JPWO2014098099A1 - 積層体、積層板、プリント配線板、積層体の製造方法、及び積層板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 樹脂組成物層が、多官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含む、[1]に記載の積層体。
[3] 前記フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)の配合割合が、多官能型エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂硬化剤(B)の合計100質量部に対して、4〜40質量部である[2]に記載の積層体。
[4] 前記樹脂組成物層及び前記ガラス基板層を合わせた厚さが50〜300μmである[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記ガラス基板層の厚さが30〜200μmである[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 前記樹脂組成物層に含まれる多官能型エポキシ樹脂(A)がビフェニル構造を有する[2]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 前記樹脂組成物層に含まれる多官能型エポキシ樹脂(A)がビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂である[6]に記載の積層体。
[8] 無機充填材として、平均一次粒径100nm以下の無機充填材(D)を含有する[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 前記無機充填材(D)がヒュームドシリカである[8]に記載の積層体。
[10] 前記無機充填材(D)に表面処理が施されている[8]又は[9]に記載の積層体。
[12] 1層以上の樹脂硬化物層及び1層以上のガラス基板層を含む積層板であって、[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体を硬化処理して得られる積層板。
[13] 40℃における貯蔵弾性率が1GPa〜70GPaである[12]に記載の積層板。
[15] [12]〜[14]のいずれかに記載の積層板の少なくとも一方の面に配線が設けられてなるプリント配線板。
[16] 複数の積層板を含み、少なくとも1の前記積層板が[12]〜[14]のいずれかに記載の積層板である[15]に記載のプリント配線板。
[18] 樹脂組成物に多官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含む、[17]記載の積層体の製造方法。
[21] フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含む樹脂組成物からなるフィルムを作製し、真空ラミネーター又はロールラミネーターを用いてガラス基板上に前記フィルムを積層した後に、前記フィルムに硬化処理を施す積層板の製造方法。
[22] 樹脂組成物に多官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含む、[21]に記載の積層板の製造方法。
[24] 前記フィルムを積層した後で前記硬化処理を施す前に、プレス処理を施す[21]〜[23]のいずれかに記載の積層板の製造方法。
なお、本明細書において、「積層体」とは、その構成成分である熱硬化性樹脂(多官能エポキシ樹脂)が未硬化又は半硬化であるものを意味し、「積層板」とは、その構成成分である熱硬化性樹脂が硬化、あるいは熱硬化性樹脂の90%以上が硬化しているものを意味する。また、熱硬化性樹脂の硬化度は示差走査熱量計から測定される反応率により測定することができる。
本発明の積層体は、1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体であって、樹脂組成物層が、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含み、好ましくは、多官能型エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)、及び後述する式(i)、(ii)、及び(iii)で表される構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含む樹脂組成物である。
ここで、本発明に係る樹脂組成物層は、配線板用積層板や多層配線板の層の一部とされる前は、支持体上やガラス基板上等で未硬化又は半硬化状態(いわゆるBステージ状態)で存在する。
また、本発明の積層板は、本発明の積層体を加熱することで樹脂組成物層を硬化させて樹脂硬化物層とすることにより得られる。
ここでガラス基板層として、シリコンチップと同程度に低熱膨張率かつ高弾性率なものを用いることにより、そりが抑制され、割れが生じ難いものとなる。特に、このような積層板は耐熱性の高いガラス基板層を有することで、100℃から樹脂硬化物のTg未満の温度領域において低熱膨張性を顕著に有する。また、樹脂硬化物層中に無機充填材を含有させることで、樹脂硬化物層が低熱膨張性で高弾性なものとなり、当該樹脂硬化物層を含む積層板は、より低膨張性で高弾性率なものとなる。
本発明に係る樹脂組成物は、既述の通り、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含み、好ましくは、多官能型エポキシ樹脂(A)(以下、「(A)成分」ということがある)、エポキシ樹脂硬化剤(B)(以下、「(B)成分」ということがある)、及び後述の(i)、(ii)、及び(iii)で表される構造単位を有するフェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)(以下、「(C)成分」ということがある)を含む樹脂組成物により形成されてなる。
以下、成分(A)〜(C)について説明する。
すなわち、(C)成分であるフェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂は、エポキシ樹脂と反応可能であるため、エポキシ樹脂の良好な耐熱性を維持したまま、樹脂の強靭化が可能となる。さらに、銅との接着性の高いアミド基を多く有するため、めっき銅との高い接着力が得られる。
