JPWO2014050126A1 - 製造設備列および熱電発電方法 - Google Patents

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Abstract

本発明に従い、製造設備列に、熱電発電ユニットを有する熱電発電装置を備えると共に、該熱電発電ユニットを、上記熱源に対峙させ、さらに該熱源のうち少なくとも一の温度、および/または該熱電発電ユニットの出力に応じて設置することによって、熱源が移動する製造設備列において、放出状態が変動する熱源の熱エネルギーを、効率良く電気エネルギーに変換して回収することができる、製造設備列を得ることができる。

Description

本発明は、移動する熱源を有する製鉄所の製造設備列に関するものであって、熱間圧延工程におけるスラブ、粗バーおよび熱延鋼帯の輻射による熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する熱電発電装置を備えた熱間圧延設備列およびそれを用いた熱電発電方法に関するものである。
また、上記製造設備列が、鋳造および圧延を連続して施す鋼板製造工程における熱間スラブ或いは熱延板の熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する熱電発電装置を備えた鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列であり、さらにそれを用いた熱電発電方法に関するものである。
異種の導体または半導体に温度差を与えると、高温部と低温部との間に起電力が生じることは、ゼーベック効果として古くから知られており、このような性質を利用し、熱電発電素子を用いて熱を直接電力に変換することも知られている。
近年、製鉄工場等の製造設備では、例えば、上記のような熱電発電素子を用いた発電により、これまで廃熱として棄ててきたエネルギー、例えば、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯などの鋼材の輻射による熱エネルギーを利用する取組みが推進されている。
熱エネルギーを利用する方法としては、例えば、特許文献1には、受熱装置を高温物体に対峙して配置し、高温物体の熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
特許文献2には、廃熱として処理されている熱エネルギーに、熱電素子モジュールを接触させて電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
特許文献3には、冷却床において冷却材料から大気中に放散される熱量を電力として回収する方法について記載されている。
特許文献4には、レイクの熱伝導によって高温材料の熱エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換することができる熱回収方法及び冷却床について記載されている。
特許文献5には、熱間圧延ラインにおける金属材料の処理により発生する熱を回収して、電力として貯蔵する熱回収装置について記載されている。
特開昭59−198883号公報 特開昭60−34084号公報 特開平10−296319号公報 特開2006−263783号公報 特開2011−62727号公報
しかしながら、特許文献1では、スラブ連鋳ラインに適用できる旨の記載があるものの、実操業におけるスラブの温度変化や、スラブ量の変動による放出熱量(熱エネルギー)の変動など、操業条件の変動による熱源温度の変化については考慮されていない。
また、特許文献2では、モジュールを、熱源に対して固定する必要があるため、熱間圧延設備などのように、移動する熱源に対しては、当該技術を適用できないという問題がある。
特許文献3には、中・高温部の材料温度が300℃以上あり、その輻射熱と材料を冷却した後の対流熱を用いるという記載はあるものの、実操業における高温材料の温度変化や、高温材料の変動による放出熱量(熱エネルギー)の変動など、操業条件の変動による熱源温度の変化については記載されていない。
特許文献4に記載の技術は、熱伝導による熱回収のみに特化したものであり、実操業における高温材料の温度変化や、高温材料の変動による放出熱量(熱エネルギー)の変動など、操業条件の変動による熱源温度の変化については考慮されていない。
特許文献5に記載の技術は、上記実操業上の考慮がないことに加え、同文献中に記載されている電力貯蔵手段は必ずしも必要ではない。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、熱源が移動(流動)する熱間圧延設備や、鋳造および圧延を行う鋼板製造設備において、放出状態が変動するスラブ、粗バー、熱延鋼帯、熱間スラブおよび熱延板の熱エネルギーを、効率良く電気エネルギーに変換して回収することができる熱電発電装置を備えた熱間圧延設備列と、鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列を、それらを用いた熱電発電方法と共に提供することを目的とする。
発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、熱エネルギーの放出状態に応じて、熱源と熱電発電ユニットの距離などの設置位置を調整することによって、高効率な熱電発電を行うことができることを知見し、新たな製鉄所における熱利用が可能な熱電発電装置を備えた熱間圧延設備列と、鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列を、それらを用いた熱電発電方法と共に開発した。
本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.移動する熱源を有する製鉄所の製造設備列において、
上記製造設備列は、熱電発電ユニットを有する熱電発電装置を備えると共に、該熱電発電ユニットは、上記熱源に対峙し、さらに該熱源のうち少なくとも一の温度、および/または該熱電発電ユニットの出力に応じて設置された製造設備列。
2.前記製造設備列が、加熱されたスラブを粗圧延して粗バーとする粗圧延機と、粗バーを仕上げ圧延して熱延鋼帯とする仕上げ圧延機とを備えた熱間圧延設備列であって、
前記熱電発電ユニットは、粗圧延機前から熱延鋼帯搬送路に至るまでのいずれかの位置で、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯に対峙し、さらに該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じて設置された前記1に記載の製造設備列。
3.前記熱電発電ユニットを、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置する前記2に記載の製造設備列。
4.前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置する前記2または3に記載の製造設備列。
5.前記熱電発電装置が、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一との距離を制御する移動手段を有する前記2乃至4のいずれかに記載の製造設備列。
6.前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備える前記2乃至5のいずれかに記載の製造設備列。
7.前記熱電発電装置が、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になる前記2乃至6のいずれかに記載の製造設備列。
8.前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられた前記2乃至7のいずれかに記載の製造設備列。
9.前記移動手段が、熱電発電ユニットの一体移動を行う前記2乃至8のいずれかに記載の製造設備列。
10.前記熱電発電装置が、さらに、記熱電発電ユニットの出力に応じて、該熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具える前記2乃至9のいずれかに記載の製造設備列。
11.前記2乃至10のいずれかに記載の製造設備列を用い、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行う熱電発電方法。
12.前記製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御する前記11に記載の熱電発電方法。
13.前記製造設備列が、スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列であって、
前記熱電発電ユニットは、上記スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置における、スラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、上記圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間のうちから選ばれる少なくとも一の位置で、スラブおよび/または熱延板に対峙し、さらにスラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じて設置された前記1に記載の製造設備列。
14.前記熱電発電ユニットを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置する前記13に記載の製造設備列。
15.前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置する前記13または14に記載の製造設備列。
16.前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブおよび熱延板のうち少なくとも一との距離を制御する移動手段を有する前記13乃至15のいずれかに記載の製造設備列。
17.前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備える前記13乃至16のいずれかに記載の製造設備列。
