JP2009232523A - 電歪型アクチュエータおよび電歪型アクチュエータの製造方法 - Google Patents

電歪型アクチュエータおよび電歪型アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Makoto Tamura
誠 田村
Hiroshi Isobe
宏 磯部
Shiketsu Kaku
士傑 郭
Hiroaki Ito
弘昭 伊藤
Akitoshi Nozawa
明敏 野沢
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Abstract

【課題】より大きな駆動力および変位量を得ることの出来る、新規な構造の電歪型アクチュエータを提供すること。
【解決手段】芯材12の長手方向で互いに離隔した複数箇所において該芯材12の外周面上に突出する支持部14を設けると共に、該芯材12に巻き付けられた筒状の誘電体シート16の内周面42をそれら支持部14の外周面22に重ね合わせて支持せしめることにより、該芯材12と該誘電体シート16の間に隙間44を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、印加電圧に応じた誘電膜の伸縮により駆動力を発揮する電歪型アクチュエータとその関連技術に関するものである。
産業用や介護用のロボット、医療機器、マイクロマシン等の分野では、柔軟性が高く、小型で軽量なアクチュエータの必要性が高まりつつある。
そのようなアクチュエータとして、導電性高分子や誘電体エラストマなどの高分子材料によって形成された誘電膜の両面に電極層を形成した誘電体シートを用いた電歪型アクチュエータが提案されている。即ち、電極層に電圧を印加すると、電極間の静電引力によって誘電膜が圧縮せしめられて、誘電膜が面の広がり方向に伸張せしめられる。一方、電極間の印加電圧を小さくすると、誘電膜は自身の復元力によって面の広がり方向に収縮せしめられる。電歪型アクチュエータは、かかる誘電膜の変形を利用して駆動力を得るようにされている。
ところが、従来の電歪型アクチュエータは、例えば特許文献1や特許文献2に示されているように、誘電膜の面の広がり方向への伸張を拘束した状態で電圧を印加せしめて、伸張出来なくなった誘電膜に生じる撓みを利用して駆動力を得るようにされていた。それ故、大きな駆動力および変位量を得ることが困難であった。
そこで、より大きな駆動力および変位量を得るために、例えば特許文献3には、コイルスプリングからなる芯材を軸方向に予圧縮せしめ、かかる芯材の外周に誘電体シートを巻装した電歪型アクチュエータが開示されている。かかる電歪型アクチュエータにおいては、電極層に電圧を印加すると、誘電体シートが軸方向に伸張することによってコイルスプリングの伸張が許容される。一方、電圧を小さくすると、誘電体シートが自身の復元力で軸方向に収縮してコイルスプリングに拘束力を及ぼすことによって、コイルスプリングが軸方向に収縮せしめられるようになっている。これにより、より大きな駆動力と変位量を得ることが可能とされている。
しかし、特許文献1に記載の如き電歪型アクチュエータにおいては、コイルスプリングと誘電体シートが直接に接触していることから、コイルスプリングが伸張せしめられる際に誘電体シートが干渉したり、コイルスプリングが収縮せしめられる際に誘電体シートがコイルスプリングに噛み込まれる等して、駆動力および変位量が損なわれるおそれがあった。また、コイルスプリングに予圧縮を及ぼすに際して、コイルスプリングに坐屈変形などの所謂アバレが発生し易く、製造が困難であった。
特表2003−505865号公報 特表2003−506858号公報 特表2005−522162号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、より大きな駆動力および変位量を得ることの出来る、新規な構造の電歪型アクチュエータを提供することを、目的とする。
さらに、本発明は、そのような新規な構造の電歪型アクチュエータの製造方法を提供することも、目的とする。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、電歪型アクチュエータに関する本発明の第一の態様は、長手方向に弾性変形可能とされた長手状の芯材に対して、誘電体エラストマーからなる誘電膜の両面に電極層を形成した誘電体シートが筒状に巻き付けられており、該電極層への印加電圧に応じて軸方向に伸縮せしめられる電歪型アクチュエータにおいて、前記芯材の長手方向で互いに離隔した複数箇所において該芯材の外周面上に突出する支持部を設けると共に、該芯材に巻き付けられた筒状の前記誘電体シートの内周面をそれら支持部の外周面に重ね合わせて支持せしめることにより、該芯材と該誘電体シートの間に隙間を設けたことを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた電歪型アクチュエータによれば、誘電体シートが芯材に対して隙間を隔てて巻き付けられる。これにより、芯材と誘電体シートが互いに非接触とされることから、芯材および誘電体シートの変形をより円滑に生ぜしめることが出来て、より大きな変位量及び駆動力を得ることが出来る。また、誘電体シートを支持部で支持することによって、誘電体シートの筒形状をより安定して保持出来ることから、誘電体シートの変形方向を軸方向に安定して発現せしめることが出来て、変位量をより安定して確保することが出来る。
なお、本態様における支持部は、芯材と一体形成されていても良いし、別体形成されていても良い。また、本態様における筒状の誘電体シートとしては、全周に亘って連続する完全な筒形状の誘電体シートのみならず、例えば誘電体シートを渦巻状に巻回せしめたものでも良い。
