JP2015173879A - 音速測定装置、音速測定方法、及び音速測定プログラム - Google Patents

音速測定装置、音速測定方法、及び音速測定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】対象物における超音波の速度を正確に測定する。【解決手段】対象物に対して対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、対象物における超音波の速度を測定する音速測定装置を対象とする。音速測定装置1dは、受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が対象物を伝播したと仮定した場合における、複数の速度仮定値のそれぞれに対する受信信号の強度である強度スペクトラムを算出する強度スペクトラム算出部58aと、強度スペクトラムに基づき対象物における超音波の速度を算出する速度算出部60aと、を備えている。【選択図】図29

Description

本発明は、対象物における超音波の速度を測定する音速測定装置、音速測定方法、及び音速測定プログラムに関する。
従来より、対象物における音速を測定する音速測定装置が知られている。例えば、特許文献1には、対象物としての骨の表面形状が曲線状であっても、骨の表面に沿って伝播する超音波の音速を精度良く導出可能な骨強度診断装置(音速測定装置)が開示されている。また、非特許文献1には、特異値分解を行うことにより、所望の低周波の対象波を、他の不要な波の影響を取り除いた状態で、正確に検出できる技術が開示されている。
米国特許8246542号明細書
Magali Sasso他4名、「DEVELOPMENT OF A MULTI-DIMENSIONAL SVD BASED TECHNIQUE FOR MULTI-RECEIVERS ULTRASOUND USED IN BONE STATUS CHARACTERIZATION」、IEEE、2006、P663-P666
ところで、特許文献1に記載の音速測定装置は、ノイズが多い環境においては、測定結果にバラつきが生じてしまう。また、非特許文献1に記載の技術では、対象波に対して不要波の強度が強いと、正確な測定が行えなくなる。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、対象物における超音波の速度を、ノイズ及び不要波の影響を極力受けることなく、正確に測定することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る音速測定装置は、対象物に対して該対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて前記対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記対象物における超音波の速度を測定する音速測定装置であって、前記受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、前記対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が前記対象物を伝播したと仮定した場合における、前記複数の速度仮定値のそれぞれに対する前記受信信号の強度である強度スペクトラムを算出する強度スペクトラム算出部と、前記強度スペクトラム算出部で算出された前記強度スペクトラムに基づき、前記対象物における超音波の速度を算出する速度算出部と、を備えている。
(2)好ましくは、前記音速測定装置は、前記複数の受信部のそれぞれで受信された各前記受信信号に対して、前記対象物に所定の入射角度で入射した超音波が各前記受信部に受信されるまでの伝搬経路に応じた伝搬時間で遅延処理を行うことにより、各前記受信信号のうち前記対象物に前記所定の入射角度で入射した超音波に基づく受信信号である対象受信信号の位相を揃える遅延処理部、を更に備え、前記強度スペクトラム算出部は、前記遅延処理が行われた前記受信信号に前記適応ビームフォーミング法を適用する。
(3)更に好ましくは、前記音速測定装置は、各前記対象受信信号の包絡線のピーク値に基づいて、各前記受信信号の増幅処理を行う増幅処理部、を更に備え、前記強度スペクトラム算出部は、前記遅延処理及び前記増幅処理が行われた各前記受信信号に前記適応ビームフォーミング法を適用する。
(4)好ましくは、前記速度算出部は、前記強度スペクトラム算出部で算出された前記強度スペクトラムのピーク値を検出し、該ピーク値における前記速度仮定値を、前記対象物における超音波の速度として算出する。
(5)好ましくは、前記音速測定装置は、各前記受信信号に基づいて生成される相関行列に対して、複数方向から到来する超音波の相関性を抑圧する相関性抑圧部、を更に備えている。
(6)更に好ましくは、前記相関性抑圧部は、前記相関行列に基づいて、複数方向から到来する超音波の相関性を抑圧する平均処理を行って平均相関行列を算出する平均相関行列算出部、を有している。
(7)好ましくは、前記音速測定装置は、前記伝搬時間を前記対象物の形状に基づいて導出する伝搬時間導出部を更に備えている。
(8)更に好ましくは、前記音速測定装置は、前記対象物に送信された超音波又は電磁波のエコーに基づいて前記対象物の形状を導出する形状検出部を更に備え、前記伝搬時間導出部は、前記形状検出部で導出された前記対象物の形状に基づいて前記伝搬時間を導出する。
(9)好ましくは、前記音速測定装置は、前記他の物質としての軟組織を介して前記対象物としての皮質骨に送信されて該皮質骨を伝播し、前記複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記皮質骨における超音波の速度を測定する。
(10)好ましくは、前記音速測定装置は、前記送信部及び前記複数の受信部を有するプローブを更に備えている。
(11)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る音速測定方法は、対象物に対して該対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて前記対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記対象物における超音波の速度を測定する音速測定方法であって、前記受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、前記対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が前記対象物を伝播したと仮定した場合における、前記複数の速度仮定値のそれぞれに対する前記受信信号の強度である強度スペクトラムを算出するステップと、前記強度スペクトラムに基づき、前記対象物における超音波の速度を算出するステップと、を含む。
(12)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る音速測定プログラムは、対象物に対して該対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて前記対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記対象物における超音波の速度を測定するための音速測定プログラムであって、前記受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、前記対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が前記対象物を伝播したと仮定した場合における、前記複数の速度仮定値のそれぞれに対する前記受信信号の強度である強度スペクトラムを算出するステップと、前記強度スペクトラムに基づき、前記対象物における超音波の速度を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、対象物における超音波の速度を、ノイズ及び不要波の影響を極力受けることなく、正確に測定できる。
本発明の実施形態に係る骨強度診断装置の構成を示す模式図及びブロック図を、診断対象となる骨の概略形状の横断面図とともに示す図である。 形状検出部の構成を示すブロック図である。 アレイ振動子で送受信される超音波について説明するための模式図である。 図4(A)は、表面反射波を受信している振動子組の近傍を拡大した模式図であり、図4(B)は振動子組を構成する2つの振動子に到来する表面反射波の伝播経路の差を説明する模式図である。 遅延時間算出処理部の構成を示すブロック図である。 送信専用振動子から送信された超音波が、ある振動子に到達するまでの複数の伝播経路を概念的に示した図である。 送信専用振動子が超音波を送信した後、各振動子が超音波を受信して出力する波形信号の波形を示すグラフである。 表面屈折波の伝播経路の算出方法を説明する模式図である。 仮定伝播時間tと、振動子24aからの距離xとの関係を示すt−x曲線を示すグラフである。 複数の速度仮定値に対して算出された複数のt−x曲線を示す図である。 処理対象信号生成部の構成を示すブロック図である。 処理対象信号生成部で行われる信号処理を説明するための図である。 遅延処理部による遅延処理を説明するためのグラフである。 増幅処理部による増幅処理を説明するためのグラフである。 速度算出処理部の構成を示すブロック図である。 速度算出処理部で行われる信号処理を説明するための図である。 相関行列生成部で生成される相関行列について説明するための図であって、超音波送受信器を模式的に示す図である。 強度スペクトラム算出部で算出された強度スペクトラムの一例を示す図である。 音速領域強度スペクトラム算出部で算出された音速領域強度スペクトラムの一例を示す図であって、図18から生成された音速領域強度スペクトラムを示す図である。 骨強度診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。 処理対象信号生成部の動作を説明するためのフローチャートである。 速度算出処理部の動作を説明するためのフローチャートである。 各振動子の受信信号に対してビームフォーミング法を適用することにより生成される強度スペクトラムの一例を示す図であって、図18に対応させて示す図である。 図23に示す強度スペクトラムから導出された音速領域強度スペクトラムの一例を示す図であって、図19に対応させて示す図である。 変形例に係る骨強度診断装置の構成を示す模式図及びブロック図を、診断対象となる骨の概略形状の横断面図とともに示す図である。 変形例に係る骨強度診断装置の演算部の構成を示すブロック図である。 変形例に係る骨強度診断装置の構成を示すブロック図である。 変形例に係る骨強度診断装置の構成を示すブロック図である。 変形例に係る骨強度診断装置の構成を示すブロック図である。 変形例に係る骨強度診断装置の超音波送受信器の構成を模式的に示す図である。
