JP3929235B2 - 配電系統における状態推定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電営業所における制御用コンピュータに付加され、分散電源を有する配電系統の電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データ及び系統からの送り出し電圧・電流の計測データ等が与えられた時に、系統内の各地点の電圧・電流を的確に推定するための配電系統における状態推定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力機器の状態推定は、計測機器の誤差や計測データの非同時性・欠損等を顧慮し、計測されたデータに基づいて対象となる電力系統に対し最も矛盾のない一断面の系統状態(各地点の電圧・潮流値)をオンラインで把握するための方法として、主に送電系統を対象として種々の方法が開発されてきている。
これに対し、近年、配電系統における分散電源の導入、自由化の進展等に対応して次世代配電自動化システムにおける配電系統のオンライン監視・制御を高度化する基礎技術として、配電系統に特化した状態推定方法の研究が進行しつつある。
【0003】
従来、配電系統の状態推定は、大別すると統計型状態推定方法と負荷修正型状態推定方法とによって行われている。前者は、送電系統で行われている一般的な電力系統向けの状態推定を配電系統に適用したものであり、後者は配電系統に特化した発見的アルゴリズムに基づく状態推定手法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の配電系統向けの状態推定方法には、以下のような共通した問題点がある。
つまり、統計型状態推定方法及び負荷修正型状態推定方法の何れも、基本的には数理的な最小二乗法や感度に基づく方法を用いており、対象とする関数に連続性や微分可能性があることを前提としている。しかるに、配電系統に存在する実際の機器をモデル化すると非線形要素となり、潮流方程式が微分不可能あるいは不連続になってしまう場合があるため、微分演算や感度を利用することができない。また、両方法とも負荷がかなり良い精度で統計的に判明していることを前提としているので、負荷を擬似観測値として利用することが考えられているが、ロードサーベイがまったく行われていない今日の我が国の系統での適用は難しい状況である。
このように、現状では、分散電源の導入や実際の各種配電系統機器の特性を考慮した配電系統用の状態推定方法は未だ開発されていない。
【0005】
そこで本発明は、分散電源を有する系統構成や現状の計測状況、非線形モデルとなる各種配電系統機器の特性を考慮し、モダンヒューリスティック(Modern Heuristic:MH)手法の一つであるパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーション(Particle Swarm Optimization:PSO)或いはハイブリッド・パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーション(Hybrid Particle Swarm Optimization:HPSO)を利用することによって良質の解を生成可能とした配電系統向けの状態推定方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、分散電源を有する配電系統を対象として、電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データ及び系統からの送り出し電圧・電流の計測データ等が与えられた時に、系統内各地点の電圧・電流を推定するための配電系統における状態推定方法において、系統側及び分散電源側からの発電電力の合計値を各負荷の契約設備容量による按分比に従って配分することにより負荷電力初期値を算出するステップと、前記負荷電力初期値を用いて潮流計算を実行し、状態変数としての分散電源出力及び負荷電力に対してこれらを解として生成させる各上下限値を計算するステップと、前記各上下限値による制約条件を満たし、かつ、分散電源出力及び負荷電力の観測値と観測点における計算値との誤差を最小化する目的関数を充足するような系統状態を、最適化手法であるPSOにより求めて系統内各地点の電圧・電流を推定するステップと、を有するものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