JPWO2014073683A1 - 有機電界発光素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

塗布等により容易に形成することができ、光取り出し効率に優れた光散乱性正孔注入輸送性層を用いた有機電界発光素子の提供を目的とする。本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極と、陽極と陰極との間に形成された正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層を含む有機電界発光素子であって、正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層には、粒子が分散されており、且つ正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層の膜厚は、100nm以上、1000nm以下である。

Description

本発明は、有機電界発光素子及びその製造方法に関する。
有機電界発光素子(以下、「有機EL(electroluminescence)」と称することがある)は、ガラス基板上の陽極、陰極と、両電極間に形成された発光層とを含む構成からなる。両電極への通電により発光層で発生した光は、陽極(例えば、ITO等の透明電極)とガラス基板を通過して外部に取り出される。しかしながら、発光層とITO、ITOとガラス基板、およびガラス基板と大気の界面で屈折率差を起因とする反射が生じているため、発光光の大部分が外部に取り出すことができておらず、外部に取り出された光は発光光の約20%の程度であることが知られている。
有機電界発光素子の光取り出し効率を向上するために、光散乱層を導入する方法が知られている。光散乱層は導入する位置によって効果は異なり、発光層と陽極(ITO等)の間に設けた場合に光取り出し効果が最も高く得られる。発光層とITO、ITOとガラス基板、およびガラス基板と大気の、全ての界面で反射される発光光に散乱効果を与えることができるためである。
発光層と陽極(ITO等)の間に光散乱層を形成するのにも、簡便で高い生産性を有する塗布方式で行う方法が報告されている。
例えば、特許文献1では、ポリメチルメタクリレート等の汎用的な有機樹脂ポリマーにITO等の無機導電性微粒子を分散させた材料を塗布することにより、光散乱層を形成している。
また特許文献2では、正孔注入輸送性材料であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(以下PEDOT/PSS)に酸化ケイ素粒子または銀ナノ粒子が分散された正孔輸送層を用いた有機電界発光素子が報告されている。
また、特許文献3では、粒径1〜100nmの酸化ケイ素粒子と粒径100〜1000nmの酸化チタン粒子が共分散されたPEDOT/PSS層を用いることにより、有機電界素子の発光効率を向上させた報告がされている。
日本国特許第4949149号公報 国際公開第2009/141903号 米国特許出願公開2011/0045392号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の光散乱層では、バインダー成分として汎用有機樹脂(一般に屈折率が1.5〜1.6未満)を用いているため、形成した光散乱層と発光層(一般に屈折率1.7以上)との界面で全反射が生じて光取り出し効果が低いと予想される。事実、当該公報には膜厚が4μm以上であることが記載されている。また、汎用有機樹脂は耐溶剤性、耐熱性に劣り、熱膨張係数が大きいため、有機電界発光素子を製造するに際し制約が生じる。また光散乱機能のみを得る目的で追加形成されたものであり、有機電界発光素子の製造において工程の追加が必要となる問題がある。
一方、特許文献2では、正孔輸送材料であるPEDOT/PSSに粒子を混合した分散液をスピンコート塗布することにより、粒子含有正孔注入層を形成している。正孔輸送層と散乱層を一度の塗布工程で形成できる簡便な方法であるが、後述の比較例1、2に示す通り光取り出し効果は得られなかった。粒子径が約20〜30nm、正孔輸送層の膜厚が100nm未満では光散乱性が弱く、光取り出し効果が発現しなかったと推測される。
特許文献3には、粒径20〜30nmの酸化ケイ素粒子と粒径20〜130nmの酸化チタン粒子が共分散されたPEDOT/PSS層を用いた有機電界素子が開示されており、発光効率を向上させた報告がされている。しかし、PEDOT/PSSには、上記粒子以外にも導電性を向上させるために高沸点溶媒であるDMSOが添加されており、DMSOが添加され駆動電圧が低下したことにより発光効率が向上した可能性がある。従って、特許文献3には、上記粒子による光取出し効率の向上については、明確には記載されていないものと考えられる。さらに、PEDOT/PSSは一般に希薄分散液でのみ供されるため十分な膜厚を得る事は事実上困難を伴う。バインダーであるPEDOT/PSSで十分な膜厚が得られない場合、上記粒子は塗膜表面で突起物となる場合がある。これは有機電界発光素子の短絡、不発光を引き起こす原因となる。特許文献3の実施例には、正孔輸送層の膜厚は一切記載されていない。
以上の様に、粒子を含む正孔輸送性材料を塗布して光散乱膜を形成する試みはこれまでにも報告されているものの、実用的な技術には達していなかった。有効な光散乱能をもつ正孔注入輸送層を得るには、正孔輸送性材料の構造、粒子の条件、膜厚、表面形状など多くの条件が必要であるためである。
本発明は、塗布等により容易に形成することができ、光取り出し効率に優れた光散乱性正孔注入輸送性層を用いた有機電界発光素子の提供を目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層の膜厚を、100nm以上、1000nm以下とし、前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層に粒子を分散させることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す通りである。
[1]陽極及び陰極と、前記陽極と前記陰極との間に形成された正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層を含む有機電界発光素子であって、
前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層には、粒子が分散されており、且つ前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層の膜厚は、100nm以上、1000nm以下である、有機電界発光素子。
[2]前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層に含まれる正孔注入輸送性材料が芳香族三級アミン高分子化合物である、前記[1]の有機電界発光素子。
[3]前記粒子は、金属酸化物、複合酸化物及び高分子材料から選択される少なくとも1種である、前記[1]又は[2]に記載の有機電界発光素子。
[4]前記粒子の平均粒径が、10nm以上、300nm以下である、前記[1]〜[3]のいずれか一つの有機電界発光素子。
[5]前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層は、湿式成膜法で形成されたものである、前記[1]〜[4]のいずれか一つの有機電界発光素子。
[6]さらに正孔輸送層及び発光層を備える、前記[1]〜[5]のいずれか一つの有機電界発光素子。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか一つの有機電界発光素子を含む、有機EL表示装置。
[8]前記[1]〜[6]のいずれか一つの有機電界発光素子を含む、有機EL照明。
本発明によれば、塗布等により容易に形成することができ、光取り出し効率に優れた光散乱性正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層を用いた有機電界発光素子を提供することが可能となる。
図1は、本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。 図2は、本発明の有機電界発光素子の実施の形態の他の例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の説明により限定されるものではない。なお適宜図面を参照し本発明を説明する。
本発明は以下に存する。
「陽極及び陰極と、前記陽極と前記陰極との間に形成された正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層を含む有機電界発光素子であって、前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層には、粒子が分散されており、且つ正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層の膜厚は、100nm以上、1000nm以下であることを特徴とする、有機電界発光素子。」
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極が具備され、前記陽極と前記陰極との間に形成された正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層を含むものである。なお、正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層の他に陽極と陰極の間に形成されていてもよい有機半導体層については後述する。なお、正孔注入層及び正孔輸送層を併せて、「正孔注入・輸送層」と称する場合がある。
1.正孔注入・輸送層
図1および図2に示すように、本発明の正孔注入・輸送層(1,2)は、陽極6側から発光層3側に正孔を注入、輸送する機能を担う層であり、陽極6に隣接して形成される。また正孔注入・輸送層(1,2)は、陽極6から発光層3側に正孔を注入・輸送する機能を強化する点で、好適に形成される。
正孔注入・輸送層(1,2)の膜厚は、通常100nm以上であり、好ましくは、120nm以上、より好ましくは、150nm以上である。また、通常1000nm以下、好ましくは900nm以下、より好ましくは800nm以下である。上記の範囲であれば、十分な散乱効果を得る事が可能な厚さがあり、かつ正孔注入層自体の吸収による光量損失が散乱効果による光量利得を越えない厚みのため、光散乱膜として好適である。
なお、正孔注入層1及び正孔輸送層2の両層が、前記膜厚で形成されていてもよいし、どちらか一方が、前記膜厚で形成されていてもよい。好適には、後述する粒子が分散された層について、前記膜厚で形成されていることが好ましい。
正孔注入・輸送層(1,2)は、正孔注入輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔注入輸送性化合物と電子受容性化合物を含むことがより好ましい。更には、正孔注入層中にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔注入輸送性化合物とを含むことが特に好ましい。
本発明の正孔注入層は、湿式成膜法により形成される。以下に、正孔注入層の形成方法について説明する。
<正孔注入輸送性化合物>
湿式成膜に際し、正孔注入・輸送層の前駆体として調製される正孔注入・輸送層形成用組成物は、通常、正孔注入・輸送層となる正孔注入輸送性化合物を含有する。また、湿式成膜法の場合は、通常、更に溶剤も含有する。正孔注入・輸送層形成用組成物は、正孔注入輸送性が高く、注入された正孔を効率よく輸送できるものが好ましい。このため、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いものが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。特に、正孔注入層が発光層と接する場合は、発光層からの発光を消光しないものや発光層とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好ましい。
正孔注入輸送性化合物としては、陽極から正孔注入・輸送層への電荷注入障壁の観点から、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔注入輸送性化合物の例としては、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で三級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、キナクリドン系化合物等が挙げられる。
上述の例示化合物のうち、非晶質性及び可視光透過性の点から、芳香族アミン系化合物が好ましく、芳香族三級アミン高分子化合物が特に好ましい。ここで、芳香族三級アミン高分子化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン高分子化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な発光を得やすい点から、重量平均分子量が3000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)を用いるのが好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物は、溶媒中に均一に溶解しているため、芳香族三級アミン高分子化合物溶液は均一な分散媒であるとみなすことができる。従って、均一に粒子を分散させることが可能であり、製膜して得られた膜は均一に粒子が分散された膜を得ることが可能である。
一方、特許文献2および3に記されているPEDOT/PSS溶液は、PEDOTとPSSとが結合してクラスターを形成している。すなわち、この分散質であるクラスターが分散媒である水系溶媒に分散した、分散液である。PEDOT/PSS分散液の固形分濃度は通常数%以下なので、分散液に何らかの粒子を分散させる場合、通常は分散液に対して分散することになり、分散質中に粒子を分散させることは困難である。その結果、製膜すると粒子が凝集した状態となり、均一に粒子が分散した膜を得ることが困難である。
また、PSSは、スルホン酸基を含むため、PEDOT/PSS分散液は酸性であり、ここに粒子の分散液をさらに混合すると、酸性のために粒子の分散性が悪くなり、凝集や沈殿が起きやすくなる。従って、このような分散液を用いてPEDOT/PSS中に粒子が均一に分散された薄膜を得るのは困難である。
