JP2012253204A - 電歪アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】平面に沿って先端部を摺動させる動作が可能なアクチュエータであって、従来のアクチュエータに比べて、先端部の動作が拘束され難いアクチュエータを提供する。
【解決手段】電歪材料層と、電歪材料層の両面に各々配置された2つの電極と、いずれか一方の電極を介して電歪材料層の片面に接合された基材とにより各々構成された第1および第2の電歪素子、ならびに第1および第2の電歪素子を支持する支持部材を含む電歪アクチュエータ(40)において、第1の電歪素子(10)を電歪材料層(1)の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲させ、第2の電歪素子(20)を基材(15)の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲させ、第1および第2の電歪素子(10、20)を、各基材(5、15)が対向するようにして並列配置し、各一端(10a、20a)にて支持部材(30)で支持し、かつ、各他端(10b、20b)にて相互に接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電歪アクチュエータに関し、より詳細には、ユニモルフ構造を有する電歪素子を用いた電歪アクチュエータに関する。
従来、小型で軽量のアクチュエータの1つとして、圧電アクチュエータが知られている。圧電アクチュエータには、2枚の圧電シートを貼り合わせたバイモルフ構造を有する圧電素子のほか、1枚の圧電シートを基材に貼り合わせたユニモルフ構造を有する圧電素子も用いられている。
ユニモルフ構造を有する圧電素子を用いた圧電アクチュエータにおいては、より大きな変位を得るために、圧電シートおよび基材を接着剤を挟んで重ね合わせ、これをプレス型で湾曲させた状態で接着剤を硬化させた後、プレス型から開放することにより、圧電素子に内部応力を発生させておくことが提案されている(特許文献1を参照のこと)。
特開2000−236682号公報
近年、小型で軽量のアクチュエータは、例えば触覚ディスプレイなどに利用されてきている。かかる状況下、例えば指先にテキスチャ感を呈示するため、指などの対象物の表面に沿って、先端部を摺動させる動作が可能なアクチュエータを実現することが求められている。
しかしながら、従来の圧電アクチュエータでは、予め湾曲させた圧電素子の一方の端部を支持部材で支持した状態で(特許文献1の図1を参照のこと)、他方の先端部を、ある平面に接触させた後、圧電素子に電圧を印加して撓ませることにより、その平面に沿って先端部を摺動させた場合、平面上に凹凸が存在すると、そこで先端部が引っ掛かって、摺動動作が見かけ上停止してしまい、圧電素子から電圧を除去しても、先端部は凹凸により動作が拘束されたままで、元の状態に回復できないという問題がある。特に、指の表面には指紋による凹凸が存在するため、この凹凸により先端部の動作が拘束され易いという問題がある。
本発明は、平面に沿って先端部を摺動させる動作が可能なアクチュエータであって、従来のアクチュエータに比べて、先端部の動作が拘束され難いアクチュエータを提供することを目的とする。
本発明者は、ユニモルフ構造を有する電歪アクチュエータを用い、その構成について更なる鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
本発明の1つの要旨によれば、電歪材料層と、電歪材料層の両面に各々配置された2つの電極と、いずれか一方の電極を介して電歪材料層の片面に接合された基材とにより各々構成された第1および第2の電歪素子、ならびに第1および第2の電歪素子を支持する支持部材を含む電歪アクチュエータであって、第1の電歪素子は電歪材料層の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲し、第2の電歪素子は基材の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲し、第1および第2の電歪素子は、各基材が対向するようにして並列配置され、各一端にて支持部材で支持され、かつ、各他端にて相互に接合されている、電歪アクチュエータが提供される。
