JPWO2014087805A1 - 調節器、制御方法および制御プログラム - Google Patents

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Abstract

調節器は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、第1の操作量または第2の操作量を選択的に決定する操作量決定手段と、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するチューニング手段とを含む。チューニング手段は、第1の操作量および第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性からパラメータを決定する。

Description

本発明は、オートチューニング機能を有する調節器、その調節器における制御方法、およびその調節器を実現する制御プログラムに関する。
現在、PID制御系をはじめとするフィードバック制御系は、温度制御、速度制御、位置制御といった様々な用途で利用されている。このようなフィードバック制御系では、目標値の変更に対する応答性や外乱に対する収束性を高めるために、比例ゲイン、積分時間、微分時間といった制御パラメータを制御対象に応じて最適化することが重要である。
しかしながら、フィードバック制御系についての知識のないユーザが制御パラメータを最適化することは容易ではない。そのため、このような制御パラメータを自動的に最適化するオートチューニング機能が開発および実用化されている。このようなオートチューニング機能の代表例としては、ステップ応答法、限界感度法(非特許文献1参照)、リミットサイクル法(特許文献1および2参照)などが知られている。
具体的には、特開平05−289704号公報(特許文献1)は、加熱および冷却2種類のPID演算機能を有する加熱冷却調節計を開示する。この加熱冷却調節計は、加熱および冷却オートチューニング機能を有している。特開2004−227062号公報(特許文献2)は、加熱アクチュエータに操作量を出力するヒートモードと冷却アクチュエータに操作量を出力するクールモードとを適宜切り換えて温度制御を行うヒートクール制御技術を開示している。このヒートクール制御技術は、操作量振幅が一定のリミットサイクルを発生させて制御パラメータを調整するリミットサイクルオートチューニング方法を含む。
特開平05−289704号公報 特開2004−227062号公報
J.G.Ziegler and N.B.Nichols, "Optimum Settings for Automatic Controllers", TRANSACTIONS OF THE A.S.M.E., November, 1942
フィードバック制御系に非線形要素を含む場合、つまり、操作量と制御対象に生じる制御量との間の非線形性が強い場合には、オートチューニング機能では制御パラメータを最適化できないこともある。特許文献1に記載の加熱冷却調節計は、非線形の静特性を有する制御対象に対して、冷却オートチューニング時において、制限率を用いて操作量の個々のレベルを制限するという構成を採用する。しかしながら、この制限率をどのような値に決定すべきかについては何ら開示されておらず、制御対象に応じて経験的または試行錯誤的に決定せざるを得ない。また、特許文献2に記載のヒートクール制御装置は、第1のリミットサイクルと第2のリミットサイクルとを発生させ、その制御応答に基づいて制御パラメータを算出するという構成を採用する。しかしながら、この特許文献2に記載の構成は、ヒート側の加熱能力とクール側の冷却能力とに差がある場合を想定しており、加熱能力および/または冷却能力の各々が非線形性を有するような場合には対応できない。
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、その目的は、非線形性の強い制御対象に対しても、オートチューニングを適切に行うことのできる調節器、その調節器における制御方法、およびその調節器を実現する制御プログラムを提供することである。
本発明の別の目的は、ユーザフレンドリなオートチューニング機能を有する調節器、その調節器における制御方法、およびその調節器を実現する制御プログラムを提供することである。
本発明のある局面に係るオートチューニング機能を有する調節器は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するチューニング手段とを含む。チューニング手段は、第1の操作量および第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性からパラメータを決定する。
好ましくは、チューニング手段は、直前の交互出力によって取得された応答特性から、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定する。
さらに好ましくは、チューニング手段は、直前の交互出力において第1の操作量が出力された期間の長さと第2の操作量が出力された期間の長さとに応じて、当該直前の交互出力における第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定する。
好ましくは、チューニング手段は、順次変更される第1の操作量の大きさの別に、第1の操作量に対応する制御量の変化速度との関係を評価することで、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有しているか否かを判断する。
好ましくは、チューニング手段は、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されなくとも、第1の操作量および第2の操作量の交互出力が予め定められた回数実行されると、最終の交互出力において取得された応答特性からパラメータを決定する。
本発明の別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するチューニング手段とを含む。チューニング手段は、直前の交互出力における第2の操作量が出力された期間の長さに対する第1の操作量が出力された期間の長さの比のn乗(n>1)に応じて、当該直前の交互出力における第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定する。
好ましくは、チューニング手段は、1.5≦n≦3.0を満たすようなnを用いて、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定する。
好ましくは、制御対象は、加熱装置および冷却装置を含む押出成形機を含み、加熱装置により制御対象に生じる加熱についての制御量は、対応する操作量について相対的に強い線形性を有しており、冷却装置により制御対象に生じる冷却についての制御量は、対応する操作量について相対的に強い非線形性を有している。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、第1の操作量および第2の操作量の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するチューニング手段とを含む。チューニング手段は、応答特性から第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を維持できる第1の操作量の範囲を推定するとともに、当該推定した範囲からパラメータを決定する。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するチューニング手段と、現在実行されている交互出力の回数を表示する表示手段とを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するチューニング手段と、パラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示する表示手段とを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器における制御方法は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップとを含む。パラメータを決定するステップは、第1の操作量および第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性からパラメータを決定するステップを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器における制御方法は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップとを含む。パラメータを決定するステップは、直前の交互出力における第2の操作量が出力された期間の長さに対する第1の操作量が出力された期間の長さの比のn乗(n>1)に応じて、当該直前の交互出力における第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定するステップを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器における制御方法は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、第1の操作量および第2の操作量の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップとを含む。