JPWO2014132374A1 - 電力系統制御システムおよびそれに用いる分散コントローラ - Google Patents

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Abstract

本発明は、負荷(101)と電圧制御機器(102)がノードを介して接続する電力系統の電力系統制御システム(100)において、計測値の取得が限定される場合においても、電力系統全体の電圧偏差を小さくすることができるようにしたものである。前期電力系統制御システムが含む分散コントローラ(107)は、自ノード及び他ノードの計測値(112,113)を収集する計測値データ収集機能部(108)と、計測値を収集できないノードの電圧又は電流を推定して推定値(114)を出力する状態推定機能部(109)と、前記計測値(112,113)と、前記推定値(114)と、各ノードに設定された前記電圧目標値(115)とを入力として、制御指令(117)を出力する最適制御機能部(110)と、を有して構成される。そして、各電圧制御機器(102)による電圧変化量の重ね合わせによって系統電圧を制御する。

Description

本発明は電力系統制御システムおよびそれに用いる分散コントローラに関する。
電力系統または配電系統は、負荷の変動などにより、潮流が変化する場合にも、電力系統全体の電圧を適切に制御、管理することが重要である。
例えば特許文献1には、配電系統に設置されたセンサによる電圧・電流等の計測値と、系統構成データに基づく潮流計算から、計測誤差の推定値および潮流計算による系統状態の修正量を計算し、系統状態の真値を精度良く推定する技術が開示されている。
特開2008−154418号公報
特許文献1に開示された技術によると、電力系統に設置されたセンサによる電圧・電流等の計測値と、系統構成データに基づく潮流計算から、計測誤差の推定値および潮流計算による系統状態の修正量を計算し、系統状態の真値を精度よく推定できる。
しかしながら、この技術は、系統上の全センサの計測値を取得できる集中制御を前提としており、通信回線の制約によって計測値の取得が限定される分散制御の状態推定に適用できないという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点を解決するもので、その目的とするところは、通信回線の制約によって計測値の取得が限定される場合においても、電力系統全体の電圧偏差を小さくすることである。
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、本発明の電力系統制御システムは、負荷と電圧制御機器がノードを介して接続する電力系統における電圧を制御する電力系統制御システムにおいて、複数の前記電圧制御機器に制御指令を行う分散コントローラを少なくとも2つ含んで構成され、前記分散コントローラは、計測値データ収集機能部と状態推定機能部と最適制御機能部とを有して構成され、前記計測値データ収集機能部は、自身が属する自ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データと、自身が属さない他ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データを収集し、前記状態推定機能部は、前記自ノードの電圧と電流の計測値および前記他ノードの電圧と電流の計測値を入力として、他ノードで前記計測値データを収集できないノードの前記電力系統の状態量である電圧又は電流を推定して出力し、前記最適制御機能部は、前記計測値データと前記状態推定機能部の出力である推定値と各ノードに設定された電圧目標値を入力として、自ノードを含む複数のノードの前記電圧制御機器に配分する動作量に基づいて、制御指令として出力し、複数の前記電圧制御機器による電圧制御量の重ね合わせによって、電力系統の電圧を制御する。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、通信回線の制約によって計測値の取得が限定される場合においても、電力系統全体の電圧偏差を小さくできる。
本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの各要素の構成例と、各要素に付したノード番号の設定例を示す図である。 本発明の実施形態に係る電力系統制御システムのSVRとSVCに関するパラメータ等の表記について示す図である。 本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの各電圧制御機器による電圧変化量の重ね合わせによって配電系統の電圧が制御される状況の例を示す図である。 本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの運用を示したフローチャートである。 本発明の実施形態に係る電力系統制御システムにおける計測値が格納される計測値テーブルのデータ構造を示す図である。
以下に本願の発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称す)を、図面を参照して説明する。
(実施形態)
本発明の実施形態に係る電力系統制御システムを図1〜図6を参照して説明する。
なお、電力系統制御システムの説明にあたっては、多くの概念、定義、数式を必要とするので、まず、どのような項目と順番で説明するかを整理して先に示す。そして、各項目について順に説明する。
<説明する項目と順番の概要>
はじめに図1を参照して、電力系統制御システムの構成を説明する。
次に、この電力系統制御システムの数理モデルを、図2を参照して説明する。数理モデルにおいては、系統トポロジ、系統パラメータを示し、隣接行列(式1、式2)と階層行列(式3A〜式3D、式4A〜式4D)を用いて説明する。
次に、観測元ノードと観測対象ノードの関係とそのパラメータ等の表記について、式55A、式5Bとともに説明する。そしてこの表記の仕方を用いて、電力系統に備えられた分散コントローラから見た階層行列を含むノードから見たブランチの電力方程式(式6A、式6B)を説明する。
また、この電力方程式と系統トポロジから、分散コントローラから見たノードの動作量変化による電圧変化である制御感度(式7)が算出されることを説明する。
次に、各ノードに成立する電力方程式を電力系統の全体で集約した電力方程式(式8)と、各ノードで取得されたノードの電圧と電流の計測値による計測方程式(式9)について説明する。
そして、分散コントローラに備えられた状態推定機能によって、この集約した電力方程式と計測方程式を連立させて最小二乗問題を解き、電力方程式に対する誤差と、計測値に対する誤差を最小化する近似解を求める行列方程式(式10)について説明する。
また、前記の計測値は、通信回線の制約を受けることから、計測精度に応じた信頼度行列(式11、式12)を定義し、さらに信頼度による対角化信頼度行列から構成される重み係数行列(式13)を定義する。
そして、この重み係数行列を、前記した電力方程式と計測方程式を連立させる最小二乗問題に、さらに導入(式14)することで、より誤差の小さい全系統の電圧と電流に関する推定値が得られる(式15)。
