JPWO2014141441A1 - 電流形電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

転流補助回路に浮遊インダクタンスがあっても共振現象が生じないようにした電流形電力変換装置を提供する。複数のスイッチングレグ3、4、5で構成する。各々のスイッチングレグは、直流電圧正側から順に、第1のサイルスタ31、41、51、第1のダイオード32、42、52、第2のダイオード33、43、53、第2のサイリスタ34、44、54が夫々直列接続され、第1のサイルスタと第1のダイオードの接続点と交流端子間に、交流端子方向が順方向となるように第1の逆阻止自己消弧素子35、45、55が夫々接続され、第1のダイオードと第2のダイオードの接続点と交流端子間に、コンデンサ36、46、56が夫々接続され、第2のダイオードと第2のサイリスタの接続点と交流端子間に、交流端子方向が逆方向となるように第2の逆阻止自己消弧素子37、47、57が夫々接続されている。

Description

この発明は直流電源から交流に変換、または交流電源から直流に変換する電流形電力変換装置に係り、とくに大容量化が容易な電流形電力変換装置に関する。
直流電源から交流に変換、または交流電源から直流に変換する電力変換装置は大きく電圧形電力変換装置と電流形電力変換装置に分類される。
電流形電力変換装置の代表例は負荷転流形インバータ(LCIとも呼ばれる。)である。基本構成はサイリスタ整流装置と同様であり、同期電動機を交流負荷として交流端子に接続し、同期電動機の誘起電圧を利用した負荷転流作用によって、それまで通電していたサイリスタの電流を零にしてオフさせる。構造が簡単で、電流の変化率も電圧形電力変換装置に比べて1/100の10A/μs程度で、大容量化(高電圧・大電流化)が比較的容易である。しかし、起動時や低回転数時の誘起電圧が低い場合は転流できず、整流器側で直流電流を断続させる必要があり、トルク脈動が発生する。また原理的に電流位相が進みである必要があり、電圧と電流位相が等しい力率1にすることや、電流位相が遅れている誘導電動機には適用できない。
これらに対して、コンデンサと電圧形インバータで用いられている自己消弧素子とを組み合わせた転流補助回路を加え、軽負荷時の転流特性を改良した電流形電力変換装置が提案されている。
特開2008−29118号公報(全体)
特許文献1に示されている電流形電力変換装置は、負荷転流形インバータの出力に上記転流補助回路を付加した構成である。この転流補助回路は負荷転流形インバータの各相の出力と電動機の各相の入力間に設けられ、逆並列接続された自己消弧素子とこれらの自己消弧素子に並列接続されたコンデンサで構成される。この転流補助回路を用いると、転流時にはこのコンデンサの充放電が無駄なく行われ、誘起電圧差が負であってもコンデンサ電圧の作用で転流でき、原理的にはすぐれた回路構成である。従って、力率1で運転を行うことも可能となる。
しかしながら、この電流形電力変換装置を大容量化(高電圧・大電流化)するとコンデンサの容量が大きくなるとともに、このコンデンサと逆阻止形自己消弧素子で形成される回路ループに1μH程度の無視できない浮遊インダクタンスが生じ、このループ回路で共振現象が発生する。このような共振現象が生じると、自己消弧素子のピーク電流耐量が大きくなるばかりでなく、回路損失が増加して効率の悪化を招く。
本発明は上記問題点に鑑みて為されたもので、転流補助回路に浮遊インダクタンスがあっても共振現象が生じないようにした電流形電力変換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の電流形電力変換装置は、直流正端子と直流負端子間に各々交流端子を有するN個(Nは2以上の整数)のスイッチングレグを並列接続し、直流とN相交流間の電力変換を行う電流形電力変換装置であって、
前記スイッチングレグは、前記直流正端子側から順に、第1のサイルスタ、第1のダイオード、第2のダイオード、第2のサイリスタが順方向に直列接続され、第1のサイルスタと第1のダイオードの接続点と交流端子間に、交流端子方向が順方向となるように第1の逆阻止自己消弧素子が接続され、第1のダイオードと第2のダイオードの接続点と交流端子間に、コンデンサが接続され、第2のダイオードと第2のサイリスタの接続点と交流端子間に、交流端子方向が逆方向となるように第2の逆阻止自己消弧素子が接続されている構成であることを特徴としている。
