JPWO2014042036A1 - 電歪アクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents

電歪アクチュエータおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートと、電歪性樹脂シートの厚み方向に電圧を印加するため、電歪性樹脂シートの両主面にそれぞれ接するように設けられる第1および第2の電極と、を備える、電歪アクチュエータにおいて、電極による電歪性樹脂シートの変形阻害の問題を解決する。電歪アクチュエータ(1)は、電歪性樹脂シート(2)に対して面対向状態で接合されるものであり、電歪性樹脂シート(2)より弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シート(3,4)をさらに備える。電極(9,10)は、絶縁性樹脂シート(3,4)の、電歪性樹脂シート(2)に接する主面(5,6)に沿って延びる表面層(7,8)において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で分布する導電性材料によって与えられる。

Description

この発明は、電歪アクチュエータおよびその製造方法に関するもので、特に、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートを用いた電歪アクチュエータおよびその製造方法に関するものである。
この発明にとって興味ある電歪アクチュエータとして、たとえば特開2009−232523号公報(特許文献1)に記載されたものがある。特許文献1には、高分子電歪材料としての誘電体エラストマーと電極とが積層されたアクチュエータが記載されている。この先行技術では、電極を介して誘電体エラストマーに電圧が印加されたとき、誘電体エラストマーが変形する。誘電体エラストマーを大きく変形させるため、エラストマーとしては、弾性率が1MPa以下の柔らかいものが使用されている。
他方、電極は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性カーボンに、バインダとしてオイルやエラストマーを混合したペーストまたは塗料を用いて形成されている。ここで、カーボンブラックやカーボンナノチューブは、比較的硬い粒子であるので、カーボンブラックやカーボンナノチューブのような硬い粒子は、電極を固くしてしまう。そのため、電極を柔らかく保つためには、カーボンブラックやカーボンナノチューブのような硬い粒子を多く含有させない方が好ましいが、電極において必要な導電率を得るためには、カーボンブラックやカーボンナノチューブのような導電性粒子をたとえば10体積%以上というように比較的多く含有させなければならない。
その結果、電極が固くなり、そのため、誘電体エラストマーの変形が阻害されてしまうという問題に遭遇する。
なお、電極の厚みに比較して、誘電体エラストマーの厚みを十分厚くすることによって、電極による変形阻害の影響を低減することが考えられる。しかし、この場合、誘電体エラストマーを変形させるために印加すべき電圧を誘電体エラストマーの厚みの増大に応じて高くしなければならないという別の問題に遭遇する。一例を挙げると、たとえば、電極の厚み10μmに対して、誘電体エラストマーの厚みを100μmと厚くすることによって、電極による変形阻害の影響を低減しようとする場合、通常、誘電体エラストマーの厚み1μmあたり、150V程度の電圧を印加するため、誘電体エラストマーの厚みが100μmになると、約15kVといった高い電圧を印加しなければならなくなってしまう。
特開2009−232523号公報
そこで、この発明の目的は、上述したような電極による電歪性樹脂シートの変形阻害の問題を低減し得る電歪アクチュエータおよびその製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートと、電歪性樹脂シートの厚み方向に電圧を印加するため、電歪性樹脂シートの両主面にそれぞれ接するように設けられる第1および第2の電極と、を備える、電歪アクチュエータの構造にまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、電歪性樹脂シートに対して面対向状態で接合されるものであり、電歪性樹脂シートより弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートをさらに備え、上記第1および第2の電極の少なくとも一方は、絶縁性樹脂シートの、電歪性樹脂シートに接する主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で分布する導電性材料によって与えられていることを特徴としている。
上記の構造の電歪アクチュエータによれば、絶縁性樹脂シートは、電歪性樹脂シートより弾性率が低い、すなわち、より曲げ・伸びといった変形が生じやすいので、電歪性樹脂シートの曲げ・伸び等の変形を実質的に阻害しない。また、第1および第2の電極の少なくとも一方は、曲げ・伸びといった変形が生じやすい絶縁性樹脂シートの表面層に分布する導電性材料によって与えられるので、第1および第2の電極の少なくとも一方については電歪性樹脂シートの曲げ・伸び等の変形を実質的に阻害することがない。
この発明は、また、上述した構造を有する電歪アクチュエータを製造する方法にも向けられる。