、分散電源を有する配電系統を対象として、電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データ及び系統からの送り出し電圧・電流の計測データ等が与えられた時に、系統内各地点の電圧・電流を推定するための配電系統における状態推定方法において、系統側及び分散電源側からの発電電力の合計値を各負荷の契約設備容量による按分比に従って配分することにより負荷電力初期値を算出するステップと、前記負荷電力初期値を用いて潮流計算を実行し、状態変数としての分散電源出力及び負荷電力に対してこれらを解として生成させる各上下限値を計算するステップと、前記各上下限値による制約条件を満たし、かつ、分散電源出力及び負荷電力の観測値と観測点における計算値との誤差を最小化する目的関数を充足するような系統状態を、最適化手法であるHPSOにより求めて系統内各地点の電圧・電流を推定するステップと、を有するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
A.まず、状態推定の対象となる配電系統の負荷初期値は、できるだけ真値に近いことが望ましい。この負荷初期値の近似値計算としては、以下のように考える。
つまり、対象系統には系統側及び分散電源から電力が供給されており、これを各負荷が消費している。従って、まず初期値としては系統側及び分散電源側の発電電力の合計値を各負荷の契約設備容量による按分比により配分する。この際、各負荷の実際の力率は不明であるため、事前に設定した力率で一定と仮定する。系統内の各地点での電圧・電流が得られている場合、この値を用いて、より精度の高い負荷初期値を与えることが考えられる。
【0009】
B.次に、PSOを用いた配電系統の状態推定方法を説明する。これは、請求項1に記載した発明の実施形態に相当する。
(1)始めに、計測データ及びデータの仮定を行う。
ここでは、現状の入力情報を考慮し、図1の系統構成において以下の計測データが入手可能とする。なお、図1において、10は系統電源、20は配電用変電所、30は母線、40はフィーダ、41は送り出し側の電圧・電流計測点となる開閉器、42はモニタリング子局、50は分散電源(DG)である。
▲1▼送り出し側:電圧絶対値及び電流絶対値
▲2▼モニタリング子局:電圧絶対値及び電流絶対値
また、以下の条件を仮定する。
・各区間の設備容量は既知である。
・分散電源50については、固定出力の場合はその出力及び力率が与えられる。風力発電のように可変出力の場合は、ある予測出力及び力率を設定する。
・更に、送り出し側の力率及び負荷力率については情報が得られないため、所定の予測力率を設定する。
【0010】
(2)次に、配電系統の状態推定問題を定式化する手順を説明する。
まず、各分散電源50の出力及び負荷点の負荷電力を状態変数とするが、目的関数自体は通常の状態推定と同様に、数式1に示すごとく観測値と観測点における計算値との重み付き2乗誤差の最小化とする。
【0011】
【数1】
Figure 0003929235
【0012】
なお、数式1において、
x:状態変数(各地点の分散電源出力及び負荷電力)
:観測変数iの重み係数
:観測変数iの観測値
:観測変数iの状態方程式
である。
【0013】
ここで、状態変数については以下のように考える。
分散電源50については、出力の上下限値を考える。ただし、分散電源50の出力が固定されている場合には、上下限値が固定値で一致する。また、負荷の力率は仮定するため、有効電力のみを状態変数とする。後述のように、各地点の負荷電力の中央値は、系統及び分散電源から注入される総供給電力を各区間の設備容量により按分した値を用いて上下限値を設けた範囲内とする。
つまり、状態変数xの範囲は数式2のようになる。
【0014】
【数2】
j,min≦x≦xj,max
【0015】
ここで、xj,min:分散電源jの出力或いは負荷jの有効電力の最小値
j,max:分散電源jの出力或いは負荷jの有効電力の最大値
【0016】
各分散電源及び負荷の状態変数を指定した後の電圧・電流値の計算には、配電系統向けの高速潮流計算手法であるBackward-Forward Sweep(BFS)法を用いる。なお、発明者らはBFS法向けの実系統の各種配電機器モデルを開発している(藤根・福山ほか「分散電源の連系を考慮した配電系統潮流計算用機器モデルの開発」電気学会電力技術研究会PE-99-11(平成11年10月)を参照)。
【0017】
