JP7044666B2 - 電力需給制御装置および電力需給制御方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る配電系統モデルを示す図である。
図1は、低圧配電系統を模擬したモデルである。図1に示すように、配電系統モデル1は、電源V、柱上変圧器T、低圧配電線LD、引込線LS、PCS(電力需給制御装置)1、負荷1、PCS2、負荷2、PCS3、負荷3、PCS4、および負荷4を含んで構成される。
柱上変圧器Tは、電柱に接地されている配電用変圧器である。
インピーダンスZTrは、高圧配電線および柱上変圧器のインピーダンス分であり、100V系の低圧換算で46mΩ+j66mΩである。
インピーダンスZDLは、線種がOW(Outdoor Weatherproof;屋外用ビニル絶縁電線)60sq(スクエア)の低圧配電線の亘長40m相当のインピーダンス分であり、100V系の低圧換算で24mΩ+j24mΩである。
インピーダンスZSLは、線種がDV電線(polyvinyl chloride insulated drop service wires;引込み用ビニル絶縁電線)14sqの引込線の亘長20m相当のインピーダンス分であり、100V系の低圧換算で57.8mΩ+j4mΩである。
負荷nは、需要家の負荷である。以下の説明において、負荷1~負荷4のうち1つを特定しない場合は、負荷という。
図1に示すように、PCSnと負荷nが需要家n(以下、需nという)のパワーコンディショナと負荷に相当する。
図3は、図1の配電系統モデルにおいて需要家のうち1軒のみから1kvarを注入し、その時の各需要家の電圧変化を計算した結果を示す図である。なお、計算値は、配電系統総合解析ツールであるCALDG(電力中央研究所)によるシミュレーション結果である。図3において、横軸は需要家の番号であり、電圧変化(V)である。
例えば需3の電圧変化を見ると、符号g33のように、自端から無効電力を出力した時が最も効果的である。これは、自端から無効電力を出力する場合、低圧配電線に加えて引込線のインピーダンスが追加されるため、他のケースと比較して電圧低下が大きくなるためである。
二番目に、符号g34のように自端PCS3から自端より末端側にあるPCS4から無効電力を出力した時が効果的である。ただし、自端と末端側との電圧の変化の差は小さい。この理由は、引込線のインピーダンスは抵抗成分が大きく、リアクタンス分が小さいため、引込線分の無効電力による電圧低下の効果が小さいためである。
三番目に、符号g32に示すように、自端PCS3から近く自端より系統側にあるPCS2から無効電力を出力した時が効果的である。
最後に、符号g31に示すように、自端PCS3から自端より系統側にあるPCS1から無効電力を出力した時が効果的である。
この理由は、線路に流れる無効電流分の経路を考えると、自端と柱上変圧器T間の低圧配電線LDの無効電流の値が同じとなり、低圧配電線LDの電圧降下が同じになるためである。
以上の無効電力注入に対する電圧変化の効果の大きさから、低圧需要家群で電圧逸脱が生じた場合、無効電力を出力する場所の最適な順番は、次の通りとなる。
優先順位1.電圧の最も高い地点
優先順位2.電圧の最も高い地点より末端側
優先順位3.電圧の最も高い地点より系統側
[PCSの構成例]
次に、PCSの構成例を説明する。
図4は、本実施形態に係るPCSnの構成例を示すブロック図である。図4に示すように、PCSnそれぞれは、共有部101、処理部102、および記憶部103を備えている。
自端情報は、電圧、有効電力、無効電力、力率、定格(kVA)の各値、および接続地点情報である。ここで、接続地点上情報とは、上流の系統側から下流の末端側に対して接続順を示す情報であり、例えば図1において、PCS1の接続地点情報が“接続地点1”、PCS2の接続地点情報が“接続地点2”、PCS3の接続地点情報が“接続地点3”、およびPCS4の接続地点情報が“接続地点4”である。なお、PCSnそれぞれがGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)受信器を備えている場合、接続地点情報は、PCSnが接地されている位置情報(緯度、経度)であってもよい。接続地点情報は、予め記憶部103が記憶する。
制御設定値は、電圧上限しきい値、力率上下限値(初期値)、刻み幅である。制御設定値は、予め記憶部103が記憶する。電圧上限しきい値は、100V系であるため、例えば107Vである。力率上下限値(初期値)は、例えば0.95である。刻み幅は、力率を変化させる刻み幅であり、例えば0.05である。
次に、無効電力制御開始時の処理手順例を説明する。
まず、力率の変化と無効電力の注入可能な範囲(以下、無効電力注入可能範囲)を説明する。図6は、本実施形態に係る無効電力制御開始時の力率の変化と無効電力注入可能範囲例を示す図である。図6において、横軸はP(有効電力)[W]、縦軸はQ(無効電力)[W]である。符号g101は、無効電力注入可能範囲の例を示している。PCSの処理部102は、図6に示すように、必要に応じて力率を小さい力率上下限値へ変更する。例えば、力率上下限値の初期値が0.95の場合、処理部102は、必要に応じて0.90に変更する。ここで、無効電力注入可能範囲とは、有効電力(P)-無効電力(Q)平面上において、PCSの定格kVAと設定した力率上下限値(例えば上限値1.0、下限値0.95を初期値)によって定まる領域を示す範囲である。
(ステップS19)処理部102は、共有情報に基づき最大電圧地点のPCSが無効電力注入可能範囲内であるか否かを判断する。処理部102は、最大電圧地点のPCSが無効電力注入可能範囲内であると判断した場合(ステップS19;YES)、自PCSは現状のまま何もせずにステップS18(図7)の処理に進める。処理部102は、最大電圧地点のPCSが無効電力注入可能範囲内ではないと判断した場合(ステップS19;NO)、ステップS20の処理に進める。