電歪型アクチュエータに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る電歪型アクチュエータにおいて、前記支持部が、前記芯材の長手方向両端部にそれぞれ設けられていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた電歪型アクチュエータによれば、筒状に形成された誘電体シートの軸方向両端部が支持部で支持されることから、誘電体シートの筒形状を安定して保持することが出来る。これにより、誘電体シートの変形を軸方向に安定して発現せしめることが出来て、電歪型アクチュエータの軸方向の変位量をより安定して得ることが出来る。
また、芯材の長手方向両端部に支持部が設けられていることから、例えば本発明に従う構造とされた電歪型アクチュエータを製造するに際して、芯材を長手方向に圧縮する場合には、芯材の長手方向両端部を支持部で挟むようにして圧縮することが出来る。これにより、芯材をより安定して圧縮することが出来て、芯材の所謂アバレ等の坐屈変形を抑え、ストレートに延びる筒状の誘電体シートをより容易に製造することが出来る。
電歪型アクチュエータに関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る電歪型アクチュエータにおいて、前記支持部が、前記芯材の長手方向の中間部分に少なくとも一つ設けられていることを、特徴とする。このようにすれば、誘電体シートを芯材の長手方向の中間部分でも保持することが出来て、誘電体シートの筒形状がより安定して保持されることから、より安定した駆動力および変位量を得ることが出来る。また、芯材の長手方向中間部分における誘電体シートとの隙間が支持部で安定して確保されることから、筒状とされた誘電体シートの長手方向中間部分が撓んで芯材に接触するようなおそれも有利に軽減される。
電歪型アクチュエータに関する本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に係る電歪型アクチュエータにおいて、前記支持部が、周方向に連続する外周面を有する円板形状とされていることを、特徴とする。本態様によれば、誘電体シートの内周面が全周に亘って支持部で支持されることから、誘電体シートの筒形状をより安定して保持することが出来る。
電歪型アクチュエータに関する本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係る電歪型アクチュエータにおいて、前記支持部が、前記芯材と別体形成された支持部材によって構成されていることを、特徴とする。本態様によれば、芯材および支持部の形状の設計自由度を高めることが出来る。また、支持部が別体構成とされることによって、芯材の変形量のチューニングもより容易に行なうことが出来る。
電歪型アクチュエータに関する本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係る電歪型アクチュエータにおいて、前記芯材が長手方向に分割された複数の部分芯材から構成されており、一対の該部分芯材の間に前記支持部材が介在せしめられることによって、該芯材の長手方向中間部分に前記支持部が設けられていることを、特徴とする。
本態様によれば、芯材を複数の部分芯材で形成して、連続する軸寸法を小さくすることによって、所謂アバレ等の坐屈変形の発生を軽減することが出来る。これにより、軸方向の変位をより安定して発現せしめることが出来る。そして、一対の部分芯材で支持部材を挟むことによって、支持部材を芯材の長手方向中間部分に容易に配設することが出来る。
電歪型アクチュエータに関する本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの態様に係る電歪型アクチュエータにおいて、前記芯材がコイルスプリングであることを、特徴とする。
コイルスプリングは、長手方向の伸縮に際して径寸法の変化が殆ど生じない。従って、本態様によれば、電歪型アクチュエータの伸縮に際して芯材と誘電体シートとの隙間が変化せしめられることも抑えられて、芯材と誘電体シートが接触するおそれをより有利に低減することが出来る。また、コイルスプリングと誘電体シートが接触せしめられてしまうと、コイルスプリングの収縮に際して誘電体シートがコイルスプリングに噛み込まれるおそれが問題となり得るが、本発明によれば、芯材と誘電体シートの間に隙間が形成されて、かかる隙間の大きさが安定して維持され得ることから、噛み込みの問題も有利に回避され得て、安定した駆動力及び変位量を得ることが出来るのである。
電歪型アクチュエータの製造方法に関する本発明の第一の態様は、長手方向に弾性変形可能とされた長手状の芯材を、該芯材の外周面上に突出する支持部を介して長手方向に弾性変形せしめた状態で、誘電体エラストマーからなる誘電膜の両面に電極層を形成した誘電体シートを該支持部の外周面に被着せしめることによって、該誘電体シートを該芯材に対して隙間を設けて該支持部で支持せしめることを、特徴とする。
本製造方法によれば、上述の如き電歪型アクチュエータを有利に製造することが出来る。そして、支持部を介して芯材を弾性変形せしめることによって、支持部を用いて芯材の長手方向への圧縮力乃至は引張力をより安定して及ぼすことが出来て、芯材を長手方向に安定して弾性変形せしめることが出来る。これにより、芯材の取扱性もより向上せしめられると共に、ストレートに延びる筒状の誘電体シートを容易に形成することが出来る。そこにおいて、より好適には、支持部として芯材と別体形成された支持部材を用いる態様が採用され得る。このようにすれば、弾性変形状態とされた芯材に接触することなく誘電体シートの巻き付けを行なうことが出来ることから、誘電体シートの巻き付けをより容易に行なうことが出来る。