本発明の実施形態に係る音速測定装置としての骨強度診断装置1は、例えば、脛骨、橈骨などの長管状の骨の皮質骨について骨強度を診断するものである(ただし、診断対象はこれらに限定されない)。以下、骨強度診断装置1の構成を説明する前に、まず、診断対象となる骨の形状について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る骨強度診断装置1の構成を示す模式図及びブロック図を、診断対象となる骨の概略形状の横断面図とともに示す図である。骨は、一般的に、皮質骨10と、皮質骨10の内側に存在する網目状の海綿骨12とから構成されている。また、皮質骨10の周囲は、筋肉や脂肪などの軟組織11に覆われている。本実施形態の骨強度診断装置1は、軟組織11の外側から皮質骨10に対して超音波を放射し、当該皮質骨10中の音速(骨速度SOS)を測定するように構成されている。
図1の左側には、人体の脛の部分を骨の長手方向に直交する平面で切った断面が示されている。図1に示すように、皮質骨10表面の輪郭形状は、径方向(骨の長手方向と直交する方向)に向かって膨らんだ穏やかな曲線状となっている。一方、図示は省略するが、骨の長手方向と平行な平面で切った断面において、皮質骨10の表面輪郭はほぼ直線状となっている。
[骨強度診断装置の全体構成]
骨強度診断装置1では、該骨強度診断装置1で測定される皮質骨10中の音速等に基づき、患者の骨の強度を診断可能なように構成されている。骨強度診断装置1は、図1に示すように、超音波送受信器2と、装置本体3とを備えている。
[超音波送受信器の構成]
超音波送受信器2は、超音波の送信及び受信を行うものである。この超音波送受信器2は、測定部位の軟組織11の表面に当接する送受信面2aと、送信専用振動子21と、アレイ振動子22と、遮音材23と、を備えている。アレイ振動子22は、1列に並んで配列された複数の振動子24からなっている。また、送信専用振動子21と遮音材23は、アレイ振動子22の配列方向に沿って並んで配置されている。なお、本実施形態で使用される振動子としては、電気信号を与えられるとその表面が振動して超音波を発射するとともに、その表面に超音波を受信すると電気信号を生成して出力するものが採用されている。
送信専用振動子(送信部)21は、その表面が送受信面2aに対して傾くように設置され、送受信面2aから超音波を斜め方向に送信できるように構成されている。送信専用振動子21としては、放射する超音波の指向性が弱い(超音波の角度範囲が広い)ものが用いられる。
アレイ振動子22は、複数の振動子24を備えている。各振動子24は超音波を送信及び受信可能に構成されている。なお、以下の説明では、複数の振動子24を区別する必要がある場合には、送信専用振動子21に近い側から順に小文字のアルファベットを符号の末尾に付し、振動子24a、振動子24b、振動子24c、・・・、振動子24N、のように表記することがある。この振動子24は、送受信面2aと平行になるようにして等間隔で1列に並んで配置されている。
遮音材23は板状に形成され、送信専用振動子21とアレイ振動子22との間に配置される。この遮音材23は、送信専用振動子21から送信された超音波が、超音波送受信器2内を伝播してアレイ振動子22に直接到達してしまうことを防止するためのものである。なお、遮音材23の材料としては、例えば、コルク、合成ゴム、多孔質材(例えば発泡樹脂)などの吸音作用を有する材料を用いることができる。
次に、装置本体3について説明する。装置本体3は、ケーブルによって超音波送受信器2と接続されており、当該超音波送受信器2との間で信号の送受信ができるように構成されている。具体的には、この装置本体3は、超音波制御部30と、送信回路31と、送信切替部32と、複数の受信回路33と、送受信分離部34と、演算部35と、を備えている。
送信回路31は、送信専用振動子21又はアレイ振動子22を振動させて超音波を発生させるための電気パルス信号を生成するとともに、この電気パルス信号を送信切替部32に送信するように構成されている。電気パルス振動の中心周波数は、例えば1〜10MHz程度である。なお、電気パルス信号の代わりに、例えばチャープ信号を用いても良い。
なお、アレイ振動子22によって超音波を発生させる場合には、送信回路31は、複数の振動子24それぞれに対して任意のタイミングの電気パルス信号を生成することができるように構成されている。また、超音波制御部30は送信回路31に接続されており、複数の振動子24から超音波を送信させるための制御信号を送信回路31に送信するように構成されている。これにより、複数の振動子24から、一斉に、あるいは個別のタイミングで超音波を送信するように制御することが可能となっている。
送信切替部32は、送信回路31から送信される電気パルス信号を、送信専用振動子21又はアレイ振動子22の何れに送信するかを切り替えるように構成されている。即ち、送信切替部32によって、超音波の送信を行う振動子が選択される。
複数の受信回路33は、アレイ振動子22を構成する複数の振動子24にそれぞれ対応して接続されている。各受信回路33は、1つの振動子24が超音波を受信することにより出力する電気信号を受信し、当該電気信号に対して、増幅処理、フィルタ処理、デジタル変換処理などを施したデジタル信号を生成して演算部35に送信するように構成されている。なお、アレイ振動子22から直接出力される信号はアナログの波形信号であり、演算部35に送信される信号は信号処理されたデジタルの波形信号であるが、以下の説明ではこれらを区別せず、単に「波形信号」と呼ぶことがある。
送受信分離部34は、アレイ振動子22と、前記送信回路31及び前記受信回路33と、の間に接続されている。この送受信分離部34は、送信回路31からアレイ振動子22に送られる電気信号(電気パルス信号)が受信回路33に直接流れるのを防止するとともに、アレイ振動子22から受信回路33に送られる電気信号が送信回路31側に流れるのを防止するためのものである。
演算部35は、形状検出部40と、遅延時間算出処理部45と、処理対象信号生成部50と、速度算出処理部55と、を有している。演算部35は、CPU、RAM及びROM(図示せず)等を含むハードウェアを用いて構成されている。また、演算部35は、ROMに記憶された音速測定プログラムを含むソフトウェアを用いて構成されている。
上記音速測定プログラムは、本発明の一実施形態における音速測定方法を、演算部35に実行させるためのプログラムである。このプログラムは、外部からインストールできる。このインストールされるプログラムは、例えば、記録媒体に格納された状態で流通する。上記ハードウェアとソフトウェアとは、協働して動作するように構成されている。これにより、演算部35を、形状検出部40、遅延時間算出処理部45、処理対象信号生成部50、及び速度算出処理部55として機能させることができる。演算部35では、これらの構成要素が所定の動作を行うことにより、皮質骨10における超音波の速度(骨速度SOS)を正確に計測することができる。計測された骨速度は、例えば、図示しない表示部に表示される。形状検出部40、遅延時間算出処理部45、処理対象信号生成部50、及び速度算出処理部55については、以下で順に詳しく説明する。
[形状検出部の構成]
形状検出部40は、皮質骨10の表面形状を検出可能に構成されている。形状検出部40では、皮質骨10のうち超音波送受信器2の送受信面2a側の部分の表面形状が検出される。
図2は、形状検出部40の構成を示すブロック図である。形状検出部40は、到来方向検出部41と、到達時間検出部42と、表面反射点検出部43と、骨表面ライン検出部44と、を有している。なお、以下では、まず、形状検出部40で皮質骨10の形状検出が行われる際に超音波送受信器2で送受信される超音波について説明する。その後、形状検出部40の構成要素である到来方向検出部41、到達時間検出部42、表面反射点検出部43、及び骨表面ライン検出部44について説明する。
形状検出部40が動作する際(すなわち、皮質骨10の形状検出が行われる際)には、アレイ振動子22を構成する複数の振動子24が、超音波を送信及び受信する。すなわち、振動子24は、超音波を送信する送信部、及び超音波を受信する受信部、の双方として機能する。なお、皮質骨10の形状検出の際には、送信専用振動子21は超音波を送信しない。
図3は、皮質骨10の形状検出が行われる際に、アレイ振動子22で送受信される超音波について説明するための模式図である。図3(A)は、アレイ振動子22から超音波が送信されたときの様子を示す図、図3(B)は、アレイ振動子22から送信された超音波が皮質骨10の表面及び裏面で反射されたときの様子を示す図、である。
アレイ振動子22によって超音波を送信する場合、送信切替部32によって、超音波の送信を行う振動子としてアレイ振動子22が決定される。そして、送信回路31からのパルス信号がアレイ振動子22に送られ、当該アレイ振動子22を構成している複数の振動子24が同時に同位相の超音波を骨に対して送信する。