パラメータを決定するステップは、応答特性から第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を維持できる第1の操作量の範囲を推定するとともに、当該推定した範囲からパラメータを決定するステップを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器における制御方法は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップと、現在実行されている交互出力の回数を表示するステップとを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器における制御方法は、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップと、パラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示するステップとを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムは、プロセッサに、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップとを実行させる。パラメータを決定するステップは、第1の操作量および第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性からパラメータを決定するステップを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムは、プロセッサに、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップとを実行させる。パラメータを決定するステップは、直前の交互出力における第2の操作量が出力された期間の長さに対する第1の操作量が出力された期間の長さの比のn乗(n>1)に応じて、当該直前の交互出力における第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定するステップを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムは、プロセッサに、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、第1の操作量および第2の操作量の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップとを実行させる。パラメータを決定するステップは、応答特性から第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を維持できる第1の操作量の範囲を推定するとともに、当該推定した範囲からパラメータを決定するステップを含む。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムは、プロセッサに、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップと、現在実行されている交互出力の回数を表示するステップとを実行させる。
本発明のさらに別の局面に係るオートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムは、プロセッサに、制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、第1の操作量および第2の操作量を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からパラメータを決定するステップと、パラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示するステップとを実行させる。
本発明のある局面によれば、非線形性の強い制御対象に対しても、オートチューニングによって制御パラメータを適切に決定できる。また、本発明の別の局面によれば、ユーザフレンドリなオートチューニング機能を提供できる。
本実施の形態に係るフィードバック制御系を示す模式図である。 本実施の形態に係るフィードバック制御系を実現するシステム構成を示す模式図である。 図2に示す制御対象プロセスにおける操作量と加熱能力および冷却能力との特性例を示す図である。 図2に示す制御対象プロセスにおける操作量と加熱能力および冷却能力との別の特性例を示す図である。 一般的なオートチューニングの実行時における制御対象の温度(観測量)および操作量の時間変化の一例を示す図である。 図5に示すオートチューニングの実行によって決定されたPIDパラメータを用いてフィードバック制御を行った場合の制御対象の温度(観測量)および操作量の時間変化の一例を示す図である。 本実施の形態に係る調節器によるオートチューニング実行時の時間波形例を示す図である。 本実施の形態に係る調節器によるオートチューニング実行時の操作量の冷却能力の特性上における変化を示す図である。 本実施の形態に係る調節器によるオートチューニングにおける誤差の評価方法を説明するための図である。 実施の形態に係る調節器において実行されるオートチューニングの処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る調節器に搭載されるオートチューニング機能を実現する制御構成を示す模式図である。 本実施の形態に係るオートチューニングに係る各部の時間波形を示す一例である。 図12に示すオートチューニングの実行によって算出されたPIDパラメータを用いた制御性能の比較例を示す図である。 本実施の形態に係る調節器が提供するユーザインターフェイスの一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る調節器が提供するユーザインターフェイスの別の一例を示す模式図である。 本実施の形態の変形例1に係るオートチューニングに係る各部の時間波形を示す一例である。 図2に示す制御対象プロセスにおける加熱能力および冷却能力と操作量(加熱および冷却)との間の関係の一例を示す図である。 本実施の形態の変形例3に係るパラメータを決定する過程を説明するための図である。 本変形例に係るオートチューニング機能によって算出されたPIDパラメータの誤差率の評価結果例を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[A.制御対象プロセス]
まず、本実施の形態に係る調節器の制御対象について説明する。図1は、本実施の形態に係るフィードバック制御系1を示す模式図である。図1を参照して、フィードバック制御系1は、調節器100と、制御対象プロセス200とを含む。制御対象プロセス200は、アクチュエータとして加熱装置210および冷却装置220を含み、これらの装置が制御対象230に対して加熱または冷却を行う。
調節器100は、制御対象230から取得される観測量(温度)が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、制御対象230の制御量に第1の変化(冷却)を生じさせるための第1の操作量(冷却側の操作量)、または、制御量に第1の変化とは反対の第2の変化(加熱)を生じさせるための第2の操作量(加熱側の操作量)を選択的に決定する。すなわち、基本的には、加熱と冷却とが同時になされることはなく、制御対象230の温度が予め設定された目標値と一致するように、加熱装置210による制御対象230に対する加熱、および、冷却装置220による制御対象230に対する冷却が選択的に実行される。
このような制御を実現するため、調節器100は、フィードバックされる制御対象230の温度と予め設定される目標値とを比較して、加熱信号または冷却信号を選択的に、加熱装置210または冷却装置220へそれぞれ出力する。つまり、調節器100は、加熱装置210および冷却装置220を制御することで、制御対象230の温度を一定に保つ。
以下の説明においては、制御対象230に属する量のうちで制御目的を代表するものを「制御量」と称し、制御対象230に設けられた温度センサなどの検出部によって取得された量を「観測量」と称する。厳密に言えば、「観測量」は「制御量」に何らかの誤差を含む値として定義されるが、この誤差を無視すれば、「観測量」は制御対象230の「制御量」とみなすことができる。そのため、以下の説明において、「観測量」と「制御量」とを同義で用いることもある。
図1に示す制御対象プロセス200としては、任意のプロセスを含めることができるが、典型的には、押出成形機における原料の温度制御や恒温槽内の温度制御などが挙げられる。以下、押出成形機における原料の温度制御を一例として、本実施の形態の詳細な内容について説明するが、本発明の適用範囲はこのプロセスに限られるものではない。
本実施の形態に係る調節器100を含むフィードバック制御系1は、PID制御系を含む。本明細書において、「PID制御系」は、比例動作(Proportional Operation:P動作)を行う比例要素、積分動作(Integral Operation:I動作)を行う積分要素、および微分動作(Derivative Operation:D動作)を行う微分要素のうち、少なくとも一つの要素を含む制御系を意味する。すなわち、本明細書において、PID制御系は、比例要素、積分要素および微分要素のいずれをも含む制御系に加えて、一部の制御要素、例えば比例要素および積分要素のみを含む制御系(PI制御系)なども包含する概念である。
本実施の形態に係る調節器100は、PID制御系に必要な制御パラメータ(以下、「PIDパラメータ」とも記す。)を最適化するためのオートチューニング機能を有している。このオートチューニング機能として、調節器100は、第1の操作量(冷却側の操作量)および第2の操作量(加熱側の操作量)を観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性からPIDパラメータを決定する。すなわち、調節器100は、冷却側の操作量と加熱側の操作量とを交互に出力してリミットサイクルを発生させ、この発生したリミットサイクルの応答特性に基づいて、PIDパラメータが決定される。このオートチューニング機能の詳細については、後述する。
