JPWO2014061743A1 - 表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法 - Google Patents

表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法 Download PDF

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Abstract

SPFSを利用するアッセイ方法特有の工程である測光条件設定工程に関し、全血サンプルを使用する際の影響を改善すること、具体的には、SPFS測定時の測定液に血球成分が残存することで、共鳴角や光学ブランクと呼ばれるバックグランドシグナルの絶対値が変動するのを抑制する、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法を提供する。試料の一次反応工程と、第1洗浄工程と、標識反応工程と、測定工程とを有する表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法であって、前記一次反応工程と前記標識反応工程との間に、血球成分量の評価工程を含む表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法により、上記課題を解決する。

Description

本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS:Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)を利用するアッセイ方法に関し、特に、全血サンプルを対象としたSPFSを利用するアッセイ方法に関する。
血液の生化学的検査は、通常、血漿又は血清を対象として行われている。血漿は、約10mL程度の静脈血を注射器で採血し、遠心分離器にかけることにより調製されている。感染症関連項目の免疫検査では、測定試料に血清を使用しているが、全血から血清を得るまでには、血液凝固時間と、その後の遠心分離時間を合わせ、血清分離に少なくとも約30分の処理時間が必要となる。
このため、医療従事者に手間と時間がかかり、特に、心疾患等の緊急性を有する場合には、患者の生命に危険を及ぼすこともあり、さらに、肝炎やHIV等の感染症患者か否かを早急に判断したい緊急手術では、採血後からの検査時間を短縮したより迅速な測定方法の開発が望まれている。
また、免疫測定法には、ラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、粒子凝集法、カウンティングイムノアッセイ等があるが、RIAやEIAでは、抗原抗体反応を行った後、B/F分離を行う必要があり、測定結果が出るまでに手間と時間がかかる。
従来、血中に含まれる抗原等を対象にしたイムノアッセイを実施する際には、ある規定量の血漿または血清が100%を占めるサンプルを想定している。このため、全血等の血球成分を含んだサンプルの場合、見かけ上測定対象とする血清もしくは血漿成分が少なくなる(全血35〜65%が細胞成分で個人差がある)。したがって、従来法では、上記のような血球成分の量を考慮して、血中に含まれる抗原等の測定値を補正し、最終的な定量値を算出する場合があるが、その他の工程の実施形態を、全血等の血球成分を含んだサンプルを用いる場合に適応させることはこれまでに行われていない。
特許文献1には、自動分析装置の状態を監視し、その状態を反映した形で洗浄の程度を自動的に定めることにより、自動分析装置の状態を常に一定に保つことのできる洗浄機能を備えた自動分析装置が提案されている。
この自動分析装置は、分析を自動的に行うとともに、洗浄動作を行うことのできる自動分析装置において、吸光度測定部の測定結果のうち、水ブランク値の変化、試薬ブランク値の安定性及びコントロール検体の分析結果の少なくとも1項目を監視する測定結果監視手段と、この測定結果監視手段の結果と基準値とから洗浄条件を定める洗浄条件決定手段とを備えている。すなわち、連続測定時のサンプルクロストークを考慮した、サンプル間でのコンタミに配慮した発明であり、固定分注ノズルを採用している装置において必要となる。しかしながら、このような自動分析装置に用いられている各種手段は、全血等の血球成分を含んだサンプルを用いてイムノアッセイを行う際に用いられるものとしては開示されていない。
特開平2−287260号公報
本発明は、SPFSを利用するアッセイ方法特有の工程である測光条件設定工程に関し、全血サンプルを使用する際の影響を改善すること、具体的には、SPFS測定時の測定液に血球成分が残存することで、共鳴角や光学ブランクと呼ばれるバックグランドシグナルの絶対値が変動するのを抑制することを課題とする。
本発明者は、全血サンプルを対象とした表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)測定の測光条件変動に関し、全血サンプルを対象としたSPFSアッセイシークエンスついて検討してきた。その過程で、たとえば、全血サンプルを用いた一次反応工程と標識反応工程の間に少なくとも1回の血球成分量評価工程が組み込まれたアッセイシークエンスにより、SPFS測定の測光条件設定工程時の測定液の変動が大幅に抑制され、血球成分由来の変動を抑制したSPFS測定の測光条件を取得することが可能なSPFSを利用するアッセイ方法を見出し、本発明を完成させた。