また、分散コントローラに備えられた最適制御機能によって、電圧偏差に関する偏差方程式(式16)と、動作量に制約を与える制約方程式(式17)とに関する最小二乗問題を解くことで、電圧目標値に対する偏差と、制約値に対する誤差を最小化する近似解を行列方程式(式18)から得ることを説明する。なお、この偏差方程式と制約方程式についても説明する。
また、状態推定における近似誤差がノードによって異なる場合、センスティブな負荷に対して、優先的に電圧偏差を解消する運用を行うときには、偏差方程式に優先度行列(式19、式20)による重み付けをすることを説明する。
また、制約方程式として、制約の対象となる制御機器に応じて、制約の強さに応じた値の制約度行列(式21)を設定する。この制約度行列から対角化制約度行列(式22)を取り出し、前記の優先度行列から得られた対角化優先度行列(式20)と組み合わせ、重み係数行列(式23)を構成する。さらに、この重み係数行列を前記の偏差方程式と制約方程式とを連立させる最小二乗問題に、導入(式24)して、より実態にあった解(式25)を得る。
また、この解から自ノードに関する動作量が得られて、この動作量を制御指令として電圧制御機器に出力、配分することによって、電力系統全体の電圧偏差が小さくなる制御が実現することを説明する。
また、信頼度行列、優先度行列、制約度行列(式26、式27、式28)を導入し、これらの行列の要素の選択によって、ローカル制御、分散協調制御、集中制御の間をシームレスに遷移可能となることを説明する。
また、以上の制御における電力系統制御システムの運用を示したフローチャートと、計測値テーブルのデータ構造についても説明する。
<電力系統制御システムの構成>
以下、本発明の電力系統制御システムの構成について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電力系統制御システム100の構成例を示す図である。
図1において、電力系統制御システム100は、複数の負荷101と、SVR(Step Voltage Regulator、自動電圧調整器)やSVC(Static Var Compensator、無効電力補償装置)などの電圧制御機器102と、を備えている。
また、電力系統制御システム100は、複数の前記負荷と前記電圧制御機器が複数のノード103を介して接続された電力系統104と、前記複数のノードの全ノードあるいは一部ノードに設置され電圧と電流を計測する複数のセンサ105と、この各センサ105からデータを収集する通信回線106と、前記の各電圧制御機器を制御する複数の分散コントローラ107とを備える。
負荷101は、具体的には高圧/低圧系統上の単一の需要家、あるいは複数の低圧需要家が集約された柱上変圧器などを単位として、ノード103を介して電力系統104に接続されている。
電圧制御機器102は、SVRやSVCなど専用の電圧制御機器のほかに、高圧/低圧系統上の機器としては、たとえばDMS(Distribution Management System、配電電圧制御システム)を用いて需要家の消費電力を制御することや、PCS(Power Conditioning System、パワーコンディショナ)を用いて太陽電池の出力電力を制御することも考えられる。また、DVR(Dynamic Voltage Restorer、瞬時電圧補償装置)、UPS(Uninterruptible Power Supply、無停電電源装置)、電圧調整機能付き柱上変圧器も電圧制御機器に含まれる。さらに、HEMS(Home Energy Management System、ホームエネルギーマネジメントシステム)又は前記DMSを用いて、電力系統接続時の充電計画設定によって電力を入出力可能な電気自動車、電気給湯器、空調等の電力を制御することも考えられる。
複数の分散コントローラ107は、それぞれに、計測値テーブル(計測値データ収集機能部)108と、状態推定機能(状態推定機能部)109と、最適制御機能(最適制御機能部)110と、系統トポロジと回路インピーダンスを既知情報として設定する系統パラメータ111とを備えて構成される。
自ノードにおいて計測して得られる自ノード計測値112、および通信回線106を介して限定的に得られる他ノード計測値113は、計測値テーブル108に格納される。
状態推定機能109は、計測値テーブル108に格納された計測値を入力し、系統パラメータ111を用いて、電力系統の状態量である各ノード電圧および各ノード電流を推定する。
最適制御機能110は、状態推定機能109の出力である推定値114と前記の系統パラメータ111を用い、さらに電圧制御の目標値115ならびに動作量に制約を設定する制約値116を入力、参照して、推定値114と目標値115との電圧偏差を解消するように各電圧制御機器の動作量を配分する。そして、最適制御機能110は、自ノードに関する動作量を電圧制御機器102に制御指令117として出力する。
<電力系統制御システムの数理モデル>
以下に電力系統制御システム100の数理モデルを示す。
数理モデルにおいて、系統パラメータ111に設定される系統トポロジは、次のように定義する。
まず、電力系統の各要素のノード番号を設定し、このノード間の接続関係を隣接行列(上流隣接行列U、下流隣接行列D)と階層行列(C、C、C、C)で表現する。以下に、順に説明する。
《ノード番号》
図2は、本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの各要素の構成例と、各要素に付したノード番号の設定例を示す図である。
図2において、送電端201から電圧Vが電力系統制御システム200の配電線211に送電される状態を示している。
なお、電圧Vは、交流(複素数)の電圧ベクトルであって、図2に示すように、文字の上に修飾記号であるドットを付けるのが慣例であるが、文章においては表記上の都合によりドットを省略して表記する。
数理モデルとしての、この配電線211には、まず、負荷212が接続された負荷端202があり、次に分岐端203がある。分岐端203において、第1の配電系統234と第2の配電系統237に分岐する。
第1の配電系統234には、SVR245が接続され、SVR245の入力側と出力側にそれぞれSVR端204とSVR端205とがある。そして、SVR端205の出力から先に、負荷216が接続された負荷端206がある。
また、分岐端203から分岐した第2の配電系統237においては、まず、負荷217が接続された負荷端207がある。次に、SVC218が接続されたSVC端208がある。さらに、その先に負荷219が接続された負荷端209がある。
ノード番号は、図2に示すように送電端201、負荷端202、分岐端203、SVR端204、SVR端205、負荷端206、負荷端207、SVC端208、負荷端209について、それぞれ順に1〜9の番号をノード番号として、排他的に設定する。
また、ノード間の接続関係は、次に述べる隣接行列と階層行列で表現する。まず、隣接行列について説明し、その後で、階層行列について説明する。
《隣接行列》
隣接行列について説明する。
隣接行列は、ノード上下流(送電端に近い方が上流、遠い方が下流)の隣接関係の数理表記として定義する。また、上流と下流とによって、上流隣接行列Uと下流隣接行列Dとをそれぞれ定義する。次に、順に説明する。