以上により、本発明にかかる状態推定問題は、数式2の制約条件を満たし、かつ数式1の目的関数を充足するような負荷状態を求めることとなる。この際、各種機器の非線形性を考慮し、この最適化問題を解くためにPSOやHPSOを用いることとする。
【0018】
従来の配電系統向け状態推定方法は、統計的手法等によって求めた負荷を擬似観測値として目的関数に直接関連させていたため、擬似観測値である負荷値に近い解を出力すると評価が良くなる定式化になっていた。従って、擬似観測値が真値と乖離している場合、妥当な解が得られないという問題点があった。
しかし、前述した本発明の定式化によると、按分比によって求めた負荷は初期値にしか用いておらず、これが真値と乖離している場合でも妥当な解に収束可能となる。
【0019】
(3)次に、HPSOの基本となるPSOの概要を説明する。
PSOは、簡単化した社会モデルのシミュレーションを通して開発されたMH手法の1つであり、鳥の群れの動きを連続変数の2次元空間で表現することを通して開発された。なお、このPSOについては、J. Kennedy and R. Eberhart による "Particle Swarm Optimization"(Proc. of IEEE International Conference on Neural Networks, Vol.IV, pp.1942-1948, Perth, Australia, 1995.)や、Y. Shi, and R. Eberhartによる "A Modified Particle Swarm Optimizer"(Proc. of IEEE International Conference on Evolutionary Computation, Anchorage, May 1998.)、更には、吉田・福山ほかによる「電圧信頼度を考慮したParticle Swarm Optimizationによる電圧無効電力制御方式の検討」(電気学会論文誌B,119巻12号,1999年12月)等に記載されている。
【0020】
PSOでは、各エージェントの位置(状態量)をx,y座標で表現し、その速度をv(x方向の速度)、v(y方向の速度)で表現する。これらの位置と速度情報から、次時点の各エージェントの位置を更新することができる。この概念に基づき、鳥の群れ全体が何らかの目的関数を最適化するような行動をとると考えると、以下のような最適化が考えられる。
つまり、各エージェントは各々の探索における目的関数のそれまでの最良値(pbest)と、その位置(状態量)を示すx,y座標とを覚えている。また、各エージェントは、pbestのうち集団の中で最も最良のもの、すなわち集団のそれまでの目的関数の最良値(gbest)情報を共有している。そして、各エージェントは、現在のx,y座標と速度v,v、及び、pbestとgbestとの距離に応じて、pbest,gbestの存在する位置に方向を変更しようとする。この変更しようとする行動は速度で表現される。現在の速度と、pbest及びgbestを用いて、各エージェントの速度は数式3により修正される。
【0021】
【数3】
Figure 0003929235
【0022】
数式3において、v:エージェントiの速度、rand():0〜1までの一様乱数、s :エージェントiの探索k回目の位置(探索点)、pbest:エージェントiのpbest、w:エージェント速度に対する重み関数、c:各項に対する重み係数である。
【0023】
上記数式3を用いることにより、各エージェントのこれまでの最良解及び集団の最良解に確率的に近付くような速度が求められ、これにより各エージェントの現在の位置(探索点)を数式4により修正する。
【0024】
【数4】
k+1=s +v k+1
【0025】
PSOは遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:以下、GA)等と同様に複数の探索点を持った多点探索で、各探索点のpbest及び集団のgbestを用いて各探索点を確率的に変更していくことにより、大域最適解(最良解)を得る方法である。
また、これまでの速度を維持しようとする大域探索(数式3の右辺第1項)とpbest,gbestを用いてそれらに近づこうとする局所探索(数式4の右辺第2,3項)とをバランスよく行う機構をもった探索手法である。更に、PSOは各ステップで目的関数値を評価する必要があるが、評価の回数は問題の規模によらずエージェント数のみで良いというメリットがあるため、容易に大規模問題への適用が可能である。電力系統への適用では、著者らによる電圧無効電力制御への適用例がある(前述の「電圧信頼度を考慮したParticle Swarm Optimizationによる電圧無効電力制御方式の検討」(電気学会論文誌B,119巻12号,1999年12月)を参照)。