なお、上述したような血球成分量評価工程は、最終的なシグナル測定工程以前に測光条件を設定する必要があるSPFS測定に特有のアッセイシークエンスであり、SPFS以外の従来のイムノアッセイ法では原理的に不要な工程であることから、全血サンプルを対象とする、SPFSを利用するアッセイ方法に特有の必須工程である。
上述した目的のうち少なくとも1つを実現するために、本発明の一側面を反映した表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法は、試料の一次反応工程と、第1洗浄工程と、標識反応工程と、測定工程とを有する表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法であって、前記一次反応工程と前記標識反応工程との間に、血球成分量の評価工程を含む。
すなわち、本発明に係るSPFS利用アッセイ方法によれば、一次反応工程と標識反応工程の間に少なくとも1回の血球成分量評価工程が組み込まれたアッセイシークエンスにより、SPFS測定の測光条件設定工程時の測定液の変動が大幅に抑制され、血球成分由来の変動を抑制したSPFS測定の測光条件を取得することが可能となる。
本発明に係るSPFS利用アッセイ方法の一実施形態のフローを示したフローチャートである。 全血SPFSアッセイシステムの送液ステーション位置を模式的に示した概略図である。 分光光度計を示した概略図である。 全血SPFSアッセイシステムの測定ステーションを模式的に示した概略図である。 全血サンプルの吸光度測定結果を示した図である。
本発明に係るSPFSを利用するアッセイ方法は、試料の一次反応工程と、第1洗浄工程と、標識反応工程と、測定工程とを有するSPFSを利用するアッセイ方法であって、前記一次反応工程と前記標識反応工程との間に、血球成分量の評価工程を含む。
この発明によれば、準備した試料から、一次反応工程、第1洗浄工程、第1洗浄工程中又は工程後の少なくとも1回の血球成分量の評価工程を順次経て、標識反応工程、及び測定工程を経るので、SPFSを利用するアッセイ方法における測定特有の工程である測光条件設定工程に関し、全血サンプルを使用する際の影響を改善することができる。また、SPFS測定の測光条件設定時の測定液に血球成分が残存することで、表面プラズモンの共鳴角や光学ブランクと呼ばれるバックグランドシグナルの絶対値が変動するという問題点を解決することができる。さらに、血液の生化学的検査において、血液を遠心分離機にかける手間がなくなり、その結果、心疾患等の緊急性を有する患者の生命を救うことが可能になる。
試料中のアナライトを、金属薄膜を有するセンサー基板に固定されたリガンドに接触させる一次反応工程と、前記一次反応工程後の前記センサー基板を洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程後に、前記一次反応工程によりリガンドに捕捉されたアナライトに蛍光標識された標識リガンドを接触させる標識反応工程と、前記標識反応工程後に、前記センサー基板上に捕捉された標識リガンドの蛍光を測定する測定工程とを有するSPFSを利用するアッセイ方法であって、前記一次反応工程と前記標識反応工程との間に、前記センサー基板上に残存する血球成分量に関連した評価を行う血球成分量の評価工程を含む、SPFSを利用するアッセイ方法がより好ましい。
本発明に係るSPFSを利用するアッセイ方法において、前記評価工程における血球成分量を反映した指標が所定値に達するまで前記第1洗浄工程を繰り返すことが好ましい。
本発明に係るSPFSを利用するアッセイ方法において、前記血球成分量を反映した指標は、吸光度測定値であることが好ましい。
本発明に係るSPFSを利用するアッセイ方法において、前記評価工程における血球成分量の評価対象は、前記第1洗浄工程における洗浄液であることが好ましい。前記第1洗浄工程における洗浄液は、センサーチップ内の内液であってもよいし、前記センサーチップから排出された廃液であってもよい。
本発明に係るSPFSを利用するアッセイ方法において、前記評価工程は、前記第1洗浄工程後に行われ、前記評価工程における血球成分量を反映した指標が吸光度測定値であり、吸光度測定値が所定値を超える場合には再び前記第1洗浄工程を行うことが好ましい。
本発明に係るSPFSを利用するアッセイシステムは、上記記載のSPFSを利用するアッセイ方法を行うものであり、後述する、分光光度計を組み混んだシステムであることが好ましい。
以下に、本発明に係るSPFSを利用するアッセイ方法(及びアッセイシステム)の具体的な実施の形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<SPFSを利用するアッセイ方法>
図1に示すように、本実施形態におけるSPFSを利用するアッセイ方法の主要なフローは、試料希釈工程、一次反応工程、第1洗浄工程、血球成分量の評価工程、SPFS測光条件設定工程、標識反応工程、第2洗浄工程、測定工程とを順次行う。以下、センサー基板上に流路が形成され、各試料や試薬が流路を介してセンサー基板に接触するよう供給される形態を用いて各工程について順に説明する。また、以下の説明において、センサー基板にウェル形状や流路形状が組み込まれて一体化されたチップ状のセンサー基板のことをセンサーチップともいう。
(試料希釈工程)