《上流隣接行列U》
上流隣接行列Uの要素uは、ノードpの上流隣接ノード(ノード番号)とする。この定義を図2の例に沿って、ノード1から順に各ノードの上流隣接ノードを左側から書き下すと次式の式1のようになる。ただし0は該当するノードが無いことを示す。
Figure 2014132374
《下流隣接行列D》
次に、下流隣接行列Dについて説明する。
下流隣接行列Dの各要素dnpは、ノードnに至るパスにおいてノードpの下流隣接ノード(ノード番号)として定義する。ただし0は該当するノードが無いことを示す。
また、上流隣接ノードが一意であるのに対し、下流隣接ノードは分岐があるため、図2の例においてはノード5に至るパスとノード8に至るパスではノード3の下流隣接ノードが異なる。
また、後記する式2の8行目と9行目において、ノード番号3(7と表記)とノード番号7(8と表記)に対応する下流隣接行列成分d8,3とd8,7、またd9,3とd9,7の間に0、0、0が存在するのは、本来はノード番号4、5、6に対応するところであるが、図2において、ノード7やノード8に至るパスにおいては、ノード(4、5、6)がないので、0、0、0と表記している。これは、本方式の数理処理上の都合により、このように定義する。
この定義にしたがって、図2の例について、すべての要素を書き下したのが、次の式2の行列である。
Figure 2014132374
《階層行列》
階層行列は、後記するように4種類の階層行列C、C、C、Cがあり、それぞれ後記する式3A〜式3Dの関係式に基づき、式4A〜式4Dの行列によって定義する。
階層行列C、C、C、Cは、隣接、間接を問わず、上下流の接続関係を表す数理表記として定義している。それぞれの各要素CUnp、CDnp、COnp、CEnpは、接続関係に応じて、定義(式3A〜式3D)する値をとる。
また、式3Dで定義するCEnpにおける並流ノードとは、分岐端を介して並列した接続関係にあるノードであり、図2の例で言うとノード8から見たノード5は並流ノードである。
《階層行列の各要素CUnp、CDnp、COnp、CEnp
階層行列の各要素CUnp、CDnp、COnp、CEnpについて、詳しく説明する。
各要素CUnp、CDnp、COnp、CEnpを次に示す式3A〜式3Dの定義の詳細は次のとおりである。
Figure 2014132374
Figure 2014132374
Figure 2014132374
Figure 2014132374
前記した階層行列の定義を、図2の例に沿って書き下すと、それぞれ、次の式4A、式4B、式4C、式4Dに示す行列となる。階層行列の各成分要素CUnp、CDnp、COnp、CEnpは互いに排他的であり、かつ、任意のn、pについて、
Unp+CDnp+COnp+CEnp=1
の関係がある。
Figure 2014132374
Figure 2014132374
Figure 2014132374
Figure 2014132374
下流隣接行列、階層行列は、上流隣接行列の冗長表現だが、数理モデルを記述する上で頻繁に用いる表記であり、かつ、配電系統のトポロジが変化しない限り不変の定数である。そのため、分散コントローラ107(図1)を電力系統制御システム100に装備する際に、前記の上流隣接行列、下流隣接行列、および各階層行列をあらかじめ生成しておくことができる。
以下では、数理モデルの記述を見やすくするため、u、dnp、CUnp、CDnp、COnp、CEnpのそれぞれをu(p)、d(n,p)、C(n,p)、C(n,p)、C(n,p)、C(n,p)と適宜、表記する。
《観測元ノードと観測対象ノードとの関係による計測値》
通信回線の有無や帯域の制約から、通信回線106(図1)を介して得られるセンサ105の計測値は、ノード103の配置によって更新周期や分解能が異なる。これは同一のノードが観測対象(p)であっても観測元(i)のノードによって得られる計測値が異なるということであり、他ノードの計測値の取得はノード間の通信回線106の状況に依存する。
具体的には精度が高い順に、
(十分な帯域の通信回線で計測値をリアルタイムに取得できる)>(通信帯域の不足から計測値に時間遅れや離散化誤差が生じる)>(計測値が取得できないが統計値や定格値で代替できる)>(計測値も代替値も存在しない)
といった状況が想定される。
このように観測元ノードと観測対象ノードとの関係によって異なる電圧と電流を次に示す式5A、式5Bのように行列表記する。
なお、式5A、式5Bのように、交流(複素数)のベクトル表記のVip、Iipは、文字の上に修飾記号であるドットを付けるのが慣例であるが、説明文においては、表記上の都合によりドットを省略して表記する。
また、交流(複素数)のベクトル表記のVip、Iipは、ノードiから見たノードpのノード電圧、ノード電流である(ただし、1≦i≦N、1≦p≦N)。
これらVip、Iipは、ノードiの分散コントローラ107で保持されたノードpに関する内部状態である。また、ノード電流Iipは、当該ノードを通過する合計電流ではなく、当該ノードの負荷もしくはSVCに流入または流出する電流を指す(後記する図3参照)。
また、Nは全ノード数である。
Figure 2014132374
Figure 2014132374
また、「ノードiから見たノードpのノード電圧」という表現において、「から見た」と表記した理由は、前記したように、ノードpにおけるノード電圧は、ノード毎に必ずしも同じ情報とは限らないからである。
つまり、ノードpにおけるノード電圧は、ノードp自体で測定されたものは計測時点の概ね正確な値であるが、他のノードが有するノードpのノード電圧の情報は、通信回線106を経由しているので通信回線に依存した情報である。
すなわち前記したように、過去の時点の情報であったり、離散化誤差を有していたり、統計値や定格値で代替したものであったり、そもそも情報を持っていなかったりすることもある。つまり、「ノードiから見たノードpのノード電圧」とは、「ノードiが有しているノードpのノード電圧の情報」の意味に相当する。
《SVRとSVCに関するパラメータ表記》
以上の式5A、式5Bで定義された電圧と電流の表記に基づいて、ノードiの分散コントローラ107から見た電力方程式を記述するが、それに先立って、SVRとSVCに関するパラメータ等の表記について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る電力系統制御システムのSVRとSVCに関するパラメータ等の表記について示す図である。
図3において、ノードpと、その隣接する上位のノードu(p)との間に、SVR345が備えられている。ノードiから見たこのSVR345の電圧調整のタップ比をτipと表記する。
また、SVR345がないものとして、ノードu(p)とノードpの間のブランチのインピーダンスの抵抗成分を、ru(p)→pとし、リアクタンス成分をxu(p)→pと表記する。
また、ノードpに負荷319とSVC318が接続されていたとして、そこにノードiから見た、ノードpの負荷319もしくはSVC318に流入または流出する電流をIipと表記する。