【0026】
(4)次いで、状態変数の取り扱い方について説明する。
状態変数は、前述のように各分散電源の出力及び負荷点の負荷電力とする。これらは、以下のように取り扱う。
▲1▼分散電源の出力範囲の計算
分散電源の出力が一定値として判明している場合には、この一定出力値を指定値とすることができる。しかし、風力発電や太陽光発電等のように出力が時間によってかなり変動する場合もある。このような場合には、対象の系統において時間帯や気象等により経験的に考えられる出力の中央値及び出力範囲上下限値を設定する。探索において、初期値としては1つのエージェントのみ分散電源出力をこの中央値に設定し、他のエージェントについては、この上下限値内の出力をランダムに発生し、各探索における状態量の変更に際しては、この上下限値内の数値に変更するようにする。
【0027】
▲2▼負荷電力範囲の計算
各地点の負荷電力の中央値は、系統及び分散電源から注入される総電力量を各区間の設備量により按分した値を用いる。更に、各地点の負荷電力は、この按分した値を平均として変動範囲に相当する上下限値を設けた範囲内とする。以下にこの方法を示す。
まず、変電所送り出し及び分散電源の送り出しの電圧・電流情報から、系統内への総注入有効電力を計算する。この際、変電所の送り出し電圧・電流の力率については、仮定している負荷力率と同様であると仮定する。次に、各区間の設備容量の総和により各区間の設備容量比率を求め、総注入有効電力を各区間の設備容量比率で按分することにより、各区間毎の負荷有効電力分を計算する。無効電力については、計算された有効電力分と仮定した負荷力率とから計算する。
【0028】
以上の方法により求めた各区間の負荷電力を平均値として、対象の系統において時間帯等により経験的に考えられる変動範囲を考慮し、負荷電力の上下限値を与える。
探索の初期においては、1つのエージェントのみ設備容量によって按分した平均値をそのまま利用し、他のエージェントについては、上下限値内の負荷値をランダムに生成する。また、各探索での状態量の変更に際しては、この上下限内の数値に変更するようにする。
【0029】
(5)PSOを用いた状態推定のアルゴリズムを説明する。
状態推定のアルゴリズムは、次の通りである。
▲1▼第1ステップ:データ入力
必要なデータを入力する。そのデータは以下の通りである。
・系統構成、線路インピーダンス
・区間設備容量
・計測データ(送り出し側の電圧・電流検出手段41、モニタリング子局42、分散電源50による計測データ)
【0030】
▲2▼第2ステップ:計算の条件設定
1)各負荷の初期値計算と初期潮流計算
各負荷の区間設備容量及び対象系統の総供給電力から、各負荷に対する初期値を按分計算により求める。この値を用いてBFS法による潮流計算を実行する。
2)分散電源出力・負荷電力の上下限値の計算
各分散電源出力・負荷電力に対し、初期潮流結果を用いて解として生成させる上下限値を計算する。
【0031】
▲3▼第3ステップ:状態推定計算の実行
PSOにより、観測値と観測点における計算値との誤差が最小になる系統状態を求める。前述した数式1の目的関数を充足する系統状態を状態推定結果として出力する。
【0032】
C.次に、HPSOを用いた状態推定方法について述べる。これは、請求項2に記載した発明の実施形態に相当する。
計測データ及びデータの仮定、定式化、状態変数の取り扱い方は、前述したPSOを用いた状態推定方法と同様である。
【0033】
(1)HPSOの概要
HPSOはPSOのメカニズムとGA等で利用される自然淘汰の概念を組み合わせたハイブリッド手法である。MH手法の多くは、自然淘汰に対応する選択の概念を入れており、この選択は、探索空間の中で、他の探索点が最近探索した点と比較して相対的に有効である探索点に探索方向を向け直す機能となる。
PSOもそれまでの探索で有効であった探索点(pbest,gbest)を利用しているが、その探索点自体にかなり依存しているのでそれ以降の探索点が限定されてしまう。
【0034】
これに対し、HPSOは、通常のMH手法と同様に有効な探索点は利用するが、その探索点への依存が徐々に薄らいでいくような機能を実現している。具体的には、現状の探索点に対し評価値の悪いエージェントの探索点と速度を、評価値の良いエージェントの値にリプレイスする。この際、各エージェントがこれまで探索してきた最も評価が良い探索点(ppbest)の情報は残すこととする。