18.前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になる前記13乃至17のいずれかに記載の製造設備列。
19.前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられた前記13乃至18のいずれかに記載の製造設備列。
20.前記移動手段が、熱電発電ユニットの一体移動を行う前記13乃至19のいずれかに記載の製造設備列。
21.前記熱電発電装置が、さらに、記熱電発電ユニットの出力に応じて、熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具える前記13乃至20のいずれかに記載の製造設備列。
22.前記13乃至21のいずれかに記載の製造設備列を用い、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行う熱電発電方法。
23.前記製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御する前記22に記載の熱電発電方法。
本発明に従うことで、熱電発電ユニットと熱源(スラブ、粗バー、熱延鋼帯および熱延板)とを、発電効率の良い状態に保持することができるため、発電効率が効果的に向上する。その結果、従来に比べて、熱源から放出される熱エネルギーを、高いレベルで回収することができる。
本発明の一実施形態に従う熱電発電装置の設置例を示す図である。 本発明の一実施形態に従う熱電発電ユニットの断面図である。 本発明の一実施形態に従う熱電発電装置の設置場所(熱間圧延設備)を示す図である。 本発明の一実施形態に従う熱電発電装置の設置場所(鋳造および圧延を行う鋼板製造設備)を示す図である。 鋼材と熱電発電ユニットとの距離に対する発電出力比の関係を表したグラフである。 本発明の一実施形態に従う熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置を示す断面図である。 (A)および(B)は、本発明に従う反射材付きの熱電発電装置の設置例を示す図である。 (A)および(B)は、本発明に従う熱電発電ユニットの他の設置例を示す図である。
以下、本発明を、具体的に説明する。
図1は、本発明の熱電発電装置の一実施形態を説明する模式図である。図中、1は熱電発電ユニットおよび2は熱源である。
本発明において、熱電発電装置は、熱源2に対峙して、熱源2の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて配置された熱電発電ユニット1を具備している。
本発明における熱源は、熱間圧延装置におけるスラブ、粗バーおよび熱延鋼帯(以下、単にスラブ等とも呼称する)や、鋳造および圧延工程におけるスラブ或いは熱延板(処理工程により粗バー、熱鋼板、熱延板、鋼板、熱鋼帯、鋼帯、ストリップ、厚板などと呼び方が変わるが、本発明では上記の熱源に含めてスラブ等と呼称する)である。
また、本発明の熱電発電装置は、スラブ等の幅方向および長手方向に少なくとも一つの、熱電発電ユニットを具備している。そして、その熱電発電ユニットは、スラブ等に対峙する受熱手段と、少なくとも一つの熱電発電モジュールと、放熱手段とを有する。
受熱手段は、材質にもよるが、熱電素子の高温側温度プラス数度から数十度、場合によっては数百度程度の温度になる。それ故、受熱手段は、その温度で、耐熱性や、耐久性を持つものであればよい。例えば、銅や銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、セラミックスの他、一般の鉄鋼材料を用いることができる。
なお、アルミニウムは融点が低いため、熱源に応じた熱設計を行い、熱に耐えられる場合に使用することができる。また、セラミックスは、熱伝導率が小さいため、受熱手段の中で温度差がついてしまうが、スラブ等とスラブ等の間に熱源が無い状態が発生する箇所においては、蓄熱効果も期待できるので使用することが可能である。
他方、放熱手段は、従来公知のものでよく、特別の制限はないが、フィンを具備した冷却デバイスや、接触熱伝達を活用した水冷デバイス、沸騰熱伝達を活用したヒートシンク、冷媒流路を有した水冷板等が好ましい形態として例示される。
また、熱電発電ユニットの低温側をスプレー冷却などで水冷しても、低温側は効率よく冷却される。特に、熱電発電ユニットを熱源より下方に設置する場合には、スプレー冷却を適用しても、スプレーを適切に配置すれば、残水はテーブル下に落下して、熱電発電ユニットの高温側を冷却することなく、熱電発電ユニットの低温側は効率よく冷却される。スプレー冷却を行う場合には、スプレー冷媒が接触して冷却される側が放熱手段となる。
本発明に用いられる熱電発電モジュール5は、図2に示すように、熱電素子3であるP型およびN型の半導体を数十〜数百対の電極4で接続した熱電素子群が二次元的に配列されており、さらにその両側に配置した絶縁材6とからなる。また、上記熱電発電モジュール5は、両側もしくは片側に熱伝導シートや保護板を具備していても良い。さらにその保護板がそれぞれ、受熱手段7や放熱手段8を兼ねていても良い。
受熱手段7および/または放熱手段8である冷却板自体が絶縁材であったり、表面に絶縁材が被覆されたりしている場合は、絶縁材の代替としても良い。図中、1は熱電発電ユニット、3は熱電素子、4は電極、6は絶縁材、5は熱電発電モジュール、7は受熱手段および8は放熱手段である。
本発明では、受熱手段と熱電発電モジュールの間や、放熱手段と熱電発電モジュールの間、そして絶縁材と保護板の間などに、部材同士の熱接触抵抗を低減し、熱電発電効率の一層の向上を図るために、前述した熱伝導シートを設けることができる。この熱伝導シートは、所定の熱伝導率を有しており、熱電発電モジュールの使用環境下で用いることができるシートであれば、特に制限はないが、グラファイトシート等が例示される。
なお、本発明に従う熱電発電モジュールの大きさは、1×10−2以下とすることが好ましい。モジュールの大きさを上述程度とすることで熱電発電モジュールの変形を抑制することができるからである。より好ましくは、2.5×10−3以下である。
また、熱電発電ユニットの大きさは、1m以下とすることが好ましい。ユニットを1m以下とすることで熱電発電モジュールの相互間や、熱電発電ユニット自体の変形を抑制することができるからである。より好ましくは、2.5×10−1以下である。なお、本発明では、上記した熱電発電ユニットを複数個同時に用いることができる。
本発明では、熱源として、熱間圧延ラインにおけるスラブ等の輻射による熱エネルギーを用いる。熱間圧延ラインとは、図3に示すような、加熱炉、粗圧延機、仕上げ圧延機、巻取機で構成されている。なお、熱間圧延工程とは、熱間圧延ラインの前工程または加熱炉において1000〜1200℃程度に加熱された約20〜30tonの鋼塊(スラブ)を、粗圧延機で粗バーとし、さらに仕上げ圧延機で、板厚:1.2〜25mm程度の熱延鋼帯とする工程である。なお、本発明において、仕上げ圧延機内の鋼材は、熱延鋼帯と言う。
本発明では、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一(熱電発電ユニットが対峙した位置および温度測定に適した近傍を含む)の温度(以下、単にスラブ等の温度と言う)および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置された熱電発電ユニットを有している。図3に示したように、かかる熱電発電ユニットを、粗圧延機前から仕上げ圧延機を経て熱延鋼帯搬送路までのいずれかの位置(図中A乃至E)に、スラブ等の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置することで、実操業における熱源の温度変動等に対応して、効率的な発電をすることができる。
なお、本発明における熱電発電装置(熱電発電ユニット)の設置は、スラブ等の上方に限らず下方にも設置することができ、設置箇所も1箇所に限らず、複数箇所でも良い。
図4に、本発明で用いる鋳造および圧延装置の構成例を示す。まず、スラブを鋳造するために、タンディッシュ9と鋳型10を備える鋳造機11が配置され、ついで保持炉12、誘導炉13、粗圧延機14、仕上げ圧延機15、水冷装置16およびコイラー17が配置されている。
鋳造機の後に配置された保持炉は、通常のガスバーナー炉とすることができる。保持炉と誘導炉の配置は順序が入れ替わっていても良い。また、バッチ圧延の場合に使用する加熱炉を用いても良い。
また、鋳造機11と保持炉12の間にはシャー18が、そして粗圧延機14の後にはシャー19が配置され、仕上げ圧延機15の後ろにはストリップシャー20が配置されている。
また、図4に示したように、かかる熱電発電ユニットを、スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置におけるスラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側(図4F)、並びに、圧延ラインの保持炉、誘導炉(図4G)、粗圧延機(図4H)、仕上げ圧延前のデスケーリング装置より上流側(図4I)、仕上げ圧延機内(図4J)および熱延板搬送路上(図4K)のいずれかの位置に、スラブ等の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置することで、実操業における熱源の温度変動等に対応して、効率的な発電をすることができる。
本発明における熱電発電装置(熱電発電ユニット)の設置は、スラブ等の上方に限らず下方にも設置することができ、設置箇所も1箇所に限らず、複数箇所でも良い。また、上記熱電発電装置は、水冷装置16付近に設置することもできる。
熱電発電ユニットが高い稼働率を維持するためには、スラブ等に近接する時間が長い場所に、熱電発電ユニットを設置することが好ましい。
例えば、加熱炉から出たスラブが粗圧延機に到達するまでの搬送テーブル上(図3A)で、加熱時などに表面に生成した酸化スケールを取り除くデスケーリング装置の入側あるいは出側や、スラブの幅調整を行うサイジングプレス付近、粗圧延機付近(図3B)、または仕上げ圧延機前で粗バーが比較的長時間滞留する仕上げ圧延前のデスケーリング装置より上流側(図3C)、仕上げ圧延機内(図3D)、熱延鋼帯搬送路上(図3E)などが挙げられる。