なお、SVC318を一般的なコンデンサの記号で表記しているが、SVC318は、コンデンサの進み電流のみならず、遅れ電流を流すことのできる機能も有している。
《ブランチの電力方程式》
次に、ブランチの電力方程式(式6A、式6B)について説明する。これは、隣接するノード(u(p),p)間に成立する関係式である。なお、隣接するノード間を接続する要素をブランチと呼称する。また、ノードpはノードiの上流でも下流でもあり得る。
次に示す式6Aにおいて、ノードiから見たノードpの電圧Vip、電流Iipの他に、ノードpからノードひとつ上流側のノードの電圧をViu(p)と表記する。
また、任意の下流側ノードnのノード電流Iinについて、ノードpを通過する通過電流をI’in(p)と表記する。
また、系統パラメータ111に設定された回路インピーダンスの表記として、前記したように、隣接するノードu(p)からノードpへのブランチ(配電線に相当)をu(p)→pと添え字して表記する。
すなわち、そのインピーダンスの抵抗成分とリアクタンス成分をそれぞれ、ru(p)→p、xu(p)→pとし、インピーダンスを(ru(p)→p+jxu(p)→p)と表記する。
また、τipは、前記したようにノードiから見たノードpのSVRタップ比である。
なお、交流(複素数)であるVip、Viu(p)、Iip、I’in(p)、Iinについては、式6A、式6Bにおいて、文字の上に修飾記号であるドットを記載しているが、前記したように、説明文では、表記上の都合によりドットを省略して表記している。
また、各ノードはSVR端、SVC端、負荷端、分岐端に排他的に設定されているが、それらを前記した図3のように一般化するとノードiから見たブランチu(p)→pの電力方程式は、電圧、電流、インピーダンスの関係から、次の式6A、式6Bとなる。
ここでSVRタップ比について補足すると、SVRの設置されていないノードではτip=1である。あるいは、τipに固定的な変圧比を設定することで、高圧/低圧系統間の柱上変圧器を記述することができる。
Figure 2014132374
ただし、
Figure 2014132374
なお、式6Aにおいて、係数τipが含まれる項は、SVRおよび柱上変圧器に関連し、I’in(p)が含まれる項は、SVCおよび負荷に関連している。
また、式6Bにおいて、τの添え字のd(n,p)は、前記したように、下流隣接行列Dの要素dnpであり、さらに、d(n,d(n,p))は、当該のnとd(n,p)との間の関係を示すものであり、順に下流を辿っている。
《制御感度K(i)》
この式6A、式6Bで各電圧制御機器102の動作量(SVRタップ比あるいはSVC電流)を変化させると、各ノード103の電圧が式6A、式6Bの電力方程式に従って変化する。
数理モデルでは、ノードiの分散コントローラ107から見たノードpの動作量変化によるノードnの電圧変化である制御感度K(i)を、K(i)npとして行列表記する。
行列表記された制御感度K(i)を、次に式7として示す。
Figure 2014132374
なお、SVRについては、K(i)np=∂Vin/∂τipである。
また、SVCについては、K(i)np=∂Vin/∂Iipである。
また、電圧制御機器が設けられていないノードは、K(i)np=0である。
制御感度K(i)の各要素の具体的な数値は、系統トポロジ(隣接行列U、D、階層行列C、C、C、C)と電力方程式の式6A、式6Bとから算出される。ただし、解く過程の詳細な説明は省略する。
《集約した電力方程式》
状態推定機能109(図1)は、電力方程式と計測方程式に関する最小二乗問題を解くことで、電力系統の状態量である各ノード電圧および各ノード電流を推定する。
電力方程式については、式6A、式6Bで記述したブランチu(p)→pの電圧と電流に関する線形方程式が、隣接する全てのノードの組み合わせについて成立する。
すなわちノード数Nに対して方程式の数は(N−1)であり、集約して記述すると次式のように行列方程式として表される。
Figure 2014132374
この式8におけるA(i)は、ブランチの電力方程式(式6A、式6B)にでてくるインピーダンスru(p)→p、xu(p)→pおよび、タップ比τip、階層行列C(n,p)で構成されたノードiの分散コントローラに関する係数行列である。ただし第1行は送電端ノードの送出電圧Vに対する拘束条件Vi1=Vを記述する。なお、送電端ノードの送出電圧Vを基準にして、電圧降下量から(Vi1・・・ViN)を計算し、記述することになる。
また、右辺のVの下には(N−1)個の0の縦列によるベクトルがある(ON−1)。
これらに対して2Nの変数(Vi1・・・ViN、Ii1・・・IiN)が存在することから、A(i)の大きさはN×2N(N行、2N列)の係数行列である。
なお、A(i)の係数の要素には0も含まれて構成されている。例えば、A(i)の1行目は、左端が係数1で、それから右に位置する項はすべて0である。
また、系統パラメータ111に設定されたインピーダンスと階層行列C(n,p)は既知定数だが、SVRの調整されるタップ比(τip)を含むことからA(i)は、時変である。また、式6Aでは全ての項にVip、Iipのいずれかが含まれることから、前記したように、式8の右辺は、第1要素以外を0とするベクトルである。
《計測方程式》
計測方程式については、ノードiで取得されたノードpの電圧と電流の計測値Vip、Iip(自ノード計測値112および通信回線を介して限定的に得られる他ノード計測値113)に対して、次の式9が成り立つ、もしくは成り立つことが望ましい。
つまり、式9においては、左辺と右辺を「=」の等号で表記しているが、必ずしも、「=」が成立するわけではなく、なるべく成立するように解く条件式に相当する。なお、式9で求めるのは、修飾記号であるドットを文字の上部につけた(Vi1・・・ViN、Ii1・・・IiN)である。
Figure 2014132374
また、式9において、左辺のI2Nは、2N×2Nの行列であり、対角成分が1であって、対角成分以外はすべて0である対角行列を表記している。
また、左辺において、交流(複素数)のベクトル値の修飾記号であるドットを文字の上部につけた(Vi1・・・ViN、Ii1・・・IiN)は、分散コントローラ107で保持される各ノードに関する電圧、電流の内部状態を表している。
また、右辺において、修飾記号である「〜」を文字の上部につけた(Vi1・・・ViN、Ii1・・・IiN)は、前記したように計測値(実測値のみならず、推定値、代替値を含む)を表している。
《最小二乗問題の近似解》
式8、式9を連立させて最小二乗問題を解くことで、電力方程式に対する誤差と、計測値に対する誤差を最小化する近似解が得られる。この近似解は、次の式10に示す行列方程式を解くことから得られる。
Figure 2014132374
式10の右辺において、VとON−1でN個、「〜」で上部を修飾された計測値のVi1・・・ViNがN個、Ii1・・・IiNがN個あるので、式10は3Nの方程式となる。
また、式10の左辺において、ドットで上部を修飾された複素数のベクトル表示のVi1・・・ViNがN個、Ii1・・・IiNがN個あるので2Nの変数を有している。
つまり、3Nの方程式に対して2Nの変数が存在することから、これは一般に過拘束問題として解くことができる。