この発明に係る電歪アクチュエータの製造方法は、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートを用意する工程と、電歪性樹脂シートより弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートを用意する工程と、絶縁性樹脂シートの少なくとも一方の主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で導電性材料が分布してなる電極を形成する工程と、電極が電歪性樹脂シートの少なくとも一方の主面に接するように、絶縁性樹脂シートと電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合する工程と、を備えることを特徴としている。
この発明において、電歪性樹脂シートと絶縁性樹脂シートとが、互いに共通する主成分を有することが好ましい。電歪性樹脂シートと絶縁性樹脂シートとの接合に際して、両者の間で良好な密着性を得ることができるからである。
上述の場合、電歪性樹脂シートとして、絶縁性樹脂シートと同じ材料からなるシートを延伸することによって得られたものを用いるようにすれば、材料の共通化によるコストダウンを図り得るとともに、延伸による弾性率の向上の結果、確実に、延伸前の絶縁性樹脂シートの弾性率を、延伸後の電歪性樹脂シートの弾性率より低いものとすることができる。
上述した電歪性樹脂シートとしては、好ましくは、1軸延伸したものが用いられる。この場合、電歪性樹脂シートの表面には、通常、延伸方向に延びる複数の襞が形成される。他方、絶縁性シートは、電歪性シートより弾性率が低いので、互いに面対向することで、電歪性樹脂シートとの間に空隙を形成しないように、電歪性樹脂シートの表面に倣った表面を有することになる。このような構成によれば、電歪性樹脂シートと絶縁性樹脂シートとの間の空隙に起因する問題を回避することができる。すなわち、電極間に、電歪性樹脂シートに加えて、空気層が存在する場合には、電極間での見かけの誘電率といった電気的特性が大きく低下してしまうという問題を招くが、上記構成によれば、このような問題を回避することができる。
上述の構成を備える電歪アクチュエータを製造する場合には、絶縁性樹脂シートと電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合する工程は、電歪性樹脂シートの表面に倣うように絶縁性樹脂シートを変形させながら、絶縁性樹脂シートと電歪性樹脂シートとを熱圧着するように実施されることが好ましい。
電極を形成するため、絶縁性樹脂シートの主面に有機導電性インクを浸透させるようにすることが好ましい。一般に、高分子フィルムの表面には、ラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。この発明で用いられる絶縁性樹脂シートも高分子フィルムであるので、その主面には、このようなラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。そのため、絶縁性樹脂シートの主面に有機導電性インクを浸透させると、絶縁性樹脂シートの表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で有機導電性インクによる導電性材料を有利に分布させることができる。また、このようにして形成された電極は、絶縁性樹脂シートの曲げ変形に倣って曲げ変形しやすく、そのため、曲げ変形によっても破壊されにくく、よって、電極における電気的導通の信頼性を向上させることができる。
この発明において、典型的には、絶縁性樹脂シートとして、第1の電極を保持する第1の絶縁性樹脂シートと第2の電極を保持する第2の絶縁性樹脂シートとが用意され、電歪性樹脂シートは、第1の絶縁性樹脂シートと第2の絶縁性樹脂シートとに挟まれた状態とされる。
また、この発明において、電歪性樹脂シートおよび絶縁性樹脂シートは巻回された状態にあることが好ましい。この場合、巻回数を増すことにより、電歪性樹脂シートの積層数を増すことができ、電歪アクチュエータにおいて、より強い変位力を得ることができる。
この発明に係る電歪アクチュエータによれば、絶縁性樹脂シートおよび電極は、電歪性樹脂シートより曲げ変形しやすいので、これら絶縁性樹脂シートおよび電極が電歪性樹脂シートの曲げ変形を実質的に阻害することがなくなる。したがって、高効率の電歪アクチュエータを得ることができる。
この発明に係る電歪アクチュエータの製造方法によれば、少なくとも一方の電極を、電歪性樹脂シートに直接形成するのではなく、絶縁性樹脂シートに形成した上で、電極が電歪性樹脂シートの少なくとも一方の主面に接するように、絶縁性樹脂シートと電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合するようにしている。したがって、たとえば1μmといった厚みの極めて薄い電歪性樹脂シートの両主面に、たとえば有機導電性インクを用いて電極を形成した場合に生じ得る、表裏主面間での電極の電気的短絡の問題を有利に回避することができる。
