以下、本発明の実施形態にかかる連携アダプタ10、分電盤30、分電盤システムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態において説明する連携アダプタ10は、図1に示すように、分電盤30に内器として取り付けられる。
図1に示すように、連携アダプタ10は、第1の通信インターフェイス部11と、第2の通信インターフェイス部12と、処理部13とを備える。また連携アダプタ10は、第1の通信インターフェイス部11と第2の通信インターフェイス部12と処理部13とを収納し、かつ分電盤30に取り付けられる器体14を備える。以下、「通信インターフェイス部」を「通信I/F部」と略称する。
第1の通信I/F部11は、通信機能を有した電力量計20との間で通信する。第2の通信I/F部12は、電力量計20が設置された需要家(分電盤30が取り付けられた所定場所)で利用される機器との間で通信する。
図3に示すように、第2の通信I/F部12と通信する機器(需要家で利用される機器)は、照明機器、空調機器、厨房機器、映像機器などの設備機器(分電盤30が取り付けられた所定場所に設置される設備機器)72と、設備機器72の管理を行う機器(コントローラ)70と、操作表示機器のように情報の入出力を行う機器(提示機器)71と、インターネット網、CATV網、電話網などの公衆網である電気通信回線を通して通信する無線ルータのような機器(通信機器)73とのうちの少なくとも一つを含む。すなわち、第2の通信I/F部12は、設備機器72、コントローラ70、提示機器71、通信機器73の少なくとも1種類に対して出力情報を送出する機能を有する。図3の例では、第2の通信I/F部12はコントローラ70および通信機器73と通信する。
第2の通信I/F部12から機器に送出される出力情報は、設備機器72の監視と制御との少なくとも一方を行う管理情報、提示機器71を通して利用者に提示される提示情報、通信機器73を通して外部に通知される通知情報のうちの少なくとも一つを含む。
第2の通信I/F部12は、管理情報を設備機器72と直接授受してもよいが、通常は、設備機器72を管理するコントローラ70と授受し、設備機器72の実際の管理はコントローラ70が行うことが望ましい。この種のコントローラ70は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラと呼ばれており、設備機器72の動作状態について監視および制御が可能になっている。なお、連携アダプタ10が、HEMSコントローラとは通信しないが通信機器73とは通信可能なデジタル家電のような設備機器72の管理を行う場合、第2の通信I/F部12は、通信機器73を通して設備機器72に管理情報を伝送してもよい。
提示情報は、提示機器71にて提示され、利用者に種々の情報を提供する。提示機器71による情報の提示方法は、提示機器71が備える画面上への表示、提示機器71が備えるスピーカによる音声の発生を含む。
提示機器71は、提示の機能のみを有していてもよいが、操作表示機器のように、操作も可能になっていることが好ましい。この場合には、提示機器(操作表示機器)71は、提示機器71に提示された情報を認識した利用者が、設備機器72の動作状態を変更する目的でも使用可能である。この場合、提示機器71に利用者から与えられた指示は、設備機器72に直接またはコントローラ70を介して通知される。なお、利用者が、スマートフォン、タブレット端末、テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータなど、通信機器73と通信可能な機器を提示機器71として用いる場合、第2の通信I/F部12(分電盤30)は、図3に例示するように、通信機器73を通して提示機器71に提示情報を伝送してもよい。
通知情報は、電気事業者に対して情報を通知するために用いられる。第2の通信I/F部12(分電盤30)は、図3に例示するように、通信機器73を通して、通知情報を電気事業者が運営する管理装置61などに伝送する。
第1の通信I/F部11および第2の通信I/F部12は、電波を伝送媒体とする無線通信、電力線を通信線に兼用する電力線搬送通信、RS485、ECHONET(登録商標)Liteのような有線通信などから選択される通信技術を採用する。無線信号の仕様は、WiFi(登録商標)、特定小電力無線(たとえば、920MHz帯)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などから選択される。第1の通信I/F部11の通信方式(第1の通信方式;たとえば電力線搬送通信)は、第2の通信I/F部12の通信方式(第2の通信方式;たとえば無線通信)とは異なっていてもよい。
処理部13は、プログラムを実行するプロセッサを備えたデバイスを主なハードウェア要素として備える。この種のデバイスは、メモリを備えるマイコンが代表例である。すなわち、処理部13は、図1に示すように、プログラムやデータを格納するためのメモリ131を備える。処理部13は、メモリを別途に必要とするCPU(Central Processing Unit)であってもよい。すなわち、連携アダプタ10は、処理部13とは別に設けられたメモリ(図示せず)を備えていてもよい。
処理部13の動作に必要なプログラムとデータは、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12とのいずれかを通して与えられる。あるいはまた、処理部13の動作に必要なプログラムとデータは、メモリカードのような記憶媒体16を通して与えられてもよい。
処理部13が第1の通信I/F部11を通してプログラムとデータを取得する場合、電力量計20を経由する経路で電気事業者からプログラムとデータを受け取ることになる。すなわち、電力量計20は、インターネット回線、CATV網、電話網のような公衆網である電気通信回線NTを通して電気事業者などが運営する上位装置と通信することが必要である。この種の上位装置は、電気事業者が運営する管理装置61のほか、電気事業者ではないサービス提供者が運営する管理装置62などを含む(図3参照)。
ここで、サービス提供者が運営する管理装置62は、需要家に対してはエネルギー管理を行うサービスなどを提供する。また、管理装置62は、需要家における電力の使用量を計測して電気事業者に通知するサービス、あるいは、電気事業者からの節電要求のようなデマンドレスポンスを需要家に通知するサービスなどを提供する。図3に示す例では、電気事業者が運営する管理装置61は、サービス提供者が運営する管理装置62と通信するように通信路が構成されている。管理装置62は、電力量計20と通信することにより、電力量計20が計測した電力量の遠隔検針を行い、また、電力量計20を中継に用いて節電要求の情報(いわゆる、デマンドレスポンス情報)を需要家に通知する機能を有する。本実施形態では、管理装置62から通知された節電要求の情報は、電力量計20を通して連携アダプタ10が受信する。
