JPWO2014157717A1 - 半固形状高栄養食品 - Google Patents
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Abstract
Description
特に高分子の可溶性タンパク質では、増粘、凝集の発生といった問題が生じやすい。一方タンパク質加水分解物では、増粘や凝集の発生は改善されるが逆に油脂の乳化安定性が低下し、また風味も苦味や渋味が増して著しく悪くなる問題が生じやすい。またアミノ酸混合物では風味の悪化と浸透圧上昇の問題がある。このように、従来の技術では、物性と風味両方の問題を解決することが困難であった。
本発明はかかる問題点を解決し、酸性領域のpHを有していても増粘や凝集を生じず、油脂の乳化安定性も高く、かつ風味良好で経口摂取も可能な半固形状高栄養食品を提供することを課題とするものである。
(1)下記1〜3の要件を満たすタンパク質素材を含有し、エネルギーが1mlあたり1.5kcal以上であることを特徴とする、半固形状高栄養食品、
1.乾物あたりのタンパク質含量が50重量%以上
2.10重量%水分散液のpHが4.2以上6未満
3.希酸NSIが70以下
(2)タンパク質素材は、さらに0.22M TCA可溶率が70%以下である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(3)タンパク質素材は、10重量%水分散液のpHが4.2〜5.5である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(4)タンパク質素材は、希酸NSIが5〜70である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(5)タンパク質素材が豆類由来である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(6)タンパク質素材が大豆由来である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(7)該食品のpHが4以上6未満である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(8)該食品のpHが4未満である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(9)該食品のpHが6〜8である、前記(1)記載の半固形状栄養食品、
(10)該食品のエネルギーが、1mlあたり2.5kcal以上である、前記(1)記載の半固形状高栄養食品、
(11)25℃における粘度が100〜30000mPa・sの半固形状である、前記(1)記載の半固形状高栄養食品、
(12)前記(1)記載のタンパク質素材をタンパク質換算で、全タンパク質中50〜100重量%配合する、前記(1)記載の半固形状高栄養食品、
(13)大豆由来のタンパク質素材をタンパク質換算で全タンパク質中50〜100重量%含有し、エネルギーが1mlあたり1.5kcal以上であり、25℃における粘度が100〜30000mPa・sであり、該タンパク質素材が下記1〜3の要件を満たすことを特徴とする、タンパク質、糖質及び脂質を含む半固形状高栄養食品、
1.乾物あたりのタンパク質含量が70重量%以上
2.10重量%水分散液のpHが4.2〜5.5
3.希酸NSIが5〜70、
(14)該食品のエネルギーが、1mlあたり2.5kcal以上である、前記(13)記載の半固形状高栄養食品。
より詳しくは、製造工程中でミネラルの存在によるタンパク質の凝集が生じにくく、また加熱殺菌によって粘度の急激な上昇が生じにくいために安定的な製造が可能であり、油脂が保存中に分離することがなく、増粘多糖類等で粘度設定を自由に行うことのできる、高タンパク質で高エネルギーの半固形状高栄養食品を提供することが可能となる。
本発明における半固形状高栄養食品は、タンパク質、糖質、脂質、ミネラル、ビタミンなど身体の維持に必要な成分を製品設計に応じて適宜配合した高エネルギーの栄養補給用の食品であり、患者の食事摂取が不十分か不可能又は消化器機能が低下しているときなどの栄養素補給のために使用される栄養療法などに利用される。
「半固形」の用語は高栄養食品の分野においてはごく一般に通用されており、高栄養食品には半固形タイプのジャンルが確立されている。半固形状の高栄養食品は液状タイプの高栄養食品よりも比較的高粘度であり、一方で固体とは異なり流動性を有するものである。
タンパク質素材はタンパク質を主成分とし、各種加工飲食品の製造に使用される原料素材である。このタンパク質素材は、大豆や乳などのタンパク質を含む天然原料(タンパク質原料)からさらにタンパク質を濃縮加工して調製されるものであり、一般には分離タンパク質や濃縮タンパク質と称されるものである。