この発明の第1の実施形態による電歪アクチュエータ1の製造方法を工程順に示すもので、(1)は、電歪アクチュエータ1を構成する電歪性樹脂シート2と絶縁性樹脂シート3および4とを互いに分離して示す断面図であり、(2)は、(1)に示した電歪性樹脂シート2と絶縁性樹脂シート3および4とを積層し、互いに圧着した状態を示す断面図であり、(3)は、(2)に示した電歪性樹脂シート2および絶縁性樹脂シート3および4を巻回し、かつ端子導体14および15を形成した状態、すなわち、完成された電歪アクチュエータ1を示す斜視図である。 図1(1)に示した絶縁性樹脂シート3の主面5に沿って延びる表面層7に電極9を形成した状態を模式的に示す断面図である。 図2に示した絶縁性樹脂シート3の主面5の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 図1(3)に示した端子導体14および15と図1(1)および(2)に示した電極9および10との電気的接続の信頼性を高めるために採用される好ましい実施形態を説明するためのシート積層体20の斜視図である。 図1に示した実施形態について、電歪性樹脂シート2と絶縁性樹脂シート3および4との積層状態を説明するための模式的断面図であり、(A)は積層前の状態、(B)は積層後の状態を示している。 この発明の第2の実施形態を説明するための図5に対応する図である。 この発明の第3の実施形態を説明するための図5に対応する図である。 この発明の第4の実施形態を説明するための図5に対応する図である。 この発明に係る電歪アクチュエータの好ましい応用例としての点字ディスプレイ装置31の外観を示す斜視図である。
図1ないし図3を参照して、この発明の一実施形態による電歪アクチュエータ1の製造方法について、まず説明する。電歪アクチュエータ1の製造方法が理解されれば、電歪アクチュエータ1の構造が明らかになるからである。
図1(1)に示すように、電歪性樹脂シート2ならびに第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4が用意される。
電歪性樹脂シート2は、高分子電歪材料からなる。高分子電歪材料は、永久双極子を有する高分子材料であれば、特に限定されない。高分子電歪材料の例としては、PVDF(ポリビニリデンフルオロイド)、PVDF系の共重合体、たとえば、P(VDF−TrFE)、P(VDF−VF)などのコポリマーや、P(VDF−TrFE−CFE)、P(VDF−TrFE−CTFE)、P(VDF−TrFE−CDFE)、P(VDF−TrFE−HFA)、P(VDF−TrFE−HFP)、P(VDF−TrFE−VC)などのターポリマーが挙げられる。なかでも、P(VDF−TrFE−CFE)が、大きな歪みが得られる点で特に好ましい。
なお、上記の高分子電歪材料の例示において、Pはポリを、VDFはビニリデンフルオライドを、TrFEはトリフルオロエチレンを、CFEはクロロフルオロエチレンを、CTFEはクロロトリフルオロエチレンを、CDFEはクロロジフルオロエチレンを、HFAはヘキサフルオロアセトンを、HFPはヘキサフルオロプロピレンを、VCはビニルクロライド、VFはビニルフルオライドをそれぞれ示す。
電歪性樹脂シート2の厚さは、適宜設定してよいが、たとえば数μm〜100μm程度とし得る。
絶縁性樹脂シート3および4は、電歪性樹脂シート2の場合と同様、高分子電歪材料から構成されても、あるいは、電歪性を有しない他の高分子材料から構成されてもよい。他方、絶縁性樹脂シート3および4は、電歪性樹脂シート2より弾性率が低い、すなわち、より曲げ変形しやすいという条件を満たすものでなければならない。そのため、好ましくは、絶縁性樹脂シート3および4として、上述した高分子電歪材料からなるものを延伸せずに用い、電歪性樹脂シート2は、絶縁性樹脂シート3および4と同じ材料からなるシートを延伸し、フィブリル化することによって得るようにされる。
一般に、有機材料は、ガラス転移点以上、かつ融点以下の温度で延伸することができる。たとえば、ガラス転移点が0℃以下、融点が120℃である有機材料の場合には、室温でも延伸することができるが、40〜50℃の温度で延伸することが望ましい。延伸にあたっては、シートの両端を保持し、その状態で、初期の長さに対して2倍以上、好ましくは3倍以上の長さに引っ張って伸ばすことが行なわれるが、この場合、短冊状のシートを1枚ずつ引っ張るバッチ処理が採用されても、供給側のロールの回転数より巻取側のロールの回転数を多くしたロール・ツー・ロール方式が採用されてもよい。引っ張り速度は、たとえば10mm/秒またはそれ以上に選ばれる。
絶縁性樹脂シート3および4と同じ材料からなる初期シートを延伸すれば、初期シートより弾性率が上がった電歪性樹脂シート2が得られる。たとえば、初期シートの弾性率が100MPaであるとき、これを4倍延伸すれば、弾性率が400MPaに上がる。
次に、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4の各々の主面5および6に沿ってそれぞれ延びる表面層7および8において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で導電性材料が分布してなる第1および第2の電極9および10がそれぞれ形成される。この工程を、図2および図3を参照しながら、一方の絶縁性樹脂シート3に電極9が形成される場合について説明する。
電極9を形成するため、有機導電性インクが用いられる。有機導電性インクは、たとえば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、PPy(ポリピロール)、PANI(ポリアニリン)などの有機導電性材料を有機溶剤に溶かすことによって得られたものである。
前述したように、一般に、高分子フィルムの表面には、ラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。図3には、絶縁性樹脂シート3の主面5の一部が拡大されて模式的に示されている。図3に示すように、絶縁性樹脂シート3の主面5には、ラメラ11と呼ばれる結晶部が存在し、このようなラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。