複数の振動子24が同時に送信することにより、図3(A)に示すような平面波を発生させることができる。この平面波は送受信面2aに平行な波であって、送受信面2aと直交する向きに軟組織11中を進行する。平面波は、皮質骨10の表面及び裏面で図3(B)のように反射して、振動子24に受信される。振動子24に受信されたエコーは、受信回路33によってデジタル信号に変換された後、形状検出部40に出力される。
到来方向検出部41は、複数の振動子24のうち隣接する2つの振動子を1組として振動子組25を決定し(図3参照)、各振動子組25に到達する超音波の到来方向を検出する。なお、以下の形状検出部40に関する説明において、アレイ振動子22から送信された平面波が皮質骨10の表面で反射して受信された超音波を表面反射波、同じく皮質骨10の裏面で反射して受信された超音波を裏面反射波と称することがある。また、各振動子組25を区別する必要がある場合には、送信専用振動子21に近い側から順に大文字のアルファベットを符号の末尾に付し、振動子組25A、振動子組25B、・・・のように表記することがある。
以下、図4を参照して具体的に説明する。図4(A)は、表面反射波を受信している振動子組25Aの近傍を拡大した模式図、図4(B)は振動子組を構成する2つの振動子24a,24bに到来する表面反射波の伝播経路の差を説明する模式図である。ある振動子組25において、隣接する2つの振動子24に対する表面反射波の到来方向は近似している。例えば図4において、振動子組25Aを構成する振動子24aと振動子24bには、それぞれ到来角度θaで表面反射波が到来したとみなすことができる。ここで、到来角度θaを求めるために、以下のような演算を行う。
まず、到来方向検出部41は、振動子組25Aを構成する2つの振動子24a,24bが表面反射波のピークを検出する時間差Δtを測定する。なお、前述のように、アレイ振動子22から平面波を送信すると表面反射波及び裏面反射波が発生するが、表面反射波は裏面反射波よりも必ず先に受信されるから、表面反射波のピークを適切に検出することができる。
続いて、この時間差Δtに基づいて、当該振動子組25Aに対する表面反射波の到来角度θaを求める。図4(B)に示すように、振動子24aと振動子24bとの間隔をWとすると、振動子24aには、振動子24bと比べてWsinθaだけ長い距離を伝播して表面反射波が到達する。ここで、軟組織中の音速をSOSsoftとおくと、SOSsoftΔt=Wsinθa、となるため、到来角度θaは、以下の(1)式によって求めることができる。
[数1]
θa=arc sin(SOSsoftΔt/W) …(1)
到来方向検出部41は、他の振動子組25についても同様に到来角度を求める。なお、本実施形態では軟組織11中の音速SOSsoftとしては経験により得られた値を用いているが、実測値を用いても良い。
到達時間検出部42は、アレイ振動子22によって超音波が送信されてから、振動子組25に表面反射波が到達するまでの到達時間Taを求める。本実施形態では、アレイ振動子22によって超音波が送信されてから、振動子組25を構成する2つの振動子24それぞれに表面反射波が到達するまでの時間の平均値を、到達時間Taとしている。なお、平均値に限らず、例えばどちらか一方の振動子24に表面反射波が到達するまでの時間をそのまま到達時間Taとして用いても良い。
表面反射点検出部43は、到来角度θaと到達時間Taに基づいて、各振動子組25に到達した表面反射波の反射点Raを検出する。
ここで、図4に示される平面内において、アレイ振動子22が並んでいる方向をx軸とし、x軸と直交する方向をy軸とする。そして、振動子組25Aから反射点Raまでのx軸方向の距離をX、y軸方向の距離をYとおく。図4から明らかなように、表面反射波の伝播距離Laは、La=Y+Y/cosθa、となる。一方、到達時間Taと軟組織11中の音速SOSsoftを用いると、La=SOSsoft×Ta、であるから、反射点Raの位置を示す距離X,Yは、以下の(2)式で求めることができる。
[数2]
Y=SOSsoft×Ta×cosθ/(1+cosθ)
X=Y×tanθ=SOSsoft×Ta×sinθ/(1+cosθ) …(2)
このように、平面波の到来角度θaと到達時間Taに基づいて、反射点Raの位置を算出することができる。そして、表面反射点検出部43は、他の振動子組25についても同様に反射点を求める。
骨表面ライン検出部44は、表面反射点検出部43が求めた複数の反射点を直線又は曲線で結ぶことにより、骨表面ラインを検出する。反射点は皮質骨10表面上の点であるから、骨表面ラインは皮質骨10の表面形状を表す。
[遅延時間算出処理部の構成]
図5(A)は、遅延時間算出処理部45の構成を示すブロック図である。遅延時間算出処理部45は、図5(A)に示すように、仮定伝播時間算出部46(伝播時間導出部)と、遅延時間算出部47と、を有している。
遅延時間算出処理部45では、送信専用振動子21から送信された超音波のうちの表面伝播波(詳しくは後述する)が各振動子24a,24b,24c,…に到達するまでの時間が算出される。そして、遅延時間算出処理部45では、送信専用振動子21に最も近い振動子24a(以下、基準振動子24aと称する場合もある)に表面伝播波が到達した時刻を基準とした、表面伝播波の各振動子24b,24c,…への到達遅延時間(遅延時間)が算出される。以下では、まず、送信専用振動子21から送信された超音波が各振動子24a,24b,24c,…に到達するまでの伝播経路について説明し、その後、仮定伝播時間算出部46、及び遅延時間算出部47について説明する。
図6は、送信専用振動子21から送信された超音波が、ある振動子24に到達するまでの複数の伝播経路を概念的に示した図である。送信専用振動子21によって超音波を送信する場合、送信切替部32によって、超音波の送信を行う振動子として送信専用振動子21が決定される。そして、送信回路31からのパルス信号が送信専用振動子21に送られると、当該送信専用振動子21は、パルス状に変調された超音波を、皮質骨10に対して斜め方向に送信する。
図6に示すように、送信専用振動子21から送信された超音波は、複数の伝播経路を経由してアレイ振動子22に受信される。アレイ振動子22に超音波が受信されると、各振動子24からの波形信号が遅延時間算出処理部45に送信される。なお、図6では、1つの振動子24に到達する超音波の例のみを示しているが、実際は、すべての振動子24のそれぞれに対して複数の経路で超音波が到達し得る。
送信専用振動子21から送信された超音波が伝播する複数の経路について、図6を参照して説明する。図6に示すように、直接波は、送信専用振動子21から送信された超音波が軟組織11の表面に沿って伝播して、振動子24に直接到達するものである。表面からの反射波は、送信専用振動子21から送信された超音波が軟組織11内を伝播し、皮質骨10の表面(軟組織11と皮質骨10との境界面)で反射して振動子24に到達するものである。また、裏面からの反射波は、軟組織11中を伝播した超音波が、皮質骨10内に入射して当該皮質骨10内を伝播し、皮質骨10の裏面(皮質骨10と海綿骨12との境界面)で反射した後、再び軟組織11中に放射されて振動子24に到達するものである。
また、送信専用振動子21から送信された超音波が、軟組織11中を伝播し、皮質骨10に当たり、当該皮質骨10表面近傍を伝播し、再び軟組織11中に放射されて振動子24に到達する場合もある。本明細書では、このような伝播経路を経て受信される超音波(対象超音波)を、表面伝播波と呼ぶ。表面伝播波には、漏洩表面波と表面屈折波の2通りの伝播経路がある。
皮質骨10の表面に臨界角で超音波が当たると、皮質骨10表面に表面波が発生する。この表面波は、軟組織11側に所定方向(出射角が臨界角となる方向)に漏洩波を放射しつつ、皮質骨10の表面に沿って伝播する。このとき振動子24によって受信される漏洩波を、漏洩表面波と呼ぶ。一方、臨界角よりも小さい角度で皮質骨10の表面に超音波が当たると、皮質骨10表面で屈折する。このとき、臨界角に近い入射角で超音波が入射した場合は、皮質骨10内であって当該皮質骨10の表面近傍を伝播した後、皮質骨10表面でアレイ振動子22側に屈折して軟組織11中に放射される。このとき受信される超音波を、本明細書では表面屈折波と呼ぶこととする。表面屈折波は、皮質骨10の断面輪郭形状が曲線状の場合のみ発生する。
なお、骨の形状、受信する振動子24の位置、及び送信専用振動子21から送信される超音波の角度などの条件によっては、上記複数種類の超音波のうち、一部が発生しない場合や、発生しても振動子24に受信されない場合が有り得る。ただし、本実施形態では、前述のように指向性の広い送信専用振動子21を用いているので、超音波を臨界角又は臨界角に近い角度で皮質骨10に当てることができる。これにより、漏洩表面波又は表面屈折波を確実に発生させ、複数の振動子24のうち少なくとも何れか1つには漏洩表面波又は表面屈折波を到達させることができるようになっている。
次に、図7を参照して、それぞれの振動子24が生成する信号波形について説明する。図7は、送信専用振動子21が超音波を送信した後、各振動子24が超音波を受信して出力する波形信号の波形を示すグラフである。各振動子24の波形において、横軸tは時間であり、各波形信号の縦軸は当該波形信号の振幅を示している。また、グラフのx軸は、送信専用振動子21に最も近い振動子である振動子24a(基準振動子)から各振動子24b,24c,・・・までの距離を示している。
なお、受信する振動子24が送信専用振動子21から離れるに従い、波形信号の振幅は小さくなる。図7に示す波形の曲線は、便宜上、各波形信号に適当なゲインを掛けて、各波形信号の振幅が略同じになるように調整したものである。