管理装置62は、上述の節電要求と同様に、電力量計20を中継に用いて、連携アダプタ10にプログラムとデータを転送することも可能になっている。さらに、電力量計20は、連携アダプタ10と通信可能であるから、計測した電力に関する情報を連携アダプタ10に送信することも可能である。したがって、処理部13は、第1の通信I/F部11(および電力量計20)を通して、管理装置62(あるいは61)からプログラムとデータを取得することができる。
処理部13が第2の通信I/F部12を通してプログラムとデータを取得する場合、第2の通信I/F部12との間で通信が可能な支援装置(図示せず)からプログラムとデータが転送される。支援装置は、インターネット回線のような電気通信回線を通してプログラムとデータのダウンロードを行い、第2の通信I/F部12を通してプログラムとデータを処理部13に読み込ませる。支援装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末など、第2の通信I/F部12と通信機器73との両方に対して通信可能な機器であってもよい。
図1に示すように、連携アダプタ10は、処理部13が記憶媒体16からプログラムとデータを取得するために、器体14に、記憶媒体16の取り付けと取り外しとが可能になる接続部15を備えていてもよい。接続部15は、メモリカードが挿入されるスロットを備え、メモリカードの電極に電気的に接続される接触子がスロット内に配置された構成を備える。
ここに、処理部13は、接続部15に記憶媒体16が装着されると、記憶媒体16が記憶しているプログラムとデータを読み出すことが望ましい。すなわち、利用者が記憶媒体16を接続部15に挿入するという操作を契機にして、処理部13が記憶媒体16に格納された情報を確認し、読出可能と判断した場合に、記憶媒体16に格納された情報を処理部13に読み込むようにすればよい。
処理部13がプログラムとデータを読み込んだ後は、接続部15から記憶媒体16を取り外すことができるから、1つの記憶媒体16を用いて、異なる複数の連携アダプタ10にプログラムとデータを読み込ませることが可能になる。
処理部13が第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12と記憶媒体16とのいずれからプログラムとデータを読み込むかにかかわらず、支援装置によって読み込みのタイミングの指示と読み込みの終了の報知とを行えばよい。
たとえば、処理部13は、プログラムとデータの読み込みが必要となったときに、第2の通信I/F部12を通して、支援装置にプログラムとデータを要求する提示情報を送出する。支援装置は、プログラムとデータを要求する提示情報を画面に提示する。支援装置は、提示情報に対して使用者からプログラムとデータの読み込みの指示を受け取ると、電気通信回線を通して管理装置62にプログラムとデータを要求する。要求を受けとった管理装置62は、第1の通信I/F部11を通して、要求されたプログラムとデータを処理部13に送出する。或いは、要求を受け取った管理装置62は、支援装置および第2の通信I/F部12を通して、要求されたプログラムとデータを処理部13に送出する。処理部13は、受信したプログラムとデータを読み込んでメモリ131に格納する。また処理部13は、プログラムとデータの読み込みが終了すると、支援装置に、読み込みが終了したことを示す提示情報を送信する。
処理部13は、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12との少なくとも一方を通して取得した情報を入力情報として出力情報を生成する機能を有している。たとえば、処理部13は、第1の通信I/F部11を通して電力量計20から取得した情報に基づいて、出力情報を生成する。また、処理部13が生成した出力情報は、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12との少なくとも一方から送出される。たとえば、処理部13で生成された出力情報は、第2の通信I/F部12から、需要家で利用される機器に出力される。
なお、処理部13に入力される入力情報は、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12とを通して入力される情報だけではない。処理部13に入力される他の入力情報については後述する。また、処理部13から出力される出力情報についても後述する。
第1の通信I/F部11、第2の通信I/F部12、処理部13は、器体14に収納される。この器体14は、分電盤30(のキャビネット35)に取り付けられるように、寸法および形状が定められる。具体的には、電流制限器(アンペアブレーカ)を取り付けることができる分電盤30において、電流制限器に代えて取り付けることができるように器体14の寸法および形状が定められている。したがって、本実施形態の連携アダプタ10は、既存の分電盤30に、分電盤30の設計を変更することなく取り付けることが可能である。ただし、連携アダプタ10の器体14の寸法および形状を、電流制限器が取付可能である分電盤30に収納できるように定めることは必須ではない。たとえば、連携アダプタ10を取り付けるためのスペースを備えた専用の分電盤30を設計してもよいのはもちろんのことである。
次に、図1〜3を参照して、連携アダプタ10が取り付けられる分電盤30について説明する。
本実施形態の分電盤30は、図1、2に示すように、主幹ブレーカ31と、複数の分岐ブレーカ32と、連携アダプタ10と、主幹ブレーカ31、複数の分岐ブレーカ32および連携アダプタ10が内部に取り付けられたキャビネット35とを備える。本実施形態の分電盤30は、所定場所(住居など)にキャビネット35を取り付けた状態で使用される。また連携アダプタ10は、キャビネット35内に取り付けられている。
キャビネット35は、図2に示すように、一の方向(図2の左右方向)D1に長く、方向D1に直交する方向の一面(図2の正面側)が開口した矩形箱状に形成されている。図3に示すように、キャビネット35には、キャビネット35の開口を覆う開閉可能な扉36が取り付けられる。
図2に示すように、連携アダプタ10は、キャビネット35内に取り付けられている。連携アダプタ10は、図1および図2に示すように、電力量計20が接続されている電力系統の電源線Lpが接続される第1の端子部21と、分電盤30に取り付けられた主幹ブレーカ31を接続する接続線Lcが接続される第2の端子部22とを備える。第1の端子部21と第2の端子部22とは、器体14における一面(図2の正面側)に設けられている。第1の端子部21と第2の端子部22とは、連携アダプタ10の内部(器体14の内部)で電気的に接続される。
本実施形態は、系統電源25からの電力供給方式が単相三線方式である場合を想定しており、図2に示すように、電源線Lpおよび接続線Lcは3線(中性線、第1の電圧線、および第2の電圧線に対応)で構成されている。したがって本実施形態では、第1の端子部21および第2の端子部22の各々は、中性線、第1の電圧線、および第2の電圧線にそれぞれ対応する3つの接続端子(第1〜第3の接続端子)を備えている。
