JPWO2014088114A1 - 金属対象物表面への被覆層の作製方法 - Google Patents

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Abstract

金属対象物表面に高分子樹脂を,金属対象物に残留応力を生じさせることなく,均一に密着させることができる作製方法を提供する。この発明による金属対象物表面への被覆層の作製方法は,金属対象物の表面の少なくとも一部に樹脂を含有する被覆層を形成し,その後,前記金属対象物の表面の前記被覆層を流体を用いて等方加圧することにより,前記被覆層を硬化させるものである。

Description

この発明は,金属板その他の金属対象物の表面に高分子樹脂を含有する被覆層を作製する方法に関する。
金属板などの金属対象物の耐食性,導電性,装飾性を高めるために,その表面に高分子樹脂層を形成することがよく行なわれる。このような金属対象物の作製方法において,樹脂層を均一な密度で積層し,金属対象物表面に密着させ,かつ大量生産に適した方法が求められている。
一例として,固体高分子電解質形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)を挙げると,これは,燃料の水素ガスと酸化剤の酸素とを反応させて,電気エネルギーを得るものである。この燃料電池は次のような多数の単セルをスタックしたものである。すなわち単セルは,高分子電解質膜と,その両側に密着させた一対の多孔質電極(多孔質支持層+触媒層)とからなるMEA(Membrane Electrode Assembly:電極/膜接合体)を有し,その両側を燃料または酸化剤を供給する流路が形成された一対のセパレータによって挟持したものである。セパレータは,積層する際の機械強度部材としての機能の他に,集電機能,および燃料または酸化剤の供給機能(カソード側セパレータはさらに反応生成物の排出機能)を持つ。セパレータはその材料の観点から,炭素系と金属系に大別される。
炭素系のセパレータには,黒鉛ブロックを機械加工したもの,カーボン樹脂モールド品および膨脹黒鉛モールド成形物などがある。しかし,これらには高価,切削加工工数が多い,または割れやすいなどの問題がある。
金属セパレータは,高い電導性,熱伝導性,機械強度,および水素ガスの不透過性という特長を有している。さらに,原料流体の流路を成形する機械加工が容易であるため製造コストを低減できる。そして,薄型化できる有望な材料として,主に,オーステナイト系ステンレス鋼を用いた金属セパレータを中心に開発されている。しかし,金属セパレータは,耐食性が低いことが問題である。
これを解決する手段として,金属セパレータの表面に,導電性の高分子被膜を形成する方法,金,白金メッキ等の耐食性の金属被覆層を形成する方法などがとられている。たとえば,特許文献1では,流路をプレス成形した金属基材を,密着性の高い被覆層で被覆した金属セパレータが開示されている。これによれば,被覆層の剥離が起こりにくく,金属基材の腐食が防止できるとされている。
また,特許文献2では,流路溝をプレス加工成形することが容易な中間金属層の外表面に耐食性の金属層を設け,この金属層の表面に導電剤と樹脂結着剤とからなる被覆層を形成した金属セパレータが開示されている。これによれば,金属セパレータの耐食性を保持できるとされている。
また,特許文献3には,導電性流路板と金属製平板とを重ね合わせたセパレータ構造が開示されている。
特開2000−243408号公報 特開2003−272659号公報 特開2005−294155号公報
金属セパレータ表面に合成樹脂を含む被覆層を設ける場合に,その密着性が問題となる。密着性を高めるために熱圧着プレスを用いると,プレスによる応力(ひずみ)が金属板に残り,長時間の使用により応力腐食割れが生じる可能性がある。また,充分な密着性が得られなければ被覆層が剥離することも起こりうる。
この発明は,金属対象物表面に高分子樹脂層を,金属対象物に残留応力を生じさせることなく密着させることができる作製方法を提供するものである。