以下、芳香族三級アミン高分子化合物について詳述する。
(分子量について)
本発明における芳香族三級アミン高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、3000以上、また、1000000以下であり、有機電界発光素子への使用に好適である。
芳香族三級アミン高分子化合物の重量平均分子量が、上記範囲内であると湿式成膜時に、芳香族三級アミン高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性が良好で、また均一な膜が形成しやすくなり、更に、不純物の高分子量化が起き難いため精製が容易で、工業的に不利益が生じ難くなる。
また重量平均分子量がこの下限値を下回ると、ガラス転移温度、融点及び気化温度が低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
この芳香族三級アミン高分子化合物を含む層を湿式成膜法により形成する場合には、溶解性、成膜性、耐熱性の点から、その重量平均分子量は100000以下が好ましく、60000以下がさらに好ましい。同様に、下限値としては5000以上が好ましく、10000以上がさらに好ましい。
また、本発明における芳香族三級アミン高分子化合物の数平均分子量(Mn)は、通常2,500,000以下、好ましくは750,000以下、より好ましくは400,000以下であり、また通常500以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは3,000以上である。
さらに、本発明における芳香族三級アミン高分子化合物の分散度(Mw/Mn)は、通常10以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下であり、好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上である。
上記範囲内であると、精製が容易であり、また芳香族三級アミン高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性や電荷輸送能が良好であるため好ましい。
本発明における重量平均分子量(及び数平均分子量)はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量(及び数平均分子量)が算出される。
(好適な繰り返し単位について)
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される芳香族三級アミン高分子化合物は、下記式(2)で表される繰り返し単位を含むポリマーであることが好ましい。
(式(2)中、mは0〜3の整数を表し、Ar31及びAr32は、各々独立して、直接結合、2価の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar33〜Ar35は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar33及びAr35は1価の基を、Ar34は2価の基を示す。但し、Ar31及びAr32が同時に、直接結合であることはない。
なお、式(2)中にAr34及びAr35が複数ある場合、これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。)
式(2)中、Ar31及びAr32は、各々独立して、直接結合、2価の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar33〜Ar35は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個又は2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、1個又は2個の遊離原子価を有する、6員環の単環又は2〜5縮合環が挙げられる。ここで、本発明において、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改定第2版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものを言う。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えば、1個又は2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、1個又は2個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。
溶媒に対する溶解性、及び耐熱性の点から、Ar31〜Ar35は、各々独立に、置換基を有していてもよい、1個又は2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環が好ましい。
また、Ar31〜Ar35としては、前記群から選ばれる1種又は2種以上の環を直接結合、又は−CH=CH−基により連結した基も好ましく、ビフェニル基及びターフェニル基などがさらに好ましい。
前記置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基及び置換基を有していてもよい芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば下記<置換基群Z>に記載の基が挙げられる。
<置換基群Z>
メチル基、エチル基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;
ビニル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基;
エチニル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアルキニル基;
メトキシ基、エトキシ基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の好ましくは炭素数4〜36、更に好ましくは炭素数5〜24のアリールオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基;
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のジアルキルアミノ基;
ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の好ましくは炭素数10〜36、更に好ましくは炭素数12〜24のジアリールアミノ基;
フェニルメチルアミノ基等の好ましくは炭素数6〜36、更に好ましくは炭素数7〜24のアリールアルキルアミノ基;
アセチル基、ベンゾイル基等の好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜12のアシル基;
フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
トリフルオロメチル基等の好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜6のハロアルキル基;
メチルチオ基、エチルチオ基等の好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基;
フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の好ましくは炭素数4〜36、更に好ましくは炭素数5〜24のアリールチオ基;
トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の好ましくは炭素数2〜36、更に好ましくは炭素数3〜24のシリル基;
トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の好ましくは炭素数2〜36、更に好ましくは炭素数3〜24のシロキシ基;
シアノ基;
フェニル基、ナフチル基等の好ましくは炭素数6〜36、更に好ましくは炭素数6〜24の芳香族炭化水素環基;
チエニル基、ピリジル基等の好ましくは炭素数3〜36、更に好ましくは炭素数4〜24の芳香族複素環基。
上記各置換基は、さらに置換基を有していてもよく、その例としては前記置換基群Zに例示した基が挙げられる。
Ar31〜Ar35における芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が有してもよい置換基の分子量としては、さらに置換した基を含めて500以下が好ましく、250以下がさらに好ましい。
溶媒に対する溶解性の点から、Ar31〜Ar35における芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。
なお、mが2以上である場合、前記式(2)で表される繰り返し単位は、2個以上のAr34及びAr35を有することになる。その場合、Ar34同士及びAr35同士は、各々、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、Ar34同士、Ar35同士は、各々互いに直接又は連結基を介して結合して環状構造を形成していてもよい。
式(2)におけるmは、0以上、3以下の整数を表す。
mは0であることが、芳香族三級アミン高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性及び成膜性が高められる点で好ましい。
また、mは1以上、3以下であることが、芳香族三級アミン高分子化合物の正孔輸送能が向上する点で好ましい。
(共役ポリマー)
本発明における芳香族三級アミン高分子化合物は、共役系の構造を有する繰り返し単位からなるため、十分な電荷輸送能を有し、また溶媒に対する十分な溶解性を有する点から、共役ポリマーであることが好ましい。
より具体的には、前記式(2)で表される繰り返し単位からなるポリマーであることが好ましい。
(不溶化基)
また、本発明における芳香族三級アミン高分子化合物は、共役ポリマーである場合、積層が容易であり、また成膜時の表面平坦性に優れる点で、さらに不溶化基を有することが好ましい。つまり、本発明における芳香族三級アミン高分子化合物は、不溶化基を有する共役ポリマーであることが好ましい。
不溶化基とは、熱及び/又は光などの活性エネルギー線の照射により反応する基であり、反応後は反応前に比べて有機溶媒や水への溶解性を低下させる効果を有する基である。
本発明においては、不溶化基は、解離性基又は架橋性基であることが好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物は、置換基として不溶化基を含む基を有するが、不溶化基を有する位置は、前記式(2)で表される繰り返し単位中にあってもよく、また式(2)で表される繰り返し単位以外の部分、例えば、末端基に有していてもよい。
以下、解離性基を有する芳香族三級アミン高分子化合物を「解離性ポリマー」、また架橋性基を有する芳香族三級アミン高分子化合物を「架橋性ポリマー」と称する場合がある。
<解離性基>
解離性基とは、溶媒に対して可溶性を示す基であり、結合している基(例えば、炭化水素環)から70℃以上で熱解離する基を表す。また、解離性基が解離することにより、ポリマーの溶媒への溶解度は低下する。
但し、解離後に、他の原子が結合する反応、例えば加水分解で解離する基などは除く。加水分解で解離する基は、解離後、分子内に活性プロトンを有することになる。この活性プロトンが素子中に存在すると、素子特性に影響する場合がある。
このような解離性基は、炭化水素環に結合し、該炭化水素環は極性基を有さない芳香族炭化水素環に縮合していることが好ましく、逆ディールスアルダー反応により熱解離する基であることがより好ましい。
また熱解離する温度は、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上、また好ましくは300℃以下、さらに好ましくは240℃以下である。
上記範囲内であると、ポリマーの合成が容易であり、また成膜時に化合物が分解するなどが起きにくい。
また特に、分子間のスタッキングを抑制する立体構造を有する基が可溶性に優れるため好ましい。化合物から解離性基が解離する反応の一例を下記に示す。
尚、上記反応式の場合、解離性基は、以下に示す構造の丸枠で囲った部分である。
このような解離性基の解離の例としては、例えば脱スルフィニルアセトアミド(JACS,V124,No.30,2002,8813参照)、脱オレフィン、脱アルコール、脱アルキル(H.Kwart and K.King,Department of Chemistry,University of Delaware,Nework,Delaware 19771,p415−447(1967),O.Diels and K.Alder,Ber.,62,554(1929)及びM.C.Kloetzel,Org.Reactions,4,6(1948)参照)、脱1,3−ジオキソール(N.D.Field,J.Am.Chem.Soc.,83,3504(1961)参照)、脱ジエン(R.Huisgen,M.Seidel,G.Wallbillich,and H.Knupfer,Tetrahedron,17,3(1962)参照)、脱イソキサゾール(R.Huisgen and M,Christi,Angew.Chem.Intern.Ed.Engl.,5,456(1967)参照)、脱トリアゾール(R.Kreher and J.Seubert,Z.Naturforach.,20B,75(1965)参照)等が挙げられる。
上記の中で特に、解離性基が結合する炭化水素環が、エテノ基又はエタノ基を含む環であることが、解離性基がより安定であり、合成がし易い点で好ましい。
このような解離性基は、加熱処理前において、その嵩高い分子構造から、分子間のスタッキングを防止したり、有機塗布溶媒に対して該ポリマーが良好な溶解性を有するものとすることができる。また、加熱処理によって該ポリマーから解離性基が解離するため、加熱後の化合物の溶媒への溶解性を著しく抑制することができ、該化合物を含む有機層に耐有機溶媒塗布性を付与することが出来る。したがって、本発明における解離性ポリマーを用いて形成された有機層上に、さらに湿式成膜法によって有機薄膜を積層して形成することが容易となる。
解離性基を含む基の具体例は、以下の通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