なお、電力供給方式は、限定する趣旨ではなく、日本国において、住宅、事務所、店舗などの多くの需要家で採用されている代表例として示している。系統電源25からの電力供給方式は、単相三線方式に限られず、単相二線方式などであってもよい。単相二線方式の系統電源25に接続する場合、第1の端子部21および第2の端子部22は、1本の電圧線と1本の中性線とにそれぞれ対応する2つの接続端子(第1および第2の接続端子)を備えていればよい。
キャビネット35内において、連携アダプタ10よりも方向D1の第1側(図2の右側)には、主幹ブレーカ31が取り付けられている。主幹ブレーカ31の電源側は、電力系統の電源線Lpと電気的に接続されている。具体的には、主幹ブレーカ31の第1端子(電源側の端子)310が接続線Lcを介して連携アダプタ10の第2の端子部22に接続され、連携アダプタ10の第1の端子部21が電力系統の電源線Lpを介して系統電源25に接続されている。すなわち、主幹ブレーカ31の電源側は、連携アダプタ10を介して系統電源25(電力系統の電源線Lp)に電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、連系アダプタ10の第2の端子部22と主幹ブレーカ31とは、電線である接続線Lcにより電気的に接続されているが、板状の導電部材を用いて接続される構成でもよい。
図1、2に示すように、主幹ブレーカ31の負荷側には、複数の分岐ブレーカ32が接続される。分岐ブレーカ32は、主幹ブレーカ31が挿入されている主幹回路を複数の負荷回路38に分岐させる。したがって、負荷回路38ごとに、分岐ブレーカ32が挿入される。ここに、主幹回路は、分電盤30の内部において電源線Lpから各分岐ブレーカ32の第1端子(電源側の端子)までの電路を意味し、負荷回路38は各分岐ブレーカ32の第1端子(電源側の端子)よりも下流側の電路を意味する。
具体的には、図1に示すように、主幹ブレーカ31の第2端子(負荷側の端子;図示せず)には、導電バーセット37が接続されている。また、導電バーセット37には、複数の分岐ブレーカ32が接続されている。これにより、複数の分岐ブレーカ32は、主幹ブレーカ31が挿入されている主幹回路を複数の負荷回路38に分岐させる。
図1に示すように、導電バーセット37は、主幹ブレーカ31の方向D1の第1側(図1の右側)に配置されている。導電バーセット37は、方向D1(キャビネット35の長手方向)に長く形成されている。本実施形態では、中性線、第1の電圧線、および第2の電圧線に対応して、導電バーセット37は3本の導電バーを備えている。
複数の分岐ブレーカ32は、導電バーセット37に対して、方向D1と直交する方向D2の両側に配置されている。複数の分岐ブレーカ32は、導電バーセット37の方向D2の両側に、方向D1に並んで配置されている。
本実施形態の主幹ブレーカ31は、たとえば3P3E型(極数3、素子数3)のブレーカであって、自己の内部に設けられた中性線、第1の電圧線、第2の電圧線の電路に、それぞれ引き外し素子(電流検出部を含む)が設けられる。主幹ブレーカ31は、中性線、第1の電圧線、第2の電圧線のいずれかの電路を流れる電流が所定の定格電流を超えたことを検知すると、複数の分岐ブレーカ32と系統電源25との間の電路を遮断する。
また各分岐ブレーカ32は、たとえば2P1E型(極数2、素子数1)のブレーカであって、自己の内部に設けられた第1の電線、第2の電線の電路のうち、第1の電線の電路に引き外し素子(電流検出部を含む)が設けられる。各分岐ブレーカ32は、第1の電線の電路を流れる電流が所定の定格電流を超えたことを検知すると、対応する負荷回路38と主幹ブレーカ31(系統電源25)との間の電路を遮断する。各分岐ブレーカ32は、第1端子(電源側の端子;図示せず)と第2端子(負荷側の端子)321とを有している。各分岐ブレーカ32の第1端子が、導電バーセット37に接続されている。具体的には、各分岐ブレーカ32の第1端子は2つの端子を含み、これらは導電バーセット37の3本の導電バーのうちの2本(たとえば、中性極と第1の電圧極に対応する導電バー)にそれぞれ接続される。各分岐ブレーカ32の第2端子321は、電線を介して、コンセントや電気機器などに接続される。
図2に示すように、分電盤30のキャビネット35内には、方向D1の第2側から第1側(図2の左側から右側)に向かって、連携アダプタ10、主幹ブレーカ31、複数の分岐ブレーカ32(および導電バーセット37)が並んで配置されている。
次に、図1を参照して、複数の負荷回路38の電力をそれぞれ計測する計測ユニット33について説明する。
本実施形態の連携アダプタ10は、図1に示すように、負荷回路38ごとに電力を計測する計測ユニット33が接続される接続口17と、接続口17に接続された計測ユニット33から負荷回路38ごとの電力の使用に関する情報を取得する取得部18とを、さらに備えている。すなわち、連携アダプタ10は、分岐ブレーカ32をそれぞれ通過する電力に関する情報を計測ユニット33から取得する取得部18を備える。
本実施形態では、計測ユニット33は分電盤30に設けられている。計測ユニット33は、分岐ブレーカ32により分岐されたすべての負荷回路38を対象として、負荷回路38ごとに電力を計測する複数のセンサ390を備える。すなわち、計測ユニット33は、複数の負荷回路38にそれぞれ対応する複数のセンサ390を備える。各センサ390は、対応する分岐ブレーカ32を流れる電力を検出する。
計測ユニット33の各センサ390は、対応する負荷回路38を通過する電流を計測する電流センサを備え、電流センサが計測した電流値と負荷回路38の線間の電圧値とを用いて電力を算出する。電流センサは、たとえば、ロゴスキーセンサが用いられる。なお、計測ユニット33は、電流センサのみを備える構成とし、電流値と電圧値とを、連携アダプタ10に入力情報として与えることにより、処理部13が電力を算出する構成であってもよい。この場合、負荷回路38ごとの電力の使用に関する情報は、負荷回路38ごとに計測された電流値と電圧値とになる。
たとえば計測ユニット33は、図5に示すように、複数のセンサ390が設けられたセンサブロック39を備える。センサブロック39は、矩形板状に形成されており、複数の差込孔391が長手方向に沿って2列に設けられている。図5の下側の差込孔391の各々の周りに、センサ390(ロゴスキーコイル)が設けられている。
図5の上側の複数の差込孔391には、たとえば中性極の導電バーの複数の接続端子がそれぞれ挿入され、下側の複数の差込孔391には、たとえば第1の電圧極の導電バーの複数の接続端子がそれぞれ挿入される。各分岐ブレーカ32の第1端子の2つの端子は、中性極の導電バーの接続端子と第1の電圧極の導電バーの接続端子とに、それぞれ接続される。これにより、各分岐ブレーカ32を流れる電流を、センサ390によって計測することが可能になる。
計測ユニット33が計測した負荷回路38ごとの電力の使用に関する情報は、入力情報として処理部13に与えられる。計測ユニット33が計測した電力の使用に関する情報は、電流値と電圧値との瞬時値でよいが、所定時間(たとえば、1分)ごとの電力量(瞬時電力とみなす)と、瞬時電力を積算した積算電力量との少なくとも一方であることがより望ましい。
