JP5444131B2 - 配電系統潮流シミュレーション装置、配電系統潮流シミュレーション方法およびそのプログラム - Google Patents

配電系統潮流シミュレーション装置、配電系統潮流シミュレーション方法およびそのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、スマートグリッド環境の配電系統に好適な配電系統潮流シミュレーション装置、配電系統潮流シミュレーション方法およびそのプログラムに関する。
近年、太陽光や風力など炭酸ガスを放出しない自然エネルギーを利用した発電設備の導入が一般家庭などの需要家に拡大しつつある。このような太陽光発電などで得られた電力の余剰電力は、電力会社の配電系統に逆潮流の電力として送り込まれる。その逆潮流の電力は、電力会社の配電線にとっては、その電圧を管理する上で、大きな外乱要素となる。また、その逆潮流の電力は、自然エネルギー由来のものであるだけに、天候の影響を受け易く、電力会社の配電線における電圧管理が困難になる事態が生じかねない。
以上のような状況を考慮し、また、DSM(Demand Side Management)などによる需要家の電力使用の管理または制御の容易化を図るために、需要家における電力計を含めた配電設備は、高機能化、情報機器化、すなわち、スマートグリッド化が図られようとしている。例えば、電力会社のサーバは、各家庭の電力計から電力の使用量や逆潮流電力をリアルタイムで収集することが可能となる。そして、その場合には、その収集した電力使用量や逆潮流電力などを用いて、配電線における電圧管理を行うことも可能となる。
現在のところ、一般家庭などからの逆潮流電力が増大したとき、どのような事態が生じるか、あるいは、その逆潮流電力による配電系統の電圧変動をどのように管理すればよいか、などについては、まだ十分な知見は得られていない。その知見を事前に得る手段として、コンピュータによるシミュレーションがある。
特許文献1には、高圧送電線の末端の変電所から自家発電(コジェネ発電)装置を有する工場などの需要家に到る配電線における電圧分布を計算する配電系統シミュレーションに関する技術が開示されている。その配電系統シミュレーション技術では、需要家からの逆潮流電力が考慮され、一般家庭など小規模需要家についての取り扱いも含まれており注目に値する。
特開2004−56996号公報
しかしながら、特許文献1に開示された配電系統潮流シミュレーション技術は、変電所から工場の変圧器や柱上変圧器に到る配電系統部分のみを対象としたものであり、一般家庭などの需要家についての取り扱いが考慮されているとはいえ、多数の一般家庭などの需要家の使用電力や逆潮流電力をそれぞれ個別にシミュレーションしようとするものではない。従って、特許文献1に開示されているシミュレーション技術では、多数の一般家庭に太陽光や風力など多様な発電装置が導入され、また、スマートグリッドのための電力計が普及した環境を、適切にシミュレーションすることは困難である。
そこで、本発明の目的は、多数の需要家の使用電力や逆潮流電力を個々に考慮することが可能な配電系統潮流シミュレーション装置、配電系統潮流シミュレーション方法およびそのプログラムを提供することにある。
本発明に係る配電系統潮流シミュレーション装置は、変電所から柱上変圧器を経て需要家負荷に到る配電系統における電力潮流をシミュレーションするものであって、
(1)柱上変圧器における負荷電力を用いて、変電所から柱上変圧器に到る配電系統における電力潮流を計算する配電系統潮流計算部と、
(2)複数の需要家がそれぞれ使用する負荷電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の需要家負荷模擬部と、
(3)複数の分散電源がそれぞれ発電する発電電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の分散電源模擬部と、
(4)前記複数の需要家負荷模擬部および前記複数の分散電源模擬部のそれぞれから、指定した時刻における負荷電力または発電電力なる電力を取得し、その取得電力を用いて、前記配電系統に配備されている複数の柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を算出し、その算出した柱上変圧器における負荷電力を前記配電系統潮流計算部に入力して、その配電系統潮流計算部に潮流計算を実行させる系統状態管理部と、
を有することを特徴とする。
本発明に係る配電系統潮流シミュレーション装置では、需要家負荷模擬部および分散電源模擬部を複数個配備させることができるようにしたため、複数の一般家庭などの需要家における負荷電力の変動やその一般家庭に導入されている太陽光発電などの分散電源の発電電力の変動を個々にシミュレーションすることができる。そして、その複数の需要家における負荷電力の変動や分散電源の発電電力の変動は、合算されて柱上変圧器の負荷として、配電系統潮流計算部へ入力される。
従って、配電系統潮流計算部は、複数の小規模な需要家における負荷電力や分散電源の発電電力の変動を個々にシミュレーションした結果を考慮した、より現実に近い配電系統における電力潮流を計算することが可能になる。
本発明によれば、多数の需要家の使用電力や逆潮流電力を個々に考慮することが可能な配電系統潮流シミュレーション装置、配電系統潮流シミュレーション方法およびそのプログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置が適用される配電系統の構成の例を示した図。 本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置の機能ブロックの構成の例を示した図。 本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置を構成する機能ブロックをモジュール化するためのモジュールの構成の例を示した図。 図3におけるプロファイルテーブルの構成の例を示した図であり、(a)は、需要家負荷模擬部のプロファイルテーブルの例、(b)は、系統状態管理部のプロファイルテーブルの例。 本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置における配電系統潮流シミュレーションの実行手順の例を示した図。 図5におけるモジュール構成の確定処理の実行手順の例を示した図。 図6における未設定のプロファイル項目のデータ入力を受け付ける画面の例を示した図。 図5におけるモジュール構成の確定処理の実行手順の別の例を示した図。 本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置における配電系統シミュレーションの実行手順の別の例を示した図。 本発明の第2の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置の機能ブロック構成の例を示した図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置が適用される配電系統の構成の例を示した図である。本実施形態では、配電系統とは、発電所から電力の需要家をつなぐ送電系統のうち、末端の変電所1から需要家7,7aまでの送電系統部分を指すものとする。なお、電力会社などでは、末端の変電所1から柱上変圧器5までの送電線は、配電線2と呼ばれ、また、柱上変圧器5から一般家庭などの需要家7,7aまでの送電線は、引込線6と呼ばれている。そして、一般的には、配電線2の電圧は6.6kV、引込線6の電圧は100Vまたは200Vとされている。