なお、式10の右辺と、左辺の係数行列A(i)、および単位行列(対角行列)I2Nは既知の値である。
以上、式10を過拘束問題として解くことによって、電力系統全体の電圧偏差を小さくすることができる。
なお、式10を過拘束問題として解く過程の詳細は、省略する。
<計測精度の信頼度を導入したより信頼性の高い解法>
前記の式10における前記した計測値は、通信回線の制約を受けることから、リアルタイムの計測値とは限らない。すなわち式10で求めた解(Vi1・・・ViN、Ii1・・・IiN)が電力系統全体の電圧偏差を小さくする最適解である保証はない。
そのため、計測精度に応じた信頼度行列Wを導入して、信頼性のより高い解を求めることで、電力系統全体の電圧偏差をさらに小さくする方法について、次に説明する。
《信頼度行列W》
計測精度に応じた信頼度行列Wを次の式11のように定義し、式10に重み付けをして、より信頼性の高い解を求める。
Figure 2014132374
式11に示した信頼度行列の要素Wipは、ノードiから見たノードpの信頼度であり、値が大きいほど計測値が正確であることを示す。式10の重み付けに用いる行列として、信頼度行列Wからノードiに関する行を取り出して、これを対角化信頼度行列W(i)とする。
なお、対角化信頼度行列W(i)は、N×Nの構成であって、対角線上にのみ要素があり、対角線以外の要素は0である。
Figure 2014132374
《重み係数行列H(i)》
式10を信頼度で重み付けするには、次の式13に示すような、対角化信頼度行列W(i)から構成される重み係数行列H(i)を、まず作成する。
Figure 2014132374
この式13において、右辺のIは、N×Nの行列であり、対角成分が1であって、対角成分以外はすべて0である対角行列を表記している。
また、右辺の対角化信頼度行列W(i)は、前記したN×Nの構成であって、対角線上にのみ要素があり、対角線以外の要素は0である。そして、対角化信頼度行列W(i)が二つ存在している。
したがって、式13の右辺は、3N×3Nの構成であり、対角成分が1またはW(i)の要素であって、対角成分以外はすべて0である対角行列を表記している。この構成が、式13の左辺に表記した重み係数行列H(i)の構成である。
《重み付けされた最小二乗問題》
前記の式13で表された重み係数行列H(i)を式10の両辺にそれぞれ左側から乗じると、次の式14が得られる。
Figure 2014132374
式14は、式10を構成する方程式のそれぞれを重み係数行列H(i)の対角成分を係数として重み付けする操作である。重み付けされた最小二乗問題である式14の解は次式により与えられる。
Figure 2014132374
この式15の左辺の複素数のベクトル表記の修飾記号であるドットを文字の上部につけた(Vi1・・・ViN、Ii1・・・IiN)が、ノードiの分散コントローラ107において得られる全系統の電圧と電流に関する推定値114である。なお、式15の右辺はすべて既知の値である。
以上、式15で得られる解が、通信回線の制約を受ける計測精度の信頼度を導入した、より信頼性の高い解であって、電力系統全体の電圧偏差を、さらに小さくすることができる。
<最適制御機能による偏差方程式と制約方程式とに関する最小二乗問題>
電力系統全体の電圧偏差を小さくする方法(解)が複数、存在した場合において、電圧制御機器102の動作量(制御量)は、小さいことが一般的に望ましい。この理由は、電力系統全体の電圧偏差を小さくするために、電圧制御機器102の動作量を大きくすると、余分の電力を必要とするからである。したがって、単に電力系統全体の電圧偏差を小さくのみならず、電圧制御機器102の動作量の最適配分を考慮することが要請される。
次に、最適制御機能110(図1)が、電圧偏差に関する偏差方程式と、電圧制御機器の動作量の抑制あるいは固定といった制約を与える制約方程式と、に関する最小二乗問題を解くことで、電圧制御機器102の動作量の最適配分を求め、それにしたがって、動作量を配分する方法について説明する。
まず電圧偏差に関する偏差方程式について説明する。
《偏差方程式》
電圧偏差に関する偏差方程式は、各ノード電圧の目標値Vrefn(図1の目標値115)に対する推定値Vin(図1の推定値114)の偏差ΔVinについて、制御感度行列K(i)と電圧制御機器の動作量Δfipで次の式16のように記述する。
なお、式16において、ΔVi1・・・ΔViNには、複素数のベクトル表記の修飾記号であるドットを文字の上部につけて、を表記しているが、説明文では表記上の都合により省略している。
Figure 2014132374
《制約方程式》
電圧制御機器の動作量の制約方程式については、電圧制御機器の動作量Δfipについて制約値Δfrefp(図1の制約値116)を設定する。これはたとえば、SVRのタップ位置を固定するには、
Δfrefp=0
であり、SVCの出力を抑制するにはSVC端のノード電流推定値Iipに対して、
Δfrefp=−Iip
と設定する。このような制約を式16に合わせて行列方程式で記述すると、次の式17に示すようになる。
なお、式17の左辺のIは、N×Nの単位行列であって、対角成分が1で、他はすべて0の対角行列である。
Figure 2014132374
《偏差方程式と制約方程式による最小二乗問題》
数式16、17を連立させて最小二乗問題を解くことで、電圧目標値に対する偏差と、制約値に対する誤差を最小化する近似解が得られる。これは次の式18に示すような行列方程式を解くことで求まる。
Figure 2014132374
式18において、推定値Vinの偏差ΔVinからなるΔVi1・・・ΔViNは、N個であって、既知であり、また、制約値ΔfrefpからなるΔfref1・・・ΔfrefNは、N個であって、既知である。そのため、式18の右辺は2N個の既知の値である。
また、電圧制御機器の動作量ΔfipからなるΔfi1・・・ΔfiNは、N個であって未知である。
したがって、式18は、2Nの方程式に対してNの変数が存在することから、これは一般に過拘束問題として解くことができる。
以上、式18の過拘束問題を解くことによって、最適制御機能110による電圧偏差と、電圧制御機器の動作量を考慮した解と制御が得られる。
なお、式18を過拘束問題として解く過程の詳細は、省略する。
<電圧変動にセンシティブな負荷に対して、優先的に電圧偏差を解消する方法>
前記の式18を解く場合において、状態推定における近似誤差がノードによって異なる場合、誤差の大きな推定値に対して電圧偏差を解消する必要性は低い。
そのため、電圧変動に対してセンシティブな負荷に対して、優先的に電圧偏差を解消する運用も考えられる。そこで、式18に内包される偏差方程式に対して、さらにノード毎の優先度を考慮した優先度行列による重み付けを行う方法について、説明する。
《優先度行列L、L(i)》
優先度行列Lを導入する方法について説明する。
優先度行列Lを次の式19に示す。
Figure 2014132374
式19の優先度行列Lにおいて、Lipはノードiから見たノードpの優先度であり、値が大きいほど制御の優先度が高く、電圧偏差が優先的に解消される。一方、優先度を小さく設定することは、制御において当該ノードの電圧偏差を考慮しないということに相当する。
