車体フレームの前後方向について車体カバーを小型化するために、車両の直立状態において、車体カバーの前端が、間隔を狭めた2つの前輪の各前端よりも後方かつ各上端よりも上方に車体カバーの前端が配置されるように、車体カバーの形状を変更した場合において、車両の走行時における車両が受ける風圧を解析した。その結果を図13の(a)と(b)に示す。色の濃い部分ほど車両が受けている風圧が大きいことを示している。図13の(c)は、間隔を狭めた右前輪および左前輪の各前端よりも前方かつ各上端よりも下方まで延長されている部分を設けた車体カバーについて同様の解析を行なった結果を示している。
この解析結果より、車両の直立状態において、間隔を狭めた右前輪および左前輪の各前端よりも前方かつ各上端よりも下方まで延長されている車体カバーの一部は、車体フレームの左右方向における右前輪よりも左方、かつ車体フレームの左右方向における左前輪よりも右方の領域を通過する空気の流れによって生じる空気抵抗を低減していることが判った。また、この空気抵抗は、車体フレームが直立状態の車両を車体フレームの前後方向の前方から見て、リンク機構よりも車体フレームの上下方向の下方、右前輪よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪よりも車体フレームの左右方向の右方に位置し、かつ車体フレームが直立状態の車両を車体フレームの側方から見て右前輪および左前輪よりも車体フレームの前後方向の後方に位置する車体フレームの一部、車体カバーの一部または、およびパワーユニットの一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧に起因することが判った。さらに、その風圧を低減することで車両の走行性能を維持できることが判った。このように車両が受ける風圧を低減する機能部分を、以降の説明においては空力部と称する。
一方、傾斜可能な車体フレームとリンク機構を備える車両は、右前輪と左前輪の可動範囲が広い。右前輪と左前輪は、操舵による回転、右緩衝器と左緩衝器の伸縮に伴う車体フレームの上下方向への変位に加え、リンク機構の動作によっても車体フレームの上下方向に変位するためである。車体フレームに対して変位不能に設けられた車体カバーは、このように可動範囲の広い右前輪および左前輪との干渉を避けるために、右前輪および左前輪との距離を大きく確保する必要がある。
車両の直立状態において、車体カバーの前部の下端が、間隔を狭めた右前輪および左前輪の各上端よりも下方に位置する場合、車体フレームの前後方向について車体カバーを小型化するために、車体カバーの前端が、間隔を狭めた右前輪および左前輪の各前端よりも後方に配置されるようにすると、当該右前輪および左前輪と干渉してしまう。そのため、当該車体カバーの前部の下端は、当該右前輪および左前輪の各上端よりも上方に配置される必要がある。
そこで、車両の直立状態において、車体カバーの前端が、間隔を狭めた右前輪および左前輪の各前端よりも後方かつ各上端よりも上方に配置される構成としつつ、車両が受ける風圧を減らすことができる構成について検討した。具体的には、車体カバーの前端部から下方かつ後方に向かって延びる空力部を有する構造について検討した。しかしながら、右前輪および左前輪との干渉を避けるように空力部を設ける必要があるため、車体フレームの左右方向や上下方向の寸法に制限があり、十分な風圧低減効果が得られなかった。
右前輪および左前輪の操舵範囲を小さくすれば、右前輪および左前輪の可動範囲が小さくなり、空力部の寸法を大きくできる。しかしながら、右前輪および左前輪の操舵範囲が小さくなると、車両の最小回転半径が小さくなってしまう。すなわち、車体フレームの前後方向に小型化された車体カバーの前端部より下方かつ後方に延びる空力部を形成する構造では、右前輪および左前輪の十分な操舵範囲を確保しようとした場合、十分な風圧低減効果が得られないことが判った。
そこで車体カバーを、リンク機構の少なくとも一部を覆う機能を主に担う部分(リンクカバー部)と風圧の低減に寄与する機能を担う部分(空力部)に分け、各機能部分について適切な配置と形状を考えた。
傾斜可能な車体フレームとリンク機構を備える車両は、右前輪と左前輪の可動範囲が広い。したがって、リンク機構よりも車体フレームの上下方向の下方、右前輪よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪よりも車体フレームの左右方向の右方の領域の位置や大きさが、操舵機構の操作によって大きく変化する。空力部として機能する部分が車体フレームに対して変位不能に設けられている構成の場合、そのように大きく変化する領域の全てをカバーするように空力部を設け、当該領域に進入しようとする空気の流れを変える必要がある。そのため、空力部として機能する部分が大型化してしまう。
本発明に係る車両が備える空力部は、操舵機構の動作に応じて車体フレームに対して変位可能に設けられている。すなわち、リンク機構よりも車体フレームの上下方向の下方、右前輪よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪よりも車体フレームの左右方向の右方の領域の位置や大きさが、操舵機構の動作に応じて変化しても、空力部をこれに応じて動かすことができる。したがって、本発明に係る車両が備える空力部は、操舵機構の動作によらず車体フレームに対して変位不能に設けられている空力部と同等の風圧を低減する機能を備えても、その大きさを小さくできる。これにより、空力部を小型化しても、車両が受ける風圧の増加を抑制できる。
リンクカバー部は、車体フレームに対して変位不能に設けられ、リンク機構の少なくとも一部を覆っている。リンクカバー部は、風圧の低減に寄与する機能の少なくとも一部を空力部として分離したことにより、その設計自由度を高めることができる。また、リンクカバー部は、分担する機能の一部を分離することにより小さく形成することができる。具体的には、リンクカバー部は、右前輪および左前輪の各後端よりも車体フレームの前後方向の前方に配置される前部を有する。当該前部の前端は、車体フレームの直立状態において右前輪および左前輪の各前端よりも車体フレームの前後方向の後方に配置される。当該前部の下端は、車体フレームの直立状態において右前輪および左前輪の各上端よりも車体フレームの上下方向の上方に配置される。すなわち、右前輪と左前輪の間隔を狭めることによって車体フレームの左右方向について車体カバーが小型化されることに加え、車体フレームの前後方向についても車体カバーが小型化される。
以上説明したように、本発明に係る車両によれば、風圧の低減に寄与する機能の少なくとも一部を分離することによりリンクカバー部を小さく形成することができる。また、風圧の低減に寄与する機能を備えた空力部を、操舵機構の動作に応じて車体フレームに対して変位可能に設けることにより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両に対する走行性能を維持しつつ、車両の前部を小型化できる。
添付の図面を参照しつつ、好ましい実施形態の例に基づいて、以下、本発明を詳細に説明する。
添付の図面において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。矢印Rは、車両の右方向を示している。矢印Lは、車両の左方向を示している。
車両は、車体フレームを鉛直方向に対して車両の左右方向に傾斜させて旋回する。そこで車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向が定められる。添付の図面において、矢印FFは、車体フレームの前方向を示している。矢印FBは、車体フレームの後方向を示している。矢印FUは、車体フレームの上方向を示している。矢印FDは、車体フレームの下方向を示している。矢印FRは、車体フレームの右方向を示している。矢印FLは、車体フレームの左方向を示している。
本明細書において、「車体フレームの前後方向」、「車体フレームの左右方向」、および「車体フレームの上下方向」とは、車両を運転する乗員から見て、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向、および上下方向を意味する。「車体フレームの側方」とは、車体フレームの右方向あるいは左方向を意味している。
本明細書において、「車体フレームの前後方向に延びる」とは、車体フレームの前後方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの左右方向および上下方向と比較して、車体フレームの前後方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの左右方向に延びる」とは、車体フレームの左右方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および上下方向と比較して、車体フレームの左右方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの上下方向に延びる」とは、車体フレームの上下方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および左右方向と比較して、車体フレームの上下方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの直立状態」とは、無転舵状態かつ車体フレームの上下方向が鉛直方向と一致している状態を意味する。この状態においては、車両を基準にした方向と車両フレームを基準にした方向は一致する。車体フレームを鉛直方向に対して左右方向に傾斜させて旋回しているときは、車両の左右方向と車体フレームの左右方向は一致しない。また車両の上下方向と車体フレームの上下方向も一致しない。しかしながら、車両の前後方向と車体フレームの前後方向は一致する。