この発明はさらに,樹脂層を均一に密着させることができる方法を提供するものである。
さらにこの発明は,大量生産に適した樹脂被覆層の作製方法を提供するものである。
この発明による金属対象物表面への被覆層の作製方法は,金属対象物の表面の少なくとも一部に樹脂を含有する被覆層を形成し,その後,金属対象物の表面の被覆層を流体を用いて等方加圧することにより,被覆層を硬化させるものである。
この発明によると,金属対象物表面の樹脂を含有する被覆層を,流体を用いて等方加圧,すなわちあらゆる方向から同じ圧力で加圧して硬化させているので,金属対象物に加圧による残留応力を生じさせることなく,かつ均一に被覆層を金属対象物表面に密着させることができる。
被覆層が緻密層などの場合には,金属対象物表面の被覆層を直接的に流体で等方加圧することができる。
好ましくは,金属対象物を薄膜パック内に入れ,パック内を脱気し,その後,パックの外部から被覆層を流体で等方加圧する。この場合には,金属対象物とパックとの間に離型フィルムを介在させるとよい。
熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂のいずれも用いることができる。熱硬化性樹脂を用いて被覆層を形成した場合には,等方加圧するとともに加熱する。熱可塑性樹脂を用いて被覆層を形成した場合には,等方加圧するとともに加熱し,その後,急冷する。
被覆層に導電性をもたせる場合には,高分子樹脂に加えて導電材を含有する構成の被覆層とする。導電材の含有量の調整により,被覆層を緻密層にすることも,多孔質層にすることもできる。
金属対象物と被覆層には種々の態様がある。一態様としては,金属対象物が金属板であり,その少なくとも一面に緻密な被覆層が形成されている。他の態様では,金属対象物が金属板であり,その両面に緻密な被覆層が形成されている。さらに他の態様では,金属対象物が金属板であり,被覆層が金属板の少なくとも一面を覆う緻密な耐食層であり,耐食層の上に耐食層の周囲を囲む枠層が形成されている。さらに他の態様では,金属対象物が金属板であり,少なくともその一面に緻密な被覆層を形成し,被覆層の表面の少なくとも一部の上に多孔質層を形成し,被覆層と多孔質層を同時に等方加圧する。他の態様では,金属対象物が波形加工された金属板である。
大量生産に適したこの発明による作製方法は,金属対象物が樹脂による被覆層が形成された金属板であり,複数の金属板を帯状の薄膜パック内に間隔をあけて入れ,隣接する金属板が重なるようにパックを折り畳むとともに,隣接する金属板を包むパックの間にスペーサを入れ,スペーサを介在させてスタックされた複数の金属板をパックごと耐圧容器内に入れて,流体で等方加圧する。スペーサは多孔質であることが好ましい。
この発明によると,上記の方法により燃料電池用金属セパレータを作製することができる。
この発明による金属対象物表面に被覆層を作製するための装置は,表面の少なくとも一部に樹脂を含有する被覆層が形成された金属対象物を入れる耐圧容器と,加圧流体を貯留するための貯留タンクと,貯留タンク内の加圧流体を耐圧容器内に加圧して導入する加圧ポンプとを有する。耐圧容器内を負圧にするための真空ポンプをさらに備えるとよい。
この装置を用いて金属対象物の表面に被覆層を作製するためには,金属対象物を薄膜のパック内に入れ,金属対象物を収納したパックを耐圧容器内に入れ,耐圧容器内に貯留タンク内の加圧流体を加圧ポンプにより加圧して導入する。または,金属対象物を薄膜のパック内に入れ,金属対象物を収納したパックを耐圧容器内に入れ,耐圧容器内を真空ポンプにより脱気し,これによりパック内も脱気し,その後,耐圧容器内に貯留タンク内の加圧流体を加圧ポンプにより加圧して導入する。この場合に,金属対象物とパックとの間に離型フィルムを介在させるとよい。
第1図はこの発明の実施例による形成品の一例を示す斜視図である。
第2図は第1図のII−II線にそう拡大断面図である。
第3図はこの発明の実施例による他の形成品の一例を示す斜視図である。
第4図は第3図のIV−IV線にそう拡大断面図である。
第5図はさらに他の形成品の例を示す第2図に相当する拡大断面図の一部を示すものである。