タンパク質の起源はアミノ酸スコアが高く良質な植物性タンパク質を摂取できるという観点では大豆,エンドウ豆,ヒヨコ豆、キャノーラ等の豆類由来のタンパク質であるのが好ましく、特に大豆由来のタンパク質が好ましい。
そして、本発明において使用されるタンパク質素材は、これらのうち少なくとも下記の1〜3の要件で特定されるものであることが重要である。
1.乾物あたりのタンパク質含量が50重量%以上
2.10重量%水分散液のpHが4.2以上6未満
3.希酸NSIが70以下
これらの要件について下記に具体的に説明する。
本発明で用いられるタンパク質素材は、乾物あたりのタンパク質含量が少なくとも50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上のものである。
本発明で用いられるタンパク質素材は、その10重量%水分散液のpHが4.2以上6未満、好ましくは4.2〜5.5の弱酸性領域のpHとなるものである。タンパク質素材の水分散液のpHが低すぎると、より高いpHの高栄養食品を製造する際にpH調整に必要な水酸化ナトリウム等のアルカリの量を増やす必要があり、ナトリウムやカリウムの量が高栄養食品における適正な範囲を超えてしまうが困難となる。また、タンパク質素材の水分散液のpHが高すぎると、高栄養食品の乳化性が低下し、油脂が分離して保存安定性を維持することが困難となる。
一般的な分離大豆タンパク質である、例えば不二製油(株)製の「フジプロ(R)F」や「プロリーナ(R)900」などの水分散液のpHが7付近であり、また酸性可溶大豆タンパク質として知られている不二製油(株)製の「ソヤサワー(R)4000」などの水分散液のpHが3.8以上4.2未満であり、いずれも本発明で用いられるタンパク質素材には該当しないものである。
本発明で用いられるタンパク質素材は、酸性領域でのタンパク質の溶解性が中程度のものである。酸性領域での溶解性の尺度としては、「希酸NSI」(NSIは、窒素溶解指数の略称)で表すことができ、希酸NSIの値が高いほど酸性領域での溶解性が高いことの指標となる。希酸NSIは下記のようにして測定するものとする。
試料2.0gに100mlの0.1重量%クエン酸水溶液を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの0.1重量%クエン酸水溶液を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに0.1重量%クエン酸水溶液を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものを希酸NSIとする。
タンパク質の希酸NSIがかかる範囲であることにより、高エネルギーかつ高タンパク質の半固形状高栄養食品において、酸性領域のpHを有していても、ミネラル耐性、耐熱性および乳化安定性といった安定な物性と、良好な風味を維持することに寄与する。
本発明におけるタンパク質素材は、0.22M TCA可溶率が70%以下であることが適当であり、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。下限値は特に限定されないが、食感のざらつきが少ないことが重視される場合には、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。一つの限定的な選択範囲として30〜70%、より限定的には40〜60という特定の中間的な分解度を選択することができる。
本発明の半固形状高栄養食品には、本発明で用いられるタンパク質素材のほか、適宜一般に食品や高栄養食品に利用されている窒素源を併用して配合することは妨げない。たとえば、カゼイン、カゼイネート、ホエータンパク質、乳タンパク質濃縮物などの乳タンパク質、卵白、コラーゲンなどの動物性タンパク質もしくはその分解物、あるいは、小麦、えんどう、とうもろこしなどの植物性タンパク質もしくはその分解が挙げられ、タンパク質を完全に消化した遊離アミノ酸も配合することができる。
ただし、他の窒素源の割合が高くなりすぎると本発明の効果を享受しにくくなるため、本発明で用いられるタンパク質素材が、タンパク質換算で全タンパク質中50〜100重量%配合されるのがより好ましく、70〜100重量%の配合がさらに好ましく、90〜100重量%の配合が最も好ましい。そして本発明のタンパク質素材を全タンパク質中100重量%配合することができる。
本発明の半固形状高栄養食品に使用される炭水化物としては、一般に食用として使用されている炭水化物を使用することができる。たとえば、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン等があげられる。中でも分解度の低い、例えばDE(Dextrose Equivalent)が8〜25のデキストリンが望ましく、流動性が確保できるとともに、浸透圧性の下痢を予防することができる。