なお、本製造方法において、芯材を長手方向に弾性変形せしめた状態とは、芯材を自由長から長手方向に伸張せしめた状態と、長手方向に収縮せしめた状態の何れをも含むが、好適には、電歪型アクチュエータの製造方法に関する本発明の第二の態様として、前記第一の態様に係る電歪型アクチュエータの製造方法において、前記芯材を前記支持部で長手方向両側から挟んで長手方向に圧縮せしめた状態で、前記誘電体シートを該支持部の外周面に被着せしめる製造方法が採用され得る。
すなわち、芯材の所謂アバレの如き坐屈変形は、伸張変形せしめられる場合に比して圧縮変形せしめられる場合に生じ易い。そこにおいて、本製造方法によれば、支持部で芯材を長手方向の両側から挟むことから、芯材を支持部で拘束することが出来て、アバレの発生を有利に抑えることが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1および図2に、本発明の第一の実施形態としての電歪型アクチュエータに係る、筒型アクチュエータ10を概略的に示す。なお、図1および後述する図8乃至11、および図13においては、理解を容易とするために、後述する誘電体シート16の径方向での積層構造を省略して図示すると共に、図2においては、後述するコイルスプリング12を省略して図示する。更に、図1、図2、および後述する図5、図6、図8乃至11、図13、図15においては、誘電体シート16の積層構造や巻回状態等の理解を容易とするために、誘電体シート16の厚さ寸法や変形量等を誇張して示す。また、以下の説明において、上下方向とは、特に断りの無い限り、図1中の上下方向を言うものとする。
筒型アクチュエータ10は、全体として軸方向(図1中、上下方向)に延びる筒形状とされており、芯材としてのコイルスプリング12の軸方向に、複数(本実施形態においては、4つ)の支持部材としてのディスク14が設けられると共に、かかるディスク14によって誘電体シート16が支持された構造とされている。
本実施形態におけるコイルスプリング12は、3つの部分芯材としての部分コイルスプリング18が軸方向に直列せしめられて構成された分割構造とされており、所定の軸寸法を有する長手形状とされている。ここにおいて、本実施形態では芯材としてコイルスプリングが用いられているが、芯材としては、軸方向に弾性変形可能な部材であれば何等限定されるものではない。そのような弾性部材としては、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のエラストマーが好適に採用され得る。
そして、コイルスプリング12の長手方向となる軸方向の両端部および中間部分には、複数(本実施形態においては、4つ)のディスク14が設けられている。図3および図4に、ディスク14を示す。ディスク14は、コイルスプリング12とは別体として構成されており、金属、樹脂材料やゴム等によって形成された、コイルスプリング12の径寸法よりも大きな径寸法を有する略円板形状とされている。特に本実施形態においては、ディスク14は非導電性のゴムによって形成されているが、ディスク14として導電性をものを用いる等しても良い。そのような場合には、ディスク14を通じて後述する電極層34への通電を行なう等しても良い。そして、ディスク14の外周縁部には、全周に亘って軸方向両側に突出する周壁部20が形成されていることによって、ディスク14の外周面22の面積がより大きく確保されている。なお、本実施形態におけるディスク14は略円板形状とされていることから、外周面22は全周に亘って連続して形成されている。また、外周面22の軸方向両端縁部には、軸方向外方に行くに連れて僅かに縮径せしめられた傾斜面24が全周に亘って形成されており、後述する誘電体シート16の被着状態において外周面22を誘電体シート16に対して鈍角に接触せしめることによって、誘電体シート16の変形を阻害したり、誘電体シート16を損傷するおそれが軽減されている。
さらに、ディスク14の中央部分の上下両面には、コイルスプリング12の径寸法よりも僅かに大きな径寸法の円形状をもって軸方向外側に開口せしめられた嵌入凹部26が形成されている。また、ディスク14の中央部分には、厚さ方向に貫通する中央貫通孔28が形成されていると共に、嵌入凹部26の外側には、ディスク14の厚さ方向に貫通する小貫通孔30がディスク14の周方向で所定の間隔をもって複数(本実施形態においては、8個)形成されており、ディスク14の軽量化が図られていると共に、後述する空隙44を外部空間と連通せしめるようにされている。以上のように、本実施形態におけるディスク14の軸方向断面形状は、上下対称且つ左右対称形状とされた略H字形状とされている。
このような構造とされたディスク14が複数(本実施形態においては、4つ)、同軸上で直列に配設されると共に、これらディスク14の間に、部分コイルスプリング18が配設される。部分コイルスプリング18は、その軸方向両端部が、それぞれ、ディスク14の嵌入凹部26に嵌め入れられることにより、ディスク14との間で軸直方向の相対変位が制限されるようになっている。このようにして、複数(本実施形態においては、3つ)の部分コイルスプリング18が同軸上で直列に配設されており、これら3つの部分コイルスプリング18によって、芯材としてのコイルスプリング12が構成されている。従って、本実施形態においては、コイルスプリング12が筒型アクチュエータ10の中心軸上に配設されることとなり、かかるコイルスプリング12の長手方向となる軸方向両端部のそれぞれにディスク14が配設されると共に、軸方向中間部分に複数(本実施形態においては、2つ)のディスク14が一対の部分コイルスプリング18の間に介在せしめられて設けられている。そして、これらディスク14の間に部分コイルスプリング18が介在せしめられていることによって、各ディスク14は軸方向に所定間隔を隔てて配設されている。特に本実施形態においては、各ディスク14間に配設される部分コイルスプリング18が互いに等しい軸寸法を有することから、これら各ディスク14が軸方向で等間隔に配設されている。更に、これらディスク14はコイルスプリング12の軸方向に対して直交して広がるように配設されており、ディスク14の径寸法がコイルスプリング12の径寸法よりも大きくされていることから、各ディスク14の外周面22が、コイルスプリング12の外周面上おいて軸直角方向に突出して位置せしめられる。
