JP6540771B2 - イリジウム錯体化合物、有機電界発光素子、表示装置ならびに照明装置 - Google Patents

イリジウム錯体化合物、有機電界発光素子、表示装置ならびに照明装置 Download PDF

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Description

本発明はイリジウム錯体化合物に関し、赤色に発光するイリジウム錯体化合物、該化合
物を含有する組成物並びに有機電界発光素子、該組成物を用いて作成する有機電界発光素
子、該有機電界発光素子を含む表示装置ならびに照明装置に関する。
近年、有機EL照明や有機ELディスプレイなど、有機電界発光素子(以下、「有機E
L素子」と称す。)を利用する各種電子デバイスが実用化されつつある。有機EL素子は
、印加電圧が低く消費電力が小さく、面発光であり、三原色発光も可能であることから、
照明やディスプレイへの適用が盛んに検討されている。そのためにも発光効率の改善が求
められる。発光効率の改善としては、例えば、ホールと電子の再結合によって生成する一
重項励起子と三重項励起子との生成比が1:3であることを利用して、有機EL素子の発
光層に燐光発光材料を利用することが提案されている。燐光発光材料としては、例えば、
ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウムアセチルアセトナート(Irp
py(acac))や、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’) イリジウム
(Ir(ppy))をはじめとしたオルトメタル化イリジウム錯体化合物が広く知られ
ている。
このような燐光発光材料を使用して有機EL素子を形成する方法としては、主に真空蒸
着法が利用されている。しかし通常、素子は発光層や電荷注入層、電荷輸送層など複数の
層を積層することにより製造される故、真空蒸着法では、蒸着プロセスが煩雑となり、生
産性に劣り、かつ、これら素子からなる照明やディスプレイのパネルの大型化が極めて難
しいという問題があった。
一方、有機EL素子は、塗布法により成膜し、層を形成していくことも可能である。塗
布法では、真空蒸着法に比べて安定した層を容易に形成できるため、ディスプレイや照明
装置の量産化や大型デバイスへの適用が期待されている。
ここで塗布法による成膜のためには、層に含まれる有機材料が有機溶剤に溶解しやすい
ことが必要である。通常、用いられる有機溶剤としては、例えばトルエンのような低沸点
で低粘度の溶剤が使用される。このような溶剤と有機材料とを含む組成物を用いることに
より、スピンコート法などにより容易に成膜することができる。また、有機溶剤について
は、塗布膜の均一性や作業上の安全性の観点から、フェニルシクロヘキサンのような、揮
発性が低く、引火点が高い有機溶剤が工業的にはより好ましく使用される。
しかしながら、従来蒸着成膜法に使用されてきた、フェニル(イソ)キノリン系赤色発
光燐光材料、例えば特許文献1に記載の化合物Ir(piq)やIr(pq)及び特
許文献2に記載のIr(FMpiq)は、有機溶剤に対する溶解度が低く、また、特許
文献2に記載のIr(nHexpiq)は、湿式成膜後の化合物の安定性が悪く、湿式
成膜法に用いることが難しかった。また、ジアザトリフェニレン系赤色発光燐光材料につ
いても開示されているものの、特許文献3、非特許文献1に記載の化合物は有機溶剤に対
する溶解性や耐久性に課題があるものであった。
日本国特開2006−290781号公報 国際公開第2004/026886号 国際公開第2009/100991号
Advanced Material、2003年、15巻、224頁〜228頁
本発明は、上記課題を解決した赤色に発光するイリジウム錯体化合物の提供、発光効率
の高い有機電界発光素子、並びに該有機電界発光素子を用いた表示装置及び照明装置を提
供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ジアザトリフェニレン配位子と特定
の置換基を含むイリジウム錯体化合物は赤色に発光し、該イリジウム錯体化合物を用いた
有機電界発光素子は、発光効率が高くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記[1]〜[10]に存する。
[1]下記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物。
[式(1)において、Irはイリジウム原子を表す。L〜Lは有機配位子を表し、そ
れぞれIrと結合を形成する。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数であり、m+
nは3より大きくなることはない。ただし、式(1)で表されるイリジウム錯体化合物は
、下記式(2)で表される部分構造を少なくとも1つ含み、かつ、Lは、下記式(3)
で表される配位子を表す。]
[式(2)において、Arは炭素数3〜20のアリール基を表し、Xは、炭素数4〜2
0のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数4〜20のアルコキシ基、炭素
数3〜20のアリールオキシ基、または下記式(2−1)で表される置換基のいずれかを
表す。]
[式(2−1)において、Yは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場合はそれぞれ
独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜4
0のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基
、炭素数3〜20のアリール基を表す。Zは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場
合はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリ
ールオキシ基を表す。pは0〜4の整数、qは2〜10の整数、rは0〜5の整数を表す
。]
[R〜Rは、それぞれ同一または異なり、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のア
リールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭
素数1〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数
4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20
のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基、のいずれかを表す。これらの基はさ
らに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜40
のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、
アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素数3〜20であ
るアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数4〜20のアリー
ルカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20のアリールアミノ
基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。
ただし、イリジウムとは、R10の置換部位にて結合を形成する。]
[2]Lとイリジウム原子との結合様式が下記式(3−1)で表される、前項[1]に
記載のイリジウム錯体化合物。
[3]L2が下記式(4)で表される配位子であり、nが1または2である、前項[1]
または[2]のいずれか一項に記載のイリジウム錯体化合物。
[式(4)において、環Bは、炭素原子C、Cを含む、6員環または5員環の芳香族
炭化水素環または芳香族複素環を表し、環Cは、炭素原子C及び窒素原子Nを含む、
6員環または5員環の芳香族複素環を表す。環B及び環C上の水素原子は、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭
素数3〜20のアリールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基
、アリール基の炭素数3〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカル
ボニル基、炭素数4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基
、炭素数3〜20のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていても
よい。また、環B及び環Cにそれぞれ結合する隣り合う置換基どうしが結合してさらに環
を形成していてもよい。]
[4] Lが下記式(4−1)で表される配位子である、前項[3]に記載のイリジウ
ム錯体化合物。
[式(4−1)において、R12〜R19は、それぞれ同一または異なり、水素原子、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコ
キシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、炭素数3〜20のアリール基、のいずれか
を表す。これらの基はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜2
0のアリールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール
基の炭素数3〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、
炭素数4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3
〜20のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。
また、R12〜R15、及び、R16〜R19は、それぞれ隣り合うR12〜R15
及び、R16〜R19と炭素数3〜12のアルキレン基または炭素数3〜12のアルケニ
レン基で結合して環を形成してもよい。これらの環はさらにフッ素原子、塩素原子、臭素
原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20の
アルコキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるトリアルキルシリル基、アリール基の