計測ユニット33は、負荷回路38ごとの電力を計測するだけではなく、主幹回路についても電力を計測することが望ましい。すなわち、計測ユニット33は、主幹ブレーカ31を通過する電力を計測するセンサを備えていることが好ましい。主幹回路の電力の使用に関する情報は、負荷回路38ごとの瞬時電力あるいは積算電力量の合計として求めることが可能であるが、負荷回路38ごとに求められた情報を合計した場合、主幹回路について計測した情報に対して誤差を含むことが多い。したがって、主幹回路の電力に関する情報は、主幹回路について直接計測することが望ましい。
処理部13は、取得部18を通して計測ユニット33から得られた入力情報を用いることにより、負荷回路38ごとの瞬時電力と積算電力量との少なくとも一方を取得することが可能になる。また、処理部13は、主幹回路についても瞬時電力と積算電力量との少なくとも一方を取得することが可能になる。
(第1の分散型電源との連携)
本実施形態における連携アダプタ10は、図1に示すように、発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)太陽光発電装置のような第1の分散型電源41と主幹ブレーカ31の電源側の主幹回路との間に接続される第1の開閉器51が接続可能な第3の端子部23を備える。第3の端子部23は、第1の端子部21および第2の端子部22と電気的に接続される。すなわち、第3の端子部23は、第2の端子部22を通して主幹ブレーカ31に電気的に接続されており、第1の端子部21を通して系統電源25に電気的に接続されている。
第1の開閉器51は、第1の分散型電源41を電力系統と連系させる場合にオンになり、第1の分散型電源41を電力系統から切り離す場合にオフになるように制御される。すなわち、第1の開閉器51は、系統電源25からの電力供給が停止した場合、系統電源25あるいは第1の分散型電源41に異常が生じた場合などに、第1の分散型電源41を解列するために設けられる。また、第1の開閉器51は、漏電ブレーカを含んでいる。
第1の開閉器51は、たとえば、図6に示すように3P3E型(極数3、素子数3)のブレーカである。第1の開閉器51は、第1の分散型電源41の電源ケーブルが接続される、端子部510を備える。本実施形態では、中性線、第1の電圧線、第2の電圧線に対応して、端子部510は3つの端子部を含む。
第1の開閉器51は、分電盤30にスペースを確保できる場合には、分電盤30の内部空間において、連携アダプタ10とは別の場所に配置することが可能である。この場合、分電盤30の内部に第1の開閉器51を配置する第1の取付スペースが形成されるように、連携アダプタ10の器体14の寸法が設計される。しかし、本実施形態のように、連携アダプタ10の器体14を電流制限器と同程度の寸法に形成した場合、既存の分電盤30の内部には、第1の開閉器51を配置するスペースを連携アダプタ10の取付スペースと独立して確保することはできない。
そのため、図2に示すように、本実施形態の連携アダプタ10は、第1の開閉器51が装着される第1の取付スペースSP1を器体14の一部に備えている。第1の開閉器51は、第1の取付スペースSP1に対して取り付けと取り外しとが可能になっている。第1の取付スペースSP1は、器体14に形成された凹所である。第1の取付スペースSP1は、第1の開閉器51が第1の取付スペースSP1に装着されたときに第1の開閉器51の端子(図示せず)が電気的に接続される、差込式の接続部(図示せず)を備える。本実施形態では、この差込式の接続部が、第3の端子部23を構成している。なお、図2に示す例では、器体14は、第1の取付スペースSP1を1つ備えているが、第1の取付スペースSP1を複数備えていてもよい。
すなわち、本実施形態の連携アダプタ10は、発電した電力を電力系統へ逆潮流させる第1の分散型電源41を接続するための第1の開閉器51が配置される第1の取付スペース(凹所)SP1を、器体14に備えている。また、第3の端子部23は、取付スペースSP1内に設けられており、第1の開閉器51が第1の取付スペースSP1に配置されたときに、第1の開閉器51に接続される。
したがって、第1の開閉器51が第3の端子部23に接続され、第1の分散型電源41が第1の開閉器51に接続されると、第1の分散型電源41で発電された電力を第2の端子部22を介して主幹ブレーカ31側へ供給することが可能となり、また、第1の分散型電源41で発電された電力を第1の端子部21を介して系統電源25側へ逆潮流することが可能となる。
第1の開閉器51の端子と接続部(第3の端子部23)との一方は、たとえば、2枚の板ばねを向かい合わせた構造が採用され、他方は、2枚の板ばねの間に差し込まれる板状の導体片を備える構造が採用される。この種の構造は、電源プラグの栓刃とレセプタクルの刃受ばねとの関係において採用されている構造に類似している。この構成により、第1の開閉器51が第1の取付スペースSP1に装着されると、第1の開閉器51と第3の端子部23とが電気的に接続される。第1の開閉器51の端子は、電源プラグの栓刃と同様の構造(雄コネクタ)を有し、連携アダプタ10の第3の端子部23は、レセプタクルと同様の構造(雌コネクタ)を有することが好ましい。
上述した構成(連携アダプタ10が第1の取付スペースSP1を備えた構成)では、連携アダプタ10を取り付けた分電盤30が需要家に設置されていれば、太陽光発電装置のような第1の分散型電源41が需要家に設置された時点で、第1の開閉器51を第1の取付スペースSP1に後付けで取り付けることができる。つまり、需要家において、第1の分散型電源41が必要になったときに、分電盤30の内部に第1の開閉器51を取り付けることによって、第1の分散型電源41を系統と連系させることが可能になる。
本実施形態の連携アダプタ10は、図1に示すように、第1の開閉器51を通過した電力を計測する内蔵センサ24をさらに備えている。内蔵センサ24は、第2の端子部22と第3の端子部23との間に設けられている。すなわち本実施形態では、第1の分散型電源41が発電した電力は、連携アダプタ10に設けられた内蔵センサ24が計測する。内蔵センサ24は、第3の端子部23を通して受電した電力を計測するために、たとえば線路ごとに通過する電流値を計測する電流センサを備え、電流センサが計測した電流値と線間の電圧値とを用いて電力を計測する。
内蔵センサ24が計測した電力に関する情報は、取得部18を通して入力情報として処理部13に与えられる。ここに、内蔵センサ24が計測した電力に関する情報は、電流値と電圧値との瞬時値でよいが、所定時間(たとえば、1分)ごとの電力量(瞬時電力とみなす)と、瞬時電力を積算した電力量との少なくとも一方であることが望ましい。