本発明の半固形状高栄養食品に使用される脂質としては、一般に食用として使用されている脂質を使用することができる。たとえば、パーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、綿実油、オリーブ油、ごま油、ひまわり油、米ぬか油、ブドウ種子油などの植物性油脂、魚油、乳脂などの動物性油脂、これらの植物性油脂や動物性油脂の分別油脂(パームオレインやパーム中融点部など)やエステル交換油脂等の加工油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有油脂、ジグリセリド含有油脂などが挙げられ、これらの脂質を単独または混合して使用できる。
本発明では、エネルギー量が1mlあたり1.5kcal以上の半固形状高栄養食品を得ることができる。また特徴的にはより高エネルギーの2kcal以上、より高くは2.5kcal以上、さらに高くは2.5kcalを超え、最も高くは2.8kcal以上の該食品を得ることができる。
すなわち本発明では製造する半固形状高栄養食品が従来の1mlあたり1.5kcal未満の半固形状高栄養食品よりタンパク質が高濃度であっても、さらにはpHが6未満の弱酸性ないし酸性領域の食品であっても増粘や凝集の問題がない。
したがって本発明の半固形状高栄養食品は、より短時間で投与を終えることができ、患者及び介助者の負担が軽減される。さらに、腎疾患、低ナトリウム血症など水分制限を受けている患者でも、十分なエネルギー量を確保することができる。
本発明の半固形状高栄養食品における上記タンパク質、糖質及び脂質の配合量は、特に限定はされないが、三大栄養素をバランスよく補給するという観点から、タンパク質が10〜30kcal%、糖質が30〜70kcal%、脂質が10〜50kcal%となる範囲から選択されることが望ましい。なお、「kcal%」とは、組成物のエネルギー100kcalあたりに占める当該成分由来のエネルギーの割合をいう。ここでタンパク質と糖質は1gを4kcal、脂質は1gを9kcalで換算するものとする。また、非タンパク質カロリー/窒素比(NPC/N)に優れた高栄養食品を提供するという観点から、全タンパク質の含有量は、タンパク質15〜25kcal%がより好ましい。
ただし、本発明の半固形状高栄養食品は例えばタンパク質のみが高濃度に配合されたものであり、適宜他の半固形状高栄養食品と組み合わせて栄養バランスが調整されるようなものであってもよい。
本発明の半固形状高栄養食品は、入院患者、高齢者など、食事の経口摂取が困難となり、栄養補給を必要とする人に対して、食事の代わりに提供されうる。よって、タンパク質、炭水化物、脂質に加え、ビタミン、ミネラルなどの微量元素も同時に補給できる方が好ましい。その点、本発明に使用されるタンパク質は、二価イオンとの反応性が低く、ミネラル存在下においても増粘や凝集の発生が生じにくい点で有利である。したがって、厚生労働省策定日本人の食事摂取基準(2010年版)の、一日当たりの推奨量または目安量に基づいて、本発明の半固形状高栄養食品に対して微量元素を適量配合することができる。
ビタミンやミネラルには、人体にとって必要な種類及び量がそれぞれ知られており、たとえばこのようなビタミンでは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ニコチン酸アミド、葉酸、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリンなどを利用できる。また、ミネラル類は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン等、微量元素として、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレン、ヨウ素、クロムおよびモリブデン等が挙げられる。これら複数の微量元素をできる限り組み合わせて配合するのが望ましい。
本発明の半固形状高栄養食品の粘度は、胃瘻投与や鼻腔投与などの投与形態に応じて適宜設定することが可能であり、通常25℃において100〜30000mPa・sに調整することができる。
胃瘻投与の場合、誤嚥及び逆流性食道炎、下痢等を予防するという観点からは、25℃において3000〜25000mPa・sが好ましく、4000〜20000mPa・sがより好ましい。粘度があまりに高すぎると、半固形状高栄養食品の投与時にチューブ詰まりの原因となる。
鼻腔投与の場合は粘度が高すぎるとチューブ投与が困難になるため、25℃において200〜600mPa・sが好ましい。
なお、粘度の測定は、B型回転式粘度計を用いて行うことができる。