本発明の上記電歪アクチュエータは、電歪材料層と、電歪材料層の両面に各々配置された2つの電極と、いずれか一方の電極を介して電歪材料層の片面に接合された基材とにより構成された電歪素子を2つ用いたものである。かかる電歪素子は、ユニモルフ構造を有する電歪素子である。
そして、本発明の上記電歪アクチュエータによれば、第1の電歪素子は電歪材料層の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲し、第2の電歪素子は基材の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲し、第1および第2の電歪素子は、各基材が対向するようにして並列配置され、各一端にて支持部材で支持され、かつ、各他端にて相互に接合されているので、これら電歪素子の各電極間にそれぞれ電圧を印加すると、接合された他端(以下、本明細書において「先端部」とも言う)は、見かけ上、これら電歪素子の基材間の空間を拡張しつつ長手方向に伸び、電圧を除去すると、基材間の空間を収縮しつつ長手方向に戻る。かかる本発明の電歪アクチュエータを用いて、先端部を平面に沿って(伸びる動作により)摺動させた場合、平面上に存在し得る凹凸などによって先端部が引っ掛かっても、先端部は、電圧を除去することにより、瞬発的に跳ね上がって元の位置に戻ることが、本発明者により見出された。よって、本発明の電歪アクチュエータによれば、平面に沿って先端部を摺動させる動作が可能であり、かつ先端部が平面の凹凸などに引っ掛かっても跳ね上がる動作により、先端部を拘束から解放することができる。
更に、本発明の上記電歪アクチュエータによれば、電圧印加により長手方向に伸びる動作より、電圧除去により長手方向に戻る動作のほうが素早く行われることが、本発明者により見出された。従来既知のアクチュエータは、電圧印加時と電圧除去時とで対称的な動作(方向のみが逆である動作)をするものが多い。これに対して、本発明の電歪アクチュエータによれば、電圧印加時と電圧除去時とで非対称的な動作をすることができる。
本発明の1つの態様においては、第1および第2の電歪素子の湾曲した部分が、いずれも円弧状の断面形状を有する。湾曲した部分を円弧状の断面形状とすることによって、上述の跳ね上がる動作を効率的に提供することができる。例えば、電歪素子に、くの字型の形状のような折れ部があると、跳ね上がるための力が折れ部で逃げてしまい、力を効率的に伝達することができないことがある。
本発明の上記態様において、第1の電歪素子の湾曲した部分の曲率半径は、第2の電歪素子の湾曲した部分の曲率半径以下とし得る。第1の電歪素子の湾曲した部分の曲率半径を、第2の電歪素子の湾曲した部分の曲率半径以下とすることによって、上述の伸びる動作を効果的に(より大きな変位で)提供することができる。
本発明によれば、平面に沿って先端部を摺動させる動作が可能なアクチュエータであって、従来のアクチュエータに比べて、先端部の動作が拘束され難い電歪アクチュエータが提供される。
本発明の1つの実施形態における電歪アクチュエータを示す概略断面図であって、図1(a)は電圧を印加していない状態(非駆動状態)、図1(b)は電圧を印加した状態(駆動状態)を示す。 図1の実施形態における電歪アクチュエータを製造するために使用されるユニモルフ(ユニモルフ構造を有するシート)を示す図であって、図2(a)はユニモルフの概略断面図を示し、図2(b)はユニモルフの屈曲動作を説明する図である。 第1の電歪素子を単独の状態で用いた例を示す概略断面図であって、図3(a)は電圧を印加していない状態、図3(b)は電圧を印加した状態を示す。 第2の電歪素子を単独の状態で用いた例を示す概略断面図であって、図4(a)は電圧を印加していない状態、図4(b)は電圧を印加した状態を示す。
本発明の1つの実施形態における電歪アクチュエータについて、以下、図面を参照しながら詳述する。