このような方法により、有効な領域への探索の集中とこれまで探索してきた有効な領域への探索の方向の向け直し、及びその方向への弱い依存関係という機能を実現することができる。
【0035】
HPSOの一般的なアルゴリズムは図2のようになり、図2における探索ステップ2,3,4に対応する解空間における探索概念図が図3(a),(b),(c)である。
すなわち、始めに各エージェントの初期探索点を生成する(ステップ1)。次に、個々のエージェントの探索点を評価する(ステップ2)。このとき、図3(a)の例ではエージェント1,2の評価が低く、エージェント3,4の評価が高いとする。
次に、各エージェントの探索点に対し選択を実行する(ステップ3)。このステップはHPSOに特有のものであり、図3(b)の例では、評価が低かったエージェント1,2の探索点を、選択によって評価が高いエージェント3,4の探索点にリプレイスしている。
その後、PSOと同様に、各エージェントの速度及び探索点(位置)を数式3,4により修正する(ステップ4)。図3(c)の例では、図3(b)の各エージェント1〜4の位置が修正される。特に、エージェント1とエージェント3とはそれぞれのpbest(pbest1,pbest3)が異なるため、探索方向(矢印の方向)も異なってくる。つまり、エージェント1はpbest1方向に引き続き向かっているのに対し、エージェント3はpbest3方向に向かうことになる。
【0036】
図2に示したようなアルゴリズムにより、HPSOはPSOとMH手法の選択のダイナミクスとの混合となる。HPSOと従来のPSOとのメカニズムとしての差は少ないが、ステップ3の選択手法を加えることにより、評価の高い領域を集中的に探索するメカニズムが追加され、より良い解を見つけることができる探索メカニズムとなる。
HPSOについては、例えばP. Angelineによる "Using Selection to Improve Particle Swarm Optimization"(Proc. of IEEE International Conference on Evolutionary Computation, Anchorage, May 1998.)等に記載されているが、この文献によれば、MHのベンチマークである4つの関数に対して、HPSOによれば、4個中3個の関数の最適化においてPSOより良い結果が得られたと報告されている。
【0037】
なお、HPSOを用いた状態推定のアルゴリズムは、前述のPSOを用いた状態推定のアルゴリズム(Bの(5)項)とおおむね同一であり、異なるのは、系統状態の推定演算において上記選択のステップを含む点である。
【0038】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
(1)シミュレーション条件
HPSO及びPSOを用いた方法を実系統を模擬したモデル系統へ適用し、両者の有効性を検証した。
テストケースとしては、郡部の実系統を模擬した図4のモデル系統(潮流計算のノード数は20、各負荷地点の負荷は契約容量100[kW])に対し、潮流計算結果を計測値とした状態推定を行う。つまり、計測誤差は無視し、計測値に近い値に収束できるかどうかという最適化手法の能力を検証する。図4の例では分散電源を1台、SVRを2台設置してあり、これにより微分不可能や不連続となる非線形な目的関数を扱わなければならない例である。ここでは、簡単のため各負荷の設備容量は同一とし、配電用変電所(送り出し)側の計測点1及び末端開閉器側の計測点2を電圧・電流計測点(計測点2の電流値は0[A])とした。
【0039】
前述の数式1の各計測値に対する重み係数wは何れも1.0とした。また、数式3における重み関数wは、前述の文献「電圧信頼度を考慮したParticle Swarm Optimizationによる電圧無効電力制御方式の検討」(電気学会論文誌B,119巻12号,1999年12月)と同様に数式5の関数とした。
【0040】
【数5】
Figure 0003929235
【0041】
なお、数式5において、wmax=0.9 ,wmin=0.4,itermax:最大探索回数,iter:現在の探索回数である。
また、数式3におけるc=c=2.0とし、エージェント数は20とした。なお、HPSO,PSOともに100回までの反復による最良値を求める試行を100回行って結果を比較した。プログラムは、Matlabのスクリプトにて作成した。