次に、電圧適正化に伴う制御解除時の処理手順例を説明する。
まず、力率の変化と無効電力の減少可能な範囲(以下、無効電力減少可能範囲という)を説明する。図9は、本実施形態に係る電圧適正化に伴う制御解除時の力率の変化と無効電力減少可能な範囲例を示す図である。図9において、横軸はP(有効電力)[W]、縦軸はQ(無効電力)[W]である。符号g102は、無効電力減少可能な範囲の例を示している。PCSの処理部102は、図9に示すように、必要に応じて力率を大きい力率上下限値へ変更する。例えば、力率上下限値の現在値が0.90の場合、処理部102は、必要に応じて0.95に変更する。ここで、無効電力減少可能範囲とは、前述した無効電力注入可能範囲と同様であるが、PCSが無効電力を出力していない時は範囲の対象から除外される。
(ステップS39)処理部102は、共有情報に基づき最大電圧地点より系統上位側にあるPCSが無効電力減少可能範囲内であるか否かを判断する。処理部102は、最大電圧地点より系統上位側にあるPCSが無効電力減少可能範囲内であると判断した場合(ステップS39;YES)、自PCSは現状のまま何もせずにステップS38(図10)の処理に進める。処理部102は、最大電圧地点より系統上位側にあるPCSが無効電力減少可能範囲内ではないと判断した場合(ステップS39;NO)、ステップS40の処理に進める。
次に、上述した処理が適切に行われるか、電圧調整手法検証装置(以下、検証装置という)をPCSの代わりに用いて試験を行った結果を説明する。
図12は、試験で用いた模擬配線系統を示す図である。試験の模擬配電系統は図1に示した代低圧配電系統モデルと同様になるよう構成した。高圧配電線の電源はBTB(Back-To-Back;電力潮流制御)電源装置(最大出力1MVA)を用いた。高圧配電線からの電圧は、30kVAの柱上変圧器を介して低圧配電線に課電されるように構成した。低圧配電線の亘長は120mとした。低圧配電線のインピーダンスは、線種OW60sqの低圧配電線40m相当の低圧模擬配電線装置を用いて模擬した。柱上変圧器2次側の直下、および低圧配電線40m、80m、120mの地点からそれぞれ長さ20mの引込線(線種DV14sq)を介して需要家が接続されている構成とした。また、各需要家には、PCSの動作を模擬する電圧調整手法検証装置と消費負荷を模擬する電子負荷装置をそれぞれ接続して構成した。また、図12に示すように、需要家の数を4とした。
また、試験では、各需要家の自端情報を、パワーアナライザを用いて計測し、計測値をPCへ出力するようにした。
図15は、基本動作確認試験で行った試験ケースを示す図である。図15の電源電圧は、需要家機器が何も接続されていない無負荷状態で柱上変圧器2次側に出力される電圧である。試験では、BTB電源装置に表中の電源電圧になる指令値を与えることにより電源電圧を変更した。また、電源電圧変更前は、無効電力注入動作が開始しないように、全ての需要家電圧を電圧上限しきい値以下にするため電源電圧の設定値を104Vとした。例えば、試験ケース1では、電源電圧を104Vから104.5Vに変更し、無効電力開始(注入)手順を確認した。なお、以下に示す試験結果において、電源電圧の最初の変更時刻を0秒とした。その後、104.5Vから104Vへ変更し、無効電力の解除(減少)手順を確認した。これらの試験を、試験ケース1から5まで電源電圧を変更して実施した。また、上限しきい値を107Vとし、力率上限下限値の初期値を0.95とし、刻み幅を0.05とした。
また、試験では制御周期毎に注入する無効電力の量(ここでは注入速度と呼ぶ)を、100var/s(制御周期1秒あたり100var)とした。
試験ケース1では、図15に示すように、時刻が0秒のとき初期電源電圧の104Vを104.5Vに変更した。また。時刻が約180秒のとき、電源電圧を104.5Vから104Vへ変更した。
また、図16(B)において、符号g311は、需要家1から出力される無効電力Q1の経時変化である。符号g312は、需要家2から出力される無効電力Q2の経時変化である。符号g313は、需要家3から出力される無効電力Q3の経時変化である。符号g314は、需要家4から出力される無効電力Q4の経時変化である。符号g315は、104Vからのずれを積算した逸脱電圧ΔV0の経時変化である。
時刻0のとき、電源電圧の変更によって需要家3の電圧V3と需要家4の電圧V4が上限しきい値である107Vを超えている。このため、需要家1~4の検証装置それぞれは、ステップS12(図7)の判定で電圧上限しきい値より大きいと判定し、無効電力注入の動作のためにステップS13(図7)へ進める。
ステップS13の判定により、検証装置4台ともに無効電力注入可能範囲内になるため、検証装置1~4は、ステップS15(図7)に進める。
次に、検証装置1~3は、ステップS19で、最大電圧地点である需要家4の検証装置が無効電力注入可能範囲内にいることを認識するため、何もせずステップS18(図7)に進める。
時刻が約180秒のとき、検証装置1~4それぞれは、ステップS31(図10)で各需要家の自端情報を共有し、ステップS32(図10)の判定で検証装置1~4が解除電圧しきい値より低いと判定し、無効電力減少動作のためにステップS33(図10)へ進める。
ステップS35で、需要家1~3の検証装置1~3は、自検証装置が無効電力を出力していないため範囲内にいないと判断し、現状のまま何もしない。