図1を参照して、本実施形態の電歪アクチュエータ40は、第1の電歪素子10および第2の電歪素子20ならびにこれら電歪素子10および20を支持する支持部材30を含む。第1の電歪素子10は、電歪材料層1と、電歪材料層1の両面に各々配置された2つの電極3a、3bと、これら電極3a、3bのいずれか一方(図示する態様では電極3a)を介して電歪材料層1の片面に接合された基材5とにより構成され、電歪材料層1の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲している。第2の電歪素子20は、電歪材料層11と、電歪材料層11の両面に各々配置された2つの電極13a、13bと、これら電極13a、13bのいずれか一方(図示する態様では電極13a)を介して電歪材料層11の片面に接合された基材15とにより構成され、基材15の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲している。そして、これら第1の電歪素子10および第2の電歪素子20が、各基材5、15を対向させて(またはこれらを内側にして)並列配置され、各一端10a、20aにて支持部材30で支持され、かつ、各他端10b、20bにて相互に接合されている。
電歪素子10、20において、電歪材料層1、11は、高分子電歪材料から形成される。高分子電歪材料は、永久双極子を有する高分子材料であれば、特に限定されない。高分子電歪材料の例としては、PVDF(ポリビニリデンフルオロイド)、PVDF系の共重合体、例えば、P(VDF−TrFE)などのコポリマーや、P(VDF−TrFE−CFE)、P(VDF−TrFE−CTFE)、P(VDF−TrFE−CDFE)、P(VDF−TrFE−HFA)、P(VDF−TrFE−HFP)、P(VDF−TrFE−VC)などのターポリマーが挙げられる(Pはポリを、VDFはビニリデンフルオライドを、TrFEはトリフルオロエチレンを、CFEはクロロフルオロエチレンを、CTFEはクロロトリフルオロエチレンを、CDFEはクロロジフルオロエチレンを、HFAはヘキサフルオロアセトンを、HFPはヘキサフルオロプロピレンを、VCはビニルクロライドを意味する)。なかでも、P(VDF−TrFE−CFE)が、大きな歪みが得られる点で特に好ましい。電歪材料層1、11の厚さは適宜設定してよいが、例えば数μm〜100μm程度とし得る。電歪材料層1、11は、使用する高分子電歪材料および厚さが、同じであっても、異なっていてもよい。
また、電歪素子10、20において、それぞれ2つの電極3a、3bおよび電極13a、13bは、電極として機能し得る限り、任意の適切な導電性材料から形成してよい。かかる導電性材料の例としては、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Pt−Pd(白金−パラジウム合金)、Al(アルミニウム)、Au(金)、Au−Pd(金パラジウム合金)などの金属材料、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、PPy(ポリピロール)、PANI(ポリアニリン)などの有機導電性材料などが挙げられる。このうち、有機導電性材料は、クラックが導入され難いので好ましい。電極3a、3b、13a、13bの厚さは、使用する導電性材料などに応じて適宜設定してよいが、例えば20nm〜10μm程度とし得る。電極3a、3b、13a、13bは、使用する導電性材料および厚さが、同じであっても、異なっていてもよい。また、図示する態様では、電極3a、3b、13a、13bは、電歪材料層1、11の全面をそれぞれ被覆しているが、このことは必ずしも本発明に要せず、電極3a、3b、13a、13bは、適宜、パターニングされていてもよい。例えば、電極3a、3b、13a、13bは、一端10a、20aおよび他端10b、20bから離間するように、電歪材料層1、11の中央部を被覆するものであってよい。
また、電歪素子10、20において、基材5、15は、後述する湾曲成形を実施し得る限り、任意の適切な可撓性材料から形成してよい。かかる可撓性材料の例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、セロファン、塩化ビニル、ポリイミド、ポリエステルなどが挙げられる。また、基材5、15は、上述したような電歪材料から形成してもよい。基材5、15の厚さは適宜設定してよいが、例えば数μm〜100μm程度とし得る。基材5、15は、使用する可撓性材料(または電歪材料)および厚さが、同じであっても、異なっていてもよい。