炭素数1〜20であるアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素
数1〜20のアリールカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜2
0のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。]
[5]前記式(2)がLの部分構造である前項[3]または[4]のいずれか一項に記
載のイリジウム錯体化合物。
[6]前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載のイリジウム錯体化合物及び溶剤を含む
組成物。
[7]陽極、陰極、及びこれらの間に少なくとも1層の有機層を有する有機電界発光素子
であり、該有機層のうち少なくとも1層が、前項[1]〜[5]のいずれか一項に記載の
イリジウム錯体化合物を含む有機電界発光素子。
[8]前項[7]に記載のイリジウム錯体化合物を含む有機層が、前項[6]に記載の組
成物を用いて形成された層である、有機電界発光素子。
[9]前項[7]または[8]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装
置。
[10]前項[7]または[8]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明
装置。
本発明のイリジウム錯体化合物は赤色に発光し、該イリジウム錯体化合物を含む組成物
はポットライフが長く、該組成物を用いて作成する有機電界発光素子は発光効率が高く、
表示装置ならびに照明装置として有用である。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
<イリジウム錯体化合物>
本発明のイリジウム錯体化合物は、下記式(1)で表されることを特徴とする。
式(1)において、Irはイリジウム原子を表す。L〜Lは有機配位子を表し、そ
れぞれIrと結合を形成する。mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数であり、m+
nは3より大きくなることはない。ただし、式(1)で表されるイリジウム錯体化合物は
、下記式(2)で表される部分構造を少なくとも1つ含み、かつ、Lは、下記式(3)
で表される配位子を表す。式(2)で表される部分構造は、L〜Lいずれの配位子が
有していてもよいが、耐久性の観点からLを有していることがより好ましい。すなわち
nが1以上であることが好ましい。
式(2)において、Arは炭素数3〜20のアリール基を表し、Xは、炭素数4〜2
0のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数4〜20のアルコキシ基、炭素
数3〜20のアリールオキシ基、または下記式(2−1)で表される置換基のいずれかを
表す。
式(2−1)において、Yは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場合はそれぞれ
独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜4
0のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基
、炭素数3〜20のアリール基を表す。Zは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場
合はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリ
ールオキシ基を表す。pは0〜4の整数、qは2〜10の整数、rは0〜5の整数を表す
。p、rは水素原子を置換する置換基の数を表し、合成の簡便性の観点から、それぞれ0
または1が好ましく、0がさらに好ましい。qは、m−フェニレンの数を表し、有機溶剤
に対する溶解性、耐久性の観点から、2〜10が好ましく、2〜5がさらに好ましい。
〜Rは、それぞれ同一または異なり、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のア
リールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭
素数1〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数
4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20
のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基、のいずれかを表す。これらの基はさ
らに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜40
のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、
アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素数3〜20であ
るアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数4〜20のアリー
ルカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20のアリールアミノ
基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。
ただし、イリジウムとは、R10の置換部位にて結合を形成する。
<Ar
Arは炭素数3〜20のアリール基を表す。炭素数3〜20のアリール基とは、1個
の遊離原子価を有する、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基の両方を意味する。その
具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン
環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセ
ン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラ
ン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾ
ール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロ
イミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチ
オフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール
環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダ
ジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノ
キサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、ア
ズレン環等の基が挙げられる。
量子収率及び耐久性の観点から、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン
環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジ
ン環、トリアジン環が好ましく、中でも、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ピリ
ジン環がさらに好ましい。
ここで、本発明において、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改定第2
版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるもの
を言う。すなわち、例えば、「1個の遊離原子価を有するベンゼン環」はフェニル基のこ
とを言い、「2個の遊離原子価を有するベンゼン環」はフェニレン基のことを言う。
<X>
Xは、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数4〜20
のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、または前記式(2−1)で表され
る置換基のいずれかを表す。
耐久性の観点から、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、ま
たは前記式(2−1)で表される置換基のいずれかであることが好ましく、炭素数7〜4
0のアラルキル基、前記式(2−1)で表される置換基であることがより好ましい。
炭素数4〜20のアルキル基の具体例としては、直鎖のアルキル基および分岐のアルキ
ル基、環状のアルキル基などである。より具体的には、n−ブチル基、n−ペンチル基、
n−ヘキシル基、n−オクチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、
t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。中でも、n−ペンチル基、n−ヘキ
シル基、n−オクチル基が好ましい。
炭素数7〜40のアラルキル基の具体例としては、直鎖のアルキル基および分岐のアル
キル基、環状のアルキル基を構成する水素原子の一部がアリール基で置換された基のこと
を指す。より具体的には、1−フェニル−1−エチル基、クミル基、5−フェニル−1−
プロピル基、6−フェニル−1−ヘキシル基、7−フェニル−1−ペンチル基、テトラヒ
ドロナフチル基などが挙げられる。中でも、5−フェニル−1−プロピル基、6−フェニ
ル−1−ヘキシル基、7−フェニル−1−ペンチル基が好ましい。
炭素数4〜20のアルコキシ基の具体例としては、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシル
オキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。中でも、ヘキシルオキシ基が好ましい

炭素数3〜20のアリールオキシ基の具体例としては、アリルオキシ基、フェノキシ基
、4−メチルフェニルオキシ基等が挙げられる。中でも、フェノキシ基が好ましい。
<Y、Z>
Yは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場合はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素