本発明の半固形状高栄養食品のpHは、希望の風味や殺菌条件に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではない。例えばpH6〜8の中性タイプの他、pH4未満の酸性タイプ、さらにpH4以上6未満の弱酸性タイプにも調整することができる。本発明はこのように製品のpHにかかわらず、あらゆるpH範囲で従来の製品よりも高タンパク質で高エネルギーであり、かつ粘度を自由に調整可能な半固形状高栄養食品を提供できる点に特長を有するものである。
特に半固形状高栄養食品のpHが4以上6未満(より限定的にはpHが4.2以上5.5未満)の弱酸性タイプは、大豆タンパク質や乳タンパク質の等電点(pH約4.5)に近い領域のためタンパク質の溶解性が低下する上、製造時の加熱殺菌をレトルト殺菌等の厳しい条件で行う必要がありタンパク質がより不溶化しやすい。そのため従来の高栄養食品では比較的タンパク質濃度が低くても製造が困難な領域であり、この点で本発明の半固形状高栄養食品はより有利である。
一方、半固形状高栄養食品のpHが4未満の酸性タイプでは、pHがタンパク質の等電点からより酸性側に遠ざかるためタンパク質の溶解性が高まり、製造時の加熱殺菌も比較的緩い条件で行うことができるため、比較的製造しやすい。しかし、エネルギーが1mlあたり2.5kcal以上、さらには2.5kcalを超えるような高エネルギーのタイプを製造することはかなり困難であり、この点でも本発明の半固形状高栄養食品は有利である。
本発明の半固形状高栄養食品の製造方法は、従来知られている手法や、後述の実施例に基づいた手法を使用することができる。
表2に示した配合により、pH3.8の酸性タイプで1mlあたり3kcalの半固形状高栄養食品を、次の通り作成した。タンパク質素材は実施例1にA、比較例1〜5にB〜Fをそれぞれ使用した。
まず、60℃の温水に乳化剤を加えた後、表1の各タンパク質素材、デキストリン、マルトース、菜種白絞油、ミネラル類、ビタミン類、寒天、香料を加えホモミキサーで十分に攪拌した。クエン酸を加えpHを3.8に調整し、60℃に加温した水で総量を10kgに調整した後、ホモジナイザーで50MPaの圧力で均質化処理した。処理液をスパウト付きパウチに200g充填・密封し、ボイル殺菌(90℃,30分)を行い、半固形状高栄養食品を得た。
実施例1で得られた半固形状栄養食品の栄養成分は、エネルギーが1mlあたり3kcal、タンパク質14kcal%、糖質65kcal%、脂質21kcal%、ナトリウム540mg/100ml、カリウム466mg/100ml、カルシウム240mg/100ml、マグネシウム99mg/100mlであった。
各例の半固形状高栄養食品の調製時におけるpH調整後(殺菌前)及び殺菌処理後の状態を目視により観察した。
なお表中、
○:凝集物がない状態
△:凝集物が存在する状態
×:凝集物が多量にあるか又は凝固した状態
を示す。
各例で得られた半固形状高栄養食品の25℃における粘度を、B型回転式粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定した。
各例で得られた半固形状高栄養食品を一晩静置し、上層に分離している油層の有無で乳化安定性を評価した。なお表中、
〇:油層がある状態
×:油層がない状態
を示す。
各例で得られた半固形状高栄養食品の風味、舌触りについて評価した。具体的には、口に含んだ際に感じられるざらつきや、大豆タンパク質特有の渋味について、パネラー5名で評価した。
評価は以下の3段階とし、その平均値を算出した。
3:ざらつき、苦味、渋味が気にならない
2:ざらつき、苦味、渋味がやや気になる
1:強いざらつき、苦味、渋味を感じる
比較例1では調合段階で攪拌不可能な程著しく粘度が上昇してしまったため、殺菌することができず最終製品を得ることさえできなかった。
比較例2では調合段階で凝集が観られ、殺菌後は凝集が多量に生じて測定不能なレベルまで粘度が上昇してしまった。
比較例3でも調合段階でミネラルとの反応による凝集が観られ、殺菌後は凝固してしまった。
比較例4では殺菌前後での凝集は観られず粘度も適正であったが、乳化安定性が悪く、また風味は苦味と渋味が強く、食品としての嗜好性が低かった。
比較例5でも殺菌前後での凝集は観られず粘度は低くなったが、乳化安定性が悪く、また風味は苦味がさらに強く感じられ、食品としての嗜好性が低かった。
表4に示した配合により、pH4.8の弱酸性タイプで1mlあたり1.5kcalの半固形状高栄養食品を、次の通り作成した。タンパク質素材は実施例2にA、比較例6に乳由来の分離ホエータンパク質(WPI)として「PROVON(R) 190」(Glanbia Nutritionals社製)、比較例7〜10にC〜Fをそれぞれ使用した。なお、WPIのタンパク質含量は89%、水溶液pHは6、希酸NSIは90以上、NSIは90以上、0.22M TCA可溶率は10%未満であった。