試料希釈工程とは、SPFS測定に関する各工程を適切に行えるよう、試料を希釈する工程である。試料の希釈率は特に限定されるものではなく、測定システムの実施形態、採取される試料の量、センサー基板に送液する際の流量、試料の粘度(全血中の血球成分の量)などに応じて適宜設定することができるが、通常0〜100倍、好ましくは2〜20倍である。希釈方法も特に限定されるものではないが、常法に従って、適量の溶媒(PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝生理食塩水)など)を希釈液として試料に添加すればよい。
(一次反応工程)
一次反応工程とは、試料をセンサー基板に接触させる工程である。この工程により、試料中のアナライト(抗原)とセンサー基板表面に固相化されたリガンド(抗体)との複合体が形成される。
一次反応工程の時間、すなわち試料をセンサー基板に送液により接触させる時間は、試料中に含まれるアナライトの量などによって調整される場合もあるが、通常0.5〜90分間、好ましくは5〜60分間である。
(第1洗浄工程)
第1洗浄工程とは、一次反応工程の後、標識反応工程の前に、洗浄液を送液する工程である。第1洗浄工程を行うことにより、一次反応工程において試料を送液した際にセンサー基板表面に非特異的に吸着した、血中夾雑物(アナライト以外のタンパク質、糖脂質など)や血球成分を除去することができる。これにより、標識反応工程の際に用いる標識抗体が前記非特異的吸着物質にさらに非特異的に結合して、測定の際にノイズとなって表れることを抑制することができる。
洗浄液としては、通常の送液用の溶媒(PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、TBS(トリス緩衝生理食塩水)など)に、必要に応じて適量の界面活性剤(たとえば、Polyoxyethylene (20) Sorbitan Monostearate(商品名「Tween20」))を用いることができる。洗浄液中の界面活性剤の濃度は、用いる界面活性剤の種類に応じて適宜調整することができるが、たとえば「Tween20」であれば、通常0.0001〜1%、好ましくは0.05%である。
また、洗浄液を循環や往復により送液させる際の流量、時間などの諸条件は、試料として血漿・血清を用いる場合を基準として、またSPFS測定系の実施形態(センサー基板やフローセルのサイズ等)を考慮しながら、適宜設定することができる。洗浄液の流量は、通常0.01〜100mL/分、好ましくは0.1〜10mL/分である。また、1回の洗浄サイクルにつき洗浄液を送液させる時間は、通常0.5〜180分間、好ましくは5〜60分間である。
第1洗浄工程には、1回または複数回の洗浄処理が含まれていてもよい。ここで、ある洗浄液を送液させ続けている間、つまりその洗浄液が送液を開始されてから、送液を終了してその洗浄液を排出するまでを、1回の洗浄処理と数える。洗浄処理同士の間には、洗浄液以外の溶媒(通常の送液用の溶媒)を送液する時間が挟まれていてもよいし、そのような時間を挟まずに洗浄処理を連続的に行うようにしてもよい。
本発明者が得た知見では、1回あたりの洗浄処理で洗浄液を長時間循環させるより、洗浄液を交換して複数回の洗浄処理を行う方が洗浄の効果に優れる。
第1洗浄工程に含まれる洗浄処理の回数は、洗浄の効果を考慮しながら適宜調節することができるが、通常1〜10回、好ましくは2〜8回である。
(血球成分量の評価工程)
血球成分量の評価工程は、洗浄液の血球成分量を測定してその測定結果に基づき追加の洗浄を行うか否かを判定する工程であり、洗浄液の血球成分量を測定する工程と、該工程で測定した血球成分量が基準値Aを上回るか判断する工程とを備えている。全血中の血球成分量は、全血そのものの血球量を測定して評価するよりは、測定結果と相関関係がある、第1洗浄工程における洗浄液の血球量を測定して評価することが好ましい。
洗浄液に含まれる血球成分量の測定は、特に限定されず様々な方法により行うことができるが、例えば、洗浄液のOD(Optical Density:光学濃度)を測定する方法等により行うことが簡便で好ましい。その他にも、RF/DC検出法、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法などを用いることも可能である。
洗浄液のOD(Optical Density:光学濃度)の測定については、具体的には、たとえば550nm(血球成分の吸収波長)における洗浄液のODを測定することにより行われる。
図1は、第1洗浄工程の洗浄液のODを測定して血球成分量を評価の例の各工程のフローを示している。この例では、洗浄液中の血球成分量の測定値が目標値Aより大きいと(図1中の「YES」)、上記の第1洗浄工程に戻って洗浄が行われ、その終了後に再度血球成分量の評価工程が行われる。このサイクルは、ODが目標値A以下(図1中の「NO」)になるまで繰り返される。ここで、血球成分に吸収される波長(たとえば550nm)のODと、血球成分に吸収されない波長(たとえば700nm)のODの差分もしくは比率を求めて、血球成分量の評価工程を行うこともできる。ODの測定値が高いということは、その洗浄液中に血球成分または血中夾雑物が多く含まれていることを表しており、SPFS測定の測光条件設定工程時に測定液中に混入しうる、センサー基板への非特異的吸着物の量が多いことを反映している。追加の洗浄を行い、ODの測定値が目標値以下になれば、センサー基板もしくは流路壁面に吸着していた血球成分等が洗浄により除去され、SPFS測定の測光条件設定工程時の測定液中への混入が抑制されるものと推測される。ODの目標値Aは特に限定されるものではなく、血球成分または血中夾雑物の混入をどの程度抑制したいかに応じて適宜設定することができるが、たとえば、0.01〜1.0、好ましくは0.1〜0.7の範囲で設定すればよい。