次に、検証装置4は、ステップS39、ステップS40(図11)およびステップS41(図11)の条件に一致しないためステップS42(図11)に進め、ステップS37(図10)に進め符号g314(図16(B))のように無効電力を減少する。
上記を繰り返し、最終的には制御開始前の状態に戻る。
試験ケース2では、図15に示すように、時刻が0秒のとき初期電源電圧の104Vを105.0Vに変更した。また。時刻が約120秒のとき、電源電圧を105.0Vから104Vへ変更した。
また、図17(B)において、符号g361は、需要家1から出力される無効電力Q1の経時変化である。符号g362は、需要家2から出力される無効電力Q2の経時変化である。符号g363は、需要家3から出力される無効電力Q3の経時変化である。符号g364は、需要家4から出力される無効電力Q4の経時変化である。符号g365は、104Vからのずれを積算した逸脱電圧ΔV0の経時変化である。
そして、時刻が約15秒のとき、需要家4の検証装置4は、動作点が力率の下限値(0.95)以下になったことを認識する。これにより、検証装置4は、ステップS15により現状のまま何もしない状態になる。
ステップS22で、需要家3の検証装置3は、条件に一致するため、図17(B)の符号g363のように無効電力の注入を開始する。
ステップS22で、需要家1および2の検証装置1および2は、条件に一致しないため、現状のまま何もしない。
時刻が15秒以降、上記を繰り返し、需要家3の検証装置は、図17(B)の符号g363のように無効電力の注入を継続する。
一方、時刻が約30秒のとき、需要家2の検証装置2は、ステップS15の判定に従い、図17(B)の符号g362のように無効電力の注入を開始する。
制御開始から約60秒経過時に、図17(A)のように、全ての需要家の電圧が上限しきい値以下に抑制される。これにより、符号g365(図17(B))のように、逸脱電圧ΔV0は、0Vに向かって収束している。
時刻が約120秒のとき、検証装置1~4それぞれは、ステップS31で各需要家の自端情報を共有し、ステップS32の判定で無効電力減少のステップS33へ進める。
需要家1 の検証装置1は、ステップS35の判定により、現状のまま何もしない。
需要家2の検証装置2は、ステップS36の条件に一致するため、図17(B)の符号g362のように自検証装置の無効電力を減少させる。
需要家3および4の検証装置3および4は、共有情報からステップS39の条件に一致すると認識し、現状のまま何もしない。
これらの処理を繰り返し、図17(B)の符号g362、g363およびg364のように検証装置2、3、4の順番で無効電力を減少させ、制御開始前の状態に戻る。
試験ケース3では、図15に示すように、時刻が0秒のとき初期電源電圧の104Vを105.5Vに変更した。また。時刻が約300秒のとき、電源電圧を105.5Vから104Vへ変更した。
また、図18(B)において、符号g411は、需要家1から出力される無効電力Q1の経時変化である。符号g412は、需要家2から出力される無効電力Q2の経時変化である。符号g413は、需要家3から出力される無効電力Q3の経時変化である。符号g414は、需要家4から出力される無効電力Q4の経時変化である。符号g415は、104Vからのずれを積算した逸脱電圧ΔV0の経時変化である。
しかしながら、検証装置1~4の全てが無効電力の注入を行った後でも、図18(A)のように全ての需要家電圧がしきい値以下にならない。
無効電力減少の手順に従い処理が行われ、図18(B)のように需要家2、3、4の順で無効電力が減少する。
時刻が約320秒以降、検証装置1~4それぞれは、新たな減少可能範囲になったため、ステップS35以下の判断に従い、力率上下限値を0.90から0.95へ切り替えながら、検証装置1、2、3、4の順番で無効電力を減少させ、制御開始前の状態に戻る。
試験ケース4では、図15に示すように、時刻が0秒のとき初期電源電圧の104Vを106.0Vに変更した。また。時刻が約175秒のとき、電源電圧を106.0Vから104Vへ変更した。
また、図19(B)において、符号g461は、需要家1から出力される無効電力Q1の経時変化である。符号g462は、需要家2から出力される無効電力Q2の経時変化である。符号g463は、需要家3から出力される無効電力Q3の経時変化である。符号g464は、需要家4から出力される無効電力Q4の経時変化である。符号g465は、104Vからのずれを積算した逸脱電圧ΔV0の経時変化である。
無効電力減少の手順に従い処理が行われ、力率上下限値を2回切り替え(力率下限が0.95と力率上限が1.0から力率下限が0.90と力率上限が0.95へ切り替え、力率下限が0.90と力率上限が0.95から力率下限が0.85と力率上限が0.90へ切り替え)ながら、図19(B)のように需要家1、2、3、4の順で無効電力が減少する。
試験ケース5では、図15に示すように、時刻が0秒のとき初期電源電圧の104Vを106.5Vに変更した。また。時刻が約175秒のとき、電源電圧を106.5Vから104Vへ変更した。
また、図20(B)において、符号g511は、需要家1から出力される無効電力Q1の経時変化である。符号g512は、需要家2から出力される無効電力Q2の経時変化である。符号g513は、需要家3から出力される無効電力Q3の経時変化である。符号g514は、需要家4から出力される無効電力Q4の経時変化である。符号g515は、104Vからのずれを積算した逸脱電圧ΔV0の経時変化である。
このようなケースでは、無効電力制御のみでは限界のため、有効電力を減少させるなどの制御が必要となると考えられる。