電歪素子10、20は、それぞれ少なくとも部分的に(図示する態様では全体的に)湾曲している。電歪素子10、20の湾曲部分は、電極3a、3b、13a、13bが配置された部分を含むことが好ましい。電歪素子10、20の湾曲部分(図示する態様では全体)は、いずれも円弧状の断面形状を有することが好ましく、第1の電歪素子10の湾曲部分の曲率半径が、第2の電歪素子の湾曲部分の曲率半径以下であることがより好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電歪素子10、20の湾曲部分は、円弧状以外の他の断面形状(例えば半楕円状など)に湾曲していてもよい。
支持部材30は、電歪素子10、20の一端10a、20aを同時に支持し得る限り、その材料、形状、配置、支持方法などについて、特に限定されない。図示する態様では、電歪素子10、20の一端10a、20aをそれぞれ別個に支持しているが、これに限定されず、例えば、電歪素子10、20を一端10a、20aにて重ね合わせて接合し、接合したものを支持するようにしてもよい。また、図示する態様では、支持部材の支持面を電歪素子10、20の長手方向に対して略平行(凸方向に対して略垂直)な平面としているが、これに限定されず、例えば長手方向に対して略垂直な平面または傾斜した平面あるいは曲面などとしてもよい。
電歪素子10、20の他端10b、20bは、互いに接合されて先端部Aを成している。この先端部Aは、電歪アクチュエータ40を駆動させることにより可動する部分として理解される。
次に、かかる電歪アクチュエータ40の製造方法について説明する。
まず、ユニモルフ構造を有する可撓性のシート(以下、本明細書において単に「ユニモルフ」と呼ぶ)を準備する。図2(a)を参照して、ユニモルフ7は、電歪材料層1と、電歪材料層1の両面に各々配置された2つの電極3a、3bと、これら電極3a、3bのいずれか一方(図示する態様では電極3a)を介して電歪材料層1の片面に接合された基材5とにより構成され、全体として可撓性を有するものとされる。なお、かかるユニモルフ7は、これら2つの電極3a、3b間に電圧を印加すると、電歪材料層1が厚さ方向(電界方向)に縮み、面内方向で伸びるため、電歪材料層1と基材5との間で寸法差が生じて、図2(b)に示すように、電歪材料層1を外側とし、基材5を内側として屈曲するものである。
このようなユニモルフ7は、例えば以下のようにして作製可能である。電歪材料層1の両面に電極3a、3bを形成する。電極材料に金属材料を用いる場合には、蒸着またはスパッタリングなどによって電極を形成できる。電極材料に有機導電性材料を用いる場合には、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷、刷毛塗布などによって電極を形成できる。図示する態様では、電極3a、3bは電歪材料層1の全面にそれぞれ形成されるものとしているが、このことは必ずしも本発明に要せず、電極3a、3bは、適宜、パターニングされていてもよい。これにより得られた電極3a、3b付き電歪材料層1の片面に(図示する態様では電極3aを介して)基材5を接合させる。この接合は、例えば、熱硬化型または紫外線硬化型などの接着剤を用いて実施できる。これにより、ユニモルフ7が作製される。しかしながら、ユニモルフ7の作製方法はかかる例に限定されず、例えば、基材5の上に電極3aを予め形成しておき、その電極3aの上に電歪材料を塗布またはキャスティングすることにより電歪材料層1を形成し、更に、その電歪材料層1の上に電極3bを形成してもよい。
次に、このユニモルフ7を湾曲成形して、第1の電歪素子10を得る。具体的には、シート状のユニモルフ7を、例えば半円筒状の表面を有する型を用いて、電歪材料層1が基材5よりも凸側になるように湾曲させ、そのまま熱処理に付して基材5を熱成形し、その後、型から外すことによって、湾曲成形を実施できる。熱処理の温度および時間は、使用する基材5の材料に応じて適宜設定し得る。例えば、基材5がPETから成る場合、80〜100℃で5〜10分間の熱処理により熱成形できる。