ODの測定方法は特に限定されるものではなく、公知の各種の手段を用いることができるが、たとえば、一般的な分光光度計と同様のユニット(試料を収納する容器、白色光源ランプ、プリズム、スリット、光検出器など)を用いたアッセイシステムで測定することができる。なお、ODを測定する方法以外の方法(RF/DC検出法等)により血球成分量を測定する場合における血球成分量の評価工程の目標値は、OD測定における目標値A(OD値)と等価の血球成分量を目標値として使用することで、再洗浄の必要性の有無を判断することができる。
図2は、全血SPFSアッセイシステム1の送液ステーションを模式的に示した概略図であり、図4は、図2の全血SPFSアッセイシステム1の測定ステーション30を模式的に示した概略図である。図2と図4では、センサーチップ31の外観が若干異なるように示されているが、共通の1個のセンサーチップ31を用いることができる。
また、送液ステーションと測定ステーションとを互いに異なる別の装置にそれぞれ組み込んで全血SPFSアッセイシステムを構成することも可能であるが、1つのSPFS測定装置内に、送液ステーションと測定ステーションとを配置し、例えばセンサーチップ31を移送して、両ステーション間で移動させるように構成することが好ましい。
センサーチップ31は、誘電体部材2であるプリズム上に金属薄膜3が形成され、金属薄膜3上のリガンド固定領域34にリガンド(一次抗体)5が固定化されているとともに、リガンド固定領域34に各種試薬を送液するための流路36を備えている。
全血SPFSアッセイシステム1の送液ステーションにはポンプ4が備えられており、このポンプ4を用いてサンプル(試料)12、希釈液11、標識抗体溶液10、洗浄液9等の各種試薬が充填された試薬チップの試薬をセンサーチップ31の流路36に送液するようになっている。試料12を流路36に送液した後、標識抗体溶液10を送液する前に、ポンプ4を用いて洗浄液9を送液しODを測定する。このODの測定は様々な形態で実施することができる。例えば、センサーチップ31内の、リガンド(一次抗体)が固相化されているリガンド固定領域34を有する流路36またはウェルに洗浄液を充填した状態において、その洗浄液のODを測定する実施形態が挙げられる。また、リガンド固定領域34の下流側の流出口の付近で洗浄液のODを測定する実施形態も挙げられる。一方、これらのようにセンサーチップ31内の洗浄液(内液)を対象とするのではなく、センサーチップ31から排出された廃液容器8に貯留される使用済み洗浄液を対象として、たとえば、センサーチップ31から廃棄容器8に移す途中で、または廃棄容器8に収容された後に、使用済み洗浄液(廃液)に対してODを測定する実施形態も挙げられる。SPFS測定装置ないし全血SPFSアッセイシステム内に、ODを測定するためのユニットをどのように配置するのかなどを考慮しながら、適宜の形態でODを測定すればよい。
なお、上記ODを測定するためのユニットの代わりに、上述したRF/DC検出法を行う機器、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法を行う機器を設けて、OD測定に代えて洗浄液9等に含まれる血球成分量を測定してもよい。
(SPFS測光条件設定工程)
SPFS測光条件設定工程は、測定工程において励起光を照射するための入射角(表面プラズモン共鳴を発生させるための共鳴角)を決定したり、測定工程で測定されたシグナルを補正するための光学ブランク(バックグラウンドシグナル)を予め測定するなど、各種のSPFS測定の測光条件を設定するための工程である。
SPFS測光条件設定工程は、通常は各サンプル(試料)について行われるが、測定の迅速化のため、性状が類似する複数のサンプルに共通した設定を用いるようにする場合には、代表のサンプルについてのみ行い、その他のサンプルについて行わないようにすることも可能である。その場合、前記血球成分量評価工程は、その代表サンプルについてのみ、一次反応工程からSPFS測光条件設定工程の間に行えばよいが、その代表サンプルと同様の条件でその他のサンプルの第1洗浄工程を行うようにする。
(標識反応工程)
標識反応工程とは、蛍光体で標識化された標識抗体をセンサー基板に接触させる工程である。一次反応工程において、センサー基板表面の固相化抗体に抗原が結合して複合体を形成している場合、その捕捉された抗原にさらに標識抗体が結合し、固相化抗体−抗原−標識抗体からなる複合体が形成される。この工程は、一般的なSPFS測定系にしたがって行うことができる。尚、図2では、標識抗体である標識リガンド6が抗原を介して固相化抗体であるリガンド5に結合された状態を示している。
(第2洗浄工程)
第2洗浄工程とは、標識反応工程の後、測定工程の前に、洗浄液を送液する工程である。第2洗浄工程を行うことにより、標識反応工程においてセンサー基板表面に非特異的に吸着した標識抗体を除去することができ、測定の際にノイズとなって表れることを抑制することができる。
第2洗浄工程において洗浄液を送液させる際の界面活性剤の種類および濃度、流量、時間などの諸条件は、第1洗浄工程と同様とすることもできるが、必要に応じて異なる条件を設定してもよい。
(測定工程)