無効電力減少の手順に従い処理が行われ、力率上下限値を2回切り替え(力率下限が0.95と力率上限が1.0から力率下限が0.90と力率上限が0.95へ切り替え、力率下限が0.90と力率上限が0.95から力率下限が0.85と力率上限が0.90へ切り替え)ながら、図20(B)のように需要家1、2、3、4の順で無効電力が減少する。
上述した基本動作確認試験の試験ケース1~5では、104Vから他の電源電圧に切り替えたときを説明した。以下では、電源電圧を104Vから60秒ごとに0.5V刻みで上昇させ、106.5Vまで変化させ、106.5Vの状態から60秒ごとに0.5V刻みで低下させ、104Vまで変化させる動作のときの経時特性を確認した結果を説明する。検証装置の構成と仕様、模擬配電系統は、上述した基本動作確認試験と同じである。
図21(A)において縦軸と横軸は図16(A)と同じであり、図21(B)において縦軸と横軸は図16(B)と同じである。
また、図21(B)において、符号g561は、需要家1から出力される無効電力Q1の経時変化である。符号g562は、需要家2から出力される無効電力Q2の経時変化である。符号g563は、需要家3から出力される無効電力Q3の経時変化である。符号g564は、需要家4から出力される無効電力Q4の経時変化である。符号g565は、104Vからのずれを積算した逸脱電圧ΔV0の経時変化である。
時刻420秒~480秒の間、電源電圧が106.0Vである。時刻480秒~540秒の間、電源電圧が105.5Vである。時刻540秒~600秒の間、電源電圧が105.0Vである。時刻600秒~660秒の間、電源電圧が104.5Vである。時刻660秒~700秒の間、電源電圧が104.0Vである。
次に、本実施形態の手法と力率一定制御手法とで制御した結果を比較する。
比較では、快晴日を対象とした本実施形態の手法と力率一定手法との1日の無効電力出力パターンの比較を行った。
電源電圧を105Vとした。各需要家のPCSは、前述した試験で使用した検証装置と同等の4.7kVAとした。使用するPV発電カーブは、図22に示すように快晴日の平均的な出力特性を用いて、PVの最大出力が12時のピークで4kW出力する条件とした。図22は、各需要家のPV発電電力カーブを示す図である。横軸は時刻[h]であり、縦軸はPV発電電力[kW]である。各需要家には1kWの消費負荷が接続されていることとし、負荷力率を1とした。
力率一定制御手法では、系統連系規程に採用されている値である力率0.95とした。
また、本実施形態の手法では、電圧上限しきい値を107V、制御解除電圧しきい値を106.8Vとした。比較では、上述したCALDGを用いて計算を行い、各需要家の電圧および無効電力出力を求めた。
図24は、力率一定制御手法および本実施形態の手法の平均無効電力値の算出結果を示す図である。図24に示すように、力率一定制御手法の平均無効電力値は3.22[kvar]であり、本実施形態の手法の平均無効電力値は0.95[kvar]であった。
この結果から、本実施形態の手法の平均無効電力値が力率一定制御手法よりも70%低減されることが明らかとなり、本実施形態の手法の有効性を確認できた。
第1実施形態では、無効電力を注入させるとき、まず自PCSが無効電力を出力させ、次に末端側かつ最大電圧地点に最も近い地点のPCSが注入し、それでも解消できない場合に上位側のPCSが注入する例を説明した。
本実施形態では、自端情報に基づいて電圧が最大のPCSが制御を行う例を説明する。なお、本実施形態でも、配電系統モデルは、第1実施形態の配電系統モデル(図1)と同様である。
図25は、本実施形態に係る無効電力制御開始時の処理手順のフローチャートである。図7と同様の処理には同じ符号を用いて説明を省略する。
また、図17(A)に示したように電源電圧が104Vから105.0Vに変化した場合、まず需要家1のPCS1が最大電圧地点であると判断して無効電力の注入を行う。この処理によって電圧上限しきい値に抑制されない場合、次に、需要家2のPCS2が最大電圧地点であると判断して無効電力の注入を行う。この処理によって電圧上限しきい値に抑制されない場合、次に、需要家3のPCS3が最大電圧地点であると判断して無効電力の注入を行う。
図26は、本実施形態に係る電圧適正化に伴う制御解除時の処理手順のフローチャートである。図10と同様の処理には同じ符号を用いて説明を省略する。
Claims (12)
- 自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集し、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得する共有部と、
前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断し、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行う処理部と、
を備え、
無効電力注入可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を注入する際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上の前記電力需給制御装置の電圧が上限しきい値以上であり、かつ全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力を注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が最大電圧の接続地点である場合に無効電力を注入するように制御する、
電力需給制御装置。 - 前記処理部は、前記自電力需給制御装置が最大電圧の接続地点ではない場合、最大電圧の地点が前記配電系統における末端側で有り無効電力を注入可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の接続地点に最も近い接続地点である場合に無効電力を注入するように制御する、請求項1に記載の電力需給制御装置。