そして、これら複数のディスク14、特にコイルスプリング12の軸方向両端部に設けられたディスク14によってコイルスプリング12が軸方向に所定寸法だけ圧縮変形せしめられた状態で、これら複数のディスク14の外周面22に、誘電体シート16が渦巻状に巻き付けられる。図5に、誘電体シート16を概略的に示す。誘電体シート16は、誘電膜32の両面に電極層34a,34bが形成されると共に、電極層34a,34bの何れか一方(本実施形態においては、電極層34a)における誘電膜32と反対側の面に絶縁層36が形成された構造とされている。
誘電膜32は、誘電体エラストマーによって形成された矩形薄膜形状を有している。誘電体エラストマーとしては、例えば、シリコンエラストマー、アクリルエラストマー、ポリウレタン、ニトリル系ゴム、水素添加ニトリル系ゴム、天然ゴム、エチレンープロピレンゴム、エチレンープロピレンージエンゴム、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、熱可塑性エラストマー、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を含んだ共重合体、フルオロエラストマー、シリコン成分およびアクリル成分を含む共重合体、シリコンエラストマーおよびアクリルエラストマーを含んだポリマーブレンド等が適宜に採用可能である。なお、誘電膜32は、高い電圧が印加されることから、絶縁破壊強度の大きいものを採用することが望ましい。本実施形態においては、誘電膜32は、シリコーンゴムから形成されている。また、誘電膜32の厚さは特に限定されるものではなく、要求される伸縮量等に応じて適宜に決定され得る。例えば、筒型アクチュエータ10の小型化、低電位駆動化、および変形量を大きくする等の観点からは誘電膜32の厚さ寸法は小さい方が好ましく、この場合には、絶縁破壊強度等をも考慮して、誘電膜32の厚さは、好適には1μm以上1000μm(1mm)以下、より好適には、5μm以上200μm以下とされる。
電極層34a,34bは、後述する誘電膜32の伸縮に応じて伸縮可能であることが望ましい。電極層34a,34bとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性カーボンに、バインダーとしてオイルやエラストマーを混合したペーストまたは塗料から電極を形成することが好ましい。バインダーとなるエラストマーとしては、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム等の柔軟なものが好適に採用され得る。また、誘電膜32の伸縮性をより有利に確保するために、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性微粉体を、誘電膜32の表面に直接付着させて電極を形成しても良い。本実施形態においては、電極層34a,34bは、カーボンブラックパウダーを誘電膜32の両面に塗布することによって形成されている。
さらに、一方の電極層34aにおける誘電膜32と反対側の面には、絶縁層36が設けられている。絶縁層36としては、誘電体シート16が巻回された状態で、径方向で互いに隣接せしめられる電極層34aと電極層34b間の導通を防止し得るものであれば何等限定されるものではないが、電極層34a,34bの伸縮に応じて伸縮可能であるものが好適に採用される。例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム等の柔軟なものが好適に採用される。更に、絶縁層36を、誘電膜32と同じ材質で形成すれば、より大きな駆動力を得ることが出来る。本実施形態においては、絶縁層36は誘電膜32と同じシリコーンゴムから形成されている。但し、絶縁層36を誘電膜32と異なる材質で形成して、例えば絶縁層36を誘電膜32よりも誘電率や導電率の低い材料で形成することによって、より大きな絶縁性を得る等することも勿論可能である。
このような構造とされた誘電体シート16は、電極層34a,34bが直流電源38およびスイッチ40と電気的に接続される。そして、図5(a)に示す電圧印加前の状態から、図5(b)に示すように、電極層34a,34bに直流電圧(以下、単に電圧とする)を印加すると、両電極層34a,34b間の静電引力によって、誘電膜32が膜厚方向(図5中、上下方向)に圧縮される。これにより、誘電膜32の膜厚が小さくなる。そして、膜厚が小さくなるのに応じて、誘電膜32の面が広くなる。従って、誘電膜32が電極層34a,34b,絶縁層36と共に伸張せしめられて、誘電体シート16が面の広がり方向に伸張せしめられる。
一方、図5(a)に示すように、電極層34a,34bへの印加電圧を除去すると、誘電膜32の膜厚方向に作用せしめられていた圧縮力が解除される。これにより、誘電膜32自身の復元力によって、誘電膜32の膜厚が大きくなる。そして、膜厚が大きくなるのに応じて、誘電膜32の面が小さくなる。従って、誘電膜32が電極層34a,34b,絶縁層36と共に収縮せしめられて、誘電体シート16が面の広がり方向で収縮せしめられることとなる。