また、鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列の場合、加熱炉から出たスラブが粗圧延機に到達するまでの搬送テーブル上(図4G−H間)で、加熱時などに表面に生成した酸化スケールを取り除くデスケーリング装置(図示せず)の入側あるいは出側や、スラブの幅調整を行うサイジングプレス付近(図示せず)、粗圧延機付近(図4H)、または仕上げ圧延機前で粗バーが比較的長時間滞留する仕上げ圧延前のデスケーリング装置より上流側(図4I)、仕上げ圧延機内(図4J)、熱延板搬送路上(図4K)などが挙げられる。
また、仕上げ圧延機前の、粗圧延機から仕上げ圧延機に粗バーを搬送する間には、粗バーの温度低下抑制のために、カバーで搬送テーブルを覆う場所がある。このカバーは、開閉可能であって、温度低下を抑制する場合はカバーを閉じ、圧延機を使用しない場合はカバーを開けるような使用方法が常法である。
上記のカバーに、本発明に従う熱電発電ユニットを取り付けることができる。
ここでの粗バーの温度は、おおよそ1100℃前後であるが、片側を冷却して発電に必要な温度差を確保するために、放熱手段を設けることで熱電ユニットの発電効率は効果的に向上する。
熱源であるスラブ等が熱電発電装置とわずかな空間を保って通過する時には電気が生じ、熱電発電装置近傍に熱源がない時には熱から電気への変換効率が悪化するが、そのような場合は、パワーコンディショナー等を介し、系統電力と連系させれば、生じた電気を効率よく利用することができる。なお、独立電源として使用する場合は、太陽光発電と同様に、蓄電池を用いることで、生じた電力の変動を吸収して使用することができる。
また、熱電発電装置の上流側に温度計を設置し、この温度計の測定値に応じて、熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御することができる。かかる機能を有することで、製品ロットの切り替えなど、スラブ等の温度に変動などがあった場合でも、その温度変動等に適格に対応して、熱電発電を行うことができ、結果的に、熱電発電の効率が向上する。
なお、上記した温度計は、放射温度計などの非接触型が好ましい。
そして、スラブ等の温度と最も熱電発電の効率のよい距離との関係をあらかじめ求めておけば、上記の温度計の測定値に応じて、上記した熱電発電ユニットとスラブ等との距離を、その温度変動に応じて適切に変更することができるからである。
本発明では、スラブ等のサイズや品種に応じて、あらかじめ熱電発電ユニットの位置を設定しておいてもよい。また、サイズや品種に応じた熱電発電ユニット毎の出力電力実績から、あらかじめ、熱電発電ユニットの設置位置を設定してもよい。さらに、熱電発電ユニット毎の出力電力実績から、および/または温度などより予測される出力電力予測から、サイズ、品種に応じてあらかじめ熱電発電ユニットの設置場所を設定しても良い。加えて、設備導入時に、熱電発電ユニットと熱源であるスラブ等との距離や、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置を決定しておいても良い。
例えば、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュール間隔を60mmとし、スラブのサイズが幅:900mmで、温度が1200℃の場合は、熱電発電ユニットとスラブとの距離を720mmに、またスラブのサイズが幅:900mmで、温度が1100℃の場合は、上記距離を530mmに制御すると、最も効率の良い熱電発電を行うことができる。
また、上記熱電発電モジュール間隔で、熱延鋼帯や熱延板の温度が1000℃の場合は、熱電発電ユニットと熱延鋼帯との距離を280mmに、また熱延鋼帯の温度が950℃の場合は、上記距離を90mmに制御すると、最も効率の良い熱電発電を行うことができる。
さらに、熱電発電ユニットの出力に応じて、熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御することができる。図5に、鋼材から熱電発電ユニットまでの距離と、定格出力時の発電出力比を1とした場合の発電出力比との関係を、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュール間隔を70mm、鋼材の温度を850,900および950℃として調査した結果を示す。
上掲図5に示したような関係を求めることで、熱電発電ユニットの出力に応じて、鋼材と熱電発電ユニットの距離を調節することが可能である。本発明では、上記した鋼材の代わりに熱源をスラブ等とし、熱電発電ユニットの出力が大きくなるように熱電発電ユニットとスラブ等との距離を調整する。その際、実測出力を用いても良いし、スラブ等の温度などから予測される出力値を用いても良い。
上述したように熱電発電ユニットの出力は、定格出力となるように設定するのが好ましいが、熱電素子が壊れないように、熱電発電ユニットの耐熱温度上限を考慮して設定する必要がある。耐熱上限を考慮した場合は、発電出力比の目標を適宜下げることができるが、0.7程度までとすることが好ましい。
図1に示すように、本発明では、熱電発電ユニット1を、熱源2の温度や、温度分布、形態係数および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部より低温部で近接させて設置した熱電発電装置とすることが好ましい。すなわち、熱電発電ユニットを、スラブ等のうち少なくとも一の温度、および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置することもできる。
かかる装置は、特に、温度の変更があまりない連続ラインに向いている。というのは、スラブ等の幅方向(スラブ等の進行方向に直角な方向)の温度分布および/または熱電発電ユニットの出力を、あらかじめ測定して、上記の距離に反映することで、単に平坦に熱電発電ユニットを設置した場合に比べて、熱電発電ユニットの発電効率を最適化することができるからである。
例えば、図1の中央部分は、熱源が温度:1200℃のスラブや粗バーの場合、ユニットとの距離を720mmとして、端部分の距離を640mmに制御し、また、熱源が温度:1000℃の熱延鋼帯の場合、ユニットとの距離を280mmとして、端部分の距離を200mmに制御すると、効率良く熱電発電が行える。
ここに、幅方向の温度分布は、スラブ等の板端から板厚の2倍程度の位置で急激に低下する場合が多いので、上記したように距離を制御することが好ましい。というのは、スラブ等の端部であって、上記の位置に相当する部分は、当該部分を移動させる電力に対して、得られる電力が少ないという結果になる可能性が大きいためである。
通常、スラブ等の端部は温度が低く、図1に示すような実施形態の場合、熱電発電ユニットの設置箇所の形状を、楕円を半割したような形状とすることができるので、熱源を包み込む効果があり、熱流の挙動が変化するため保温効果に優れるという特長を有し、その結果、熱エネルギーの回収効果に優れた熱電発電装置とすることができる。
なお、この実施形態に対し、熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御する手段をさらに付加すれば、実操業における熱源の温度変動等があった場合でも、適切に熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御して、一層効率良く発電できる熱電発電装置とすることができる。
本発明における熱電発電装置は、図6に示すように、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置密度を、スラブ等の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて、低温部に対して高温部を密に配置したりすることができる。
かかる装置もまた、温度の変更があまりない連続ラインに向いている。というのは、スラブ等の幅方向(スラブ等の進行方向に直角な方向)の温度分布および/または熱電発電ユニットの出力を、あらかじめ測定して、上記した配置密度に反映することで、単に一定間隔で熱電発電ユニットを設置した場合に比べて、熱電発電ユニットの発電効率を最適化することができるからである。
上記配置密度を変更した具体的な例としては、スラブ等の直上部(中央部分)、すなわち高温部においては、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを密に配置し、スラブ等の端部分、すなわち低温部においては、幅方向の熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを疎に配置すれば、個々の熱電発電ユニットの発電効率を、効果的に向上させた熱電発電装置とすることができる。
例えば、図6において、熱源が温度:1200℃のスラブや粗バーの場合、熱電発電ユニットとスラブや粗バーとの距離を640mmとし、ユニット中央部分の熱電発電モジュールの配置を55mm間隔で、端部分は60mm間隔とし、また、熱源が温度:1000℃の熱延鋼帯の場合、熱電発電ユニットと熱延鋼帯との距離を280mmとし、ユニット中央部分の熱電発電モジュールの配置を60mm間隔で、端部分は63mm間隔とすると、効率良く熱電発電が行える。また、前掲図5に示した熱電発電ユニット中の熱電発電モジュール間隔をパラメータとして、熱電発電ユニットの出力を調査し、調査した結果を、本発明の熱電発電モジュール間隔設定データとして用いても良い。
なお、上記の実施形態は、ユニット中の熱電発電モジュールの配置を粗密にしても良いし、ユニット自体を粗密に設置しても良い。
また、上記配置密度の変更は、特に、スラブ等の上方向に設備の設置裕度が無い場合に向いている。なお、この実施形態も、熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御する手段をさらに付加すれば、実操業における熱源の温度変動等があった場合に、適切に熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御し、一層効率良く発電できる。
本発明における、熱電発電ユニットの出力に応じとは、スラブ等の温度に対応して熱電発電ユニットの位置を変更したり、熱電発電モジュールの疎密度を変更したりすることが含まれるが、熱電発電ユニットを初期位置に設置した際などに、ユニット間の出力差があった場合、出力が小さいユニットを出力が大きくなるように動かす、すなわち、スラブ等に対して近接して設置するという対応も含まれる。また、温度に応じとは、単にスラブ等の温度を基準とするだけではなく、スラブ等の温度分布や形態係数を基準にすることができる。