数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、炭素数3〜20のアリ
ール基を表す。Zは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場合はそれぞれ独立に、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜40のアラ
ルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基を表す。
炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、直鎖のアルキル基および分岐のアルキ
ル基、環状のアルキル基などである。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソプロピル
基、イソブチル基、イソペンチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる
。中でも、メチル基、エチル基や、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の直鎖のアルキル基
が好ましい。
炭素数7〜40のアラルキル基の具体例としては、直鎖のアルキル基および分岐のアル
キル基、環状のアルキル基を構成する水素原子の一部がアリール基で置換された基のこと
を指す。より具体的には、1−フェニル−1−エチル基、クミル基、5−フェニル−1−
プロピル基、6−フェニル−1−ヘキシル基、7−フェニル−1−ペンチル基、テトラヒ
ドロナフチル基などが挙げられる。中でも、5−フェニル−1−プロピル基、6−フェニ
ル−1−ヘキシル基、7−フェニル−1−ペンチル基が好ましい。
炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピル
オキシ基、イソプロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタ
デシルオキシ基等が挙げられる。中でも、ヘキシルオキシ基が好ましい。
炭素数3〜20のアリールオキシ基の具体例としては、アリルオキシ基、フェノキシ基
、4−メチルフェニルオキシ基等が挙げられる。中でも、フェノキシ基が好ましい。
炭素数3〜20のアリール基の具体例としては、<Ar>の項で説明したものと同様
である。
<L
本発明のイリジウム錯体化合物は、前記式(1)のLとして前記式(3)で表される
配位子を含む。
〜Rは、それぞれ同一または異なり、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のア
リールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭
素数1〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数
4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20
のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基、のいずれかを表す。
については、耐久性の観点から、置換・無置換の炭素数3〜20のアリール基であ
ることが好ましい。また、R2〜R7は、耐久性の観点から、水素原子、フッ素原子、炭
素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリ
ール基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭
素数3〜20のアリール基であることがより好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリ
ールオキシ基、炭素数3〜20のアリール基の具体例は、前記<Y、Z>の項、<Ar
>の項にて説明したものと同様である。
アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシ
リル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルフェニル基、t−ブ
チルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。中でもトリイソ
プロピル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基が好ましい。
アリール基の炭素数3〜20であるアリールシリル基の具体例としては、トリアリルシ
リル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。中でもトリフェニルシリル基が好ましい

炭素数2〜20のアルキルカルボニル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル
基、ピバロイル基、カプロイル基、デカノイル基、シクロヘキシルカルボニル基等が挙げ
られる。中でもアセチル基、ピバロイル基が好ましい。
炭素数4〜20のアリールカルボニル基の具体例としては、アリルカルボニル基、ベン
ゾイル基、ナフトイル基、アントライル基等が挙げられる。中でもベンゾイル基が好まし
い。
炭素数2〜20のアルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミ
ノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。中でもジメチルアミノ基、ジシクロヘ
キシルアミノ基が好ましい。
炭素数3〜20のアリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニル
アミノ基、ジ(4−トリル)アミノ基、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アミノ基等が挙
げられる。中でもジフェニルアミノ基、ジ(4−トリル)アミノ基が好ましい。
これらの基はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基
、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のア
リールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭
素数3〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数
4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20
のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。これらの置
換基の具体例は、前項までに説明したものと同様である。
前記式(1)のLは、下記式(3−1)で表される配位子であることが好ましい。
〜Rの具体例については、前記式(3)にて説明したものと同様である。
<L、L
本発明におけるイリジウム錯体化合物における有機配位子L、Lに特に制限は無い
が、好ましくは1価の2座配位子であり、より好ましくは下記式(4)で表される。
式(4)において、環Bは、炭素原子C、Cを含む、6員環または5員環の芳香族
炭化水素環または芳香族複素環を表し、環Cは、炭素原子C及び窒素原子Nを含む、
6員環または5員環の芳香族複素環を表す。6員環または5員環の芳香族炭化水素環とし
ては、ベンゼン環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環等が挙げられる。
中でもベンゼン環、ピリジン環が好ましく、ベンゼン環であることがさらに好ましい。6
員環または5員環の芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ト
リアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環等が挙げられる。中でもピ
リジン環、ピラジン環、ピリミジン環が好ましく、ピリジン環がさらに好ましい。
環B及び環C上の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、アルキ
ル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素数3〜20であるアリ
ールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数4〜20のアリールカル
ボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20のアリールアミノ基、炭
素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。中でも、フッ素原子、炭素数1〜2
0のアルキル基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていることが好ましい。これら
の置換基の具体例は、前項までに説明したものと同様である。
また、環B及び環Cにそれぞれ結合する隣り合う置換基どうしが結合してさらに環を形
成していてもよい。そのような環の具体例としては、フルオレン環、ナフタレン環、フェ
ナントレン環、トリフェニレン環、クリセン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベ
ンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカル
バゾール環、テトラヒドロナフタレン環、キノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、
アザフェナントレン環、アザトリフェニレン環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾ
ール環、ベンズチアゾール環等が挙げられ、中でも、フルオレン環、ナフタレン環、カル
バゾール環、カルボリン環、キノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェ
ニレン環が好ましい。
また、Lは下記式(4−1)で表される配位子であることが好ましい。
式(4−1)において、R12〜R19は、それぞれ同一または異なり、水素原子、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコ

キシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、炭素数3〜20のアリール基、のいずれか
を表す。中でも、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20