処理部13は、取得部18を通して内蔵センサ24から得られた入力情報を用いることにより、第1の分散型電源41が発電した電力について、瞬時電力と積算電力量との少なくとも一方を取得することが可能になる。また、処理部13は、計測ユニット33からの入力情報により、負荷回路38ごとに使用した電力を取得するから、第1の分散型電源41が発電した電力との差分により、余剰電力(あるいは、逆潮流を行った電力)の算出が可能になる。すなわち、処理部13は、内蔵センサ24から得られた情報と計測ユニット33からの情報とを用いて、第1の分散型電源41が発電した電力のうち電力系統に逆潮流された電力を算出することができる。
図示していないが、第1の分散型電源41を蓄電装置と組み合わせて用いる場合には、第1の端子部21と第2の端子部22との間に開閉器を設けてもよい。この構成では、第1の分散型電源41の電力と蓄電装置の電力とにより負荷回路38が要求する電力を充足できる場合に、開閉器によって負荷回路38から電力系統を切り離し、負荷回路38が要求する電力が不足する場合に、電力系統を接続するという動作が可能になる。このような開閉器の動作は、処理部13が制御する。
処理部13が第1の分散型電源41が発電した電力に関する情報を入力情報に用いて出力情報を生成する処理は、第1の分散型電源41が接続されている場合にのみ必要になる。そのため、第1の分散型電源41が接続されたときに、該当するプログラムとデータ(内蔵センサ24が計測した電力に関する情報を処理するためのプログラムとデータ)を処理部13で読み込むことが望ましい。たとえば処理部13は、第1の分散型電源41から所定の無線信号を第2の通信I/F部を介して受信したときに、該当するプログラムとデータを第1の通信I/F部11または第2の通信I/F部12を通して受信する。なお、プログラムとデータを処理部13にあらかじめ登録しておき、第1の分散型電源41が接続されたときに所要のプログラムとデータを起動するようにしてもよい。ただし、処理部13にプログラムとデータをあらかじめ登録している場合でも、第1の分散型電源41が接続されたときに、あらためて最新のプログラムとデータ(プログラムとデータの更新情報)を読み込むから、プログラムとデータは、選択肢から選ぶ構成ではなく、必要なときに読み込む構成であることが好ましい。
なお、第1の分散型電源41を用いないことが明らかである場合、第3の端子部23は不要である。したがって、第3の端子部23を備えていない連携アダプタ10を分電盤30に取り付けてもよい。
(提示機器との連携)
以下では、連携アダプタ10の動作について説明する。ここでは、連携アダプタ10に第1の分散型電源41が接続されていない場合を想定する。通信機能を有する電力量計20が需要家において未設置であっても、計測ユニット33が設けられていれば、連携アダプタ10は以下の動作を行う。
処理部13は、取得部18を通して計測ユニット33が計測した負荷回路38ごとの電力に関する情報を取得し、この情報を入力情報として出力情報を生成し、出力情報を第2の通信I/F部12から出力する。処理部13は、入力情報の集計、グラフ化などの処理を行うことによって、利用者に提示したときに分かりやすい形式の出力情報を生成する。この場合、出力情報は、第2の通信I/F部12を通して表示器(画面)を備える提示機器71に送出される。
連携アダプタ10が複数種類の出力情報を生成し、提示機器71の1画面ではすべての出力情報を表示しきれない場合は、画面に表示する内容を切り替える。そのため、提示機器71は、表示器に加えて利用者が操作する操作部を備えた操作表示機器であることが望ましい。この種の操作表示機器の操作部は、表示器とは別に設けられたスイッチ、あるいは表示器の画面に重ねたタッチスイッチが用いられる。
提示機器71は、利用者に情報を提示する装置であって、第2の通信I/F部12と通信する専用機器のほか、第2の通信I/F部12を通して通信するスマートフォン、タブレット端末などから選択される機器が用いられる。なお、スマートフォン、タブレット端末などの端末装置を用いるためには、端末装置を提示機器71として機能させるアプリケーションプログラムを端末装置に実行させればよい。
上述の動作例のように、通信機能を有した電力量計20が需要家に設置されていない場合には、処理部13は、電力量計20からは入力情報を取得できない。一方、需要家に通信機能を有した電力量計20が設置されている場合、処理部13は、電力量計20からも入力情報を取得する。したがって、処理部13は、提示機器71に提示する出力情報を生成するために、電力量計20から得られた入力情報を単独で用いることが可能である。電力量計20から得られる入力情報は、電力量計20が計測した需要家での電力の使用量、管理装置62から通知されたデマンドレスポンスの情報などがある。処理部13は、電力量計20から取得した入力情報も提示機器71に提示可能な形式に加工する処理を行って提示機器71に出力する。
(設備機器との連携)
第2の通信I/F部12は、提示機器71だけではなく、上述のように、設備機器72、コントローラ70、通信機器(無線ルータ)73と通信することも可能である。ここで、連携アダプタ10に予め組み込まれている第2の通信I/F部12は、提示機器71、設備機器72、コントローラ70、通信機器73のいずれかとのみ通信可能に構成されていてもよい。
たとえば、上述の動作例のように、連携アダプタ10が提示機器71に出力情報を送出する機能を有する場合、提示機器71は、連携アダプタ10と通信することが必須であるから、連携アダプタ10に組み込まれている第2の通信I/F部12と通信可能である。一方この場合、連携アダプタ10の最小限の機能では、設備機器72、コントローラ70、通信機器73との通信は必須ではない。この場合、連携アダプタ10は、設備機器72、コントローラ70、通信機器73と通信するための第2の通信I/F部12Aを、後付けで増設する構成であってもよい。
図2に示す連携アダプタ10は、設備機器72、コントローラ70、通信機器73との通信が必要になったときに、これらの機器と通信を行うための第2の通信I/F部12Aを増設する構成を採用している。連携アダプタ10に付加される第2の通信I/F部12Aは、連携アダプタ10の器体14に装着される。
図3に示す使用例において、連携アダプタ10は、処理部13のファームウェアの更新および第2の通信I/F部12Aを付加することによって、通信機器73とWiFi(登録商標)による無線通信を行い、コントローラ70と特定小電力無線による無線通信を行う構成を採用している。この構成において、通信機器73は、管理装置61、コントローラ70、設備機器72、提示機器71として機能する端末装置と通信する。
連携アダプタ10に組み込まれた第2の通信I/F部12が、提示機器71のみと通信する構成の場合には、第2の通信I/F部12は、たとえばWiFi(登録商標)による無線通信だけが行えればよい。この連携アダプタ10に対して、コントローラ70との通信が必要になる場合には、特定小電力無線による通信機能を有する第2の通信I/F部12Aが連携アダプタ10に装着される。また、通信機器73との通信が必要になる場合には、連携アダプタ10に組み込まれた第2の通信I/F部12は、通信機器73との通信が可能になるように、処理部13のファームウェアが更新される。