図7に示すように、各振動子24の波形信号には複数のピークが含まれている。図7においては、各振動子24の波形信号に含まれるピークの位置を点線で繋いで、当該ピークが、直接波、表面からの反射波、裏面からの反射波、及び表面伝播波の何れによるものかを示している。なお、このグラフでは漏洩表面波と表面屈折波は区別しにくいので、2つをまとめて表面伝播波として示している。
仮定伝播時間算出部46の動作の概略を説明する。仮定伝播時間算出部46は、皮質骨10における超音波の速度がある値(速度仮定値)であると仮定し、送信専用振動子21から送信された表面伝播波の各振動子24a,24b,…への伝播時間を算出する。そして、仮定伝播時間算出部46は、上記速度仮定値をスキャンすることにより徐々に変化させながら、皮質骨10における表面伝播波の速度が各速度仮定値SOStemp-m(m=1,2,…,M)であると仮定した場合における、各振動子24a,24b,…への表面伝播波の伝播時間tmnを算出する。ここで、n=a,b,…,Nであり、各アルファベットは、振動子24a,24b,…24Nに対応している。すなわち、仮定伝播時間算出部46は、速度仮定値が、SOStemp-1,SOStemp-2,…,SOStemp-M、のそれぞれの場合において、表面伝播波の各振動子24a,24b,…への伝播時間tmnを算出する。
仮定伝播時間算出部46の動作を、以下で順を追って詳しく説明する。仮定伝播時間算出部46は、仮定伝播時間を求めるために、まず、表面伝播波の伝播経路を求める。即ち、皮質骨10の表面形状と、骨速度と、軟組織11中の音速と、が既知であれば、公知のスネルの法則により、送信専用振動子21から各振動子24まで表面伝播波が伝播する経路を、一意に求めることができる。
ここで、骨形状は、形状検出部40が検出した骨表面ラインを用いる。骨速度としては、骨速度の経験値に基づいて設定された所定範囲内から適当な値を速度仮定値として仮定して計算に用いる。軟組織11中の音速としては、本実施形態では経験値を用いているが、予め測定しておいた値を用いても良い。また、軟組織11中の音速は、送信専用振動子21又はアレイ振動子22によって超音波を送信し、アレイ振動子22によって受信することにより測定することもできる。
なお、上記で説明したように、各振動子24が受信する表面伝播波には、伝播経路の違いによって漏洩表面波と表面屈折波の2種類が存在する。本実施形態では、表面屈折波の伝播経路を計算するものとして説明する。
以下、図8を参照して説明する。図8は、表面屈折波の伝播経路の算出方法を説明する模式図である。
仮定伝播時間算出部46は、表面屈折波の伝播経路を決定するために、まず、送信専用振動子21からの超音波が皮質骨10の内部に入射する入射点Pinを決定する。
なお、入射点Pinは、アレイ振動子22の直下から外れた位置にあるので、アレイ振動子22から平面波を送信して表面反射波を検出する方法(形状検出部40による皮質骨表面形状の検出)では、当該入射点Pin近傍の表面形状を取得することができない。そこで本実施形態では、入射点Pin近傍の形状を、形状検出部40が求めた骨表面ラインに基づいて予測しておく。図8には、予測された骨表面ラインが破線で示されている。
次に、仮定伝播時間算出部46は、この予測したラインに対して超音波が入射する位置(入射点Pin)を求める。超音波は、臨界角θcよりも小さい任意の角度で皮質骨10の内部に入射することが可能である。ただし、表面屈折波が振動子24に受信されるのは、臨界角θcに近い入射角で皮質骨10内に超音波が入射した場合に限られる。そこで本実施形態では、臨界角θcで皮質骨10内に超音波が入射するものと近似して入射位置を求める。臨界角θcは、骨速度と軟組織中の音速とによって決まるものであるから、骨速度を仮定することにより(ここでは、骨速度を速度仮定値SOStemp-1とする)、入射点Pinを一意に求めることができる。
続いて、仮定伝播時間算出部46は、骨表面ライン上に任意の点Poutを設定する。入射点Pinから点Poutまでの直線距離が、皮質骨10内を超音波が伝播する距離である。
そして、仮定伝播時間算出部46は、Poutから超音波が軟組織11側に放射されるときの角度を求める。超音波が放射されるときの角度は、スネルの法則により一意に求めることができる。具体的には、軟組織中の音速をSOSsoftとすると、皮質骨10から軟組織11側に超音波が出射する際の屈折角β1と入射角β2の関係は、sinβ1/SOSsoft=sinβ2/SOStemp-1、である。入射角β2は、直線Pinoutの傾きと、骨表面ラインの形状から求めることができる。従って、上記の式により屈折角β1を求めることができる。
ここで、図8に示すように、基準振動子24aの位置を原点として、アレイ振動子22が並んでいる方向にx軸をとる。屈折角β1と骨表面ラインの形状が分かっているので、点Poutから放射された超音波がx軸と交わる点Pxが決まる。
従って、仮定伝播時間算出部46は、以上で説明した演算処理により、骨における超音波の速度がある値(ある速度仮定値SOStemp-m)であると仮定した場合における、送信専用振動子21から点Pxまでの表面屈折波の伝播経路を求めることができる。
なお、入射点Pinを求める際に、上記のように臨界角θcで皮質骨10内に超音波が入射するものと近似するのは、計算を容易にするためであり、計算される伝播経路は近似的な値となる。一方、皮質骨10への入射角を臨界角θcで近似せずに、伝播経路を厳密に計算することも可能である。即ち、皮質骨10の表面形状が既知であれば、皮質骨10への入射角を変化させながらスネルの法則を2回用いることにより、送信専用振動子21から点Pxまでの伝播経路を厳密に計算することができる。この場合、入射点Pinは点Pxによって変化する。ただし、このような伝播経路の厳密な計算は、臨界角θcで入射角を近似する計算方法と比べて処理時間が掛かる。本実施形態では、近似的な計算方法と厳密な計算方法のどちらかを選択して伝播経路を計算することができるように構成されている。
そして、仮定伝播時間算出部46は、求めた伝播経路に基づいて、送信専用振動子21によって超音波が送信されてから、表面屈折波が点Pxに到達するまでの伝播時間を求める。即ち、(点Pxまでの伝播時間)=(軟組織中を伝播する距離)/SOSsoft+(皮質骨中を伝播する距離)/SOStemp-1、となる。
仮定伝播時間算出部46は、Poutの位置を変えながら上記伝播時間の計算を繰り返す。これにより、点Pxの位置を変えながら、それぞれの点Pxまでの表面屈折波の伝播時間を求めることになるので、図9に示すようなt−x曲線を求めることができる。なお、図9の縦軸xは、振動子24aからの距離であり、横軸tは、送信専用振動子21が超音波を送信してから前記x軸に表面屈折波が到達するまでの伝播時間である。
仮定伝播時間算出部46は、各振動子24に対して表面屈折波が到達するまでの時間(仮定伝播時間)を求める。即ち、各振動子24のx座標(振動子24aからの距離)は既知であるから、t−x曲線を参照することにより、各振動子24の仮定伝播時間を求めることができる。これにより、仮定伝播時間算出部46は、骨速度がSOStemp-1であると仮定した場合における、表面伝播波の各振動子24a,24b,…への仮定伝播時間を算出する。
そして、仮定伝播時間算出部46は、速度仮定値を複数、設定し(SOStemp-1,SOStemp-2,…,SOStemp-M,)、各速度仮定値に対応する仮定伝播時間を算出する。具体的には、仮定伝播時間算出部46は、各速度仮定値SOStemp-m(m=1,2,…,M)に対応する、各振動子24a,24b,…への表面伝播波の仮定伝播時間tma,tmb,…,tmN(m=1,2,…,M)を算出する(図10参照)。
遅延時間算出部47は、表面伝播波が基準振動子24aに到達する時刻を基準とした、その他の振動子24b,24c,…へ到達する表面伝播波の遅延時間を算出する。具体的には、遅延時間算出部47は、振動子24b,24c,…への表面伝播波の伝播時間から、基準振動子24aへの表面伝播波の伝播時間を減算する。
そして、遅延時間算出部47は、各速度仮定値SOStemp-m(m=1,2,…,M)に対応して算出された各振動子24a,24b,…の仮定伝播時間tma,tmb,…,tmN,に基づいて、各速度仮定値SOStemp-mに対応する、各振動子24b,24c,…への表面伝播波の遅延時間Δtmn(m=1,2,…,M、n=b,c,…,N)、を算出する。
[処理対象信号生成部の構成]
処理対象信号生成部50は、送信専用振動子21から送信されて各振動子24a,24b,24c,…に到達する超音波から得られる受信信号S(x,t)と、遅延時間算出処理部45で算出された遅延時間Δtmn(m=1,2,…,M、n=b,c,…,N)とに基づき、速度算出処理部55での処理対象となる処理対象信号を生成する。但し、受信信号S(x,t)において、x=x,x,…,x、であり、ここでの下付きのアルファベットは、それぞれ、振動子24a,24b,…,24Nの各アルファベットに対応して付されている。例えば、S(x,t)は、ある時刻tにおいて振動子24aによって受信される波形から生成される受信信号を示し、S(x,t)は、ある時刻tにおいて振動子24bによって受信される波形から生成される受信信号を示す。
図11は、処理対象信号生成部50の構成を示すブロック図であり、図12は、処理対象信号生成部50で行われる信号処理を説明するための図である。処理対象信号生成部50は、遅延処理部51と、IQサンプリング部52と、増幅処理部53と、を有している。
遅延処理部51は、図12に示すように、上述した受信信号S(x,t)に対して、以下で詳しく説明する遅延処理を行うことにより、複数の第1中間信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)、を生成する。
図13は、遅延処理部51による遅延処理を説明するためのグラフであって、破線の波形は、遅延処理が行われる前の各振動子の受信信号を示し、実線の波形は、遅延処理が行われた後の各振動子の受信波形を示す。なお、図13では、説明の便宜上、表面伝播波のみを図示している。