このような構造とされた誘電体シート16は、図2に示すように、各ディスク14の外周面22に渦巻状に所定回数に亘って巻回せしめられて、それぞれのディスク14の外周面22に接着等により固定される。なお、図2はあくまでも概略図であり、誘電体シート16の巻回数は何等限定されるものではない。また、誘電体シート16は、ディスク14への巻回状態において、絶縁層36が、電極層34aと電極層34bの間に介在せしめられるようになっている。これにより、誘電体シート16が筒形状に形成されるようになっている。
なお、筒形状とされた誘電体シート16における径方向の最も内側には、電極層34bが位置せしめられることとなる。そこにおいて、誘電膜32の一方の面の全面に電極層34bを形成することによって、電極層34bにおける誘電膜32と反対側の面をディスク14の外周面22に対して接着等で固定せしめても良いが、特に本実施形態においては、図6に概略的に示すように、誘電体シート16においてディスク14の外周面22と重ね合わされる部分には、電極層34bが形成されることなく、誘電膜32における電極層34b側の面がディスク14の外周面22に重ね合わされて接着等で固定されている。即ち、誘電体シート16において、ディスク14の外周面22に固定される部分は外周面22で拘束されることから、電圧印加時の変形が殆ど期待出来ない。また、一般に電極層34bは摩擦抵抗が大きいことから、ディスク14の外周面22による変形抵抗が懸念される場合や、外周面22との接触に起因する電極層34bの磨耗や損傷等が懸念される場合等を考慮すると、誘電体シート16における外周面22への重ね合わせ部分には、電極層34bが形成されていないことが好ましい。そこで、本実施形態においては、誘電膜32が電極層34bを介在せしめることなくディスク14の外周面22に重ね合わされるようになっており、筒状に形成された誘電体シート16においてディスク14の外周面22に重ね合わされる内周面42は、筒状に形成された誘電体シート16の径方向で最も内側に位置せしめられた誘電膜32における電極層34bの非形成領域によって構成されている。このようにして、筒状の誘電体シート16の内周面42がディスク14の外周面22に重ね合わされてディスク14に支持されることとなり、本実施形態においては、ディスク14によって支持部が構成されている。また、誘電膜32において内周面42を構成する領域には電極層34bが形成されていないことから、特に本実施形態においては、電圧印加時の歪な変形を軽減するために、誘電膜32において内周面42と対向する反対側の面には、電極層32aが形成されないようになっている。
なお、誘電膜32において内周面42を構成する電極層34bの非形成領域や内周面42に対応する電極層34aの非形成領域を設けるには、例えば、図7に誘電膜32における電極層34bの形成面を例に概略的に示すように、誘電膜32において、ディスク14への巻回時に外周面22と重ね合わされる領域、換言すれば、内周面42を構成する領域を除いてカーボンブラックパウダーを塗布することによって形成することが出来る。或いは、誘電膜32の全面にカーボンブラックパウダーを塗布した後に、内周面42を構成する領域のカーボンブラックパウダーを削り取る等しても良い。なお、内周面42を構成する領域の幅寸法:Wは、例えば、ディスク14の外周面22の軸方向寸法と等しくされて、内周面42を構成する領域の周方向長さ寸法:Lは、例えば、ディスク14の径寸法×π、乃至は巻回せしめる際に外周面22から離隔する部分を考慮して、ディスク14の径寸法×πよりやや小さい大きさが採用され得る。尤も、電極層34a,34bは誘電膜32の変形量を確保するために、出来る限り広範囲に形成されることが好ましい。従って、電極層34a,34bの非形成領域をかかる大きさより小さく形成することも、勿論可能である。
さらに、特に本実施形態においては、図6および図7に示したように、筒状とされた誘電体シート16において最も径方向内側に位置する層にのみ、電極層34a,34bの非形成領域が設けられているが、例えば、ディスク14の外周面22と軸直角方向で重なり合う全ての層に亘って電極層34a,34bを非形成とする等しても良い。このような誘電体シート16は、例えば、図7に示した内周面42の形成領域、換言すれば、電極層34a,34bの非形成領域を誘電体シート16においてディスク14への巻回時に周方向となる全長に亘って形成する(要するに、図7中のLを誘電体シート16の周方向の全長に亘って形成する)ことによって得ることが出来る。
また、本実施形態においては、誘電体シート16がディスク14の外周面22の全面に接着等により固定されているが、誘電体シート16の変形量をより多く確保するために、誘電体シート16を例えば外周面22の軸方向中間部分等の一部分に対して固定することも勿論可能である。なお、誘電体シート16は必ずしも外周面22に対して接着される必要は無いのであって、外周面22に対して非接着状態で巻回せしめて、互いの摩擦力で支持せしめる等しても良い。
以上のようにして、筒形状とされた誘電体シート16の内周面42がディスク14の外周面22に重ね合わされて支持されている。かかる状態において、ディスク14の径寸法がコイルスプリング12の径寸法よりも大きくされていることから、誘電体シート16は、コイルスプリング12に対して軸直角方向で所定の空隙44を隔てた状態で、ディスク14を介してコイルスプリング12に対して巻き付けられることとなる。なお、かかる空隙44は、ディスク14の厚さ方向に貫設された中央貫通孔28や小貫通孔30を通じて外部空間と連通せしめられることによって、筒型アクチュエータ10の伸縮が阻害されるおそれが回避されている。
