JPWO2014038569A1 - 厚み測定装置及び厚み測定方法 - Google Patents

厚み測定装置及び厚み測定方法

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Abstract

【課題】被測定体の表面と裏面との間に多くの空孔があったり、不要エコーが多い環境でも、超音波を用いて良好な精度で厚みを測定できる厚み測定装置を提供する。【解決手段】皮質骨厚み測定装置1は、振動子24と、受信波形記憶部50と、エコー波形合成部51と、裏面フォーカス波形取得部52と、厚み算出部53と、を備える。振動子24は、複数並べて配置され、それぞれが超音波を送受信可能である。エコー波形合成部51は、超音波ビームのフォーカス位置を走査させながら、当該超音波ビームに対応するエコー波形を、受信波形記憶部50において事前に記憶された各振動子24の受信波形を合成することにより取得する。得られたエコー波形について、裏面フォーカス波形取得部52による評価の結果、皮質骨10の裏面にビームが良好にフォーカスしていると判定されると、厚み算出部53は、当該エコー波形に基づいて皮質骨10の厚みを算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、主に、被測定体に超音波を照射してエコー信号を取得し、これに基づいて当該被測定体の厚みを測定する厚み測定装置に関する。
この種の厚み測定装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の超音波診断装置は、血管壁組織の性状診断を行うためのものであって、被験者の体表に密着するように支持された超音波プローブを備えている。この超音波プローブは、アレー状に配列された複数の超音波振動子を含んでいる。超音波診断装置は、血管外組織及び血管を含む体組織内部へ超音波プローブから超音波を送信する。すると、血管等にて反射、散乱した超音波の一部が超音波プローブへ戻り、エコーとして受信される。このとき、超音波振動子群に与える駆動パルス信号の遅延時間を制御することで、超音波プローブから送信される超音波ビームの音響線の方向や焦点深度を変化させる。また、超音波振動の受信信号の遅延時間を制御することにより、開口径や焦点位置を変化させることもできる。
特許文献1の超音波診断装置は、このエコーによる受信信号の解析及び演算を行い、血管外組織や血管の弾性特性を求める。なお、特許文献1の構成は基本的に2点の厚さ変化量を求めるものであるが、2点の位置の初期値等の特別な情報が与えられる場合には、2点間の厚さそのものも求めることができる旨が開示されている。
特許文献1は主に血管壁組織を測定する超音波診断装置についてのものであるが、近年、骨粗しょう症が注目されるに伴い、骨量と強い関係を持つといわれる皮質骨の厚みを測定することが検討されている。例えば、非特許文献1及び非特許文献2は、皮質骨の表面及び裏面からのエコーをスペクトル処理することにより、皮質骨の厚みを導出する技術を開示する。また、非特許文献3及び非特許文献4では、低周波のラム波を用いることによって皮質骨の厚みを計算して得る方法が提案されている。
特許第4602972号公報
Autocorrelation and Cepstral Methods for Measurement of Tibial Cortical Thickness, Wear et al., IEEE UFFC, vol 50. No 6, June 2003 Ultrasonic Assessment of Cortical Bone Thickness In vitro and In vivo, J.Karjalainen et al., IEEE UFFC, vol 55. No 10, October 2008 Assessment of the tibia using ultrasonic guided waves in pubertal girls, Moilanen et al., Osteoporosis International, vol 14, 2003 Low−frequency axial ultrasound velocity correlates with bone mineral density and cortical thickness in the radius and tibia in pre− and postmenopausal women, Vilappa et al., Vol22. No 4, 2011
しかしながら、上記した皮質骨は、個体差もあるが、その内部に多数の空孔が存在することが多いという特徴がある。また、超音波を使用する場合、空孔の大きさと波長のオーダーがほぼ一致してしまう。従って、このような皮質骨を測定体とする場合には、単純に特許文献1のように超音波ビームを送受信して求めることとすると、皮質骨の裏面からのエコー信号が空孔による散乱等の影響により捕捉されにくくなるので、精度の高い厚み測定が困難になる。
また、非特許文献1及び非特許文献2の方法で皮質骨の厚みを測定する場合、皮質骨の表面と裏面が平行であり、表面が平滑で、かつ骨の内部が均質であること等、理想的な条件を満たすことが前提となる。従って、空孔が多く曲面状である実際の皮質骨について、厚み測定精度を実用的なレベルで確保するのは困難であるといわざるを得ない。