第6図はさらに他の形成品の例を示す第2図に相当する拡大断面図の一部を示すものである。
第7図はさらに他の形成品の例を示す第2図に相当する拡大断面図の一部を示すものである。
第8図はこの発明の実施例によるさらに他の形成品の例を示す斜視図である。
第9図は第8図のIX−IX線にそう拡大断面図である。
第10図はこの発明による実施例によるさらに他の形成品の例を示す斜視図である。
第11図は第10図のXI−XI線にそう拡大断面図の一部を示す。
第12図は,形成品のさらに他の例を示す第11図に相当する拡大断面図である。
第13図は,形成品のさらに他の例を示す第11図に相当する拡大断面図である。
第14図は,形成品のさらに他の例を示す第11図に相当する拡大断面図である。
第15図は,形成品のさらに他の例を示す第11図に相当する拡大断面図である。
第16図は大量生産に適したシステムの一部を示すもので,帯状パックを形成する過程を示す斜視図である。
第17図は形成された帯状パック内に半形成品が収納されている様子を示す。
第18図は,帯状パックを半形成品ごとに折り重ねてスタックしていく様子を示す。
第19図は等方加圧により樹脂被覆層を硬化させるシステムを示す系統図である。
金属対象物の表面に被覆層を作製して得られる形成品の例を述べる。金属対象物は金属板である。
第1図および第2図に示される形成品10Aは,方形の金属平板11Aの一表面上に被覆層(耐食層)12Aを作製したものである。
第3図および第4図に示される形成品10Bは,一方向に湾曲した金属平板11Bの一表面上に被覆層(耐食層)12Bを作製したものである。
第5図に示される形成品10Cは,一方向にのびる溝13Aと凸条(またはリブ)13Bとが交互に形成された金属平板11Cの一表面(溝部と凸条部の表面)に被覆層(耐食層)12Cを作製したものである。
第6図に示す形成品10Dは,一方向にのびる断面が台形の溝14Aと凸条(またはリブ)14Bが交互に形成された金属平板11Dの一表面(溝部と凸条部の表面)に被覆層(耐食層)12Dが形成されたものである。
第7図に示す形成品10Eは,金属平板11Eの表面に凹凸による模様を有する被覆層(装飾層)12Eが形成されたものである。
第8図および第9図に示す形成品10Fは,方形の金属平板11Fの一表面上に,枠12fを有する被覆層(耐食層)12Fが形成されたものである。枠12fは方形であり,被覆層12Fの周囲全体にわたって形成され,被覆層12Fの平面部よりも突出している。
第10図および第11図に示す形成品10Gは,方形の金属平板11Gの一表面に,多数のリブ15Aと枠12gとを有する被覆層(耐食層)12Gが形成されたものである。枠12gは方形で被覆層12Gの全周囲に突出状(凸条)に設けられている。多数のリブ15Aは,枠12g内に等間隔で平行に設けられ,その両端と枠12gとの間には間隔があけられている。隣接するリブ15Aの間,およびリブ15Aと枠12gとの間は溝(流路)15Bとなっている。リブ15Aの高さは枠12gの高さと同じである。
このような形成品12Gは,たとえば固体高分子電解質形燃料電池(PEFC)のセパレータとして利用できる(第10図では,カソード・ガス,アノード・ガスまたは冷却水の導入口,排出口の図示が省略されている)。この場合に,リブ15Aは蛇行状など,種々の形態をとりうる。
以上に述べた形成品10A〜10Gは,それぞれ金属平板11A〜11Gの一表面上に高分子樹脂を含有する被覆層12A〜12Gを形成し,その後,金属板の表面の被覆層を,流体を用いて等方加圧することにより,被覆層を硬化させることにより作製される。
金属平板11A〜11Gは表面の引張残留応力が小さいものであることが好ましい。金属平板11A〜11Gは,インコネル,ニッケル,金,銀,白金のうち一以上からなる金属,またはオーステナイト系ステンレス鋼板へ前記金属をめっきしたもの,もしくはクラッド材であることが好ましい。これらの金属を用いることにより,耐食性を向上できる。