[B.システム構成]
次に、図1に示すフィードバック制御系1を押出成形機のプロセスに適用した実装例について説明する。図2は、本実施の形態に係るフィードバック制御系1を実現するシステム構成を示す模式図である。
図2を参照して、調節器100は、制御対象プロセス200から測定された温度(観測量:Process Value;以下「PV」とも記す。)が、入力された目標値(設定値:Setting Point;以下「SP」とも記す。)と一致するように、操作量(Manipulated Value;以下「MV」とも記す。)を出力する。調節器100は、この操作量として、加熱に係る加熱信号および冷却に係る冷却信号を出力する。
具体的には、調節器100は、制御部110と、アナログ・デジタル(A/D)変換部からなる入力部120と、2つのデジタル・アナログ(D/A)変換部からなる出力部130と、設定部140と、表示部150とを含む。
制御部110は、通常のPID制御機能およびオートチューニング機能などを実現するための演算主体であり、CPU(Central Processing Unit)112と、プログラムモジュール118を不揮発的に格納するFlashROM(Read Only Memory)114と、RAM(Random Access Memory)116とを含む。CPU112は、プロセッサであり、FlashROM114に格納されたプログラムモジュール118を実行することで、後述するような処理を実現する。この際、読み出されたプログラムモジュール118の実行に必要なデータ(PVおよびSPなど)は、RAM116に一次的に格納される。CPU112に代えて、デジタル信号処理に向けられたDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成してもよい。プログラムモジュール118については、各種の記録媒体を介して、アップデータできるように構成されてよい。そのため、プログラムモジュール118自体も本発明の技術的範囲に含まれ得る。また、制御部110の全体をFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いて実現してもよい。
入力部120は、後述する温度センサからの測定信号を受信し、その値を示す信号を制御部110へ出力する。例えば、温度センサが熱電対である場合には、入力部120は、その両端に発生する熱起電力を検出する回路を含む。あるいは、温度センサが抵抗測温体である場合には、入力部120は、当該抵抗測温体に生じる抵抗値を検出する回路を含む。さらに、入力部120は、高周波成分を除去するためのフィルタ回路を含んでいてもよい。
出力部130は、制御部110で算出される操作量に従って、加熱信号または冷却信号を選択的に出力する。具体的には、デジタル・アナログ変換部を含む加熱側出力部132は、制御部110で算出された操作量を示すデジタル信号をアナログ信号に変換し、加熱信号として出力する。一方、デジタル・アナログ変換部を含む冷却側出力部134は、制御部110で算出された操作量を示すデジタル信号をアナログ信号に変換し、冷却信号として出力する。
設定部140は、ユーザの操作を受け付けるボタンやスイッチなどを含み、受け付けたユーザ操作を示す情報を制御部110へ出力する。典型的には、設定部140は、ユーザから目標値(SP)の設定やオートチューニングの開始指令を受け付ける。
表示部150は、ディスプレイやインジケータなどを含み、制御部110における処理の状態などを示す情報をユーザへ通知する。
一方、制御対象プロセス200は、制御対象230(図1)の一例である押出成形機232を含む。押出成形機232は、チューブセクションであるバレル236内の軸中心に設けられたスクリュー234の回転によって、その内部に挿入された原料(例えば、プラスチック)を押し出す。この原料の温度を検出するための温度センサ240が押出成形機232の内部に設けられている。温度センサ240は、一例として、熱電対や抵抗測温体(白金抵抗温度計)からなる。
押出成形機232では、新たな原料の挿入によって吸熱する一方で、スクリュー234の回転による原料の移動によって発熱する。そのため、この吸熱反応と発熱反応とによる温度変動を抑制するために、加熱装置210および冷却装置220(いずれも図1)が設けられる。
図2に示すフィードバック制御系1において、加熱装置210の一例として、押出成形機232の内部に発熱体を設けた構成を採用する。
より具体的には、加熱装置210は、ソリッドステートリレー(Solid State Relay:SSR)212と、抵抗体である電熱ヒータ214とを含む。ソリッドステートリレー212は、AC電源と電熱ヒータ214との電気的な接続/遮断を制御する。より具体的には、調節器100は、加熱信号として、操作量に応じたデューティー比を有するPWM信号を出力する。ソリッドステートリレー212は、調節器100からのPWM信号に従って、回路をON/OFFする。この回路のON/OFFの比率に応じた電力が電熱ヒータ214へ供給される。電熱ヒータ214へ供給された電力は熱になって原料へ与えられる。
一方、冷却装置220は、押出成形機232の周囲に配置された冷却配管222と、冷却配管222へ供給される冷却媒体(典型的には、水や油)の流量を制御する電磁弁224と、冷却配管222を通過した後の冷却媒体を冷却するための水温調整設備226とを含む。電磁弁224が冷却配管222を流れる冷却媒体の流量を調整することで、冷却能力を制御する。より具体的には、調節器100は、冷却信号として、操作量に応じた大きさの電圧値または電流値を有する信号を電磁弁224へ出力する。電磁弁224は、調節器100からの冷却信号に従って、弁の開度を調整する。この開度調整によって、押出成形機232か取り除かれる熱量が制御される。なお、2位置動作(開または閉)のみが可能な電磁弁を採用した場合には、上述の加熱信号と同様に、冷却信号として操作量に応じたデューティー比を有するPWM信号を出力し、電磁弁224の開時間と閉時間とを調整することで、冷却媒体の流量を制御する。
[C.課題]
次に、図2に示すフィードバック制御系1において生じ得る、操作量と制御対象に生じる制御量との間の非線形性に由来する制御上の課題について説明する。特に、オートチューニングを実行した場合に生じる課題について説明する。
図3は、図2に示す制御対象プロセス200における操作量と加熱能力および冷却能力との特性例を示す図である。本明細書において、「加熱能力」および「冷却能力」を割合で示す場合には、以下のように定義される。
加熱能力[%]=任意操作量での加熱温度[℃/sec]/最大加熱温度[℃/sec]×100[%]
冷却能力[%]=任意操作量での冷却温度[℃/sec]/最大冷却温度[℃/sec]×100[%]
まず、加熱特性(加熱の操作量に対する加熱能力の関係)については、図3に示すように、ほぼリニアである。つまり線形性を有しているといえる。これは、加熱装置210として電熱ヒータ214が用いられており、操作量に比例する電流(電力)を供給することで、発熱量をリニアに制御できるからである。
これに対して、冷却特性(冷却の操作量に対する冷却能力の関係)は、冷却装置220を構成する冷却配管222を流れる冷却媒体に応じて、異なる特性を有する。例えば、冷却媒体として油を用いた場合には、相変化がなく安定しているので、冷却の操作量に対する冷却能力はほぼリニアになる。つまり線形性を有しているといえる。これに対して、冷却媒体として水を用いた場合や、空気を用いた場合(空冷方式)には、冷却の操作量に対する冷却能力は非線形となる。このように、冷却特性は、冷却媒体や冷却方式によって大きく異なったものとなる。
特に、水を用いた水冷方式では、液相から気相に変化する際の気化熱が相対的に大きく、このような気化熱が生じるような領域では冷却能力が非常に大きくなる。そのため、水を用いた冷却方式(水冷方式)では、この気化熱が大きく影響し、非線形性が強くなる。このような水冷方式について、その能力の特性を事前に把握することは容易ではない。
図4は、図2に示す制御対象プロセスにおける操作量と加熱能力および冷却能力との別の特性例を示す図である。図4に示す特性例は、図3に示す水冷方式を採用した場合に、その冷却能力を発揮するための水量を異ならせた場合の冷却能力の特性をそれぞれ示す。図4に示すように、水量を異ならせることで、非線形性を生じる操作量も変化することがわかる。
このような非線形性の強いフィードバック制御系に対して、一般的なオートチューニングを実行してPIDパラメータを決定すると、制御性能が悪化し得る。このような制御性能が悪化する理由について以下説明する。
図5は、一般的なオートチューニング実行時における制御対象の温度(観測量)および操作量の時間変化の一例を示す図である。図6は、図5に示すオートチューニングの実行によって決定されたPIDパラメータを用いてフィードバック制御を行った場合の制御対象の温度(観測量)および操作量の時間変化の一例を示す図である。より具体的には、図6(a)には、冷却側の操作量と冷却能力との関係を示し、図6(b)には、フィードバック制御時の制御対象の温度(観測量)および操作量の時間変化の一例を示す。
図5には、リミットサイクル法を用いたオートチューニング機能の例を示す。図5に示すように、通常のリミットサイクル法を適用した場合には、加熱側の操作量および冷却側の操作量をいずれも最大値(つまり、100%および−100%)として、交互にこれらの操作量を制御対象へ与える。このようにして発生した応答特性に基づいて、制御対象に応じたPIDパラメータが決定される。