一方で、非特許文献3及び非特許文献4のようにラム波を使った場合は、低周波であるために厚みの測定精度に限界があると言われている。また、ラム波を使う場合は長い伝播距離が必要になるため、測定のロバスト性の観点からも改善の余地が残されていた。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、被測定体の表面と裏面との間に多くの空孔があったり、不要エコーが多い環境でも、超音波を用いて良好な精度で厚みを測定できる厚み測定装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の厚み測定装置が提供される。即ち、この厚み測定装置は、送受波部と、受信波形記憶部と、エコー波形合成部と、裏面フォーカス波形取得部と、厚み算出部と、を備える。前記送受波部は、複数並べて配置され、それぞれが被測定体に超音波を送信可能であるとともに、当該超音波に対するエコー信号を取得可能である。前記受信波形記憶部は、それぞれの前記送受波部で超音波を送信するごとに全ての前記送受波部の受信波形を取得して記憶する。前記エコー波形合成部は、超音波ビームのフォーカス位置を走査させながら、当該超音波ビームに対応するエコー波形を、前記受信波形記憶部において記憶された各送受波部の受信波形を合成することにより取得する。前記裏面フォーカス波形取得部は、前記エコー波形合成部により得られた複数のエコー波形をそれぞれ評価することにより、前記被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得する。前記厚み算出部は、前記裏面フォーカス波形取得部により取得されたエコー波形に基づいて前記被測定体の厚みを算出する。
これにより、被測定体の表面と裏面との間に多くの空孔があったり、不要エコーが多い環境でも、超音波を用いて良好な精度で被測定体の厚みを測定できる厚み測定装置を提供できる。
前記の厚み測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この厚み測定装置は、前記被測定体の表面の位置及び形状を検出する表面検出部を備える。前記エコー波形合成部は、前記被測定体の内外の音速を取得又は仮定した上で、前記フォーカス位置を走査させながら、送信側の送受波部から当該フォーカス位置を経由して受信側の送受波部に到達する超音波の経路を、前記表面検出部で取得した被測定体の表面での屈折を考慮しつつ計算し、この計算の結果に基づいて前記受信波形を合成して前記エコー波形を取得する。
これにより、超音波の伝播経路を精度よくシミュレートしながらエコー波形を合成できるので、厚みの測定精度を向上させることができる。
前記の厚み測定装置においては、前記エコー波形合成部は、前記フォーカス位置を走査させながら、送信側の送受波部から当該フォーカス位置を経由して受信側の送受波部に到達する超音波の伝播時間を計算するとともに、この伝播時間に基づいて計算される遅延時間だけズラして前記受信波形を合成することで前記エコー波形を取得することが好ましい。
これにより、正確な計算でエコー波形を合成しながら、フォーカス位置の走査により、被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得することができる。
前記の厚み測定装置においては、前記エコー波形合成部は、前記超音波ビームのフォーカス位置を2次元で走査させることが好ましい。
これにより、フォーカス位置を被測定体の内部で広範囲に走査できるので、被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスした波形を得られる可能性が高くなる。従って、厚みの測定精度を向上させることができる。
前記の厚み測定装置においては、前記裏面フォーカス波形取得部は、合成されたエコー波形をエンベロープ化し、得られたエコーパターンの形状を評価することで、前記被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得することが好ましい。
これにより、エコー波形をエンベロープの形で評価できるので、被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を簡単かつ確実に識別することができる。
前記の厚み測定装置においては、前記厚み算出部は、前記裏面フォーカス波形取得部により取得されたエコー波形に現れる表面エコーと裏面エコーの時間差に基づいて、前記被測定体の厚みを算出することが好ましい。
これにより、簡単な処理で被測定体の厚みを得ることができる。
前記の厚み測定装置においては、複数の前記送受波部としての振動子を並べて配置したアレイ振動子を備えることが好ましい。
これにより、送受波部のシンプルな配置が実現されるので、受信波形記憶部により記憶した受信波形からエコー波形を的確に合成することができる。
前記の厚み測定装置においては、前記アレイ振動子が備える複数の前記振動子は、一斉に超音波を送信可能であり、かつ、個別のタイミングで超音波を送波可能であることが好ましい。
これにより、それぞれの振動子が個別に超音波を送波することで前記受信波形を容易に得られるとともに、複数の振動子が一斉に送信することで得られる平面波を様々な場面で活用することができる。
前記の厚み測定装置においては、前記被測定体が皮質骨であることが好ましい。
これにより、骨量と強い関係を持つといわれる皮質骨の厚みを高精度で測定できるので、骨強度診断等において有用な情報を提供することができる。
本発明の第2の観点によれば、並べて配置され、それぞれが被測定体に超音波を送信可能であるとともに当該超音波に対するエコー信号を取得可能な複数の送受波部を有する厚み測定装置における、以下のような厚み測定方法が提供される。即ち、この厚み測定方法は、受信波形記憶工程と、エコー波形合成工程と、裏面フォーカス波形選択工程と、厚み算出工程と、を含む。前記受信波形記憶工程では、それぞれの前記送受波部で超音波を送信するごとに全ての前記送受波部の受信波形を取得して記憶する。前記エコー波形合成工程では、超音波ビームのフォーカス位置を走査させながら、当該超音波ビームに対応するエコー波形を、前記受信波形記憶工程において記憶された各送受波部の受信波形を合成することにより取得する。前記裏面フォーカス波形取得工程では、前記エコー波形合成工程で得られたエコー波形をそれぞれ評価することにより、前記被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得する。前記厚み算出工程では、前記裏面フォーカス波形取得工程で取得されたエコー波形に基づいて前記被測定体の厚みを算出する。