これにより、第1の電歪素子10が得られる。第2の電歪素子20は、成形の際に、基材15が電歪材料層11よりも凸側になるように湾曲させたこと以外は、第1の電歪素子10と同様にして得られる。電歪素子10、20の寸法、湾曲形状(曲率半径)などは、電歪アクチュエータ40の用途などに応じて適宜設定し得る。
これら電歪素子10、20を、各基材5、15が対向するように(凸方向を揃えて)重ね合わせて、一端10a、20aを支持部材30に接合し、他端10b、20bを相互に接合する。これらの接合は、例えば、熱硬化型または紫外線硬化型などの接着剤を用いて実施できる。
以上のようにして、電歪アクチュエータ40が製造される。電歪アクチュエータ40は、電極3a、3b、13a、13bを電源(図示せず)に接続して使用される。
本実施形態の電歪アクチュエータ40は、可撓性の(柔らかい)電歪素子10、20を用いているため、耐衝撃性が高く、壊れにくいという利点がある。その一方で、電歪アクチュエータ40は、先端部Aが2つの電歪素子10、20の他端10b、20bを相互に接合して成っているので、先端部Aにおいて、ある程度の剛性を確保することができる。また、かかる電歪素子10、20を用いた電歪アクチュエータ40は、小型で軽量であるという利点もある。
次に、電歪アクチュエータ40の使用方法(動作)の例について説明するが、本発明の電歪アクチュエータは、かかる使用方法に限定されるものではない。
電歪アクチュエータ40は、非駆動状態(電圧を印加していない状態)では、図1(a)に示す形態を取っている。
電歪アクチュエータ40の先端部Aを任意の平面Pに接触させて、電極3a、3b間および電極13a、13b間にそれぞれ電圧を印加することにより、電歪アクチュエータ40を駆動する。すると、図1(b)を参照して、これら電歪素子10、20の接合体は、基材5、15間の空間Bを空間B’へと拡張しつつ長手方向に比較的ゆっくり伸び、これによって、先端部Aは平面Pに沿って、矢印Qにて示す方向に摺動する。
摺動動作の間、平面P上に存在し得る凹凸(または摺動による摩擦力が何らかの原因で増加すること)などによって先端部Aが引っ掛かる場合がある。
しかし、電極3a、3b間および電極13a、13b間に印加していた電圧を除去することにより、電歪アクチュエータ40の駆動を停止すると、復元しようとする力が勝るので、これら電歪素子10、20の接合体は、基材5、15間の空間B’を収縮しつつ長手方向に比較的素早く、先端部Aが瞬発的に跳ね上がるようにして戻り、これによって、電歪アクチュエータ40は、図1(a)に示す形態に回復する。
本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、電歪アクチュエータ40がこのような動作をする理由は以下のように考えられる。
第1の電歪素子10は、電歪材料層1の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲している。このため、図3(a)に示すように、第1の電歪素子10単独の状態(他端10bをフリーにした状態)で、電極3a、3b間に電圧を印加すれば、図3(b)に示すように、第1の電歪素子10は一層屈曲する(長手方向に縮み、凸方向にΔH=|H11−H10|だけ高くなる)。
他方、第2の電歪素子20は、基材5の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲している。このため、図4(a)に示すように、第2の電歪素子20単独の状態(他端20bをフリーにした状態)で、電極13a、13b間に電圧を印加すれば、図4(b)に示すように、第2の電歪素子20は伸長する(長手方向に伸び、凸方向にΔH=|H21−H20|だけ低くなる)。
しかしながら、電歪アクチュエータ40では、図1(a)に示すように、第1の電歪素子10および第2の電歪素子20は、各他端10b、20bにて相互に接合されて、電歪素子10、20の接合体(平面的に延在する構造体)を成している。かかる状態で、これら電歪素子10、20にそれぞれ電圧を印加すると、接合された先端部Aでは、上記の屈曲する力と伸長する力とが発生して対立するが、第2の電歪素子20のほうが凸方向において低いので、伸長する力のほうが優勢に作用し、全体として長手方向に伸びるように変形し易い(仮に、屈曲する力と伸長する力が同等の大きさで発生したとすれば、屈曲する力による長手方向に縮む成分より、伸長する力により長手方向に伸びる成分のほうが大きくなる)。この結果、先端部Aは平面Pに沿って、矢印Qに示す方向に摺動すると考えられる。また、上記の通り屈曲する力と伸長する力とが対立しているため、長手方向への伸びは比較的ゆっくりと生じるものと考えられる。