- 前記処理部は、最大電圧の地点が末端側で有り無効電力を注入可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の接続地点に最も近い接続地点ではない場合、前記末端側の前記電力需給制御装置が無効電力注入可能範囲外であり、かつ前記自電力需給制御装置が前記配電系統における上位側で無効電力を注入可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の接続地点に最も近い接続地点である場合に無効電力を注入するように制御する、請求項2に記載の電力需給制御装置。
- 自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集し、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得する共有部と、
前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断し、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行う処理部と、
を備え、
無効電力注入可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を注入する際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上の前記電力需給制御装置の電圧が上限しきい値以上であり、かつ前記自電力需給制御装置および前記他の電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力を注入可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の場合に無効電力を注入するように制御する電力需給制御装置。 - 自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集し、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得する共有部と、
前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断し、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行う処理部と、
を備え、
無効電力減少可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を減少させる際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置の電圧が解除電圧しきい値以下であり、かつ全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が前記配電系統における上位側で無効電力を減少可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の接続地点に最も遠い接続地点である場合に無効電力を減少させるように制御する電力需給制御装置。 - 前記処理部は、前記配電系統における上位側の前記電力需給制御装置が無効電力減少可能範囲外であり、かつ前記自電力需給制御装置が前記配電系統における末端側で無効電力を減少可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の接続地点に最も遠い接続地点である場合に無効電力を減少させるように制御する、請求項5に記載の電力需給制御装置。
- 前記処理部は、前記配電系統における末端側の前記電力需給制御装置が無効電力減少可能範囲外である場合に無効電力を減少させるように制御する、請求項6に記載の電力需給制御装置。
- 自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集し、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得する共有部と、
前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断し、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行う処理部と、
を備え、
無効電力減少可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を減少させる際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置の電圧が解除電圧しきい値以下であり、かつ全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力を減少可能な前記電力需給制御装置のうち最小電圧の接続地点である場合に無効電力を減少させるように制御する電力需給制御装置。 - 共有部が、自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集するステップと、
前記共有部が、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得するステップと、
処理部が、前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶部に記憶させるステップと、
前記処理部が、前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断するステップと、