これにより、被測定体の表面と裏面との間に多くの空孔があったり、不要エコーが多い環境でも、超音波を用いて良好な精度で被測定体の厚みを測定することができる。
本発明の一実施形態に係る皮質骨厚み測定装置の模式的な断面図及び機能ブロック図。 (a)超音波ビームが皮質骨内の空孔にフォーカスした様子を示す概念図。(b)空孔にフォーカスした場合の受信波形のエンベロープを示すグラフ。 (a)は、超音波ビームが皮質骨の裏面にフォーカスした様子を示す概念図。(b)皮質骨の裏面にフォーカスした場合の受信波形のエンベロープを示すグラフ。 本実施形態の厚み測定方法のフローチャート。 (a)アレイ振動子によって平面波を送波した様子を示す図。(b)アレイ振動子が送波した平面波が皮質骨の表面又は裏面で反射する様子を示す図。 (a)表面反射波を受波している振動子組の近傍を拡大した模式図。(b)振動子組を構成する2つの振動子に到来する表面反射波の伝播経路の差を説明する模式図。 (a)フォーカス位置を変えながらビームフォーミングを行う様子を示す概念図。(b)フォーカス位置がP点である場合の受信波形のエンベロープを示すグラフ。(c)フォーカス位置がQ点である場合の受信波形のエンベロープを示すグラフ。 エンベロープ波形を評価する指標を例示するグラフ。
次に、発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る皮質骨厚み測定装置1の模式的な断面図及び機能ブロック図である。
皮質骨厚み測定装置(厚み測定装置)1は、例えば、脛骨などの長管状の骨の皮質骨について骨強度を診断するものである(ただし、診断対象はこれに限定されない)。具体的に説明すると、骨は一般的に、皮質骨10と、皮質骨10の内側に存在する網目状の海綿骨12とから構成されている。また、皮質骨10の周囲は、筋肉や脂肪などの軟組織11に覆われている。本実施形態の皮質骨厚み測定装置は、軟組織11の外側から皮質骨10に対して超音波を放射し、当該皮質骨10の厚みを測定するように構成されている。従って、本実施形態では、皮質骨10が被測定体に相当する。
図1の左側には、人体の脛の部分を骨の長手方向に直交する平面で切った断面が示されている。図1に示すように、皮質骨10表面の輪郭形状は、径方向(骨の長手方向と直交する方向)に向かって膨らんだ穏やかな曲線状となっている。そこで、以下の説明では、長管状の骨を円柱に見立てて、この断面内において皮質骨10表面に沿うようにして超音波が伝播する方向を、円周方向と称することがある。一方、図示は省略するが、骨の長手方向と平行な平面で切った断面において、皮質骨10の表面輪郭はほぼ直線状となっている。
以下、皮質骨厚み測定装置1の構成について具体的に説明する。図1に示すように、皮質骨厚み測定装置1は、超音波送受波器2と、装置本体3とから構成されている。
超音波送受波器2は、超音波の送波及び受波を行うものである。この超音波送受波器2は、測定部位の軟組織11の表面に当接する当接面2aと、アレイ振動子22と、を備えている。アレイ振動子22は、1列に並んで配列された複数の振動子24からなっている。なお、本実施形態で使用される振動子としては、電気信号を与えられるとその表面が振動して超音波を発射するとともに、その表面に超音波を受波すると電気信号を生成して出力するものが採用されている。
アレイ振動子22は、複数の振動子(送受波部)24を備えている。なお、以下の説明では、複数の振動子24を区別する必要がある場合には、一側から順に小文字のアルファベットを符号の末尾に付し、振動子24a、振動子24b、振動子24c、・・・のように表記することがある。また、同様に個々の振動子24を特定する目的で、振動子24aを1番目、振動子24bを2番目、・・・というように、端から数えて何番目という呼び方をすることがある。この振動子24は、当接面2aと平行になるようにして等間隔で1列に並んで配置されている。また、各振動子24は超音波を送波及び受波可能に構成されている。
この超音波送受波器2を用いて実際に超音波の送受波を行う際には、測定部位の皮膚表面(即ち、軟組織11の外側表面)に超音波ゼリーを塗布し、当該皮膚表面に当接面2aを当接させる。そして、アレイ振動子22によって超音波を送波する。これにより、超音波が、軟組織11を介して、被測定体である皮質骨10に当たる。そして、皮質骨10から帰ってくる超音波は、アレイ振動子22によって受波される。なお、前記超音波ゼリーは、軟組織11と当接面2aとの間に隙間が生じるのを防止するとともに、当接面2aと軟組織11との間の音響インピーダンスを整合させて、アレイ振動子22から送波された超音波が軟組織11の表面で反射するのを抑制するためのものである。
次に、装置本体3について説明する。装置本体3は、ケーブルによって超音波送受波器2と接続されており、当該超音波送受波器2との間で信号の送受信ができるように構成されている。具体的には、この装置本体3は、超音波制御部30と、送信回路31と、複数の受信回路33と、送受信分離部34と、演算部35と、を備えている。
送信回路31は、電気パルス信号を生成してアレイ振動子22に送信することで、アレイ振動子22を振動させて超音波を発生させるように構成されている。電気パルス振動の中心周波数は、例えば1〜10MHz程度である。なお、電気パルス信号の代わりに、例えばチャープ信号を用いても良い。