また、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂が、エポキシ樹脂と相溶性が良いフェノール性水酸基と、エポキシ樹脂と非相容なポリブタジエンを含有するため、その配合割合が例えば、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して4〜40質量部の場合、微細な海島構造をより良好に形成することができる。この海島構造の形成により、粗化処理時に海層と島層との粗化量が異なることを利用して、粗化処理時に緻密な形状を形成することが可能となる。この形状は微細でばらつきが少ないため、アンカー効果に起因した高い物理的接着力を発現し、めっき銅との接着性が著しく向上する。
一方、(C)成分の配合割合が40質量部以下の場合、海島構造のドメインサイズが大きくなりすぎず、無電解めっき銅との良好な接着力が得られる傾向にある。また、良好な耐熱性が得られ、粗化工程時の薬液への耐性にも優れる傾向にある。
(C)成分の重量平均分子量は、60,000〜250,000であることが好ましく、80,000〜200,000であることがより好ましい。
芳香族ジアミンの具体例としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノフェノール、ジアミノジメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノニトロベンゼン、ジアミノジアゾベンゼン、ジアミノナフタレン、ジアミノビフェニル、ジアミノジメトキシビフェニル、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジメチルジフェニルエーテル、メチレンジアミン、メチレンビス(ジメチルアニリン)、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエチルアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、イソプロピリデンジアニリン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジメチルベンゾフェノン、ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジメチルジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルホキシド、ジアミノフルオレン等が挙げられる。
(A)成分である多官能型エポキシ樹脂とは、分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、多官能型エポキシ樹脂として、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
(B)成分であるエポキシ樹脂硬化剤としては、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類等が使用できる。フェノール樹脂類としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が使用できる。酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用できる。アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用できる。信頼性を向上させるためには、ノボラック型フェノール樹脂であることが好ましい。
以下、(D)成分について説明する。
(D)成分である無機充填材としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられる。なかでもヒュームドシリカが好ましい。
無機充填材は、樹脂組成物層上に微細配線を形成する観点から、比表面積が20m2/g以上であることが好ましい。また、めっきプロセスにおける粗化処理後の表面形状を小さくする観点から、平均一次粒径は100nm以下であることが好ましい。
既述のような無機充填材は、1種類のみでも構わなく、2種類以上を併用しても構わない。
また、これらの無機充填材は、分散性を高める目的でニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ナノマイザー等既知の混練方法、分散方法により使用に供してもよい。
溶剤の樹脂組成物に対する割合は、樹脂組成物の塗膜形成の設備にあわせて適宜調整すれがよいが、溶剤を除く樹脂組成物の固形分がワニス中8〜40質量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましい。
使用する支持体フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、テフロン(登録商標)フィルム、ポリイミドフィルム、粗化されていない無粗化銅箔や表面粗さ(Ra)が0.4μm以下である低粗化銅箔、及びアルミ箔等が好ましい。また、これらの支持体フィルムは、樹脂との剥離を容易にするために表面が離型処理されたものを用いても良い。
ガラス基板層の厚さとしては、積層体の薄型化を目的としていることや加工性の観点から30〜200μmの薄型のガラスフィルムが好ましく、取り扱いの容易性等実用性を勘案すると厚さは50〜150μmがより好ましい。さらに、積層体の薄型化の観点からは30〜90μmとすることが好ましい。また、ガラス基材の素材としては、ケイ酸アルカリ系ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスを使用することができるが、低熱膨張性の観点からケイ素分比率が高いガラスが好ましい。
このガラス基板層の40℃における動的貯蔵弾性率は、大きいほどよいが、好ましくは20GPa以上、より好ましくは25GPa以上、さらに好ましくは30GPa以上である。
本発明の積層体は、その表面に支持体フィルムや保護フィルムを有していてもよい。これら支持体フィルム及び保護フィルムについては、後述の積層体の製造方法の説明において詳細に説明する。
本発明の積層体の製造方法は、樹脂組成物のガラス基板への塗布や、樹脂組成物からなるフィルムのガラス基板へのラミネート等によって製造することができる。これらのうちラミネートによる方法が、生産が容易である点から好ましい。
以下に各製造方法について詳細に説明する。
塗布による製造方法は、既述の樹脂組成物をガラス基板の表面に塗布して樹脂組成物層を形成して積層体を製造する方法である。例えば、有機溶剤に上記の樹脂組成物を溶解し、任意成分である無機充填材が分散したワニスを調製する。このワニスをガラス基板に塗布し、加熱や熱風吹きつけ等によって有機溶剤を乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成する。この樹脂組成物層は、更に半硬化させてもよい。このようにして、樹脂組成物層が形成された積層体を製造することができる。
