合金鋳造物としては、インゴットから所定形状に切り出したものを用いる。
(式1)0.25≦a≦5.0
(式2)0.5≦b≦5.0
(式3)0.5a≦b
(式4)0<x≦0.5(好ましくは0.1≦x≦0.5、更に好ましくは0.15≦x≦0.5)
次に、マグネシウム合金鋳造物を切削することによって複数の数mm角以下のチップ形状鋳造物を作製する。
次いで、チップ形状鋳造物を圧縮又は塑性加工法的手段を用いて予備成形し、均質化熱処理を施しても良い。この際の熱処理条件は、温度が400℃〜550℃、処理時間が1分〜1500分(又は24時間)とすることが好ましい。また、前記予備成形した成形物に、150℃〜450℃の温度で1分〜1500分(又は24時間)の熱処理を施しても良い。
チップ形状の鋳造物は例えばチクソーモールドの原料に一般的に用いられている。
尚、チップ形状鋳造物とセラミック粒子とを混合したものを圧縮又は塑性加工法的手段を用いて予備成形し、均質化熱処理を施しても良い。また、チップ形状鋳造物を予備成形する前に、付加的に強歪加工を施しても良い。
次に、前記チップ形状鋳造物に塑性加工を行うことにより、チップ形状鋳造物を固化成形する。この塑性加工の方法としては、実施の形態1の場合と同様に種々の方法を用いることができる。尚、このチップ形状鋳造物を固化成形する前に、ボールミルやスタンプミル、高エネルギーボールミルなどのメカニカルアロイング、あるいはバルクメカニカルアロイングなどの繰り返し加工処理を加えても良い。また、固化成形後に、さらに塑性加工やブラスト加工を加えても良い。また、前記マグネシウム合金鋳造物を金属間化合物粒子あるいはセラミック粒子や繊維などと複合化しても良いし、前記切削物をセラミック粒子や繊維などと混合しても良い。
このように塑性加工を行った塑性加工物は、常温においてhcp構造マグネシウム相及び長周期積層構造相の結晶組織を有する。この長周期積層構造相の少なくとも一部は湾曲又は屈曲している。前記塑性加工を行った後の塑性加工物については、塑性加工を行う前の鋳造物に比べてビッカース硬度及び降伏強度がともに上昇する。
前記チップ形状鋳造物に塑性加工を行う際の総歪量は15以下であることが好ましく、また、より好ましい総歪量は10以下である。また、前記塑性加工を行う際の1回あたりの歪量は0.002以上4.6以下であることが好ましい。
尚、ここでいう総歪量とは、焼鈍しなどの熱処理によってキャンセルされない総歪量であって、チップ形状鋳造物を予備成形した後に塑性加工を行った際の総歪量を意味する。つまり、製造工程の途中で熱処理を行ってキャンセルされた歪については総歪量にカウントされず、また、チップ形状鋳造物を予備成形するまでの歪量については総歪量にカウントされない。
前記チップ形状鋳造物に塑性加工を行った後の塑性加工物に熱処理を施しても良い。この熱処理条件は、温度が200℃以上500℃未満、熱処理時間が10分〜1500分(又は24時間)とすることが好ましい。熱処理温度を500℃未満とするのは、500℃以上とすると、塑性加工によって加えられた歪量がキャンセルされてしまうからである。
この熱処理を行った後の塑性加工物については、熱処理を行う前の塑性加工物に比べてビッカース硬度及び降伏強度がともに上昇する。また、熱処理後の塑性加工物にも熱処理前と同様に、常温においてhcp構造マグネシウム相及び長周期積層構造相の結晶組織を有する。この長周期積層構造相の少なくとも一部が湾曲又は屈曲している。
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、鋳造物を切削することによってチップ形状鋳造物を作製することにより、組織が微細化するので、実施の形態1に比べてよりより高強度・高延性・高靭性の塑性加工物などを作製することが可能となる。また、本実施の形態によるマグネシウム合金は実施の形態1によるマグネシウム合金に比べて亜鉛及び希土類元素がより低濃度であっても高強度及び高靭性の特性を得ることができる。
また亜鉛の含有量が0.25原子%未満、又はYの含有量が0.5原子%未満であると強度及び靭性の少なくともいずれかが不十分になる。従って、亜鉛の含有量の下限を0.25原子%とし、希土類元素の合計含有量の下限を0.5原子%とする。このように亜鉛の含有量の下限を実施の形態1に比べて1/2と低くできるのは、チップ形状鋳造物に適用するからである。
また、本実施の形態のMg−Zn−Y系マグネシウム合金では、前述した範囲の含有量を有するが、合金特性に影響を与えない程度の不純物を含有しても良い。
なお、本実施の形態によるマグネシウム合金は、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有してもよく、cは下記(式6)及び(式7)を満たすとよい。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、Yb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有してもよく、cは下記(式8)及び(式9)を満たすとよい。
(式8)0≦c≦3.0
(式9)0.1≦b+c≦6.0
また、本実施の形態によるマグネシウム合金は、Yb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有してもよく、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有してもよく、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすとよい。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d≦3.0
(式8)0.1≦b+c+d≦6.0
(試料の作製)
第1の実施例の試料の合金成分は、Mg95.75−XZn2Y1.9La0.1Al0.25CaX(但し、X=0〜1.05)である。これらの合金成分を有するマグネシウム合金のインゴットを高周波溶解炉を用いて大気雰囲気中で溶製し、これらのインゴットからφ32×70mmの形状に切り出して鋳造材を作製する。これらの鋳造材を、温度が350℃、押出し比が10、押出し速度が2.5mm/秒の条件で押出し加工を行った。
(引張試験)