なお、アレイ振動子22によって超音波を発生させるとき、送信回路31は、複数の振動子24それぞれに対して任意のタイミングの電気パルス信号を生成することができるように構成されている。また、超音波制御部30は送信回路31に接続されており、複数の振動子24から超音波を送波させるための制御信号を送信回路31に送信するように構成されている。これにより、複数の振動子24から、一斉に、あるいは個別のタイミングで超音波を送波するように制御することが可能となっている。
複数の受信回路33は、アレイ振動子22を構成する複数の振動子24にそれぞれ対応して接続されている。各受信回路33は、1つの振動子24が超音波を受波することにより出力する電気信号を受信し、当該電気信号に対して、増幅処理や、フィルタ処理、デジタル変換処理などを施したデジタル信号を生成して演算部35に送信するように構成されている。なお、アレイ振動子22から直接出力される信号はアナログの波形信号であり、演算部35に送信される信号は信号処理されたデジタルの波形信号であるが、以下の説明ではこれらを区別せず、単に「波形信号」と呼ぶことがある。
送受信分離部34は、アレイ振動子22と、前記送信回路31及び前記受信回路33と、の間に接続されている。この送受信分離部34は、送信回路31からアレイ振動子22に送られる電気信号(電気パルス信号)が受信回路33に直接流れるのを防止するとともに、アレイ振動子22から受信回路33に送られる電気信号が送信回路31側に流れるのを防止するためのものである。
次に、本実施形態の厚み測定方法の基本的な考え方について、図2及び図3を参照しながら説明する。
超音波を反射させる対象としては上述のとおり、皮質骨10の裏面のほか空孔10aも考えられるが、皮質骨10の裏面と空孔10aとでは特性がそれぞれ異なる。
即ち、空孔10aは、その大きさが比較的小さく、数が多いとともに、それぞれの骨の中での位置が不規則である。従って、それぞれの空孔10aからの反射波の位相はランダムに現れると考えられる。一方で、皮質骨10の裏面は、通常、1つの連続的な広い面として存在する。従って、皮質骨10の裏面からの反射波の位相は互いに近くなると考えられる。
従って、図2(a)のように超音波ビームが空孔10aの1つにフォーカスする場合、別のところに存在する空孔10aにおいても超音波が反射するので、様々な位相のエコーが受信され、互いに弱め合うことになる(相殺的干渉)。従って、この場合の受信波形のエンベロープ(エコーパターン)は、図2(b)に示すように、皮質骨10表面以外ではピークが明確に現れない。
一方、図3(a)のように超音波ビームを皮質骨10の裏面にフォーカスさせれば、裏面の各部分からのエコーが同位相になるので、互いに強め合うはずである(増加的干渉)。従って、この場合の受信波形のエンベロープ(エコーパターン)は、図3(b)に示すように、皮質骨10の表面反射波のほかに、裏面反射波のピークが明確に現れることになる。
従って、ビームフォーカシング法を使用すれば、上記の特性の違いを活かして、皮質骨10の裏面のエコーを不要エコーに埋もれさせることなく効果的に分離できると考えられる。
ただし、皮質骨10の裏面の位置は未知であるため、即時に裏面にフォーカスすることはできない。従って、本実施形態では、フォーカス位置を適宜走査させつつ、皮質骨10の裏面からの反射波の位相が合うフォーカス位置(図3(a)及び図3(b)のようになるフォーカス位置)を探す。これにより、皮質骨10の裏面からのエコーが良好に分離された受信波形(エコーパターン)を確実に取得できるようにしている。
なお、このフォーカス位置の走査に伴って、皮質骨10の表面反射波によるピークも変化することになる。しかし、軟組織での音速は皮質骨の音速よりも遅いため、フォーカス位置を変化させたときの軟組織での超音波の経路変化は、皮質骨での超音波の経路変化よりも少ない。従って、フォーカス位置が変化しても、皮質骨10の表面反射波によるピーク位置の変動は小さいと考えられるので、皮質骨10の厚み検出精度に対する実質的な影響は少ないということができる。
次に、本実施形態の皮質骨厚み測定装置1において皮質骨10の厚みを測定するための具体的な構成と、皮質骨厚み測定装置1において行われる処理について説明する。図4は、本実施形態の厚み測定方法のフローチャートである。
図1に示す皮質骨厚み測定装置1の装置本体3が備える演算部35は、CPU、RAM、ROMなどのハードウェアと、前記ROMに記憶されたプログラム等のソフトウェアと、から構成される。そして、当該演算部35は、前記ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、形状検出部40、受信波形記憶部50、エコー波形合成部51、裏面フォーカス波形取得部52、厚み算出部53等として機能するように構成されている。言い換えれば、皮質骨厚み測定装置1では、演算部35が、形状検出工程と、受信波形記憶工程と、エコー波形合成工程と、裏面フォーカス波形取得工程と、厚み算出工程と、を順に行うことで、皮質骨10の厚みを測定している。
形状検出部40を説明する。形状検出部40は、後のフォーカシングビーム形成時に超音波伝播経路を計算できるようにするために、骨表面形状の検出を事前に行う。この形状検出部40の機能は、図4のフローチャートにおけるS101の処理(形状検出工程)に相当する。
即ち、超音波の伝播経路を求めるためには、皮質骨10の表面の形状(皮質骨10の断面輪郭形状)を何らかの方法で取得しなければならない。そこで本実施形態では、厚み算出部53によって皮質骨10の厚みを求める前に、形状検出部40による皮質骨10の表面形状の検出を行うこととしている。なお、皮質骨10の表面形状は、別の装置で例えばX線等を用いて測定しても良いが、本実施形態では、皮質骨厚み測定装置1が超音波を用いて皮質骨10の表面形状を測定している。これにより測定の簡便さが向上されている。