このような構造とされた筒型アクチュエータ10は、図8(a)に示すように、電極層34a,34bに電圧が印加されていない状態においては、軸方向に圧縮せしめられたコイルスプリング12が誘電体シート16で拘束されることによって、コイルスプリング12の弾性復元力(伸張力)と誘電体シート16のコイルスプリング12に対する拘束力が釣り合い状態とされている。かかる釣り合い状態において、コイルスプリング12は自由長からやや圧縮せしめられた状態とされている。そして、図8(b)に示すように、電極層32a,32bに電圧を印加すると、筒形状に丸められた誘電体シート16、特に外周面22による非拘束部分の面寸法の伸張が、軸方向の伸張として発現せしめられる。これにより、誘電体シート16によるコイルスプリング12への拘束力が低減せしめられて、その分だけコイルスプリング12が弾性復元力によって軸方向に伸張せしめられる。その結果、筒型アクチュエータ10が軸方向に伸張せしめられる。かかるアクチュエータ10の伸張は、コイルスプリング12の弾性復元力と誘電体シート16の拘束力が再び釣り合う位置で停止することとなる。従って、電極層32a,32bへの印加電圧を調節することによって、誘電体シート16の軸方向の伸張量、延いては筒型アクチュエータ10の軸方向の伸張量を調節することが出来るのである。そして、電極層32a,32bへの印加電圧を除去すると、筒形状に丸められた誘電体シート16、特に外周面22による非拘束部分の面寸法の収縮が、軸方向の収縮として発現せしめられる。これにより、誘電体シート16によるコイルスプリング12への拘束力が増大せしめられて、コイルスプリング12が軸方向に収縮せしめられることとなり、筒型アクチュエータ10が軸方向に収縮せしめられて、図8(a)の状態に復帰することとなる。
そこにおいて、本実施形態における筒型アクチュエータ10においては、誘電体シート16とコイルスプリング12が空隙44を隔てた非接触状態とされていることから、軸方向への伸縮作動時に誘電体シート16とコイルスプリング12が互いに接触干渉するなどして、互いの伸縮作動を阻害するおそれが軽減されている。これにより、筒型アクチュエータ10の伸縮作動をより円滑に行うことが可能とされており、より大きな伸縮量および駆動力や、より優れた作動速度を得ることが可能とされている。また、特に収縮作動時にコイルスプリング12に誘電体シート16が挟まれるおそれも有利に軽減されることから、より優れた耐久性を得ることも出来る。加えて、軸方向中間部分にもディスク14が配設されて、誘電体シート16がコイルスプリング12に対して離隔した状態が保持されていることから、誘電体シート16の軸方向中間部分が撓んでコイルスプリング12に噛み込まれるおそれも有利に軽減されている。
さらに、誘電体シート16がディスク14で支持されていることによって、誘電体シート16の筒形状がより安定して維持される。これにより、誘電体シート16の伸縮方向を軸方向により安定して発現せしめることが出来て、筒型アクチュエータ10の伸縮方向を軸方向により安定せしめることが出来る。特に本実施形態においては、筒形状とされた誘電体シート16の軸方向両端部分と軸方向中間部分がディスク14で等間隔に支持されることによって、より優れた形状安定性が得られている。
なお、上述の如き筒型アクチュエータ10は、例えば以下に示す製造方法によって、有利に製造することが出来る。先ず、上述の如き部分コイルスプリング18を3つと、ディスク14を4つ、および誘電体シート16を1つ用意する。
そして、図9(a)に示すように、自由長の部分コイルスプリング18の軸方向両端部のそれぞれをディスク14の嵌入凹部26に嵌め入れるようにして、ディスク14と部分コイルスプリング18を同心軸上で交互に組み付ける。ここにおいて、ディスク14と部分コイルスプリング18は、互いに接着等で固定しても良いし、しなくても良い。これにより、4つのディスク14が同心軸上で直列に配設されると共に、これら4つのディスク14の間に部分コイルスプリング18が介在せしめられる。また、部分コイルスプリング18が同心軸上で直列に配設されることによって、これら3つの部分コイルスプリング18によって筒型アクチュエータ10の軸方向の略全長に亘って延びる長手状のコイルスプリング12が構成される。
次に、図9(b)に示すように、コイルスプリング12の軸方向両端部に設けられた一対のディスク14を、軸方向で互いに所定距離だけ接近せしめる。これにより、軸方向両端部に配設されたディスク14を介してコイルスプリング12に対して軸方向の圧縮力が及ぼされて、コイルスプリング12が軸方向で縮小方向に弾性変形せしめられると共に、4つのディスク14の軸方向での離隔距離が小さくされる。なお、コイルスプリング12の圧縮量は、要求される伸張量や駆動力等を考慮して適宜に決定され得るものであるが、軸方向で隣り合うディスク14間に所定の隙間46が形成されることが好ましい。蓋し、ディスク14間の隙間46が小さいと、誘電体シート16の軸方向の自由長に対してディスク14の外周面22の接触部分が占める割合が大きくなってしまい、得られる伸張量が小さくなるからである。
そして、コイルスプリング12を一対のディスク14で軸方向両側から挟んで圧縮変形せしめた状態で、誘電体シート16をディスク14の外周面22に渦巻状に所定回数に亘って巻回せしめる。なお、誘電体シート16を巻回する前に、ディスク14の外周面22に接着剤を塗布しておく。これにより、各ディスク14の外周面22に誘電体シート16が被着せしめられる。そして、ディスク14によるコイルスプリング12への圧縮力を開放することによって、コイルスプリング12の弾性復元力によってコイルスプリング12および誘電体シート16が軸方向に伸張せしめられて、コイルスプリング12の弾性復元力と誘電体シート16の拘束力が釣り合う軸方向長さで軸方向への伸張が停止せしめられる。このようにして、図1に示す如き筒型アクチュエータ10が得られることとなる。