被覆層12A〜12Gの高分子樹脂には熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂のいずれも用いることができる。高分子樹脂の例には,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂,ゴム系樹脂,フラン樹脂,フッ化ビニリデン樹脂などがある。
被覆層に導電性をもたせるときには,被覆層(リブ,枠を含む)12A〜12Gを導電材(好ましくは炭素系導電材)と高分子樹脂の混合物を含む構成とする。高分子樹脂に炭素系導電材を混合することにより,高分子樹脂に高い導電性を付与することができ,また高分子樹脂の耐食性を向上させることができる。高分子樹脂の含有率を高めて,導電性を確保しつつ緻密化する(気体,液体を通過,透過させない)と,耐食層となる。
炭素系導電材としては,黒鉛,カーボンブラック,ダイヤモンド被覆カーボンブラック,炭化ケイ素,炭化チタン,カーボン繊維,カーボンナノチューブなどを用いることができる。
一例として,炭素系導電材粉末,熱硬化性樹脂粉末および揮発性溶剤を混練してペースト状にし,このペーストを用いてロールコート,スクリーンプリント,スプレーコート,スタンプ,絞り出し法などにより,均一な厚さの薄膜状の被覆層,または枠もしくはリブを有する被覆層を金属板上に形成する,被覆層を乾燥(溶剤を揮発)させた後,被覆層を有する金属板を耐圧容器内に入れ,加圧流体(水,油等)を耐圧容器内に導入して等方加圧,加熱し,樹脂を硬化させる。被覆層が緻密層の場合には,直接に流体と接してもよい。または,被覆層が形成された金属板全体を軟質の薄いゴム・パック(または樹脂フィルム・パック)内に入れ,パック内を真空に脱気した後,ゴム・パックを耐圧容器内に入れ(耐圧容器内でゴム・パック内を脱気してもよい),加圧流体を容器内に導入して等方加圧して樹脂を硬化させる。金属板とゴム・パックとの間にフッ素系樹脂による離型フィルムを介在させるとよい。
薄膜(フィルム)パックの材質は,加圧に耐え,流体を浸透しない材質であればよく,ゴムであれば,アクリルゴム(140〜150℃),シリコーンゴム(180〜200℃),フッ素ゴム(>200℃),また樹脂であれば,ポリフェニレンスルフィド,ポリエチレンナフタレート,ポリアリーレンアミド,ポリイミド,ポリエーテル,エーテルケトン等を用いることができる。
熱硬化性樹脂を用いて被覆層を形成した場合には,流体によって等方加圧するとともに加熱する。熱可塑性樹脂を用いて前記被覆層を形成した場合には,流体によって等方加圧するとともに加熱し(被覆層が変形しない程度に),その後,急冷するとよい。
以上のようにして,被覆層を金属板表面に形成したのち,これを流体を用いて等方加圧して硬化させているから,被覆層を金属板に残留応力を生じさせることなく密着させることができるとともに,被覆層を均一に密着させることができる。
第12図に示す形成品10Hは,金属平板11Hの一表面に,枠12hを有する被覆層(耐食層)12Hが形成され,被覆層12Hの上に,さらに枠12hと同じ高さの多数の多孔質リブ16を間隔をあけて平行に設けたものである。多孔質リブ16により第10図に示すものと同じような流路が形成される。
第13図に示す形成品10Jにおいては,金属平板11Jの一表面に,枠11jを有する被覆層(耐食層)12Jが形成され,被覆層12Jの上に枠11jと同じ高さの多数の多孔質リブ16が平行に形成されているとともに,金属平板11Jの他表面にも被覆層(耐食層)17が形成されたものである。
第14図に示す形成品10Kにおいては,金属平板11Kの両面に被覆層(耐食層)12K,17が形成され,これらの被覆層12K,17の上に,多数の多孔質リブ18,19が平行に形成されているものである。多孔質リブ18と19の高さ,幅等は異なる。
第15図に示す形成品10Mにおいては,金属平板11Mの両面に被覆層(耐食層)12M,17が形成され,これらの被覆層12M,17の上に,断面台形状の多数の多孔質リブ18A,19Aが平行に形成されているものである。多孔質リブ18Aと19Aの高さ,幅等は異なる。
第12図から第15図に示す形成品10H〜10Mもまた燃料電池のセパレータとして利用できる。多孔質リブ内を気体または流体が通過することができる。