形状検出部40によって骨表面形状の検出を行う際には、事前の準備として、アレイ振動子22から超音波の送波を行う。アレイ振動子22によって超音波を送波する様子を、図5を参照して説明する。図5(a)はアレイ振動子22によって超音波を送波した様子を示した図、図5(b)はアレイ振動子22が送波した超音波が皮質骨10の表面又は裏面で反射する様子を示した図である。
アレイ振動子22によって超音波を送波する場合、送信回路31からのパルス信号がアレイ振動子22に送られ、当該アレイ振動子22を構成している複数の振動子24が同時に同位相の超音波を骨に対して送波する。
複数の振動子24が同時に送波することにより、図5(a)に示すような平面波を発生させることができる。この平面波は当接面2aに平行な波であって、当接面2aと直交する向きに軟組織11中を進行する。平面波は、皮質骨10の表面及び裏面で図5(b)のように反射して、振動子24に受波される。
各振動子24が超音波を受信すると、各振動子24が受波した超音波に対応する波形信号が演算部35に送られる。この波形信号を解析することで皮質骨10の表面形状を求めることができる。
なお、理論的には、皮質骨10の表面のみならず裏面で反射した超音波も振動子24によって受信されることになるが、図5(a)のように単純に平面波を発生させた場合、裏面反射波は表面反射波に比べて、空孔10a等の影響もあり捕捉が難しいことが多い。従って、本実施形態の形状検出部40では裏面のエコーの解析を特に行わないこととしている。
以下、形状検出部40について詳細に説明する。演算部35は、形状検出部40として機能することにより、反射波が振動子24に受波されたときの角度及び時間を検出し、これに基づいて皮質骨10の表面形状を求める。
具体的には、形状検出部40は、到来方向検出部41と、到達時間検出部42と、表面反射点検出部43と、骨表面ライン検出部44と、から構成されている。
まず、到来方向検出部41について説明する。到来方向検出部41は、複数の振動子24のうち隣接する2つの振動子を1組として振動子組25を決定し、各振動子組25に到達する超音波の到来方向を検出する。なお、以下の形状検出部40に関する説明において、アレイ振動子22から送波された平面波が皮質骨10の表面で反射して受波された超音波を表面反射波、同じく皮質骨10の裏面で反射して受波された超音波を裏面反射波と称することがある。また、各振動子組25を区別する必要がある場合には、一端の振動子24aの側から順に大文字のアルファベットを符号の末尾に付し、振動子組25A、振動子組25B、・・・のように表記することがある。
以下、図6を参照して具体的に説明する。図6(a)は、表面反射波を受波している振動子組25Aの近傍を拡大した模式図、図6(b)は振動子組を構成する2つの振動子24a,24bに到来する表面反射波の伝播経路の差を説明する模式図である。ある振動子組25において、隣接する2つの振動子24に対する表面反射波の到来方向は近似している。例えば図6において、振動子組25Aを構成する振動子24aと振動子24bには、それぞれ到来角度θaで表面反射波が到来したとみなすことができる。ここで、到来角度θaを求めるために、以下のような演算を行う。
まず、到来方向検出部41は、振動子組25Aを構成する2つの振動子24a,24bが表面反射波のピークを検出する時間差Δtを測定する。なお、前述のように、アレイ振動子22から平面波を送波すると表面反射波及び裏面反射波が発生するが、表面反射波は裏面反射波よりも必ず先に受波されるから、表面反射波のピークを適切に検出することができる。
続いて、この時間差Δtに基づいて、当該振動子組25Aに対する表面反射波の到来角度θaを求める。図6(b)に示すように、振動子24aと振動子24bとの間隔をWとすると、振動子24aには、振動子24bと比べてWsinθaだけ長い距離を伝播して表面反射波が到達する。ここで、軟組織中の音速をSOSsoftとおくと、
SOSsoftΔt=Wsinθa
従って、到来角度θaは、
θa=arcsin(SOSsoftΔt/W)
によって求めることができる。到来方向検出部41は、他の振動子組25についても同様に到来角度を求める。なお、本実施形態では軟組織11中の音速SOSsoftとしては経験により得られた値を用いているが、実測値を用いても良い。
次に、到達時間検出部42について説明する。到達時間検出部42は、アレイ振動子22によって超音波が送波されてから、振動子組25に表面反射波が到達するまでの到達時間Taを求める。本実施形態では、アレイ振動子22によって超音波が送波されてから、振動子組25を構成する2つの振動子24それぞれに表面反射波が到達するまでの時間の平均値を、到達時間Taとしている。なお、平均値に限らず、例えばどちらか一方の振動子24に表面反射波が到達するまでの時間をそのまま到達時間Taとして用いても良い。
次に、表面反射点検出部43について説明する。表面反射点検出部43は、到来角度θaと到達時間Taに基づいて、各振動子組25に到達した表面反射波の反射点Raを検出する。
ここで、図6に示される平面内において、アレイ振動子22が並んでいる方向をx軸とし、x軸と直交する方向をy軸とする。そして、振動子組25Aから反射点Raまでのx軸方向の距離をX、y軸方向の距離をYとおく。図6から明らかなように、表面反射波の伝播距離Laは、
a=Y+Y/cosθa
となる。一方、到達時間Taと軟組織11中の音速SOSsoftを用いると、
a=SOSsoft×Ta
であるから、反射点Raの位置を示す距離X,Yは、
Y=SOSsoft×Ta×cosθ/(1+cosθ)
X=Y×tanθ=SOSsoft×Ta×sinθ/(1+cosθ)
で求めることができる。このように、平面波の到来角度θaと到達時間Taに基づいて、反射点Raの位置を算出することができる。そして、表面反射点検出部43は、他の振動子組25についても同様に反射点を求める。