そのため、絶縁性樹脂シート3の主面5に、上述した有機導電性インクを、はけ塗り、シルクスクリーン印刷、スプレーパターン塗布等の方法により塗布し、浸透させると、図2に示すように、絶縁性樹脂シート3の表面層7において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で有機導電性インクによる導電性材料が分布した電極9が形成される。図3には、ラメラ構造による微細な凹部内に取り込まれた導電性材料12が模式的に図示されている。有機導電性インクは、塗布後、たとえば85℃で30分間の熱処理が施される。
このようにして形成された電極9は、絶縁性樹脂シート3の表面層7においてのみ存在しているので、絶縁性樹脂シート3の曲げ変形に倣って曲げ変形しやすく、伸縮可能な電極として機能するため、曲げ変形によっても破壊されにくい。また、図3に示すように、ラメラ構造による微細な凹部内に取り込まれた導電性材料12は、ラメラ構造による微細な凹部の数に応じた数の電流経路を形成する。これらのことから、電極9において、高い信頼性を有する電気的導通状態を得ることができる。
前に例示したように、弾性率が100MPaである絶縁性樹脂シート3の主面5に電極9を形成するため、有機導電性インクとして、前述したPEDOTを含むものを用い、これを絶縁性樹脂シート3の主面5のラメラ構造部分に10〜400nmの厚みで付着させる実験を実施した。この場合、PEDOTの弾性率は2GPaであるが、絶縁性樹脂シート3における電極9が形成された部分の弾性率は、絶縁性樹脂シート3の弾性率である100MPaより高く、かつ絶縁性樹脂シート3と同じ材料からなる初期シートを4倍延伸することによって得られた電歪性樹脂シート2の弾性率である400MPaより低くなることが確認された。
以上の図2および図3を参照しながらの説明は、第2の絶縁性樹脂シート4に第2の電極10が形成される場合についても当てはまる。
図1(1)に示した電歪性樹脂シート2ならびに絶縁性樹脂シート3および4は、紙面に直交する方向に延びる長手の形状を有していて、図1(1)では、電歪性樹脂シート2ならびに絶縁性樹脂シート3および4の幅方向断面が現れている。
図1(1)に示すように、第1の絶縁性樹脂シート3に形成される第1の電極9は、第1の絶縁性樹脂シート3の図による左端にまで届くように形成され、第1の絶縁性樹脂シート3の図による右端に対しては所定のギャップを形成している。他方、第2の絶縁性樹脂シート4に形成される第2の電極10は、第2の絶縁性樹脂シート4の図による右端にまで届くように形成され、第2の絶縁性樹脂シート4の図による左端に対しては所定のギャップを形成している。
次に、図1(2)に示すように、電歪性樹脂シート2の両主面に、第1および第2の電極9および10がそれぞれ接するように、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4と電歪性樹脂シート2とが面対向状態で接合される。より具体的には、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4と電歪性樹脂シート2とを重ねた後、たとえば、85〜100℃の熱を付与しながら、真空に引いた状態で熱圧着により、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4と電歪性樹脂シート2とが貼り合わされる。熱圧着に代えて、エポキシ樹脂などから接着剤による貼り合わせを適用してもよい。
次に、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4と電歪性樹脂シート2とが貼り合わされた、3層からなるシート積層体20が、図1(2)の左右方向に向く軸線のまわりに巻回され、それによって、図1(3)に示すようなロール状のアクチュエータ本体13が得られる。なお、図1(1)および(2)において、電歪性樹脂シート2と第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4とは、各々の厚み方向寸法が誇張されて図示されていることを指摘しておく。
次に、アクチュエータ本体13の両端部に、第1および第2の端子導体14および15がそれぞれ形成される。端子導体14および15は、たとえば、銀ペーストを塗布することによって形成される。ロール状のアクチュエータ本体13において、図1(3)による左側の端面には、第1の電極9が露出しているので、第1の端子導体14は第1の電極9と電気的に接続され、他方、右側の端面には、第2の電極10が露出しているので、第2の端子導体15は第2の電極10と電気的に接続される。
以上のようにして、電歪アクチュエータ1が得られる。
図1(2)に示した状態において、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4の各々の外側に向く主面は電気絶縁性であるので、図1(3)に示すように、絶縁性樹脂シート3および4ならびに電歪性樹脂シート2が巻回状態とされた場合でも、電極9および10間で漏れ電流は発生しない。