上記の積層体は、真空ラミネートやロールラミネートのような加圧ラミネートにより、本発明に係る樹脂組成物を用いた接着フィルムとガラス基板とをラミネートすることで製造することができる。この接着フィルムについては後述する。また、真空ラミネートやロールラミネートは、市販の真空ラミネーター、ロールラミネーターを使用して行うことができる。
真空ラミネーターや加圧ラミネーターを用いて積層体を製造する場合、上記の樹脂組成物は接着フィルムとすることが好ましい。
本発明に使用される接着フィルムとしては、次の積層構造を有するものが好適に使用される。
また、上記(1)の積層構造において、さらに保護フィルムを積層した次の積層構造を有するものも好適に使用される。
保護フィルムは、本発明に係る樹脂組成物に対し支持体フィルムとは反対側に形成され、異物の付着やキズを防止する目的に使用するものである。
なお、これら接着フィルムから支持体フィルム及び保護フィルムを除いたものを、接着フィルム本体と称することがある。
上記(1)の接着フィルムを製造する一例としては、有機溶剤に上記の樹脂組成物を溶解し、無機充填材が分散したワニスを調製する。次いで、支持体フィルムを支持体として、このワニスを塗布し、加熱や熱風吹きつけ等によって有機溶剤を乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成すればよい。
上記(2)の接着フィルムを製造する一例としては、有機溶剤に上記の樹脂組成物を溶解し、任意の無機充填材が分散したワニスを調製する。次いで、支持体フィルム及び保護フィルムのいずれか一方に対してこのワニスを塗布し、このワニス上に支持体フィルム及び保護フィルムの他方を配置し、加熱や熱風吹きつけ等によってこのワニスの有機溶剤を乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成すればよい。
なお、上記の接着フィルムにおいて、樹脂組成物層は半硬化させておいてもよい。
上記の支持体フィルムは、接着フィルムを製造する際の支持体となるものであり、多層プリント配線板を製造する際に、通常、最終的に剥離、又は除去されるものである。
接着フィルムが保護フィルムを有している場合には、保護フィルムを除去した後、接着フィルムを加圧及び加熱しながらガラス基板に圧着する。ラミネートの条件は、接着フィルム及びガラス基板を必要によりプレヒートし、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは60℃〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2でラミネートすることが好ましい。また、真空ラミネーターを用いる場合、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であっても、ロールでの連続式であってもよい。
上記のように、接着フィルムをガラス基板にラミネートした後、室温付近に冷却する。支持体フィルムは必要に応じて剥離する。
次に、積層板の製造方法の具体例を説明する。
既述のラミネートによって得られた積層体において、必要に応じて支持体フィルムを剥離した後、樹脂組成物層を硬化処理して樹脂硬化物層とすることにより、積層板を製造することができる。
この方法によると、積層板の製造時に加圧する必要がないため、製造時に割れが生じることが抑制される。
但し、ガラス基板層の厚さや層の数、及び樹脂硬化物層の層の数によって樹脂硬化物層の厚さの適正範囲は異なるため、上記の範囲に限定されない。
積層板の片面又は両面に、銅やアルミニウム等の金属箔を有していてもよい。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば、特に制限されない。
また、本発明に係る積層板は、プレス法によって製造することができる。
例えば、既述のラミネートによって得られた積層体を、硬化処理を施す前に、プレス法により加熱、加圧して硬化することにより、積層板を製造することができる。
また、既述の接着フィルム及び/又は当該接着フィルムから支持体フィルムや保護フィルムを除去してなる接着フィルム本体と、ガラス基板とを重ね合せ、プレス法により加熱、加圧して硬化することにより、積層板を製造することもできる。
さらに、ガラス基板に樹脂組成物を塗工・乾燥してBステージ状態としたものを重ね合せ、プレス法により加熱、加圧して硬化することにより、積層板を製造することもできる。
本発明の多層積層板は、複数個の積層板を含む多層積層板であって、少なくとも1個の積層板が前述した本発明の積層板であるものである。
この多層積層板の製造方法には特に制限はない。
例えば、既述の積層板を、既述の接着フィルムから支持体フィルムや保護フィルムを除去してなる接着フィルム本体を介して複数積層して多層化すればよい。
また、積層体を複数枚(例えば、2〜20枚)重ね、積層成形することにより、多層積層板を製造することもできる。具体的には、多段プレス、多段真空プレス、連続成形機、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃程度、圧力2〜100MPa程度、及び加熱時間0.1〜5時間程度の範囲で成形することができる。
本発明のプリント配線板は、本発明の積層板の少なくとも一方の面に配線が設けられてなる。また複数の積層板が含まれた構成(多層プリント配線板)の場合もあり、その場合、少なくとも1の積層板が本発明の積層板となっている。
次に、このプリント配線板の製造方法について説明する。
上記の積層板を、必要に応じてドリル、レーザー、プラズマ、又はこれらの組み合わせ等の方法により穴あけを行い、ビアホールやスルーホールを形成する。レーザーとしては、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、UVレーザー、エキシマレーザー等が一般的に用いられる。ビアホール等の形成後、酸化剤を用いてデスミア処理してもよい。酸化剤としては、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸が好適であり、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)がより好適である。
その後のパターン形成の方法として、例えば、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法等を用いることができる。