本発明によれば、転流補助回路に浮遊インダクタンスがあっても共振現象が生じないようにした電流形電力変換装置を提供することができる。
この発明による電流形電力変換装置の実施例を示す回路構成図。 この発明による電流形電力変換装置の動作を説明するため図。 この発明による共振現象の阻止作用を説明するための図。 比較例における共振現象を説明するための図。
図1は本発明による電流形電力変換装置の一実施例を示す回路構成図である。電流形電力変換装置の直流正端子Pと直流負端子N間には、可変直流電圧を供給する直流電源1から、この直流電源1の出力を平滑する直流リアクトル2を介して、直流電流が供給される。そして電流形電力変換装置は、直流正端子Pと直流負端子N間に互いに並列に接続されたスイッチングレグ3、4及び5から構成されている。スイッチングレグ3、4及び5は基本的に同一の内部構成であり、その各々が1相分の交流電流を出力する。この実施例においては電流形電力変換装置の出力相数は3であるので、スイッチングレグ3はU相、スイッチングレグ4はV相、スイッチングレグ5はW相の交流電流を夫々出力し、これら3個のスイッチングレグでインバータを形成している。以下、スイッチングレグ3の内部構成を説明する。
直流正端子Pすなわち直流リアクトル2の出力側から直流負端子Nすなわち直流電源1の負極に向けて順にサイリスタ31、ダイオード32、ダイオード33、サイリスタ34が直列に接続されている。接続の極性は、何れもアノードが直流正端子Pすなわち正電位側、カソードが直流負端子Nすなわち負電位側であり、この接続方向を順方向とする。サイリスタ31のカソードに逆阻止形自己消弧素子35のアノードが接続され、逆阻止形自己消弧素子35のカソードはU相の交流端子6に接続されている。すなわち、逆阻止形自己消弧素子35は交流端子方向が順方向となるように接続されている。ダイオード32のカソードと交流端子6の間に転流補助コンデンサ36が接続されている。そして、サイリスタ34のアノードに逆阻止形自己消弧素子37のアノードが接続され、逆阻止形自己消弧素子37のカソードはU相の交流端子6に接続されている。すなわち、逆阻止形自己消弧素子37は交流端子方向が逆方向となるように接続されている。
スイッチングレグ4及びスイッチングレグ5は基本的にスイッチングレグ3と同一構成である。すなわち、サイリスタ41、51がサイリスタ31に、ダイオード42、52がダイオード32に、ダイオード43、53がダイオード33に、サイリスタ44、54がサイリスタ34に、逆阻止形自己消弧素子45、55が逆阻止形自己消弧素子35に、転流補助コンデンサ46、56が転流補助コンデンサ36に、逆阻止形自己消弧素子47、57が逆阻止形自己消弧素子37に夫々対応している。そしてスイッチングレグ4及びスイッチングレグ5は交流端子7、8に夫々V相及びW相の交流出力電流を供給している。
交流端子6、7及び8には同期電動機9のU相、V相及びW相の巻線端子が接続されている。そして、図示しないゲート制御回路から各相のスイッチングレグのサイリスタに120度通電形のゲート制御パルスが与えられ、電流形電力変換装置は同期電動機9を駆動する。この場合、各スイッチングレグの正側の逆阻止形自己消弧素子35、45、55には、正側のサイリスタ31、41、51と基本的に同一のゲート制御パルスが夫々与えられる。同様に、負側の逆阻止形自己消弧素子37、47、57には、負側のサイリスタ34、44、54と基本的に同一のゲート制御パルスが夫々与えられる。
図2は図1の回路構成の電流形電力変換装置の動作を説明するための説明図である。図2においては、浮遊インダクタンス3L、4L、5Lが夫々コンデンサ36、46、56に直列に設けてあるが、これは装置が大容量化(高電圧・大電流化)したときに必然的に生じるものである。すなわち装置が大容量化すると、コンデンサの容量が大きくなると共に、このコンデンサと逆阻止形自己消弧素子で形成される回路ループに1μH程度の無視できない浮遊インダクタンスが生じる。このループ回路で発生する共振現象の詳細については後述する。
まず、基本となる転流動作について図2を参照して説明する。図2に示す電流経路(U)のように、直流電源1から直流リアクトル2、直流正端子P、サイリスタ31、逆阻止形自己消弧素子35、交流端子6、同期電動機9のU相からW相、交流端子8、逆阻止形自己消弧素子57、サイリスタ54、そして直流負端子Nを通って直流電源1へとループ電流が流れている状態を考える。理由は後述するが、この状態でコンデンサ46は図示したように交流端子側が+に充電されている。尚、このように交流端子側の電極に正電荷が充電される状態を正側に充電されると定義する。