SPFS測定系において測定工程とは、センサー基板の裏面から特定の励起波長を有する光を照射し、それにより発生する特定の蛍光波長を有する光の強度を、センサー基板の上面に設けられたPMT(光電子倍増管)などの光量検知センサーにより測定する工程である。試料中に所定のアナライト(抗原)が存在し、標識反応工程において固相化抗体−抗原−標識抗体が形成されていれば、その複合体中の蛍光体がSPFSによる増強されたエバネッセント波で励起されて発する蛍光を、PMTなどで測定することができる。この工程は、一般的なSPFS測定系にしたがって行うことができる。蛍光量の測定結果は適切な情報処理手段により出力、解析され、測定結果に基づいて試料中のアナライトの定量的または定性的な分析を行うことができる。
なお、全血を試料とする場合、その全血試料中の一定の体積は血球成分で占められるため、アナライト(抗原)が含まれる体積はその試料の一部となる(全体積×(100−ヘマトクリット値(%))で概算される)。また、後述する実施形態に示されるように、全血を試料とする場合は、血清又は血漿を試料とする場合と異なる希釈率が用いられることもある。このような違いを考慮して、全血を試料とする場合、血清又は血漿を試料とする場合それぞれ、適切な算術的処理を行った上で、アナライトの濃度を算出することが望ましい。
<センサー基板>
センサー基板は、少なくとも誘電体部材(プリズムまたは透明平面基板)と、当該誘電体部材の上層に形成された金属薄膜と、当該金属薄膜の上層に形成された固定化リガンドを含む層(反応層)とにより構成される。
金属薄膜等は、プリズムの水平面に直接形成されていてもよいが、多数のサンプルを分析するための利便性などを考慮すると、プリズムの水平面上に着脱可能な透明平面基板の一方の表面に形成されていることが望ましい。また、反応層は金属薄膜の表面に直接形成されていてもよいが、必要に応じて、金属薄膜上に誘電体からなるスペーサ層及び/又はSAMを形成し、その上に形成するようにしてもよい。
センサー基板は、SPFSの測定に用いられる各種の流体(試料液、標識リガンド溶液、測定液など)を貯留したり各領域を連通して送液が行えるようにしたりするための「流路」を形成する部材(流路の側壁を形成するシート、天板等)と組み合わせて用いることができる。これらは一体化され、チップ状の構造体(「センサーチップ」と呼ぶこともある。)の態様をとることもできる。また、センサーチップには、流体を導入または排出するための開口が設けられ、ポンプや、例えば柔軟な部材(シリコーンゴム等)で形成された断面が略円形のチューブなどを用いて、外部と流体を行き来させるように用いることができる。このときに送液の条件(流速、時間、温度、検体や標識リガンドの濃度等)は、適宜調整することができる。
センサー基板ないしセンサーチップは、小規模ロット(実験室レベル)では、例えば、あらかじめ金属薄膜等が形成されたセンサー基板を作製しておき、その金属薄膜等が形成されている側の表面上に、一定の厚さ(流路の高さ)を有する、中央部に任意の形状および大きさを有する穴が開けられたシリコーンゴム製シートまたはOリングを載せて流路の側面構造を形成する。次いでその上に送液導入口及び送液排出口を設けてある光透過性の天板を載せて流路の天井面を形成した後、これらを圧着してビス等の留め具により固定することによって作製することができる。また、工業的に製造される大ロット(工場レベル)では、例えば、透明平面基板の所定の領域に金属薄膜、反応層等を形成してセンサー基板とし、一方でプラスチックの成形加工やフォトリソグラフィ等により微細な凹凸を形成して天板・側壁部材とし、これらを組み合わせることによりセンサーチップを作製することができる。
(誘電体部材)
センサーチップ(センサー基板)に用いられる誘電体部材は、ガラス製や、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などのプラスチック製のもの、好ましくはd線(588nm)における屈折率〔nd〕が1.40〜2.20の範囲にある材質のものを用いることができる。誘電体部材に透明平面基板を用いる場合の厚さは、例えば0.01〜10mmの範囲で調整することができる。また、金属薄膜を形成する前に、誘電体部材の表面は酸またはプラズマによる洗浄処理がなされていることが好ましい。
(金属薄膜)
センサーチップ(センサー基板)の金属薄膜は、酸化に対して安定であり、かつ表面プラズモンによる電場増強効果が大きい、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなる(合金の形態であってもよい)ことが好ましく、特に金からなることが好ましい。透明平面基板としてガラス製平面基板を用いる場合には、ガラスと上記金属薄膜とをより強固に接着するため、あらかじめクロム、ニッケルクロム合金またはチタンの薄膜を形成することが好ましい。
金属薄膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法等)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。薄膜形成条件の調整が容易なことから、スパッタリング法または蒸着法によりクロムの薄膜および金属薄膜を形成することが好ましい。