図1に示すように、配電線2上には、安全や事故対策用として開閉器3が、また、電圧調整用としてSVR(Step Voltage Regulator)4が、適宜、設けられている。なお、SVR4は、変圧器の一種であり、通常、配電線2上の変電所1から遠隔した位置などに設けられ、通常は、降下した電圧を昇圧するために用いられる。また、配電線2から分岐する複数の位置には、柱上変圧器5が設けられており、柱上変圧器5から引き出されている引込線6(分岐支線ともいう)には、複数の需要家7,7aがつながれている。ここで、需要家7は、電力計71と負荷装置72と分散電源73とを含んで構成される。また、需要家7aは、電力計71と負荷装置72とを含んで構成されているが、分散電源73を含んでいない。
需要家7,7aに含まれる負荷装置72は、例えば、家庭などにおける照明機器、冷暖房機器(エアコン、コタツなど)、音響・映像機器(テレビ、ラジオなど)、情報・通信機器(パソコン、電話機など)、家事・調理機器(洗濯機、掃除機、電子レンジなど)など様々な家庭電化機器などを統合したものである。また、分散電源73は、太陽光発電装置、風力発電装置、蓄電装置などを表している。
また、電力計71は、例えば、AMI(Advanced Metering Infrastructure)であり、順潮流の電力や逆潮流の電力を計測する機能だけでなく、配電線2の状態を管理する図示しない管理サーバと通信する機能などを有している。さらに、電力計71は、いわゆる、DSM(Demand Side Management)機能を有し、需要家7の負荷装置72を、適宜、制御して、その電力使用量を制御するものであってもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置の機能ブロックの構成の例を示した図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置100は、配電系統潮流計算部10、潮流計算連携部20、系統状態管理部30、ネットワーク通信部40、需要家負荷模擬部80、分散電源模擬部90などの機能ブロックを含んで構成される。なお、図2では、それぞれの機能ブロックが適用対象の配電系統のどの部分をシミュレーションするものであるかを明示するために、図1で示した配電系統の構成の一部が併せて示されている。
以下、図2を参照しつつ、配電系統潮流シミュレーション装置100に含まれる機能ブロックの機能について説明する。
配電系統潮流計算部10は、変電所1から柱上変圧器5に到る配電系統部分、いわゆる配電線2の部分における電力潮流をシミュレーションする機能ブロックである。すなわち、配電系統潮流計算部10は、柱上変圧器5についての負荷電力が入力されたとき、当該配電線2上の各点(柱上変圧器5の2次側の位置も含む)における電圧値を計算する。ここで、その電圧値の計算では、柱上変圧器5、SVR4、開閉器3の電気的動作を考慮するものとする。
なお、以上のようにして配電系統潮流計算部10が行う配電線2に係る部分の電力潮流シミュレーションは、例えば、特許文献1などにも示されているように、公知技術である。そこで、ここでは、その電圧値の計算方法などについての詳細な説明を省略する。
需要家負荷模擬部80は、需要家7,7a(図1参照)が使用する電力の、1日単位での時間変動をシミュレーションする。そして、ある時刻が入力されたときには、そのシミュレーションした結果に基づき、その時刻における電力計71のメータの値(電力量)を出力する。
ここで、需要家負荷模擬部80において、そのシミュレーションを実現する具体的な方法は、どのようなものであってもよいとする。例えば、需要家負荷模擬部80は、需要家7,7aの家族構成、生活のリズムに応じた照明機器や家庭電化機器の使用スケジュールをテーブルなどで用意しておき、その使用スケジュールに基づき、使用電力の時間変動をシミュレーションするものであってもよい。また、さらに簡単には、使用電力の時間変動そのものをテーブルとして用意しておき、そのテーブルから使用電力を取得するものであっても、さらには、実際の電力計71の計測値であってもよい。
分散電源模擬部90は、需要家7が保有している太陽光発電装置や風力発電装置などの分散電源73が発電する電力の時間変動を、1日単位でシミュレーションする。そして、ある時刻が入力されたときには、そのシミュレーションした結果に基づき、その時刻における71のメータの値を出力する。このとき、その電力計71のメータの値は、逆潮流の電力量を表す。なお、本実施形態では、電力計71は、負荷電力量(順潮流)と発電電力量(逆潮流)を同時に別々に計測可能であるとする。
ここで、分散電源模擬部90において、そのシミュレーションを実現する具体的な方法は、需要家負荷模擬部80の場合と同様に、どのようなものであってもよいとする。例えば、分散電源模擬部90は、日射量や風力の変動をテーブルや関数などで定義しておき、その日射量や風力に応じて発電電力を取得するものものであってもよい。また、さらに簡単には、発電電力の時間変動そのものをテーブルとして用意しておき、そのテーブルから発電電力量を取得するものであっても、さらには、実際の電力計71の計測値であってもよい。
ところで、本実施形態では、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90は、それぞれシミュレーション対象の需要家7,7aの負荷装置72および分散電源73に1対1に対応する形で設けられるものとし、その需要家7,7aにおける負荷電力や発電電力は、個別に相違するものであり得るものとする。なお、需要家負荷模擬部80が、例えば、前記したような照明機器や家庭電化機器の使用スケジュールのテーブルを用いて使用電力の時間変動をシミュレーションするものであれば、そのテーブルの内容を変えることによって、需要家7,7aごとの電力の使用状況を容易に変えることができる。
また、本実施形態では、それぞれの需要家7,7aの負荷装置72および分散電源73は、配電線2から柱上変圧器5を介して分岐した引込線6のうち、いずれの引込線6に接続されているか、識別可能なように構成されるものとする。なお、この構成情報は、後記するように系統状態管理部30によって管理される。
系統状態管理部30は、主として、配電系統潮流計算部10、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90などにおけるシミュレーションの実行を管理する機能を有する。
すなわち、系統状態管理部30は、それぞれの需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90に対し、ネットワーク通信部40を介して時刻情報を送信することにより、そのシミュレーションを実行させ、その結果として、それぞれの需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90から、その電力計71のメータの値を読み出すことができる。
また、系統状態管理部30は、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれから読み出した電力計71のメータの値を、それらが接続された引込線6ごとに集計して、それぞれの引込線6が接続された柱上変圧器5に対する負荷電力(集計負荷電力201)を算出する。そして、その集計負荷電力201を、潮流計算連携部20を介して配電系統潮流計算部10へ入力し、配電系統潮流計算部10に対し、電力潮流のシミュレーションの実行を求める。