本発明における熱電発電装置は、図7(A)および(B)に示すように、さらに、熱を集約する熱反射材を備えることができる。図中、21は熱反射材である。かかる熱反射材を用いることによって、個々の熱電発電ユニットに対する集熱効果が上がり、効率の良い熱電発電を行うことができる。
なお、熱反射材は、図7(A)に示したように、スラブ等(熱源2)の両脇(図中、スラブ等の進行方向は、図面奥から手前である。)に、設置するのが集熱効率の点で好ましい。
本発明における熱反射材の形状は、平面や、曲面、またV字やU字の断面を持つものであっても良い。なお、熱反射材は平面〜凹面を持つものが良いが、凹面の熱反射材への入射角によって焦点における収差が変化するので、所定の入射角に対して最も収差が少なくなるように最適な熱反射材形状(曲率)を有するよう、一の熱反射材または複数の熱反射材面群を設置することが好ましい。
この実施形態は、図7に示したように、熱電発電ユニットの任意の箇所に集熱をさせることができるので、以下に述べるように、熱電発電装置の設置裕度が一層向上するという利点がある。
例えば、図7(A)に示したように、熱電発電ユニットにバランスよく熱を集めることで、熱電発電ユニットを従来公知の設置位置とした熱電発電装置を用いても、個々の熱電発電ユニットの発電効率を最適化することができる。さらに、図7(B)に示したように、任意の箇所に集約した熱エネルギーを、熱電発電ユニットに照射することができる。この実施形態の利点は、熱電発電ユニットの設置面積が限られている場合や、大面積の熱電発電ユニットが入手できない場合、熱電発電ユニットが上下できない場合などでも、熱反射材21を適切に動かすことで効率の良い熱電発電を行うことができるところにある。また、熱反射材21は、駆動部を設け、外部信号により角度を変えることで、上記の集熱箇所を変更することもできる。
さらに、熱反射材21の設置場所は、上掲した図7(A)および(B)のようにスラブ等の両サイドが考えられるが、熱電発電ユニットの設置位置に応じて、スラブ等の下部や上部に設置することもできる。
なお、本発明における熱反射材としては、熱エネルギー(赤外線)を反射できるものであれば特に定めはなく、鏡面仕上げをした鉄などの金属や耐熱タイル等に錫メッキを施したものなど、設置場所、物品の調達コスト等を考慮して、適宜選択することができる。
すなわち、本発明におけるスラブ等の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置された熱電発電ユニットとは、ユニット自身の距離設定のみならず、上述したような熱反射材の距離や角度の変更を行ったユニットをも含むものである。
図8(A)および(B)に、本発明に従う熱電発電ユニットの設置例を示す。
本発明における熱電発電ユニットは、図8(A)および(B)に示したように、スラブ等(熱源2)の外周部を囲む形状とすることもできる。
また、図8(A)にしたように、本発明にかかる熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部を設けることができる。
本発明で、スラブ等の側面や下面に熱電発電ユニットを設置する場合は、スラブ等からの熱による対流影響から、熱電発電装置とスラブ等との距離:dsを、その上面の距離:duと比して、ds≦duの関係を満足するように設置することが好ましい。
従って、図中例示した、距離:aおよびcは、上述した距離:duに相当するものとすれば、距離:bおよびdは、上述した距離:dsに相当するものとなる。なお、図中同一の記号で表したbは、それぞれが異なる距離であっても良いが、それぞれの距離が上記duおよびdsの関係を満足していることが重要である。
このように、本発明では、熱源と熱電発電ユニットとの距離を、同一装置内であっても、適宜変えることができる。
熱電発電ユニットを全面に設置しない場合は、熱源の熱を外部に放出させないよう板(保温板)を設置すると、効率的な熱電発電を行うことができる。保温板の材質は、鉄やインコネルなどの金属(合金)やセラミックス等、一般的に高温物の保温板として使用されているものであって、設置場所の温度に耐えられるものであれば、特に制限はないが、板の放射率は小さいものとし、熱源からの放射熱が、板に吸収されることを低減して、熱電発電ユニットへ向かうようにすることが好ましい。
本発明は、熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段を備えることができる。この移動手段によって、熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御することができる。距離制御は、パワーシリンダを用いて行うことが好適である。
上記の移動する手段としては、熱電発電ユニットを一体で上下に昇降移動できるものが挙げられる。また、前後左右に移動できるものであっても、特に問題はなく使用できる。
なお、温度変動が少ないところでは、距離を制御する手段として、例えば、熱電発電ユニットなどを、鉄板にボルトで固定し、熱電発電ユニットの移動時には、当該ボルトを緩めて適宜移動させ、再び、当該ボルトで固定するなどの手段を採用しても構わない。また、本発明では、複数の熱電発電ユニットを有する熱電発電装置としても良く、このように複数の熱電発電ユニット有する場合は、少なくとも一つの熱電発電ユニットに移動手段を有していれば良い。
なお、製造開始もしくは終了時などの非定常状態においては、スラブ等の高さ変動などに起因する装置の破損を防ぐため、発電領域から非発電領域の退避位置に移動させたり、再度発電領域に移動させたりすることができる。
本発明では、熱電発電ユニットの距離の調整、もしくは温度計を動作させるために、熱電発電装置により変換された電力の一部または全てを使用しても良い。熱電発電装置により生成される電力と、熱電発電ユニットを稼動させる消費電力を、それぞれ予測する電力予測手段を備え、生成電力と消費電力に基づき、熱電発電ユニットを稼動させるか、させないかを判断する稼動判断手段を備えることが好ましい。
すなわち、生成される電力予測により、熱電発電ユニットを稼動させる電力が、発電電力より小さいと予測される場合は、熱電発電ユニットを動作させなくてよい。さらに、熱電素子の耐熱温度を超えることが予測される場合は、熱電発電ユニットを、少なくとも耐熱温度以下となるまで退避させるのが好ましい。
また、上記稼働判断手段は、熱電発電ユニットの出力に応じ、発電領域から非発電領域への移動の可否を判断することができる。
上記したそれぞれの実施形態は、それぞれ任意に組み合わせることができる。例えば、距離の変更だけで最適な熱電発電効率を得ようとすると、極端に大きな曲率の楕円弧状の設置としなければならない場合などには、熱反射材を用いる実施形態を組合せて、その曲率を緩くすることもできる。
もちろん、本発明は、全ての実施形態の機能を同時に備えていても良いことは言うまでもない。
本発明に従う熱電発電方法は、図3に示すように、スラブを粗圧延して粗バーとする粗圧延機と、粗バーを仕上げ圧延して熱延鋼帯とする仕上げ圧延機とを備えた熱間圧延設備列において、粗圧延機前から仕上げ圧延機を経て熱延鋼帯搬送路までのいずれかの位置に、スラブ等の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置された熱電発電装置を用いて行ったり、図4に示すように、スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋼板製造設備列において、スラブ鋳造機のスラブ冷却装置および、スラブ切断装置におけるスラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間のいずれかの位置に、スラブ等の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置された熱電発電装置を用いて行ったりするものである。
また、本発明に従う熱電発電方法は、図1および6乃至8に示したように、熱電発電ユニットの設置形態を変更したり、熱反射材を備えたりした熱電発電装置を用いることもでき、その際、前述した複数の実施形態にかかる熱電発電装置を併せて用いることができる。特に、稼働判断手段を用いることは、安定的なライン操業に効果的に作用する。
〔実施例1〕
図2に記載した構成の熱電発電ユニットであって、1mの面積を有する熱電発電ユニットを用い、発明例1として、熱間スラブ温度が1200℃の場合、熱電発電ユニットと熱間スラブとの距離を720mmに、熱間スラブ温度が1100℃の場合、上記距離を530mmに、それぞれ制御した。一方、比較例1は、発明例1と同じ熱電発電ユニットを用い、上記距離を720mmに固定した。なお、熱間スラブ(以下、単にスラブという)は幅:900mm、厚み:250mmとした。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で0.5時間、スラブ温度が1100℃(本実施例では、単にスラブ温度といった場合は、鋼板の中央部分の温度を意味する。)で0.5時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、図3に記載の装置の設置場所Aにおいて実施した。
その結果、発明例1では、5kWの発電することができたのに対し、比較例1では、スラブ温度が変化した際に発電量が低下して、2kWの発電量となった。
〔実施例2〕
発明例2は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図1に示した構成とし、中央部分は、熱電発電ユニットとスラブとの距離を720mmに、その他、幅端部(スラブの幅端面から幅方向におよそ80mm以内の部分を示す。以下、単に幅端部と言った場合は、その範囲を意味する。)はその距離を640mmに制御した。一方、比較例2は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例1と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例2では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例2では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例3〕