表面プラズモンが発生し易いよう、金、銀、アルミニウム、銅、白金、またはそれらの合金からなる金属薄膜の厚さはそれぞれ5〜500nmが好ましく、クロム薄膜の厚さは1〜20nmが好ましい。電場増強効果の観点からは、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、およびそれらの合金:10〜70nmがより好ましく、クロム薄膜の厚さは1〜3nmがより好ましい。
(スペーサ層)
センサーチップ(センサー基板)には、必要に応じて、金属薄膜による蛍光色素の金属消光を防止するため、金属薄膜と反応層(またはSAM)の間に誘電体からなるスペーサ層を形成してもよい。
誘電体としては、光学的に透明な各種無機物や、天然または合成ポリマーを用いることができる。これらの中でも、化学的安定性、製造安定性および光学的透明性に優れていることから、二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(TiO2)を用いることが好ましい。
スペーサ層の厚さは、通常10nm〜1mmであり、共鳴角安定性の観点からは、好ましくは30nm以下、より好ましくは10〜20nmである。一方、電場増強効果の観点から、好ましくは200nm〜1mmであり、さらに電場増強効果の安定性から、400nm〜1,600nmがより好ましい。
誘電体からなるスペーサ層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、電子線蒸着法、熱蒸着法、ポリシラザン等の材料を用いた化学反応による形成方法、またはスピンコータによる塗布などが挙げられる。
(SAM)
センサーチップ(センサー基板)には、必要に応じて、金属薄膜(またはスペーサー層)と反応層の間にSAM(Self-Assembled Monolayer:自己組織化単分子膜)を形成してもよい。
SAMを構成する分子としては、分子の一方の末端に金属薄膜等と結合可能な官能基(シラノール基、チオール基等)を、もう一方の末端に反応層を構成する分子と結合可能な反応性官能基(アミノ基、カルボキシル基、グリシジル基等)を有する化合物が用いられる。このような化合物はシランカップリング剤やSAM形成試薬として容易に入手できる。例えば、炭素原子数4〜20程度のカルボキシアルカンチオール(10−カルボキシ−1−デカンチオールなど)は、光学的な影響が少ない、つまり透明性が高く、屈折率が低く、膜厚が薄いSAMを形成することができるため好適である。SAM構成分子の溶液(エタノール溶液等)を金属薄膜等に接触させ、当該分子の一方の官能基を金属薄膜等に結合させることにより、SAMを形成することができる。
<SPFS測定>
表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)の原理に基づいた全血SPFSアッセイシステムの測定ステーション30の概略図を図4に示す。図4ではセンサーチップ31が測定ステーション30に装填された状態を示している。尚、センサーチップ31を着脱可能に構成し、測定のたびにセンサーチップを交換する形態に限らず、センサーチップ31が全血SPFSアッセイシステムに備えられている形態であってもよい。ここでセンサーチップ31は、誘電体部材2の上面に金属薄膜3が形成されており、さらにこの金属薄膜3上にリガンド固定領域34を有するセンサー基板35と、このセンサー基板35の上に固定され、リガンド固定領域34上を、試料等の各種試薬溶液が流通可能となる流路36を構成する流路構成部材37とを備えている。
このように構成されたセンサーチップ31が測定ステーション30に装填された状態において、測定ステーション30には、センサーチップ31の誘電体部材2側に、金属薄膜3に向かって励起光38を照射する光源39と、光源39から照射され金属薄膜3で反射した反射光40を受光する受光手段41を備えている。
一方、センサーチップ31の流路構成部材37側には、リガンド固定領域34で捕捉されたアナライトを標識した蛍光物質が発する蛍光42を受光する光検出手段43が設けられている。
なお、流路構成部材37と光検出手段43との間には、蛍光42を効率よく集めるための集光部材44と、蛍光42以外に含まれる光を除去し、必要な蛍光42のみを選択する波長選択機能部材45が設けられていることが好ましく、それらを備えた形態を図4では示している。
そして、測定ステーション30においては、金属薄膜3上のリガンド固定領域34にリガンド(一次抗体)3を有する流路36内に目的となるアナライトを含有してなる試料を流入させてリガンドにアナライトを捕捉させ、さらに捕捉されたアナライトが蛍光物質で標識された状態で、光源39より誘電体部材2に励起光38を照射し、この励起光38が共鳴角θ1で金属薄膜3に入射することで、金属薄膜3上に粗密波(表面プラズモン)を生じさせる。
なお、金属薄膜3上に粗密波(表面プラズモン)が生ずる際には、励起光38と金属薄膜3中の電子振動とがカップリングし、反射光40の光量減少が生ずるため、受光手段41で受光される反射光40のシグナルが変化(光量が減少)する地点を見つければ、粗密波(表面プラズモン)が生ずる共鳴角θ1を得ることができる。
この粗密波(表面プラズモン)を生ずる現象により、金属薄膜3上のリガンド固定領域34の蛍光物質が効率良く励起され、これにより蛍光物質が発する蛍光42の光量が増大することとなる。
この増大した蛍光42を、集光部材44および波長選択機能部材45を介して光検出手段43で受光することで、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出することができるようになっている。
<測定方法 >