のアリール基であることが好ましい。これらの置換基の具体例は、前項までに説明したも
のと同様である。
これらの基はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基
、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のア
リールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭
素数3〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数
4〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20
のアリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。これらの置
換基の具体例は、前項までに説明したものと同様である。
また、R12〜R15、及び、R16〜R19は、それぞれ隣り合うR12〜R15
及び、R16〜R19と炭素数3〜12のアルキレン基または炭素数3〜12のアルケニ
レン基で結合して環を形成してもよい。そのような環の具体例としては、フルオレン環、
ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、クリセン環、テトラヒドロナフタ
レン環、キノリン環、アザフェナントレン環、アザトリフェニレン環等が挙げられ、中で
も、フルオレン環、ナフタレン環、キノリン環、アザトリフェニレン環が好ましい。
これらの環はさらにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキル基の炭素数1
〜20であるトリアルキルシリル基、アリール基の炭素数1〜20であるアリールシリル
基、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素数1〜20のアリールカルボニル基、
炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアリールアミノ基、炭素数3〜2
0のアリール基で置換されていてもよい。これらの置換基の具体例は、前項までに説明し
たものと同様である。
<分子量>
本発明のイリジウム錯体化合物の分子量は、錯体の安定性の高さから、通常800以上
、好ましくは900以上、通常3000以下、好ましくは2000以下である。
また本発明のイリジウム錯体化合物を側鎖に含む高分子化合物にも好適に用いることが
できる。その場合、高分子化合物の分子量は上記に限定されるものではない。
<具体例>
以下に、本発明のイリジウム錯体化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
<構造上の特徴>
本発明のイリジウム錯体化合物は、赤色に発光し、この化合物を含む組成物を用いて塗
布法により作成した有機電界発光素子は発光効率が高いという効果を奏する。本効果を奏
する理由については、構造上の特徴から以下の通りと考えられる。
赤色燐光発光イリジウム錯体化合物として広く研究がおこなわれてきた配位子としては
、2−フェニルキノリン系、1−フェニルイソキノリン系配位子が挙げられる。2−フェ
ニルキノリン系イリジウム錯体化合物を利用した有機電界発光素子は発光効率が高く駆動
寿命が長いものの、その発光色は橙色に近い赤色であった。一方、1−フェニルイソキノ
リン系イリジウム錯体化合物を利用した有機電界発光素子は、深い赤色を発光するものの
、発光効率が低く駆動寿命が短かった。
発光材料の発光色を長波長化させるためには、配位子のLUMOを下げることが必要で
ある。LUMOを下げる方法としては、例えば、ひとつの6員環に窒素原子が複数存在す
る環、すなわち本発明のジアザトリフェニレンを利用する方法が挙げられる。上記の知見
から本発明者らは、前記式(1)に示すような特定の構造をとることで赤色に発光するこ
とを見出した。
さらに、有機溶剤への溶解性を高めるには、1)有機溶剤に溶解した際の溶媒和エネル
ギーを増加させること、および、2)溶液中でとりうるコンホメーションの数を増加させ
、結晶化の際の再配列エネルギーを上昇させることが必要となる。
これらの観点から発明者らが鋭意検討したところ、分子中に前記式(2)で表される部分
構造を有することで溶解性が向上することが明らかとなった。これらの置換基のいずれか
を有することで、溶液中でうける溶媒和エネルギーが増加し、とりうるコンホメーション
の数が増加するため、溶解性が向上する。
上述の通り、本発明のイリジウム錯体化合物は有機溶剤に対する溶解性が高いため、該
化合物と溶剤とを含む組成物は保管安定性が高く、塗布プロセスにおいて好適に用いるこ
とができる。また、該化合物の溶解性が高いため、組成物中における発光材料の凝集によ
る発光効率の低下を防止することができることから本発明のイリジウム錯体化合物を含む
有機電界発光素子は発光効率が高いものと考えられる。
以上より、本発明は赤色に発光し、有機溶剤に対する溶解性が高いイリジウム錯体化合
物の提供を可能とし、さらに該化合物を利用した駆動寿命が長く、電気的耐久性が高い有
機電界発光素子を提供することを可能とする。
<イリジウム錯体化合物の合成方法>
本発明のイリジウム錯体化合物は、既知の方法の組み合わせなどにより合成され得る、
配位子を用い、配位子とIr化合物により合成することができる。
イリジウム錯体化合物の合成方法については、(式1)一段階でトリス錯体を形成する
方法、(式2)Ir2核錯体のような中間体を形成させたのちにトリス体を形成させる方
法等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
例えば、典型的な反応(A)としては、配位子3当量とIr(acac)3(イリジウ
ムアセチルアセトナート錯体)1当量の反応により金属錯体を得る方法があげられる。
この際、配位子を過剰量もちいて反応を促進することもできるし、少量用いて選択性を
高めても良い。また、配位子を複数種類用い、逐次的に添加し、混合配位子錯体を形成し
てもよい。
また、典型的な反応(B)としては、例えば配位子2当量とIrCl3・xH2O(イ
リジウムクロライド・x水和物)1当量の反応によりIr原子2個からなる2核金属錯体
などの中間対を得たのち、さらに配位子をIrに対し1当量反応させて金属錯体を得る方
法が挙げられる。
反応式(A)と同様に反応の効率および選択性を考慮し、実際の配位子とIr化合物の
仕込み比は適当に調整することができる。反応式(B)の場合、最後に添加する配位子を
最初の配位子と異なるものを用いることにより、簡便に混合配位子錯体を形成できる。
Ir化合物としては上記のIr(acac)錯体やIrCl・xHO錯体の他に
、Irシクロオクタジエニル錯体など、適当なIr化合物を用いても良い。炭酸塩などの
塩基化合物、Ag塩などのハロゲントラップ剤、などを併用して反応を促進させてもよい
。反応温度は50℃〜400℃程度の温度が好ましく用いられる。一般的に120℃以上
の高温が用いられる。反応は無溶剤で行っても良いし、既知の溶剤を用いてもよい。高温
反応で行う場合、グリセリン等の高沸点溶剤が好ましい。
<イリジウム錯体化合物の用途>
本発明のイリジウム錯体化合物は、有機電界発光素子に用いられる材料、すなわち有機
電界発光素子材料として好適に使用可能であり、有機電界発光素子やその他の発光素子等
の発光材料としても好適に使用可能である。
<イリジウム錯体化合物含有組成物>
本発明のイリジウム錯体化合物は、溶解性に優れることから、溶剤とともに使用される
ことが好ましい。以下、本発明のイリジウム錯体化合物と溶剤とを含有する組成物(イリ
ジウム錯体化合物含有組成物)について説明する。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物は、上述の本発明のイリジウム錯体化合物お
よび溶剤を含有する。本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物は通常湿式成膜法で層や
膜を形成するために用いられ、特に有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられ
ることが好ましい。該有機層は、特に発光層であることが好ましい。
つまり、イリジウム錯体化合物含有組成物は、有機電界発光素子用組成物であることが
好ましく、更に発光層形成用組成物として用いられることが特に好ましい。
該イリジウム錯体化合物含有組成物における本発明のイリジウム錯体化合物の含有量は
、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、通常99.99重量%以下、好まし
くは99.9重量%以下である。組成物のイリジウム錯体化合物の含有量をこの範囲とす
ることにより、隣接する層(例えば、正孔輸送層や正孔阻止層)から発光層へ効率よく、
正孔や電子の注入が行われ、駆動電圧を低減することができる。尚、本発明のイリジウム
錯体化合物はイリジウム錯体化合物含有組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種
以上が組み合わされて含まれていてもよい。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物を例えば有機電界発光素子用に用いる場合に
は、上述のイリジウム錯体化合物や溶剤の他、有機電界発光素子、特に発光層に用いられ
る電荷輸送性化合物を含有することができる。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物を用いて、有機電界発光素子の発光層を形成
する場合には、本発明のイリジウム錯体化合物をドーパント材料とし、他の電荷輸送性化
合物をホスト材料として含むことが好ましい。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物に含有される溶剤は、湿式成膜によりイリジ
ウム錯体化合物を含む層を形成するために用いる、揮発性を有する液体成分である。
該溶剤は、溶質である本発明のイリジウム錯体化合物が高い溶解性を有するために、む
しろ後述の電荷輸送性化合物が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されない。好ましい
溶剤としては、例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン
、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メチシレン、フェニルシクロ
ヘキサン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリ
クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3
−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキ
シトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルア
ニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェ
ニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸
n−ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等
の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;
メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等
の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエ
チルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA
)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化
水素類であり、特に、フェニルシクロヘキサンは湿式成膜プロセスにおいて好ましい粘度
と沸点を有している。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、お
よび比率で用いてもよい。
溶剤の沸点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以
上、特に好ましくは200℃以上である。通常沸点270℃以下、好ましくは250℃以
下、より好ましくは230℃以下である。この範囲を下回ると、湿式成膜時において、組
成物からの溶剤蒸発により、成膜安定性が低下する可能性がある。
溶剤の含有量は、組成物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、より好ま
しくは50重量部以上、特に好ましくは80重量部以上、また、好ましくは99.95重
量部以下、より好ましくは99.9重量部以下、特に好ましくは99.8重量部以下であ
る。通常発光層の厚みは3〜200nm程度であるが、溶剤の含有量がこの下限を下回る
と、組成物の粘性が高くなりすぎ、成膜作業性が低下する可能性がある。一方、この上限
を上回ると、成膜後、溶剤を除去して得られる膜の厚みが稼げなくなるため、成膜が困難
となる傾向がある。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物が含有し得る他の電荷輸送性化合物としては
、従来有機電界発光素子用材料として用いられているものを使用することができる。例え
ば、ピリジン、カルバゾール、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クリセン
、ナフタセン、フェナントレン、コロネン、フルオランテン、ベンゾフェナントレン、フ
ルオレン、アセトナフトフルオランテン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)
ベンゼンおよびそれらの誘導体、キナクリドン誘導体、DCM(4−(dicyanom
ethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminosty
ryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベン
ゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン、アリールアミノ基が置換された縮
合芳香族環化合物、アリールアミノ基が置換されたスチリル誘導体等が挙げられる。
これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比
率で用いてもよい。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、該組
成物を100重量部とすると、通常1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましく
は30重量部以下である。
また、イリジウム錯体化合物含有組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、イリジ
ウム錯体化合物含有組成物中の本発明のイリジウム錯体化合物に対して、通常50重量%
以下、特に30重量%以下で、通常0.01重量%以上、特に0.1重量%以上であるこ
とが好ましい。
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に
、更に他の化合物を含有していてもよい。例えば、上記の溶剤の他に、別の溶剤を含有し
ていてもよい。そのような溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら
は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用い
てもよい。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上に少なくとも陽極、陰極及びこれらの両極間に設
けられた発光層を有するものであって、本発明の組成物を用いて湿式成膜法により形成さ
れた層を有することを特徴とする。該湿式成膜法により形成された層は、該発光層である
ことが好ましい。
図1は本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1にお
いて、符号1は基板、符号2は陽極、符号3は正孔注入層、符号4は正孔輸送層、符号5
は発光層、符号6は正孔阻止層、符号7は電子輸送層、符号8は電子注入層、符号9は陰
極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金
属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル
、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好
ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガ
スバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化すること
があるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸
化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3、正孔輸送層
4又は発光層5など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、
インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、
カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリ
ン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。
また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸
化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダ
ー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる
。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基
板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.
Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすること
も可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視
光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合
、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm
以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意で
あり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材
料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上さ
せることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アル
ゴンプラズマ処理したりすることが好ましい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形
成される。本発明に係る正孔注入層3の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく
、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層3を湿式成膜法により形
成することが好ましい。正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以
上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を
適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)
を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当
する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成す
る。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物及び溶
剤を含有する。正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される
、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体な
どの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から4.