式19の優先度行列Lを式18の重み付けに用いるには、ノードiに関する行を取り出し、これを対角化優先度行列L(i)とする。この対角化優先度行列L(i)を次の式20に示す。
Figure 2014132374
《制約度行列R、R(i)》
次に、制約度行列Rについて説明する。
電力系統を制御する電圧制御機器(SVR、SVC等)における調整能力には前記した制約(固定等)があって、この制約による制約方程式を導入して解くことについては、式16、式17、式18を用いて説明したとおりである。
しかし、電圧制御機器には、さらに個々の電圧制御機器に応じて、制約の強弱の度合いが異なることがある。つまり、制約の強い制約値に対する誤差をより小さく動作量を算出することが要請されることがある。
このような場合には、制約方程式では対象となる制御機器に応じて、次の式21のように制約の強弱を表す制約度からなる制約度行列Rを設定する。
Figure 2014132374
式21におけるRipがノードiから見たノードpの制御機器に関する制約度であり、制約の強さに応じた値を設定する。制約度行列Rを行列方程式の式18への重み付けに用いるには、優先度行列Lの場合と同様にノードiに関する行を取り出し、これを対角化制約度行列R(i)とする。次に示す式22が対角化制約度行列R(i)である。
Figure 2014132374
《重み係数行列G(i)》
前記の式20に示した対角化優先度行列L(i)と、式22に示した対角化制約度行列R(i)とを組み合わせ、優先度と制約度を兼ね備えた重み係数行列G(i)を構成する。
次の式23に重み係数行列G(i)を示す。
Figure 2014132374
この式23で示した重み係数行列G(i)を、式18の両辺に左側から乗じて、次の式24を得る。
Figure 2014132374
《重み付けされた最小二乗問題》
この式24は、数式18を構成する方程式のそれぞれを、重み係数行列G(i)の対角成分を係数として重み付けする操作である。重み付けされた最小二乗問題である式24の解は次に示す式25により与えられる。
Figure 2014132374
《動作量Δfii
式25の左辺におけるΔfi1・・・ΔfiNが、ノードiの分散コントローラ107(図1)において配分される各電圧制御機器(102、図1)の動作量である。
分散コントローラ107は、式25の解のうち自ノードiに関する動作量Δfiiを制御指令117(図1)として電圧制御機器102に出力する。
式25によって、最適に配分された各電圧制御機器の動作量は、系統全体の電圧偏差を小さくするのみならず、各電圧制御機器の動作量の配分が最適化されることにより、各電圧制御機器による消費電力の低減や、現場での各種制約を配慮したより望ましい電力系統制御システムによる制御が実現する。
なお、式25における重み係数行列G(i)には、対角化優先度行列L(i)と対角化制約度行列R(i)が含まれているが、優先度に関する対角化優先度行列L(i)のみを用いて解いてもよい。また、制約度に関する対角化制約度行列R(i)のみを用いて解いてもよい。
<電圧制御機器による系統電圧の変化>
次に、各電圧制御機器による電圧変化量の重ね合わせによって配電系統の電圧が制御されるが、この作用を模式的に表して次に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る電力系統制御システムの各電圧制御機器による電圧変化量の重ね合わせによって配電系統の電圧が制御される状況の例を示す図である。
電力系統401の概略の構成と、電力系統401の送電端405から受電端406までの各位置における系統電圧の変化を4例、示している。
図4において、電力系統401には、複数の負荷402と、それぞれ1個ずつのSVR403、SVC404が接続されている。
SVR403とSVC404を動作させない状態では、系統電圧は、電圧グラフ407のように送電端405から受電端406に向かって降下(電圧降下)していく。
この状態から、SVR403を動作させると、系統電圧は、電圧グラフ408に示すように、SVR403を設置した位置に対応するA点で昇圧される。
また、SVC404を動作させると、系統電圧は、電圧グラフ409のようにSVC404を設置した位置に対応するB点で昇圧される。
また、SVR403とSVC404を同時に動作させると、系統電圧は、その重ね合わせとして電圧グラフ410のように、A点とB点に対応する点で昇圧される。
以上、SVR403とSVC404を適正に制御、動作させることにより、電力系統(電力系統全体)401での電圧偏差が小さくなる。
<重み係数行列と集中制御、ローカル制御、分散協調制御との関連:その1>
次に信頼度行列、優先度行列、制約度行列の各要素の設定により、集中制御、ローカル制御、分散協調制御の使い分けがシームレスに遷移させることができることを説明する。
《信頼度行列Wと優先度行列Lによる集中制御》
まず、信頼度行列Wと優先度行列Lの要素の設定による集中制御について説明する。
次に示す式26Aのように、信頼度行列Wの全要素を1とするならば、全ノードの分散コントローラ107が互いに同精度の計測値を取得していることを表している。
また、優先度行列Lの全要素を1とするならば全ノードの分散コントローラ107が互いに同じ配分で動作量を割り当てていることを表している。
これらの全要素が1である信頼度行列Wと全要素が1である優先度行列Lによる制御は、集中制御と等価である。
Figure 2014132374
Figure 2014132374
《信頼度行列W、優先度行列L、制約度行列Rによるローカル制御》
次に、信頼度行列W、優先度行列L、制約度行列Rの要素の設定によるローカル制御について説明する。
また、次の式27Aに示すように、信頼度行列Wの非対角要素を0とするならば、各ノードの分散コントローラ107が、自ノードのみ計測値を取得していることを表す。
また、次の式27Bに示すように、優先度行列Lの非対角要素を0とするならば、各ノードの分散コントローラ107が、自ノード電圧のみを制御していることを表す。
これらの各ノードの分散コントローラ107が、自ノードのみ計測値を取得し、自ノード電圧のみを制御することは、各電圧制御機器が独立して制御されるローカル制御に等価である。
また、ここでは、次の式27Cに示すように、制約度行列Rの対角要素を0として非対角要素を1としている。このように、自ノードに制約値0を設定することで、各ノードの分散コントローラ107が、自ノードの電圧制御機器102のみに動作量が割り当てられることを表す。なお、他ノードは制約値1で制約実行中である。
Figure 2014132374
Figure 2014132374
Figure 2014132374
《信頼度行列W、優先度行列Lによる分散協調制御》
次に、信頼度行列W、優先度行列Lによる分散協調制御について説明する。
また、次の式28Aのように、信頼度行列Wの対角要素(1)のみならず、非対角要素の一部を非ゼロ(例えば0.7)とするならば、各ノードの分散コントローラ107が他端の計測値も部分的に取得していることを表している。