多孔質リブもまた導電材と高分子樹脂の混合物を含む構成とすることができる。炭素系導電材の含有率を調整することにより,多孔質リブの流体抵抗(気孔率)を調整(制御)することができる。特に炭素繊維を多く混入すると流体抵抗が減少する(気孔率が大きくなる)。逆に,高分子樹脂の含有率を増加させることにより流体抵抗を高くする(気孔率を小さくする)ことができる。
このような形成品10H〜10Mもまた,流体による等方加圧により形成することができる。たとえば熱硬化性樹脂を用いる場合,炭素系導電材粉末(および,必要ならば炭素繊維),樹脂粉末および揮発性溶剤を混練してペースト状にする。このペーストには,被覆層(耐食層)用のものと,多孔質リブ用のものを用意しておく。そして,金属平板上に,まず被覆層のパターンをプリント,スタンプ,絞り出し等により形成し,乾燥させて溶剤を揮発させる。次に,多孔質リブのパターンを被覆層上に同様の方法により形成し,乾燥させて溶剤を揮発させる。上記のすべてのパターンが形成された金属平板の全体を軟質の薄いゴム・パックに入れ,ゴム・パック内を真空に脱気した後,ゴム・パックを耐圧容器に入れ(または耐圧容器内で脱気し),加熱流体を容器内に導入して,加圧,加熱流体で等方加圧,加熱して樹脂を硬化させる。被覆層の枠の高さと多孔質リブの高さ(厚さ)を最終的に同じ高さ(厚さ)にするために,樹脂硬化の際の収縮の程度に応じて,これらの枠やリブ等の高さ(厚さ)をパターン作製時に調整しておくことが好ましい。
上述した種々の形成品の大量生産の方法について,第10図に示す形成品10Gを例に用いて,第16図から第19図を参照して説明する。形成品10Gは被覆層12Gが等方加圧により硬化された後のものである。被覆層の樹脂を硬化させる前の半形成品を10gで示す。
合成ゴムまたは合成樹脂によるパック(包装)用フィルム31がロール31Aに巻回されている。また,フッ素系樹脂による離型フィルム32がロール32Aに巻回されている。これらのフィルム31,32をロール31A,32Aから引き出し,ローラ33,34等で案内しながら,漸次,幅方向の中央が最下端で折返すように,幅方向に2つ折りにしていく。離型フィルム32がフィルム31の内側になる。2つ折りにされて搬送されていくフィルム32内に,上から半形成品10gを入れる。フィルム31,32の幅方向の上端部は熱ローラ35により挟持されて熱溶着される。このようにして,多数の半形成品10gを適当な間隔をあけて包み込んだ細長い帯状のパック41ができる。このパック41の先端はあらかじめの熱溶着等により封止されている。
すなわち,第17図に示すように,帯状のパック41は折り返された側辺を除いて,他の側辺および両端で密着され(密着部分を二重のハッチング41Aで示す),閉じている。一端には脱気用の細孔42をあけておく。脱気孔に,一方向弁または逆流防止弁(パック内から脱気する方向にのみ気体を通す)を取付けておいてもよい。半形成品10gは間をあけてパック41内に入っている。離型フィルムが半形成品10gに直接に接していることになる。離型フィルム32は部分41Aでフィルム31と一緒に密着しなくてもよい。離型フィルムは半形成品の表面を覆っていればよい。
第18図に示すように,多数の半形成品10gを間隔をあけて封入した帯状パック41はコンベア52によって搬送され,スタッカの台50に積み重ねられていく。すなわち,まず,最初の半形成品10gを入れた部分を台50に載せ,台50を少し下げながら,コンベア52によって次の半形成品10gを送り出していくとともに,コンベア52自体も前方向,または後方向に移動させながら,台50上に置かれた半形成品10gの部分の上に次の半形成品10gの部分を重ねていく。このとき,上下の半形成品10gの間に,多孔質のスペーサ51を挿入する(紙面のこちら側,または向こう側から挿入する)。
このようにして,スペーサ51を間に入れながら,パック内の半形成品10gの部分ごとに折り返されて積み重ねられスタック全体を,第19図に示す耐圧容器(タンク)61内に入れる。ポンプ装置64は耐圧容器61内を真空に引くとともに,加熱流体容器62または冷却流体容器63内を加圧するものである。