5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合
物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オ
リゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基
で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体
、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体
、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体
、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香
族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であ
っても、単量体であってもよい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何
れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔
輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子
化合物1種又は2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを併用するこ
とが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好まし
く、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳
香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物
も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発
光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り
返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好
ましい例として、下記式(IV)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げら
れる。
(式(IV)中、Ar51及びAr52は、各々独立して、置換基を有していてもよい
芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar53〜Ar
55は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有して
いてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す
。また、Ar51〜Ar55のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して
環を形成してもよい。)
(連結基群)
(上記各式中、Ar56〜Ar66は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香
族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R111及びR11
は、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。)
Ar51〜Ar66の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の
溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、
ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環が好ましく、さらに好まし
くは、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環である。
Ar51〜Ar66の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、さらに置換基を有して
いてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好まし
い。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳
香族複素環基などが好ましい。
111及びR112が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、ア
ルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基
などが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−ethyl
enedioxythiophene(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子
量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もま
た好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであって
もよい。
さらに、正孔輸送性化合物としては、後述の「正孔輸送層」の項に記載の不溶化基を有
する化合物を用いてもよい。不溶化基を有する化合物を用いる場合、成膜方法なども同様
である。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわ
ない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1
重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましく
は60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜
厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる
可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有して
いることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能
力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ま
しく、5eV以上である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン
化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリ
ールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げ
られる。さらに具体的には、塩化鉄(III)(日本国特開平11−251067号公報
)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等
のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(日本国特開2003−31
365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;有機基の置換したオニウム塩(国際公開200
5/089024号パンフレット);フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン
酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホ
ン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導
電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に
対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常1
00モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正
孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は
通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、
中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ
、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くす
る必要があり、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド
系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート
(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシ
ベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、
4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の
芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メ
チル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等
が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼ
ン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ
イソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。ア
ミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセト
アミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。これらの溶剤は1種のみを用
いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層
に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形
成する。
塗布工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、1
0℃以上が好ましく、50℃以下が好ましい。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、
通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程におい
て使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレートなどが挙げられ
る。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成
用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に
用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸
点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程におい
ては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ
塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒
以上で、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向が
あり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよ
い。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正
孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたる
つぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な
真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用
いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用
いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の
陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの
混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1
×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(
12.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限
り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。
[4]正孔輸送層
正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い
場合には陽極2の上に形成することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、正孔
輸送層を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、
ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい

正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効
率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシ
ャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、
トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場
合、発光層5に接するため、発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサ
イプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられ
ている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔輸送性化合物と
して例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピ
ロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、
トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、
ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体
、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニ
ルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフ
ェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビ
ニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビ
ニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重
合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部
が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(V)で表される繰り返し単位を含む重合
体であることが好ましい。特に、下記式(V)で表される繰り返し単位からなる重合体で
あることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異
なっているものであってもよい。
(式(V)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香
族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、1個または2個の遊離
原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリ
レン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、ア
セナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、1個または2個の遊離原子価を
有する、6員環の単環又は2〜5縮合環及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してな
る基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えば1個または2個の遊離原子
価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール
環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール
環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環
、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオ
キサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン
環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリ
ン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キ
ナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、1個または2個の遊離原子価を有する
、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してな
る基が挙げられる。
有機溶媒に対して溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、1個ま
たは2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナン
トレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環から
なる群より選ばれる環やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基(
ビフェニレン基)やターフェニル基(ターフェニレン基))が好ましい。
中でも、1個または2個の遊離原子価を有する、ベンゼン、ビフェニル及びフルオレン