(試料)
試料とは、SPFS測定に供される物質であり、代表的な試料としては、ヒト、ヒト以外のほ乳類(モデル動物、ペット等)、その他の動物から採取される血液検体(全血、血清、血漿など)に由来する試料が挙げられる。分析の際、試料は必要に応じて、純水、生理食塩水、緩衝液、試薬溶液等の各種の溶媒、あるいは血液検体については抗凝固剤(ヘパリン等)などと混合して用いてもよい。このような混合液または試料そのもの、あるいは所定の目的のために調製したアナライトを含有する溶液など、SPFS測定によるシグナルを測定するためにセンサー基板の所定の領域に送液される流体(溶液、懸濁液、ゾル、その他流動性を有する物質を含む。)のいずれも含む。
(アナライト)
SPFS測定により定量ないし検出すべき対象となる物質を「アナライト」という。センサー基板表面に捕捉することのできる物体であれば特に限定されることなくアナライトとなり得るが、代表的なアナライトとしては、例えば腫瘍マーカーとなるような、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等を含む)またはその複合体が挙げられる。また、リガンドに認識される部位(エピトープ等)を表面に有する細胞やウイルス等もアナライトとなり得る。さらに、核酸(一本鎖または二本鎖の、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等を含む)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等を含む)、脂質などのその他の分子も、必要に応じてビオチン化等の処理をした上で、アナライトとすることも可能である。
(リガンド)
アナライトと特異的に結合し得る分子を「リガンド」という。特に、センサー基板表面に固定化された、アナライトをセンサー基板表面に捕捉するためのリガンドを「固定化リガンド」(リガンドが抗体であれば「固定化抗体」)、アナライトを標識するために液中に存在する、蛍光色素と結合したリガンドを「標識リガンド」(リガンドが抗体であれば「標識抗体」)という。なお、固定化リガンドと標識リガンドのリガンド部分は、同じでもよいし、異なっていてもよい。ただし、固定化リガンドがポリクローナル抗体である場合、標識リガンドはモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよいが、固定化リガンドがモノクローナル抗体である場合、標識リガンドはその固定化リガンドが認識しないエピトープを認識するモノクローナル抗体であるか、またはポリクローナル抗体であることが望ましい。
リガンドは捕捉しようとするアナライトに応じて適切なものを選択すればよく、アナライトの所定の部位と特異的に結合しうる抗体、受容体、その他の特定の分子(例えばビオチン化したアナライトを捕捉するためのアビジン)などをリガンドとすることができる。
リガンドをセンサー基板表面に設ける方法は特に限定されるものではないが、典型的には、リガンドが有する官能基とSAM形成分子(シランカップリング剤等)が有する官能基とを、アミンカップリング法、チオールカップリング法、間接的捕捉法(キャプチャー法)等、公知の手法に従って結合させることにより、SAM形成分子を介して金属薄膜(またはスペーサ層)にリガンドを連結するような方法が用いられる。例えば、アミンカップリング法では、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)などの水溶性カルボジイミド(WSC)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)とを反応させてSAMのカルボキシル基を活性化(NHSを導入)した後、アミノ基を有するリガンドを反応させ、NHSを介してリガンドをSAMに結合させる。
なお、アナライトの非特異的吸着を防止するため、上記リガンドをセンサー基板表面に固定化した後に、牛血清アルブミン(BSA)等のブロッキング剤によりセンサー表面、流路の側壁・天板等を処理することが好ましい。
一方、標識リガンドは、一般的な免疫染色法でも用いられているリガンドと蛍光色素との複合体(コンジュゲート)と同様にして作製することができる。例えば、リガンドとアビジン(ストレプトアビジン等を含む)との複合体、および蛍光色素とビオチンとの複合体をそれぞれ作製し、これらを反応させることにより、アビジン/ビオチンを介してリガンドに蛍光色素が結合した複合体(1のアビジンに対し最大4のビオチンが結合しうる)が得られる。上述のようなビオチンとアビジンの反応以外にも、蛍光標識法で用いられている一次抗体−二次抗体の反応様式や、カルボキシル基とアミノ基、イソチオシアネートとアミノ基、スルホニルハライドとアミノ基、ヨードアセトアミドおよびチオール基などの反応を用いてもよい。
<分光光度計>
分光光度計20は、図3に示すように、光源から出た光を波長ごとに分ける分光部21と、分けた光を評価対象液22に当て光の弱くなる程度を測定する部分である光度計23からなる。評価対象液22に当てる光の強さと、評価対象液22を通過した後の光の強さから透過率を求め、これから吸光度を求める。
以下の実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
基礎データから、洗浄残液中の血球成分残存率1%を閾値として仮設定し、洗浄残液中の血球成分残存率1%未満を条件とする。