本実施形態のように、第1の電歪素子10の曲率半径が、第2の電歪素子20の曲率半径以下である場合、上述の伸びる動作を効果的に(長手方向により大きな変位で)提供することができる。
電歪素子10、20の接合体の変形は、長手方向だけでなく、凸方向にも生じ得る。より詳細には、非駆動状態における基材5、15間の空間B(図1(a))は、電歪素子10、20にそれぞれ電圧を印加すると、空間B’(図1(b))へと拡張するように変形する(電歪素子10、20は可撓性であるので、これら湾曲部に働いている力の緊張状態に応じて撓み得ることに留意されたい)。しかし、電歪素子10、20の凸方向の各変位量は、それぞれ単独の状態とした場合の変位量に比べて小さい(H12<H11、H22>H21)。電歪素子10、20の接合体の変形および平面Pとの摩擦に使用されなかったエネルギーは、電歪素子10、20に内部応力および/または弾性エネルギーとして蓄積されるものと考えられる。特に、第1の電歪素子10は、屈曲する力に反して長手方向に伸ばされるため、より大きなエネルギーが蓄積されると考えられる。なお、電歪素子10、20の湾曲部(梁)に働いている力は緊張している状態にあるので、先端部Aの剛性は非駆動状態よりも高くなっていると考えられる。
摺動動作の後、印加電圧を除去した場合、電歪素子10、20に蓄積されたエネルギーが運動エネルギーとして解放され、上記の屈曲する力および伸長する力の双方がなくなるので、比較的素早く、先端部Aが瞬発的に跳ね上がるようにして戻るものと考えられる。例えば、先端部Aが表面P上に存在する凹凸に引っ掛かり、拘束された場合、印加電圧を除去することにより、先端部Aが瞬発的に跳ね上がるようにして戻る動作をする。
また、表面P上に存在する凹凸が小さい場合には、摺動動作の間、凹凸などに先端部Aが引っ掛かっても、蓄積されたエネルギーが運動エネルギーとして解放され、より大きなエネルギーを蓄積している第1の電歪素子10の伸長する力に由来する力が優勢に作用し(換言すれば、第1の電歪素子10によって、電歪素子10、20の接合体全体が引上げられ)、先端部Aが瞬発的に跳ね上がるものと考えられる。一端跳ね上がった先端部Aは、その後、凹凸を越えて平面P上に戻り、摺動動作を継続することができる。
本実施形態のように、第1の電歪素子10および第2の電歪素子20を円弧状の断面形状とした場合、上述の跳ね上がる動作を効率的に提供することができる。
以上より、電歪アクチュエータ40を用いれば、平面Pに沿って先端部Aを摺動させる動作が可能であり、かつ先端部Aが平面Pの凹凸などに引っ掛かっても跳ね上がる動作により、先端部Aが拘束される(またはスタックする)のを回避することができる。また、かかる電歪アクチュエータ40は、電圧印加時と電圧除去時とで非対称的な動作(比較的ゆっくりと伸びる動作と、比較的素早く、先端部Aが瞬発的に跳ね上がって戻る動作)をすることができる。
以上、本発明の電歪アクチュエータおよびその使用方法について詳述したが、本発明は種々の改変が可能であろう。
例えば、イオン導電性高分子膜(ICPF: Ionic Conductive Polymer Film)や、バッキーゲルなどを利用してよい。
イオン導電性高分子膜を利用する場合、概略的には、上記電歪材料層に代えて、イオン交換樹脂層を用いることにより、アクチュエータを作製することができる。より詳細には、イオン交換樹脂層(例えば、デュポン株式会社製の「ナフィオン」(登録商標)など)の両面にAu、Ptなどの金属材料を化学めっきして電極を形成して、イオン性ポリマー−金属複合体(IPMC: Ionic Polymer Metal Composite)を得る。ここで、イオン交換樹脂層が電歪材料層に代わるものである。得られた複合体の片面を(よって、いずれか一方の電極を介して)PETなどから成る基材に接合する。