解離性基を含む基が2価の基である場合の具体例は、以下の<2価の解離性基を含む基群A>の通りである。
<2価の解離性基を含む基群A>
解離性基が1価の基である場合の具体例は、以下の<1価の解離性基を含む基群B>の通りである。
<1価の解離性基を含む基群B>
<繰り返し単位の配列及び割合等>
解離性基を有する共役ポリマーは、その構造中に解離性基を有するものであれば、その繰り返し単位等の構造は特に制限はないが、繰り返し単位内に芳香族環を有し、この芳香族環に縮合した炭化水素環に上記解離性基が結合していることが好ましい。
また中でもエテノ基、あるいは、エタノ基を含む解離性基が結合している部分構造を有する繰り返し単位を含む解離性基を有する共役ポリマーであることが、成膜性が優れる点から好ましい。
尚、エテノ基又はエタノ基は、炭化水素環に含まれていることが好ましく、該炭化水素環はさらに6員環であることが好ましい。
本発明における解離性基を有する共役ポリマーは、解離性基が結合している部分構造を有する繰り返し単位として、下記化学式(U3)又は(U4)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。この場合、ポリマー鎖中の繰り返し単位(U3)あるいは(U4)の含有量は、好ましくは10モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。
(式(U3)中、環Aは芳香族環を表す。前記芳香族環は置換基を有していてもよい。また、前記置換基同士が直接又は2価の連結基を介して環を形成していてもよい。S21、S22、R21〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基又は置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。X1及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6以上50以下の2価の芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい炭素数5以上50以下の2価の芳香族複素環基を表す。
式(U4)中、環Bは芳香族環を表す。前記芳香族環は置換基を有していてもよい。また、前記置換基同士が直接又は2価の連結基を介して環を形成していてもよい。S31〜S34、R31〜R36、X及びXは、それぞれ独立に、上記S21、S22、R21〜R26、X及びXとして示したものと同様である。n〜nはそれぞれ独立に、0〜5の整数を表す。)
化学式(U3)及び(U4)中における、環A及び環Bは、それぞれ解離性基が結合する芳香族環を表し、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族複素環であってもよいが、電気化学的安定性に優れるため、電荷が局在化しにくいため、芳香族炭化水素環であることが好ましい。また、該芳香族環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接又は2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
環A及び環Bが、芳香族炭化水素環である場合に、該芳香族炭化水素環の核炭素数は通常6以上である。また通常40以下であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。また、環A及び環Bが、芳香族複素環である場合に、該芳香族複素環の核炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、より好ましくは5以上である。また通常50以下であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンゾピレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。
上記の中でも環A及び環Bが、それぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びテトラセン環からなる群から選ばれることが好ましい。
また芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環等が挙げられる。
また、上記化学式(U3)及び(U4)中の環A及び環Bは、同種又は異なる2種以上の環構造単位が1以上10以下、直接、もしくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子、核炭素数1以上20以下のヘテロ原子を含んでもよい鎖状基、及び炭素数が1以上20以下の脂肪族基から選ばれる1種以上の2価の連結基を介して連結した構造とすることも可能である。なお連結される環構造単位としては、上記芳香族炭化水素環や芳香族複素環と同様、又は異なる芳香族炭化水素環や芳香族複素環とすることができる。またこれらの芳香族炭化水素環及び芳香族複素環は置換基を有していてもよい。
環A又は環Bの置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1以上10以下の直鎖又は分岐のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数1以上8以下のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基等の炭素数1以上8以下のアルキニル基;ベンジル基等の炭素数2以上8以下のアラルキル基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアリールアミノ基;ピリジルアミノ基、チエニルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のヘテロアリールアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1以上8以下のアルコキシ基;アクリロイルオキシル基、メチルカルボニルアオキシル基、エチルカルボニルアオキシル基、ヒドロキシカルボニルメチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシカルボニルエチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシフェニルカルボニルオキシル基等の炭素数1以上15以下のアシルオキシル基;フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、等の炭素数10以上20以下のアリールオキシル基;等が挙げられる。これらの置換基はお互いに直接、あるいは、−O−、−S−、>CO、>SO、−(Cα2α)−、−O−(Cβ2β)−、置換もしくは無置換の炭素数2以上20以下のアルキリデン基、置換基を有していてもよい炭素数2以上20以下のアルキレン基等、2価の連結基を介して結合し、環状構造を形成してもよい。上記α及びβは、それぞれ1以上20以下の整数を表す。
これらの置換基は1種のみ、又は2種以上が任意の組み合わせで1つ、又は2つ以上が環A又は環Bに置換していてもよい。
上記化学式(U3)及び化学式(U4)におけるS21、S22、R21〜R26、S31〜S34、R31〜R36は、それぞれ独立に、水素原子;水酸基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上、通常50以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐のアルキル基;置換基を有していてもよい核炭素数が通常5以上50以下の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい核炭素数が5以上40以下の芳香族複素環基;ベンジル基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常50以下、好ましくは8以下のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上、通常50以下、好ましくは8以下のアルコキシ基;フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常5以上、好ましくは6以上、通常50以下、好ましくは15以下のアリールオキシ基;置換基を有していてもよい核炭素数が通常2以上50以下のアシル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上8以下のアルケニル基;エチニル基、プロパギル基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常1以上8以下のアルキニル基;アクリロイルオキシル基、メチルカルボニルオキシル基、エチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシカルボニルメチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシカルボニルエチルカルボニルオキシル基、ヒドロキシフェニルカルボニルオキシル基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常2以上、通常50以下、好ましくは15以下のアシルオキシ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常6以上50以下のアリールアミノ基;ピリジルアミノ基、チエニルアミノ基、ジチエニルアミノ基等の置換基を有していてもよい核炭素数が通常5以上50以下のへテロアリールアミノ基;又はアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等の置換基を有していてもよい炭素数が通常2以上50以下のアシルアミノ基を表す。
本発明の解離性基を有する共役ポリマーは、前記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
(熱解離性可溶性基の割合)
解離性基は、上記解離性ポリマーの繰り返し単位以外の部分に含まれていてもよい。解離性ポリマー鎖の中に含まれる解離性基は、好ましくは平均5以上、より好ましくは平均10以上、より好ましくは平均50以上である。
上記範囲内であると、解離性ポリマーを用いて形成した有機層の有機溶媒に対する溶解性の低下が十分である点で好ましい。
以下、本発明における解離性ポリマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、式中nは繰り返し単位の繰り返し数を示す。
(架橋性基)
また、本発明における芳香族三級アミン高分子化合物は、共役ポリマーである場合、不溶化基として、架橋性基を有していることが、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により起こる反応(架橋反応)の前後で、溶媒に対する溶解性に大きな差を生じさせることができる点で好ましい。
ここで、架橋性基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。
架橋性基としては、架橋がしやすいという点で、例えば、架橋性基群Tに示す基が挙げられる。
<架橋性基群T>
(式中、R81〜R85は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Ar41は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。尚、ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。)
エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって不溶化反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあるヒドロキシル基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
シンナモイル基などアリールビニルカルボニル基、1個の遊離原子価を有するベンゾシクロブテン環などの環化付加反応する基が、電気化学的安定性をさらに向上させる点で好ましい。
また、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、1個の遊離原子価を有するベンゾシクロブテン環が特に好ましい。
具体的には、下記式(5)で表される基であることが好ましい。
(式(5)中のベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。また、置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。)
架橋性基は分子内の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基に直接結合してもよいが、2価の基を介して結合してもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は(置換基を有していてもよい)−CH−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基に結合することが好ましい。これら2価の基を介する架橋性基、すなわち、架橋性基を含む基の具体例は以下の<架橋性基を含む基群T’>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<架橋性基を含む基群T’>
(架橋性基の割合)
本発明における架橋性ポリマーが有する架橋性基の数は、分子量1000あたりの数で表すことができる。
上記架橋性ポリマーが有する架橋性基の数を、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましくは2.0個以下、さらに好ましくは1.0個以下、また通常0.01個以上、好ましくは0.05個以上である。
上記範囲内であると、より平坦な膜が得られ、また膜を形成した後の未反応架橋性基の数が駆動寿命に影響しにくくなるため、好ましい。
ここで、架橋性ポリマーの分子量1000あたりの架橋性基の数は、架橋性ポリマーからその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出する。
例えば、下記化合物の場合で説明する。