図1から図8、および図13から図19を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る車両1について説明する。車両1は、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両である。
図1は、車両1の全体を左方から見た左側面図である。車両1は、車両本体部2、左右一対の前輪3、後輪4、リンク機構5、および操舵機構7を備えている。
車両本体部2は、車体フレーム21、車体カバー22、シート24、およびパワーユニット25を含んでいる。図1において、車体フレーム21は直立状態にある。図1を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211、ダウンフレーム212、リアフレーム213、を含んでいる。図1においては、車体フレーム21のうち、車体カバー22に隠れた部分は破線で示している。車体フレーム21は、シート24とパワーユニット25を支持している。パワーユニット25は、後輪4を支持している。パワーユニット25は、エンジン、電動モータ、バッテリなどの駆動源や、トランスミッションなどの装置を備えている。
ヘッドパイプ211は、車両1の前部に配置されている。車体フレーム21の側方から見て、ヘッドパイプ211の上部は、ヘッドパイプ211の下部よりも後方に配置されている。
ダウンフレーム212は、ヘッドパイプ211に接続されている。ダウンフレーム212は、ヘッドパイプ211の後方に配置されている。ダウンフレーム212は、車体フレーム21の上下方向に延びている。
リアフレーム213は、ダウンフレーム212の後方に配置されている。リアフレーム213は、車体フレーム21の前後方向に延びている。リアフレーム213は、シート24とパワーユニット25を支持している。
車体カバー22は、フロントカバー221、フロントスポイラー222、左右一対のフロントフェンダー223、リアフェンダー224、およびレッグシールド225を含んでいる。車体カバー22は、左右一対の前輪3、車体フレーム21、リンク機構5などの車両1に搭載される車体部品の少なくとも一部を覆う車体部品である。
フロントカバー221は、シート24よりも前方に配置されている。フロントカバー221は、リンク機構5と操舵機構7の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー221の形状と配置については、後に詳しく説明する。
フロントスポイラー222の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方に配置されている。フロントスポイラー222の形状と配置については、後に詳しく説明する。
左右一対のフロントフェンダー223の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方にそれぞれ配置されている。左右一対のフロントフェンダー223の少なくとも一部は、左右一対の前輪3の上方にそれぞれ配置されている。左右一対のフロントフェンダー223の形状と配置については、後に詳しく説明する。
リアフェンダー224の少なくとも一部は、後輪4の上方に配置されている。
レッグシールド225は、乗員の足の少なくとも一部を覆う位置に配置されている。レッグシールド225は、左右一対の前輪3よりも後方かつシート24よりも前方に配置されている。
左右一対の前輪3の少なくとも一部は、ヘッドパイプ211の下方に配置されている。左右一対の前輪3の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方に配置されている。
後輪4の少なくとも一部は、シート24よりも下方に配置されている。後輪4の少なくとも一部は、リアフェンダー224の下方に配置されている。
図2は、車両1の前部を車体フレーム21の前方から見た正面図である。図2において、車体フレーム21は直立状態にある。図2を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図2は、フロントカバー221、フロントスポイラー222、および左右一対のフロントフェンダー223を取り外した状態を示している。
左右一対の前輪3は、右前輪31と左前輪32を含んでいる。右前輪31は、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211よりも右方に配置されている。左前輪32は、ヘッドパイプ211よりも左方に配置されている。右前輪31と左前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並ぶように配置されている。
操舵機構7は、右緩衝器33、左緩衝器35、右ブラケット317、および左ブラケット327を含んでいる。
右緩衝器33は、右外筒312(右緩衝器の下部の一例)を含んでいる。右外筒312は、右前輪31を支持している。右外筒312は、車体フレーム21の上下方向に延びている。右外筒312は、その下端部に右支持軸314を備えている。右前輪31は、右支持軸314に支持されている。
右緩衝器33は、右内筒316(右緩衝器の上部の一例)を含んでいる。右内筒316は、車体フレーム21の上下方向に延びている。右内筒316は、その一部が右外筒312に挿入された状態で、右外筒312の上方に配置されている。右内筒316の上部は、右ブラケット317に固定されている。
右緩衝器33は、いわゆるテレスコピック式の緩衝器である。右内筒316が右外筒312に対して右外筒312の延びる方向に相対移動することにより、右緩衝器33は当該方向に伸縮可能である。これにより、右緩衝器33は、右内筒316に対する右前輪31の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。
左緩衝器35は、左外筒322(左緩衝器の下部の一例)を含んでいる。左外筒322は、左前輪32を支持している。左外筒322は、車体フレーム21の上下方向に延びている。左外筒322は、その下端部に左支持軸324を備えている。左前輪32は、左支持軸324に支持されている。
左緩衝器35は、左内筒326(左緩衝器の上部の一例)を含んでいる。左内筒326は、車体フレーム21の上下方向に延びている。左内筒326は、その一部が左外筒322に挿入された状態で、左外筒322の上方に配置されている。左内筒326の上部は、左ブラケット327に固定されている。
左緩衝器35は、いわゆるテレスコピック式の緩衝器である。左内筒326が左外筒322に対して左外筒322の延びる方向に相対移動することにより、左緩衝器35は当該方向に伸縮可能である。これにより、左緩衝器35は、左内筒326に対する左前輪32の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。
図3は、車両1の前部を車体フレーム21の左方から見た左側面図である。図3において、車体フレーム21は直立状態にある。図3を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図3は、フロントカバー221、および左右一対のフロントフェンダー223を取り外した状態を示している。
左緩衝器35は、左回転防止機構36を含んでいる。左回転防止機構36は、左回転防止ロッド361(左緩衝器の上部の一例)、左ガイド323、および左ブラケット327を含んでいる。左ガイド323は、左外筒322の上部に固定されている。左ガイド323は、その前部に左ガイド筒323bを有している。
左回転防止ロッド361は、左内筒326と平行に延びている。左回転防止ロッド361の上部は、左ブラケット327の前部に固定されている。左回転防止ロッド361は、その一部が左ガイド筒323bに挿入された状態で、左内筒326の前方に配置されている。これにより、左回転防止ロッド361は、左内筒326に対して相対移動しない。左内筒326が左外筒322に対して左外筒322の延びる方向に相対移動することにより、左回転防止ロッド361も左ガイド筒323bに対して相対移動する。一方、左外筒322は、左内筒326に対して、左緩衝器35の伸縮方向に延びる軸線を中心に回転することが防止される。
図2に示すように、右緩衝器33は、右回転防止機構34を含んでいる。右回転防止機構34は、右回転防止ロッド341(右緩衝器の上部の一例)、右ガイド313、および右ブラケット317を含んでいる。右ガイド313は、右外筒312の上部に固定されている。右ガイド313は、その前部に右ガイド筒313bを有している。
右回転防止ロッド341は、右内筒316と平行に延びている。右回転防止ロッド341の上部は、右ブラケット317の前部に固定されている。右回転防止ロッド341は、その一部が右ガイド筒313bに挿入された状態で、右内筒316の前方に配置されている。これにより、右回転防止ロッド341は、右内筒316に対して相対移動しない。右内筒316が右外筒312に対して右外筒312の延びる方向に相対移動することにより、右回転防止ロッド341も右ガイド筒313bに対して相対移動する。一方、右外筒312は、右内筒316に対して、右緩衝器33の伸縮方向に延びる軸線を中心に回転することが防止される。