さらに、系統状態管理部30は、配電系統潮流計算部10におけるシミュレーションの結果として得られる柱上変圧器5の位置における電圧値、つまり、引込線6の電圧値を取得し、その取得した引込線6の電圧値を、ネットワーク通信部40を介して、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれに送信する。
潮流計算連携部20は、配電系統潮流計算部10と需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90との間で送受信される情報のインタフェースを整合させる機能などを有しているが、補助的な機能であるので、系統状態管理部30に含まれる下位の機能ブロックと考えてもよい。
ネットワーク通信部40は、系統状態管理部30と需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90との間の情報通信をシミュレーションしている。ただし、その通信プロトコルは、現実のもの、例えば、図示しない管理サーバと需要家7,7aが有する電力計71との間で行われる通信でのプロトコルと同じである必要はない。そのプロトコルは、現実に用いられるプロトコルを、適宜、簡略化したものであってもよい。
以上のように、本実施形態の配電系統潮流シミュレーション装置100においては、様々な形で変動する負荷電力や発電電力をシミュレーションすることが可能な需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90を、実際の配電線2、柱上変圧器5および引込線6の配置に合わせて、配電系統の電力潮流のシミュレーションを行うことができる。従って、配電系統の電力潮流のシミュレーションを、現実により忠実に行うことが可能となる。
なお、以上に説明した実施形態では、配電系統潮流シミュレーション装置100は、引込線6の部分については、詳細な潮流シミュレーションを行わず、柱上変圧器5の2次側の電圧が各需要家7,7aの負荷装置72および分散電源73に印加されるものとなっているが、引込線6の部分に対しても、配電系統潮流計算部10と同様のシミュレーションを適用するようにして、引込線6についても、引込線6上の各点における電圧値を計算するようにしてもよい。
続いて、コンピュータによる配電系統潮流シミュレーション装置100の具体的な実現方法について説明する。
図2に示した機能ブロックにより構成された配電系統潮流シミュレーション装置100は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やハードディスク装置などからなる記憶装置と、を備えたコンピュータによって実現することができる。その場合、配電系統潮流計算部10、潮流計算連携部20、系統状態管理部30、ネットワーク通信部40、需要家負荷模擬部80、分散電源模擬部90などの機能ブロックは、前記CPUが前記記憶装置に記憶されたそれぞれの機能ブロックに対応するプログラムを実行することによって実現される。
また、本実施形態では、シミュレーションの当初の目的を考慮すれば、配電系統潮流シミュレーション装置100には、多種多様の多数の需要家負荷模擬部80や分散電源模擬部90が実装される必要がある。その場合、配電系統潮流シミュレーション装置100を1つのコンピュータで実現しようとすると、そのコンピュータの処理負荷が過大になることが考えられる。
従って、その場合には、配電系統潮流シミュレーション装置100を、通信ネットワークで互いに接続された複数のコンピュータを用いて実現するようにしてもよい。例えば、配電系統潮流計算部10を第1のコンピュータによって実現し、潮流計算連携部20および系統状態管理部30を第2のコンピュータによって実現し、そして、多数の需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90を第4以降の複数のコンピュータによって実現するようにしてもよい。複数のコンピュータを用いることによって、各コンピュータの処理負荷を軽減し、シミュレーション時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態では、現実の配電系統の構成や需要家7,7aに応じて、シミュレーション対象の配電系統には、多種多様の多数の需要家負荷模擬部80や分散電源模擬部90を配置し、また、その配置を変更したり、新たな需要家負荷模擬部80や分散電源模擬部90を追加したりする必要性がある。そこで、本実施形態では、その必要性への対応を容易化するために、配電系統潮流シミュレーション装置100を構成する機能ブロックのモジュール化を図る。ここで、機能ブロックのモジュール化とは、機能ブロックを実現するプログラムの構造の統一化、とくにモジュール間のインタフェース構造の統一化を図ることをいう。
図3は、配電系統潮流シミュレーション装置100を構成する機能ブロックをモジュール化するためのモジュールの構成の例を示した図である。本実施形態では、モジュール110は、図3に示すように、モジュールアプリケーション111と、入出力ミドル112と、プロファイルミドル115と、を含んで構成されるものとする。そして、配電系統潮流シミュレーション装置100を構成するすべてまたは一部の機能ブロックのプログラムを、このモジュール110の構造に準じた構造で構成する。
図3において、モジュールアプリケーション111は、モジュール化する機能ブロックの機能を実現するためのプログラムである。本実施形態では、系統状態管理部30、需要家負荷模擬部80、分散電源模擬部90などの機能ブロックをモジュール110で実現するが、その場合、それらの機能ブロックの機能は、モジュールアプリケーション111のプログラムで記述される。従って、モジュールアプリケーション111は、機能ブロックごとに相違する。
一方、入出力ミドル112は、入力データ処理部113および出力データ処理部114を含んで構成され、モジュールアプリケーション111においてデータ入出力処理の記述を容易化するためのミドルウエアである。また、プロファイルミドル115は、プロファイルテーブル116を含んで構成され、モジュールアプリケーション111あるいは外部の他のモジュール110からのプロファイルテーブル116へのアクセス(データの読み出しおよび書き込み)を容易化するためのミドルウエアである。すなわち、入出力ミドル112およびプロファイルミドル115は、機能ブロックの相違に依らない、つまり、いずれのモジュール110にも共通のプログラムである。
ちなみに、入出力ミドル112は、モジュールアプリケーション111の指示により、ネットワーク通信部40を介して、他のモジュール110に対して、メッセージやデータを送受信する機能を有している。また、プロファイルミドル115は、モジュールアプリケーション111または入出力ミドル112の指示により、プロファイルテーブル116にアクセスする機能を有している。
図4は、プロファイルテーブル116の構成の例を示した図であり、(a)は、需要家負荷模擬部80のプロファイルテーブル116aの例、(b)は、系統状態管理部30のプロファイルテーブル116bの例である。
図4(a)に示すように、需要家負荷模擬部80のプロファイルテーブル116aは、自モジュール属性情報1161aおよびシミュレーション情報1162aを含んで構成される。さらに、自モジュール属性情報1161aは、モジュールID、モジュール種別ID、モジュールアプリケーションID、タイムスタンプID、IPアドレス、分岐支線ID、モジュール地理座標など、自モジュール110を特定する情報によって構成される。