設備機器72と通信する場合、連携アダプタ10は、設備機器72の管理を行う機能が付与される。すなわち、処理部13は、入力情報を用いて、設備機器72の動作状態を管理する出力情報を生成する。設備機器72の動作状態を管理する際に用いる入力情報は、電力量計20から取得する需要家で使用した電力の使用量あるいはデマンドレスポンス、計測ユニット33から取得する負荷回路38ごとの電力に関する情報を含む。さらに、処理部13は、設備機器72の動作状態を管理する出力情報を生成するために用いる入力情報は、設備機器72から取得する設備機器72の動作状態に関する情報を含む場合もある。
たとえば、連携アダプタ10がコントローラ70と通信し、処理部13が設備機器72の動作を管理する場合、処理部13は、コントローラ70を通して設備機器72に関する情報を取得し、処理部13は、入力情報に基づいて設備機器72を管理する情報を生成し、生成した情報をコントローラ70に引き渡してもよい。この場合、処理部13は、コントローラ70から取得した設備機器72に関する情報を入力情報に加え、入力情報(コントローラ70から取得した設備機器72に関する情報を含む)に基づいて出力情報(設備機器72を管理する情報)を生成する。
出力情報の生成に用いられる情報(入力情報)は、第1の通信I/F部11と第2の通信I/F部12とを通して処理部13に与えられる。処理部13は、設備機器72を管理するためのプログラムを実行することにより、上述のような入力情報を用いて出力情報を生成し、設備機器72を制御する。連携アダプタ10は、たとえば、デマンドレスポンスに応じた節電を行うために、優先度の低い設備機器72を停止させる制御、あるいは設備機器72の動作状態を消費電力が低減される動作状態に移行させる制御などを設備機器72に指示する。
ところで、上述した動作はコントローラ70と同様の動作であり、コントローラ70は設備機器72を管理する場合、電力量計20から取得する情報、計測ユニット33から取得する情報、設備機器72から取得する情報を必要とする。コントローラ70は、設備機器72と通信するから、設備機器72に関する情報を設備機器72から直接取得する。また、コントローラ70は、電力量計20および計測ユニット33からの情報は、連携アダプタ10から取得する。
ここに、連携アダプタ10とコントローラ70とが同時に設備機器72を管理しようとすると、互いに干渉する可能性がある。そのため、第2の通信I/F部12がコントローラ70と通信する場合には、処理部13は設備機器72を管理する処理が禁止される。なお、第2の通信I/F部12は、コントローラ70と通信する場合は、たとえば、特定小電力無線による無線伝送路を用いる。
通常、処理部13に用いられるプロセッサは、コスト上の制約があることなどから、高い処理能力を望むことは困難であり、設備機器72を管理する際の処理内容には制限がある。これに対して、一般に、コントローラ70に用いられるプロセッサは、処理部13に比べて処理能力が高く、また、コントローラ70に設けられるインターフェイス部も連携アダプタ10に比べて高機能である。
したがって、設備機器72を簡便に管理する場合、連携アダプタ10が用いられ、設備機器72の管理により高度な処理が求められる場合は、コントローラ70が用いられる。コントローラ70が行うこの種の処理には、設備機器72の動作状態をタイムスケジュールに従って管理する処理、設備機器72の異常に対する対処などがある。
(通信機器との連携)
第2の通信I/F部12がルータのような通信機器73と通信する場合には、連携アダプタ10は、通信機器73を通して管理装置61あるいは管理装置62と通信することが可能になる。連携アダプタ10は、ファームウェアのアップデータを受信する場合などに、この通信経路を利用することが可能である。
なお、上述した提示機器71は、図3に示すように連携アダプタ10と直接通信せずに、通信機器73を介して連携アダプタ10と通信してもよい。すなわち、需要家において、通信機器73をアクセスポイントとする無線LAN(Local Area Network)が構築されている場合、提示機器71は、通信機器73を介して連携アダプタ10と通信する構成を採用してもよい。さらに、需要家に通信機器73との通信が可能な設備機器72が設置されている場合、あるいは需要家に通信機器73との通信が可能なコントローラ70が設けられている場合、提示機器71は、通信機器73を通して設備機器72あるいはコントローラ70を管理してもよい。
上述した連携アダプタ10および計測ユニット33は、主幹ブレーカ31および分岐ブレーカ32を分電盤30に取り付けるときに、合わせて分電盤30に取り付けられる。たとえば、主幹ブレーカ31および分岐ブレーカ32だけではなく、連携アダプタ10および計測ユニット33も併せて内蔵された分電盤30が工場から出荷される。もちろん、需要家の施工現場において、連携アダプタ10および計測ユニット33が分電盤30に取り付けられてもよい。
(第2の分散型電源との連携)
本実施形態の分電盤30は、発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)第1の分散型電源41だけではなく、発電した電力を電力系統へ逆潮流させない(たとえば、電力系統への逆潮流が禁止されている)第2の分散型電源42を接続することも可能になっている。分電盤30のキャビネット35には、第2の分散型電源42を接続するために、分岐ブレーカ32を取り付けるスペースの一部に、図2に示すように第2の開閉器52が配置される第2の取付スペースSP2を備えている。具体的には、第2の取付スペースSP2は、導電バーセット37の方向D1の第1側且つ方向D2の一方側(図2の右下側)に設けられている。
本実施形態では、第2の取付スペースSP2に、第2の開閉器52が取りつけられる取付台34が装着されている。図2に示す例では、3個の分岐ブレーカ32に相当する取付スペースSP2に取付台34(第2の開閉器52)を配置しているが、第2の取付スペースSP2は、第2の開閉器52のサイズと個数とに応じて、分岐ブレーカ52の1乃至整数個分に相当する寸法が空いていればよい。
取付台34は、連携アダプタ10と同様に、工場出荷前あるいは需要家での現場施工時に分電盤30に取り付けられる。分電盤30は、取付台34を取り付けずに、取付台34に相当する第2の取付スペースSP2を空けておくことが可能である。しかしながら、分電盤30に取付台34が装着されずに放置されていると、第2の取付スペースSP2に誤って分岐ブレーカ32が装着される可能性があり、また導電部分(導電バーの露出部分)に埃が付着したり酸化膜が生じることにより、接触抵抗が増加する可能性がある。以上のような事情により、取付台34は分電盤30にあらかじめ取りつけられていることが望ましい。なお、第2の取付スペースSP2は、第2の分散型電源42を当面使用しないことが明らかである場合には、予備の分岐ブレーカ32を装着しておいてもよい。