上記化合物において、末端基を除いた繰り返し単位の分子量は平均362.33であり、また架橋性基は、1繰り返し単位当たり平均0.05個である。これを単純比例により計算すると、分子量1000あたりの架橋性基の数は、0.138個と算出される。
以下に、本発明における架橋性ポリマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[具体例]
(上記式において、例えば、a=0.475、b=0.475、c=0.025、d=0.025のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.94、b=0.06のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.1、b=0.9のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.1、b=0.9のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.8、b=0.1、c=0.1のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.8、b=0.2のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.2、b=0.5、c=0.3のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.9442、b=0.0558のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.1、b=0.9のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.94、b=0.06のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1のものが挙げられる。)
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1のものが挙げられる。)
(特に好ましい架橋性基を有する共役ポリマー)
本発明における架橋性ポリマーは、下記の繰り返し単位群Aからなる群より選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位、及び下記の繰り返し単位群Bからなる群より選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を有する共役ポリマーであることが、電荷輸送能が高く、酸化還元安定性に優れる点で特に好ましい。
<繰り返し単位群A>
<繰り返し単位群B>
(ガラス転移温度、その他の物性)
本発明における架橋性ポリマーのガラス転移温度は、通常50℃以上、有機電界発光素子の耐熱性を含めた駆動安定性の点で好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、通常300℃以下である。
また、上記共役ポリマーのイオン化ポテンシャルは、電荷輸送能が優れる点で、通常4.5eV以上、好ましくは4.8eV以上、また、通常6.0eV以下、好ましくは5.7eV以下である。
(架橋性基を有する共役ポリマーである利点)
溶液状態の電荷輸送膜用組成物の場合、溶液であるために架橋性基の分子運動が固体状態よりも大きくなる。このとき、架橋性ポリマーの凝集状態において、架橋性基同士が常に近くに存在し続けた場合、適度な分子運動のために、後述の不溶化のための加熱温度以下であっても凝集状態で架橋してしまう確率が高くなると推測される。凝集状態でない均一な溶液の場合は、架橋性ポリマー分子そのものの分子運動が大きいために架橋性基同士が常に近くに存在し続けることはないため、後述の不溶化のための加熱温度以下の溶液状態では架橋する可能性はほとんどない。
(非共役ポリマーについて)
本発明における芳香族三級アミン高分子化合物は、非共役ポリマーであることが好ましい。この理由としては、電子受容性化合物により、アミン部位がカチオンラジカルになった場合、主鎖が共役していないことから、電圧の印加がない状態ではカチオンラジカルが移動し難い。つまり、カチオンラジカルが、ポリマー鎖中に均一に分布している。この為、カチオンラジカルがポリマー鎖中を伝播して、ポリマーが局在化してしまうことによる凝集がおきにくいため好ましい。
非共役ポリマーの中でも、前記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、更に、正孔注入・輸送性が高いという理由から、下記式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーであることが好ましい。
(式(1)中、Ar及びArは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。Xは、2価の連結基を表す。)
Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。これらは、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Ar及びArとしては、芳香族三級アミン高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、各々独立に、置換基を有していてもよい、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環が好ましく、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
また、Ar〜Arとしては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、各々独立に、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、フェナントレン環が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が好ましい。
Ar〜Arにおける芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、前記の<置換基群Z>と同義である。また、これらのうち好ましい基についても同様である。
置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。
(連結基X)
さらに、前記式(1)で表される繰り返し単位において、連結基Xが、下記<連結基群X’>から選ばれた2価の連結基であることが好ましい。
<連結基群X’>
(式中、Ar11〜Ar28は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R41及びR42は、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。)
Ar11〜Ar28としては、前記のAr〜Arと同様の基が挙げられる。
41及びR42は、水素原子又は置換基である。該置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられ、これらの具体例及び好ましい例としては、前記の<置換基群Z>に例示したものが挙げられる。
Ar11〜Ar28における芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、前記の<置換基群Z>の項に例示したものが挙げられる。
また、本発明で用いる芳香族三級アミン高分子化合物は、正孔注入・輸送性が非常に高いという理由から、上記式(1)は下記式(1−1)であることが好ましく、下記式(1−2)であることがさらに好ましい。
(式(1−1)中、R〜Rは、各々独立して置換基を表す。p及びqは、各々独立して0〜5の整数を表す。r,s及びtは各々独立して0〜4の整数を表す。Xは式(1)におけるものと同義である。)
上記式(1−1)において、R〜Rの具体例は、前述のAr〜Arが有していてもよい置換基の例、すなわち上記置換基群Zに例示されたものが該当する。
そして、式(1−1)中にR〜Rが複数ある場合は、それぞれのR〜Rは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
(式中、Yは、下記の連結基群X''の中から選ばれる連結基を表す。)
<連結基群X''>
(式中、Ar11〜Ar17は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
Ar11〜Ar17としては、前記のAr〜Arと同様の基が挙げられ、好ましい例も同様である。
(芳香族三級アミン高分子化合物の繰り返し単位の具体例)
以下、本発明における芳香族三級アミン高分子化合物を構成する繰り返し単位の好ましい例について例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記具体例のうち、耐熱性、電荷輸送能の点で、好ましくはP−1〜P−11、P−13〜P−18、P−20、P−21、P−23、P−25、P−26の繰り返し単位であり、より好ましくは、P−1、P−3、P−4、P−6、P−9、P−10の繰り返し単位であり、更に好ましくはP−1〜P−11、P−13〜P−18、P−20、P−21、P−23、P−25、P−26の繰り返し単位であり、更により好ましくは、P−1、P−3、P−4、P−6、P−9、P−10の繰り返し単位であり、最も好ましくはP−1、P−4の繰り返し単位である。
本発明における芳香族三級アミン高分子化合物は、異なる2種以上の繰り返し単位を含むポリマーであってもよい。
また、式(1)で表される繰り返し単位中のAr〜Ar又は連結基Xが異なることで、異なる繰り返し単位になっていてもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物における前記の芳香族三級アミン高分子化合物の含有量は、通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、また、通常6重量%以下、好ましくは5重量%以下である。芳香族三級アミン高分子化合物の含有量が少なすぎると電荷輸送能が不足する場合がある。また、多すぎると芳香族三級アミン高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性が低下する場合がある。異なる二種以上の芳香族三級アミン高分子化合物を併用する場合は、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
<電子受容性化合物>
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔注入輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される電子受容性化合物は、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)の第15〜17族に属する元素に、少なくとも一つの有機基が炭素原子で結合した構造を有するイオン化合物であることが好ましく、さらに下記式(I−1)〜(I−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
式(I−1)〜(I−3)中、R51、R61及びR71は、各々独立に、D〜Dと炭素原子で結合する有機基を表し、R52、R62、R63及びR72〜R74は、各々独立に、置換基を表す。R51〜R74のうち隣接する2以上の基が、互いに結合して環を形成していてもよい。
51、R61及びR71としては、D〜Dとの結合部分に炭素原子を有する有機基であれば、本発明の効果を損なわない限り、その種類は特に制限されない。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
51、R61及びR71の分子量は、各々、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。R51、R61及びR71の好ましい例としては、正電荷を非局在化させる点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。中でも、正電荷を非局在化させると共に熱的に安定であることから、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基が好ましい。
芳香族炭化水素環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオレン環等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
52、R62、R63及びR72〜R74の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。R52、R62、R63及びR72〜R74の分子量は、各々、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。R52、R62、R63及びR72〜R74の例としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、シアノ基、水酸基、チオール基、シリル基等が挙げられる。中でも、R51、R61及びR71と同様、電子受容性が大きい点から、D〜Dとの結合部分に炭素原子を有する有機基が好ましく、例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が好ましい。特に、電子受容性が大きいとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基が好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基としては、R51、R61及びR31について先に説明したものと同様のものが挙げられる。
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基等が挙げられる。
アルキルアミノ基としては、炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