ここで、モジュールIDは、需要家負荷模擬部80を個別に識別する識別情報、モジュール種別IDは、自モジュール110が需要家負荷模擬部80であることを示す情報、モジュールアプリケーションIDは、自モジュール110のモジュールアプリケーション111を識別する情報、タイムスタンプIDは、自モジュール110のタイムスタンプの識別情報、IPアドレスは、自モジュール110に割り当てられたインタネットプロトコルアドレスである。また、分岐支線IDは、自モジュール110がシミュレーションする需要家7,7aが接続されている引込線6の識別情報、モジュール地理座標は、自モジュール110がシミュレーションする需要家7,7aの位置を表す緯度・経度情報またはそれに相当する情報である。
このように、自モジュール属性情報1161aは、シミュレーションにおいて、自モジュール110を特定するための属性情報である。なお、本実施形態では、このような自モジュール属性情報1161aを、以下、iniファイルと呼ぶ場合がある。
次に、シミュレーション情報1162aは、シミュレーションID、現在時刻、系統電圧、系統電圧時刻、電力計・順潮流計測値、電力計・順潮流計測時刻、電力計・逆潮流計測値、電力計・逆潮流計測時刻など、シミュレーションの状況を示す情報によって構成される。
ここで、シミュレーションIDは、シミュレーションの実行を識別する情報、現在時刻は、シミュレーション実行途上のそのときの時刻、系統電圧は、自モジュール110がシミュレーションする需要家7,7aに印加される電圧の値、系統電圧時刻は、その系統電圧が取得された時刻である。また、電力計・順潮流計測値および電力計・逆潮流計測値は、それぞれ、自モジュール110がシミュレーションする需要家7,7aの電力計71から得られる順潮流電力量の計測値および逆潮流電力量の計測値である。
このように、シミュレーション情報1162aは、シミュレーションにおいて、自モジュール110のモジュールアプリケーション111がシミュレーションの状況を示す情報を外部に提供するための情報である。
なお、図4(a)は、需要家負荷模擬部80のプロファイルテーブル116aの例であるが、分散電源模擬部90のプロファイルテーブル116としても、その構成をほとんど変更することなく適用することができる。
次に、図4(b)に示すように、系統状態管理部30のプロファイルテーブル116bは、自モジュール属性情報1161bおよびモジュール管理情報1162bを含んで構成される。ここで、自モジュール属性情報1161bは、モジュールID、モジュール種別ID、モジュールアプリケーションID、タイムスタンプID、IPアドレスなど、自モジュール110を特定する情報によって構成される。また、モジュール管理情報1162bは、系統状態管理部30の管理対象の需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のプロファイルテーブル116の自モジュール属性情報1161(iniファイル)を連結した情報である。
なお、系統状態管理部30のプロファイルテーブル116bは、図2における系統状態管理部30のモジュール管理情報記憶部31に記憶される情報に相当する。
図5は、配電系統潮流シミュレーション装置100における配電系統潮流シミュレーションの実行手順の例を示した図である。図5に示すように、配電系統潮流シミュレーション装置100における配電系統潮流シミュレーションは、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれがモジュール起動メッセージを系統状態管理部30へ送信する(ステップS01)ことにより開始される。ここで、モジュール起動メッセージとは、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれが、自モジュール110のプログラムの実行を開始したことを示すメッセージである。
次に、系統状態管理部30は、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれからモジュール起動メッセージを受信すると、その受信したモジュール起動メッセージに基づき、シミュレーションの対象となるモジュール構成を確定させる(ステップS02)。ここで、モジュール構成の確定とは、系統状態管理部30が管理すべき管理対象の需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のモジュール110を確定させることをいい、具体的には、系統状態管理部30のプロファイルテーブル116bの内容を確定させることを意味する。なお、モジュール構成の確定処理については、別途、図6を参照して、詳しく説明する。
次に、系統状態管理部30は、シミュレーションを実行するための時刻情報を、シミュレーション管理対象の需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90へ送信する(ステップS03)。そして、その時刻情報を受信したそれぞれの需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90は、負荷電力または発電電力を計算し(ステップS04)、その計算により得られた負荷電力または発電電力を、系統状態管理部30へ送信する(ステップS05)。
次に、系統状態管理部30は、それぞれの需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90から送信された負荷電力または発電電力を受信すると、その受信した負荷電力および発電電力を、引込線6ごとに集計して、その引込線6につながる柱上変圧器5に対する集計負荷電力201(図2参照)を算出し(ステップS06)、その算出した集計負荷電力201を潮流計算連携部20へ送信する(ステップS07)。
次に、潮流計算連携部20は、その集計負荷電力201を受信すると、配電系統潮流計算部10に対して、その集計負荷電力201を付して、配電線2における電力の潮流計算を指示する(ステップS08)。配電系統潮流計算部10は、指示された電力の潮流計算を実行し(ステップS09)、その結果として、系統状態管理部30に対し、配電線2上の各点における電圧値(以下、系統電圧という)を出力する(ステップS10)。
系統状態管理部30は、配電系統潮流計算部10からの系統電圧を受け取ると、その系統電圧(この場合は、柱上変圧器5の2次側の出力電圧)を、それぞれの需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90へ送信し(ステップS11)、シミュレーションを終了するか否かを判定する(ステップS12)。そして、シミュレーションを終了しない場合には(ステップS12でNo)、ステップS03へ戻って、ステップS03以下の処理を、繰り返して実行する。また、シミュレーションを終了する場合には(ステップS12でYes)、系統状態管理部30の処理を終了する。
図6は、モジュール構成の確定処理の実行手順の例を示した図である。ここで、モジュール構成の確定処理とは、マスタとなるモジュール110におけるプロファイルテーブル116に、そのマスタによって管理されるスレーブのモジュール110のプロファイルテーブル116の自モジュール属性情報1161a(iniファイル:図4参照)のすべてまたは一部を登録する処理である。