このような製造方法によれば、筒型アクチュエータ10を有利に製造することが出来る。そして、特に本製造方法によれば、部分コイルスプリング18を径寸法のより大きなディスク14で挟んで圧縮変形せしめることによって、部分コイルスプリング18への圧縮力を軸方向により安定して及ぼすことが出来る。これにより、部分コイルスプリング18における坐屈変形等の所謂アバレの発生を抑えることが出来て、製造がより容易とされると共に、筒型アクチュエータ10を軸方向により精度良く形成することが出来る。更に、特に本製造方法においては、筒型アクチュエータ10の略全長に亘るコイルスプリング12が分割構造とされており、軸方向寸法の小さい3つの部分コイルスプリング18で構成されていることから、アバレが生じるおそれがより軽減されている。
次に、図10に、本発明の第二の実施形態としての電歪型アクチュエータに係る筒型アクチュエータ50を概略的に示す。なお、以下の説明において、前述の第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
筒型アクチュエータ50は、上述の第一の実施形態における筒型アクチュエータ10の中心軸上に、案内部材としてのガイドロッド52が設けられた構造とされている。ガイドロッド52は、筒型アクチュエータ50の最大伸張時の軸寸法よりもやや大きな軸寸法をもってストレートに延びる円柱形状とされており、その材料は特に限定されるものではないが、好適には、ディスク14との摩擦を低減するために、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦性材料によって形成される。そして、かかるガイドロッド52が、軸方向で直列に配設された複数(本実施形態においては、4つ) のディスク14の中央貫通孔28に跨って非固定的に挿通されている。
このようにすれば、筒型アクチュエータ50の伸縮作動時には、ディスク14がガイドロッド52で軸方向に案内されることから、筒型アクチュエータ50を軸方向により安定して駆動せしめることが出来る。なお、ガイドロッド52の軸寸法は、必ずしも全てのディスク14に跨る大きさとされる必要はなく、例えば、筒型アクチュエータ50の軸寸法よりも小さな軸寸法をもって形成して、少なくとも1つのディスク14に挿通せしめることによって、少なくとも1つのディスク14を軸方向に安定駆動せしめる等しても良い。
次に、図11および図12に、本発明の第三の実施形態における電歪型アクチュエータに係る筒型アクチュエータ60を概略的に示す。筒型アクチュエータ60は、芯材としての弾性軸部材62を備えている。弾性軸部材62は、軸方向にストレートに延びる略円柱形状とされている。ここにおいて、弾性軸部材62としては、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のエラストマーが好適に採用され得る。
さらに、弾性軸部材62には、全周に亘って径方向外方に開口せしめられた溝形状の嵌合溝64が、軸方向の上下両端縁部からやや軸方向内方の位置および軸方向中間部分に、適当な間隔、好適には等間隔を隔てて複数(本実施形態においては、4つ)形成されている。そして、図12に示すように、半円環板形状とされた一対の部分ディスク66、66が径方向外側から弾性軸部材62を挟むようにして嵌合溝64に嵌め入れられる。これにより、弾性軸部材62の軸方向両端部および中間部分に、略円板形状を有する複数(本実施形態においては、4つ)の支持部材としてのディスク68が設けられている。そして、前述の第一の実施形態と同様に、かかるディスク68の外周面70に誘電体シート16が巻回せしめられている。
本実施形態から明らかなように、芯材は必ずしもコイルスプリングに限定されるものではなく、軸方向に弾性変形可能なものであれば、何等限定されるものではない。また、芯材を前述の部分コイルスプリング18のような分割構造とすることなく、本実施形態のように、単一の部材で構成することも勿論可能である。
次に、図13に、本発明の第四の実施形態としての電歪型アクチュエータに係る筒型アクチュエータ80を概略的に示す。筒型アクチュエータ80は、芯材としての弾性軸部材82を備えている。弾性軸部材82は、例えばシリコーンゴム等、上記例示の如き弾性部材によって形成されている。そこにおいて、特に本実施形態における弾性軸部材82には、全周に亘って弾性軸部材82の径方向外方に突出する円板形状の支持部84が一体形成されている。支持部84は、弾性軸部材82の軸方向の上下両端縁部からやや軸方向内方の位置および軸方向中間部分に適当な間隔、好適には等間隔を隔てて複数(本実施形態においては、4つ)形成されている。そして、支持部84の外周面86に、誘電体シート16が巻回せしめられている。
本実施形態から明らかなように、支持部を芯材と一体形成することも可能である。そして、このようにすれば、部品点数を低減出来ることから、より容易に製造することが出来て、製造コストも抑えられる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、支持部の軸方向視の形状は必ずしも円形状に限定されるものではなく、例えば矩形や五角形、六角形などの多角形や、更には、自由曲線で与えられる任意形状等、適宜に設定可能である。更に、支持部は全周に亘って連続する必要もないのであって、例えば図14に示す支持部材としてのディスク90のように、中心から径方向外方に向かって延びる1つ以上のアーム92を有するもの等も、好適に採用可能である。かかるディスク90は、前述の第一の実施形態におけるディスク14と同様にしてコイルスプリング12に組み付けられて、アーム92の外周面94に誘電体シート16が被着されることとなる。このようにすれば、支持部の更なる軽量化を図ることが出来る。更にまた、支持部の突出方向は、芯材の軸方向に直交する方向に限定されるものではなく、芯材の軸直角方向に対して斜め方向で突出せしめられる等しても良い。