が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置
換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、
ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ
基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(V)におけるArやArとして例示した
置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基を
その繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。ポリアリーレン誘導体としては、下記式
(VI)及び/又は下記式(VII)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
(式(VI)中、Ra、Rb、Rc及びRdは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ
基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキル
フェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、
又はカルボキシ基を表す。v及びwは、各々独立に、0〜3の整数を表す。v又はwが2
以上の場合、一分子中に含まれる複数のRa又はRbは同一であっても異なっていてもよ
く、隣接するRa又はRb同士で環を形成していてもよい。)
(式(VII)中、R又はRは、各々独立に、上記式(VI)におけるR、R
、R又はRと同義である。v及びwは、各々独立に、0〜3の整数を表す。v又はw
が2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR又はRは同一であっても異なっていて
もよく、隣接するR又はR同士で環を形成していてもよい。Tは、5員環又は6員環
を構成する原子又は原子群を表す。)
Tの具体例としては、−O−、−BR−、−NR−、−SiR−、−PR−、−SR
−、−CR−又はこれらが結合してなる基などが挙げられる。尚、Rは、水素原子又は
任意の有機基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基で
ある。
また、ポリアリーレン誘導体としては、前記式(VI)及び/又は前記式(VII)か
らなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(VIII)で表される繰り返し単位を有す
ることが好ましい。
(式(VIII)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳
香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。γ及びδは、各々独立に0又は1を表す。)

Ar〜Arの具体例としては、前記式(V)における、Ar及びArと同様であ
る。
上記式(VI)〜(VIII)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、日本
国特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、
正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる
溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾
燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。真空蒸着法により正孔輸送層を形成
する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。正孔輸
送層4は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー
樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4はまた、不溶化基を有する化合物(以下、「不溶化性化合物」と称する)
を不溶化して形成される層が耐熱性、あるいは成膜性の観点から好ましい。不溶化性化合
物は、不溶化基を有する化合物であって、不溶化することにより不溶化ポリマーを形成す
る。
不溶化基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により反応する基であり、反応後
は反応前に比べて有機溶媒や水への溶解性を低下させる効果を有する基である。本発明に
おいては、不溶化基は、脱離基又は架橋性基であることが好ましい。
脱離基とは、結合している芳香族炭化水素環から70℃以上で解離し、さらに溶媒に対
して可溶性を示す基をいう。ここで、溶媒に対して可溶性を示すとは、化合物が熱及び/
又は活性エネルギー線の照射によって反応する前の状態で、常温でトルエンに0.1重量
%以上溶解することをいい、化合物のトルエンへの溶解性は、好ましくは0.5重量%以
上、より好ましくは1重量%以上である。
この脱離基として好ましくは、芳香族炭化水素環側に極性基を形成せずに熱解離する基
であり、逆ディールスアルダー反応により熱解離する基であることがより好ましい。また
さらに、100℃以上で熱解離する基であることが好ましく、300℃以下で熱解離する
基であることが好ましい。
また、架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;
ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモ
イル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブタン由来の基などが挙げられる。
不溶化性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。不溶化
性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有して
いてもよい。
不溶化性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい
。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導
体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体
、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェ
ニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、
金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン
誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘
導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳
香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい
不溶化性化合物を不溶化して正孔輸送層4を形成するには、通常、不溶化性化合物を溶
媒に溶解又は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して不溶
化させる。
正孔輸送層形成用組成物には、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子
受容性化合物;バインダー樹脂などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、不溶化性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0
.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましく
は20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で不溶化性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注
入層3)上に成膜後、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射により、不溶化性化合
物を不溶化させる。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。成膜
後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好まし
くは400℃以下である。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下で
ある。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレ
ート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレ
ート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの電磁エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等を
用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射
装置を用いて照射する方法などが挙げられる。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10n
m以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[5]発光層
正孔輸送層4の上には通常、発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電
極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極9から電子輸送
層7を通じて注入された電子との再結合により励起された、主たる発光源となる層である
。発光層5は発光材料(ドーパント)と1種又は2種以上のホスト材料を含むことが好ま
しい。発光層5は、真空蒸着法で形成してもよいが、本発明の有機電界発光素子用組成物
を用い、湿式成膜法によって作製された層であることが特に好ましい。
ここで、湿式成膜法とは、前述の如く、溶剤を含む組成物を、スピンコート法、ディッ
プコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレ
ーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印
刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。
なお、発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいても
よい。一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方
が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。そ
の為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに
薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要
となる。
本発明においては、発光層5以外に、正孔注入層3及び後述の電子輸送層7等の有機層
を有する場合、発光層5と正孔注入層3や電子輸送層7等の他の有機層とを合わせた総膜
厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以
上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは30
0nm以下である。また、発光層5以外の正孔注入層3や後述の電子注入層8の導電性が
高い場合、発光層5に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚く
して発光層5の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げる
ことも可能である。
よって、発光層5の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常30
0nm以下、好ましくは200nm以下である。なお、本発明の素子が、陽極及び陰極の
両極間に、発光層5のみを有する場合の発光層5の膜厚は、通常30nm以上、好ましく
は50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[6]正孔阻止層
正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層形成さ
れる。特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、正
孔阻止層6を設けることは効果的である。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層5内に閉じ
こめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層6は、発光層5から移動
してくる正孔が電子輸送層7に到達するのを阻止することで、発光層5内で電子との再結
合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、電子輸送層7から注
入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度
が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項
準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニ
ルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)ア
ルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属
錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(日本国特開平11
−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−ter
t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(日本国特開
平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(日本国特開平
10−79297号公報)が挙げられる。
さらに、国際公開第2005/022962号に記載の2,4,6位が置換されたピリ
ジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。正孔阻止層6の膜
厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好まし
くは50nm以下である。正孔阻止層6も正孔注入層3と同様の方法で形成することがで
きるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
[7]電子輸送層
電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、正孔注入層6と
電子注入層8との間に設けられる。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰
極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形
成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極9又は電子注入層
8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸
送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体な
どの金属錯体(日本国特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h
]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロー
ル誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベ
ンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,
948号明細書)、キノキサリン化合物(日本国特開平6−207169号公報)、フェ
ナントロリン誘導体(日本国特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,1
0−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型
硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常
300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、正孔注入層3と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により形成
されるが、通常は、真空蒸着法が用いられる。
[8]電子注入層
電子注入層8は陰極9から注入された電子を効率よく発光層5へ注入する役割を果たす
。電子注入を効率よく行うには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が
好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカ
リ土類金属が用いられる。電子注入層8の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極9と電子輸送層7との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO
の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法
である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;日本国特開
平10−74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,
44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。
さらに、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのア
ルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム
、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(日本国特開平10−
270171号公報、日本国特開2002−100478号公報、日本国特開2002−
100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両
立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは
10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層8は、発光層5と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により形成され
る。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源を入
れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金
属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子
注入層を形成する。
アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ
金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することによ
り、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料と
アルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼ
に入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のる
つぼ及びディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼ及びディスペンサーと向き合
って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層8の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において
濃度分布があっても構わない。
[9]陰極
陰極9は、発光層側の層(電子注入層8又は発光層5など)に電子を注入する役割を果
たす。陰極9として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることも可能
であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネ
シウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が
用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、
アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極9の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目
的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子

の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白
金等の金属が使われる。
[10]その他の構成層
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子に
おける陽極2及び陰極9と発光層5との間には、その性能を損なわない限り、上記説明に
ある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層5以外の任意の層を省略して
もよい。
正孔阻止層8と同様の目的で、正孔輸送層4と発光層5の間に電子阻止層を設けること
も効果的である。電子阻止層は、発光層5から移動してくる電子が正孔輸送層4に到達す
るのを阻止することで、発光層5内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発
光層5内に閉じこめる役割と、正孔輸送層4から注入された正孔を効率よく発光層5の方
向に輸送する役割がある。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HO
MO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
また、発光層5を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層も湿式成膜法で形成することが
、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止
層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフ
ェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極9、電子注入層8、電子輸送層7、正
孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能
であり、少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設
けることも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造
)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO
、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV2O5等を電荷発生層として用い
ると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子
、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用すること
ができる。
<表示装置及び照明装置>
本発明の表示装置及び照明装置は、上述のような本発明の有機電界発光素子を用いたも
のである。本発明の表示装置及び照明装置の形式や構造については特に制限はなく、本発
明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発刊、時任静士、
安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の表示装置および照明
装置を形成することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り
以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件や評価
結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつ
ものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例
同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
<二核錯体A>は、Advanced Material 15巻、No3、p224
、Jiun−Pey Duan、Pei−Pei Sun、Chien−Hong Ch
en)記載の既知の方法により合成した。
<本発明化合物(D−1)の合成例>
100mLの2口ナスフラスコに(中間体1)(1.0g)、二核錯体A(1.5g)
、ジグリム(35mL)を入れ撹拌、窒素バブリングし、次いでトリフルオロメタンスル
ホン酸銀(0.6g)を入れ、オイルバス100℃で加熱した。
3時間後にバス温を130℃に上げ、1時間半加熱した後、冷却、ろ過し、濾取物を塩
化メチレンで洗浄、濾液を濃縮した。
得られた濃縮物は、カラムクロマトグラフィーに処し精製を行った。質量分析により、
化合物の合成を確認した[収量:23mg、LC:99.99%、
MALDI−MS m/z= 1354.5(M)]。
この化合物を15mgはかりとり、そこにフェニルシクロヘキサンを985mg加え、
100℃にて加熱溶解することにより、1.5wt%濃度の組成物を調製した。
この組成物を室温にて保存したところ2か月以上、固体の析出は観察されなかった。
(実施例1)
有機電界発光素子は以下に示す方法にて作製した。
<有機電界発光素子の作製>
ガラス基板上1の上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を70nmの厚
さに堆積したもの(ジオマテック社製、スパッタ成膜品)を、通常のフォトリソグラフィ
ー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成
した。
パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水
洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最
後に紫外線オゾン洗浄を行った。このITOは、透明電極2として機能する。
次いで、正孔注入層を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔注入層の材料とし
て、下記式(PB−1)の芳香族アミノ基を有する高分子化合物と、下記式(PB−2)
の芳香族アミノ基を有する高分子化合物、下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−1
)とを用い、下記の条件でスピンコートし、膜厚40nmの均一な薄膜を作成した。
<正孔注入層用組成物>
(溶剤)安息香酸エチル
(塗布液濃度) PB−1:0.875重量%
PB−2:2.625重量%
A−1:0.525重量%
<成膜条件>
(スピンコート雰囲気) 大気下 23℃
(乾燥条件)230℃、60分
続いて、正孔輸送層を以下のように湿式製膜法によって形成した。正孔輸送層の材料と
して、下記に示す構造式の電荷輸送材料(PB−3)の芳香族アミノ基を有する高分子化
合物を、溶剤としてフェニルシクロヘキサンを用いた有機電界発光素子用組成物を調製し
、この有機電界発光素子用組成物を用いて下記の条件でスピンコートし、膜厚10nmの
薄膜を作成した。
<正孔輸送層形成用塗布液>
(溶媒)フェニルシクロヘキサン
(塗布液濃度)1.0重量%
<成膜条件>
(スピンコート雰囲気)窒素雰囲気下
(加熱条件)230℃、1時間
次に、発光層を形成するにあたり、電荷輸送材料として、以下に示す、化合物(H−1
)、化合物(H−2)及び、発光材料として、前記イリジウム錯体化合物(D−1)を用
いて下記に示すイリジウム錯体化合物含有組成物を調製し、以下に示す条件で正孔輸送層
上にスピンコートして膜厚50nmで発光層を得た。なお、化合物(H−1)ならびに(
H−2)は、それぞれ、WO2012/096263号公報、日本国特開2011−02
6237号公報にて記載の方法にて合成した。
<発光層用組成物>
(溶媒)フェニルシクロヘキサン
(塗布液濃度) H−1:1.0重量%
H−2:3.0重量%
D−1:0.6重量%
(乾燥条件) 120℃、20分(乾燥窒素下)
ここで、発光層までを成膜した基板を、真空蒸着装置内に移し、装置内の真空度が2.
0×10−4Pa以下になるまで排気した後、下記に示す構造を有する有機化合物(BA
lq)を真空蒸着法にて発光層の上に積層させ、膜厚10nmの正孔阻止層6を得た。
引き続き、下記に示す構造を有する有機化合物(Alq3)を真空蒸着法にて正孔阻止
層6の上に積層させ、膜厚20nmの電子輸送層7を形成した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度取り出し、別の蒸着装置に設置し
、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITO
ストライプとは直交するように素子に密着させて、装置内の真空度が2.3×10−4P
a以下になるまで排気を行った。
電子注入層8として、先ずフッ化リチウム(LiF)を0.5nmの膜厚で電子輸送層
7の上に成膜した。次に、陰極9として膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上
の2層の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方
法で封止処理を行った。
窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1m
mの幅で光硬化性樹脂30Y−437(スリーボンド社製)を塗布し、中央部に水分ゲッ
ターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着
された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布さ
れた領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が
得られた。この素子は電圧を印加することにより赤色に発光し、表1に示すような特性を
示した。
(比較例1および2)
実施例1において、イリジウム錯体化合物D−1を下記に示すD−2に置き換えたほか
は、実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。この素子は電圧を印加することによ
り赤色に発光し、表1に示す特性を示した。なお、化合物D−2は、国際公開2008/
109824号に記載の方法にて調製した。
表1から明らかなように、本発明のイリジウム錯体化合物を用いて塗布法にて作成した
有機電界発光素子は駆動寿命が長く電気的耐久性が高いことがわかった。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱
することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである
。本出願は、2012年12月5日出願の日本特許出願(特願2012−267510)
に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (1)

  1. 下記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物及び沸点200℃以上の溶剤を含む、組
    成物。
    [式(1)において、Irはイリジウム原子を表す。L1〜L3は有機配位子を表し、それ
    ぞれIrと結合を形成する。mは1〜2の整数であり、nは1〜2の整数であり、m+n
    は3である。ただし、式(1)で表されるイリジウム錯体化合物は、L2に下記式(2)
    で表される部分構造を少なくとも1つ含み、かつ、L1とイリジウム原子との結合様式が
    下記式(3−1)で表され、L2とイリジウム原子との結合様式が下記式(4−1)で表
    される。]
    [式(2)において、Ar1は炭素数3〜20のアリール基を表し、Xは、炭素数4〜2
    0のアルキル基、炭素数7〜40のアラルキル基、または下記式(2−1)で表される置
    換基のいずれかを表す。]
    [式(2−1)において、Yは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場合はそれぞれ
    独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜4
    0のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基
    、炭素数3〜20のアリール基を表す。Zは、水素原子の置換基を表し、複数存在する場
    合はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
    炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリ
    ールオキシ基を表す。pは0〜4の整数、qは2〜10の整数、rは0〜5の整数を表す
    。]
    [R1〜R9は、それぞれ同一または異なり、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子
    、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリ
    ールオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素
    数1〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数4
    〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20の
    アリールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基、のいずれかを表す。これらの基はさら
    に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜40の
    アラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリールオキシ基、ア
    ルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素数3〜20である
    アリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数4〜20のアリール
    カルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20のアリールアミノ基
    、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。ただし、イリジウムとは、R10
    の置換部位にて結合を形成する。]
    [式(4−1)において、R12〜R16、R18〜R19は、それぞれ同一または異なり、水素
    原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアリール基のいずれかを表す。こ
    れらの基はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭
    素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアリー
    ルオキシ基、アルキル基の炭素数1〜20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素数
    3〜20であるアリールシリル基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数4〜
    20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数3〜20のア
    リールアミノ基、炭素数3〜20のアリール基で置換されていてもよい。また、R12〜R
    15、及び、R16〜R19は、それぞれ隣り合うR12〜R15、及び、R16〜R19と炭素数3〜
    12のアルキレン基または炭素数3〜12のアルケニレン基で結合して環を形成してもよ
    い。これらの環はさらにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20のアルキル基
    、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アルキル基の炭素数
    1〜20であるトリアルキルシリル基、アリール基の炭素数1〜20であるアリールシリ
    ル基、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素数1〜20のアリールカルボニル基
    、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアリールアミノ基、炭素数3〜
    20のアリール基で置換されていてもよい。
    17は、Xを表す。]
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