アリールアミノ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、また、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を1つ以上有するアリールアミノ基が挙げられる。具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリルアミノ基、ピリジルアミノ基、チエニルアミノ基等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、炭素数が通常2以上、また、通常25以下、好ましくは15以下のアシル基を1つ以上有するアシルアミノ基が挙げられる。具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のアルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、また、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシ基が挙げられる。具体例としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられる。
アシル基としては、炭素数が通常1以上、また、通常25以下、好ましくは15以下のアシル基が挙げられる。具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数が通常2以上、また、通常10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基が挙げられる。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、また、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を有するものが挙げられる。具体例としては、フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数が通常2以上、また、通常10以下、好ましくは7以下のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。具体例としては、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、また、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基が挙げられる。具体例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基の具体例としては、メシル基、トシル基等が挙げられる。
スルホニルオキシ基の具体例としては、メシルオキシ基、トシルオキシ基等が挙げられる。
シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など挙げられる。
以上、R51、R61、R71及びR52、R62,R63、R72〜R74として例示した基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に他の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、上記R51、R61、R71及びR52、R62、R63、R72〜R74として各々例示した基の他、ハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基等が挙げられる。中でも、イオン化合物(電子受容性化合物)の耐熱性及び電子受容性の妨げにならない観点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が好ましい。
式(I−1)〜(I−3)中、D及びDは、周期表第3周期以降(具体的には、第3〜第6周期)の元素、Dは周期表第2周期以降(具体的には、第2〜第6周期)の元素であって、Dは、長周期型周期表の第17族に属する元素を表し、Dは、第16族に属する元素を表し、Dは、第15族に属する元素を表す。
中でも、電子受容性及び入手容易性の観点から、周期表の第5周期以前の元素が好ましい。即ち、Dとしてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子のうち何れかが好ましく、Dとしてはテルル原子、セレン原子、硫黄原子のうち何れかが好ましく、Dとしてはアンチモン原子、ヒ素原子、リン原子、窒素原子のうち何れかが好ましい。特に、電子受容性、化合物の安定性の面から、式(I−1)におけるDが臭素原子又はヨウ素原子である電子受容性化合物、式(I−2)におけるDがセレン原子又は硫黄原子である電子受容性化合物、式(I−3)におけるDが窒素原子である電子受容性化合物が好ましく、中でも、式(I−1)におけるDがヨウ素原子である電子受容性化合物、式(I−3)におけるDが窒素原子である電子受容性化合物が最も好ましい。
式(I−1)〜(I−3)中、Z n1−〜Z n3−は、各々独立に、対アニオンを表す。対アニオンの種類は特に制限されず、単原子イオンであっても錯イオンであってもよい。但し、対アニオンのサイズが大きいほど負電荷が非局在化し、それに伴い正電荷も非局在化して電子受容能が大きくなるため、単原子イオンよりも錯イオンの方が好ましい。
〜nは、各々独立に、対アニオンZ n1−〜Z n3−のイオン価に相当する任意の正の整数である。n〜nの値は特に制限されないが、何れも1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。
n1−〜Z n3−の具体例としては、水酸化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ホウ酸イオン、イソシアン酸イオン、水硫化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン;酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸イオン;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;メトキシイオン、t−ブトキシイオン等のアルコキシイオンなどが挙げられ、テトラフルオロホウ酸イオン及びヘキサフルオロホウ酸イオンが好ましい。
また、対アニオンZ n1−〜Z n3−としては、化合物の安定性、有機溶媒への溶解性の点で、下記式(I−4)〜(I−6)のいずれかで表される錯イオンが好ましく、サイズが大きいという点で、負電荷が非局在化し、それに伴い正電荷も非局在化して電子受容能が大きくなるため、式(I−6)で表される錯イオンが更に好ましい。
式(I−4)、(I−6)中、E及びEは、各々独立に、長周期型周期表の第13族に属する元素を表す。中でもホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さの点から、ホウ素原子が好ましい。
式(I−5)中、Eは、長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。中でもリン原子、ヒ素原子、アンチモン原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製が容易である点から、毒性の点から、リン原子が好ましい。
式(I−4)、(I−5)中、Q及びQは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表し、化合物の安定性、合成及び精製が容易である点から、フッ素原子、塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることが最も好ましい。
式(I−6)中、Ar61〜Ar64は、各々独立に、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基の例示としては、R51、R61及びR71について先に例示したものと同様の、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。中でも、化合物の安定性、耐熱性の点から、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環が好ましい。
Ar61〜Ar64として例示した芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されず、任意の置換基が適用可能であるが、電子吸引性の基であることが好ましい。
Ar61〜Ar64が有してもよい置換基として好ましい電子吸引性の基を例示するならば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;チオシアノ基;ニトロ基;メシル基等のアルキルスルホニル基;トシル基等のアリールスルホニル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常1以上、通常12以下、好ましくは6以下のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシカルボニル基;アミノカルボニル基;アミノスルホニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基にフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子が置換したハロアルキル基、などが挙げられる。
中でも、Ar61〜Ar64のうち少なくとも1つの基が、フッ素原子又は塩素原子を置換基として1つ又は2つ以上有することがより好ましい。特に、負電荷を効率よく非局在化する点、及び、適度な昇華性を有する点から、Ar61〜Ar64の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアリール基であることが最も好ましい。パーフルオロアリール基の具体例としては、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロ−2−ナフチル基、テトラフルオロ−4−ピリジル基等が挙げられる。
本発明における電子受容性化合物の分子量は、通常100以上、好ましくは300以上、更に好ましくは400以上、また、通常5000以下、好ましくは3000以下、更に好ましくは2000以下の範囲である。電子受容性化合物の分子量が小さすぎると、正電荷及び負電荷の非局在化が不十分なため、電子受容能が低下するおそれがあり、電子受容性化合物の分子量が大きすぎると、電子受容性化合物自体が電荷輸送の妨げとなるおそれがある。
以下に本発明における電子受容性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記具体例のうち、電子受容性、耐熱性、有機溶媒に対する溶解性の点で、好ましくは、A−1〜48、A−54、A−55、A−60〜62、A−64〜75、A−79〜83、B−1〜20、B−24、B−25、B−27、B−30〜37、B−39〜43、C−1〜10、C−19〜21、C−25〜27、C−30、C−31、D−15〜28の化合物であり、より好ましくは、A−1〜9、A−12〜15、A−17、A−19、A−24、A―29、A−31〜33、A−36、A−37、A−65、A−66、A−69、A−80〜82、B−1〜3、B−5、B−7〜10、B−16、B−30、B−33、B−39、C−1〜3、C−5、C−10、C−21、C−25、C−31、D−17〜28の化合物であり、最も好ましくは、A−1〜7、A−80、D−21〜24の化合物である。
以上説明した電子受容性化合物を製造する方法は特に制限されず、各種の方法を用いて製造することが可能である。例としては、Chem.Rev.、66巻、243頁、1966年、及び、J.Org.Chem.、53巻、5571頁、1988年に記載の方法等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、上述の電子受容性化合物のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。また、式(I−1)〜(I−3)のうち何れか一つの式に該当する電子受容性化合物を二種以上組み合わせてもよく、各々異なる式に該当する二種以上の電子受容性化合物を組み合わせてもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物において、電子受容性化合物としては特に好ましくは以下の式(3)で表される化合物が用いられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物における上述の電子受容性化合物の含有量は、先述の芳香族三級アミン高分子化合物に対する値で、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常100重量%以下、好ましくは40重量%以下である。電子受容性化合物の含有率が少な過ぎると駆動電圧が上昇するおそれがあり、また電子受容性化合物の含有率が多過ぎると成膜性が低下するおそれがある。二種以上の電子受容性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
2.粒子
本発明の正孔注入・輸送層には、粒子が分散されてなる。粒子は発光素子の発光波長領域で光吸収性が小さいこと、より好ましくは光吸収性を有しないことが好ましい。
・材質
分散される粒子としては、金属酸化物、複合酸化物及び高分子材料から選択することができる。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化銅、酸化銀、酸化鉄、酸化ビスマス、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。
また、複合酸化物としてインジウム−スズ酸化物(ITO)、アルミニウム−亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム−亜鉛酸化物(GZO)等が挙げられる。
これらはいずれも公知の物質であり、容易に入手可能である。またその原料、製造方法などは特に限定されない。その際、金属酸化物粒子は表面処理がされていてもよい。表面処理の方法としては、例えば、金属酸化物粒子粉体に表面処理剤を添加し、ボールミルやビーズミル、混練機などを用いて均一に混合して、あるいは加熱処理を併用するなどして、金属酸化物粒子に表面処理剤を吸着させる、あるいは化学的に結合させる方法などが挙げられる。表面処理によって導入される化学種としては、例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物、ステアリン酸などの有機酸、リン酸などの無機酸、シリコーンなどが挙げられる。