また、支持部の配設位置や個数は、電歪型アクチュエータに要求される駆動力や軸方向安定性などを考慮して適宜に設定されるものである。例えば、支持部を芯材の軸方向両端部にのみ設けたり、軸方向中間部分にのみ設けることも勿論可能である。
更にまた、上記各実施形態においては、1枚の誘電体シート16が渦巻状に丸められることによって筒形状が形成されていたが、図15に概略的に示すように、全周に亘って連続する円筒形状の誘電膜102と電極層104が径方向で交互に積層せしめられた円筒形状を有する誘電体シート100を用いる等しても良い。なお、このような周方向に連続する誘電体シート100の形成は、例えば、電極層104を形成するための電極材溶液、誘電膜102を形成するための誘電材溶液中に、適当な円柱状の型を交互に浸漬せしめた後に型を取り除いて形成したり、或いは、円柱状の型に電極材溶液、誘電材溶液を交互にスプレーした後に型を取り除いて形成する等しても良い。また、このような筒状の誘電体シート100の支持部の外周面への組み付けは、例えば前記第一の実施形態(図9参照)を例にすれば、コイルスプリング12を圧縮変形せしめたディスク14に対して、自由状態でディスク14の径寸法よりも僅かに小さな内径寸法を有する誘電体シート100をエアなどによって拡径せしめて軸方向で外挿せしめた後に、かかる拡径状態を解除することによって行なうことが出来る。
また、前記各実施形態における誘電体シート16の厚さ寸法や面寸法等の具体的な形状、積層数等は、目的とする駆動力や変位量等を考慮して適宜に設定され得るものであって、何等限定されるものではないことは、言うまでもない。
更にまた、電極層の具体的な形状も何等限定されるものではなく、例えば、誘電膜の表面にメッシュ状に形成する等しても良い。このようにすれば、誘電膜の変形が電極層で拘束されるおそれを軽減することが出来て、誘電膜の変形量をより大きく確保し得る。
本発明の第一の実施形態としての電歪型アクチュエータを概略的に示す軸方向断面説明図。 図1におけるII−II断面に相当する断面説明図。 図1に示した電歪型アクチュエータに設けられる支持部材を概略的に示す上面図。 図3におけるIV−IV断面に相当する断面説明図。 誘電体シートの作動を説明するための説明図。 図1に示した電歪型アクチュエータの要部を拡大して概略的に示す断面説明図。 電極層の非形成領域を説明するための説明図。 図1に示した電歪型アクチュエータの作動を説明するための断面説明図。 同電歪型アクチュエータの製造方法を説明するための説明図。 本発明の第二の実施形態としての電歪型アクチュエータを概略的に示す軸方向断面説明図。 本発明の第三の実施形態としての電歪型アクチュエータを概略的に示す軸方向断面説明図。 同電歪型アクチュエータの上面を概略的に示す説明図。 本発明の第四の実施形態としての電歪型アクチュエータを概略的に示す軸方向断面説明図。 支持部材の異なる態様を説明するための上面説明図。 誘電体シートの異なる態様を説明するための軸直方向断面説明図。
符号の説明
10:筒型アクチュエータ、12:コイルスプリング、14:ディスク、16:誘電体シート、18:部分コイルスプリング、22:外周面、32:誘電膜、34a:電極層、34b:電極層、42:内周面、44:空隙

Claims (9)

  1. 長手方向に弾性変形可能とされた長手状の芯材に対して、誘電体エラストマーからなる誘電膜の両面に電極層を形成した誘電体シートが筒状に巻き付けられており、該電極層への印加電圧に応じて軸方向に伸縮せしめられる電歪型アクチュエータにおいて、
    前記芯材の長手方向で互いに離隔した複数箇所において該芯材の外周面上に突出する支持部を設けると共に、該芯材に巻き付けられた筒状の前記誘電体シートの内周面をそれら支持部の外周面に重ね合わせて支持せしめることにより、該芯材と該誘電体シートの間に隙間を設けたことを特徴とする電歪型アクチュエータ。
  2. 前記支持部が、前記芯材の長手方向両端部にそれぞれ設けられている請求項1に記載の電歪型アクチュエータ。
  3. 前記支持部が、前記芯材の長手方向の中間部分に少なくとも一つ設けられている請求項1又は2に記載の電歪型アクチュエータ。
  4. 前記支持部が、周方向に連続する外周面を有する円板形状とされている請求項1乃至3の何れか一項に記載の電歪型アクチュエータ。
  5. 前記支持部が、前記芯材と別体形成された支持部材によって構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の電歪型アクチュエータ。
  6. 前記芯材が長手方向に分割された複数の部分芯材から構成されており、一対の該部分芯材の間に前記支持部材が介在せしめられることによって、該芯材の長手方向中間部分に前記支持部が設けられている請求項5に記載の電歪型アクチュエータ。
  7. 前記芯材がコイルスプリングである請求項1乃至6の何れか一項に記載の電歪型アクチュエータ。
  8. 長手方向に弾性変形可能とされた長手状の芯材を、該芯材の外周面上に突出する支持部を介して長手方向に弾性変形せしめた状態で、誘電体エラストマーからなる誘電膜の両面に電極層を形成した誘電体シートを該支持部の外周面に被着せしめることによって、該誘電体シートを該芯材に対して隙間を設けて該支持部で支持せしめることを特徴とする電歪型アクチュエータの製造方法。
  9. 前記芯材を前記支持部で長手方向両側から挟んで長手方向に圧縮せしめた状態で、前記誘電体シートを該支持部の外周面に被着せしめる請求項8に記載の電歪型アクチュエータの製造方法。
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