電歪アクチュエータ1において、第1および第2の端子導体14および15を介して、第1および第2の電極9および10間に電圧が印加されると、電歪の変形が引き起こされ、それによって、第1および第2の電極9および10間の電歪性樹脂シート2の厚みが減少する。その結果、電歪性樹脂シート2が面方向に伸長し、図1(3)において両方向矢印16で示すように、アクチュエータ本体13がその軸線方向に伸長するように変位する。この変位量は、印加される電圧によって制御され得る。他方、電圧の印加を遮断すれば、アクチュエータ本体13は、元の状態に戻る。
ロール状のアクチュエータ本体13を得るための巻回数を増すことにより、電歪性樹脂シート2の積層数を増すことができ、電歪アクチュエータ1において、より強い変位力を得ることができる。
以上説明した実施形態の変形例として、図4に示した構成が採用されてもよい。図4には、シート積層体20が斜視図で示されているが、シート積層体20は、その厚み方向寸法がかなり誇張されて図示されていることを指摘しておく。
シート積層体20の巻回前の段階において、図4に示すように、シート積層体20の、電極9および10(図4では、電極10が図示されている。)の引出し側の端縁21および22に沿って分布するように、複数の切込み23および24を形成しておいてもよい。この場合、シート積層体20を巻回する前に、有機導電性インクがシート積層体20の端縁21および22の各々に沿って、より具体的には、各端面およびそれに隣接する主面の各一部に沿って塗布される。この有機導電性インクとしては、電極9および10を形成するために用いた有機導電性インクと同じものを用いることができる。有機導電性インクは、切込み23および24内にしみ込み、電極9および10の各々と電気的に導通状態となる。
したがって、上記の好ましい実施形態によれば、シート積層体20を矢印19で示すように巻回した後に、図1(3)に示すように、端子導体14および15を形成したとき、端子導体14および15の各々は、切込み23および24の各々にしみ込んだ有機導電性インクと確実に接触するため、端子導体14および15と電極9および10との電気的接続の信頼性を高めることができる。
なお、上記の好ましい実施形態の場合、切込み23および24の各々にしみ込んだ有機導電性インク自身によって、端子導体を与えるようにし、たとえば、銀ペーストを塗布することによって形成される端子導体14および15を省略してもよい。
図5は、図1に示した実施形態について、電歪性樹脂シート2と絶縁性樹脂シート3および4との積層状態を説明するための断面図である。図5において、図1に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付している。
前述したように、弾性率の比較的高い電歪性樹脂シート2を得るため、1軸延伸工程が実施される。しかし、1軸延伸すると、高分子電歪材料において、極性基が配向したり、構造的に異方性がもたらされたりして、電歪特性が向上するが、電歪性樹脂シート2が部分的に繊維化(フィブリル化)して、結果的に、電歪性樹脂シート2には、延伸方向に延びる細かい皺が形成され、そのため、電歪性樹脂シート2の表面には、延伸方向に延びる複数の細かい襞が形成される。図5では、これら襞25を波線によって極めて模式的に図示している。
電歪性樹脂シート2は、延伸により弾性率が高くされているので、その表面は比較的硬い。したがって、仮に、図5(A)に示した弾性率の比較的低い絶縁性樹脂シート3および4に代えて、表面に襞25が形成された電歪性樹脂シート2を用いると、図5(B)に示した積層状態において、シート間に空隙が生じ、この空隙は、熱圧着後においても残ったままとなりやすい。なお、熱溶融が生じる程度の温度で圧着を実施すれば、空隙は解消されるかもしれないが、この場合、電歪性樹脂シート2において、配向性が消滅し、特性劣化を引き起こすことになる。
この実施形態では、表面に襞25が形成された電歪性樹脂シート2に接するように、弾性率の比較的低い絶縁性樹脂シート3および4が積層されるので、絶縁性樹脂シート3および4は、図5(B)に示すように、電歪性樹脂シート2との間に空隙を形成しないように、電歪性樹脂シート2の表面に倣って容易に変形する。すなわち、絶縁性樹脂シート3および4は、電歪性樹脂シート2の表面に倣った表面を有する状態となる。
上述のような積層構造を得るには、絶縁性樹脂シート3および4と電歪性樹脂シート2とを面対向状態で接合する工程において、電歪性樹脂シート2の表面に倣うように絶縁性樹脂シート3および4を変形させながら、絶縁性樹脂シート3および4と電歪性樹脂シート2とを熱圧着すればよい。
図5(B)に示した積層構造によれば、シート2〜4間の空隙に起因する見かけの誘電率の低下の問題を回避することができる。すなわち、電極9および10間に、電歪性樹脂シート2に加えて、空気層が存在する場合には、電極9および10間での見かけの誘電率が大きく低下してしまうという問題を招くが、図5(B)に示した積層構造によれば、このような問題を回避することができる。
上記の空気層による問題を確認するために実施した実験例を紹介すると、厚みが3μmで、平面寸法が20mm×35mmの積層体を得るため、延伸フィルム同士を重ね合わせたものでは、容量は23nFであり、比誘電率を求めると、11となったが、延伸フィルムと無延伸フィルムとを重ね合わせたものでは、容量は62nFとより大きくなり、比誘電率を求めると、30とより高くなった。
図6ないし図8は、図5に対応する図であって、それぞれ、この発明の第2ないし第4の実施形態を説明するためのものである。図6ないし図8において、図5に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付している。