図2に示すように、操舵機構7は、操舵力伝達機構6を含んでいる。操舵力伝達機構6は、ハンドル23とステアリングシャフト60を含んでいる。ハンドル23は、ステアリングシャフト60の上部に取り付けられている。ステアリングシャフト60は、その一部がヘッドパイプ211に回転可能に支持されている。ステアリングシャフト60の回転軸線Zは、車体フレーム21の上下方向に延びている。図1に示すように、ステアリングシャフト60の上部は、その下部よりも後方に配置されている。したがって、図3に示すように、ステアリングシャフト60の回転軸線Zは、車体フレーム21の前後方向に傾斜している。ステアリングシャフト60は、乗員によるハンドル23の操作に応じて、回転軸線Zを中心に回転する。
操舵力伝達機構6は、乗員がハンドル23を操作する操舵力を、右ブラケット317と左ブラケット327に伝達する。具体的な構成については、後に詳述する。
本実施形態に係る車両1においては、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構5を採用している。
図2に示すように、リンク機構5は、ハンドル23よりも下方に配置されている。リンク機構5は、右前輪31と左前輪32よりも上方に配置されている。リンク機構5は、上クロス部材51、下クロス部材52、右サイド部材53、および左サイド部材54を含んでいる。リンク機構5は、ハンドル23の操作に伴うステアリングシャフト60の回転軸線Zを中心とする回転によらず、当該回転軸線Zを中心に、車体フレーム21に対して回転しない。
上クロス部材51は、一対の板状の部材512を含んでいる。一対の板状の部材512は、ヘッドパイプ211の前方および後方に配置されている。各板状の部材512は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
上クロス部材51の中間部は、支持部Aによってヘッドパイプ211に支持されている。上クロス部材51は、支持部Aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間上軸線を中心に、ヘッドパイプ211に対して回転可能である。
上クロス部材51の右端部は、支持部Bによって右サイド部材53に支持されている。上クロス部材51は、支持部Bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右上軸線を中心に、右サイド部材53に対して回転可能である。
上クロス部材51の左端部は、支持部Cによって左サイド部材54に支持されている。上クロス部材51は、支持部Cを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左上軸線を中心に、左サイド部材54に対して回転可能である。
下クロス部材52は、一対の板状の部材522を含んでいる。一対の板状の部材522は、ヘッドパイプ211の前方および後方に配置されている。各板状の部材522は、車体フレーム21の左右方向に延びている。下クロス部材52は、上クロス部材51よりも下方に配置されている。下クロス部材52の車体フレーム21の左右方向における長さ寸法は、上クロス部材51の車体フレーム21の左右方向における長さ寸法と同一または同等である。下クロス部材52は、上クロス部材51と平行に延びている。
下クロス部材52の中間部は、支持部Dによってヘッドパイプ211に支持されている。下クロス部材52は、支持部Dを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間下軸線を中心に回転可能である。
下クロス部材52の右端部は、支持部Eによって右サイド部材53に支持されている。下クロス部材52は、支持部Eを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右下軸線を中心に回転可能である。
下クロス部材52の左端部は、支持部Fによって左サイド部材54に支持されている。下クロス部材52は、支持部Fを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左下軸線を中心に回転可能である。
中間上軸線、中間右軸線、中間左軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、互いに平行に延びている。中間上軸線、中間右軸線、中間左軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、右前輪31と左前輪32よりも上方に配置されている。
図4は、車両1の前部を車体フレーム21の上方から見た平面図である。図4において、車体フレーム21は直立状態にある。図4を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図4においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態を示している。
図2と図4に示すように、右サイド部材53は、ヘッドパイプ211の右方に配置されている。右サイド部材53は、右前輪31よりも上方に配置されている。右サイド部材53は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。右サイド部材53は、ステアリングシャフト60の回転軸線Zが延びる方向に延びている。右サイド部材53の上部は、その下部よりも後方に配置されている。
右サイド部材53の下部は、右ブラケット317に接続されている。右ブラケット317は、右サイド部材53に対して、右中心軸Xを中心に回転可能である。右中心軸Xは、右サイド部材53が延びる方向に延びている。図2に示すように、右中心軸Xは、車体フレーム21の上下方向において、ステアリングシャフト60の回転軸線Zと平行に延びている。図4に示すように、右中心軸Xは、車体フレーム21の前後方向において、ステアリングシャフト60の回転軸線Zと平行に延びている。
図2と図4に示すように、左サイド部材54は、ヘッドパイプ211の右方に配置されている。左サイド部材54は、左前輪32よりも上方に配置されている。左サイド部材54は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。左サイド部材54は、ステアリングシャフト60の回転軸線Zが延びる方向に延びている。左サイド部材54の上部は、その下部よりも後方に配置されている。
左サイド部材54の下部は、左ブラケット327に接続されている。左ブラケット327は、左サイド部材54に対して、左中心軸Yを中心に回転可能である。左中心軸Yは、右サイド部材53が延びる方向に延びている。図2に示すように、左中心軸Yは、車体フレーム21の上下方向において、ステアリングシャフト60の回転軸線Zと平行に延びている。図4に示すように、左中心軸Yは、車体フレーム21の前後方向において、ステアリングシャフト60の回転軸線Zと平行に延びている。
以上説明したように、上クロス部材51、下クロス部材52、右サイド部材53、および左サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52が相互に平行な姿勢を保ち、右サイド部材53と左サイド部材54が相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム21に支持されている。
図2に示すように、操舵力伝達機構6は、前述のハンドル23とステアリングシャフト60に加え、中間伝達プレート61、右伝達プレート62、左伝達プレート63、中間ジョイント64、右ジョイント65、左ジョイント66、およびタイロッド67を含んでいる。
中間伝達プレート61は、ステアリングシャフト60の下部に接続されている。中間伝達プレート61は、ステアリングシャフト60に対して相対回転不能である。中間伝達プレート61は、ヘッドパイプ211に対して、ステアリングシャフト60の回転軸線Zを中心に回転可能である。中間伝達プレート61の前部は、その後部よりも車体フレーム21の左右方向における幅が狭くなっている。
右伝達プレート62は、中間伝達プレート61の右方に配置されている。右伝達プレート62は、右ブラケット317の下部に接続されている。右伝達プレート62は、右ブラケット317に対して相対回転不能である。右伝達プレート62は、右サイド部材53に対して、右中心軸Xを中心に回転可能である。右伝達プレート62の前部は、その後部よりも車体フレーム21の左右方向における幅が狭くなっている。
左伝達プレート63は、中間伝達プレート61の左方に配置されている。左伝達プレート63は、左ブラケット327の下部に接続されている。左伝達プレート63は、左ブラケット327に対して相対回転不能である。左伝達プレート63は、左サイド部材54に対して、左中心軸Yを中心に回転可能である。左伝達プレート63の前部は、その後部よりも車体フレーム21の左右方向における幅が狭くなっている。
図4に示すように、中間伝達プレート61の前部には、中間ジョイント64が配置されている。右伝達プレート62の前部には、右ジョイント65が配置されている。右ジョイント65は、中間ジョイント64の右方に配置されている。左伝達プレート63の前部には、左ジョイント66が配置されている。左ジョイント66は、中間ジョイント64の左方に配置されている。
タイロッド67は、車体フレーム21の左右方向に延びている。タイロッド67は、中間フロントロッド641、右フロントロッド651、および左フロントロッド661を備えている。