遅延処理部51は、振動子24b,24c,…に到達する超音波の受信信号S(x,t)に対して遅延処理を行う。具体的には、遅延処理部51は、各振動子24b,24c,…の受信信号S(x,t)の位相を、遅延時間算出部47で算出された各振動子24b,24c,…に対応する遅延時間分だけずらす処理を行う。これにより、各振動子24a,24b,24c,…で受信された表面伝播波の位相を揃えることができる。
図12及び図13を参照して、遅延処理部51は、遅延時間Δt1n,Δt2n,…,ΔtMn(n=b,c,…,N)を用いて遅延処理を行う。具体的には、遅延処理部51は、図13に示すように、受信信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)、のそれぞれに対して、遅延時間Δt1b,Δt1c,…,Δt1N、を用いて遅延処理を行うことにより、第1中間信号S(x,t)(x=x,x,…,x)を生成する。これと同様にして、遅延処理部51は、受信信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)、のそれぞれに対して、遅延時間Δt2b,Δt2c,…,Δt2N、を用いて遅延処理を行うことにより、第1中間信号S(x,t)(x=x,x,…,x)を生成する。遅延処理部51は、この処理を繰り返すことにより、第1中間信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)、を生成する。なお、これらの複数の第1中間信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)は、それぞれ、各速度仮定値SOStemp-1,SOStemp-2,…,SOStemp-M、に対応して生成されたものである。
IQサンプリング部52は、遅延処理部51で生成された各第1中間信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)をIQサンプリングすることにより、実数の受信波形を複素数に変換して第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)を生成する。なお、当該IQサンプリング部52は、省略することもできる。
図14は、増幅処理部53による増幅処理を説明するためのグラフであって、(A)は、増幅処理を行う前の信号波形を示す図、(B)は、増幅処理を行った後の信号波形を示す図、である。増幅処理部53は、各速度仮定値に対応する第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)のそれぞれに対して、所定の増幅処理を行う。
具体的には、図14に示すように、増幅処理部53は、遅延処理後の各第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)の包絡線のピーク値が同じ値となるように、各第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)に対して増幅処理を行う。このように増幅処理が行われた各第2中間信号は、図12に示すように、以下で説明する速度算出処理部での処理対象となる処理対象信号S”(x,t)(m=1,2,…,M)として、速度算出処理部55に出力される。
[速度算出処理部の構成]
図15は、速度算出処理部55の構成を示すブロック図であり、図16は、速度算出処理部55で行われる信号処理を説明するための図である。速度算出処理部55は、皮質骨10内における超音波の速度SOSを算出するための処理を行うように構成されている。速度算出処理部55は、相関行列生成部56と、空間平均処理部57と、強度スペクトラム算出部58と、音速領域強度スペクトラム算出部59と、速度算出部60と、を有している。
図17は、相関行列生成部56で生成される相関行列について説明するための図であって、超音波送受信器2を模式的に示す図である。相関行列生成部56は、処理対象信号生成部50で生成された各振動子24に対応する処理対象信号から、相関行列を生成する。具体的には、相関行列生成部56は、図17に示すように、一列に並んだ複数(例えば、N個)の振動子24から、K個の振動子24で構成されたサブアレイを1個ずつずらしながらJ個、すなわち(N−K−1)個、取り出す。そして相関行列生成部56は、各サブアレイSub,Sub,…,Subに対応する相関行列Rsub(t),Rsub(t),…,Rsub(t)(m=1,2,…,M)を生成する。
空間平均処理部57は、相関行列生成部56で生成された複数の相関行列を平均する処理(空間平均処理)を行う。これにより、空間平均処理部57は、空間平均相関行列R’(t)を算出する。空間平均処理部57は、時刻t毎及び速度仮定値SOStemp毎に異なる空間平均相関行列を生成する。
強度スペクトラム算出部58は、空間平均処理部57で算出された、時刻毎及び速度仮定値毎に異なる空間平均相関行列R’(t)に対して、例えばCapon法、MUSIC法、Prony法等の適応ビームフォーミング法を適用して超解像処理を行うことにより、時間領域である第1軸と、骨速度領域(速度仮定値領域)である第2軸とで特定される2次元領域の強度スペクトラムP(SOStemp,t)を算出する。なお、Capon法、MUSIC法、Prony法等による超解像処理については、公知の手法であるため、その説明を省略する。
図18は、強度スペクトラム算出部58で算出された強度スペクトラムP(SOStemp,t)の一例を示す図である。図18では、信号強度が高い領域を濃いハッチングで示し、信号強度が低い領域を薄いハッチングで示している。図18に示すように、強度スペクトラムP(SOStemp,t)のうち信号強度が高い部分は、比較的狭い2次元領域内で分布している。
音速領域強度スペクトラム算出部59は、強度スペクトラムP(SOStemp,t)の強度が最大となるt(=t)を検出する。そして、音速領域強度スペクトラム算出部59は、強度スペクトラムP(SOStemp,t)においてt=tとなる断面を、音速領域強度スペクトラムP(SOStemp)として算出する。
図19は、音速領域強度スペクトラムP(SOStemp)の一例を示す図である。図19に示すように、音速領域強度スペクトラムP(SOStemp)のうち信号強度が高い部分は、比較的狭い音速領域内で分布している。
速度算出部60は、音速領域強度スペクトラムP(SOStemp)のピーク値を検出し、当該ピーク値のときの仮定音速値SOStempを、骨における超音波の音速値(確定音速値SOS)として確定する。
[骨強度診断装置の動作]
図20は、骨強度診断装置1の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、骨強度診断装置1の動作について説明する。
まず、ステップS1で、測定部位に対して超音波送受信器2がセットされる。この際、測定部位の皮膚表面(即ち、軟組織11の外側表面)に超音波ゼリーを塗布し、当該皮膚表面に送受信面2aを当接させる。これにより、軟組織11と送受信面2aとの間に隙間が生じるのを防止でき、且つ送受信面2aと軟組織11との間の音響インピーダンスを整合することができるため、超音波が軟組織11の表面で反射するのを抑制できる。
次に、ステップS2で、形状検出部40によって皮質骨10の表面形状が検出される。具体的には、ステップS2では、アレイ振動子22の各振動子24から超音波が送信されるとともに、該超音波のエコーが各振動子24によって受信される。ステップS2では、形状検出部40が、このように受信されたエコーに基づき、皮質骨10の表面形状を検出する。
次に、ステップS3で、送信専用振動子21が超音波を送信し、ステップS4で、各振動子24a,24b,24c,…が、送信専用振動子21から送信された超音波を受信する。各振動子24a,24b,24c,…で受信された超音波から生成された受信信号S(x,t)は、処理対象信号生成部50に出力される。なお、図20に示すフローチャートでは、ステップS2が行われた後にステップS3及びステップS4が行われている例を示しているが、これに限らない。具体的には、ステップS3及びステップS4は、ステップS2と並行して、又はステップS2が行われる前に、行われてもよい。
一方、ステップS2の後、ステップS5で、遅延時間算出処理部45が、基準振動子24aに到達する表面屈折波の到達時刻を基準とした、各振動子24b,24c,…に到達する表面屈折波の遅延時間を算出する。具体的には、ステップS5では、遅延時間算出処理部45を構成する仮定伝播時間算出部46及び遅延時間算出部47が、上述のように動作する。これにより、ステップS5では、速度仮定値SOStemp-1,SOStemp-2,…,SOStemp-M毎に算出された、各振動子24b,24c,…に対応する遅延時間Δtmnが算出される。なお、図20に示すフローチャートでは、ステップS5がステップS3及びステップS4と並行して行われている例を示しているが、これに限らない。具体的には、ステップS5は、ステップS3及びステップS4が行われる前に、又はステップS3及びステップS4が行われた後に、行われてもよい。
次に、ステップS10で、処理対象信号生成部50が、速度算出処理部55での処理対象となる信号(処理対象信号)を生成する。図21は、ステップS10に含まれる各ステップの動作を説明するためのフローチャートであって、処理対象信号生成部50の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図21を参照して、処理対象信号生成部50の動作を説明する。