【0042】
(2)シミュレーション結果
図4のモデル系統に対する状態推定結果を、図5、図6及び図7に示す。
図5に示すように、HPSOとPSOともに数式1の目的関数の最小値は同じになるが、HPSOの最大値(計測値との誤差が最大)はPSOの約59%、平均値は約50%となっており、良質の解を生成できることが確認できた。
図6の計測値と最適推定値とを比較した場合にも、良質な推定ができることがわかる。ここで、比較対象であるIは計測点1の電流、V,Iは計測点2の電圧、電流である。なお、HPSO,PSOの最適推定値はほとんど変わらないため、HPSOについてのみ数値を示してある。
更に図7の結果から、目的関数値としては、小さい、つまり計測値に近い値に度数分布が偏っており、高い確率で良質な解を生成できることがわかる。
以上より、計測誤差を無視した場合には、PSO,HPSOが計測値に近い解に収束する能力が高いことが検証できた。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来技術では考慮できなかった実配電系統の各種機器の非線形性を考慮し、MH手法であるPSOやHPSOを用いて前記非線形性に起因する目的関数の微分不可能や不連続性を解消することにより、良質の解を生成可能な状態推定方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態が適用される系統構成図である。
【図2】HPSOの一般的なアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図2における探索ステップS2,S3,S4に対応する、解空間における探索概念図である。
【図4】シミュレーションに用いた系統の構成図である。
【図5】シミュレーション結果としての目的関数値の比較を示す図である。
【図6】シミュレーション結果としての計測値と推定値との比較を示す図である。
【図7】シミュレーション結果としての評価値の度数分布を示す図である。
【符号の説明】
10 系統電源
20 配電用変電所
30 母線
40 フィーダ
41 開閉器
42 モニタリング子局
50 分散電源

Claims (2)

  1. 分散電源を有する配電系統を対象として、電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データ及び系統からの送り出し電圧・電流の計測データ等が与えられた時に、系統内各地点の電圧・電流を推定するための配電系統における状態推定方法において、
    系統側及び分散電源側からの発電電力の合計値を各負荷の契約設備容量による按分比に従って配分することにより負荷電力初期値を算出するステップと、
    前記負荷電力初期値を用いて潮流計算を実行し、状態変数としての分散電源出力及び負荷電力に対してこれらを解として生成させる各上下限値を計算するステップと、
    前記各上下限値による制約条件を満たし、かつ、分散電源出力及び負荷電力の観測値と観測点における計算値との誤差を最小化する目的関数を充足するような系統状態を、最適化手法であるパーティクル・スウォーム・オプティマイゼーション(PSO)により求めて系統内各地点の電圧・電流を推定するステップと、
    を有することを特徴とする、配電系統における状態推定方法。
  2. 分散電源を有する配電系統を対象として、電源容量、負荷容量、線路データ、変圧器データ及び系統からの送り出し電圧・電流の計測データ等が与えられた時に、系統内各地点の電圧・電流を推定するための配電系統における状態推定方法において、
    系統側及び分散電源側からの発電電力の合計値を各負荷の契約設備容量による按分比に従って配分することにより負荷電力初期値を算出するステップと、
    前記負荷電力初期値を用いて潮流計算を実行し、状態変数としての分散電源出力及び負荷電力に対してこれらを解として生成させる各上下限値を計算するステップと、
    前記各上下限値による制約条件を満たし、かつ、分散電源出力及び負荷電力の観測値と観測点における計算値との誤差を最小化する目的関数を充足するような系統状態を、最適化手法であるハイブリッド・パーティクル・スウォーム・オプティマイゼーション(HPSO)により求めて系統内各地点の電圧・電流を推定するステップと、
    を有することを特徴とする、配電系統における状態推定方法。
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