中間フロントロッド641は、車体フレーム21の前後方向に延びている。中間フロントロッド641は、中間ジョイント64を介して中間伝達プレート61に支持されている。中間フロントロッド641は、中間伝達プレート61に対して、相対回転可能である。中間フロントロッド641の中間伝達プレート61に対する回転軸線は、ステアリングシャフト60の回転軸線Zと平行に延びている。
右フロントロッド651は、中間フロントロッド641の右方に配置されている。右フロントロッド651は、車体フレーム21の前後方向に延びている。右フロントロッド651は、中間フロントロッド641と平行に延びている。右フロントロッド651は、右ジョイント65を介して右伝達プレート62に支持されている。右フロントロッド651は、右伝達プレート62に対して、相対回転可能である。右フロントロッド651の右伝達プレート62に対する回転軸線は、右中心軸Xと平行に延びている。
左フロントロッド661は、中間フロントロッド641の左方に配置されている。左フロントロッド661は、車体フレーム21の前後方向に延びている。左フロントロッド661は、中間フロントロッド641と平行に延びている。左フロントロッド661は、左ジョイント66を介して左伝達プレート63に支持されている。左フロントロッド661は、左伝達プレート63に対して、相対回転可能である。左フロントロッド661の左伝達プレート63に対する回転軸線は、左中心軸Yと平行に延びている。
タイロッド67は、中間リング671、右リング672、および左リング673をさらに備えている。
中間リング671は、中間フロントロッド641と接続されている。中間リング671は、車体フレーム21の前後方向に延びる中間フロントロッド641を中心に相対回転可能である。
右リング672は、中間リング671の右方に配置されている。右リング672は、右フロントロッド651と接続されている。右リング672は、車体フレーム21の前後方向に延びる右フロントロッド651を中心に相対回転可能である。
左リング673は、中間リング671の左方に配置されている。左リング673は、左フロントロッド661と接続されている。左リング673は、車体フレーム21の前後方向に延びる左フロントロッド661を中心に相対回転可能である。
以上説明した構成により、右伝達プレート62と左伝達プレート63は、それぞれタイロッド67を介して中間伝達プレート61と連結されている。
次に図4と図7を参照しつつ、車両1の操舵動作について説明する。図7は、右前輪31と左前輪32を右転舵させた状態における車両1の前部を、車体フレーム21の上方から見た平面図である。図7においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態を示している。
乗員がハンドル23を操作すると、ステアリングシャフト60は、回転軸線Zを中心にヘッドパイプ211に対して回転する。図7に示す右転舵の場合、ステアリングシャフト60は、矢印Gの方向に回転する。ステアリングシャフト60の回転に伴って、中間伝達プレート61は、ヘッドパイプ211に対して、回転軸線Zを中心に矢印Gの方向へ回転する。
中間伝達プレート61の矢印Gの方向への回転に伴って、タイロッド67の中間フロントロッド641は、中間伝達プレート61に対して、中間ジョイント64を中心に矢印Gと逆方向に回転する。これにより、タイロッド67は、その姿勢を維持したまま右後方へ移動する。
タイロッド67の右後方への移動に伴って、タイロッド67の右フロントロッド651と左フロントロッド661は、それぞれ右ジョイント65と左ジョイント66を中心に矢印Gと逆方向に回転する。これにより、タイロッド67はその姿勢を維持したまま、右伝達プレート62と左伝達プレート63が、矢印Gの方向に回転する。
右伝達プレート62が矢印Gの方向に回転すると、右伝達プレート62に対して相対回転不能である右ブラケット317が、右サイド部材53に対して、右中心軸Xを中心に、矢印Gの方向に回転する。
左伝達プレート63が矢印Gの方向に回転すると、左伝達プレート63に対して相対回転不能である左ブラケット327が、左サイド部材54に対して、左中心軸Yを中心に、矢印Gの方向に回転する。
右ブラケット317が矢印Gの方向に回転すると、右内筒316を介して右ブラケット317に接続されている右緩衝器33が、右サイド部材53に対して、右中心軸Xを中心に、矢印Gの方向に回転する。右緩衝器33が矢印Gの方向に回転すると、右支持軸314を介して右緩衝器33に支持されている右前輪31が、右サイド部材53に対して、右中心軸Xを中心に、矢印Gの方向に回転する。
左ブラケット327が矢印Gの方向に回転すると、左内筒326を介して左ブラケット327に接続されている左緩衝器35が、左サイド部材54に対して、左中心軸Yを中心に、矢印Gの方向に回転する。左緩衝器35が矢印Gの方向に回転すると、左支持軸324を介して左緩衝器35に支持されている左前輪32が、左サイド部材54に対して、左中心軸Yを中心に、矢印Gの方向に回転する。
以上説明したように、操舵力伝達機構6は、乗員によるハンドル23の操作に応じて、操舵力を右前輪31と左前輪32に伝達する。右前輪31と左前輪32は、それぞれ右中心軸Xと左中心軸Yを中心に、乗員によるハンドル23の操作方向に応じた方向に回転する。
次に図5と図8を参照しつつ、車両1の傾斜動作について説明する。図5は、車両1の前部を車体フレーム21の前方から見た正面図である。図5において、車体フレーム21は直立状態にある。図5を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図5においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態を示している。図8は、車体フレーム21が左方に傾斜した状態における車両1の前部を、車体フレーム21の前方から見た正面図である。図8においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態を示している。
図5に示すように、車体フレーム21の直立状態においては、車体フレーム21の前方から車両1を見ると、リンク機構5は長方形状をなしている。図8に示すように、車体フレーム21の傾斜状態においては、車体フレーム21の前方から車両1を見ると、リンク機構5は平行四辺形状をなしている。リンク機構5の変形と車体フレーム21の左右方向への傾斜は連動する。リンク機構5の作動とは、リンク機構5を構成する上クロス部材51、下クロス部材52、右サイド部材53、および左サイド部材54が、それぞれの支持部A〜Fを通る回転軸線を中心に相対回転し、リンク機構5の形状が変化することを意味している。
例えば図8に示すように、乗員が車両1を左方に傾斜させると、ヘッドパイプ211が鉛直方向に対して左方に傾斜する。ヘッドパイプ211が傾斜すると、上クロス部材51は、支持部Aを通る中間上軸線を中心に、ヘッドパイプ211に対して右方に回転する。同様に、下クロス部材52は、支持部Dを通る中間下軸線を中心に、ヘッドパイプ211に対して右方に回転する。これにより、上クロス部材51は、下クロス部材52に対して左方に移動する。
上クロス部材51の左方への移動に伴い、上クロス部材51は、支持部Bを通る右上軸線と支持部Cを通る左上軸線を中心に、それぞれ右サイド部材53と左サイド部材54に対して右方に回転する。同様に、下クロス部材52は、支持部Eを通る右下軸線と支持部Fを通る左下軸線を中心に、それぞれ右サイド部材53と左サイド部材54に対して右方に回転する。これにより、右サイド部材53と左サイド部材54は、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、鉛直方向に対して左方に傾斜する。
このとき下クロス部材52は、タイロッド67に対して左方に移動する。下クロス部材52の左方への移動に伴い、タイロッド67の中間リング671、右リング672、および左リング673は、それぞれ中間フロントロッド641、右フロントロッド651、および左フロントロッド661を中心に右方に回転する。これにより、タイロッド67は、上クロス部材51および下クロス部材52と平行な姿勢を保つ。
右サイド部材53の左方への傾斜に伴い、右サイド部材53に接続されている右ブラケット317が左方に傾斜する。右ブラケット317の左方への傾斜に伴い、右ブラケット317に接続されている右緩衝器33が左方に傾斜する。右緩衝器33の左方への傾斜に伴い、右緩衝器33に支持されている右前輪31が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま左方に傾斜する。
左サイド部材54の左方への傾斜に伴い、左サイド部材54に接続されている左ブラケット327が左方に傾斜する。左ブラケット327の左方への傾斜に伴い、左ブラケット327に接続されている左緩衝器35が左方に傾斜する。左緩衝器35の左方への傾斜に伴い、左緩衝器35に支持されている左前輪32が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま左方に傾斜する。
上記の右前輪31と左前輪32の傾斜動作に係る説明は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、車両1の傾斜動作時(リンク機構5の作動時)においては、車体フレーム21の上下方向と鉛直上下方向は一致しない。車体フレーム21の上下方向を基準とした場合、リンク機構5の作動時において、右前輪31と左前輪32は、車体フレーム21に対する相対位置が変化している。換言すると、リンク機構5は、右前輪31と左前輪32の車体フレーム21に対する相対位置を、車体フレーム21の上下方向に変更することにより、車体フレーム21を鉛直方向に対して傾斜させる。