前記処理部が、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行うステップと、
を含み、
無効電力注入可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を注入する際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上の前記電力需給制御装置の電圧が上限しきい値以上であり、かつ全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力を注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が最大電圧の接続地点である場合に無効電力を注入するように制御する、
電力需給制御方法。 - 共有部が、自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集するステップと、
前記共有部が、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得するステップと、
処理部が、前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶部に記憶させるステップと、
前記処理部が、前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断するステップと、
前記処理部が、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行うステップと、
を含み、
無効電力注入可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を注入する際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上の前記電力需給制御装置の電圧が上限しきい値以上であり、かつ前記自電力需給制御装置および前記他の電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力注入可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力を注入可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の場合に無効電力を注入するように制御する、
電力需給制御方法。 - 共有部が、自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集するステップと、
前記共有部が、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得するステップと、
処理部が、前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶部に記憶させるステップと、
前記処理部が、前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断するステップと、
前記処理部が、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行うステップと、
を含み、
無効電力減少可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を減少させる際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置の電圧が解除電圧しきい値以下であり、かつ全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が前記配電系統における上位側で無効電力を減少可能な前記電力需給制御装置のうち最大電圧の接続地点に最も遠い接続地点である場合に無効電力を減少させるように制御する、
電力需給制御方法。 - 共有部が、自電力需給制御装置の電圧と有効電力と無効電力と力率と定格と配電系統における接続地点に関する情報とを自端情報として所定周期毎に収集するステップと、
前記共有部が、他の電力需給制御装置から前記自端情報を前記所定周期毎に取得するステップと、
処理部が、前記自電力需給制御装置の自端情報と、前記他の電力需給制御装置の自端情報と、制御部必要な制御設定値とを記憶部に記憶させるステップと、
前記処理部が、前記記憶部が記憶する情報に基づいて、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行うか否かを前記所定周期毎に判断するステップと、
前記処理部が、前記自電力需給制御装置が無効電力の制御を行う場合に前記記憶部が記憶する情報に基づいて力率を変更しながら無効電力の制御を行うステップと、
を含み、
無効電力減少可能範囲は、有効電力対無効電力の平面上において、当該電力需給制御装置の定格と設定した力率上下限値によって定まる領域を示す範囲であって、
無効電力を減少させる際、
前記処理部は、全ての前記電力需給制御装置の電圧が解除電圧しきい値以下であり、かつ全ての前記電力需給制御装置のうち1つ以上が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力減少可能範囲内であり、かつ前記自電力需給制御装置が無効電力を減少可能な前記電力需給制御装置のうち最小電圧の接続地点である場合に無効電力を減少させるように制御する、
電力需給制御方法。
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