高分子材料としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これら高分子材料の真球状粒子は市販されており容易に入手可能である。本発明では湿式成膜法で正孔注入・輸送層を形成するため、分散媒への耐溶解性に優れる架橋高分子材料であることがより好ましい。
高分子材料の粒子として、例えば、綜研化学(株)製機能性微粒子「商標名:ケミスノー」、積水化成品工業(株)製真球状微粒子ポリマー「商標名:テクポリマー」、日産化学(株)製真球状樹脂微粒子「商標名:オプトビーズ」、同「商標名:ハイパーテック」、東レ(株)製「商標名:トレパール」等が挙げられる。
・屈折率
粒子の屈折率は正孔注入輸送性化合物の屈折率(概ね1.65〜1.7)より高くても、低くても散乱性能は得られるが、高い散乱性能を有する正孔注入・輸送層を得るためには、粒子の屈折率は正孔注入輸送性化合物の屈折率に対して0.05以上、特に0.10以上、とりわけ0.20以上の差があることが好ましい。さらに、正孔注入・輸送層の屈折率が発光層の屈折率(概ね1.7)より高い場合は当該界面での全反射による損失が生じないため、正孔注入・輸送層の屈折率が高いほうが好ましい。従って、粒子の屈折率は正孔注入輸送性化合物自体の屈折率より高い方が好ましく、粒子の屈折率は1.70以上、より好ましくは1.75以上、更に好ましくは1.85以上、最も好ましくは2.00以上であることが好ましい。以上のことから粒子は酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化スズ、ITOが特に好ましい。
・粒径
一般に微粒子は、外見上の幾何学的形態から判断して単位粒子と考えられる一次粒子と、一次粒子が複数個集合した二次粒子に分類される。本発明の粒子は一次粒子、二次粒子のいずれであってもよく、粒子の平均粒径は、10nm〜300nmであり、好ましくは50〜250nm、さらに好ましくは100〜200nmである。このような範囲の平均粒径を有する粒子を用いることにより、優れた散乱性能を有し、かつ有機電界発光素子が短絡することのない表面平坦性に優れた正孔注入・輸送層を得ることができる。
なお、本発明における平均粒径は、動的光散乱方式で測定した値である。
・粒子の分散方法
本発明においては、正孔注入・輸送層成形用組成物に粒子を単独で混合してもよく、あるいは2種以上の粒子を混合してもよい。
正孔注入輸送性化合物と粒子の混合割合は特に限定されず、任意に選択することができる。正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比は95:5〜20:80が好ましく、90:10〜25:75がより好ましく、80:20〜30:70がさらに好ましい。粒子の固形分重量比が5以上であると十分な散乱性能を得ることができ、80以下であると正孔注入・輸送層が十分な導電性を有することができる。粒子表面や、2次粒子に含まれる1次粒子の表面部分を、分散剤が覆っている場合もあり、その場合は、粒子の重量とは、粒子を覆う分散剤の重量を含んでいてもよい。
また、混合の際には、粒子を粉体で混合し分散処理してもよいし、予め適当な溶媒に分散させた後、粒子分散液として混合してもよい。正孔注入・輸送層成形用組成物と均一に混合、分散しやすいことから、予め粒子分散液としてから混合する方法がより好ましい。
粒子分散液の調製方法としては、一般的には、溶媒と粒子、必要に応じて分散剤と粉砕用ビーズを予め固形分濃度が5〜70重量%となるように混合し、分散処理して粒子分散液を調製する。分散処理の方法としては、例えば、超音波分散機による分散処理、サンドミル、アトライター、ダイノミル、ビーズミル、ボールミル、フルイダイザー、高速ミキサー、ホモジナイザー、ペイントシェーカー等による分散方法など、いずれの方法も用いることができる。
粒子の分散安定性向上のために、通常分散剤として市販されている低分子分散剤、高分子分散剤を含有させることも可能である。中でも正孔注入・輸送層成形用組成物中での粒子の分散安定性の観点で高分子分散剤を配合することが好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。これらの分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。分散剤を含む場合、その含有量としては、粒子に対する分散剤の含有割合が0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜35重量%がより好ましく、1〜30重量%が更に好ましく、2〜25重量%が最も好ましい。粒子に対する分散剤の含有割合が0.1重量%を下回ると分散液中における粒子の分散安定性が悪くなるおそれがあり、50重量%を超えると正孔注入・輸送層の正孔移動度を低下させる恐れがある。
また、前述のカチオンラジカル化合物を不安定化するような分散剤は用いるべきではない。例えば、芳香族三級アミン高分子化合物を4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートでカチオンラジカル化する系に対して、アミノ基やアンモニウムカチオン基を有する分散剤を併用すると、次第にカチオンラジカルが失われて正孔注入・輸送層の導電性が低下し、結果として有機電界発光素子の駆動電圧が上昇してしまう悪影響が生じる。
3.湿式成膜法
湿式成膜法により正孔注入・輸送層を形成する場合、通常、正孔注入・輸送層となる材料、すなわち本発明においては正孔注入輸送性化合物および粒子を含んでなる材料を可溶または分散可能な溶剤(正孔注入・輸送層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入・輸送層形成用組成物)を調製し、この正孔注入・輸送層形成用組成物を正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥させることにより形成させる。なお、正孔注入・輸送層を形成するに際し、粒子を含まない層を形成する場合は、適宜公知の蒸着法により層形成することも可能である。
正孔注入・輸送層形成用組成物中における正孔注入輸送性化合物の濃度および正孔注入輸送性化合物と粒子を合算した固形分の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点では、低い方が好ましく、また、一方、正孔注入・輸送層に欠陥が生じ難い点、および厚膜を得やすい点では、高い方が好ましい。具体的には、0.01重量%以上であるのが好ましく、0.1重量%以上であるのが更に好ましく、0.5重量%以上であるのが特に好ましく、また、一方、70重量%以下であるのが好ましく、60重量%以下であるのが更に好ましく、50重量%以下であるのが特に好ましい。
本発明の正孔注入・輸送層の膜厚は、100nm以上、1000nm以下である。一般の有機電界素子の正孔注入・輸送層が数十nmであるのに比べ厚いが、本発明では当該膜厚を得るのに1回の塗布で形成してもよいし、重ね塗りを繰り返して形成してもよいことが特長である。
重ね塗りにより形成する場合は、正孔注入輸送性化合物が架橋性基を有していることが好ましい。架橋性基を有する場合、塗布後の加熱乾燥で正孔注入輸送性化合物は架橋して耐溶剤性が向上するため、次に正孔注入層形成用組成物を重ね塗りしても形成済みの膜は溶解減りすることなく、効率的に膜厚を増加させることができる。また、架橋することで粒子は均一分散状態のまま塗膜中に固定されることになるので、粒子同士が凝集して正孔注入輸送性化合物と相分離するといった問題を回避することができる。
粒子を含む正孔注入・輸送層に、粒子を含まない正孔注入・輸送層形成用組成物を重ね塗りしてもよい。粒子を含む正孔注入・輸送層は表面平坦性が劣る場合があるが、この方法により正孔注入・輸送層の表面平坦性が改善できるともに、正孔輸送層や発光層と接することになる表面近傍の正孔注入性能を高める効果が期待される。
正孔注入・輸送層形成用組成物の溶剤としては、正孔注入輸送性化合物を溶解することが可能であり、かつ粒子を安定的に分散できるものから選択される。
予め調製した粒子分散液と、正孔注入輸送性化合物の溶液とを混合して正孔注入・輸送層形成用組成物を調製する場合には、粒子分散液と正孔注入輸送性化合物溶液が同一溶媒種を用いていることが正孔注入・輸送層形成用組成物の保存安定性の面で好ましい。溶剤は、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル及び1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
これらの他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
一般に湿式成膜法では、塗布液は濾過フィルターで濾過して微細なゴミや不溶物質を除去してから塗布に用いられる。しかし本発明の正孔注入・輸送層形成用組成物は粒子を含む塗布液のため、濾過フィルターの目開き孔径によっては組成物が通過しないことがある。その際は、粒子分散液と正孔注入輸送性化合物の溶液、それぞれを適した目開き孔径の濾過フィルターで濾過し、その後に混合して正孔注入・輸送層形成用組成物を調製する方法をとるとよい。
また、正孔注入・輸送層形成用組成物の粘度としては、塗布性の観点から0.5mPa・s〜500mPa・s程度である。なお組成物には、有機電界発光素子の性能に問題を生じない範囲で、必要に応じて界面活性剤、流動調整剤、消泡剤などの添加物を混合してもよい。
正孔注入・輸送層の湿式成膜法による形成は、通常、正孔注入・輸送層形成用組成物を調製後に、これを、正孔注入・輸送層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより行われる。
正孔注入・輸送層は、通常、成膜後に、加熱や減圧乾燥等により塗布膜を乾燥させる。
なお、正孔注入・輸送層は、架橋されていてもよい。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、ノズルコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法など、公知の方法を用いることができる。表面平坦性が得やすく簡便であることから、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法が好ましい。
特に芳香族アミンを用いる場合、芳香族アミンは光を吸収するために、一般的に膜厚を100nm以上にすることはない。しかし、本発明者は、芳香族アミンに粒子を分散させる場合には、意外にも膜厚を100nm以上とすることにより、光取り出し効率が向上することを見出した。
4.有機電界発光素子
以下に、本発明の正孔注入・輸送層を含む、有機電界発光素子、有機EL表示装置及び有機EL照明装置の実施態様を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容により限定されるものではない。
(基板)
基板は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、通常、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらのうち、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。基板は、外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いことからガスバリア性の高い材質とするのが好ましい。このため、特に合成樹脂製の基板等のようにガスバリア性の低い材質を用いる場合は、基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を上げるのが好ましい。
(陽極)
陽極は、発光層側の層に正孔を注入する機能を担う。陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック及びポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。陽極の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式法により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより形成することもできる。また、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は、通常、単層構造であるが、適宜、積層構造としてもよい。陽極が積層構造である場合、1層目の陽極上に異なる導電材料を積層してもよい。陽極の厚みは、必要とされる透明性と材質等に応じて、決めればよい。特に高い透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率が60%以上となる厚みが好ましく、80%以上となる厚みが更に好ましい。陽極の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下とするのが好ましい。一方、透明性が不要な場合は、陽極の厚みは必要な強度等に応じて任意に厚みとすればよく、この場合、陽極は基板と同一の厚みでもよい。
陽極の表面に成膜を行う場合は、成膜前に、紫外線+オゾン、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ等の処理を施すことにより、陽極上の不純物を除去すると共に、そのイオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させておくのが好ましい。
(発光層)
発光層は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。発光層は、陽極と陰極の間に形成される層であり、発光層は、陽極の上に正孔注入・輸送層がある場合は、正孔注入・輸送層と陰極の間に形成され、陽極の上に正孔輸送層がある場合は、正孔輸送層と陰極の間に形成される。
発光層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難い点では厚い方が好ましく、また、一方、薄い方が低駆動電圧としやすい点で好ましい。このため、3nm以上であるのが好ましく、5nm以上であるのが更に好ましく、また、一方、通常200nm以下であるのが好ましく、100nm以下であるのが更に好ましい。
発光層は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、電荷輸送性を有する材料(電荷輸送性材料)とを含有する。