また、次の式28Bのように、優先度行列Lの非対角要素の一部を非ゼロとするならば、各ノードの分散コントローラ107が他端の電圧も部分的に制御していることを表している。
これらは、分散協調制御にあたる。
Figure 2014132374
Figure 2014132374
<重み係数行列と集中制御、ローカル制御、分散協調制御との関連:その2>
このように本発明による電力系統制御システムは、信頼度と優先度の設定によって、制御特性を集中制御、ローカル制御、分散協調制御ができることを示した。
それのみならず、分散協調制御における信頼度行列の非対角要素の一部と優先度行列の非対角要素の一部の非ゼロの要素を様々にとることによって、ローカル制御から分散協調制御を経て集中制御までシームレスに遷移させることが可能である。
<電力系統制御システムの運用を示したフローチャート>
つぎに、電力系統制御システムの運用を示したフローチャートについて説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る電力系統制御システム100の運用を示したフローチャートである。
図5において、ステップS501〜ステップS505の各段階(ステップ)がある。また、ステップS502〜ステップS505については、複数の分散コントローラ107(図1)において、共通であるので、ひとつの分散コントローラ107についてのステップS502〜ステップS505のみ説明するものとする。
<ステップS501>
ステップS501では、運用開始時の初期設定として各分散コントローラ107の系統パラメータ111(図1)に系統トポロジおよび回路インピーダンスを設定する(系統パラメータの設定)。
<ステップS502>
運用時は、まずステップS502において、分散コントローラ107が自ノード計測値112(図1)および通信回線を介して得られる他ノード計測値113(図1)を計測値テーブル108(図1)に格納する(計測値格納)。
<ステップS503>
次にステップS503において、状態推定機能109(図1)が計測値テーブル108に格納された計測値を入力として、系統パラメータ111を用いて、電力系統の状態量である各ノード電圧および各ノード電流を推定する(状態推定)。
<ステップS504>
ステップS504では、最適制御機能110(図1)が状態推定機能109の出力である推定値114(図1)と電圧制御の目標値115(図1)ならびに動作量の制約値116(図1)を入力として、系統パラメータ111を用いて、推定値114と目標値115の電圧偏差を解消するように各電圧制御機器102(図1)の動作量を配分し、自ノードに関する動作量を電圧制御機器102に制御指令117(図1)として出力する(最適制御)。
<ステップS505>
ステップS505において、電圧制御機器102は、制御指令117に基づいて動作量(SVRであればタップ比、SVCであれば無効電流出力)を変化させ、処理はステップS502に戻る(自ノード動作量発生)。
前記したように、ステップS502〜ステップS505までの処理は、電圧制御機器102および対になる分散コントローラ107ごとに並列的に実施される。これを図5ではS502からS505を並列表記することで示している。
<計測値テーブルのデータ構造>
次に、ステップS502(図5)において計測値の格納をしたが、この格納される計測値テーブルのデータ構造について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る電力系統制御システム100(図1)における、自ノード計測値112(図1)、および通信回線を介して限定的に得られる他ノード計測値113(図1)が格納される計測値テーブル108(図1)のデータ構造を示す図である。
図6において、データのレコード(記録値)は各ノードに対応する。そして、各レコードは、ノード番号、更新時刻、電圧、電流(有効電流、無効電流)、定格電圧、定格電流(定格有効電流、定格無効電流)から構成されている。
図6の例では、ノード(ノード番号)1、ノード2は、概ね新しいデータであって、最新の更新時刻と、その時刻における電圧、有効電流、無効電流が記録されている。
ノード4、ノード5は、ノード1、ノード2と比較すると、更新時刻のタイムスタンプが古いので、これらの計測値は精度が低いとみなす。そして、状態推定機能109(図1)では、その信頼度を小さく設定して式14の最小二乗問題に代入する。
また、ノード3は、分岐端であって、計測値(有効電流、無効電流)がそもそも存在しない。そのため、状態推定機能109では、その信頼度を0に設定する。
一方、ノード6の計測値は、この時点では計測されていないので存在しないが、計測される可能性があり、かつ定格値(定格有効電流、定格無効電流)が存在するため、その信頼度を小さく設定しつつ、定格値を計測値の代替値として、式14の最小二乗問題に代入する。
<実施形態についての補足>
以上、本発明による電力系統制御システムは、分散コントローラのそれぞれが自ノード計測値および通信回線を介して限定的に得られる他ノード計測値を入力として電力系統の状態量を推定し、推定状態量に基づいて自ノードの電圧制御機器の動作量と他ノードの電圧制御機器の動作量が最適配分となるように自ノードに制御指令を出力することで、各電圧制御機器による電圧変化量の重ね合わせによって電力系統全体の電圧偏差を小さくすることができる。
また、計測精度に応じた信頼度行列を導入するで、より誤差の小さい全電力系統の電圧と電流に関する推定値が得られる。
また、センスティブな負荷に対して優先的に電圧偏差を解消するための優先度行列と、制約の対象となる制御機器に応じて制約の強さを設定した制約度行列とを、導入することで、各電圧制御機器による消費電力の低減や、現場での各種制約を配慮した、より望ましい制御が実現する。
また、前記の信頼度行列、優先度行列、制約度行列を導入し、これらの行列の要素の選択により、ローカル制御、分散協調制御、集中制御の間をシームレスに遷移する制御が可能となる。
1〜9、103 ノード
100、200 電力系統制御システム
101、212、216、217、219、319、402 負荷
102 電圧制御機器
104、401 電力系統
105 センサ
106 通信回線
107 分散コントローラ
108 計測値テーブル(計測値データ収集機能部)
109 状態推定機能(状態推定機能部)
110 最適制御機能(最適制御機能部)
111 系統パラメータ
112 自ノード計測値
113 他ノード計測値
114 推定値
115 目標値
116 制約値
117 制御指令
201、405 送電端
202、206、209 負荷端
203 分岐端
204、205 SVR端
208 SVC端
201、405 送電端
211 配電線
218、318、404 SVC
234 第1の配電系統
237 第2の配電系統
245、345、403 SVR
406 受電端
407、408、409、410 電圧グラフ