図6の例では、マスタは、系統状態管理部30であり、スレーブは、需要家負荷模擬部80または分散電源模擬部90である。このとき、スレーブ(需要家負荷模擬部80または分散電源模擬部90)の自モジュール属性情報1161a(iniファイル)は、マスタ(系統状態管理部30)のプロファイルテーブル116bのモジュール管理情報1162b部分(モジュール管理情報記憶部31:図4、図2参照)に登録される。
なお、図6において、プロファイルミドル115bは、マスタ(系統状態管理部30)のプロファイルミドル115(図3参照)であり、プロファイルミドル115aは、スレーブ(需要家負荷模擬部80または分散電源模擬部90)のプロファイルミドル115である。また、モジュールアプリケーション111aは、スレーブ(需要家負荷模擬部80または分散電源模擬部90)のモジュールアプリケーション111(図3参照)である。
図6に示すように、モジュール構成の確定処理では、まず、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれ(以下、単に、スレーブという)のプロファイルミドル115aが、自モジュール110のiniファイル(自モジュール属性情報1161a)からモジュールIDを取得し、その取得したモジュールIDを添付したモジュール起動メッセージを、系統状態管理部30(以下、単に、マスタという)のプロファイルミドル115bへ送信する(ステップS21)。
次に、マスタのプロファイルミドル115bは、そのモジュールIDを受信すると、その受信したモジュールIDが、マスタのプロファイルテーブル116のモジュール管理情報1162b(モジュール管理情報記憶部31、図2、図4参照)に登録されているか否かを判定する(ステップS22)。その判定の結果、受信したモジュールIDがモジュール管理情報1162bに登録されていた場合には(ステップS22でYes)、マスタのプロファイルミドル115bは、スレーブのプロファイルミドル115aに対して、起動応答メッセージを送信し(ステップS30)、モジュール構成の確定処理を終了する。
一方、ステップS22における判定の結果、受信したモジュールIDがモジュール管理情報1162bに登録されていなかった場合には(ステップS22でNo)、マスタのプロファイルミドル115bは、必須プロファイル項目のデータを暫定的に作成し、その必須プロファイル項目のデータを添付したアドホック応答メッセージを、スレーブのプロファイルミドル115aに送信する(ステップS23)。なお、必須プロファイル項目とは、モジュール管理情報1162bに登録すべき項目のうち必須の項目をいう。
スレーブのプロファイルミドル115aは、アドホック応答メッセージを受信すると、受信したアドホック応答メッセージに含まれる暫定的な必須プロファイル項目のデータのうち、自モジュール属性情報1161aで設定済みのプロファイル項目のデータについては、暫定的な必須プロファイル項目のデータを、その設定済みのデータで更新する(ステップS24)。
次に、スレーブのプロファイルミドル115aは、自モジュール属性情報1161aに未設定のプロファイル項目のデータがあるか否かを判定する(ステップS25)。そして、ステップS25における判定の結果、未設定のプロファイル項目のデータがあった場合には(ステップS25でYes)、スレーブのプロファイルミドル115aは、破線で囲った部分のオンデマンドプロファイル入力シーケンスの処理を実行する(ステップS26およびステップS27)。
オンデマンドプロファイル入力シーケンスの処理では、スレーブのプロファイルミドル115aは、モジュールアプリケーション111aに対し、ダイアログイベントを発行する(ステップS26)。モジュールアプリケーション111aは、そのダイアログイベントの発行を受け付けると、オペレータなどによって行われる未設定のプロファイル項目のデータ入力を受け付け(ステップS27)、スレーブのプロファイルミドル115aに対し、iniファイル更新関数を発行する。プロファイルミドル115aは、そのiniファイル更新関数を処理して、iniファイル(自モジュール属性情報1161a)を更新する。
図7は、プロファイル項目のデータ入力受け付け画面の例を示した図である。オペレータは、図7に示すような入力受け付け画面を介して、必要なプロファイル項目のデータを入力することができる。
一方、図6におけるステップS25の判定で、未設定のプロファイル項目のデータがなかった場合には(ステップS25でNo)、スレーブのプロファイルミドル115aは、オンデマンドプロファイル入力シーケンスの処理の実行を省略して、更新後のiniファイル(自モジュール属性情報1161a)を添付したプロファイル更新メッセージをマスタのプロファイルミドル115bへ送信する(ステップS28)。
マスタのプロファイルミドル115bは、iniファイルが添付されたプロファイル更新メッセージを受信すると、添付されたiniファイル(自モジュール属性情報1161a)に、必須プロファイル項目について不足がないことを確認し、そのiniファイルをモジュール管理情報記憶部31に登録する(ステップS29)。そして、マスタのプロファイルミドル115bは、スレーブのプロファイルミドル115aに対して、起動応答メッセージを送信し(ステップS30)、モジュール構成の確定処理を終了する。
以上、図6に示したモジュール構成の確定処理は、モジュール起動メッセージを送信したすべてのスレーブとの間で行われる。マスタが系統状態管理部30である場合、スレーブは、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90であるから、系統状態管理部30は、配電系統の電力潮流シミュレーションを行う前に、このモジュール構成の確定処理を実行するによって、シミュレーション対象の需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90を確定させることが容易になる。
さらに、図6に示したモジュール構成の確定処理で新たに追加されたスレーブのiniファイル(自モジュール属性情報1161a)、すなわち、プロファイルミドル115bによるアドホック起動メッセージの送信(ステップS23)以降の、ステップS29でモジュール管理情報記憶部31に登録されたスレーブのiniファイル(自モジュール属性情報1161a)については、一連の配電系統の電力潮流シミュレーションが終了するたびに削除されるものとしておくのが好ましい。
系統状態管理部30は、モジュール構成の確定処理の中で、モジュール管理情報記憶部31に未登録のスレーブ(需要家負荷模擬部80または分散電源模擬部90)があったとき、そのスレーブのiniファイル(自モジュール属性情報1161a)をモジュール管理情報記憶部31に登録するので、新たな、あるいは、臨時的な需要家7,7aに対応する需要家負荷模擬部80または分散電源模擬部90を、アドホックにシミュレーション対象とすることが容易になる。
以上、本発明の実施形態によれば、シミュレーション対象の需要家7,7aの負荷装置72および分散電源73を1つ1つ個別に考慮した配電系統の電力潮流シミュレーションを容易に行うことが可能となる。
<実施形態の変形例1>
図8は、図5におけるモジュール構成の確定処理の実行手順の別の例を示した図である。図8に示すように、そのモジュール構成の確定処理は、アドホックプロファイル入力シーケンスにおけるステップS27’の部分が図5と相違している。以下、相違する部分について説明する。