このように決定されたPIDパラメータを用いてフィードバック制御を行うにあたって、実際に使用される操作量がオートチューニング実行時と離れている場合には、非線形性の影響を受けて制御性能が悪化する。すなわち、オートチューニング実行時に、図5に示すように、冷却能力が最大となる操作量が出力されているので、冷却装置220の冷却能力の最大値を前提として冷却能力の特性が推定される。すなわち、オートチューニング機能によって、図6(a)の破線に示すような特性が推定される。その推定された特性に応じたPIDパラメータが決定される。
しかしながら、実際の特性は、推定された特性とは乖離している領域もあり、図6(b)に示すように、操作量が相対的に小さい領域でフィードバック制御を行う場合には、推定された特性に対して、実際の特性は大きく乖離することになる。そのため、相対的に小さい操作量を用いて制御対象230を制御すると、オートチューニング機能によって設定されたPIDパラメータが前提とする想定より現実の冷却能力が高くなり、制御対象230を冷し過ぎるという事態が生じる。
具体的には、冷却側の操作量を相対的に小さい領域(例えば、10〜30%)で制御対象230を冷却すると、図6(b)に示すように、何らかの外乱に応答して冷却が開始されると、目標値に対して温度が下がり過ぎてしまうとともに、振動的な温度変動が生じてしまい、その収束に時間を要する。このように、オートチューニング機能によって推定された冷却能力と実際の冷却能力との乖離によって、制御性能が悪化する。
[D.解決手段の概要]
上述のような強い非線形性を有する制御対象230を含むフィードバック制御系に対して、より適切なPIDパラメータを設定できるオートチューニング機能について説明する。
本実施の形態においては、オートチューニングにおいて使用する操作量を段階的に変更しつつ、最も好ましい操作量の大きさを探索する。そして、最も好ましい操作量における応答特性に基づいてPIDパラメータを決定する。
より具体的には、調節器100は、そのオートチューニング機能として、第1の操作量(冷却側の操作量)および第2の操作量(加熱側の操作量)の交互出力において、出力の切替毎に第1の操作量(冷却側の操作量)の大きさを順次変更するとともに、第1の操作量(冷却側の操作量)に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性からPIDパラメータを決定する。すなわち、調節器100は、冷却側の操作量を段階的に変更しつつ、リミットサイクルを複数回実行する。そして、各リミットサイクルの結果が予め定められた条件を満たすと判断されると、調節器100は、そのときの冷却特性(応答特性)から、冷却側のPIDパラメータを算出する。なお、加熱特性(応答特性)から、加熱側のPIDパラメータも算出される。
図7は、本実施の形態に係る調節器100によるオートチューニング実行時の時間波形例を示す図である。図8は、本実施の形態に係る調節器100によるオートチューニング実行時の操作量の冷却能力の特性上における変化を示す図である。
本実施の形態においては、冷却能力に非線形性が存在するので、調節器100は、図7に示すように、オートチューニングの各サイクルにおいて、冷却側の操作量の大きさを順次変更していく。なお、加熱能力に非線形性が存在する制御系であれば、加熱側の操作量の大きさについても順次変更していけばよい。
より具体的には、1回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_1を100%と設定し、2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_2を1回目の操作量MVc_1をρ_1倍した値に設定し、3回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_3を2回目の操作量MVc_2をρ_2倍した値に設定する。以下同様にして、冷却側の操作量MVcをリミットサイクル毎に変更する。このように冷却側の操作量MVcを順次変更することで、オートチューニングにおいて考慮される冷却能力の大きさは、図8に示すように順次変化する。
ここで、冷却側の操作量MVcの変更係数ρ_i(0<ρ_i<1)については、予め定められた一定値を採用してもよいが、直前の交互出力によって取得された応答特性から、新たな交互出力における冷却側の操作量MVcの大きさを決定することが好ましい。このような直前の交互出力の応答特性を利用する一例として、本実施の形態においては、加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)を表す以下の比を用いる。
変更係数ρ_i=冷却出力時間Toff_i−1/加熱出力時間Ton_i−1
但し、冷却出力時間Toff_i−1は、(i−1)回目(前回)のリミットサイクルにおいて冷却側の操作量MVcが0に維持される時間の長さを示し、加熱出力時間Ton_i−1は、(i−1)回目(前回)のリミットサイクルにおいて冷却側の操作量MVcが出力される時間の長さを示す(図7参照)。
このとき、冷却出力時間Toff_i−1と加熱出力時間Ton_i−1との大きさの関係によっては、上述の式において、変更係数ρ_iが1を超える場合もあるので、算出される変更係数ρ_iが変更係数上限値ρ_max以下になるように制限することが好ましい。
このように、調節器100は、そのオートチューニング機能として、直前の交互出力において第1の操作量(冷却側の操作量)が出力された期間(冷却出力時間Toff)の長さと第2の操作量(加熱側の操作量)が出力された期間(加熱出力時間Ton)の長さとに応じて、当該直前の交互出力における第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定する。
次に、上述のような、冷却側の操作量MVcを順次変更した探索を終了する条件としては、冷却特性(冷却の操作量に対する冷却能力の関係)上において、線形性を有している領域の操作量であると判断されたことを採用してもよい。ここで、調節器100は、そのオートチューニング機能として、順次変更される第1の操作量(冷却側の操作量)の大きさ別に、第1の操作量に対応する制御量の変化速度との関係を評価することで、第1の操作量に対する制御量の第1の変化が線形性を有しているか否かを判断する。
より具体的には、この冷却特性上における線形性については、以下に説明するような誤差を用いて評価できる。すなわち、リミットサイクルの終了条件は、算出される誤差が予め設定したしきい値以下になったことを含む。
そして、最終のリミットサイクルにおいて観測された冷却特性および加熱特性(応答特性)に基づいて、ZiegleおよびNicholsの限界感度法などを用いて、PIDパラメータが算出される。なお、PIDパラメータの算出方法については、公知の任意の方法を採用できる。
但し、制御系の特性によっては、算出される誤差が予め設定したしきい値以下にならない場合も想定されるため、発生したリミットサイクルの数が上限値(N回)に到達すれば、リミットサイクルを終了させてもよい。すなわち、調節器100は、そのオートチューニング機能として、第1の操作量(冷却側の操作量)に対する制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されなくとも、第1の操作量および第2の操作量の交互出力が予め定められた回数実行されると、最終の交互出力において取得された応答特性からPIDパラメータを決定する。
このようなオートチューニング方法を採用することで、制御対象が線形性を有している場合であっても、非線形性を有している場合であっても、適切なPIDパラメータを算出できる。例えば、図1に示す制御系においては、冷却媒体の種類(水や油)などに応じて、オートチューニングの手順などを変更する必要がない。
[E.誤差評価]
次に、線形性を有している領域の操作量であるか否かを判断するための誤差について説明する。図9は、本実施の形態に係る調節器100によるオートチューニングにおける誤差の評価方法を説明するための図である。図9に示すように、本実施の形態における「誤差」は、冷却特性(冷却の操作量に対する冷却能力の関係)において、前回のリミットサイクルで用いた操作量に対応する冷却能力で定義される直線に対して、今回のリミットサイクルで用いた操作量に対応する冷却能力がどの程度離れているかという度合いを示す値に相当する。
具体的には、図9に示すように、原点をP0とし、リミットサイクルi回目の冷却能力点をPi(Pi.x,Pi.y)と定義する。ここで、Pi.xは、冷却側操作量を示し、Pi.yは、冷却能力を示す。また、冷却能力Pi.yは、リミットサイクル1回目における温度低下時の傾き(変化速度)R1に対する、リミットサイクルi回目における温度低下時の傾きRiの比から算出される(つまり、Pi.y=Ri/R1)。そして、リミットサイクルi回目の各々において、冷却能力Piと原点P0とを結ぶ直線Liが設定される。誤差hiは、直線L(i−1)とi回目の冷却能力Pi(Pi.x,Pi.y)との距離として算出される。すなわち、この距離は、リミットサイクルi回目における線形判定の指標である誤差hiとして算出される。図9には、2回目のリミットサイクルについての誤差h2の算出例を示す。
[F.処理手順]
次に、本実施の形態に係る調節器100において実行されるオートチューニングの処理手順について説明する。図10は、実施の形態に係る調節器100において実行されるオートチューニングの処理手順を示すフローチャートである。図10に示す各ステップは、典型的には、調節器100のCPU112がFlashROM114に格納されたプログラムモジュール118に含まれる命令コードを実行することで実現される。図10に示す処理手順は、ユーザなどがオートチューニングの開始を指示すると、予め定められた演算周期(例えば、100msec毎)に繰返し実行される。