まず、ステップS11で、処理対象信号生成部50が、ステップS4において各振動子24a,24b,24c,…で受信された受信信号S(x,t)と、ステップS5で算出された遅延時間Δtmnとに基づいて、遅延処理を行う。具体的には、図13を参照して、処理対象信号生成部50は、各受信信号S(x,t),S(x,t)…の位相を、それぞれ、Δt1b,Δt1c,…だけずらすことにより、各受信信号の位相を揃えて、第1中間信号S(x,t)(x=x,x,…,x)を生成する。そして、ステップS11では、図13に示すように、各速度仮定値SOStemp-1,SOStemp-2,…,SOStemp-Mにおいて同様の動作を行うことにより、各速度仮定値に対応する第1中間信号S(x,t)(m=1,2,…,M)を生成する。
次に、ステップS12で、IQサンプリング部52が、各第1中間信号S(x,t),S(x,t),…,S(x,t)をIQサンプリングすることにより、実数の受信波形を複素数に変換して第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)を生成する。
次に、ステップS13で、増幅処理部53は、図14に示すように、各第2中間信号S’(x,t)…の包絡線を検出する。
次に、ステップS14で、増幅処理部53は、各第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)に乗算されるゲインを算出する。具体的には、図14を参照して、増幅処理部53は、基準振動子24aに対応する第2中間信号S’(x,t)の包絡線のピーク値Aを、各第2中間信号の包絡線のピーク値A,B,C,…で除算した値を、各第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)に対応するゲインとして算出する。
そして、ステップS15で、増幅処理部53は、上述のように算出したゲインを、各第2中間信号S’(x,t),S’(x,t),…,S’(x,t)に乗算することにより、処理対象信号S”(x,t)を生成する。
次に、ステップS20で、速度算出処理部55が、皮質骨10における超音波の速度(骨速度)を算出する。図22は、ステップS20に含まれる各ステップの動作を説明するためのフローチャートであって、速度算出処理部55の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図22を参照して、速度算出処理部55の動作を説明する。
まず、ステップS21で、相関行列生成部56は、相関行列を生成する。具体的には、相関行列生成部56は、図17のように取り出すことができる複数のサブアレイSub,Sub,…,Subのそれぞれについて、図16に示すように、相関行列Rsub(t),Rsub(t),…,Rsub(t)を算出する。相関行列生成部56は、各速度仮定値及び各時刻で、相関行列Rsub(t),Rsub(t),…,Rsub(t)を算出する。
次に、ステップS22で、空間平均処理部57は、ステップS21で生成された相関行列を、図16に示すように空間平均処理することにより、空間平均相関行列R’(t),R’(t),…,R’(t)を算出する。これにより、ステップS22では、時刻t毎及び速度仮定値SOStemp毎に異なる空間平均相関行列が生成される。
次に、ステップS23で、強度スペクトラム算出部58は、時刻t毎及び速度仮定値SOStemp毎に生成された空間平均相関行列のそれぞれに対して、Capon法、MUSIC法、Prony法等の適応ビームフォーミング法を適用して超解像処理を行う。これにより、強度スペクトラム算出部58は、時間領域t及び骨速度領域SOStempで特定される2次元領域の強度スペクトラムP(SOStemp,t)を算出する(図18参照)。
次に、ステップS24で、音速領域強度スペクトラム算出部59は、強度スペクトラムP(SOStemp,t)の強度が最大となるt(=t)を検出する。そして、音速領域強度スペクトラム算出部59は、強度スペクトラムP(SOStemp,t)においてt=tとなる断面を、音速領域強度スペクトラムP(SOStemp)として算出する(図19参照)。
次に、ステップS25で、速度算出部60は、音速領域強度スペクトラムP(SOStemp)のピーク値を検出し、当該ピーク値のときの仮定音速値SOStempを、骨における超音波の音速値(確定音速値SOS)として確定する。このように算出されたSOSは、図示しない表示部に表示される。ユーザ(例えば医師)は、当該SOSの値に基づき、患者の皮質骨10の骨強度を診断する。
ところで、従来の骨強度診断装置では、例えば一例として、各振動子で受信される超音波から生成される受信信号に対して、いわゆるビームフォーミング法を適用して骨速度SOSを導出している。この場合、強度スペクトラムは、図23に示すように、図18に示す強度スペクトラム(適応ビームフォーミングを適用することにより生成された強度スペクトラム)と比べると、ノイズ等の影響により、2次元領域の広範囲に亘って分布することになる。そうなると、音速領域強度スペクトラムは、図24に示すように、図19に示す音速領域強度スペクトラムと比べると、音速領域の広範囲に亘って分布する。このことは、図24に示す音速領域スペクトラムのピーク値から検出される骨速度SOSの値のバラつきが大きくなり易い(再現性が低い)ことを意味する。すなわち、従来の骨強度診断装置では、測定毎に発生するSOS値のバラつきが比較的大きくなってしまう。
これに対して、本実施形態に係る骨強度診断装置1では、各振動子24a,24b,…で受信される超音波から生成される受信信号に対して、上述のように適応ビームフォーミング法を適用している。これにより、図24に示すように、音速領域における強度スペクトラムの分布範囲が狭くなる。つまり、本実施形態に係る骨強度診断装置1によれば、測定毎に発生するSOS値のバラつきを小さくできるため、装置に対する信頼性を向上できる。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る骨強度診断装置1では、各振動子24a,24b,…に対して適応ビームフォーミングを適用している。そして、皮質骨10において想定されうる複数の音速仮定値SOStemp-m(m=1,2,…M)のそれぞれで超音波が皮質骨10を伝播したと仮定した場合における、複数の速度仮定値SOStemp-mのそれぞれに対応する強受信信号の強度を、強度スペクトラムとして算出している。そして、当該強度スペクトラムに基づき、皮質骨10における超音波の骨速度SOSを算出している。こうすると、上述のように、測定毎に発生するSOS値のバラつきを小さくできる。
従って、骨強度診断装置1では、骨速度SOSを、ノイズ及び不要波の影響を極力受けることなく、正確に測定できる。
また、骨強度診断装置1では、各振動子24b,24c,…に対して上述のような遅延処理を行っているため、各振動子24b,24c,…に伝播する表面伝播波の位相を揃えることができる。これにより、上述のような適応ビームフォーミングによる超解像処理を行いやすくなる。
また、骨強度診断装置1では、各振動子24b,24c,…に対して上述のような増幅処理を行っているため、強度スペクトラムの分解能が低減するのを抑制できる。
また、骨強度診断装置1では、音速領域強度スペクトラムのピーク値を検出し、該ピーク値における速度仮定値SOStempを骨速度SOSとして確定しているため、骨速度を適切に確定することができる。
また、骨強度診断装置1では、上述のような相関性抑圧処理(平均処理、本実施形態における空間平均処理)を行っているため、各振動子24a,24bに帰来する表面波と不要な波を分離することができる。
また、骨強度診断装置1では、各振動子24a,24b,…に伝播する表面伝播波の伝播時間を、皮質骨10の表面形状に基づいて導出しているため、該伝播時間を正確に導出できる。
また、骨強度診断装置1では、形状検出部40により導出された皮質骨10の表面形状に基づいて前記伝播時間を導出しているため、該伝播時間をより正確に導出できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例]
(1)図25は、変形例に係る骨強度診断装置1aを説明するための図であって、図1に対応させて示す図である。骨強度診断装置1aは、骨速度SOSだけでなく、広帯域超音波減衰係数(Broadband Ultrasonic Attenuation、以下BUAと称する場合もある)も計測可能に構成されている。BUAは、骨速度SOSと同様、骨強度を診断するための指標として用いられる。変形例に係る骨強度診断装置1aは、上記実施形態に係る骨強度診断装置1と比べて、演算部の構成が異なっている。以下では、上記実施形態と異なる箇所について主に説明し、それ以外の箇所については、説明を省略する。
本変形例に係る骨強度診断装置1aの演算部35aは、図25に示すように、形状検出部40と、処理対象信号生成部61と、速度算出処理部65と、を備えている。処理対象信号生成部61及び速度算出処理部65は、上記実施形態の処理対象信号生成部50及び速度算出処理部55と比べて、構成が異なっている。
図26は、本変形例に係る骨強度診断装置1aの演算部35aの構成を詳細に示すブロック図である。図26に示すように、処理対象信号生成部61は、フーリエ変換部62と、伝達関数生成部63と、デコンボリューション部64と、を備えている。
フーリエ変換部62は、受信回路33で受信された受信信号S(x,t)をフーリエ変換し、S(x,ω)を生成する。
伝達関数生成部63は、形状検出部40で検出された骨形状に基づき、伝達関数H(jω)を生成する。なお、本明細書中における伝達関数H(jω)は、基準信号R(jω)と受信信号F(jω)との差異をモデル化したものであり、以下のように表せる。ここで、基準信号R(jω)とは、基準振動子24aで受信される信号を示し、受信信号F(jω)とは、振動子24a以外の振動子24b,24c,…,24Nで受信される信号を示す。
[数3]
(jω)=H(jω)R(jω) …(3)
そして、伝達関数生成部63は、各振動子に伝播する表面伝播波の遅延時間、及び前記各振動子に伝播する表面伝播波に乗算されるゲイン(減衰による表面伝播波の振幅の変化)を考慮に入れて伝達関数H(jω)を生成する。具体的には、伝達関数は、例えば一例として、以下のように表すことができる。