本発明の積層板又は多層配線板の樹脂硬化物層上にめっき法で回路加工する場合は、まず、粗化処理を行う。この場合の粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液等の酸化性粗化液を用いることができる。粗化処理としては、例えば、まず膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとNaOHとの水溶液を70℃に加温して積層板又は多層配線板を5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnO4とNaOHとの水溶液を80℃に加温して10分間浸漬処理する。引き続き、中和液、例えば塩化第一錫(SnCl2)の塩酸水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和する。
ここで、粗化処理後の樹脂硬化物層の表面粗さ(Ra)が例えば、0.45μm以下、が好ましく、0.40μm以下が好ましく、0.38μm以下であることが好ましい。0.4μm以下であることで微細配線化が可能となる。
上記のプリント配線板の一形態として、上記のようにして配線パターンを形成した積層板を複数積層して、多層プリント配線板としてもよい。
この多層プリント配線板を製造するには、上記の配線パターンを形成した積層板を、既述の接着フィルム本体を介して複数積層することによって多層化する。その後、ドリル加工又はレーザー加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、めっき又は導電性ペーストによる層間配線の形成を行う。このようにして、多層プリント配線板を製造することができる。
本発明の積層板及びこれを用いた多層積層板は、片面又は両面に銅やアルミニウム等の金属箔を有する金属箔付きの積層板及び多層積層板であってもよい。
この金属箔付き積層板の製造方法には特に制限はない。例えば、前述のとおり、支持体フィルムとして金属箔を用いることにより、金属箔付き積層板を製造することができる。また、既述のラミネートや塗工により得られた積層体を1枚又は複数枚(例えば2〜20枚)重ね、その片面又は両面に金属箔を配置した構成で積層成形することにより、金属箔付き積層板を製造することもできる。
成形条件は、電気絶縁材料用積層板や多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形機、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃程度、圧力2〜100MPa程度、及び加熱時間0.1〜5時間程度の範囲で成形することができる。
(C)成分であるフェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド(日本化薬社製、商品名:BPAM−155)10.2gに、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を91.4g配合した後、(A)成分であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名:NC−3000H)40.0g、(B)成分であるビスフェノールAノボラック(三菱化学社製、商品名:YLH129)12.6g、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名:2PZ)0.4g、(D)成分であるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、商品名:R972)3.6gを添加した後、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈した(固形分濃度約25質量%)。その後、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて、樹脂ワニスAを得た。
樹脂ワニスAを、厚さ38μmの離型処理ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(PET−38X、リンテック社製、商品名)の離型処理面にバーコーターを用いて、乾燥後12μmになるように塗布し、140℃で10分間乾燥させて樹脂組成物層を形成した。
ガラス基板として、日本電気硝子製の極薄ガラスフィルム「OA−10G」(商品名、厚さ100μm)を用いた。このガラス基板の両面上に、作製した接着フィルムをその樹脂組成物層がガラス基板に当接するように配置し、バッチ式の真空加圧ラミネーター「MVLP−500」(名機株式会社製、商品名)を用いてラミネートによって積層した。この際の真空度は30mmHg(40.0hPa)以下であり、温度は90℃、圧力は0.5MPaの設定とした。
室温に冷却後、支持体フィルムを剥がし、180℃の設定の乾燥気中で60分間硬化して、3層構造の積層板(樹脂硬化物層/ガラス基板層/樹脂硬化物層)を得た。
下記表1の配合とした以外は、樹脂ワニスAと同様にして樹脂ワニスBを得た。
樹脂ワニスBを用いたこと以外は、実施例1と同様に製造した。
実施例1の接着フィルムに代えて上記接着フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、3層構造の積層板(樹脂硬化物層/ガラス基板層/樹脂硬化物層)を得た。
下記表1の配合とした以外は、樹脂ワニスAと同様にして樹脂ワニスCを得た。
樹脂ワニスCを用いたこと以外は、実施例1と同様に製造した。
実施例1の接着フィルムに代えて上記接着フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、3層構造の積層板(樹脂硬化物層/ガラス基板層/樹脂硬化物層)を得た。
下記表1の配合とした以外は、樹脂ワニスAと同様にして樹脂ワニスDを得た。
樹脂ワニスDを用いたこと以外は、実施例1と同様に製造した。
実施例1の接着フィルムに代えて上記接着フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、3層構造の積層板(樹脂硬化物層/ガラス基板層/樹脂硬化物層)を得た。
下記表1の配合とした以外は、樹脂ワニスAと同様にして樹脂ワニスEを得た。
樹脂ワニスEを用いたこと以外は、実施例1と同様に製造した。
実施例1の接着フィルムに代えて上記接着フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、3層構造の積層板(樹脂硬化物層/ガラス基板層/樹脂硬化物層)を得た。