骨表面ライン検出部44は、表面反射点検出部43が求めた複数の反射点を直線又は曲線で結ぶことにより、骨表面ラインを検出する。反射点は皮質骨10表面上の点であるから、骨表面ラインは皮質骨10の表面形状を表す。
以上のようにして、形状検出部40によって皮質骨10の表面形状(骨表面ライン)を得ることができる。
次に、受信波形記憶部50を説明する。受信波形記憶部50は、複数の振動子24のうち1つから皮質骨10に対して超音波を送波し、全部の振動子24の受信波形(波形信号)をそれぞれ記憶する処理を、送信側の振動子24を1つずつ変えながら繰り返す。
従って、アレイ振動子22を構成する振動子24の数をN個とした場合、記憶される受信波形はN×N通りとなる。なお、以下の説明では、送信側がi番目の振動子24であり、受信側がj番目の振動子24である場合における受信波形を、sij(t)で表すことがある。
なお、この受信波形記憶部50の機能は、図4のフローチャートにおけるS102〜S104の処理(受信波形記憶工程)に相当する。以下、このフローチャートに沿って説明すると、受信波形記憶部50として機能する演算部35は、まず、アレイ振動子22を構成する複数の振動子24から1つを選択し、当該振動子24によって、皮質骨10に対して超音波を送波するよう制御する(S102)。そして、演算部35は、当該振動子24から送波された超音波を各振動子24によって受波し、得られた受信波形を取得してメモリ等の適宜の記憶部に記憶する(S103)。以上の処理を全ての振動子24について行うことにより(S102〜S104)、全ての振動子24の受信波形を送信側の振動子24毎に取得して記憶することができる。
次に、エコー波形合成部51を説明する。このエコー波形合成部51は、フォーカス位置を皮質骨10内で動かしつつ、それぞれのフォーカス位置に対応するフォーカシングビームを形成してエコー波形を合成する。そして、エコー波形合成部51は、皮質骨10の裏面に良好にフォーカスしているか否かの観点でエコー波形を評価し、良好なエコー波形を選択(取得)する。
なお、エコー波形合成部51の機能は、図4のフローチャートにおけるS105〜S109の処理(エコー波形合成工程)に相当する。このフローチャートに沿って説明すると、エコー波形合成部51として機能する演算部35は、まず、皮質骨10の内部でフォーカス位置を定める(S105)。ここでは、皮質骨10の表面形状ラインを考慮して仮想グリッドを図7(a)の破線のように定め、この仮想グリッドの交点群から適当に選択された1点をフォーカス位置としている。次に、演算部35は、皮質骨と軟組織の音速を仮定した上で、音源をシミュレートし、送信側の振動子24から前記フォーカス位置まで伝播して受信側の振動子24に戻るまでの伝播経路を計算する(S106)。このとき、演算部35は、S101の形状検出工程で得られた骨表面情報を用いて、経路の骨表面での屈折を、公知のスネルの法則に基づいて正しく計算する。
なお、音速を仮定する理由は以下のとおりである。即ち、軟組織での音速SOSsoftに関しては、脂肪中、血液中、筋肉中の何れにおいても1450〜1585m/sの比較的小さい範囲に収まっており、音速SOSsoftを上記の範囲内で適当な値に設定して計算しても影響は少ないと考えられる。また、皮質骨10内の音速SOSboneに関しては2900〜3400m/sの範囲で変動し、この音速変動の伝播時間に対する影響は20%弱程度であるが、一方で、人体における脛骨の皮質骨の厚みは経験的に1mm〜4mmの範囲を取り得ることが知られている。従って、皮質骨10内の超音波の伝播時間は皮質骨10の厚みの影響を大きく受ける一方、皮質骨10内の音速変動による影響は少ないから、皮質骨10内の音速SOSboneを2900〜3400m/sの範囲内で適当な値に設定して計算しても問題ないと考えられる。以上の考え方により、本実施形態では、計算の簡便さと処理時間の短縮等の観点から、軟組織での音速SOSsoft及び皮質骨10内の音速SOSboneを、概ね妥当と判断できる値に仮定(固定)して計算を行っている。
ただし、軟組織での音速SOSsoft及び皮質骨10の音速SOSboneを適宜の手段で入力又は測定し、得られた音速を用いて、超音波の伝播経路の骨表面での屈折等を計算するようにしても良いことは勿論である。
具体的にS106の処理を説明すると、演算部35は、上記のように仮定した音速を前提にして、送信側がi番目の振動子24であり、受信側がj番目の振動子24である場合の、フォーカス位置を経由した超音波の伝播経路をシミュレーション計算し、これに基づいて伝播時間tijを計算する。上記の伝播時間tijは、送信側、受信側の振動子24を種々異ならせながら計算される。
次に、演算部35は、複数得られた伝播時間tijのうち最短のものmin(tij)を求め、得られた最短時間min(tij)をそれぞれの伝播時間tijから減算することで、遅延時間Δtijを求める。即ち、遅延時間Δtijは、
Δtij=tij−min(tij
となる。
次に、演算部35は、上記で得られた遅延時間Δtijを用いて、それぞれの受信波形sij(t)をズラしながら加算することにより、上記フォーカシングビームに対応するエコー波形s(t)を合成する(後処理による開口合成、S107)。即ち、エコー波形s(t)は、
s(t)=Σsij(t−Δtij
により求めることができる。
そして演算部35は、得られたエコー波形s(t)に対して公知のエンベロープ化処理を行い、エコーパターンS(t)を形成する(S108)。
次に、演算部35は、得られたエコーパターンS(t)について、皮質骨10の裏面にビームが良好にフォーカスしているか否かを評価する(S109)。この評価方法としては様々に考えられるが、例えば、図8に示されるピーク振幅率、ピーク幅、絶対振幅、ピークリップル数等の定量的な指標を、単独で又は組み合わせて用いれば良い。