半形成品10gの被覆層12Gが熱硬化性樹脂の場合の樹脂硬化処理について説明する。
ポンプ装置64から耐圧容器61および冷却流体容器63に空気管が引かれ,ここにバルブ72,78が設けられている。冷却流体容器63と耐圧容器61との間の液体配管にバルブ79が設けられている。ポンプ装置64から加熱流体容器63に配設された空気管にバルブ74が,加熱流体容器62と耐圧容器61の上,下部との間の配管にバルブ76,75がそれぞれ設けられている。各容器61,62,63にはガス抜き用のバルブ71,73,77が設けられている。
耐圧容器61に連通する管のバルブ71,75,76,79を閉じ,バルブ72のみを開いて,ポンプ64を真空ポンプとして作動させる。耐圧容器61内は脱気されていく。これにより,耐圧容器61内に収容されたスタックの帯状パック41の内部も脱気孔42(または一方向弁)を通して脱気されていく。パック41の内部が真空になればよい。
この後,バルブ72を閉じる。加熱流体容器62内には加熱した流体(油,水等)が入っている。バルブ73を閉じ,バルブ74,75を開いて,ポンプ64を加圧ポンプとして作動させる。ポンプ64からの加圧空気はバルブ74を通して容器62内に送られ,容器62内の加熱流体を押し出す。加熱流体はバルブ75を通って容器61に送られる。容器61が加熱流体で満たされると,容器61内を加圧した状態に保持して(バルブ75を閉じて)所定時間放置する。これにより,パック41内の半形成品10gの被覆層12Gは加熱,加圧され,その樹脂が硬化する。パック内の半形成品10g間には多孔質スペーサ51が介装されているので,半形成品10gの表面には,加熱流体によってあらゆる方向から等しい圧力が加わる(等方加圧)。これにより被覆層12Gは金属平板11Gに均等に密着して硬化する。
被覆層12Gが硬化したのち,バルブ76,73を開き,バルブ78,79を開いて,ポンプ64により冷却流体を容器63から押し出し,容器61内に下から流入させる。容器61内の加熱流体はバルブ76を通して容器62に戻る。
冷却流体を容器61内に満たしてパック41とその内部の形成品10Gを冷却させると,バルブ71,バルブ79,77を開いて流体を自重によりバルブ79を通して容器63内に戻す。
熱可塑性樹脂により形成された被覆層を持つ半形成品の場合には,半形成品を耐圧容器61内で加熱流体により樹脂が少し軟らかくなる程度に加熱し,その後,冷却流体を容器61内に導入して急冷し,樹脂を硬化させるとよい。
この後,形成品が入ったパックのスタックを耐圧容器61から取出し,パックの表面の流体を洗浄し,カッターでパックを開いて,内部の形成品を取り出せばよい。
以上のようにして,多数の半形成品を帯状パック内に入れて一挙に等方加圧して樹脂を硬化させるので,上述した方法とシステムは大量生産に適している。
この発明による方法により製作した形成品は,金属板の表面に樹脂による被覆層が均一に密着しているので燃料電池のセパレータ,その他の用途に利用できる。

Claims (20)

  1. 金属対象物の表面の少なくとも一部に樹脂を含有する被覆層を形成し,その後,前記金属対象物の表面の前記被覆層を流体を用いて等方加圧することにより,前記被覆層を硬化させる,金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  2. 前記金属対象物表面の前記被覆層を直接的に流体で等方加圧する,請求の範囲第1項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  3. 前記金属対象物を薄膜パック内に入れ,前記パック内を脱気し,その後,前記パックの外部から前記被覆層を流体で等方加圧する,請求の範囲第1項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  4. 前記金属対象物と前記パックとの間に離型フィルムを介在させる,請求の範囲第3項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  5. 