前述したように、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4ならびに電歪性樹脂シート2が巻回状態とされる場合、第1および第2の絶縁性樹脂シート3および4の一方を省略し、残された絶縁性樹脂シートの各主面に、第1および第2の電極9および10に相当する第1および第2の電極をそれぞれ形成するようにしてもよい。このような構成が採用されても、絶縁性樹脂シートおよび電歪性樹脂シートが巻回状態とされたとき、電歪性樹脂シートの両主面に第1および第2の電極がそれぞれ接する状態を得ることができる。
図6(A)には、上述のように、第1の絶縁性樹脂シート3を省略し、残された第2の絶縁性樹脂シート4の各主面に沿って延びる表面層に、第1および第2の電極9および10をそれぞれ形成した、第2の実施形態が示されている。この実施形態においても、表面に襞25が形成された電歪性樹脂シート2に接するように、弾性率の比較的低い絶縁性樹脂シート4が積層され、熱圧着されると、絶縁性樹脂シート4は、図6(B)に示すように、電歪性樹脂シート2との間に空隙を形成しないように、電歪性樹脂シート2の表面に倣って容易に変形する。
図7(A)には、第1の絶縁性樹脂シート3を省略し、残された第2の絶縁性樹脂シート4の図による下方主面に沿って延びる表面層に、第2の電極10を形成し、電歪性樹脂シート2の図による下方主面に、第1の電極9を形成した、第3の実施形態が示されている。この実施形態においても、表面に襞25が形成された電歪性樹脂シート2に接するように、弾性率の比較的低い絶縁性樹脂シート4が積層され、熱圧着されると、絶縁性樹脂シート4は、図7(B)に示すように、電歪性樹脂シート2との間に空隙を形成しないように、電歪性樹脂シート2の表面に倣って容易に変形する。
図8(A)には、第1の絶縁性樹脂シート3を省略し、残された第2の絶縁性樹脂シート4の図による上方主面に沿って延びる表面層に、第1の電極9を形成し、電歪性樹脂シート2の図による上方主面に、第2の電極10を形成した、第4の実施形態が示されている。この実施形態においても、表面に襞25が形成された電歪性樹脂シート2に接するように、弾性率の比較的低い絶縁性樹脂シート4が積層され、熱圧着されると、絶縁性樹脂シート4は、図8(B)に示すように、電歪性樹脂シート2との間に空隙を形成しないように、電歪性樹脂シート2の表面に倣って容易に変形する。
なお、図7および図8に示した第3および第4の実施形態では、積層前の状態で、第1および第2の電極9および10のいずれか一方が、電歪性樹脂シート2側に形成されている。この場合であっても、電歪性樹脂シート2の両面に電極が形成される場合に比べると、電歪性樹脂シート2の変形阻害の問題を低減することができる。
前述したように、図1(3)に示すようなロール状の電歪アクチュエータ1は、両方向矢印16で示すように変位する。この電歪アクチュエータ1によれば、たとえば、直径1mmのもので、変位量50〜100μm、発生力0.5Nの性能を得られることが確認されている。したがって、たとえば、6個の電歪アクチュエータ1を縦に3個、横に2個並べて配置し、各々の電歪アクチュエータ1に電圧を印加することで、点字を可変表示するための機器を有利に構成することができる。
また、図9に示す点字ディスプレイ装置31においても、電歪アクチュエータ1を適用することができる。点字ディスプレイ装置31のディスプレイ面32には、図9において省略的に図示するように、複数の電歪アクチュエータ1が、各々の端面(端子導体14または15が設けられた面)を同じ方向に向けて配列される。一例として、複数の電歪アクチュエータ1は、1mm間隔で配列されることができ、64×98ドットの表示を実現することができる。
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他種々の実施形態が可能である。
たとえば、図示した電歪アクチュエータ1は、ロール状であったが、図1(2)に示した構造物を平面状態のままとしながら、電歪アクチュエータを構成するようにしてもよい。この場合、必要に応じて、図1(2)または図5(B)に示したシート積層体20を複数積層してもよい。同様に、図6(B)、図7(B)または図8(B)に示したシート積層体20を複数積層してもよい。また、シート積層体20を巻回する場合、断面円形のロール状にするのではなく、断面長円形等の他の断面形状を有する巻回体とすることもできる。
1 電歪アクチュエータ
2 電歪性樹脂シート
3,4 絶縁性樹脂シート
5,6 主面
7,8 表面層
9,10 電極
11 ラメラ
12 導電性材料
13 アクチュエータ本体
14,15 端子導体
この発明は、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートと、電歪性樹脂シートの厚み方向に電圧を印加するため、電歪性樹脂シートの両主面にそれぞれ接するように設けられる第1および第2の電極と、を備える、電歪アクチュエータの構造にまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、電歪性樹脂シートに対して面対向状態で接合されるものであり、電歪性樹脂シートより弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートをさらに備え、絶縁性樹脂シートには、その主面から内部に向かう微細な複数の凹部が形成されており、上記第1および第2の電極の少なくとも一方は、絶縁性樹脂シートの、電歪性樹脂シートに接する主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成するものであり、絶縁性樹脂シートの主面から内部に向かう上記凹部に浸透させた有機導電性インクによって与えられていることを特徴としている。