まず、60℃の温水に乳化剤を加えた後、表1の各タンパク質素材A〜F、デキストリン、グラニュー糖、菜種白絞油、ミネラル類、ビタミン類、寒天、香料を加えホモミキサーで十分に攪拌した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを加えてpHを4.8に調整し、60℃に加温した水で総量を10kgに調整した後、ホモジナイザーで50MPaの圧力で均質化処理した。処理液をスパウト付きパウチに200g充填・密封し、121℃,15分のレトルト殺菌を行い、半固形状高栄養食品を得た。
実施例2で得られた半固形状栄養食品の栄養成分は、エネルギーが1mlあたり1.5kcal、タンパク質20kcal%、糖質56kcal%、脂質24kcal%、ナトリウム245mg/100ml、カリウム211mg/100ml、カルシウム120mg/100ml、マグネシウム51mg/100mlであった。
比較例6では調合段階では凝集がなかったが、殺菌後に多量の凝集が発生してしまい、測定不能なレベルまで粘度が上昇してしまった。
比較例7,8では調合段階ですでに多量凝集が観られ、殺菌後は測定不能なレベルまで粘度が上昇してしまった。
比較例9,10では比較例4,5と同様の結果となり、乳化安定性と嗜好性の点で評価が低かった。
タンパク質素材Aを使用し、表2の配合を用いる以外は実施例2と同様の方法でpH4.8の弱酸性タイプの半固形状高栄養食品を得た。該食品は実施例2で得られた半固形状高栄養食品と同じpHであり、さらに高エネルギーのタイプであったが、滅菌前後の凝集は観られず、半固形状タイプとして適当な粘度を有し、ざらつきがなく、渋味も気にならないものであった。
タンパク質素材Aを使用し、表2の配合を用い、pH7に調整する以外は実施例2と同様の方法で高エネルギーの中性タイプの半固形状高栄養食品を得た。該食品も滅菌前後の凝集は観られず、半固形状タイプとして適当な粘度を有し、ざらつきがなく、渋味も気にならないものであった。
Claims (14)
- 下記1〜3の要件を満たすタンパク質素材を含有し、エネルギーが1mlあたり1.5kcal以上であることを特徴とする、半固形状高栄養食品。
1.乾物あたりのタンパク質含量が50重量%以上
2.10重量%水分散液のpHが4.2以上6未満
3.希酸NSIが70以下 - タンパク質素材は、さらに0.22M TCA可溶率が70%以下である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- タンパク質素材は、10重量%水分散液のpHが4.2〜5.5である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- タンパク質素材は、希酸NSIが5〜70である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- タンパク質素材が豆類由来である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- タンパク質素材が大豆由来である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- 該食品のpHが4以上6未満である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- 該食品のpHが4未満である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- 該食品のpHが6〜8である、請求項1記載の半固形状栄養食品。
- 該食品のエネルギーが、1mlあたり2.5kcal以上である、請求項1記載の半固形状高栄養食品。
- 25℃における粘度が100〜30000mPa・sの半固形状である、請求項1記載の半固形状高栄養食品。
- 請求項1記載のタンパク質素材をタンパク質換算で、全タンパク質中50〜100重量%配合する、請求項1記載の半固形状高栄養食品。
- 大豆由来のタンパク質素材をタンパク質換算で全タンパク質中50〜100重量%含有し、エネルギーが1mlあたり1.5kcal以上であり、25℃における粘度が100〜30000mPa・sであり、該タンパク質素材が下記1〜3の要件を満たすことを特徴とする、タンパク質、糖質及び脂質を含む半固形状高栄養食品。
1.乾物あたりのタンパク質含量が70重量%以上
2.10重量%水分散液のpHが4.2〜5.5
3.希酸NSIが5〜70 - 該食品のエネルギーが、1mlあたり2.5kcal以上である、請求項13記載の半固形状高栄養食品。
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