発明例3は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニットとスラブとの距離を640mmとし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置を、図6の中央部分で55mm間隔とし、その他、幅端部で60mm間隔とした。一方、比較例3は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例1と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例3では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例3では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例4〕
発明例4は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図7(A)に示した構成とし、熱電発電ユニットを平面的に設置して、さらに熱を集約する熱反射材を設置した。一方、比較例4は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例1と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例4では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例4では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例5〕
発明例5は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、スラブの直上における温度が1200℃の場合、熱電発電ユニットとスラブとの距離を720mmとし、上記温度が1100℃の場合、その距離を530mmとした。さらに、熱電発電ユニットの端においては、上記距離を、それぞれ、640mm、430mmに制御した。なお、本実施例は、実施例1と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
上記温度が1200℃で0.5時間、上記温度が1100℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例5では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例6〕
発明例6は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを中央部分では55mm間隔に配置し、その他、幅端部で60mm間隔とした。さらに、スラブ温度が1200℃の場合、ユニットとスラブとの距離を640mmに、またスラブ温度が1100℃の場合は、その距離を430mmに制御した。なお、本実施例は、実施例1と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
スラブ温度が1200℃で0.5時間、スラブ温度が1100℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例6では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例7〕
発明例7は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、スラブ温度が1200℃の場合、熱電発電ユニットとスラブとの距離を580mmに、スラブ温度が1100℃の場合、その距離を350mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端部における上記距離を、それぞれ、540mm、300mmに制御した。加えて、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを中央部分は52mm間隔に配置し、その他、幅端部で55mm間隔とした。なお、本実施例は、実施例1と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
スラブ温度が1200℃で0.5時間、スラブ温度が1100℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例7では、7kWの発電量を実現した。
〔実施例8〕
発明例8は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、粗バー温度が1000℃の場合、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を280mmに、粗バー温度が950℃の場合、上記距離を90mmに、それぞれ制御した。一方、比較例5は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、上記距離を280mmに固定した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が950℃で0.5時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、図3に記載の装置の設置場所Cにおいて実施した。また、粗バーは、幅:900mm、厚み:40mmとした。
その結果、発明例8では、5kWの発電することができたのに対し、比較例5では、粗バー温度が変化した際に発電量が低下して、2kWの発電量となった。
〔実施例9〕
発明例9は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図1に示した構成とし、中央部分は、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を280mmに、その他、鋼材幅端部(粗バーの幅端面から幅方向におよそ80mm以内の範囲を示す。以下、単に鋼材幅端部と言った場合は、同じ範囲を意味する。)はその距離を200mmに制御した一方、比較例6は実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例8と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例9では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例6では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例10〕
発明例10は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を200mmに、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置を、図6の中央部分で58mm間隔とし、その他、鋼材幅端部で60mm間隔とした。一方、比較例7は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例8と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例10では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例7では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例11〕
発明例11は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図7(A)に示した構成とし、熱電発電ユニットを平面的に設置し、さらに熱を集約する熱反射材を設置した。一方、比較例8は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例8と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例11では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例8では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例12〕
発明例12は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、粗バーの直上における温度が1000℃の場合、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を280mmに、上記温度が950℃の場合、その距離を90mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端においては、上記距離を、それぞれ、200mm、40mmに制御した。なお、本実施例は、実施例8と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が950℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例12では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例13〕
発明例13は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを中央部分では58mm間隔に配置し、その他、鋼材幅端部では60mm間隔配置とし、さらに、粗バー温度が1000℃の場合、ユニットと粗バーとの距離を200mmに、また粗バー温度が950℃の場合は、その距離を40mmに制御した。なお、本実施例は、実施例8と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が950℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例13では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例14〕