図10を参照して、CPU112は、加熱側の操作量として100%を出力し(ステップS100)、制御対象プロセス200から測定された温度(制御対象の温度)PVが設定された目標値(設定温度)SPに到達したか否かを判断する(ステップS102)。制御対象の温度PVが設定温度SPに到達していなければ(ステップS102においてNOの場合)、ステップS100以下の処理が繰返される。
制御対象の温度PVが設定温度SPに到達していれば(ステップS102においてYESの場合)、ステップS104以下の処理が実行される。このステップS100およびS102の処理は、オートチューニングに係るリミットサイクルを発生させるための前処理である。
CPU112は、カウンタiに「1」をセットし(ステップS104)、1回目のリミットサイクルの発生を指示する(ステップS106)。このカウンタiは、リミットサイクル回数を示す。1回目のリミットサイクルにおける冷却側および加熱側の操作量はいずれも100%とする。リミットサイクルの発生指示は、制御対象の温度PVが設定温度SPと一致するまで冷却側の操作量(この場合は、100%)を出力し、制御対象の温度PVが設定温度SPと一致すると、加熱側の操作量(この場合は、100%)を出力するという一連の処理を含む。
1回分のリミットサイクルの発生が完了すると、CPU112は、カウンタiを1だけインクリメントする(ステップS108)。そして、CPU112は、前回のリミットサイクルにおける冷却側の操作量についての冷却出力時間Toff_i−1および加熱出力時間Ton_i−1を用いて、変更係数ρ_i(=Toff_i−1/Ton_i−1)を算出するとともに、算出した変更係数ρ_iを用いて今回の冷却側の操作量MVc_i(=MVc_i−1×ρ_i)を算出する(ステップS110)。
続いて、CPU112は、i回目のリミットサイクルの発生を指示する(ステップS112)。i回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量はMVc_i%とし、加熱側の操作量は100%とする。リミットサイクルの発生指示は、制御対象の温度PVが設定温度SPと一致するまで冷却側の操作量(この場合は、MVc_i%)を出力し、制御対象の温度PVが設定温度SPと一致すると、加熱側の操作量(この場合は、100%)を出力するという一連の処理を含む。そして、CPU112は、今回の冷却特性(応答特性)と前回の冷却特性(応答特性)とから誤差hiを算出する(ステップS114)。
その後、CPU112は、算出した誤差hiがしきい値γ以下であるか否かを判断する(ステップS116)。算出した誤差hiがしきい値γを超えていれば(ステップS116においてNOの場合)には、CPU112は、現在のカウンタiの値がリミットサイクルの最大値Nに到達しているか否かを判断する(ステップS118)。
現在のカウンタiの値がリミットサイクルの最大値Nに到達していなければ(ステップS118においてNOの場合)には、CPU112は、ステップS108以下の処理を実行する。
これに対して、算出した誤差hiがしきい値γ以下の場合(ステップS116においてYESの場合)、または、現在のカウンタiの値がリミットサイクルの最大値Nに到達している場合(ステップS118においてYESの場合)には、CPU112は、i回目のリミットサイクルにおける応答特性から、PIDパラメータを算出する(ステップS120)。そして、処理は終了する。
[G.制御構成]
次に、本実施の形態に係る調節器100に搭載されるオートチューニング機能を実現する制御構成について説明する。図11は、本実施の形態に係る調節器100に搭載されるオートチューニング機能を実現する制御構成を示す模式図である。
図11を参照して、調節器100は、その制御構成として、センサ出力受付部162と、ユーザ設定受付部164と、加熱側PID演算部166と、冷却側PID演算部168と、切換部170と、PIDパラメータ算出部172と、オートチューニング制御部174と、スイッチ180とを含む。
センサ出力受付部162は、温度センサ240からの出力信号を受け付け、所定のレンジ調整などを行った上で、制御対象の温度PVを出力する。ユーザ設定受付部164は、ユーザ操作に従って設定温度SPの設定を受け付ける。なお、外部装置(例えば、PLC(Programmable Logic Control)など)から設定温度SPが設定されることもある。
加熱側PID演算部166および冷却側PID演算部168は、通常のPID制御を実行するための部位であり、それぞれPIDパラメータ176および178に従って、制御対象の温度PVと設定温度SPとから、操作量MVhおよびMVcをそれぞれ算出および出力する。PIDパラメータ176および178は、ユーザが直接的に入力してもよいが、本実施の形態においては、後述するPIDパラメータ算出部172によって自動的に設定される。
切換部170は、加熱側PID演算部166および冷却側PID演算部168からそれぞれ出力される操作量MVhおよびMVcを状況に応じて切り替えて出力する。図1に示すフィードバック制御系1では、加熱側PID演算部166および冷却側PID演算部168の両方がアクティブになる必要はないので、操作量を直接的に切り替える方式に代えて、加熱側PID演算部166および冷却側PID演算部168の一方のみを選択的にアクティブ化するような構成を採用してもよい。
PIDパラメータ算出部172およびオートチューニング制御部174は、オートチューニングを実行するための部位である。オートチューニング制御部174は、上述したようなリミットサイクルを発生させるための操作量(操作量MVhおよびMVc)を発生する。PIDパラメータ算出部172は、最終のリミットサイクルにおいて観測された加熱特性および冷却特性(応答特性)に基づいて、PIDパラメータ176および178を決定する。
スイッチ180は、通常の制御時とオートチューニング実行時との間で、操作量の出力元を切り換える。すなわち、通常の制御時には、切換部170からの操作量が制御対象プロセス200へ出力され、オートチューニング実行時には、オートチューニング制御部174からの操作量が制御対象プロセス200へ出力される。
[H.オートチューニング結果例]
次に、本実施の形態に係るオートチューニング機能の効果をシミュレーションによって評価した結果について説明する。
図12は、本実施の形態に係るオートチューニングに係る各部の時間波形を示す一例である。図12に示すシミュレーション結果において、冷却側の操作量MVcの変更係数ρ_iは、変更係数ρ_i=冷却出力時間Toff_i−1/加熱出力時間Ton_i−1に従って、各サイクルにおいて算出した。但し、図1に示すフィードバック制御系1に含まれる制御対象プロセス200(すなわち、水冷方式または空冷方式の押出成形機)では、非線形点(特性が急激に変化する部分)は、一般的に、操作量が5〜20%の領域にあるため、変更係数上限値ρ_maxを0.4に設定した。
図12に示すシミュレーション結果では、5回目のリミットサイクルにおいて、その誤差hiがしきい値γ以下となった。そのため、5回目のリミットサイクルにおいて観測された冷却特性および加熱特性(応答特性)に基づいて、PIDパラメータが決定される。
図12に示すように、加熱側の操作量MVhは100%に維持されているのに対して、冷却側の操作量MVcが順次小さくなっているのがわかる。制御対象の温度PVに生じるリミットサイクルに基づいて、限界感度法などを用いてPIDパラメータが決定される。
図13は、図12に示すオートチューニングの実行によって算出されたPIDパラメータを用いた制御性能の比較例を示す図である。図12には、従来のオートチューニングを用いて決定したPIDパラメータを用いてフィードバック制御を行った結果と、本実施の形態に係るオートチューニングを用いて決定したPIDパラメータを用いてフィードバック制御を行った結果とを示す。
図13からわかるように、本実施の形態に係るオートチューニングによって決定したPIDパラメータを用いることで、制御対象の温度PVを設定温度SPとより高精度に一致させることができると言える。
なお、リミットサイクルの最大値Nを「3」に設定したような場合には、図12に示す段階的に変更される冷却側の操作量MVcのうち、3回目の変更がなされた時点でオートチューニングは完了することになる。この場合であっても、3回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_3と5回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_5とは、比較的近い値を示すので、概ね適切なPIDパラメータを決定できる。すなわち、オートチューニングに要する時間とPIDパラメータの精度との関係は、一種のトレードオフの関係にあるが、通常のPID制御において使用される範囲の操作量を用いてオートチューニングを実行すれば、非線形性の影響を回避したPIDパラメータを決定できる。
[I.ユーザインターフェイス]
オートチューニングでは、制御対象に対して実際に何らかの操作量を与えて、その応答特性に基づいてPIDパラメータを算出する。特に、リミットサイクル法では、観測量(PV)を振動させて制御系の特性値を推定するため、時定数の長い制御系では、必要な応答特性を観測するために比較的長い時間を要する。そのため、オートチューニングの実行中において、その実行状態や完了時期(予測値)などをユーザへ通知することが、よりユーザフレンドリである。
以下、このようなオートチューニングに係るユーザ支援のためのユーザインターフェイスの一例について説明する。
(i1:オートチューニングの実行状態の通知)