これにより得られる構造体を2つ用いて、これら構造体を上述した湾曲成形方法と同様にしてそれぞれ成形する(例えば半円筒状の表面を有する型を用いて、1つの構造体は、イオン交換樹脂層が基材よりも凸側になるように湾曲させ、そのまま熱処理に付して基材を熱成形し、もう1つの構造体は、基材がイオン交換樹脂層よりも凸側になるように湾曲させたこと以外は同様とする)ことによって、第1の素子および第2の素子を得ることができる。そして、これら素子を、上述した接合方法と同様にして、一端にて支持部材に接合し、他端にて相互に接合することができる。この場合、各素子の電極間に印加する電圧の極性を正または負とすることにより、伸びる動作または縮む動作を提供することができる。
バッキーゲルは、イオン性液体とカーボンナノチューブとのゲル状複合体である。バッキーゲルを利用する場合、概略的には、上記電極に代えて、バッキーゲルを利用したシートを用いることにより、アクチュエータを作製することができる。より詳細には、まず、3つのシートを次のようにして準備する。イミダゾリウム系イオン液体(例えば1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMITFSI))に単層カーボンナノチューブおよびフッ素系材料(例えばP(VDF−HFP))を加えた懸濁液を乳鉢で、乳棒を使ってすり潰し、これをキャスティングすることにより、カーボンナノチューブを含んだ第1のシートを2つ作製する。また、イオン液体およびフッ素系材料を混合し、これをキャスティングすることにより、イオン液体およびフッ素系材料からなる第2のシートを1つ作製する。そして、これら3つのシートを、2つの第1のシートの間に第2のシートを配置した状態で重ね合わせ、これを熱プレスすることにより、三層構造を有する複合シートを作製する。ここで、第2のシートが電歪材料層に代わるものであり、その両面に各々配置された2つの第1のシートが2つの電極に代わるものである。そして、この複合シートの片面を(よって、いずれか一方の電極を介して)PETなどから成る基材に接合する。これにより得られる構造体を2つ用いて、これら構造体を上述した湾曲成形方法と同様にしてそれぞれ成形する(例えば半円筒状の表面を有する型を用いて、1つの構造体は、第2のシートが基材よりも凸側になるように湾曲させ、そのまま熱処理に付して基材を熱成形し、もう1つの構造体は、基材が第2のシートよりも凸側になるように湾曲させたこと以外は同様とする)ことによって、第1の素子および第2の素子を得ることができる。そして、これら素子を、上述した接合方法と同様にして、一端にて支持部材に接合し、他端にて相互に接合することができる。
(実施例1)
電歪材料層として、幅10mm、長さ20mm、厚さ5μmのP(VDF−TrFE−CFE)から成る層を用い、その両面にAlを蒸着して、厚さ20nmのAl電極をそれぞれ形成した。電極を形成した電歪材料層の片面に、幅10mm、長さ20mm、厚さ12μmのPETから成る基材を、熱硬化型の接着剤を用いて接合した。これにより、ユニモルフを得た。このユニモルフを2つ作製した。
1つのユニモルフを、約5mmの曲率半径を有する半円筒状の表面を有する型を用いて、電歪材料層が基材よりも凸側になるように湾曲させた。そのまま80℃の空気雰囲気中に5分間維持し、その後、自然冷却して、型から外して、第1の電歪素子を得た。
もう1つのユニモルフを、基材が電歪材料層よりも凸側になるように湾曲させたこと以外は、上記と同様に成形して、第2の電歪素子を得た。
なお、第1の電歪素子は、単独の状態で電極間に500Vの直流電圧を印加すると、屈曲する力が大きさ1g重で発生し、長手方向に1mmの変位(縮み)を示した。また、第2の電歪素子は、単独の状態で電極間に500Vの直流電圧を印加すると、伸長する力が大きさ1g重で発生し、長手方向に1mmの変位(伸び)を示した。なお、発生した力の大きさは、株式会社ナノコントロール社製の「フォースセンサ GS901」を用いて測定した。1g重の大きさの力は、人間が触覚により知覚し得る力であると経験的に知られている。
上記のようにして得られた第1の電歪素子と第2の電歪素子とを、凸方向を揃えて重ね合わせて、それらの一端を支持部材に熱硬化型の接着剤を用いて接合し、それらの他端を熱硬化型の接着剤を用いて相互に接合した。これにより、本実施例の電歪アクチュエータを作製した。
