JP2013093479A - アクチュエータ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電歪材料からなるフィルムを積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成し、巻き回して形成された筒体の表面に複数の山部、谷部を有しているアクチュエータ素子を提供する。
【解決手段】電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルム11を積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子10である。筒体の表面に複数の山部15及び谷部16が交互に形成され、山部15に拘束層が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルム11を積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子10である。筒体の表面に複数の山部15及び谷部16が交互に形成され、山部15に拘束層が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、電歪材料で形成されたフィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子に関する。
医療機器、産業用ロボット等は、精緻な動きを要求される機会が多い。したがって、小型、軽量であり、しかも柔軟性に富むアクチュエータ素子の開発が急務となっている。例えば電歪材料で形成された二枚のシートを張り合わせて撓み部材として用いるアクチュエータ素子等も多々開発されている。
電歪材料で形成された二枚のシートを張り合わせて撓み部材として用いている、いわゆるユニモルフ型アクチュエータでは、剛性が低く、外力が付加されて大きい変形が生じた場合であっても外部に作用を及ぼすことが難しい。そこで、例えば片面又は両面に内部電極を形成した複数の電歪フィルムを積層し、巻き回して円筒状の筒体に形成したアクチュエータ素子が開発されている。
例えば特許文献1では、絶縁性伸縮材料からなる伸縮部をリング状に同心円状に複数形成し、それぞれの伸縮部間にそれぞれリング状に同心円状に導電性伸縮材料からなる電極を介在させてある電歪ポリマーアクチュエータが開示されている。リング状に同心円状に形成された電極を1つおきに直流電源のプラス側、マイナス側に接続することにより、径方向に縮むよう、軸方向に伸びるよう変形する。また、同心円状に積層しているため、発生する力も比較的大きい。
特許文献1に開示されているアクチュエータは、伸縮部及び電極をリング状に同心円状に形成することにより剛性を高め、結果として発生する力を増大している。しかし、導電性伸縮材料の歪み特性に支配されるため、他のアクチュエータと比べて大きい歪みを実現することができないという問題点があった。また、伸縮部及び電極をリング状の部材として用いており、部品点数が多くなるとともに組み立て工程も煩雑となり、高コストになるという問題点もあった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電歪材料からなるフィルムを積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成し、巻き回して形成された筒体の表面に複数の山部、谷部を有しているアクチュエータ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係るアクチュエータ素子は、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子であって、前記筒体の表面に複数の山部及び谷部が交互に形成されていることを特徴とする。
上記構成では、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体を形成し、巻き回して形成された筒体の表面に複数の山部及び谷部が交互に形成されているので、アクチュエータ素子の中心軸方向に大きく変形させることができ、電歪材料の歪み以上の変形を得ることが可能となる。
また、本発明に係るアクチュエータ素子は、前記山部に拘束層が形成されていることが好ましい。
上記構成では、アクチュエータ素子の複数の山部に拘束層が形成されているので、拘束層が形成されている部分においてユニモルフ型のアクチュエータが形成される。したがって、アクチュエータ素子の中心軸方向の変形をより大きくすることが可能となる。
また、本発明に係るアクチュエータ素子は、前記山部及び前記谷部が、前記筒体を両端から中心軸方向に圧縮加工することにより形成されていることが好ましい。
上記構成では、巻き回して形成された筒体を両端から中心軸方向に圧縮加工することにより複数の山部及び谷部が形成されているので、製造コストを大きく増大させることなく、アクチュエータ素子の中心軸方向の変形を大きくすることが可能となる。