(発光材料)
発光材料は、所望の発光波長で発光し、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。発光材料は、蛍光発光材料でも、燐光発光材料でもよいが、発光効率が良好である材料が好ましく、内部量子効率の観点から燐光発光材料が好ましい。
蛍光発光材料としては、例えば、以下の材料が挙げられる。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光発光材料)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光発光材料)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光発光材料)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光発光材料)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
また、燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表の第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体等が挙げられる。周期表の第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
有機金属錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
好ましい燐光発光材料として、具体的には、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム等のフェニルピリジン錯体及びオクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等のポルフィリン錯体等が挙げられる。
高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(1,4−ベンゾ−2{2,1’−3}−トリアゾール)]などのポリフルオレン系材料、ポリ[2−メトキシ−5−(2−ヘチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などのポリフェニレンビニレン系材料が挙げられる。
(電荷輸送性材料)
電荷輸送性材料は、正電荷(正孔)又は負電荷(電子)輸送性を有する材料であり、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。
電荷輸送性材料は、従来、有機電界発光素子の発光層に用いられている化合物等を用いることができ、特に、発光層のホスト材料として使用されている化合物が好ましい。
電荷輸送性材料としては、具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で三級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化合物等の正孔注入・輸送層の正孔注入輸送性化合物として例示した化合物等が挙げられる他、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等の電子輸送性化合物等が挙げられる。
また、例えば、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで表わされる2個以上の三級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(日本国特開平5−234681号公報)、4,4',4''−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン系化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール系化合物等の正孔輸送層の正孔注入輸送性化合物として例示した化合物等も好ましく用いることができる。また、この他、2−(4−ビフェニル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)などのオキサジアゾール系化合物、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロリン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)などのフェナントロリン系化合物等も挙げられる。
<湿式成膜法による発光層の形成>
発光層の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよいが、成膜性に優れることから、湿式成膜法が好ましく、スピンコート法及びインクジェット法が更に好ましい。湿式成膜法により発光層を形成する場合は、通常、上述の正孔注入・輸送層を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入・輸送層形成用組成物の代わりに、発光層となる材料を可溶な溶剤(発光層用溶剤)と混合して調製した発光層形成用組成物を用いて形成させる。
溶剤としては、例えば、正孔注入・輸送層の形成について挙げたエーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤の他、アルカン系溶剤、ハロゲン化芳香族炭化水系溶剤、脂肪族アルコール系溶剤、脂環族アルコール系溶剤、脂肪族ケトン系溶剤及び脂環族ケトン系溶剤などが挙げられる。以下に溶媒の具体例を挙げるが、本発明の効果を損なわない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル系溶剤;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル系溶剤;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル系溶剤;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン系溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール系溶剤;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール系溶剤;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン系溶剤;シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン系溶剤等が挙げられる。これらのうち、アルカン系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤が特に好ましい。
(正孔阻止層)
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(日本国特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(日本国特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(日本国特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
(電子輸送層)
電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層に用いる電子輸送性化合物は、通常、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送できる化合物が好ましい。電子輸送性化合物としては、具体的には、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(日本国特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(日本国特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(日本国特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
(電子注入層)
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(日本国特開平10−270171号公報、日本国特開2002−100478号公報、日本国特開2002−100482号公報などに記載)ことも、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。
膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層又はその上の正孔阻止層上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層の場合と同様である。
(陰極)
陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光層など)に電子を注入する役割を果たす。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
素子の安定性の点では、陰極の上に、仕事関数が高く、大気に対して安定な金属層を積層して、低仕事関数の金属からなる陰極を保護するのが好ましい。積層する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、更に他の層を有していてもよい。すなわち、陽極と陰極との間に、上述の他の任意の層を有していてもよい。
<その他の素子構成>
なお、上述の説明とは逆の構造、即ち、基板上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入・輸送層、陽極の順に積層することも可能である。
<その他>
本発明の有機電界発光素子を有機電界発光装置に適用する場合は、単一の有機電界発光素子として用いても、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成にして用いても、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成にして用いてもよい。
5.有機EL表示装置
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
6.有機EL照明
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
以下、製造例、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
1.散乱粒子分散液の粒径測定
散乱粒子分散液の平均粒径は、大塚電子株式会社製の濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000型、動的光散乱法)を用いて測定した。
2.膜厚、表面粗さRaの測定
正孔注入層の膜厚は、KLA−Tencor Japan社製の段差・表面粗さ・微細形状測定装置(「P−15型」)を用いて測定した。表面粗さは2000μm間における算術平均粗さRaを測定した。
<実施例1>
1.有機電界発光素子の作製
1)本発明の有機電界発光素子(A1)の作製
<粒子分散液1の調製>
30ml蓋付きガラス瓶に、粒子として石原産業(株)製の酸化チタン粉末「TTO−55(C)」(平均1次粒径30〜50nm)1.20gに安息香酸エチル(エチルベンゾエート、以下、「EB」と称す)4.74g、ビックケミ−製の分散剤「DISPERBYK−111」0.12g、および0.5mmφジルコニアビーズ20gを取り、密栓して淺田鉄工製ペイントシェーカー(PC型)で4時間振とうして分散処理を行った。この分散液を200メッシュのスチール網でろ過し、ジルコニアビーズを除去して粒子分散液1を得た。この分散液の平均粒径は166nmであった。
<正孔注入輸送性組成物1の調製>
以下に示す繰り返し単位を有する正孔注入輸送性化合物(HIL−1)と4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートとを重量比100対20で混合し、混合物の濃度が5.0重量%となるよう安息香酸エチルを加え、加熱、溶解させて正孔注入輸送性組成物1を調製した。
<正孔注入層塗布液の調製>
茶褐色瓶に粒子分散液1を0.33g、正孔注入輸送性組成物1を1.40g、安息香酸エチル0.93gを取り、ペンシルミキサーを用いて1分間撹拌し、正孔注入層塗布液1を調製した。この組成物中の正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比は43対57である。
<2mm角 有機電界発光素子の作製>
以下の方法で、有機電界発光素子を作製した。
1.基板の準備
無アルカリガラス基板(日本電気硝子(株)製ガラス基板「OA−10G」、厚み0.7mm)に、陽極として膜厚70nmのITOを成膜し、発光エリアが2mm角になるようにITOをパターニング加工したもの(以下、これを2mm角素子用ITO基板とする)を準備した。
2.正孔注入層の形成
大気雰囲気中で、前記のITO基板上に、正孔注入層塗布液1を2000rpmで30秒間スピンコート塗布し、230℃のクリーンオーブン内で10分間加熱して仮硬化させた。この時の膜厚は99nmであった。さらにこの仮硬化塗膜上に正孔注入層塗布液1を2500rpmで30秒間スピンコート塗布し、再び230℃で10分間加熱し仮硬化させた。膜厚が目標値(約150nm)に達していることを確認した後、230℃で1時間加熱して本硬化した。これにより膜厚149nmの正孔注入層を形成した。
3.正孔輸送層の形成
前記正孔注入層の上に、正孔輸送層として下記に示す化合物PPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェナントリル)−1,1’−ビフェニル4,4’−ジアミン)を真空蒸着法により膜厚45nmで形成した。
なお、正孔輸送層の蒸着以降から下記の<封止>が終了するまでは窒素雰囲気、もしくは真空雰囲気内での取扱いとし、酸素または水分との接触を避けることとした。
4.発光層
前記正孔輸送層の上に、発光層としてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)を真空蒸着法により膜厚60nmで形成した。