ここで、サイリスタ31から交流端子6を経て同期電動機9のU相に流れていた電流経路(U)の電流を、電流経路(V)に示すように、サイリスタ41から交流端子7を経て同期電動機9のV相に電流が流れるように転流させることを考える。すなわち正側U相から正側V相への転流である。そのためにはサイリスタ41と逆阻止形自己消弧素子45をオンさせると共に逆阻止形自己消弧素子35をオフさせる。逆阻止形自己消弧素子35がオフすると、破線で示した電流経路(u)のように、電流経路(U)において逆阻止形自己消弧素子35に流れていた電流が、ダイオード32とコンデンサ36を通って流れることになる。従って、コンデンサ36は交流端子側が―に、すなわち負側に充電される。またサイリスタ41をオンするので、破線で示した電流経路(v)のように、コンデンサ46を通って同期電動機9のV相に電流が流れ始める。このとき逆阻止形自己消弧素子45には逆電圧が加わっているため電流はまだ流れない。コンデンサ46の放電が完了した時点で逆阻止形自己消弧素子45に順電圧が印加され、逆阻止形自己消弧素子45に電流が流れ始める。このようにして電流経路(U)に流れていたU相電流はゼロとなり、サイリスタ31はオフし、直流電源1からの電流は電流経路(V)に従って全てサイリスタ41を流れるようになる。そしてコンデンサ46がゼロ電圧まで放電した状態で一連の転流動作が完了する。ここで、同期電動機9が進み力率で運転されている場合には、上記の転流動作が行われるとき、コンデンサ46の電圧に加えて同期電動機9の逆起電圧が転流電圧として作用することになる。
続く次の転流は負側W相から負側U相への転流となるが、このときの転流においては上記のコンデンサ36の負側の充電電荷が転流電圧として作用する。このとき、コンデンサ56が正側に充電される。以下同様の転流動作の繰り返しに対応してコンデンサの充放電の推移を追っていくと、最初に説明した正側U相から正側V相の転流動作においては、その前に負側V相から負側W相の転流動作が行われているので、前述したようにコンデンサ46は正側に充電されていることが分かる。
次に、本願によれば、浮遊インダクタンスがあっても共振現象が生じない理由について図3及び図4を参照して説明する。図3はこの発明による共振現象の阻止作用を説明するための図、図4は比較例における共振現象を説明するための図であり、何れもV相のスイッチングレグ4について図示している。
正側U相から正側V相への転流を行うとき、前述したように図3(a)に破線で示す電流が流れ始め、コンデンサ46の放電が完了した時点で逆阻止形自己消弧素子45に印加される電圧が順電圧になる。このとき、浮遊インダクタンス4Lの作用によって、コンデンサ46に流れていた電流は徐々に逆阻止形自己消弧素子45に移るため、コンデンサ46は図3(b)に示すように逆方向すなわち負側に充電されることになる。コンデンサ46に流れる電流が零になると、この逆方向に充電された電圧がダイオード42に逆電圧として加わるためコンデンサ46の放電が阻止される。従って以降は図3(c)に実線で示した電流経路(V)だけとなる。このため、浮遊インダクタンス4Lがあっても共振現象が発生せず、逆阻止形自己消弧素子45の電流も交流電流の振幅Iしか流れない。またコンデンサ46に充電された電圧は逆阻止形自己消弧素子47がオフするとさらに充電され、次の負側U相から負側V相すなわち、サイリスタ34からサイリスタ44への転流時に有効に利用されることになる。従って、本願によれば、浮遊インダクタンスによる転流インダクタンスの増大を打ち消すという別の効果もある。以上は正側U相から正側V相への転流を行うときについての説明であるが、負側U相から負側V相への転流の場合も同一である。この場合はコンデンサ46に順方向すなわち正側に充電された電荷の放電がダイオード43によって阻止され、共振現象が抑えられる。
次に図4を参照してダイオード42及び43を設けなかった場合の比較例について上記共振現象を説明する。