図4に示すように、車両1の無転舵状態かつ車体フレーム21の直立状態において、右前輪31と左前輪32の各前端WFは一致している。図面には現れないが、前輪31と左前輪32の各後端WBも一致している。また、図5に示すように、車両1の無転舵状態かつ車体フレーム21の直立状態において、右前輪31と左前輪32の各上端WUは一致している。
図1を参照して説明したように、車体カバー22は、フロントカバー221、フロントスポイラー222、およびフロントフェンダー223を含んでいる。これらの配置と形状について、図6を参照しつつ説明する。図6は、車両1の前部を車体フレーム21の左方から見た側面図である。図6において、車体フレーム21は直立状態にある。図6を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図6においては、破線で示すフロントカバー221を透視した状態を示している。
フロントカバー221(リンクカバー部の一例)は、リンク機構5の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー221は、車体フレーム21に対して変位不能に設けられている。フロントカバー221は、前部221aを有している。前部221aは、右前輪31および左前輪32の各後端WBよりも車体フレーム21の前後方向の前方に配置されている。前部221aの前端CFは、車体フレーム21の直立状態において右前輪31および左前輪32の各前端WFよりも車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。
フロントスポイラー222(空力部の一例)は、合成樹脂などにより成形されている。フロントスポイラー222は、ステー602を介してステアリングシャフト60に接続されている。図5に示すように、ステアリングシャフト60の下端部は、ヘッドパイプ211の下端部より下方に突出してスポイラー取付部601を構成している。図6に示すように、ステー602は、車体フレーム21の前後方向に延びている。ステー602の前端部はフロントスポイラー222に接続され、ステー602の後端部はスポイラー取付部601に接続されている。フロントスポイラー222の下端SDは、フロントカバー221の前部221aの下縁CDEよりも車体フレーム21の上下方向の下方に配置されている。
ここで「フロントカバー221の前部221a下縁CDE」とは、図6に示した前部221aの輪郭のうち、前端CFを示す仮想線と交差する部分から下端CDを通り、右前輪31および左前輪32の各後端WBを示す仮想線と交差する部分までを指す。
フロントスポイラー222は、操舵機構7の動作に応じて、車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。図7に示すように、乗員がハンドル23を操作すると、ステアリングシャフト60は、回転軸線Zを中心にヘッドパイプ211に対して回転する。これにより、スポイラー取付部601とステー602を介してステアリングシャフト60に接続されたフロントスポイラー222が、回転軸線Zを中心にヘッドパイプ211に対して回転する。すなわち、フロントスポイラー222は、操舵機構7の動作に応じて、車体フレーム21の左右方向に変位する。
フロントスポイラー222は、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減する。
図5に示すように、車体フレーム21の前後方向の前方から見て、右前輪31と左前輪32の間の後方を前輪後方部Sと呼ぶ。本実施形態においては、車体フレーム21の左右方向におけるレッグシールド225の中央部が、前輪後方部Sに対応する。レッグシールド225が設けられていない場合、ダウンフレーム212やその周辺に取り付けられた車両部品のうち、車体フレーム21の前後方向の前方から見て右前輪31と左前輪32の間に位置する部分が、前輪後方部Sに対応する。フロントスポイラー222は、前輪後方部Sが走行時に受ける風圧を低減する。
図8に示すように、乗員が車両1を左方に傾斜させると、ヘッドパイプ211が鉛直方向に対して左方に傾斜する。ヘッドパイプ211が左方に傾斜すると、ステアリングシャフト60も左方に傾斜する。ステアリングシャフト60が左方に傾斜すると、スポイラー取付部601とステー602を介してステアリングシャフト60に接続されているフロントスポイラー222が鉛直方向に対して左方に傾斜する。
フロントフェンダー223は、右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lを含んでいる。右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、合成樹脂などにより成形されている。図6に示すように、左フロントフェンダー223Lは、傾斜している後面223bと前面223cを有している。図示を省略するが、右フロントフェンダー223Rも同様の構造を有している。
右フロントフェンダー223Rは、右前輪31の上面の少なくとも一部を覆い、右前輪31が巻き上げる泥水などの飛散を抑制する機能を有する。左フロントフェンダー223Lは、左前輪32の上面の少なくとも一部を覆い、左前輪32が巻き上げる泥水などの飛散を抑制する機能を有する。
左フロントフェンダー223Lは、左ブラケット327に支持されている。左ブラケット327には、複数のスタッドボルト223aが設けられている。左フロントフェンダー223Lには、複数のスタッドボルト223aがそれぞれ挿通可能な複数の孔部が形成されている。複数のスタッドボルト223aを複数の孔部に挿通させることにより、左フロントフェンダー223Lが左ブラケット327に固定されている。左フロントフェンダー223Lは、左ブラケット327に対して相対変位不能である。
右フロントフェンダー223Rは、右ブラケット317に支持されている。図示を省略するが、右フロントフェンダー223Rは、左フロントフェンダー223Lと同様の構成により、右ブラケット317に固定されている。右フロントフェンダー223Rは、右ブラケット317に対して相対変位不能である。
したがって、右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、操舵機構7の動作に応じて、車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。図7に示すように、乗員がハンドル23を操作すると、操舵力伝達機構6を介して右ブラケット317と左ブラケット327が、右中心軸Xと左中心軸Yを中心に、右サイド部材53と左サイド部材54に対して回転する。これにより、スタッドボルト223aを介して右ブラケット317と左ブラケット327に接続された右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lが、右中心軸Xと左中心軸Yを中心に、右サイド部材53と左サイド部材54に対して回転する。すなわち、右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、操舵機構7の動作に応じて、車体フレーム21の左右方向に変位する。
図8に示すように、乗員が車両1を左方に傾斜させると、リンク機構5が作動する。リンク機構5の動作に応じて、右ブラケット317と左ブラケット327の車体フレーム21に対する相対位置が、車体フレーム21の上下方向に変化する。したがって、右ブラケット317と左ブラケット327に対して固定されている右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、車体フレーム21に対する相対位置が、車体フレーム21の上下方向に変化する。すなわち、右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、リンク機構5の動作に応じて、車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。
右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、右ブラケット317と左ブラケット327以外に対して固定されてもよい。例えば、図11に示す変形例において、右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、左右の緩衝器の上部に対してそれぞれ固定される。
本変形例に係る左緩衝器35Aは、左外筒322A(左緩衝器の上部の一例)と左内筒326A(左緩衝器の下部の一例)を含んでいる。左外筒322Aの上部は、左ブラケット327に固定されている。左内筒326Aは、その一部が左外筒322Aに挿入された状態で、左外筒322Aの下方に配置されている。左内筒326Aは、左前輪32を支持している。
本変形例に係る左フロントフェンダー223Lは、車体フレーム21が直立状態の車両1を前方から見て、左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に延びる部分を有している。左フロントフェンダー223Lは、左外筒322Aに固定されている。
図示を省略するが、本変形例に係る右緩衝器33Aは、左緩衝器35Aと左右対称の構成を有する。すなわち本変形例に係る右緩衝器33Aは、右外筒312A(右緩衝器の上部の一例)と右内筒316A(右緩衝器の下部の一例)を含んでいる。右外筒312Aの上部は、右ブラケット317に固定されている。右内筒316Aは、その一部が右外筒312Aに挿入された状態で、右外筒312Aの下方に配置されている。右内筒316Aは、右前輪31を支持している。