図8において、そのアドホックプロファイル入力シーケンスの処理では、図5と同様にスレーブのプロファイルミドル115aは、モジュールアプリケーション111a’に対し、ダイアログイベントを発行する(ステップS26)。モジュールアプリケーション111a’は、そのダイアログイベントの発行を受け付けると、アドホック用のプロファイル項目が記録されているアドホック用iniファイル1111を読み込み、未設定プロファイル項目を取得し(ステップS27’)、スレーブのプロファイルミドル115aに対し、iniファイル更新関数を発行する。続いて、プロファイルミドル115aは、そのiniファイル更新関数を処理して、iniファイル(自モジュール属性情報1161a)を更新する。
この変形例1の場合には、オペレータによる入力操作が不要となるので、オペレータの作業負担が軽減される。
<実施形態の変形例2>
図9は、本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置における配電系統シミュレーションの実行手順の別の例を示した図である。図9の実行手順の図5との相違は、系統状態管理部30がステップS12’の判定で、シミュレーションを終了しない場合に(ステップS12’でNo)、ステップS02’へ戻って(なお、図5では、ステップS03へ戻っている)、ステップS02’以下の処理を繰り返して実行する点にある。
この場合には、系統状態管理部30は、前回のステップS02’を実行した後、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のそれぞれから新たなモジュール起動メッセージを受信したとき、その受信したモジュール起動メッセージに基づき、シミュレーションの対象となるモジュール構成を追加して確定させる(ステップS02’)ことができる。
従って、変形例2では、シミュレーション実施中であってもモジュール構成を、適宜、更新することができるようになる。
<その他の変形例>
なお、本発明の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置100における需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90の一部または全部を、図1に示す実際の需要家7,7aに設置された電力計71で入れ替えてもよい。その場合、電力計71は、所定の通信機能を有し、系統状態管理部との間で通信が可能なものであるとする。
この場合、実際の需要家7,7aの負荷や発電の電力量を用いることができるので、より現実に即した配電系統潮流シミュレーションを実施することができる。
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置の機能ブロック構成の例を示した図である。図10に示すように、本発明の第2の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置100Aは、配電系統潮流計算部10、潮流計算連系部20、系統状態管理部30’およびネットワーク通信部40’を含んで構成されたシミュレーションサーバ装置1001が、インターネットなどの通信ネットワーク1003を介して、需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90を少なくとも1つ有する需要家電力模擬部1002に接続されて構成される。
なお、図3〜図9を用いて説明した配電系統潮流シミュレーションの実行手順や、モジュール構成の確定処理の実行手順は、本実施形態における配電系統潮流シミュレーション装置100Aでも同様に適用される。
第2の実施形態では、配電系統潮流シミュレーション装置100Aを、ハードウエア的に、シミュレーションサーバ装置1001と需要家電力模擬部1002とに分けて考えているので、例えば、シミュレーションサーバ装置1001を情報処理センタなどに設け、需要家電力模擬部1002を利用者の手元のコンピュータ上に構成することができる。その場合、利用者は、手元のコンピュータ上で需要家電力模擬部1002の構成を自らのニーズに応じて自由に設定することが容易になる。
ここで、需要家電力模擬部1002に含まれる需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90のうち、少なくとも1つは、需要家7,7aが有する負荷装置72が使用する負荷電力および分散電源73が発電する発電電力の少なくとも一方を計測する電力計71の計測値を読み取り、その読み取った計測値(電力)を、系統状態管理部30に供給するものとしてもよい。
また、第2の実施形態では、系統状態管理部30’は、料金計算部32を有している。料金計算部32は、利用者が求めた配電系統潮流シミュレーションに要した潮流計算連系部20および系統状態管理部30’における処理時間を集計するとともに、その処理時間や、シミュレーションの回数、利用者が需要家電力模擬部1002で利用した需要家負荷模擬部80および分散電源模擬部90の数などに基づき、当該配電系統潮流シミュレーションの利用料金を計算する。
従って、第2の実施形態に係る配電系統潮流シミュレーション装置100Aでは、配電系統潮流シミュレーションの利用者に対し、その利用料金を課金することが可能となる。なお、第1の実施形態では、系統状態管理部30に料金計算部32を設けることについて説明をしていないが、第1の実施形態でも、系統状態管理部30が料金計算部32を有するとしても構わない。
<その他の補足>
以上のように、本発明の実施形態に係る系統状態管理部30は、配電系統潮流計算部に連携して動作するのに適した機能を有するものであるが、配電系統潮流計算以外にも、不完全な計測データから系統の全体の状態を推定する配電系統状態推定システムや、計測データのモニタリングシステムにも適用することができる。
1 変電所
2 配電線
3 開閉器
4 SVR
5 柱上変圧器
6 引込線(分岐支線)
7,7a 需要家
10 配電系統潮流計算部
20 潮流計算連携部
30,30’ 系統状態管理部
31 モジュール管理情報記憶部
32 料金計算部
40,40’ ネットワーク通信部
71 電力計
72 負荷装置
73 分散電源
80 需要家負荷模擬部
90 分散電源模擬部
100,100A 配電系統潮流シミュレーション装置
110 モジュール
111,111a モジュールアプリケーション
112 入出力ミドル
113 入力データ処理部
114 出力データ処理部
115,115a,115b プロファイルミドル
116,116a,116b プロファイルテーブル
201 集計負荷電力
1001 シミュレーションサーバ装置
1002 需要家電力模擬装置
1003 通信ネットワーク
1161,1161a,1161b 自モジュール属性情報
1162a シミュレーション情報
1162b モジュール管理情報

Claims (15)

  1. 変電所から柱上変圧器を経て需要家負荷に到る配電系統における電力潮流をシミュレーションする配電系統潮流シミュレーション装置であって、
    前記柱上変圧器における負荷電力を用いて、前記変電所から前記柱上変圧器に到る配電系統部分における電力の潮流を計算する配電系統潮流計算部と、
    複数の需要家がそれぞれ使用する負荷電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の需要家負荷模擬部と、