ここで、ピーク振幅率とは、1番目に現れるピークと比較して2番目のピークが小さくなった割合である。ピーク幅とは、ピークの大きさに所定の割合(例えば、0.7)を乗じた高さでのピークの幅である。絶対振幅とは、1番目に現れるピークの大きさである。ピークリップル数とは、エコーパターンに現れる脈動(凹凸)をカウントした数である。
なお、S109で行われる評価にあたっては、例えば、ピークリップル数が2又は3であり、1番目のピーク(表面のエコー)及び2番目のピーク(裏面のエコー)の絶対振幅がそれぞれ所定の閾値以上であれば、裏面反射波を良好に分離できていると判定するといった手法を用いることができる。要は、裏面反射波を示す2番目のピークの部分でエコーの位相が揃い、強め合っているような波形を識別できるような指標を用いれば良い。
このエコーパターンの評価の結果、当該エコーパターンに皮質骨10の裏面反射波が良好に現れていると判断すれば、次の厚み算出工程に進む。エコーパターンに皮質骨10の裏面反射波が良好に現れていないと判断した場合は、S105に戻り、フォーカス位置を、前記当接面2aに直交し、かつアレイ振動子22において振動子24が並べられる方向に平行な平面内で適宜ズラす。ここでは、図7(a)の仮想グリッドの交点のうち、直前に設定されていたフォーカス位置とは異なる交点にフォーカス位置を再設定する。その後、上記のS106〜S108の処理をやり直す。
このように、エコー波形合成部51は、S109の評価で皮質骨10の裏面波形が良好に現れていると判定されるまで、フォーカス位置を図7(a)の仮想グリッド上で走査させつつエコー波形を次々に合成してエコーパターンを作成する。従って、S105〜S108の処理が1回行われるごとに(即ちフォーカス位置ごとに)、1つのエコーパターンが得られることになる。図7(b)には図7(a)のP点にフォーカス位置が定められたときのエコーパターンの例が示され、図7(c)には図7(a)のQ点にフォーカス位置が定められたときのエコーパターンの例が示されている。裏面フォーカス波形取得部52は、このように得られる様々なエコー波形を評価し、裏面反射波が良好に現れているもの、例えば図7(c)のような波形を識別する。これにより、皮質骨10の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を見つけることができる。
次に、厚み算出部53を説明する。厚み算出部53は、裏面フォーカス波形取得部52によって得られたエコー波形に基づき、皮質骨10の厚みを計算する。なお、厚み算出部53の機能は、図4のフローチャートにおけるS110の処理(エコー波形合成工程)に相当する。
具体的には、演算部35は厚み算出部53として機能し、上記のエコー波形(エコーパターン)から、最大のピークと、その次に現れるピークと、の時間差を求め、下記の式に基づいて皮質骨10の厚みを算出する。
即ち、皮質骨中の音速をSOSboneとし、エコーパターン(図7(c)を参照)に最大のピークが現れたタイミングをTp1とし、次のピークが現れたタイミングをTp2とすると、皮質骨10の厚みEは、
E=SOSbone×(Tp2−Tp1)/2
で求めることができる。
以上が本実施形態の皮質骨厚み測定装置1及び厚み測定方法の説明であり、このようにすることで、空孔10a等による干渉が皮質骨10の厚みを正確に求めることができる。
なお、本願発明者は、本実施形態の皮質骨厚み測定装置1で人体の皮質骨10の厚みを実際に測定した結果を検証するために、同じ被験者の同一部位をCT断層撮影し、得られたCT画像と比較した。すると、皮質骨10の厚み測定のデータとCT画像とを重ね合わせた結果、高い精度で測定値が一致していることが確認できた。従って、本実施形態の皮質骨厚み測定装置1が良好な精度で皮質骨10の厚みを測定できることが裏付けられた。
以上に説明したように、本実施形態の皮質骨厚み測定装置1は、振動子24と、受信波形記憶部50と、エコー波形合成部51と、裏面フォーカス波形取得部52と、厚み算出部53と、を備える。振動子24は、複数並べて配置され、それぞれが皮質骨10に超音波を送信可能であるとともに当該超音波に対するエコー信号を取得可能に構成されている。受信波形記憶部50は、それぞれの振動子24で超音波を送信するごとに全ての振動子24の受信波形を取得して記憶する。エコー波形合成部51は、超音波ビームのフォーカス位置を走査させながら、当該超音波ビームに対応するエコー波形を、受信波形記憶部50において記憶された各振動子24の受信波形を合成することにより取得する。裏面フォーカス波形取得部52は、エコー波形合成部51により得られたエコー波形を評価することにより、皮質骨10の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得する。厚み算出部53は、裏面フォーカス波形取得部52により取得されたエコー波形に基づいて皮質骨10の厚みを算出する。
これにより、表面と裏面との間に多くの空孔があったり、不要エコーが多い環境でも、良好な精度で皮質骨10の厚みを測定することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
フォーカス位置の走査は、皮質骨10の裏面にビームが良好にフォーカスしているかどうかを示す定量的な評価指標の値が所定の閾値以上になった時点で打ち切っても良いが、一方で、全ての位置を走査した上で、評価指標の値が最高を示すフォーカス波形を選択するようにしても良い。
フォーカス位置は、図7(a)に示すように皮質骨10の表面形状ラインに沿う仮想グリッドに沿って2次元で走査させることに限らず、アレイ振動子22の長手方向(振動子24の並べられる方向)に平行な方向と、当接面2aに垂直な方向と、の2次元で走査させても良い。また、フォーカス位置を、当接面2aに垂直な方向にのみ1次元で走査させても良い。