図示を省略するが、本変形例に係る右フロントフェンダー223Rは、左フロントフェンダー223Lと左右対称の構成を有する。すなわち、右フロントフェンダー223Rは、車体フレーム21が直立状態の車両1を前方から見て、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方に延びる部分を有している。右フロントフェンダー223Rは、右外筒312Aに固定されている。
また図12に示す例のように、左フロントフェンダー223Lは、左ブラケット327と一体に成形されていてもよい。図示を省略するが、本変形例に係る右フロントフェンダー223Rは、右ブラケット317と一体に成形されている。
以上説明したように、本実施形態に係る車両1は、車体フレーム21を備えている。ハンドル23は、車体フレーム21に対して相対回転可能に設けられている。車体カバー22の少なくとも一部は、車体フレーム21を覆う。右前輪31および左前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並べて配置されている。操舵機構7は、ハンドル23の回転を右前輪31および左前輪32に伝達する。リンク機構5は、右前輪31および左前輪32よりも上方に配置され、車体フレーム21に対する右前輪31および左前輪32の相対位置を変更して車体フレーム21を鉛直方向に対して傾斜させる。パワーユニット25は、車体フレーム21に支持されている。車体カバー22は、フロントカバー221(リンクカバー部の一例)とフロントスポイラー222(空力部の一例)を含んでいる。
フロントカバー221は、リンク機構5の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー221は、車体フレーム21に対して変位不能に設けられている。フロントカバー221は、右前輪31および左前輪32の各後端WBよりも車体フレーム21の前後方向の前方に配置される前部221aを有している。前部221aの前端CFは、車体フレーム21の直立状態において右前輪31および左前輪32の各前端WFよりも車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。
フロントスポイラー222は、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減する。フロントスポイラー222は、操舵機構7の動作に応じて車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。フロントスポイラー222の下端は、フロントカバー221の前部221aの下縁CDEよりも車体フレーム21の上下方向の下方に配置されている。
模式図である図14から図17を参照しつつ、このようなフロントスポイラー222の機能および効果について説明する。図14の(a)は、本実施形態に係る車両1の前部を車体フレーム21の側方から見た側面図である。図14の(b)は、比較例に係る車両1001の前部を同方向から見た側面図である。図15の(a)は、本実施形態に係る車両1の前部を車体フレーム21の前方から見た正面図である。図15の(b)は、比較例に係る車両1001の前部を同方向から見た正面図である。図16の(a)は、本実施形態に係る車両1の前部を車体フレーム21の上方から見た平面図である。図16の(b)は、比較例に係る車両1001の前部を同方向から見た正面図である。いずれの図においても車体フレームは直立状態にある。
走行抵抗が低下する原因を探るために、車体カバーの形状を種々変更して走行中に車両が受ける風圧を解析した。その結果、図14の(b)、図15の(b)、および図16の(b)に示すように、車両の直立状態において、間隔を狭めた右前輪1031および左前輪1032の各前端WFよりも前方かつ各上端WUよりも下方まで延長されている車体カバー1022の一部は、車体フレームが直立状態の車両1001を車体フレームの前後方向の前方から見て、リンク機構1005よりも車体フレームの上下方向の下方、右前輪1031よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪1032よりも車体フレームの左右方向の右方に位置し、かつ車体フレームが直立状態の車両1001を車体フレームの側方から見て右前輪1031および左前輪1032よりも車体フレームの前後方向の後方に位置する車体フレームの一部、車体カバーの一部、およびパワーユニットの一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減していることが判った。また、この風圧は、右前輪1031よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪1032よりも車体フレームの左右方向の右方の領域を通過する空気の流れによって生じる空気抵抗を増加させていることが判った。さらに、その風圧を低減することで空気抵抗を低減して車両の走行性能を維持できることが判った。また、車体カバー1022は、リンク機構の少なくとも一部を覆う機能と風圧の低減に寄与する機能の両方を備えていることが判った。そこで車体カバーを、リンク機構の少なくとも一部を覆う機能を主に担う部分(リンクカバー部)と風圧の低減に寄与する機能を担う部分(空力部)に分け、各機能部分について適切な配置と形状を考えた。
傾斜可能な車体フレームとリンク機構を備える車両は、右前輪と左前輪の可動範囲が広い。したがって、リンク機構よりも車体フレームの上下方向の下方、右前輪よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪よりも車体フレームの左右方向の右方の領域の位置や大きさが、操舵機構の操作によって大きく変化する。図17の(b)に示す比較例に係る車両1001のように車体カバー1022のうち空力部1222として機能する部分が車体フレームに対して変位不能に設けられている構成の場合、そのように大きく変化する領域の全てをカバーするように空力部1222を設け、当該領域に進入しようとする空気の流れを変える必要がある。そのため、車体カバー1022が大型化してしまう。
本実施形態に係る車両1が備える空力部としてのフロントスポイラー222は、操舵機構7の動作に応じて車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。すなわち、車体フレーム21の上下方向におけるリンク機構5よりも下方、車体フレーム21の左右方向における右前輪31よりも左方、かつ車体フレーム21の左右方向における左前輪32よりも右方の領域の位置や大きさが、操舵機構7の動作に応じて変化しても、フロントスポイラー222をその変化に応じて動かすことができる。したがって、図17の(a)に示すように、本実施形態に係る車両が備えるフロントスポイラー222は、比較例に係る車両1001の車体カバー1022と同等の風圧を低減する機能を備えても、その大きさを小さくできる。これにより、フロントスポイラー222を小型化しても、車両1が受ける風圧の増加を抑制できる。またフロントスポイラー222を小型化できるため、図17の(a)に破線で示すように、所望の風圧低減機能を得るためのフロントスポイラー222の配置について選択自由度が高くなる。
一方、リンクカバー部の一例としてのフロントカバー221は、車体フレーム2に対して変位不能に設けられ、リンク機構5の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー221は、風圧の低減に寄与する機能の少なくとも一部をフロントスポイラー222として分離したことにより、その設計自由度を高めることができる。また、フロントカバー221は、分担する機能の一部を分離することにより小さく形成することができる。具体的には、図6を参照して説明したように、フロントカバー221は、右前輪31および左前輪32の各後端WBよりも車体フレーム21の前後方向の前方に配置される前部221aを有する。前部221aの前端CFは、車体フレーム21の直立状態において右前輪31および左前輪32の各前端WFよりも車体フレーム21の前後方向の後方に配置される。すなわち、右前輪31と左前輪32の間隔を狭めることによって車体フレーム21の左右方向について車体カバー22が小型化されることに加え、車体フレーム21の前後方向についても車体カバーが小型化される。この事実は、図14から図16に示す比較例に係る車両1001との比較より明らかである。
前述のように、本実施形態に係る車両1が備えるフロントスポイラー222は、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減する。また前輪後方部Sにおける空気抵抗を低減できる。
したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部を小型化できる。
上記の説明において用いた「分ける」、「分離する」、「分担する」という表現は、リンク機構5の少なくとも一部を覆う機能と風圧の低減に寄与する機能が完全に分離される場合に限定することを意図していない。フロントカバー221においては、風圧の低減に寄与する機能の存在を排除するものではない。フロントスポイラー222においては、リンク機構5の少なくとも一部を覆う機能の存在を排除するものではない。
図17の(a)を参照して説明したように、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減できれば、フロントスポイラー222の配置は任意に定められうる。