Figure 2015173879
なお、式(4)において、x(n=b,c,…)は、各振動子24b,24c,…に到達する表面伝播波の伝播経路において該表面伝播波が皮質骨10中を伝播する距離である。また、xは、基準となる振動子24aに到達する表面伝播波の伝播経路において該表面伝播波が皮質骨10中を伝播する距離である。
式(4)における(a)の部分は、皮質骨10中のBUAの仮定値がBUAtempであると仮定した場合における周波数の減衰を表している。また、(b)の部分は、表面伝播波が皮質骨10中を速度仮定値SOStempで伝播していると仮定した場合における、各振動子24b,24c,…に到達する表面伝播波の位相の遅れを表している。すなわち、(b)の部分では、各振動子24b,24c,…に到達する表面伝播波の遅延時間が考慮されている。また、(c)の部分は、皮質骨10中を伝播する表面伝播波の振幅の減衰が考慮された部分である。
そして、伝達関数生成部63は、上述のように生成した伝達関数H(jω)に含まれるSOStemp及びBUAtempの値を、それぞれ複数、設定する。これにより、伝達関数生成部63は、各SOStemp及び各BUAtempにおいて伝達関数H(jω)を生成する。
デコンボリューション部64は、フーリエ変換部62でフーリエ変換された受信信号S(x,ω)を、各SOStemp及び各BUAtempにおいて生成される伝達関数H(jω)で除算するデコンボリューション処理を行うことにより、各SOStemp及び各BUAtempに対応する複数の処理対象信号S’(x,ω)を生成する。
上述のように、伝達関数H(jω)は、各振動子24b,24c,…に到達する表面伝播波の遅延時間と、皮質骨10中を伝播する表面伝播波の振幅の減衰とが考慮されている。よって、デコンボリューション部64が、上述のようにデコンボリューション処理を行うことで生成される処理対象信号S’(x,ω)は、上記実施形態の場合と同様の遅延処理及び増幅処理が行われた信号となる。すなわち、デコンボリューション部64は、遅延処理部及び増幅処理部として機能する。
速度算出処理部65は、図26に示すように、相関行列生成部66と、空間平均処理部67(相関性抑圧部、平均処理部)と、強度スペクトラム算出部68と、2次元領域強度スペクトラム算出部69と、速度及びBUA算出部70と、を備えている。
相関行列生成部66は、SOStemp及びBUAtempごとに、相関行列を生成する。具体的には、図17を参照して、相関行列生成部66は、上記実施形態の場合と同様、一列に並んだ複数(例えば、N個)の振動子24から、K個の振動子24で構成されたサブアレイを1個ずつずらしながらJ個、すなわち(N−K−1)個、取り出す。そして相関行列生成部56は、各サブアレイSub,Sub,…,Subに対応する相関行列Rsub(ω),Rsub(ω),…,Rsub(ω)を、周波数ω、SOStemp、及びBUAtempごとに生成する。
空間平均処理部67は、相関行列生成部66で生成された複数の相関行列を平均する処理(空間平均処理)を行う。これにより、空間平均処理部67は、空間平均相関行列R’(ω)を算出する。空間平均処理部57は、周波数ω、SOStemp、及びBUAtempごとに、異なる空間平均相関行列を生成する。
強度スペクトラム算出部68は、空間平均処理部67で算出された、周波数ω、SOStemp、及びBUAtempごとに異なる空間平均相関行列R’(ω)に対して、上記実施形態の場合と同様に超解像処理を行うことにより、周波数領域である第1軸と、骨速度領域(速度仮定値領域)である第2軸と、BUA領域である第3軸とで特定される3次元の強度スペクトラムP(SOStemp,BUAtemp,ω)を算出する。
2次元領域強度スペクトラム算出部69は、強度スペクトラムP(SOStemp,BUAtemp,ω)の強度が最大となるω(=ω)を検出する。そして、2次元領域強度スペクトラム算出部69は、強度スペクトラムP(SOStemp,BUAtemp,ω)においてω=ωとなる断面を、2次元領域強度スペクトラムP(SOStemp,BUAtemp)として算出する。
なお、デコンボリューション部64でのデコンボリューション処理と相関行列生成部66での相関行列生成との間に、処理対象信号S’(x,ω)の逆フーリエ変換を行うことにより、強度スペクトラムP(SOStemp,BUAtemp,t)から2次元強度スペクトラム(SOStemp,BUAtemp)を導出することもできる。
速度及びBUA算出部70は、2次元領域強度スペクトラムP(SOStemp,BUAtemp)のピーク値を検出し、当該ピーク値のときのSOStemp及びBUAtempを、骨における超音波の音速値(確定音速値SOS)、及び骨における超音波のBUA値として確定する。
以上のように、本変形例に係る骨強度診断装置1aでは、SOS及びBUAの双方を測定することができる。
なお、本変形例では、SOStemp、BUAtemp、各振動子への表面伝播波の遅延時間、及び各振動子へ伝播する表面伝播波の振幅の減衰、を考慮に入れた伝達関数H(jω)を生成したが、これに限らない。具体的には、各振動子の指向性、軟組織11の吸収等を考慮に入れた伝達関数を生成することもできる。そうすると、これら(上記指向性及び吸収等)の影響を取り除くことができるため、SOStemp等をより高精度で測定することができる。
(2)上記実施形態では、時間領域と骨速度領域とで特定される2次元領域のうち、測定対象となる2次元領域の全てについて、上述のような超解像処理を行っている。しかし、これに限らず、測定対象となる2次元領域について、まず従来の手法によってSOSを算出し、当該SOS値を含む所定領域に測定対象領域を限定した上で、当該限定された測定対象領域について、上述のような超解像処理を行ってもよい。
上記実施形態で行われる超解像処理は、従来の処理と比べて演算負荷が大きいため、SOSの算出に比較的時間がかかる。これに対して、本変形例によれば、演算負荷が比較的小さい従来の手法によってSOSの概算値を算出した上で、当該概算値を含む所定範囲について超解像処理を行っているため、装置の信頼性を維持した上で、演算部にかかる演算負荷を小さくすることができる。
(3)上記実施形態では、平均相関行列算出部として空間平均処理部を設けているが、これに限らず、平均相関行列算出部として、その他の平均処理(例えば、時間平均等)を行う平均処理部を設けてもよい。また、上記実施形態では、相関性抑圧部として、平均相関行列算出部を設けているが、これに限らず、複数方向から到来する受信信号の相関性を抑圧可能であれば、どのような構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、相関行列生成部及び空間平均処理部によって生成された相関行列に基づいて強度スペクトラムが算出されたが、これに限らない。具体的には、受信信号S(x,t)に対して特異値分解を行うことにより、強度スペクトラムを算出してもよい。なお、特異値分解は、公知な手法であるため、その説明を省略する。
(5)上記実施形態では、形状検出部40を、超音波を送受信することにより得られた受信信号に基づき皮質骨の表面形状を検出可能なように構成したが、これに限らない。具体的には、電磁波を送受信することにより得られた受信信号に基づき診断対象の表面形状を検出可能なように構成してもよい。なお、電磁波を用いる場合、軟組織における屈折率の方が骨の屈折率より低くなるため、表面波を発生させることができなくなる。よって、この場合、本発明を、骨以外の診断対象の状態を診断する診断装置として用いることができる。
(6)上記実施形態では、本発明を骨強度診断装置に適用する例を挙げたが、これに限らず、その他の装置に適用することができる。その他の装置としては、例えば一例として、地中に埋設された金属のパイプ、又はコンクリートに生じるクラックを検出する装置が挙げられる。
(7)図27は、変形例に係る骨強度診断装置1bの構成を示すブロック図である。図27に示すように、本発明を、プローブ(受信部及び送信部)を有さない骨強度診断装置1bに適用することもできる。
(8)図28は、変形例に係る骨強度診断装置1cの構成を示すブロック図である。本変形例に係る骨強度診断装置1cは、図27に示す骨強度診断装置1bと比べて、形状検出部が省略された構成となっている。本変形例に係る骨強度診断装置1cでは、例えば、予めメモリ(図示省略)に記憶された骨形状に基づき、遅延時間算出処理部45が、各振動子24b,24c,…に伝播する表面伝播波の遅延時間を算出するように構成されている。そして、処理対象信号生成部50及び速度算出処理部55が、上記実施形態の場合と同様に動作する。これにより、本変形例に係る骨強度診断装置1cによっても、上記実施形態の場合と同様、骨速度SOSを正確に算出することができる。
(9)図29は、変形例に係る骨強度診断装置1dの構成を示すブロック図である。本変形例に係る骨強度診断装置1dは、図28に示す骨強度診断装置1cと比べて、遅延時間算出部及び処理対象信号生成部が省略された構成となっている。そして、骨強度診断装置1dの速度算出処理部55aは、強度スペクトラム算出部58aと、速度算出部60aと、を有している。
強度スペクトラム算出部58aは、受信回路33から出力された受信信号S(x,t)に適応ビームフォーミング法を適用して超解像処理を行うことにより、各時刻t及び各SOStempで、受信信号の強度(強度スペクトラム)を算出する。
速度算出部60aは、上述した強度スペクトラムのピーク値を検出し、当該ピーク値におけるSOStempを骨速度SOSとして確定する。
従って、本変形例に係る骨強度診断装置1dでも、上記実施形態の場合と同様、骨速度SOSを正確に算出することができる。
(10)図30は、変形例に係る骨強度診断装置の超音波送受信器4の構成を模式的に示す図である。この超音波送受信器4は、送信専用振動子を省略し、複数の振動子24が略等間隔で1列に並んだアレイ振動子22のみを備えるものである。ここで、アレイ振動子22は、上記実施形態で送信専用振動子21が配置されていた位置まで延長して設けられている。