正側U相から正側V相への転流を行うとき、図4(a)に破線で示したようにコンデンサ46に流れていた電流I(交流電流の振幅に相当。)は浮遊インダクタンス4Lの作用によって徐々に逆阻止形自己消弧素子45に移るため、コンデンサ45は図4(b)に示すように逆方向すなわち負側に充電される。この動作は図3(a)、(b)に示した本願の場合と同じである。ところが、ダイオード42が付加されていないと、逆阻止形自己消弧素子45の電流がIと等しくなっても、この充電された電圧を放電する電流が図4(c)の破線で示すように加わって、逆阻止形自己消弧素子45に流れる電流はほぼIの2倍まで上昇する。そして図4(d)に示すように、やがてコンデンサ46の電圧は反転し、この反転した電圧の作用によって電流も反転する。このようにコンデンサ46の電圧と電流は反転を繰り返す共振現象となる。コンデンサ46、浮遊インダクタンス4L及び逆阻止形自己消弧素子45が作るループ回路には抵抗分が存在するので共振は減衰するが、減衰率は比較的小さい。この間コンデンサ46には初期値Iから正負に減衰振動する電流が流れ続けて損失が大きくなり、逆阻止形自己消弧素子45のピーク電流耐量が2倍必要となることと合わせて、大きな欠点となる。尚、図4において、浮遊インダクタンス4Lがなければ、コンデンサ46の放電が完了した時点で直ちに逆阻止形自己消弧素子45が順電圧になり、コンデンサ46流れていた電流Iは瞬時に逆阻止形自己消弧素子45を流れるようになる。従ってこの場合は図4(b)に示したような逆方向の充電は生じないため共振現象は発生しない。
以上説明したように本発明によれば、大容量化(高電圧・大電流化)が容易で、起動時から高回転速時まで同じ制御を行うことができ、電流位相が進みから遅れまで対応できるすぐれた性能を持ち、かつスイッチング損失が少ない電流形電力変換装置を得ることができる。
以上本発明の実施例を説明したが、これは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、実施例における、逆阻止形自己消弧素子は、通常の逆導通形自己消弧素子もしくは逆通電形自己消弧素子にダイオードを直列にして同等な特性を実現して使用してもよい。また、直流電源1は説明を簡単にするため可変電圧直流電源として記述したが、通常使用されているサイリスタ整流器やチョッパー電源などを使うことができる。
また、実施例においては3個のスイッチングレグ3、4、及び5でインバータを構成し、この交流負荷は3相同期電動機9として説明したが、同期電動機でなく誘導電動機であってもよく、またスイッチングレグ数すなわち相数は3に限らず任意の複数で成立することは明らかである。
一般に電動機は発電機としても動作可能である。本発明の電流形電力変換装置も回生動作が可能であり、交流から直流への電流形電力変換装置として使用することもできる。この場合は、図1における交流端子側が入力となり、直流電源1が直流負荷に置き換わる。また、通常の電流形電力変換装置である負荷転流形インバータで行われるように、複数の3相インバータを多重化して使用するなどの技術は全く同様に適用可能である。
1 直流電源
2 直流リアクトル
3、4、5 スイッチングレグ
6、7、8 交流端子
9 同期電動機
31、34、41、44、51、54 サイリスタ
32、33、42、43、52、53 ダイオード
35、37、45、47、55、57 逆阻止形自己消弧素子
3L、4L、5L 浮遊インダクタンス
P 直流正端子
N 直流負端子

Claims (3)

  1. 直流正端子と直流負端子間に各々交流端子を有するN個(Nは2以上の整数)のスイッチングレグを並列接続し、直流とN相交流間の電力変換を行う電流形電力変換装置であって、
    前記スイッチングレグは、
    前記直流正端子側から順に、第1のサイルスタ、第1のダイオード、第2のダイオード、第2のサイリスタが順方向に直列接続され、
    第1のサイルスタと第1のダイオードの接続点と交流端子間に、交流端子方向が順方向となるように第1の逆阻止自己消弧素子が接続され、
    第1のダイオードと第2のダイオードの接続点と交流端子間に、コンデンサが接続され、
    第2のダイオードと第2のサイリスタの接続点と交流端子間に、交流端子方向が逆方向となるように第2の逆阻止自己消弧素子が接続されている構成であることを特徴とする電流形電力変換装置。
  2. 前記直流正端子と直流負端子の入力に可変電圧の直流電源と直流リアクトルの直列回路が接続され、N相の交流を出力することを特徴とする請求項1に記載の電流形電力変換装置。
  3. 前記N個の交流端子にN相の交流機を接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電流形電力変換装置。
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