本実施形態においては、図18に示すように、車体フレーム21の直立状態において車両1を車体フレーム21の側方から見て、フロントスポイラー222の前縁222aは、上端222bと下端222cが前端222dよりも後方に位置するように傾斜している。
ここで「フロントスポイラー222の前縁222a」とは、図18において車体フレーム21の前後方向の前方に現れる、上端222bから下端222cまでの輪郭部分を指している。
このような構成によれば、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つに向かって流れる空気の向きが、フロントスポイラー222の傾斜している部分に沿って車体フレーム21の上下方向へ変更される。そのため、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧をより低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
なお、フロントスポイラーの前縁222aは、上端222bと下端222cの双方が前端222dよりも後方に位置するように傾斜している必要はない。前方から流れてくる空気を車体フレーム21の上下方向に変更できれば、上端222bと下端222cの少なくとも一方が前端222dよりも後方に位置するように傾斜している構成としてもよい。
本実施形態においては、図19に示すように、車体フレーム21の直立状態において車両1を車体フレーム21の上方から見て、フロントスポイラー222の前縁222aは、右端222eと左端222fが前端222dよりも後方に位置するように傾斜している。
ここで「フロントスポイラー222の前縁222a」とは、図19において車体フレーム21の前後方向の前方に現れる、右端222eから左端222fまでの輪郭部分を指している。
このような構成によれば、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つに向かって流れる空気の向きが、フロントスポイラー222の傾斜している部分に沿って車体フレーム21の左右方向へ変更される。そのため、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧をより低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
なお、フロントスポイラーの前縁222aは、右端222eと左端222fの双方が前端222dよりも後方に位置するように傾斜している必要はない。前方から流れてくる空気を車体フレーム21の左右方向に変更できれば、右端222eと左端222fの少なくとも一方が前端222dよりも後方に位置するように傾斜している構成としてもよい。
本実施形態においては、図6に示すように、フロントカバー221の前部221aの下端CDは、車体フレーム21の直立状態において右前輪31および左前輪32の各上端WUよりも車体フレーム21の上下方向の上方に配置されている。
このような配置によれば、フロントカバー221の前部221aの下端CDを車体フレーム21の直立状態において右前輪31および左前輪32の各上端WUよりも車体フレーム21の上下方向の上方に配置したため、フロントカバー221の風圧の低減に寄与する機能をより低減できる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図6に示すように、フロントスポイラー222の下端SDは、車体フレーム21の直立状態において右前輪31および左前輪32の各上端WUよりも車体フレーム21の上下方向の下方に配置されている。
このような配置によれば、フロントスポイラー222の下端SDが右前輪31および左前輪32の各上端WUよりも下方に配置されても、操舵機構7の動作に応じて車体フレーム21に対して変位可能に設けられているため、右前輪31および左前輪32との干渉を避けやすい。これにより、フロントスポイラー222の大型化が抑制される。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図6に示すように、フロントスポイラー222の少なくとも一部は、車体フレーム21の直立状態において、右前輪31および左前輪32の各前端WFよりも車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。
このような配置によれば、2つの前輪3と車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧をより低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。さらに、変位する右前輪31および左前輪32とフロントスポイラー222の干渉を避けつつ、右前輪31および左前輪32とフロントスポイラー222を近づけることができる。風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
特に本実施形態においては、図6に示すように、フロントスポイラー222の少なくとも一部は、車体フレーム21の直立状態において、ステアリングシャフト60よりも車体フレーム21の前後方向の前方に配置されている。
このような配置によれば、2つの前輪3と車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つとフロントスポイラー222とを離して配置しやすくなる。これによりフロントスポイラー222の設計自由度が増し、車両1におけるステアリングシャフト60よりも後方に位置する部分が受ける風圧を抑制しやすい。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図5に示すように、フロントスポイラー222の少なくとも一部は、車体フレーム21の直立状態において車体フレーム21の前方から車両1を見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、かつ右前輪31と左前輪32の間に配置されている。
このような配置によれば、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を直接的に低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図5に示すように、フロントスポイラー222の少なくとも一部は、車体フレーム21の直立状態において車体フレーム21の前方から車両1を見て、車体フレーム21の左右方向の中央に配置されている。ここで「左右方向の中央」とは、車体フレーム21の直立状態において車体フレーム21の前方から車両1を見て、ステアリングシャフト60の回転軸線Zと重なる位置を意味する。
このような配置によれば、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を直接的に低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図5に示すように、フロントスポイラー222の少なくとも一部は、車体フレーム21の直立状態において車体フレーム21の前方から車両1を見て、右緩衝器33と左緩衝器35の間に配置されている。
このような配置によれば、右緩衝器33と左緩衝器35の動作により右前輪31と左前輪32が変位しても、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を直接的に低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図5に示すように、フロントスポイラー222は、車体フレーム21の直立状態において車両1を車体フレーム21の前方から見て、車体フレーム21の左右方向の寸法よりも、車体フレーム21の上下方向の寸法の方が大きい。
このような構成によれば、右前輪31と左前輪32の間隔を狭めることが容易であり、車体フレーム21の左右方向に車体カバー22を小型化できる。また、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧をより低減できる。また、前輪後方部Sにおける空気抵抗を直接的に低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えたフロントスポイラー222をより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
本実施形態においては、図5と図6を参照して説明したように、フロントスポイラー222は、ステアリングシャフト60に対して固定されている。
このような構成によれば、フロントスポイラー222が操舵機構7の動作に応じて直接的に移動されるため、フロントスポイラー222を小型化しやすい。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減できれば、空力部として機能する部分は、ステアリングシャフト60以外に固定されてもよい。例えば、右緩衝器33および左緩衝器35、右ブラケット317および左ブラケット327、および操舵力伝達機構6のいずれかに対して固定してもよい。なお、操舵力伝達機構6は、中間伝達プレート61、右伝達プレート62、左伝達プレート63、中間ジョイント64、右ジョイント65、左ジョイント66、およびタイロッド67を含む。