ここで、上記実施形態の骨強度診断装置1においては、以下のような課題があった。すなわち、上記実施形態では、骨表面ラインを検出する際に、皮質骨10に対する超音波の入射点Pin近傍の形状は検出することができなかった。これは、形状検出部40によって皮質骨表面の形状を検出する際に、アレイ振動子22の直下の形状しか検出することができないためである。このため、表面伝播波の伝播経路を算出する際には、骨表面ラインから予測したラインに基づいて入射点Pinの位置を求めていたが、この方法では正確な入射点Pinの位置を求めることができないので、導出する音速の誤差にも繋がる。
そこで、本変形例は、送信専用振動子を省略して、音速測定を行う際の超音波の送信もアレイ振動子(リニアアレイ)22によって行うようにしたものである。例えば、振動子24aと振動子24bを、上記実施形態における送信専用振動子21の代わりとして用いる。
すなわち、隣接する振動子24がタイミングをズラして超音波を送信することにより、斜め方向に超音波ビームを送信することができる。これによれば、アレイ振動子22が送信専用振動子21の機能を兼ねることができるだけでなく、任意の角度で超音波を送信できるようになるので、皮質骨10に対して適切な角度(臨界角又は臨界角近傍の角度)で超音波を当てることができる。これにより、効率が良く、指向性による音速誤差も低減できる。
更に、上記のように構成すれば、皮質骨10に対して超音波が入射する入射点の位置は、常にアレイ振動子22の直下の位置であるから、形状検出部40による骨表面ラインの検出結果に基づいて、当該入射点の位置を精度良く算出することができる。また、本変形例の超音波送受信器4は、図30のように全幅にわたってアレイ振動子22が配置されるので、測定時に骨形状の全体を把握でき、測定が行い易くなる。
以上で説明したように、この超音波送受信器4においては、複数の振動子24が、等間隔で1列に並べられたアレイ振動子22を構成するとともに、複数の振動子のうち少なくとも何れか1つは、上記実施形態における送信専用振動子21の機能を兼ねている。
これにより、上記実施形態の場合における送信専用振動子21及び遮音材23を省略することができるので、装置を簡略化することができる。また、隣接する振動子24から超音波を送信するタイミングをズラし、当該タイミングをズラす間隔を調整することにより、任意の角度で超音波ビームを形成することができる。これにより、皮質骨10の表面に対して最適な角度で超音波を当てることができる。また、アレイ振動子22によって平面波を発生させて皮質骨10の表面形状を検出する構成の場合、当該表面形状を検出できるのはアレイ振動子22の直下の位置のみである。従って、送信専用振動子21とアレイ振動子22が別の構成の場合は、皮質骨表面への入射点近傍の形状を検出することができない。この点、振動子24が送信専用振動子21としての機能を兼ねることにより、皮質骨表面への入射点近傍の形状を検出することができる。これにより、伝播時間を正確に算出することができる。
本発明は、対象物における超音波の速度を測定する音速測定装置、音速測定方法、及び音速測定プログラムとして広く適用することができる。
1,1a,1b,1c,1d 骨強度診断装置(音速測定装置)
10 皮質骨(対象物)
11 軟組織(他の物質)
21 送信専用振動子(送信部)
24 振動子(受信部)
58,58a 強度スペクトラム算出部
60,60a 速度算出部
SOStemp 速度仮定値

Claims (12)

  1. 対象物に対して該対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて前記対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記対象物における超音波の速度を測定する音速測定装置であって、
    前記受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、前記対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が前記対象物を伝播したと仮定した場合における、前記複数の速度仮定値のそれぞれに対する前記受信信号の強度である強度スペクトラムを算出する強度スペクトラム算出部と、
    前記強度スペクトラム算出部で算出された前記強度スペクトラムに基づき、前記対象物における超音波の速度を算出する速度算出部と、
    を備えていることを特徴とする、音速測定装置。
  2. 請求項1に記載の音速測定装置において、
    前記複数の受信部のそれぞれで受信された各前記受信信号に対して、前記対象物に所定の入射角度で入射した超音波が各前記受信部に受信されるまでの伝搬経路に応じた伝搬時間で遅延処理を行うことにより、各前記受信信号のうち前記対象物に前記所定の入射角度で入射した超音波に基づく受信信号である対象受信信号の位相を揃える遅延処理部、を更に備え、
    前記強度スペクトラム算出部は、前記遅延処理が行われた前記受信信号に前記適応ビームフォーミング法を適用することを特徴とする、音速測定装置。
  3. 請求項2に記載の音速測定装置において、
    各前記対象受信信号の包絡線のピーク値に基づいて、各前記受信信号の増幅処理を行う増幅処理部、を更に備え、
    前記強度スペクトラム算出部は、前記遅延処理及び前記増幅処理が行われた各前記受信信号に前記適応ビームフォーミング法を適用することを特徴とする、音速測定装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の音速測定装置において、
    前記速度算出部は、前記強度スペクトラム算出部で算出された前記強度スペクトラムのピーク値を検出し、該ピーク値における前記速度仮定値を、前記対象物における超音波の速度として算出することを特徴とする、音速測定装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の音速測定装置において、
    各前記受信信号に基づいて生成される相関行列に対して、複数方向から到来する超音波の相関性を抑圧する相関性抑圧部、を更に備えていることを特徴とする、音速測定装置。
  6. 請求項5に記載の音速測定装置において、
    前記相関性抑圧部は、前記相関行列に基づいて、複数方向から到来する超音波の相関性を抑圧する平均処理を行って平均相関行列を算出する平均相関行列算出部、を有していることを特徴とする、音速測定装置。
  7. 請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の音速測定装置において、
    前記伝搬時間を前記対象物の形状に基づいて導出する伝搬時間導出部を更に備えていることを特徴とする、音速測定装置。
  8. 請求項7に記載の音速測定装置において、
    前記対象物に送信された超音波又は電磁波のエコーに基づいて前記対象物の形状を導出する形状検出部を更に備え、
    前記伝搬時間導出部は、前記形状検出部で導出された前記対象物の形状に基づいて前記伝搬時間を導出することを特徴とする、音速測定装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の音速測定装置において、
    前記他の物質としての軟組織を介して前記対象物としての皮質骨に送信されて該皮質骨を伝播し、前記複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記皮質骨における超音波の速度を測定することを特徴とする、音速測定装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の音速測定装置において、
    前記送信部及び前記複数の受信部を有するプローブを更に備えていることを特徴とする、音速測定装置。
  11. 対象物に対して該対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて前記対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記対象物における超音波の速度を測定する音速測定方法であって、
    前記受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、前記対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が前記対象物を伝播したと仮定した場合における、前記複数の速度仮定値のそれぞれに対する前記受信信号の強度である強度スペクトラムを算出するステップと、
    前記強度スペクトラムに基づき、前記対象物における超音波の速度を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする、音速測定方法。
  12. 対象物に対して該対象物とは異なる他の物質を介して送信部から送信されて前記対象物を伝播し、複数の受信部のそれぞれで受信される超音波、から生成される受信信号を処理することにより、前記対象物における超音波の速度を測定するための音速測定プログラムであって、
    前記受信信号に適応ビームフォーミング法を適用して、前記対象物における超音波の速度の仮定値である複数の速度仮定値のそれぞれで超音波が前記対象物を伝播したと仮定した場合における、前記複数の速度仮定値のそれぞれに対する前記受信信号の強度である強度スペクトラムを算出するステップと、
    前記強度スペクトラムに基づき、前記対象物における超音波の速度を算出するステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする、音速測定プログラム。
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