まず、オートチューニングの実行状態を通知するユーザインターフェイスについて説明する。図14は、本実施の形態に係る調節器100が提供するユーザインターフェイスの一例を示す模式図である。図14に示す調節器100は、表示部150を有している。表示部150には、制御対象の温度PVおよび設定温度SPの現在値が表示されている。また、表示部150に近接して配置されたたボタンやスイッチなどをユーザが操作することで、設定温度SPなどが変更される。
図14には、オートチューニングの実行中のある状態を示す。図14に示すように、オートチューニングの実行状態の値として、現在発生しているリミットサイクルの回数、つまり何回目のリミットサイクルが実行されているかが表示される。表示部150は、現在のリミットサイクルの回数を示すインジケータ152を含む。つまり、調節器100は、現在実行されている交互出力の回数を表示する表示手段としての表示部150を含む。
リミットサイクルの最大値Nが予め設定されているので、ユーザは、このような現在のリミットサイクルの回数を見ることで、オートチューニングがあとどれくらいで完了するのかを知ることができる。
(i2:オートチューニングの完了時期の通知)
図14に示す現在のリミットサイクルの回数に代えて、あるいは、それ加えて、オートチューニングの完了までに要する時間を通知するようにしてもよい。すなわち、調節器100は、PIDパラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示する表示手段としての表示部150を含むようにしてもよい。
図15は、本実施の形態に係る調節器100が提供するユーザインターフェイスの別の一例を示す模式図である。
図15(a)には、オートチューニングの完了までに要する残時間を示すインジケータ154を含む表示部150の例を示す。オートチューニングの完了までに要する残時間を予測する方法としては、まず、1回分のリミットサイクルを発生させて、それに要した時間を計測するとともに、その計測した時間にリミットサイクルの最大値Nを乗じた時間を、残時間として算出することができる。あるいは、リミットサイクルの半サイクル(冷却側または加熱側)の発生に要する時間から残時間を算出してもよい。さらに、以前にオートチューニングを実行したことがある場合には、そのときに取得された応答特性に基づいて、残時間を算出してもよい。
また、オートチューニングの完了までに要する残時間ではなく、オートチューニングが完了する時刻を表示するようにしてもよい。図15(b)に示す表示部150は、オートチューニングが完了することが予測される時刻を示すインジケータ156を含む。
このように、比較的時間のかかるオートチューニングについて、完了するタイミングを事前に知ることができるので、ユーザは、時間を有効に活用することができる。
[J.変形例1]
上述の実施の形態においては、加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)を表す変更係数ρ_iを乗じることで、冷却側の操作量MVcを順次変更する構成例について説明した。この変更係数ρ_iについては、これに限らず任意の値に設定できる。また、各リミットサイクルにおいて変更係数ρ_iを動的に決定する構成に代えて、一連のオートチューニングにおいて変更係数ρとして固定値を採用してもよい。
このように変更係数ρ_i(あるいは、変更係数ρ(固定値))については、制御対象などに応じて適宜設定すればよい。一方で、オートチューニングに要する時間を可能な限り短縮したいというニーズもある。そこで、変更係数に係る一つの変形例として、上述した加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)という技術的意義を失わず、かつ、より短時間でオートチューニングが完了するための構成について説明する。
本変形例においては、各リミットサイクルが終了すると、次のリミットサイクルに用いられる新たな操作量として、現在の操作量に変更係数ρ_iの二乗を乗じた値を用いる。すなわち、以下のような数式に従って、操作量MVc_iを順次変更する。
変更係数ρ_i=冷却出力時間Toff_i−1/加熱出力時間Ton_i−1
操作量MVc_i=MVc_1−1×ρ_i×ρ_i
このように、変更係数ρ_iの二乗を用いることで、図12に示すような冷却側の操作量MVcを段階的に変更する処理において、実質的に一つ飛ばしで操作量MVcを変更することになる。すなわち、調節器100は、そのオートチューニング機能として、直前の交互出力における第2の操作量(加熱側の出力)が出力された期間(加熱出力時間Ton)の長さに対する第1の操作量(加熱側の出力)が出力された期間(冷却出力時間Toff)の長さの比(ρ)の二乗に応じて、当該直前の交互出力における第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における第1の操作量の大きさを決定する。
図16は、本実施の形態の変形例1に係るオートチューニングに係る各部の時間波形を示す一例である。変更係数ρ_iを乗じて操作量MVcを順次変更する場合(図12)には、5回のリミットサイクルを発生させなければ、誤差hiがしきい値γ以下にならなかったが、図16に示すように、変更係数ρ_iの二乗を乗じて操作量MVcを順次変更することで、リミットサイクルを3回の発生させることで、誤差hiをしきい値γ以下にできる。このように、制御対象が非線形性を有していることが予めわかっている場合には、操作量MVcを変更させる度合いをより大きくすることで、オートチューニングに係る時間を短縮化できる。
[K.変形例2]
上述の変形例1においては、加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)を表す変更係数ρ_iの二乗を乗じることで、操作量MVcを順次変更する例について説明した。しかしながら、変更係数ρ_iの二乗に限られることなく、変更係数ρ_iのn乗(n>1)を乗じて、操作量MVcを順次変更してもよい。以下、このような変更係数ρ_iのn乗(n>1)を乗じて、操作量MVcを順次変更してもよい理由について説明する。
上述したような押出成形機232において、冷却能力は、加熱能力より大きく、かつ、非線形性を有している。また、リミットサイクル法を用いたオートチューニング機能では、発生させるリミットサイクルを正弦波に近付けるほど、その精度を高めることができる。
図17は、図2に示す制御対象プロセスにおける加熱能力および冷却能力と操作量(加熱および冷却)との間の関係の一例を示す図である。図17に示す特性例において、第1象限は、加熱能力(縦軸)と操作量(加熱)(横軸)との関係を示す。Ahは、操作量(加熱)が100%のときの加熱能力[℃/sec]の大きさを示す。また、第3象限は、冷却能力(縦軸)と操作量(冷却)(横軸)との関係を示す。Acは、操作量(冷却)が100%のときの冷却能力[℃/sec]の大きさを示す。なお、冷却能力は、設備の設置条件や設定条件によって変化するため、図17には、設定条件を3つに異ならせた場合の冷却能力の特性をそれぞれ示す。
ここで、図17において、冷却能力の特性が変化する点(図17において●印で示す点)を非線形点と定義する。
上述の実施の形態において説明した加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)を表す変更係数ρ_2(=冷却出力時間Toff_1/加熱出力時間Ton_1)を用いて、2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_2を算出する場合には、以下のような数式に従って算出される。
MVc_2=100%×変更係数ρ_2
図17において、この数式に従って算出される2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_2を○印で示す。すなわち、上の数式は、冷却能力の特性を線形とした場合に、加熱の能力と冷却の能力とのバランスを揃えるための計算式に相当する。
ここで、図17に示すように、例えば、冷却特性1について算出すべき冷却特性(線形特性)の範囲は、操作量が○印で示す点より小さい領域である。そのため、加熱と冷却との比(能力比)を乗じるだけでは、2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_2が、非線形点(●印で示す位置)より大きいため、図17の矢印で示す範囲(線形部分)の特性を捉えることができないことになる。また、図17に示す他の冷却特性についても、それぞれの非線形点(●印で示す位置)が変化するため、加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)を乗じるだけでは、線形部分を捉えることができない。
そこで、図17に示すような冷却特性を有する制御対象に対しては、上述のような数式に対して、非線形点より小さい範囲の線形特性を捉えるために、補正係数Xc(0<Xc<1)を導入する。すなわち、加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比)を表す変更係数ρ_2(=冷却出力時間Toff_1/加熱出力時間Ton_1)を用いて、2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量MVc_2を算出する場合には、以下のような数式に従って算出される。
MVc_2=100%×変更係数ρ_2×補正係数Xc
このような数式を用いることで、図17において、○印で示す位置(変更係数ρ_1を乗じることで算出される2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量)は、さらにXc倍され、非線形点(●印で示す位置)より小さい点(つまり、ゼロ側)へ補正されることになる(破線の丸印)。