第2の分散型電源42は、燃料電池、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両などから選択される。なお、電動車両は、交流と直流との間で双方向に電力変換を行う変換器を搭載し、充電器を別途に必要としない構成である場合を想定する。また、第2の分散型電源42は、電力系統への逆潮流を行わなければ、太陽光発電装置のように再生可能エネルギーを電力に変換する分散型電源であってもよい。分電盤30に第2の分散型電源42を接続する場合、第1の分散型電源41と主幹回路との間に第1の開閉器51が必要であるのと同様に、第2の分散型電源42と主幹回路との間に第2の開閉器52が必要である。
第2の開閉器52は、取付台34に対して取り付けと取り外しとが可能になっている。第2の開閉器52と取付台34との関係は、第1の開閉器51と連携アダプタ10との関係と同様であり、第2の開閉器52は取付台34に対して取り付けと取り外しとが可能になるように装着される。
第2の開閉器52は、漏電ブレーカを含み、第2の分散型電源42における異常発生時に、第2の分散型電源42を主幹回路から切り離す機能を有する。
なお、第2の開閉器52は、取付台34を介さずに直接導電バーセット37に接続される構成であってもよい。この場合の第2の開閉器52の例を、図7に示す。第2の開閉器52は、たとえば、3P3E型(極数3、素子数3)のブレーカである。第2の開閉器52は、第2の分散型電源42の電源ケーブルが接続される、端子部520を備える。また第2の開閉器52は、導電バーセット37が接続される、差込口521を備える。差込口521内には端子(図示せず)が設けられている。本実施形態では、中性線、第1の電圧線、第2の電圧線に対応して、端子部520は3つの端子部を含む。また、差込口521は3つの差込口を含み、3つの差込口にそれぞれ対応して3つの端子が設けられている。
第2の分散型電源42が第2の開閉器52を介して導電バーセット37に接続されると、第2の分散型電源42で発電された電力を、導電バーセット37を介して複数の負荷回路38に供給することが可能になる。
第2の分散型電源42が分電盤30に接続された場合、連携アダプタ10の処理部13には第2の分散型電源42に対応したプログラムとデータが設定される。すなわち、第2の分散型電源42は、電力系統への逆潮流を常に行わない(たとえば電力系統への逆潮流が禁止されている)から、連携アダプタ10の処理部13は、電力系統への逆潮流が生じないように制御を行う。
すなわち、処理部13は、第2の分散型電源42から主幹回路に供給される電力と、負荷回路38に供給される電力とを比較し、第2の分散型電源42から供給される電力が負荷回路38に供給される電力より小さくなるように、第2の分散型電源42の出力を調節する。たとえば、処理部13は、第2の通信I/F部12を通して、無線通信によって第2の分散型電源42の出力を調節する。
なお、処理部13は、第2の分散型電源42の出力を直接調節する代わりに、第2の分散型電源42に対して、第2の分散型電源42から主幹回路に供給される電力と、負荷回路38に供給される電力とを送信してもよい。この場合、第2の分散型電源42が、負荷回路38に供給される電力と第2の分散型電源42から主幹回路に供給される電力とを比較し、自身の出力を調節する。
第2の分散型電源42は、燃料電池あるいは太陽光発電装置のように電力の供給のみを行う構成と、蓄電装置あるいは電動車両のように電力の供給(放電)だけではなく電力の蓄積(蓄電)を行う構成とが選択可能である。電力の供給のみを行う第2の分散型電源42は、上述した動作による逆潮流の防止が行われるだけであるが、充電と放電とを行う第2の分散型電源42は、逆潮流の防止だけではなく、蓄電量の管理も行われる。したがって、連携アダプタ10に設定されるプログラムとデータは、第2の分散型電源42の種類に応じて変更される。
たとえば、蓄電装置あるいは電動車両の蓄電池は、系統電源25の電力を用いて充電されるか、第1の分散型電源41の電力を用いて充電される。系統電源25の電力により充電される場合は、電力料金の単価が比較的低額である夜間の電力が用いられるように、充電のタイミングが管理される。また、蓄電装置あるいは電動車両の蓄電池は、翌日に利用する電力量あるいは電池の寿命などの種々の条件に応じて充電量が管理される。また、蓄電装置あるいは電動車両の蓄電池が、系統電源25から購入する電力を低減させる目的、あるいは逆潮流の電力を調節する目的などに用いられる場合には、連携アダプタ10は、それらの目的に応じた制御を行う。
(自立分電盤との連携)
以下、本実施形態の分電盤システムについて説明する。図1に示すように、本実施形態の分電盤システムは、系統電源25からの電力供給が停止している状態で電力の出力が可能である第2の分散型電源42が接続された分電盤30と、自立分電盤80とを備える。
上述した第2の分散型電源42のうち、太陽光発電装置、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両などは、系統電源25からの電力供給が停止した状態でも設備機器72に対して交流電力を出力することが可能である。このような第2の分散型電源42は、系統電源25からの電力供給が停止している状態で交流電力を出力する端子を、分電盤30の主幹回路に接続する端子とは別に備えている。以下、この端子から出力される電力を自立出力と呼ぶ。
自立出力は、供給可能な容量に限りがあるから、需要家における特定の設備機器72にのみ供給される。自立出力を受電する特定の設備機器72は自立分電盤80に設けられた第2の分岐ブレーカ82に接続される。第2の分岐ブレーカ82は、分電盤30に設けられた分岐ブレーカ32と同様に、電力を複数の負荷回路83に分配するように設けられる。
自立分電盤80は、第2の分岐ブレーカ82を複数個備える。第2の分岐ブレーカ82の各々は、たとえば分岐ブレーカ32と同様に2P1E型のブレーカである。自立分電盤80には、1乃至整数個分の第2の分岐ブレーカ82に相当するスペースが第3の取付スペースSP3として確保されている。第3の取付スペースSP3には、漏電ブレーカであって、自立分電盤80の受電経路に挿入される第3の開閉器53が取りつけられる。図2に示す例では、第3の取付スペースSP3は、3個の第2の分岐ブレーカ82に相当するスペースを有している。
自立分電盤80は、平時は、主幹ブレーカ31を通して分電盤30から電力を受電しているが、系統電源25からの給電が停止すると、第2の分散型電源42の自立出力を受電する。自立分電盤80の受電元は、切替器54により選択される。切替器54は、系統電源25の給電状態を監視し、給電状態に応じて機械式の接点を切り替える。系統電源25の給電が継続している間、切替器54は分電盤30から受電する状態を選択し、給電が停止すると、切替器54は第2の分散型電源42の自立出力から受電する状態を選択する。系統電源25からの給電状態が復旧すれば、切替器54は平時の状態に復帰する。
切替器54は、第3の開閉器53とは別に設けることが可能であるが、第3の開閉器53が切替器54と兼用されていることが望ましい。すなわち、図1には、第3の開閉器53と切替器54とを個別に記載しているが、図8に示すように、切替器54の機能は第3の開閉器53に内蔵されていることが望ましい。この構成では、切替器54が自立分電盤80に内蔵されることにより、図4に示すように、分電盤30と自立分電盤80とを隙間なく並べて配置することが可能になる。