この発明に係る電歪アクチュエータの製造方法は、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートを用意する工程と、電歪性樹脂シートより弾性率の低い、かつ主面から内部に向かう微細な複数の凹部が形成された、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートを用意する工程と、絶縁性樹脂シートの主面から内部に向かう上記凹部に有機導電性インクを浸透させることによって、絶縁性樹脂シートの少なくとも一方の主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する電極を形成する工程と、電極が電歪性樹脂シートの少なくとも一方の主面に接するように、絶縁性樹脂シートと電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合する工程と、を備えることを特徴としている。
電極を形成するため、この発明では、前述したように、絶縁性樹脂シートの主面から内部に向かう凹部に有機導電性インクを浸透させることが行なわれる。一般に、高分子フィルムの表面には、ラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。この発明で用いられる絶縁性樹脂シートも高分子フィルムであるので、その主面には、このようなラメラ構造による微細な凹凸、すなわち、主面から内部に向かう微細な複数の凹部が形成されている。そのため、絶縁性樹脂シートの主面に有機導電性インクを浸透させると、絶縁性樹脂シートの表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で有機導電性インクによる導電性材料を有利に分布させることができる。また、このようにして形成された電極は、絶縁性樹脂シートの曲げ変形に倣って曲げ変形しやすく、そのため、曲げ変形によっても破壊されにくく、よって、電極における電気的導通の信頼性を向上させることができる。
前述したように、一般に、高分子フィルムの表面には、ラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。図3には、絶縁性樹脂シート3の主面5の一部が拡大されて模式的に示されている。図3に示すように、絶縁性樹脂シート3の主面5には、ラメラ11と呼ばれる結晶部が存在し、このようなラメラ構造による微細な凹凸、すなわち、主面から内部に向かう微細な複数の凹部が形成されている。
この発明は、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートと、電歪性樹脂シートの厚み方向に電圧を印加するため、電歪性樹脂シートの両主面にそれぞれ接するように設けられる第1および第2の電極と、を備える、電歪アクチュエータの構造にまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、電歪性樹脂シートに対して面対向状態で接合されるものであり、電歪性樹脂シートより弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートをさらに備え、絶縁性樹脂シートには、その主面から内部に向かうラメラ構造による微細な複数の凹部が形成されており、上記第1および第2の電極の少なくとも一方は、絶縁性樹脂シートの、電歪性樹脂シートに接する主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成するものであり、絶縁性樹脂シートの主面から内部に向かう上記凹部に浸透させた有機導電性インクによって与えられていることを特徴としている。
この発明に係る電歪アクチュエータの製造方法は、高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートを用意する工程と、電歪性樹脂シートより弾性率の低い、かつ主面から内部に向かうラメラ構造による微細な複数の凹部が形成された、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートを用意する工程と、絶縁性樹脂シートの主面から内部に向かう上記凹部に有機導電性インクを浸透させることによって、絶縁性樹脂シートの少なくとも一方の主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する電極を形成する工程と、電極が電歪性樹脂シートの少なくとも一方の主面に接するように、絶縁性樹脂シートと電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合する工程と、を備えることを特徴としている。
電極を形成するため、この発明では、前述したように、絶縁性樹脂シートの主面から内部に向かうラメラ構造による凹部に有機導電性インクを浸透させることが行なわれる。一般に、高分子フィルムの表面には、ラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。この発明で用いられる絶縁性樹脂シートも高分子フィルムであるので、その主面には、このようなラメラ構造による微細な凹凸、すなわち、主面から内部に向かうラメラ構造による微細な複数の凹部が形成されている。そのため、絶縁性樹脂シートの主面に有機導電性インクを浸透させると、絶縁性樹脂シートの表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で有機導電性インクによる導電性材料を有利に分布させることができる。また、このようにして形成された電極は、絶縁性樹脂シートの曲げ変形に倣って曲げ変形しやすく、そのため、曲げ変形によっても破壊されにくく、よって、電極における電気的導通の信頼性を向上させることができる。