発明例14は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、粗バー温度が1000℃の場合、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を100mmに、粗バー温度が1050℃の場合、その距離を90mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端部における上記距離を、それぞれ、90mm、80mmに制御した。加えて、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、粗バー温度が1000℃の場合、中央部分は55mm間隔に配置し、鋼材幅端部は58mm間隔に配置し、粗バー温度が1050℃の場合、中央部分は50mm間隔に配置し、鋼材幅端部は52mm間隔に配置した。なお、本実施例は、実施例8と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が1050℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例14では、7kWの発電量を実現した。
〔実施例15〕
図2に記載した構成の熱電発電ユニットであって、1mの面積を有する熱電発電ユニットを用い、発明例15として、熱間スラブ(以下、単にスラブという)温度が1200℃の場合、熱電発電ユニットとスラブとの距離を720mmに、スラブ温度が1100℃の場合、上記距離を530mmに、それぞれ制御した。一方、比較例9は、発明例15と同じ熱電発電ユニットを用い、上記距離を720mmに固定した。なお、なお、スラブは幅:900mm、厚み:250mmとした。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で0.5時間、スラブ温度が1100℃(本実施例では、単にスラブ温度といった場合は、スラブの中央部分の温度を意味する。)で0.5時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、図4に記載の装置の設置場所Fにおいて実施した。
その結果、発明例15では、5kWの発電することができたのに対し、比較例9では、スラブ温度が変化した際に発電量が低下して、2kWの発電量となった。
〔実施例16〕
発明例16は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図1に示した構成とし、中央部分は、熱電発電ユニットとスラブとの距離を720mmに、その他、幅端部(スラブの幅端面から幅方向におよそ80mm以内の部分を示す。以下、単に幅端部と言った場合は、その範囲を意味する。)はその距離を640mmに制御した。一方、比較例10は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例15と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例16では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例10では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例17〕
発明例17は、実施例1と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置を、図6の中央部分で55mm間隔とし、その他、幅端部で60mm間隔とした。一方、比較例11は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例15と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例17では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例11では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例18〕
発明例18は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図7(A)に示した構成とし、熱電発電ユニットを平面的に設置して、さらに熱を集約する熱反射材を設置した。一方、比較例12は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、スラブ温度が1200℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例15と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例18では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例12では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例19〕
発明例19は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、スラブの直上における温度が1200℃の場合、熱電発電ユニットとスラブとの距離を720mmとし、上記温度が1100℃の場合、その距離を530mmとした。さらに、熱電発電ユニットの端においては、上記距離を、それぞれ、640mm、430mmに制御した。なお、本実施例は、実施例15と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
上記温度が1200℃で0.5時間、上記温度が1100℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例19では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例20〕
発明例20は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを中央部分では55mm間隔に配置し、その他、幅端部で60mm間隔とした。さらに、スラブ温度が1200℃の場合、ユニットとスラブとの距離を640mmに、またスラブ温度が1100℃の場合は、その距離を430mmに制御した。なお、本実施例は、実施例15と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
スラブ温度が1200℃で0.5時間、スラブ温度が1100℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例20では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例21〕
発明例21は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、スラブ温度が1200℃の場合、熱電発電ユニットとスラブとの距離を580mmに、スラブ温度が1100℃の場合、その距離を350mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端部における上記距離を、それぞれ、540mm、300mmに制御した。加えて、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを中央部分は52mm間隔に配置し、その他、幅端部で55mm間隔とした。なお、本実施例は、実施例15と同じ大きさのスラブを用い、同一の場所で実施した。
スラブ温度が1200℃で0.5時間、スラブ温度が1100℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例21では、7kWの発電量を実現した。
〔実施例22〕
発明例22は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、粗バー温度が1000℃の場合、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を280mmに、粗バー温度が950℃の場合、上記距離を90mmに、それぞれ制御した。一方、比較例13は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、上記距離を280mmに固定した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が950℃で0.5時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、図4に記載の装置の設置場所Hにおいて実施した。また、粗バーは、幅:900mm、厚み:40mmとした。
その結果、発明例22では、5kWの発電することができたのに対し、比較例13では、粗バー温度が変化した際に発電量が低下して、2kWの発電量となった。
〔実施例23〕
発明例23は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図1に示した構成とし、中央部分は、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を280mmに、その他、鋼材幅端部(粗バーの幅端面から幅方向におよそ80mm以内の範囲を示す。以下、単に鋼材幅端部と言った場合は、同じ範囲を意味する。)はその距離を200mmに制御した一方、比較例14は実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例22と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例23では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例14では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例24〕
発明例24は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールの配置を、図6の中央部分で58mm間隔とし、その他、鋼材幅端部で60mm間隔とした。一方、比較例15は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例22と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例24では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例15では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例25〕