上記構成により、電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体を形成し、巻き回して形成された筒体の表面に複数の山部及び谷部が交互に形成してあるので、アクチュエータ素子の中心軸方向に大きく変形させることができ、電歪材料の歪み以上の変形を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、高分子電歪材料からなる二枚(複数)の電歪フィルム(フィルム)を巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子の構成を模式的に示す斜視図である。本実施の形態に係るアクチュエータ素子10は、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム11を積層した後に巻き回して円筒状の筒体に形成し、巻き回して形成された筒体を両端から中心軸方向に圧縮加工することにより、山部15と谷部16とが交互に存在する形状を有している。
図2及び図3は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子10の製造工程を模式的に示す斜視図である。まず図2(a)に示すように、高分子電歪材料からなる二枚の電歪フィルム(フィルム)31、32を準備し、二枚の電歪フィルム31、32の表裏両面に、電極パターン(内部電極)41、42を形成する。
電歪フィルム31、32を形成する高分子電歪材料は、強誘電性を有し、永久双極子を有する高分子圧電材料であれば、特に限定されるものではない。例えばPVDF(ポリビニリデンフルオロイド)、PVDF(ポリビニリデンフルオロイド)系の共重合体、すなわちコーポリマであるP(VDF−TrFE−HFP)、あるいはPVDF系のターポリマであるP(VDF−TrFE−CFE)、P(VDF−TrFE−CTFE)、P(VDF−TrFE−CDFE)、P(VDF−TrFE−HFA)、P(VDF−TrFE−HFP)、P(VDF−TrFE−VC)、P(VDF−VF)等が好ましい。なお、Pはポリを、VDFはビニリデンフルオロイドを、TrFEはトリフルオロエチレンを、CFEはクロロフルオロエチレンを、CTFEはクロロトリフルオロエチレンを、CDFEはクロロディフルオロエチレンを、HFAはヘキサフルオロアセトンを、HFPはヘキサフルオロプロピレンを、VCはビニルクロライドを、VFはビニルフルオロイドを、それぞれ示している。
特に、P(VDF−TrFE−CFE)が好ましい。大きな歪を得ることができるからである。また、電歪フィルム31、32の厚みも適宜設定することが可能であるが、例えば数μm〜100μm程度が好ましい。
電歪フィルム31、32を、厚みが数μm〜100μm程度のフィルムとして成形し、図2(b)に示すように、電歪フィルム31、32の表裏両面に、マスク越しに導電性インクを噴霧することにより、電極パターン(内部電極)41、42を形成する。導電性インクの粘度にもよるが、インクジェット方式、はけ塗り、スクリーン印刷方式等、適宜形成方法を変更しても良い。
導電性インクとしては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、PPy(ポリピロール)、PANI(ポリアニリン)等の有機導電性材料を用い、有機バインダーとともに、溶剤に溶解させて使用する。有機バインダーとしては、例えばゼラチン系バインダー、アクリル系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー等を用いることができる。溶剤としては、メタノール、エタノール等の有機導電性材料のような、有機バインダーを溶解することが可能な溶剤から選択すればよい。
なお、電極パターン41、42は、二枚の電歪フィルム31、32それぞれの表裏両面で、対向する反対側の一辺に片寄るように形成することが好ましい。このようにすることで、電極パターン41、42を表裏両面に形成してある二枚の電歪フィルム31、32を積層する場合、二枚の電歪フィルム31、32が接する面側である内側と、接していない反対側である外側とで、電極パターン41、42が反対側へと露出する。図2(c)の例では、二枚の電歪フィルム31、32が接する面側である内側に形成してある電極パターン42を電歪フィルム31、32の左側の一辺に、接していない反対側である外側に形成してある電極パターン41を電歪フィルム31、32の右側の一辺に、それぞれ露出させることができる。したがって、異なる極性を有する電極パターン41と電極パターン42とを、それぞれ反対側の端部へ露出させることができ、電極同士の短絡を未然に回避することが可能となる。
そして、二枚の電歪フィルム31、32を積層した状態で、電極パターン41、42がそれぞれ片寄っている一辺に直交する方向、すなわち電極パターン41、42の一部が重なり合う方向(一の方向)を軸として、電歪フィルム31、32を図2(c)の矢印の方向に巻き回して円筒状の筒体33に形成する。
図3(a)は、電歪フィルム31、32を図2(c)の矢印の方向に巻き回して円筒状の筒体33になった状態を示す斜視図である。積層した電歪フィルム31、32を巻き回した円筒状の筒体33は、両端部に電極パターン41又は電極パターン42が露出している。なお、電歪フィルム31、32のサイズは自由であるが、巻き回して円筒状の筒体33になった場合の筒体33の長さは10mm以上、巻き回される電歪フィルム31、32の長さは筒体33の円周の長さの数倍が好ましい。筒体33の直径は1mm以上とする。