上記の押出し加工後の押出し材を、室温で引張試験により引張降伏強度及び伸びを測定し、その結果を図1に示す。図1において■は引張降伏強度を示し、●は伸びを示している。
また、上記の押出し材を523Kの温度で引張試験により引張降伏強度及び伸びを測定し、その結果を図2に示す。図2において■は引張降伏強度を示し、●は伸びを示している。
(発火温度の測定)
上記の鋳造材の発火温度を測定した。測定方法は次のとおりである。
鋳造材のインゴットを旋盤でチップ形象に加工後、一定のサイズのチップ0.5gを電気炉に入れて加熱(100K/min)下で発火温度を測定した。
このようにして測定した結果を図3に示す。
図3によれば、Ca含有量が0.15〜0.6at%でマグネシウム合金の発火温度が850℃以上を示した。別言すれば、Ca含有量を0at%超0.75at%未満(好ましくは0.1at%以上0.75at%未満)とすることで800℃以上の発火温度を期待できる。
これに対し、Caを添加しない組成、例えばMg95.75Zn2Y1.9La0.1Al0.25合金の発火温度は775℃程度であり、この発火温度はこの合金の溶解及び鋳造時の温度である750℃に近い。このため、この合金を溶融する際には不活性ガスの雰囲気とすることが必要である。しかし、本実施例の試料のように発火温度が800℃以上または850℃以上であれば、合金の融点より十分に高いため、不活性ガスを使用しなくても溶融加工を行う事が可能となる。
図1及び図2によれば、Ca含有量が0.5at%を超えると室温での引張強度と高温(523K)での引張強度が大きく低下することが確認された。従って、長周期積層形マグネシウム合金にCaを添加することで、長周期積層形マグネシウム合金の優れた機械的特性を有しながら800℃以上または850℃以上の発火温度を有するCaの添加範囲は、0at%超0.5at%以下(好ましくは0.1〜0.5at%)である。
(押出し材の結晶組織)
上記の押出し加工を施した押出し材の組織観察をSEM、EDSによって行った。その結果を図4及び図5に示す。
[比較例]
(試料の作製)
比較例の試料の合金成分は、Mg96−XZn2Y1.9La0.1AlX(但し、X=0〜0.5)である。これらの合金成分を有するマグネシウム合金のインゴットを高周波溶解炉を用いてAr雰囲気中で溶製し、これらのインゴットからφ32×70mmの形状に切り出して鋳造材を作製する。これらの鋳造材を、温度が350℃、押出し比が10、押出し速度が2.5mm/秒の条件で押出し加工を行った。
(引張試験)
上記の押出し加工後の押出し材を、室温で引張試験により引張強度及び伸びを測定し、その結果を図6に示す。図6において■は引張強度(σUTS)を示し、▲は降伏強度(σ0.2)を示し、●は伸び(%)を示している。
また、上記の押出し材を523Kの温度で引張試験により引張強度及び伸びを測定し、その結果を図7に示す。図7において■は引張強度(σUTS)を示し、▲は降伏強度(σ0.2)を示し、●は伸び(%)を示している。
図7によれば、Al含有量が0.3at%を超えると高温(523K)での引張強度が低下することが確認された。従って、Al含有量を0.35at%未満(好ましくは0.3at%以下)とすることで高温での強度を高く維持することができる。
(押出し材の結晶組織)
上記の押出し加工を施した押出し材の組織観察をSEM、EDSによって行った。その結果を図8〜図12に示す。
また、比較例と同様の方法でMg98.4−XZnXY1.5La0.1(但し、X=0.25,0.5,1.0,1.5,2.0)の押出し材の試料を作製し、組織観察を行った。その結果を図14に示す。
(クリープ試験)
上記の押出し材の試料にクリープ試験を行った。試料の合金成分は、Mg96−XZn2Y1.9La0.1AlX(但し、X=0,0.05,0.15,0.25)である。また、比較例と同様の方法でMg96Zn2Y2合金の押出し材の試料を作製し、クリープ試験を行った。クリープ試験の条件は200℃、150MPaである。これらの結果を図13に示す。
<第2の実施例>
(試料の作製)
第2の実施例の試料の合金成分は、表1に示すとおりである。これらの合金成分を有するマグネシウム合金のインゴットを高周波溶解炉を用いて大気雰囲気中で溶製し、これらのインゴットからφ32×70mmの形状に切り出して鋳造材を作製する。これらの鋳造材を、温度が350℃、押出し比が10、押出し速度が2.5mm/秒の条件で押出し加工を行った。
(発火温度の測定)
上記の鋳造材の発火温度を測定した。測定方法は次のとおりである。
鋳造材のインゴットを旋盤でチップ形象に加工後、一定のサイズのチップ0.5gを電気炉に入れて加熱(100K/min)下で発火温度を測定した。
このようにして測定した結果を表1に示す。
表1によれば、Caを含有させることでマグネシウム合金の発火温度を高くすることができた。
Claims (26)
- Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たす難燃マグネシウム合金を溶解することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式1)0.5≦a<5.0
(式2)0.5<b<5.0
(式3)2/3a−5/6≦b
(式4)0<x≦0.5 - Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たす難燃マグネシウム合金を溶解することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式1)0.25≦a≦5.0
(式2)0.5≦b≦5.0
(式3)0.5a≦b
(式4)0<x≦0.5 - 請求項1または2において、
前記難燃マグネシウム合金は800℃以上の発火温度を有することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記難燃マグネシウム合金を溶解する際は800℃以下の温度で行われることを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記難燃マグネシウム合金を溶解した後に、溶解した難燃マグネシウム合金を鋳造することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。 - 請求項5において、