図9および図10を参照しつつ、空力部として機能する部分が、右ブラケット317および左ブラケット327に対して固定されている変形例について説明する。図9と図10は、当該変形例の構成の一部を模式的に示している。図9の(a)は、車体フレーム21の前後方向の前方から当該構成を見た正面図である。図9の(b)は、車体フレーム21の左右方向の左方から当該構成を見た左側面図である。図9の(c)は、本変形例に係る右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lを車体フレーム21の上下方向の上方から見た平面図である。
本変形例に係る右フロントフェンダー223Rは、車体フレーム21が直立状態の車両1を前方から見て、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方に延びる右突出部223dRを有している。
本変形例に係る左フロントフェンダー223Lは、車体フレーム21が直立状態の車両1を前方から見て、左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に延びる左突出部223dLを有している。
右突出部223dRと左突出部223dLは、操舵機構7の動作に応じて、車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。図7に示すように、乗員がハンドル23を操作すると、操舵力伝達機構6を介して右ブラケット317と左ブラケット327が、右中心軸Xと左中心軸Yを中心に、右サイド部材53と左サイド部材54に対して回転する。これにより、スタッドボルト223aを介して右ブラケット317と左ブラケット327に接続された右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lが、右中心軸Xと左中心軸Yを中心に、右サイド部材53と左サイド部材54に対して回転する。したがって、右突出部223dRと左突出部223dLは、操舵機構7の動作に応じて、車体フレーム21の左右方向に変位する。
図8に示すように、乗員が車両1を左方に傾斜させると、リンク機構5が作動する。リンク機構5の動作に応じて、右ブラケット317と左ブラケット327の車体フレーム21に対する相対位置が、車体フレーム21の上下方向に変化する。これにより、右ブラケット317と左ブラケット327に対して固定されている右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lは、車体フレーム21に対する相対位置が、車体フレーム21の上下方向に変化する。したがって、右突出部223dRと左突出部223dLは、リンク機構5の動作に応じて、車体フレーム21に対して変位可能に設けられている。
右突出部223dRと左突出部223dLは、上記のように操舵動作および傾斜動作に応じて右突出部223dRと左突出部223dLが車体フレーム21に対して変位しても、相互に干渉しない配置および形状とされている。
図9の(a)に示すように、右突出部223dRと左突出部223dLは、車体フレーム21の直立状態において車体フレーム21の前方から車両1を見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、かつ右前輪31と左前輪32の間に配置されている。本変形例に係る右突出部223dRと左突出部223dLは、空力部として機能する。すなわち、右突出部223dRと左突出部223dLは、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減する。また、右突出部223dRと左突出部223dLは、前輪後方部Sが走行時に受ける風圧を低減する。この場合、フロントスポイラー222を備えない構成としてもよい。
上記の右突出部223dRと左突出部223dLは、図11を参照して説明した変形例に係る右フロントフェンダー223Rと左フロントフェンダー223Lに設けてもよい。この場合、右突出部223dRは、右緩衝器33Aの右外筒312A(右緩衝器の上部の一例)に対して固定される。また、左突出部223dLは、左緩衝器35Aの左外筒322A(左緩衝器の上部の一例)に対して固定される。
このような構成によれば、右緩衝器33Aと左緩衝器35Aの動作により右前輪31と左前輪32が車体フレーム21の上下方向に変位しても、右突出部223dRと左突出部223dLがこれに伴って同方向に変位しない。これにより、車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の前後方向の前方から見て、リンク機構5よりも車体フレーム21の上下方向の下方、右前輪31よりも車体フレーム21の左右方向の左方、かつ左前輪32よりも車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、かつ車体フレーム21が直立状態の車両1を車体フレーム21の側方から見て右前輪31および左前輪32よりも車体フレーム21の前後方向の後方に位置する車体フレーム21の一部、車体カバー22の一部、およびパワーユニット25の一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧をより低減できる。そのため、風圧の低減に寄与する機能を備えた右突出部223dRと左突出部223dLをより小さく形成することができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と2つの前輪3を備えた車両1に対する走行性能を維持しつつ、車両1の前部をより小型化できる。
上記の右突出部223dRを有する右フロントフェンダー223Rは、右緩衝器33の右外筒312(右緩衝器の下部の一例)に対して固定されてもよい。上記の左突出部223dLを有する左フロントフェンダー223Lは、左緩衝器35の左外筒322(左緩衝器の下部の一例)に対して固定されてもよい。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示され且つ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
これまでの説明において用いた「分ける」、「分離する」、「分担する」という表現は、リンク機構の少なくとも一部を覆う機能と風圧の低減に寄与する機能が完全に分離される場合に限定することを意図していない。リンクカバー部においては、風圧の低減に寄与する機能の存在を排除するものではない。空力部においては、リンク機構の少なくとも一部を覆う機能の存在を排除するものではない。
本明細書において、「平行」は、±40°の範囲で傾斜するが、部材としては交わらない2つの直線も含む。本発明において、「方向」および「部材」等に対して「沿う」は、±40°の範囲で傾斜する場合も含む。本発明において、「方向」に対して「延びる」は、±40°の範囲で傾斜する場合も含む。
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載した。本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「好ましくは」「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。
本発明に係る車両は、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両である。後輪の数は1つに限らず2つでもよい。
上記の実施形態において、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における右前輪31と左前輪32の間隔の中央と一致している。このような構成が好ましいものの、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における右前輪31と左前輪32の間隔の中央と一致していなくてもよい。
リンク機構5は、上クロス部材51と下クロス部材52の他にさらにクロス部材を備えていてもよい。「上クロス部材」と「下クロス部材」は、相対的な上下関係に基づいて命名しているに過ぎない。上クロス部材は、リンク機構5における最上位のクロス部材を意味していない。上クロス部材は、それより下方の別のクロス部材より上方にあるクロス部材を意味する。下クロス部材は、リンク機構5における最下位のクロス部材を意味していない。下クロス部材は、それより上方の別のクロス部材より下方にあるクロス部材を意味する。上クロス部材51と下クロス部材52の少なくとも一方は、右クロス部材と左クロス部材の2つの部品で構成されていてもよい。このように、上クロス部材51と下クロス部材52は、リンク機能を有する範囲で、複数のクロス部材で構成してもよい。
空力部として機能する部分は、車体カバー22に含まれるフロントスポイラー222、右突出部223dR、および左突出部223dLでなくともよい。車体フレームが直立状態の車両を車体フレームの前後方向の前方から見て、リンク機構よりも車体フレームの上下方向の下方、右前輪よりも車体フレームの左右方向の左方、かつ左前輪よりも車体フレームの左右方向の右方に位置し、右前輪および左前輪よりも車体フレームの前後方向の後方に位置する車体フレームの一部、車体カバーの一部、およびパワーユニットの一部の少なくとも1つが走行時に受ける風圧を低減する機能を発揮できれば、複数の棒やフィンの集合体により空力部を構成してもよい。この場合、空力部を形成する材料は樹脂に限られず、金属などでもよい。
本出願は、2012年12月18日に提出された日本国特許出願2012−276257に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。