そして、図3(b)に示すように、巻き回して形成された筒体33の中心軸方向に両端から圧縮加工することにより、図3(c)に示すような筒体33の表面に複数の山部15と谷部16とが交互に存在する形状となる。筒体33の表面に複数の山部15と谷部16とが交互に存在することにより、筒体33の剛性は中心軸方向に大きく低下しており、中心軸方向に変形しやすくなっている。
したがって、図1に示すように、本実施の形態に係るアクチュエータ素子10の両端の電極パターンに電界を印加した場合、中心軸方向の伸縮変形の度合いが大きくなり、図1に示す矢印方向に大きな変形を得ることができる。
なお、山部15に拘束層の膜を形成しても良い。山部15に拘束層の膜を形成することにより、山部15ではユニモルフ型アクチュエータと同様の構成となり、電界が印加された場合にはアクチュエータ素子10の中心軸方向へ延伸するよう変形する。図4は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子10の、山部15に拘束層を形成する場合の構成を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、アクチュエータ素子10は、巻き回して形成された筒体33の表面に複数の山部15と谷部16とが交互に現れる形状を有しており、山部15には拘束層50を形成してある。拘束層50が形成してある部分では、ユニモルフ型アクチュエータと同様の構成となるので、拘束層50が形成してある山部15は、アクチュエータ素子10の中心軸方向に延伸するよう変形する。
図5は、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ素子10の、山部15に拘束層50を形成する場合の製造方法を模式的に示す断面図である。図5に示すように、複数の山部15と谷部16とが交互に形成してあるアクチュエータ素子10を、中心軸を回転中心として回転させながら、紫外線硬化性樹脂51が貯留されている貯留槽に浸漬させる。このようにすることで、山部15のみに紫外線硬化性樹脂51が付着する。
その状態で紫外線を照射することにより硬化し、山部15にのみ、紫外線硬化性樹脂の膜が拘束層50として形成される。もちろん、樹脂が硬化して膜を形成することができれば足りるので、紫外線硬化性樹脂に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂であっても良いし、嫌気性硬化樹脂であっても良い。
以上のように本実施の形態によれば、片面又は両面に内部電極を形成した複数の電歪フィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体33を形成し、巻き回して形成された筒体33の表面に複数の山部15及び谷部16が交互に形成してあるので、アクチュエータ素子10の中心軸方向に大きく変形させることができ、電歪材料の歪み以上の変形を得ることが可能となる。
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。例えば、電歪フィルム31、32の両面に導電性インクにより電極パターン41、42を形成しているが、例えば従来と同様、蒸着、スパッタ等により、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Pt−Pd(白金−パラジウム合金)、Al(アルミニウム)、Au(金)、Au−Pd(金パラジウム合金)等の金属膜を形成しても良い。
また、上述した実施の形態では、電極パターン41、42は、二枚の電歪フィルム31、32それぞれの表裏両面に形成しているが、いずれか一方の面、例えば表面だけに電極パターン41、42をそれぞれ形成して、二枚の電歪フィルム31、32を積層しても良い。
10 アクチュエータ素子
11、31、32 電歪フィルム
41、42 電極パターン(内部電極)
50 拘束層
11、31、32 電歪フィルム
41、42 電極パターン(内部電極)
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Claims (3)
- 電歪材料からなり、片面又は両面に内部電極を形成した複数のフィルムを積層して、巻き回して円筒状の筒体に形成されたアクチュエータ素子であって、
前記筒体の表面に複数の山部及び谷部が交互に形成されていることを特徴とするアクチュエータ素子。 - 前記山部に拘束層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ素子。
- 前記山部及び前記谷部は、前記筒体を両端から中心軸方向に圧縮加工することにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータ素子。
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