合成により得られたエコー波形は、エンベロープ化しない状態で、裏面に良好にフォーカスしているかどうかを評価するように構成しても良い。
上記の演算部35は、超音波送受波器2側に備えるように変更しても良い。また、超音波送受波器2と装置本体3とが別々に備えられる構成に限らず、超音波送受波器2と装置本体3とを一体化しても良い。
本発明の厚み測定装置は、骨の厚みを測定する用途に限らず、他の用途に広く適用することができる。例えば、厚み測定装置を、内部から腐食している可能性がある金属パイプの厚み測定を初めとした非破壊検査等に用いることが考えられる。
1 皮質骨厚み測定装置(厚み測定装置)
24 振動子(送受波部)
40 形状検出部
50 受信波形記憶部
51 エコー波形合成部
52 裏面フォーカス波形取得部
53 厚み算出部

Claims (10)

  1. 並べて配置され、それぞれが被測定体に超音波を送信可能であるとともに当該超音波に対するエコー信号を取得可能な複数の送受波部と、
    それぞれの前記送受波部で超音波を送信するごとに全ての前記送受波部の受信波形を取得して記憶する受信波形記憶部と、
    超音波ビームのフォーカス位置を走査させながら、当該超音波ビームに対応するエコー波形を、前記受信波形記憶部において記憶された各送受波部の受信波形を合成することにより取得するエコー波形合成部と、
    前記エコー波形合成部により得られたエコー波形をそれぞれ評価することにより、前記被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得する裏面フォーカス波形取得部と、
    前記裏面フォーカス波形取得部により取得されたエコー波形に基づいて前記被測定体の厚みを算出する厚み算出部と、
    を備えることを特徴とする厚み測定装置。
  2. 請求項1に記載の厚み測定装置であって、
    前記被測定体の表面の位置及び形状を検出する表面検出部を備え、
    前記エコー波形合成部は、前記被測定体の内外の音速を取得又は仮定した上で、前記フォーカス位置を走査させながら、送信側の送受波部から当該フォーカス位置を経由して受信側の送受波部に到達する超音波の経路を、前記表面検出部で取得した被測定体の表面での屈折を考慮しつつ計算し、この計算の結果に基づいて前記受信波形を合成して前記エコー波形を取得することを特徴とする厚み測定装置。
  3. 請求項2に記載の厚み測定装置であって、
    前記エコー波形合成部は、前記フォーカス位置を走査させながら、送信側の送受波部から当該フォーカス位置を経由して受信側の送受波部に到達する超音波の伝播時間を計算するとともに、この伝播時間に基づいて計算される遅延時間だけズラして前記受信波形を合成することで前記エコー波形を取得することを特徴とする厚み測定装置。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の厚み測定装置であって、
    前記エコー波形合成部は、前記超音波ビームのフォーカス位置を2次元で走査させることを特徴とする厚み測定装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の厚み測定装置であって、
    前記裏面フォーカス波形取得部は、合成されたエコー波形をエンベロープ化し、得られたエコーパターンの形状を評価することで、前記被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得することを特徴とする厚み測定装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の厚み測定装置であって、
    前記厚み算出部は、前記裏面フォーカス波形取得部により取得されたエコー波形に現れる表面エコーと裏面エコーの時間差に基づいて、前記被測定体の厚みを算出することを特徴とする厚み測定装置。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載の厚み測定装置であって、
    複数の前記送受波部としての振動子を並べて配置したアレイ振動子を備えることを特徴とする厚み測定装置。
  8. 請求項7に記載の厚み測定装置であって、
    前記アレイ振動子が備える複数の前記振動子は、一斉に超音波を送信可能であり、かつ、個別のタイミングで超音波を送波可能であることを特徴とする厚み測定装置。
  9. 請求項1から8までの何れか一項に記載の厚み測定装置であって、
    前記被測定体が皮質骨であることを特徴とする厚み測定装置。
  10. 並べて配置され、それぞれが被測定体に超音波を送信可能であるとともに当該超音波に対するエコー信号を取得可能な複数の送受波部を有する厚み測定装置における厚み測定方法であって、
    それぞれの前記送受波部で超音波を送信するごとに全ての前記送受波部の受信波形を取得して記憶する受信波形記憶工程と、
    超音波ビームのフォーカス位置を走査させながら、当該超音波ビームに対応するエコー波形を、前記受信波形記憶工程において記憶された各送受波部の受信波形を合成することにより取得するエコー波形合成工程と、
    前記エコー波形合成工程で得られたエコー波形をそれぞれ評価することにより、前記被測定体の裏面にビームが良好にフォーカスしているエコー波形を取得する裏面フォーカス波形取得工程と、
    前記裏面フォーカス波形取得工程で取得されたエコー波形に基づいて前記被測定体の厚みを算出する厚み算出工程と、
    を含むことを特徴とする厚み測定方法。
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