    複数の分散電源がそれぞれ発電する発電電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の分散電源模擬部と、
    前記複数の需要家負荷模擬部および前記複数の分散電源模擬部のそれぞれから、指定した時刻における負荷電力または発電電力なる電力を取得し、前記取得した電力を用いて、前記配電系統に配備されている複数の柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を算出し、前記算出した前記柱上変圧器における負荷電力を前記配電系統潮流計算部に入力して、前記配電系統潮流計算部に潮流計算を実行させる系統状態管理部と、
    を有すること
    を特徴とする配電系統潮流シミュレーション装置。
  2. 前記系統状態管理部は、
    前記配電系統における電力潮流シミュレーションの対象となる前記需要家負荷模擬部および前記分散電源模擬部を、前記電力潮流シミュレーション対象のモジュールとして管理するためのモジュール管理情報を記憶するモジュール管理情報記憶部を、さらに、備え、
    前記系統状態管理部は、
    記電力潮流シミュレーションを開始する前に、前記需要家負荷模擬部および前記分散電源模擬部のそれぞれから、前記モジュールを個別に識別するモジュールIDと、前記モジュールの種別を識別するモジュール種別IDと、前記モジュールが模擬する需要家負荷または分散電源が接続されている前記配電系統における前記柱上変圧器から分岐した分岐支線を識別する分岐支線IDと、を取得し、
    前記取得したモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、前記モジュールについてのモジュール管理情報として前記モジュール管理情報記憶部に登録すること
    を特徴とする請求項1に記載の配電系統潮流シミュレーション装置。
  3. 前記系統状態管理部は、さらに、
    前記配電系統における電力潮流シミュレーションを開始するとき、その電力潮流シミュレーション対象のモジュールのそれぞれから、前記モジュールIDを取得し、前記取得したモジュールIDが前記モジュール管理情報記憶部に登録されているか否かを判定し、
    前記判定の結果、前記モジュールIDが前記モジュール管理情報記憶部に登録されていなかった場合には、そのモジュールIDを有するモジュールから、そのモジュールについてのモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を取得し、
    前記取得したモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、前記モジュールについてのモジュール管理情報として前記モジュール管理情報記憶部に登録すること
    を特徴とする請求項2に記載の配電系統潮流シミュレーション装置。
  4. 前記複数の需要家負荷模擬部および前記複数の分散電源模擬部のうち、少なくとも1つは、
    前記需要家が使用する負荷電力および前記需要家が有する分散電源が発電する発電電力の少なくとも一方を計測する電力計の計測値を読み取り、前記読み取った電力計の計測値を前記系統状態管理部に供給すること
    を特徴とする請求項1に記載の配電系統潮流シミュレーション装置。
  5. 前記系統状態管理部は、さらに、
    前記配電系統潮流計算部および系統状態管理部の少なくとも一方における前記電力潮流のシミュレーションの処理時間と、前記電力潮流のシミュレーションに用いられる前記需要家負荷模擬部および前記分散電源模擬部の数と、を含んだ情報に基づき、シミュレーション料金を計算する料金計算部を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の配電系統潮流シミュレーション装置。
  6. 変電所から柱上変圧器を経て需要家負荷に到る配電系統における電力潮流を、コンピュータによりシミュレーションする配電系統潮流シミュレーション方法であって、
    前記コンピュータは、
    前記柱上変圧器における負荷電力を用いて、前記変電所から前記柱上変圧器に到る配電系統部分における電力の潮流を計算する配電系統潮流計算部と、
    複数の需要家がそれぞれ使用する負荷電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の需要家負荷模擬部と、
    複数の分散電源がそれぞれ発電する発電電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の分散電源模擬部と、
    前記配電系統潮流計算部による潮流計算を管理する系統状態管理部と、
    を備え、
    前記コンピュータは、
    前記系統状態管理部における処理として、
    前記複数の需要家負荷模擬部および前記複数の分散電源模擬部のそれぞれに対し、時刻情報を供給して、その時刻における負荷電力または発電電力を出力させる処理と、
    前記複数の需要家負荷模擬部および前記複数の分散電源模擬部のそれぞれから出力される前記負荷電力または前記発電電力を取得する処理と、
    前記取得した前記負荷電力および前記発電電力を用いて、前記配電系統に配備されている複数の柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を算出する処理と、
    前記算出した前記柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を前記配電系統潮流計算部に入力して、前記配電系統潮流計算部に潮流計算を実行させる処理と、
    を実行すること
    を特徴とする配電系統潮流シミュレーション方法。
  7. 前記コンピュータは、
    前記配電系統における電力潮流シミュレーションの対象となる前記需要家負荷模擬部および前記分散電源模擬部を、前記電力潮流シミュレーション対象のモジュールとして管理するためのモジュール管理情報を記憶するモジュール管理情報記憶部を、さらに、備え、
    前記コンピュータは、
    前記系統状態管理部における処理として、
    記電力潮流シミュレーションを開始する前に、前記需要家負荷模擬部および前記分散電源模擬部のそれぞれから、前記モジュールを個別に識別するモジュールIDと、前記モジュールの種別を識別するモジュール種別IDと、前記モジュールが模擬する需要家負荷または分散電源が接続されている前記配電系統における前記柱上変圧器から分岐した分岐支線を識別する分岐支線IDと、を取得する処理と、
    前記取得したモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、前記モジュールについてのモジュール管理情報として前記モジュール管理情報記憶部に登録する処理と、
    を、さらに、実行すること
    を特徴とする請求項6に記載の配電系統潮流シミュレーション方法。
  8. 前記コンピュータは、
    前記系統状態管理部における処理として、
    前記配電系統における電力潮流シミュレーションを開始するとき、その電力潮流シミュレーション対象のモジュールのそれぞれから、前記モジュールIDを取得し、前記取得したモジュールIDが前記モジュール管理情報記憶部に登録されているか否かを判定する処理と、
    前記判定の結果、前記モジュールIDが前記モジュール管理情報記憶部に登録されていなかった場合には、そのモジュールIDを有するモジュールから、そのモジュールについてのモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を取得する処理と、