前述したように、一般に、高分子フィルムの表面には、ラメラ構造による微細な凹凸が形成されている。図3には、絶縁性樹脂シート3の主面5の一部が拡大されて模式的に示されている。図3に示すように、絶縁性樹脂シート3の主面5には、ラメラ11と呼ばれる結晶部が存在し、このようなラメラ構造による微細な凹凸、すなわち、主面から内部に向かうラメラ構造による微細な複数の凹部が形成されている。

Claims (13)

  1. 高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートと、
    前記電歪性樹脂シートの厚み方向に電圧を印加するため、前記電歪性樹脂シートの両主面にそれぞれ接するように設けられる第1および第2の電極と、
    前記電歪性樹脂シートに対して面対向状態で接合されるものであり、前記電歪性樹脂シートより弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートと、
    を備え、
    前記第1および第2の電極の少なくとも一方は、前記絶縁性樹脂シートの、前記電歪性樹脂シートに接する主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で分布する導電性材料によって与えられている、
    電歪アクチュエータ。
  2. 前記電歪性樹脂シートは、表面に複数の襞を形成しており、前記絶縁性樹脂シートは、前記電歪性樹脂シートとの間に空隙を形成しないように、前記電歪性樹脂シートの表面に倣った表面を有している、請求項1に記載の電歪アクチュエータ。
  3. 前記電歪性樹脂シートと前記絶縁性樹脂シートとは、互いに共通する主成分を有する、請求項1または2に記載の電歪アクチュエータ。
  4. 前記電歪性樹脂シートは、前記絶縁性樹脂シートと同じ材料からなるシートを延伸することによって得られたものである、請求項3に記載の電歪アクチュエータ。
  5. 前記絶縁性樹脂シートに形成された前記電極は、前記絶縁性樹脂シートの前記主面に有機導電性インクを浸透させることによって形成されたものである、請求項1ないし4のいずれかに記載の電歪アクチュエータ。
  6. 前記絶縁性樹脂シートは、前記第1の電極を保持する第1の絶縁性樹脂シートと前記第2の電極を保持する第2の絶縁性樹脂シートとを備え、前記電歪性樹脂シートは、前記第1の絶縁性樹脂シートと前記第2の絶縁性樹脂シートとに挟まれた状態とされる、請求項1ないし5のいずれかに記載の電歪アクチュエータ。
  7. 前記電歪性樹脂シートおよび前記絶縁性樹脂シートが巻回された状態にある、請求項1ないし6のいずれかに記載の電歪アクチュエータ。
  8. 高分子電歪材料からなる電歪性樹脂シートを用意する工程と、
    前記電歪性樹脂シートより弾性率の低い、電気絶縁性の絶縁性樹脂シートを用意する工程と、
    前記絶縁性樹脂シートの少なくとも一方の主面に沿って延びる表面層において、主面方向に延びる電流経路を形成する状態で導電性材料が分布してなる電極を形成する工程と、
    前記電極が前記電歪性樹脂シートの少なくとも一方の主面に接するように、前記絶縁性樹脂シートと前記電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合する工程と、
    を備える、電歪アクチュエータの製造方法。
  9. 前記電歪性樹脂シートを用意する工程は、前記絶縁性樹脂シートと同じ材料からなるシートを延伸することによって、前記電歪性樹脂シートを得る工程を備える、請求項7に記載の電歪アクチュエータの製造方法。
  10. 前記絶縁性樹脂シートと前記電歪性樹脂シートとを面対向状態で接合する工程は、前記電歪性樹脂シートの表面に倣うように前記絶縁性樹脂シートを変形させながら、前記絶縁性樹脂シートと前記電歪性樹脂シートとを熱圧着する工程を含む、請求項8または9に記載の電歪アクチュエータの製造方法。
  11. 前記電極を形成する工程は、前記絶縁性樹脂シートの前記主面に有機導電性インクを浸透させる工程を備える、請求項8ないし10のいずれかに記載の電歪アクチュエータの製造方法。
  12. 前記絶縁性樹脂シートを用意する工程は、第1の前記電極を保持する第1の絶縁性樹脂シートと第2の前記電極を保持する第2の絶縁性樹脂シートとをそれぞれ用意する工程を備え、
    前記絶縁性樹脂シートと前記電歪性樹脂シートとを接合する工程は、前記第1の絶縁性樹脂シートと前記第2の絶縁性樹脂シートとによって、前記電歪性樹脂シートを挟んだ状態となるように、前記第1および第2の絶縁性樹脂シートの各々と前記電歪性樹脂シートとを接合する工程を備える、
    請求項8ないし11のいずれかに記載の電歪アクチュエータの製造方法。
  13. 前記絶縁性樹脂シートと前記電歪性樹脂シートとを接合する工程の後、前記電歪性樹脂シートおよび前記絶縁性樹脂シートを巻回する工程をさらに備える、請求項8ないし12のいずれかに記載の電歪アクチュエータの製造方法。
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