光学ブランク値は、最終的に得られるシグナルのバックグランドであり、この値が変動してしまうと、本来の定量値からずれてしまう。
共鳴角は、比較例1を基準に差分を示した。
[実施例1]
全血サンプル(試料)を準備し、図1のフローに示すように、SPFS測定における一次反応工程を送液10minで実施した。第1洗浄工程を経て、550nm(血球成分の吸収波長)における、洗浄残液の吸光OD540が0.4以下(洗浄残液中の血球成分残存率1%)(図1中の「NO」)になるまで、洗浄液の送液による第1洗浄工程と洗浄残液の吸光度測定工程とを繰り返し実施した(図1中の「YES」)。その後、測光条件である共鳴角測定と光学ブランク測定を実施した。上記の操作を繰り返し6回実施した(n=6)。その結果を表1に示す。
Figure 2014061743
[比較例1]
血漿サンプルを準備し、SPFSイムノアッセイの一次反応送液10min、洗浄操作を実施した。次いで、測光条件である共鳴角測定と光学ブランク測定を実施した。
[比較例2]
全血サンプルを準備し、SPFSイムノアッセイの一次反応送液10min、洗浄操作を実施した。洗浄残液のOD540平均値は、2.26であった。次いで、測光条件である共鳴角測定と光学ブランク測定を実施した。
上記の操作を繰り返し6回実施した(n=6)。その結果を表1に示す。
図5は、全血サンプルの吸光度測定結果を示す。図5の横軸は血球成分残存率(%)を表し、縦軸は吸光度OD540を表している。図5中の図は血球成分残存率が0〜1.8%の範囲について拡大した図である。
吸光度測定条件は、全血サンプルを洗浄液により希釈した。洗浄液は、TBST(TBS緩衝溶液に界面活性剤Tween20が0.05%含有)であり、全血血球成分の一部は溶血(細胞膜が壊れ、内容物が溶液中に溶け出している)している。
図5から、血球成分残存率が0.1%の時ODA540は0.04、0.2%の時ODA540は0.07、0.4%の時ODA540は0.13、0.8%の時ODA540は0.3、1.6%の時ODA540は0.6、5%の時ODA540は0.9、8.0%の時ODA540は1.7、14.0%の時ODA540は2.5、24%の時ODA540は3.1%、50%の時ODA540は3.1、100%の時ODA540は3.3であった。
これらの結果から、実施例1における共鳴角変動および光学ブランク値が比較例2に比べて大幅に低減し、比較例1の基準性能に漸近しており、全血を対象としたSPFS測定においても血漿をサンプルとしたときと同様の光学測定、ひいてはSPFS測定が可能であることがわかる。
1 全血SPFSアッセイシステム
2 誘電体部材
3 金属薄膜
4 ポンプ
5 リガンド(一次抗体)
6 標識リガンド(二次抗体)
8 廃液容器
9 洗浄液
10 標識抗体溶液
11 希釈液
12 サンプル(試料)
20 分光光度計
21 分光部
22 評価対象液
23 光度計
30 測定ステーション
31 センサーチップ
35 センサー基板
36 流路
37 流路構成部材
38 励起光
39 光源
41 受光手段
43 光検出手段
44 集光部材
45 波長選択機能部材
θ1 共鳴角

Claims (8)

  1. 試料の一次反応工程と、それに続く第1洗浄工程と、さらに第1洗浄工程より後に行われる標識反応工程、標識反応工程後に蛍光を測定する測定工程とを有する表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法であって、
    前記一次反応工程と前記標識反応工程との間に、血球成分量の評価工程を含む表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  2. 前記評価工程における血球成分量を反映した指標が所定値に達するまで前記第1洗浄工程を繰り返す、請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  3. 前記血球成分量を反映した指標が、吸光度測定値である、請求項2に記載の表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  4. 前記評価工程における血球成分量の評価対象が、前記第1洗浄工程における洗浄液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  5. 前記第1洗浄工程における洗浄液が、センサーチップ内の内液である、請求項4に記載の表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  6. 前記第1洗浄工程における洗浄液が、センサーチップから排出された廃液である、請求項4に記載の表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  7. 前記評価工程は、前記第1洗浄工程後に行われ、前記評価工程における血球成分量を反映した指標が吸光度測定値であり、吸光度測定値が所定値を超える場合には再び前記第1洗浄工程を行う、請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイ方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアッセイ方法を行う表面プラズモン励起増強蛍光分光法を利用するアッセイシステム。
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