    前記取得したモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、前記モジュールについてのモジュール管理情報として前記モジュール管理情報記憶部に登録する処理と、
    を実行すること
    を、さらに、特徴とする請求項7に記載の配電系統潮流シミュレーション方法。
  9. 変電所から柱上変圧器を経て需要家負荷に到る配電系統における電力潮流をコンピュータでシミュレーションするためのプログラムであって、
    前記コンピュータに、
    前記柱上変圧器における負荷電力を用いて、前記変電所から前記柱上変圧器に到る配電系統部分における電力の潮流を計算する配電系統潮流計算処理と、
    複数の需要家がそれぞれ使用する負荷電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の需要家負荷模擬処理と、
    複数の分散電源がそれぞれ発電する発電電力の時間変動をそれぞれ個別に模擬する複数の分散電源模擬処理と、
    前記配電系統潮流計算処理における潮流計算を管理する系統状態管理処理と、
    を実行させ、さらに、
    前記系統状態管理処理において、
    前記複数の需要家負荷模擬処理および前記複数の分散電源模擬処理のそれぞれに対し、時刻情報を供給して、その時刻における負荷電力または発電電力を出力させる処理と、
    前記複数の需要家負荷模擬処理および前記複数の分散電源模擬処理のそれぞれから出力される前記負荷電力または前記発電電力を取得する処理と、
    前記取得した前記負荷電力および前記発電電力を用いて、前記配電系統に配備されている複数の柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を算出する処理と、
    前記算出した前記柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を前記配電系統潮流計算処理に入力する処理と、
    を実行させるためのプログラム。
  10. 前記コンピュータは、
    前記配電系統における電力潮流シミュレーションの対象となる前記需要家負荷模擬処理および前記分散電源模擬処理を、前記電力潮流シミュレーション対象のモジュールとして管理するためのモジュール管理情報を記憶するモジュール管理情報記憶部を、さらに、備え、
    前記コンピュータに、
    前記系統状態管理処理における処理として、
    記電力潮流シミュレーションを開始する前に、前記需要家負荷模擬処理および前記分散電源模擬処理のそれぞれから、前記モジュールを個別に識別するモジュールIDと、前記モジュールの種別を識別するモジュール種別IDと、前記モジュールが模擬する需要家負荷または分散電源が接続されている前記配電系統における前記柱上変圧器から分岐した分岐支線を識別する分岐支線IDと、を取得する処理と、
    前記取得したモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、前記モジュールについてのモジュール管理情報として前記モジュール管理情報記憶部に登録する処理と、
    を、さらに、実行させるための請求項9に記載のプログラム。
  11. 前記コンピュータに、前記系統状態管理処理における処理として、
    前記配電系統における電力潮流シミュレーションを開始するとき、その電力潮流シミュレーション対象のモジュールのそれぞれから、前記モジュールIDを取得し、前記取得したモジュールIDが前記モジュール管理情報記憶部に登録されているか否かを判定する処理と、
    前記判定の結果、前記モジュールIDが前記モジュール管理情報記憶部に登録されていなかった場合には、そのモジュールIDを有するモジュールから、そのモジュールについてのモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を取得する処理と、
    前記取得したモジュールIDと、モジュール種別IDと、分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、前記モジュールについてのモジュール管理情報として前記モジュール管理情報記憶部に登録する処理と、
    を、さらに、実行させるための請求項10に記載のプログラム。
  12. 変電所から柱上変圧器を経て需要家負荷に到る配電系統における電力潮流をシミュレーションするシミュレーションサーバ装置と、需要家負荷電力を含む需要家情報を前記シミュレーションサーバ装置に提供する需要家電力模擬装置とを含んでなる配電系統潮流シミュレーション装置における需要家電力模擬装置であって、
    前記柱上変圧器における負荷電力を用いて、前記変電所から前記柱上変圧器に到る配電系統部分における電力の潮流を計算する配電系統潮流計算部と、前記配電系統に配備されている複数の柱上変圧器それぞれにおける負荷電力を算出し、前記算出した前記柱上変圧器における負荷電力を前記配電系統潮流計算部に入力して、前記配電系統潮流計算部に潮流計算を実行させる系統状態管理部と、を含んで構成された前記シミュレーションサーバ装置に対して、
    需要家が使用する負荷電力の時間変動および分散電源が発電する発電電力の時間変動の少なくとも一方を模擬して、指定された時刻における負荷電力および発電電力の少なくとも一方の情報を提供すること
    を特徴とする需要家電力模擬装置。
  13. 前記需要家電力模擬装置は、
    前記負荷電力および発電電力の少なくとも一方の情報を前記シミュレーションサーバ装置に提供するときには、前記需要家電力模擬装置を個別に識別するモジュールIDと、前記需要家電力模擬装置の種別を識別するモジュール種別IDと、前記需要家電力模擬装置が模擬する需要家負荷または分散電源が接続されている前記配電系統における前記柱上変圧器から分岐した分岐支線を識別する分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を、併せて提供すること
    を特徴とする請求項12に記載の需要家電力模擬装置。
  14. 前記需要家電力模擬装置は、さらに、
    前記シミュレーションサーバ装置に対して、シミュレーションを開始する前に、前記モジュールIDを提供し、その応答として、前記モジュールIDが未登録である旨の通知を受けた場合には、前記シミュレーションサーバ装置に対して、前記需要家電力模擬装置を個別に識別するモジュールIDと、前記需要家電力模擬装置の種別を識別するモジュール種別IDと、前記需要家電力模擬装置が模擬する需要家負荷または分散電源が接続されている前記配電系統における前記柱上変圧器から分岐した分岐支線を識別する分岐支線IDと、を少なくとも含んだ情報を提供すること
    を特徴とする請求項13に記載の需要家電力模擬装置。
  15. 前記需要家電力模擬装置の少なくとも1つは、
    前記需要家が使用する負荷電力および前記需要家が使用する分散電源が発電する発電電力の少なくとも一方を計測する電力計の計測値を読み取り、前記読み取った電力計の計測値を前記シミュレーションサーバ装置に提供すること
    を特徴とする請求項12に記載の需要家電力模擬装置。
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