発明例25は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図7(A)に示した構成とし、熱電発電ユニットを平面的に設置し、さらに熱を集約する熱反射材を設置した。一方、比較例16は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、単純に熱電発電ユニットを平面的に設置した。
それぞれ、粗バー温度が1000℃で1時間の熱電発電を行った。なお、本実施例は、実施例22と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
その結果、発明例25では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例16では、2kWの発電量にとどまった。
〔実施例26〕
発明例26は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用い、粗バーの直上における温度が1000℃の場合、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を280mmに、上記温度が950℃の場合、その距離を90mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端においては、上記距離を、それぞれ、200mm、40mmに制御した。なお、本実施例は、実施例22と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が950℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例26では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例27〕
発明例27は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて図6に示した構成とし、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを中央部分では58mm間隔に配置し、その他、鋼材幅端部では60mm間隔配置とし、さらに、粗バー温度が1000℃の場合、ユニットと粗バーとの距離を200mmに、また粗バー温度が950℃の場合は、その距離を40mmに制御した。なお、本実施例は、実施例22と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が950℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例27では、6kWの発電量を実現した。
〔実施例28〕
発明例28は、実施例15と同じ大きさの熱電発電ユニットを用いて、粗バー温度が1000℃の場合、熱電発電ユニットと粗バーとの距離を100mmに、粗バー温度が1050℃の場合、その距離を90mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端部における上記距離を、それぞれ、90mm、80mmに制御した。加えて、熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、粗バー温度が1000℃の場合、中央部分は55mm間隔に配置し、鋼材幅端部は58mm間隔に配置し、粗バー温度が1050℃の場合、中央部分は50mm間隔に配置し、鋼材幅端部は52mm間隔に配置した。なお、本実施例は、実施例22と同じ大きさの粗バーを用い、同一の場所で実施した。
粗バー温度が1000℃で0.5時間、粗バー温度が1050℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例28では、7kWの発電量を実現した。
上記した発明例および比較例の結果から、本発明を用いた熱間圧延設備列や鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列の優れた発電効果が確認できた。なお、以上の実施例では、スラブおよび粗バーの温度や設置場所近傍の温度に応じて熱電発電ユニットの設置場所等を変更したが、熱延鋼帯の温度や、スラブ鋳造機のスラブ冷却装置出側のスラブや、熱延板などの他の熱源の温度や、熱電発電ユニットの出力に応じて、設置場所や設置形態等を変更しても、本発明に従う限り、同様の結果が得られることを確認している。
本発明によれば、スラブ等から発生する熱を、効果的に電力へと変換できるので、製造工場における省エネルギー化に貢献する。
1 熱電発電ユニット
2 熱源
3 熱電素子
4 電極
5 熱電発電モジュール
6 絶縁材
7 受熱手段
8 放熱手段
9 タンディッシュ
10 鋳型
11 鋳造機
12 保持炉
13 誘導炉
14 粗圧延機
15 仕上げ圧延機
16 水冷装置
17 コイラー
18,19 シャー
20 ストリップシャー
21 熱反射材


すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.移動する熱源を有する製鉄所の製造設備列において、
上記製造設備列は、熱電発電ユニットを有する熱電発電装置を備えると共に、該熱電発電ユニットは、上記熱源に対峙し、さらに該熱源のうち少なくとも一の温度、および/または該熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置された製造設備列。
2.前記製造設備列が、加熱されたスラブを粗圧延して粗バーとする粗圧延機と、粗バーを仕上げ圧延して熱延鋼帯とする仕上げ圧延機とを備えた熱間圧延設備列であって、
前記熱電発電ユニットは、粗圧延機前から熱延鋼帯搬送路に至るまでのいずれかの位置で、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯に対峙し、さらに該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置して設置された前記1に記載の製造設備列。
.前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置する前記2に記載の製造設備列。
.前記熱電発電装置が、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一との距離を制御する移動手段を有する前記2または3に記載の製造設備列。
.前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備える前記2乃至のいずれかに記載の製造設備列。
.前記熱電発電装置が、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になる前記2乃至のいずれかに記載の製造設備列。
.前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられた前記2乃至のいずれかに記載の製造設備列。
.前記熱電発電装置が、さらに、熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段を備える前記2乃至のいずれかに記載の製造設備列。
.前記熱電発電装置が、さらに、記熱電発電ユニットの出力に応じて、該熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具える前記2乃至のいずれかに記載の製造設備列。
10.前記2乃至のいずれかに記載の製造設備列を用い、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行う熱電発電方法。
11.前記製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御する前記10に記載の熱電発電方法。
12.前記製造設備列が、スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列であって、
前記熱電発電ユニットは、上記スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置における、スラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、上記圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間のうちから選ばれる少なくとも一の位置で、スラブおよび/または熱延板に対峙し、さらにスラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置された前記1に記載の製造設備列。
13.前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置する前記12に記載の製造設備列。
14.前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブおよび熱延板のうち少なくとも一との距離を制御する移動手段を有する前記12または13に記載の製造設備列。
15.前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備える前記12乃至14のいずれかに記載の製造設備列。
16.前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になる前記12乃至15のいずれかに記載の製造設備列。
17.前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられた前記12乃至16のいずれかに記載の製造設備列。
18.前記熱電発電装置が、さらに、熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段を備える前記12乃至16のいずれかに記載の製造設備列。