樹脂硬化物層とガラス基板層を有する配線板に回路層を形成するために、まず、PdCl2を含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製)に、室温−10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき用であるめっき液CUST−201(日立化成工業株式会社製)に室温で15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニールを180℃で60分間行い厚さ35μmの導体層を形成した。
各例で得た配線板の回路層の一部に銅のエッチング処理によって、幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を回路層/樹脂界面で剥がしてつかみ具でつかみ、垂直方向に引張り速度約50mm/分、室温中で引き剥がした時の荷重を測定した。
各例で得た配線板の回路層の一部の銅をエッチング処理して除去したことで露出した樹脂硬化物層表面について、菱化システム社製マイクロマップMN5000型を用い、表面粗さRaを測定した。
各例で作製した多層配線板を25mm角に切断し、288±2℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を調べた。
積層板から5mm×30mmの試験片を切り出した。
広域粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4型)を用い、スパン間を20mm、周波数を10Hz、振動変位1〜3μm(ストップ加振)の条件で、40℃における引張貯蔵弾性率を測定した。その結果を表2に示す。
以上の結果から、本発明によれば、無電解銅めっきに対して高い接着性を有する高弾性な積層板を提供することができる。
Claims (24)
- 1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体であって、 前記樹脂組成物層が、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含む積層体。
- 樹脂組成物層が、多官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含む、請求項1に記載の積層体。
- 前記フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)の配合割合が、多官能型エポキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂硬化剤(B)の合計100質量部に対して、4〜40質量部である請求項2に記載の積層体。
- 前記樹脂組成物層及び前記ガラス基板層を合わせた厚さが50〜300μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ガラス基板層の厚さが30〜200μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記樹脂組成物層に含まれる多官能型エポキシ樹脂(A)がビフェニル構造を有する請求項2〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記樹脂組成物層に含まれる多官能型エポキシ樹脂(A)がビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂である請求項6に記載の積層体。
- 無機充填材として、平均一次粒径100nm以下の無機充填材(D)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記無機充填材(D)がヒュームドシリカである請求項8に記載の積層体。
- 前記無機充填材(D)に表面処理が施されている請求項8又は9に記載の積層体。
- フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)が、下記式(i)、(ii)及び(iii)で示される構造単位を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
- 1層以上の樹脂硬化物層及び1層以上のガラス基板層を含む積層板であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体を硬化処理して得られる積層板。
- 40℃における貯蔵弾性率が1GPa〜70GPaである請求項12に記載の積層板。
- 粗化処理後の樹脂硬化物層の表面粗さ(Ra)が0.4μm以下である請求項12又は13に記載の積層板。
- 請求項12〜14のいずれか1項に記載の積層板の少なくとも一方の面に配線が設けられてなるプリント配線板。
- 複数の積層板を含み、少なくとも1の前記積層板が請求項12〜14のいずれか1項に記載の積層板である請求項15に記載のプリント配線板。
- フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含む樹脂組成物をガラス基板の表面に塗布して樹脂組成物層を形成する積層体の製造方法。
- 樹脂組成物に多官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含む、請求項17記載の積層体の製造方法。
- フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)が、下記式(i)、(ii)及び(iii)で表される構造単位を有する、請求項17又は18に記載の積層体の製造方法。
- 前記樹脂組成物層を形成した後に乾燥処理を施す請求項17〜19のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)を含む樹脂組成物からなるフィルムを作製し、真空ラミネーター又はロールラミネーターを用いてガラス基板上に前記フィルムを積層した後に、前記フィルムに硬化処理を施す積層板の製造方法。
- 樹脂組成物に多官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤(B)を含む、請求項21に記載の積層板の製造方法。
- フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド樹脂(C)が、下記式(i)、(ii)及び(iii)で表される構造単位を有する、請求項21又は22に記載の積層板の製造方法。
- 前記フィルムを積層した後で前記硬化処理を施す前に、プレス処理を施す請求項21〜23のいずれか1項に記載の積層板の製造方法。
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