図3および図4には分電盤30の扉36および自立分電盤80の扉84を閉じた状態が示されており、図2には分電盤30について扉を開いた状態を示している。
なお、切替器54は、自立分電盤80に給電する電源を選択する際に、系統電源25の停止と復帰を検出した後に、数秒程度が経過してから電源を選択することが望ましい。これは、自立分電盤80に接続されている設備機器72に残留する電荷が消費されるまで待つことによって、切替器54の接点の消耗や溶着を防止するためである。
自立分電盤80の第2の分岐ブレーカ82に接続される設備機器72は、主として通信、照明のように安全に関わる機器であり、夏季における冷蔵庫のように、食品の保存に関わる機器が含まれていてもよい。なお、日中と夜間、夏季と冬季、人の存在と不在とのように、種々の条件に応じて第2の分岐ブレーカ82を通して給電する設備機器72が選択可能になっていてもよい。
(使用例)
上述したように、分電盤30は、主幹ブレーカ31、分岐ブレーカ32が工場出荷前に組み込まれ、さらに、電力量計20と通信可能な連携アダプタ10が少なくとも現場施工まで(望ましくは、工場出荷前)に組み込まれる。
このような最小構成の分電盤30は、電力量計20が計測した電力に関する情報を提示機器71に提示する機能と、電力量計20を通して管理装置61,62から通知されるデマンドレスポンスのような情報を提示機器71に提示する機能とだけを有している。すなわち、需要家における電力の使用量に関する情報が利用者に提示され、また、管理装置61,62からの情報が利用者に提示され、節電の要請、電気料金の単価、供給側の電力不足が懸念される時間帯などの情報が利用者に提示される。このような情報の提示により、利用者にとって電力の使用量に関する意識付けが行われる。
太陽光発電装置のように発電した電力を電力系統へ逆潮流させる(たとえば、電力系統への逆潮流が許容されている)第1の分散型電源41を需要家が導入する場合は、連携アダプタ10に、第1の分散型電源41を主幹回路に接続するための第1の開閉器51が取りつけられる。さらに、第1の分散型電源41が接続された場合の処理が可能になるように、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータの更新が行われる。
需要家が設備機器72を管理するためのコントローラ70を設ける場合には、必要に応じて第2の通信I/F部12Aを付加し、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータを更新する。コントローラ70を設けない場合であっても、連携アダプタ10によって設備機器72の管理を行う場合には、必要に応じて第2の通信I/F部12Aを付加し、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータを更新する。提示機器71と同じ通信方式を採用した通信機器73との通信を可能にする場合には、第2の通信I/F部12Aを付加することは必須ではないが、通信機器73との通信を行うために処理部13のプログラムとデータを更新する。
発電した電力を逆潮流させない(たとえば逆潮流が禁止されている)第2の分散型電源42を需要家が導入する場合は、分電盤30に設けられた第2の取付スペースSP2に、第2の開閉器52が取りつけられる。この場合も、第1の分散型電源41を導入する場合と同様に、連携アダプタ10における処理部13のプログラムとデータが、第2の分散型電源42の管理に適するように更新される。なお、図示例は、分電盤30に第2の取付スペースSP2が1つ設けられているが、第2の取付スペースSP2は複数設けられていてもよい。
第2の分散型電源42は、燃料電池、太陽光発電装置のように電力の供給のみを行う構成と、蓄電装置、蓄電池を搭載した電動車両のように充電と放電とを行う構成とを含む。充電と放電とを行う第2の分散型電源42を用いる場合は、充電および放電の電力の管理およびタイミングの管理を行うように、処理部13のプログラムとデータが更新される。
さらに、第2の分散型電源42が導入されている場合に、系統電源25からの給電が停止している期間でも特定の設備機器72への給電を可能とする場合には、自立分電盤80が需要家に導入される。自立分電盤80は、第2の分散型電源42が導入されている場合に必要に応じて導入される。すなわち、自立分電盤80は、第2の分散型電源42と同時または追加して導入される。
以上説明したように、連携アダプタ10を取りつけた分電盤30が需要家に設置されていれば、電力量計20と通信することにより得られる情報を、提示機器71を通して利用者に提示するという最小限の機能を持たせることができる。その後、第1の分散型電源41、第2の分散型電源42、コントローラ70、自立分電盤80などから選択される設備が需要家に導入されるたびに、これらの設備に必要な部材が分電盤30に組み込まれる。さらに、導入した設備の管理や動作に必要なプログラムとデータが、連携アダプタ10の処理部13に実装される。
言い換えると、需要家は、連携アダプタ10が取りつけられた基本構成の分電盤30が最初に導入されていれば、後に、分電盤30の入れ替えのような大幅な変更を要さずに、種々の設備を必要に応じて導入することが可能になる。要するに、基本構成の分電盤30が需要家に用意されていれば、設備の充実に伴って部材を付加することにより、多機能の分電盤30を構築することが可能になる。
上述した構成例において、連携アダプタ10の処理部13は、電力に関する情報のみを入力情報に用いている。ただし、ガス、水道、熱などの資源であって、需要家での使用量を計測する計測装置が設置されている場合、処理部13は、これらの資源の使用に関する情報を入力情報に含めてもよい。すなわち、処理部13は、資源の使用に関する情報を入力情報に加え、入力情報(資源の使用に関する情報を含む)に基づいて出力情報を生成してもよい。処理部13が電力以外の資源の情報も入力情報に含めることにより、需要家での資源の利用を総合的に管理することが可能になる。
本実施形態では、第2の取付スペースSP2に、第2の開閉器52が取りつけられる取付台34が装着されている。図2に示す例では、3個の分岐ブレーカ32に相当する取付スペースSP2に取付台34(第2の開閉器52)を配置しているが、第2の取付スペースSP2は、第2の開閉器52のサイズと個数とに応じて、分岐ブレーカ52の1乃至複数個分に相当する寸法が空いていればよい。
自立分電盤80は、第2の分岐ブレーカ82を複数個備える。第2の分岐ブレーカ82の各々は、たとえば分岐ブレーカ32と同様に2P1E型のブレーカである。自立分電盤80には、1乃至複数個分の第2の分岐ブレーカ82に相当するスペースが第3の取付スペースSP3として確保されている。第3の取付スペースSP3には、漏電ブレーカであって、自立分電盤80の受電経路に挿入される第3の開閉器53が取りつけられる。図2に示す例では、第3の取付スペースSP3は、3個の第2の分岐ブレーカ82に相当するスペースを有している。