熱硬化性樹脂を用いて前記被覆層を形成し,等方加圧するとともに加熱する,請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  6. 熱可塑性樹脂を用いて前記被覆層を形成し,等方加圧するとともに加熱し,その後,急冷する,請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  7. 前記被覆層が樹脂に加えて導電材を含有する,請求の範囲第1項から第6項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  8. 前記被覆層が緻密な層である,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  9. 前記金属対象物が金属板であり,その少なくとも一面に緻密な前記被覆層が形成されている,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  10. 前記金属対象物が金属板であり,その両面に緻密な被覆層が形成されている,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  11. 前記金属対象物が金属板であり,前記被覆層が前記金属板の少なくとも一面を覆う緻密な耐食層であり,前記耐食層の上に前記耐食層の周囲を囲む枠層が形成されている,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  12. 前記金属対象物が金属板であり,少なくともその一面に緻密な前記被覆層を形成し,前記被覆層の表面の少なくとも一部の上に多孔質層を形成し,前記被覆層と多孔質層を同時に等方加圧する,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  13. 前記金属対象物が波形加工された金属板である,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  14. 前記金属対象物が金属板であり,複数の前記金属板を帯状の薄膜パック内に間隔をあけて入れ,隣接する前記金属板が重なるように前記パックを折り畳むとともに,隣接する金属板を包むパックの間にスペーサを入れ,スペーサを介在させてスタックされた複数の金属板を前記パックごと耐圧容器内に入れて,流体で等方加圧する,請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の金属対象物表面への被覆層の作製方法。
  15. 請求の範囲第1項から第14項のいずれか一項に記載の方法により燃料電池用金属セパレータを作製する方法。
  16. 表面の少なくとも一部に樹脂を含有する被覆層が形成された金属対象物を入れる耐圧容器と,
    加圧流体を貯留するための貯留タンクと,
    前記貯留タンク内の加圧流体を前記耐圧容器内に加圧して導入する加圧ポンプと,
    を有する金属対象物表面に被覆層を作製するための装置。
  17. 前記耐圧容器内を負圧にするための真空ポンプをさらに備える,請求の範囲第16項に記載の装置。
  18. 前記金属対象物を薄膜のパック内に入れ,
    前記金属対象物を収納した前記パックを前記耐圧容器内に入れ,
    前記耐圧容器内に前記貯留タンク内の加圧流体を前記加圧ポンプにより加圧して導入する,
    請求の範囲第16項に記載の装置を用いた方法。
  19. 前記金属対象物を薄膜のパック内に入れ,
    前記金属対象物を収納した前記パックを前記耐圧容器内に入れ,
    前記耐圧容器内を前記真空ポンプにより脱気し,
    前記耐圧容器内に前記貯留タンク内の加圧流体を前記加圧ポンプにより加圧して導入する,
    請求の範囲第17項に記載の装置を用いた方法。
  20. 前記金属対象物と前記パックとの間に離型フィルムを介在させる,請求の範囲第18項または第19項に記載の方法。
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