19.前記熱電発電装置が、さらに、記熱電発電ユニットの出力に応じて、熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具える前記12乃至18のいずれかに記載の製造設備列。
20.前記12乃至19のいずれかに記載の製造設備列を用い、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行う熱電発電方法。
21.前記製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御する前記20に記載の熱電発電方法。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.移動する熱源を有する製鉄所の製造設備列において、
上記製造設備列は、熱電発電ユニットを有する熱電発電装置を備えると共に、該熱電発電ユニットは、上記熱源に対峙し、さらに該熱源のうち少なくとも一の温度、および/または該熱電発電ユニットの出力に応じて設置され、かつ該熱源に対峙している熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールのうち、低温部の熱電発電モジュールを粗、高温部の熱電発電モジュールを密に配置する製造設備列。
2.前記製造設備列が、加熱されたスラブを粗圧延して粗バーとする粗圧延機と、粗バーを仕上げ圧延して熱延鋼帯とする仕上げ圧延機とを備えた熱間圧延設備列であって、
前記熱電発電ユニットは、粗圧延機前から熱延鋼帯搬送路に至るまでのいずれかの位置で、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯に対峙し、さらに該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じて設置され、かつ該熱源に対峙している熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールのうち、低温部の熱電発電モジュールを粗、高温部の熱電発電モジュールを密に配置する前記1に記載の製造設備列。
3.前記熱電発電ユニットを、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置する
12.前記製造設備列が、スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列であって、
前記熱電発電ユニットは、上記スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置における、スラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、上記圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間のうちから選ばれる少なくとも一の位置で、スラブおよび/または熱延板に対峙し、さらにスラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じて設置され、かつ該熱源に対峙している熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールのうち、低温部の熱電発電モジュールを粗、高温部の熱電発電モジュールを密に配置する前記1に記載の製造設備列。
13.前記熱電発電ユニットを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置する前記12に記載の製造設備列。

すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.移動する熱源を有する製鉄所の製造設備列において、
上記製造設備列は、熱電発電ユニットを有する熱電発電装置を備えると共に、該熱電発電ユニットは、上記熱源に対峙し、さらに該熱源のうち少なくとも一の温度、および/または該熱電発電ユニットの出力に応じて設置され、かつ該熱源に対峙している熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、前記熱源の幅方向の温度分布に応じて、低温部の熱電発電モジュールを粗、高温部の熱電発電モジュールを密に配置する製造設備列。

Claims (23)

  1. 移動する熱源を有する製鉄所の製造設備列において、
    上記製造設備列は、熱電発電ユニットを有する熱電発電装置を備えると共に、該熱電発電ユニットは、上記熱源に対峙し、さらに該熱源のうち少なくとも一の温度、および/または該熱電発電ユニットの出力に応じて設置された製造設備列。
  2. 前記製造設備列が、加熱されたスラブを粗圧延して粗バーとする粗圧延機と、粗バーを仕上げ圧延して熱延鋼帯とする仕上げ圧延機とを備えた熱間圧延設備列であって、
    前記熱電発電ユニットは、粗圧延機前から熱延鋼帯搬送路に至るまでのいずれかの位置で、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯に対峙し、さらに該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じて設置された請求項1に記載の製造設備列。
  3. 前記熱電発電ユニットを、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置する請求項2に記載の製造設備列。
  4. 前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置する請求項2または3に記載の製造設備列。
  5. 前記熱電発電装置が、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一との距離を制御する移動手段を有する請求項2乃至4のいずれかに記載の製造設備列。
  6. 前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備える請求項2乃至5のいずれかに記載の製造設備列。
  7. 前記熱電発電装置が、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になる請求項2乃至6のいずれかに記載の製造設備列。
  8. 前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられた請求項2乃至7のいずれかに記載の製造設備列。
  9. 前記移動手段が、熱電発電ユニットの一体移動を行う請求項2乃至8のいずれかに記載の製造設備列。
  10. 前記熱電発電装置が、さらに、記熱電発電ユニットの出力に応じて、該熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具える請求項2乃至9のいずれかに記載の製造設備列。
  11. 請求項2乃至10のいずれかに記載の製造設備列を用い、スラブ、粗バーおよび熱延鋼帯のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行う熱電発電方法。
  12. 前記製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御する請求項11に記載の熱電発電方法。
  13. 前記製造設備列が、スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列であって、
    前記熱電発電ユニットは、上記スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置における、スラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、上記圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間のうちから選ばれる少なくとも一の位置で、スラブおよび/または熱延板に対峙し、さらにスラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度、および/または上記熱電発電ユニットの出力に応じて設置された請求項1に記載の製造設備列。
  14. 前記熱電発電ユニットを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置する請求項13に記載の製造設備列。
  15. 前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置する請求項13または14に記載の製造設備列。
  16. 前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブおよび熱延板のうち少なくとも一との距離を制御する移動手段を有する請求項13乃至15のいずれかに記載の製造設備列。
  17. 前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備える請求項13乃至16のいずれかに記載の製造設備列。
  18. 前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になる請求項13乃至17のいずれかに記載の製造設備列。
  19. 前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられた請求項13乃至18のいずれかに記載の製造設備列。
  20. 前記移動手段が、熱電発電ユニットの一体移動を行う請求項13乃至19のいずれかに記載の製造設備列。
  21. 前記熱電発電装置が、さらに、記熱電発電ユニットの出力に応じて、熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具える請求項13乃至20のいずれかに記載の製造設備列。
  22. 請求項13乃至21のいずれかに記載の製造設備列を用い、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行う熱電発電方法。
  23. 前記製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御する請求項22に記載の熱電発電方法。
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