前記難燃マグネシウム合金を鋳造する際の冷却速度は1000K/秒以下であることを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記難燃マグネシウム合金はAlをy原子%含有し、yは下記(式5)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式5)0<y≦0.5 - 請求項1または7において、
前記難燃マグネシウム合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすこと、又は(式7)及び(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c<2.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0
(式8)c/b≦1.5 - 請求項2または7において、
前記難燃マグネシウム合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0 - 請求項1または7において、
前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式8)0≦c≦3.0
(式9)0.2≦b+c≦6.0 - 請求項2または7において、
前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式8)0≦c≦3.0
(式9)0.1≦b+c≦6.0 - 請求項1または7において、
前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすこと、又は(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d<2.0
(式8)0.2≦b+c+d≦6.0
(式9)d/b≦1.5 - 請求項2または7において、
前記難燃マグネシウム合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d≦3.0
(式8)0.1≦b+c+d≦6.0 - 請求項1乃至13のいずれか一項において、
前記難燃マグネシウム合金にTh、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有することを特徴とする難燃マグネシウム合金の製造方法。 - Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式1)0.5≦a<5.0
(式2)0.5<b<5.0
(式3)2/3a−5/6≦b
(式4)0<x≦0.5 - Znをa原子%含有し、Yをb原子%含有し、Caをx原子%含有し、残部がMgから成り、a、b及びxは下記(式1)〜(式4)を満たし、長周期積層構造相を有する結晶組織を備えた合金からなることを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式1)0.25≦a≦5.0
(式2)0.5≦b≦5.0
(式3)0.5a≦b
(式4)0<x≦0.5 - 請求項15または16において、
前記合金は800℃以上の発火温度を有することを特徴とする難燃マグネシウム合金。 - 請求項15乃至17のいずれか一項において、
前記合金はAlをy原子%含有し、yは下記(式5)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式5)0<y≦0.5 - 請求項15または18において、
前記合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすこと、または(式7)及び(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c<2.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0
(式8)c/b≦1.5 - 請求項16または18において、
前記合金にLa、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0 - 請求項15または18において、
前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.2≦b+c≦6.0 - 請求項16または18において、
前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、cは下記(式6)及び(式7)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0.1≦b+c≦6.0 - 請求項15または18において、
前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすこと、又は(式8)及び(式9)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d<2.0
(式8)0.2≦b+c+d≦6.0
(式9)d/b≦1.5 - 請求項16または18において、
前記合金にYb、Tb、Sm及びNdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でc原子%含有し、La、Ce、Pr、Eu、Mm及びGdからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計でd原子%含有し、c及びdは下記(式6)〜(式8)を満たすことを特徴とする難燃マグネシウム合金。
(式6)0≦c≦3.0
(式7)0≦d≦3.0
(式8)0.1≦b+c+d≦6.0 - 請求項15乃至24のいずれか一項において、
前記合金にTh、Si、Mn、Zr、Ti、Hf、Nb、Ag、Sr、Sc、B、C、Sn、Au、Ba、Ge、Bi、Ga、In、Ir、Li、Pd、Sb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0原子%超2.5原子%以下含有することを特徴とする難燃マグネシウム合金。 - 請求項15乃至25のいずれか一項において、
前記合金は鋳造物であることを特徴とする難燃マグネシウム合金。
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