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、本発明の電力系統制御システムは、負荷と電圧制御機器がノードを介して接続する電力系統における電圧を制御する電力系統制御システムにおいて、複数の前記電圧制御機器に制御指令を行う分散コントローラを少なくとも2つ含んで構成され、前記分散コントローラは、計測値データ収集機能部と状態推定機能部と最適制御機能部とを有して構成され、前記計測値データ収集機能部は、自身が属する自ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データと、自身が属さない他ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データを収集し、前記状態推定機能部は、前記自ノードの電圧と電流の計測値および前記他ノードの電圧と電流の計測値を入力として、他ノードで前記計測値データを収集できないノードの前記電力系統の状態量である電圧又は電流を推定して出力し、前記最適制御機能部は、前記計測値データと前記状態推定機能部の出力である推定値と各ノードに設定された電圧目標値を入力として、自ノードを含む複数のノードの前記電圧制御機器に配分する動作量に基づいて、制御指令として出力し、複数の前記電圧制御機器による電圧制御量の重ね合わせによって、電力系統の電圧を制御し、前記状態推定機能部が、前記各ノードと隣接するノード間における電圧と電流に関する電力方程式に対する誤差と、前記各ノードの電圧と電流の計測値に対する誤差とを最小化する最小二乗問題を解くことで、前記各ノードの電圧又は電流の推定値を算出する
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。

Claims (10)

  1. 負荷と電圧制御機器がノードを介して接続する電力系統における電圧を制御する電力系統制御システムにおいて、
    複数の前記電圧制御機器に制御指令を行う分散コントローラを少なくとも2つ含んで構成され、
    前記分散コントローラは、計測値データ収集機能部と状態推定機能部と最適制御機能部とを有して構成され、
    前記計測値データ収集機能部は、自身が属する自ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データと、自身が属さない他ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データを収集し、
    前記状態推定機能部は、前記自ノードの電圧と電流の計測値および前記他ノードの電圧と電流の計測値を入力として、他ノードで前記計測値データを収集できないノードの前記電力系統の状態量である電圧又は電流を推定して出力し、
    前記最適制御機能部は、前記計測値データと前記状態推定機能部の出力である推定値と各ノードに設定された電圧目標値を入力として、自ノードを含む複数のノードの前記電圧制御機器に配分する動作量に基づいて、制御指令として出力し、
    複数の前記電圧制御機器による電圧制御量の重ね合わせによって、電力系統の電圧を制御することを特徴とする電力系統制御システム。
  2. 請求項1に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記状態推定機能部が、前記各ノードと隣接するノード間における電圧と電流に関する電力方程式に対する誤差と、前記各ノードの電圧と電流の計測値に対する誤差とを最小化する最小二乗問題を解くことで、前記各ノードの電圧又は電流の推定値を算出することを特徴とする電力系統制御システム。
  3. 請求項2に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記最小二乗問題を前記各計測値の精度の高低を表す信頼度で重み付けすることで、精度の高い計測値に対する誤差をより小さくする推定値を算出することを特徴とする電力系統制御システム。
  4. 請求項1に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記最適制御機能部が、前記各ノードの電圧の目標値に対する偏差と、前記各電圧制御機器の動作量の制約値に対する誤差とを最小化する最小二乗問題を解くことで、前記各電圧制御機器の動作量を算出することを特徴とする電力系統制御システム。
  5. 請求項4に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記最小二乗問題を前記目標値の達成に関する優先度で重み付けすることで、優先度の高い目標値に対する偏差をより小さくする動作量を算出することを特徴とする電力系統制御システム。
  6. 請求項4に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記最小二乗問題を前記制約値の制約の強弱を表す制約度で重み付けすることで、制約の強い制約値に対する誤差をより小さくする動作量を算出することを特徴とする電力系統制御システム。
  7. 請求項1に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記計測値データ収集機能部は、前記他ノードの計測値を、通信回線を介して収集することを特徴とする電力系統制御システム。
  8. 請求項1に記載の電力系統制御システムにおいて、
    前記電圧制御機器には、自動電圧調整器(SVR)、無効電力補償装置(SVC)、配電電圧制御システム(DMS)、パワーコンディショナ(PCS)、瞬時電圧補償装置(DVR)、無停電電源装置(UPS)、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)又は電圧調整機能付き柱上変圧器を含むことを特徴とする電力系統制御システム。
  9. 負荷と電圧制御機器がノードを介して接続する電力系統における電圧を制御する分散コントローラにおいて、
    前記分散コントローラは、計測値データ収集機能部と状態推定機能部と最適制御機能部とを有して構成され、
    前記計測値データ収集機能部は、自身が属する自ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データと、自身が属さない他ノードにおける電圧と電流を計測するセンサからの計測値データを収集し、
    前記状態推定機能部は、前記自ノードの電圧と電流の計測値および前記他ノードの電圧と電流の計測値を入力として、他ノードで前記計測値データを収集できないノードの前記電力系統の状態量である電圧又は電流を推定して出力し、
    前記最適制御機能部は、前記計測値データと前記状態推定機能部の出力である推定値と各ノードに設定された電圧目標値を入力として、自ノードを含む複数のノードの前記電圧制御機器に配分する動作量に基づいて、制御指令として出力することを特徴とする分散コントローラ。
  10. 請求項9に記載の分散コントローラにおいて、
    前記電圧制御機器には、自動電圧調整器(SVR)、無効電力補償装置(SVC)、配電電圧制御システム(DMS)、パワーコンディショナ(PCS)、瞬時電圧補償装置(DVR)、無停電電源装置(UPS)、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)又は電圧調整機能付き柱上変圧器を含むことを特徴とする分散コントローラ。
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