図17の冷却能力1〜3に示すように、非線形点(●印で示す位置)は、冷却能力(図17に示すAc)が大きくなるほどY軸に近づく傾向がある。すなわち、非線形点(●印で示す位置)のX座標値は、冷却能力の逆数(1/Ac)と因果関係があるといえる。
ここで、冷却能力の逆数(1/Ac)∝加熱と冷却とのシステムゲイン比(能力比:Ah/Ac)∝能力比(変更係数ρ)の関係が成立すると考えられるので、非線形点(●印で示す位置)の横軸の座標値は、能力比(変更係数ρ)と因果関係があるといえる。
図17に示すような特性は、加熱装置210および冷却装置220を含む押出成形機232において得られる。但し、加熱装置210により制御対象に生じる加熱についての制御量は、対応する操作量について相対的に強い線形性を有しており、冷却装置220により制御対象に生じる冷却についての制御量は、対応する操作量について相対的に強い非線形性を有している。そして、このような押出成形機232を制御対象とした場合には、補正係数Xcと能力比(変更係数ρ)との間の因果関係をXc=ρ(0.5≦m≦2.0)とモデル化することで、算出される2回目のリミットサイクルにおける冷却側の操作量(破線の丸印)が非線形点(●印で示す位置)より縦軸により近くなり、線形部分の特性を捉えることができる。この関係は、冷却能力の大きさが変化しても、押出成形機232においては成立すると考えられる。
したがって、補正係数Xcを含む上式は、以下のように変形できる。
MVc_2=100%×変更係数ρ_2×変更係数ρ_2
=100%×変更係数ρ_2(m+1)=100%×変更係数ρ_2
このように、現在の操作量に変更係数ρ_iのn乗を乗じた値を用いることで、操作量MVc_iが順次変更される。このn乗のnとしては、2の近傍の値を用いることが好ましい。より具体的には、調節器100は、1.5≦n≦3.0を満たすようなnを用いて、新たな交互出力における第1の操作量(冷却側の操作量)の大きさを決定する。
このように、制御対象が非線形性を有していることが予めわかっている場合には、操作量MVcの変更係数のn乗を乗じて、新たなリミットサイクルにおける操作量MVcを算出することで、オートチューニングに係る時間を短縮化できる。
[L.変形例3]
上述の実施の形態においては、リミットサイクルを複数回発生させる例について説明したが、ある種類の制御対象については、1回のリミットサイクルによって取得される応答特性のみから適切なパラメータを決定することもできる。以下、1回のリミットサイクルを発生、つまり第1の操作量(冷却側の操作量)および第2の操作量(加熱側の操作量)を観測量に応じて交互に出力し、それによって取得される応答特性のみからパラメータを決定する方法について説明する。
図18は、本実施の形態の変形例3に係るパラメータを決定する過程を説明するための図である。図18を参照して、まず、冷却側の操作量MVcを100%としてリミットサイクル(1回目)を発生させる。このとき、加熱側の操作量MVhも同じく100%とする。リミットサイクルの発生によって取得された応答特性(時間波形)から冷却能力Yc[℃/sec]を算出する。冷却側の操作量MVcを変化させたとしても、冷却能力Ycが変化しないと仮定して、もし2回目のリミットサイクルを発生させたのであれば、得られるであろう特性を推定する。
より具体的には、非線形点(図18において●印で示す点)に相当する冷却側の操作量Xcを上述の変形例2に係る方法によって算出する。すなわち、1回目のリミットサイクルにおいて生じた応答特性に基づいて、加熱出力時間Tonに対する冷却出力時間Toffの比から変更係数ρを決定し、この決定された変更係数ρをn乗(但し、1.5≦n≦3.0)して得られる値を非線形点に相当する冷却側の操作量Xcとして決定する。さらに、静的または動的に決定される補正係数を乗じた値を採用してもよい。非線形点において、1回目のリミットサイクルから決定された冷却能力と同一の冷却能力Yc[℃/sec]が維持されていると仮定して、上述のような手順によって決定された操作量Xc[%]を用いて、非線形点の特性値を推定する。すなわち、図18に示す座標系における非線形点の座標は[Xc,Yc]となる。この非線形点[Xc,Yc]と原点[0,0]とを結ぶ直線(推定線)についての傾きAc[℃/sec]を線形性が維持される操作量Xcの範囲における冷却能力として決定する。そして、この冷却能力Ac[℃/sec]を用いて、PIDパラメータが決定される。
このように、本変形例においては、(1)1回目のリミットサイクル応答特性(時間波形)から冷却能力Yc[℃/sec]を算出し、(2)非線形点の冷却操作量Xc[%]を推定し、(3)冷却能力は冷却側の操作量が100%の場合と同等に維持されると仮定して非線形点[Xc,Yc]を決定し、(4)非線形点[Xc,Yc]と、原点とを通る推定線の傾きAcを冷却能力として算出し、(5)冷却能力Acを用いてPIDパラメータを算出する。
本変形例においては、調節器100は、オートチューニング機能として、第1の操作量(冷却側の操作量)および第2の操作量(加熱側の操作量)を観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、第1の操作量(冷却側の操作量)および第2の操作量(加熱側の操作量)の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性(時間波形)からPIDパラメータを決定する。このオートチューニング機能において、調節器100は、応答特性から第1の操作量(冷却側の操作量)に対する制御量の第1の変化が線形性を維持できる第1の操作量(冷却側の操作量)の範囲(すなわち、非線形点)を推定するとともに、当該推定した範囲からPIDパラメータを決定する。
本変形例に係るオートチューニング機能の有効性を確認するために、上述した本実施の形態に係るオートチューニング機能と比較した結果を示す。より具体的には、本実施の形態に係るオートチューニング機能(非線形点の特性を実際に計測)と本変形例に係るオートチューニング機能(非線形点の特性を推定)とにおいてそれぞれ算出したPIDパラメータ(一例として、比例ゲイン(比例帯))間の乖離度合い(誤差率)を比較した。
図19は、本変形例に係るオートチューニング機能によって算出されたPIDパラメータの誤差率の評価結果例を示す図である。図19に示す評価結果例においては、推定された非線形点(冷却側の操作量)毎に算出された誤差率eをプロットしている。この誤差率eは、本実施の形態に係るオートチューニング機能を用いて算出された比例帯Pb0と、本変形例に係るオートチューニング機能を用いて算出された比例帯Pbとを用いて、以下に示す式に従って算出される。
誤差e=(Pb−Pb0)/Pb0×100[%]
図19には、図2に示す冷却装置220に示すような、鋳込みヒータ冷却方式に適用した場合の評価結果を示す。図19に示す評価結果によれば、上述の本実施の形態に係るオートチューニング機能(非線形点の特性を実際に計測)に比較して、その誤差率は、平均が約10%で、最大値でも25%以内に収まっている。そのため、十分に実用的な精度が得られることがわかる。
以上のとおり、本変形例においては、2回目のリミットサイクルは発生させることなく、1回目のリミットサイクルによって取得された応答特性(時間波形)から非線形点を推定し、そしてPIDパラメータを決定する。リミットサイクルを1回だけ発生させて、その結果からPIDパラメータを決定するという方法を採用することで、リミットサイクルを複数回発生させる場合に比較して、やや推定精度は低下する可能性はあるが、実用上の問題はない程度の精度低下であり、それにもまして、オートチューニングに要する時間を短縮することができるので、チューニング作業の時間効率を高めることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 フィードバック制御系、100 調節器、110 制御部、112 CPU、114 ROM、116 RAM、118 プログラムモジュール、120 入力部、130 出力部、132 加熱側出力部、134 冷却側出力部、140 設定部、150 表示部、152,154,156 インジケータ、162 センサ出力受付部、164 ユーザ設定受付部、166 加熱側PID演算部、168 冷却側PID演算部、170 切換部、172 PIDパラメータ算出部、174 オートチューニング制御部、176 PIDパラメータ、180 スイッチ、200 制御対象プロセス、210 加熱装置、212 ソリッドステートリレー、214 電熱ヒータ、220 冷却装置、222 冷却配管、224 電磁弁、226 水温調整設備、230 制御対象、232 押出成形機、234 スクリュー、236 バレル、240 温度センサ。

Claims (21)

  1. オートチューニング機能を有する調節器であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するチューニング手段とを備え、
    前記チューニング手段は、前記第1の操作量および前記第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に前記第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性から前記パラメータを決定する、調節器。
  2. 前記チューニング手段は、直前の交互出力によって取得された応答特性から、新たな交互出力における前記第1の操作量の大きさを決定する、請求項1に記載の調節器。
  3. 前記チューニング手段は、直前の交互出力において前記第1の操作量が出力された期間の長さと前記第2の操作量が出力された期間の長さとに応じて、当該直前の交互出力における前記第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における前記第1の操作量の大きさを決定する、請求項2に記載の調節器。