5.電子注入層および陰極の形成
前記電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を膜厚0.5nmとなるよう真空蒸着法によって蒸着して電子注入層を形成した後に、アルミニウムを膜厚80nmとなるよう真空蒸着法によって蒸着して陰極を形成した。
6.封止
引き続き、窒素グローブボックス中で、ザグリガラス(=凹状に加工されたガラス)の凹部中央にシート状脱水材を貼り付け、外周部に光硬化性樹脂を塗布した。このザグリガラスを、光取り出し膜から陰極まで積層された積層体を覆うようにガラス基板に貼り合わせて、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射して樹脂を硬化させることにより封止し、有機電界発光素子を得た。
上記の方法で作成した有機電界発光素子の概略図を図1に示す。
2)比較の有機電界発光素子(B1)の作製
正孔注入層の形成工程において、粒子を含有しない正孔注入輸送性組成物1を用いて膜厚が目標値(約150nm)となるように正孔注入層を形成した。それ以外は、本発明の有機電界発光素子(A1)と同じ方法で有機電界発光素子(B1)を得た。
2.光取り出し効果の評価
作製した有機電界発光素子に6.0mAの直流電流を印加して発光させた時の全光束量[ルーメン(lm)]を、スペクトラ・コープ社製全光束測定システム(分光器:Solid−Lambda CCD、積分球:ラボスフェアー製SLMS−1011型)で測定した。
本発明の有機電界発光素子(A1)の全光束量を、粒子を含有しない正孔注入層を用いた比較の有機電界発光素子(B1)の全光束量で除した値を「光取り出し倍率」として算出した。光取り出し倍率が1.00を超える場合に、光取り出し効果が認められることになる。
本発明の有機電界発光素子は、光取り出し倍率が1.36であり、光取り出し効果が認められた。
<実施例2〜3>
正孔注入層の膜厚目標値をそれぞれ約480nm、約600nmとして、実施例1記載の方法で本発明の有機電界発光素子(A2)および(A3)、比較の素子(B2)および(B3)を作製した。表14に記載の通り、正孔注入層が当該膜厚の場合でも本発明の有機電界発光素子(A2)および(A3)は光取り出し効果が認められた。
<実施例4>
<正孔注入層塗布液2〜8の調製>
下記表15に記載の粒子分散液と、正孔注入輸送性組成物1を混合して、正孔注入層塗布液2〜8を調製した。粒子分散液の、試作No.147、試作No.236、試作No.280、試作No.281、試作No.237の固形分は、粒子:分散剤=10:1であり、粒子分散液の、PL−1−TOL、MS−300Kの固形分は、粒子のみであった。
正孔注入層塗布液2〜正孔注入層塗布液6は、正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比が53対47に、正孔注入層塗布液7、正孔注入層塗布液8は、正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比が50対50になるように正孔注入輸送性組成物1と粒子分散液とを混合して、正孔注入層塗布液2〜8を調製した。
また、これらの正孔注入層塗布液を用いて、表16に記載の有機電界発光素子(A4−1〜A4−7)、および比較の素子(B4)を実施例1と同じ手順によりを作製した。本発明の有機電界発光素子(A4−1〜A4−7)は、いずれの場合についても光取り出し効果が認められた。
<実施例5>
<本発明の有機電界発光素子(A5)の作製>
以下の方法で、有機電界発光素子を作製した。
1.開口バンク付き基板の作製
無アルカリガラス基板(日本電気硝子(株)製ガラス基板「OA−10G」、厚み0.7mm)に、陽極として膜厚70nmのITOを成膜した。
昭和電工製SPCM−144を10.0g、新中村化学工業株式会社製NKオリゴU−6LPAを6.1g、チバジャパン製イルガキュア907を0.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを22.1g混合したネガ型感光性樹脂用液を調製し、上記の陽極上にネガ型感光性樹脂溶液をスピンコート塗布し、6mm×6mmの開口面積を有する遮光マスク越しに紫外線照射による露光を行った。テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液による現像を行った後、260℃熱風オーブン内で1時間バンクの焼成を行い、バンク壁面高さ1.4μm、開口面積6mm×6mmの開口バンクを形成した。
<正孔注入輸送性組成物2の調製>
以下に示す繰り返し単位を有する正孔注入輸送性化合物(HIL−2)と4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートとを重量比100対2で混合し、混合物の濃度が6.0重量%となるよう安息香酸エチルを加え、加熱、溶解させて正孔注入輸送性組成物2を調製した。
<正孔注入層塗布液9の調製>
粒子分散液1と正孔注入輸送性組成物2を正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比が50対50になる比率で混合して、正孔注入層塗布液9を調製した。
前記の開口バンクで囲まれた陽極上に、正孔注入層塗布液9をスピンコート塗布して正孔注入層を形成した。以下、実施例1の手順で6mm角の有機電界発光素子(A5)を作製した。
上記の方法で作成した有機電界発光素子の概略図を図2に示す。
<本発明の有機電界発光素子(A6)、比較の素子(B5)および(B6)の作製>
正孔注入層の形成工程において表15に記載の正孔注入層塗布液1を用いた以外は、有機電界発光素子(A5)の作製と同様の手順で有機電界発光素子(A6)を作製、また、正孔注入層の形成工程において前記の正孔注入輸送性組成物2、および1を用いた以外は、有機電界発光素子(A5)の作製と同様の手順で(B5)および(B6)を作製した。
いずれの場合も、本発明の素子では光取り出し効果が認められた。また、実施例1と実施例6の比較から、発光面積が大きい場合ではより本発明の光取り出し効果が大きくなること(サイズ依存効果)が確認された。
<比較例1、2>
<正孔注入層塗布液10〜13の調製>
へレウス社製PEDOT/PSS分散液「クレビオスP VP AL4083(PEDOT/PSS=1/6重量比、固形分濃度1.5%)と日産化学工業社製コロイダルシリカゾル「スノーテックスOS」を、PEDOT/PSSと粒子の固形分重量比が50対50になる比率で混合して、正孔注入層塗布液10を調製した。また「スノーテックスO40」と組み合わせて正孔注入層塗布液11を調製した。
また、へレウス社製PEDOT/PSS分散液「クレビオスP VP CH8000(PEDOT/PSS=1/20重量比、固形分濃度3%)と「スノーテックスOS」または「スノーテックスO40」との組み合わせで正孔注入層塗布液12、13を調製した(いずれもPEDOT/PSSと粒子の固形分重量比が50対50になる比率で混合)。
正孔注入層塗布液10〜13、および「クレビオスP VP AL4083」、「クレビオスP VP CH8000」をそれぞれ2mm角素子用ITO基板上にスピンコート塗布し、135℃のホットプレート上で10分間加熱乾燥して正孔注入層を形成した。その後、実施例1に記載の手順で、発明外の有機電界発光素子(C1−1〜C2−2)および比較の素子(D1、D2)を作製した。表20に示す。
いずれの発明外の素子も、光取り出し倍率は1.00以下であり、光取り出し効果は認められなかった。
<比較例3>
1)有機電界発光素子(E1)の作製
<正孔注入層塗布液14の調製>
実施例1と同様にして粒子分散液1−2を調製した。この時の分散液の平均粒径は118nmであった。この粒子分散液1−2を25重量部と、実施例1と同様にして調製した正孔注入輸送性組成物1を100重量部とを混合し、正孔注入層塗布液14を調製した。この組成物中の正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比は54対46である。
実施例1で用いたのと同様の基板に正孔注入層塗布液14を1000rpmで30秒間スピンコート塗布し、ただちに真空乾燥機に投入して1分間減圧乾燥した。次いで230℃のホットプレートにて10分間加熱して硬化塗布膜を形成した。この時の膜厚は310nmであった。この硬化塗布膜上に同様にしてさらに硬化塗布膜をさらに4回積層成膜した。さらに、この硬化塗布膜上に、正孔注入層塗布液14を1500rpmで30秒間スピンコート塗布し、ただちに真空乾燥機に投入して1分間減圧乾燥し、次いで230℃のホットプレートにて10分間加熱して硬化塗布膜を形成した。以上の様にして、基板上に膜厚1570nmの正孔注入層を形成した。
前記正孔注入層上には実施例1と同様に、正孔輸送層、発光層、電子注入層、陰極を形成し、封止して有機電界発光素子(E1)を得た。
2)有機電界発光素子(F1)の作製
正孔注入層の形成工程において、粒子を含有しない正孔注入輸送性組成物1を用いて、有機電界発光素子(E1)と同様にして有機電界発光素子(F1)を得た。この時の正孔注入層の膜厚は1500nmであった。
3)光取り出し効果の評価
実施例1記載の方法で評価したところ、表21の通り、正孔注入層が当該膜厚の場合では光取り出し効果はほとんど認められなかった。
<実施例6>
1)本発明の有機電界発光素子(G1)の作製
<正孔注入輸送性組成物3の調製>
以下に示す繰り返し単位を有する正孔注入輸送性化合物(HIL−3)と4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートとを重量比100対2で混合し、混合物の濃度が5.0重量%となるよう安息香酸エチルを加え、加熱、溶解させて正孔注入輸送性組成物3を調製した。
<正孔注入層塗布液15の調製>
粒子分散液1−2と正孔注入輸送性組成物3を、正孔注入輸送性化合物と粒子の固形分重量比が54対46になる比率で混合して、正孔注入層塗布液15を調製した。
実施例1で用いたのと同様の基板に正孔注入層塗布液15を1000rpmで30秒間スピンコート塗布し、ただちに真空乾燥機に投入して1分間減圧乾燥した。次いで230℃のホットプレートにて10分間加熱して硬化塗布膜を形成した。この時の膜厚は330nmであった。さらに、この硬化塗布膜上に、正孔注入層塗布液15を1500rpmで30秒間スピンコート塗布し、ただちに真空乾燥機に投入して1分間減圧乾燥し、次いで230℃のホットプレートにて10分間加熱して硬化塗布膜を形成した。以上の様にして、基板上に膜厚530nmの正孔注入層を形成した。
前記正孔注入層上には実施例1と同様に、正孔輸送層、発光層、電子注入層、陰極を形成し、封止して有機電界発光素子(G1)を得た。
2)比較の有機電界発光素子(H1)の作製
正孔注入層の形成工程において、粒子を含有しない正孔注入輸送性組成物3を用いて、有機電界発光素子(G1)と同様にして有機電界発光素子(H1)を得た。この時の正孔注入層の膜厚は460nmであった。
3)光取り出し効果の評価
実施例1記載の方法で評価したところ、表22の通り、正孔注入輸送性化合物が(HIL−3)の場合においても光取り出し効果が認められた。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2012年11月12日出願の日本特許出願(特願2012−248541)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1・・・正孔注入層
2・・・正孔輸送層
3・・・発光層
4・・・電子注入層
5・・・陰極
6・・・陽極
7・・・ガラス基板
8・・・バンク材
9・・・シート状脱水材
10・・・ザクリガラス
11・・・光硬化性樹脂
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えば、1個又は2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、1個又は2個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。
芳香族複素環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等が挙げられる。
高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(1,4−ベンゾ−2{2,1’−3}−トリアゾール)]などのポリフルオレン系材料、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などのポリフェニレンビニレン系材料が挙げられる。


Claims (8)

  1. 陽極及び陰極と、前記陽極と前記陰極との間に形成された正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層を含む有機電界発光素子であって、
    前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層には、粒子が分散されており、且つ前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層の膜厚は、100nm以上、1000nm以下である、有機電界発光素子。
  2. 前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層に含まれる正孔注入性材料が芳香族三級アミン高分子化合物である、請求項1記載の有機電界発光素子。
  3. 前記粒子は、金属酸化物、複合酸化物及び高分子材料から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記粒子の平均粒径が、10nm以上、300nm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記正孔注入層及び正孔輸送層から選択される少なくとも1つの層は、湿式成膜法で形成されたものである、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  6. さらに正孔輸送層及び発光層を備える、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL表示装置。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL照明。
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