本実施例の電歪アクチュエータを使用して、人間の皮膚表面上を擦ってみた。皮膚表面には凹凸(指の場合には指紋)が存在する。具体的には、電歪アクチュエータの先端部を皮膚表面に接触させ、第1の電歪素子の電極間および第2の電歪素子の電極間にそれぞれ10Hz、500V0−Pの電圧を印加して、先端部を指の表面に沿って摺動させた。摺動動作の間、擦られているような触覚を感じることができた。また、摺動動作の間、先端部が跳ね上がるような動きをし、電歪アクチュエータの先端部の動作が皮膚表面上で拘束されることはなかった。
(比較例)
第1の電歪素子を、実施例1と同様にして2つ作製した。これら2つの第1の電歪素子を、凸方向を揃えて重ね合わせて、実施例1と同様に、それらの一端を支持部材に接合し、それらの他端を相互に接合した。これにより、比較例1の電歪アクチュエータを作製した。
また、第2の電歪素子を、実施例1と同様にして2つ作製した。これら2つの第2の電歪素子を、凸方向を揃えて重ね合わせて、実施例1と同様に、それらの一端を支持部材に接合し、それらの他端を相互に接合した。これにより、比較例2の電歪アクチュエータを作製した。
比較例1および比較例2の電歪アクチュエータのように、それぞれ同じ電歪素子を2つ重ねることで、発生する力(比較例1では屈曲する力、比較例2では伸長する力)は約2倍にすることができる。一方、この力以上の力が逆向きに作用すると、先端部がその場に引っ掛かって拘束され、それ以上は屈曲または伸長することができなくなる。また、同じ電歪素子を2つ重ねることで、曲げ剛性が増加し、変位量が減少してしまった。
比較例1および比較例2の電歪アクチュエータを使用して、人間の皮膚表面上を擦ってみた。具体的には、電歪アクチュエータの先端部を皮膚表面に接触させ、各電歪素子の電極間にそれぞれ10Hz、500V0−Pの電圧を印加して、先端部を実施例1と同じ指の表面に沿って摺動させた。摺動動作を開始して間もなく、先端部の動きが止まって(拘束されて)しまい、触覚を感じることはできなかった。
本発明の電歪アクチュエータは、小型で軽量であり、大型のアクチュエータに比べて弱い力で刺激できる。よって、本発明の電歪アクチュエータは、特に制限されるものではないが、例えば触覚ディスプレイ、ウェアラブル触覚インターフェース、バーチャルリアリティ機器などのアクチュエータ(ソフトアクチュエータ)として、医療、福祉、ロボット産業、エンターテイメント産業、メカトロニクス、化学、電気などの様々な分野において幅広く利用され得る。
1、11 電歪材料層
3a、3b、13a、13b 電極
5、15 基材
7 ユニモルフ
10、20 電歪素子
10a、20a 一端
10b、20b 他端
30 支持部材
40 電歪アクチュエータ
A 先端部
B、B’ 空間
P 平面
Q 摺動方向
10、H11、H12、H20、H21、H22 高さ

Claims (3)

  1. 電歪材料層と、電歪材料層の両面に各々配置された2つの電極と、いずれか一方の電極を介して電歪材料層の片面に接合された基材とにより各々構成された第1および第2の電歪素子、ならびに第1および第2の電歪素子を支持する支持部材を含む電歪アクチュエータであって、第1の電歪素子は電歪材料層の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲し、第2の電歪素子は基材の側を凸側にして少なくとも部分的に湾曲し、第1および第2の電歪素子は、各基材が対向するようにして並列配置され、各一端にて支持部材で支持され、かつ、各他端にて相互に接合されている、電歪アクチュエータ。
  2. 第1および第2の電歪素子の湾曲した部分が、いずれも円弧状の断面形状を有する、請求項1に記載の電歪アクチュエータ。
  3. 第1の電歪素子の湾曲した部分の曲率半径は、第2の電歪素子の湾曲した部分の曲率半径以下である、請求項2に記載の電歪アクチュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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