  4. 前記チューニング手段は、順次変更される前記第1の操作量の大きさの別に、前記第1の操作量に対応する前記制御量の変化速度との関係を評価することで、前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を有しているか否かを判断する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の調節器。
  5. 前記チューニング手段は、前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されなくとも、前記第1の操作量および前記第2の操作量の交互出力が予め定められた回数実行されると、最終の交互出力において取得された応答特性から前記パラメータを決定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調節器。
  6. オートチューニング機能を有する調節器であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するチューニング手段とを備え、
    前記チューニング手段は、直前の交互出力における前記第2の操作量が出力された期間の長さに対する前記第1の操作量が出力された期間の長さの比のn乗(n>1)に応じて、当該直前の交互出力における前記第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における前記第1の操作量の大きさを決定する、調節器。
  7. 前記チューニング手段は、1.5≦n≦3.0を満たすようなnを用いて、新たな交互出力における前記第1の操作量の大きさを決定する、請求項6に記載の調節器。
  8. 前記制御対象は、加熱装置および冷却装置を含む押出成形機を含み、前記加熱装置により前記制御対象に生じる加熱についての制御量は、対応する操作量について相対的に強い線形性を有しており、前記冷却装置により前記制御対象に生じる冷却についての制御量は、対応する操作量について相対的に強い非線形性を有している、請求項6または7に記載の調節器。
  9. オートチューニング機能を有する調節器であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、前記第1の操作量および前記第2の操作量の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するチューニング手段とを備え、
    前記チューニング手段は、前記応答特性から前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を維持できる前記第1の操作量の範囲を推定するとともに、当該推定した範囲から前記パラメータを決定する、調節器。
  10. オートチューニング機能を有する調節器であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するチューニング手段と、
    現在実行されている交互出力の回数を表示する表示手段とを備える、調節器。
  11. オートチューニング機能を有する調節器であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定する操作量決定手段と、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するチューニング手段と、
    前記パラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示する表示手段とを備える、調節器。
  12. オートチューニング機能を有する調節器における制御方法であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップとを備え、
    前記パラメータを決定するステップは、前記第1の操作量および前記第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に前記第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップを含む、制御方法。
  13. オートチューニング機能を有する調節器における制御方法であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップとを備え、
    前記パラメータを決定するステップは、直前の交互出力における前記第2の操作量が出力された期間の長さに対する前記第1の操作量が出力された期間の長さの比のn乗(n>1)に応じて、当該直前の交互出力における前記第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における前記第1の操作量の大きさを決定するステップを含む、制御方法。
  14. オートチューニング機能を有する調節器における制御方法であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、前記第1の操作量および前記第2の操作量の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップとを備え、
    前記パラメータを決定するステップは、前記応答特性から前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を維持できる前記第1の操作量の範囲を推定するとともに、当該推定した範囲から前記パラメータを決定するステップを含む、制御方法。
  15. オートチューニング機能を有する調節器における制御方法であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップと、
    現在実行されている交互出力の回数を表示するステップとを備える、制御方法。
  16. オートチューニング機能を有する調節器における制御方法であって、
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップと、
    前記パラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示するステップとを備える、制御方法。
  17. オートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムであって、プロセッサに
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップとを実行させ、
    前記パラメータを決定するステップは、前記第1の操作量および前記第2の操作量の交互出力において、出力の切替毎に前記第1の操作量の大きさを順次変更するとともに、前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を有していると判断されたときに取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップを含む、制御プログラム。
  18. オートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムであって、プロセッサに
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップとを実行させ、
    前記パラメータを決定するステップは、直前の交互出力における前記第2の操作量が出力された期間の長さに対する前記第1の操作量が出力された期間の長さの比のn乗(n>1)に応じて、当該直前の交互出力における前記第1の操作量の大きさを補正することで、新たな交互出力における前記第1の操作量の大きさを決定するステップを含む、制御プログラム。
  19. オートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムであって、プロセッサに
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に1回ずつ出力し、前記第1の操作量および前記第2の操作量の1回ずつの交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップとを実行させ、
    前記パラメータを決定するステップは、前記応答特性から前記第1の操作量に対する前記制御量の第1の変化が線形性を維持できる前記第1の操作量の範囲を推定するとともに、当該推定した範囲から前記パラメータを決定するステップを含む、制御プログラム。
  20. オートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムであって、プロセッサに
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップと、
    現在実行されている交互出力の回数を表示するステップとを実行させる、制御プログラム。
  21. オートチューニング機能を有する調節器を実現する制御プログラムであって、プロセッサに
    制御対象から取得される観測量が目標値と一致するように、予め設定されたパラメータに従って、前記制御対象の制御量に第1の変化を生じさせるための第1の操作量、または、前記制御量に前記第1の変化とは反対の第2の変化を生じさせるための第2の操作量、を選択的に決定するステップと、
    前記第1の操作量および前記第2の操作量を前記観測量に応じて交互に出力し、当該交互出力によって取得された応答特性から前記パラメータを決定するステップと、
    前記パラメータの決定に必要な交互出力が完了する時期を表示するステップとを実行させる、制御プログラム。
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