JP2014013162A - 探知装置、探知方法及び探知プログラム - Google Patents

探知装置、探知方法及び探知プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】アダプティブビームフォーミング法によって到来方向を推定する場合に物標を正確に捉えられるようにする。
【解決手段】送信用トランスデューサ30Aは、互いに隔てて配置されている超音波振動子311,312を含む。送信機は、超音波振動子311より送波されるパルス波P1に対して超音波振動子312より送波されるパルス波P2を遅延させてパルス波P1に続いてパルス波P2が送波されるように送信信号を出力する。受信用トランスデューサの超音波振動子は、パルス波P1により生じる第1反射波とパルス波P2により生じる第2反射波とを受波できるように配置されている。受信機の到来方向推定装置では、受信用トランスデューサで続けて受波される第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、受信素子アレイで受ける到来波の到来方向を推定するための到来方向推定装置を用いて物標を探知する探知装置、到来波の到来方向を推定して物標を探知する探知方法及びそのための探知プログラムに関する。
到来方向推定装置は、例えば超音波を用いて物標の探知を行う水中探知装置などにおいて、物標で反射される超音波の到来方向の推定のために使用される。例えば、従来の水中探知装置として、超音波振動子アレイにより構成されるトランスデューサを用いて超音波の送受信を行なうものがある。図13は、超音波振動子アレイを用いた水中探知装置の一例を示す概念図である。船舶100から海底に向けて送信ビーム151を照射し(図13(a))、受信ビーム152を通して海底を見る(図13(b))。この結果、送信ビーム範囲と受信ビーム範囲が重なる部分の海底が調べられる。
このような超音波振動子アレイを用いた水中探知装置に適用して物標を探知するための方法として、従来からマルチビーム法(ビームフォーマ法)が知られている。マルチビーム法では、方位ごとにその方位にメインビームが向くような所定のビームパターンを持つ受信ビームを形成することで、方位ごとの超音波エコーの強さを推定することができる。
マルチビーム法では、超音波振動子アレイの開口長によって受信ビームのメインビーム幅が決まるため、方位分解能も超音波振動子アレイの開口長によって制限を受ける。そのため、精細な水中断面映像を取得するには、超音波振動子アレイの開口長を広げ、方位分解能を向上させる必要が生じる。これを実現するには、一般にアレイ素子数を増やす必要がある。また、受信ビームのサイドローブによる虚像を抑制するためにチェビシェフウェイト等を用いたビーム形成が一般に行なわれるが、それに伴いメインビーム幅は広がり、方位分解能が劣化する傾向がある。
アレイ素子数を増やすことなく方位分解能とサイドローブの虚像を改善する方法として、例えば、和差法やアダプティブビームフォーミング法が知られている。和差法は、例えばリニアアレイ型トランスデューサの出力を右半分の超音波振動子の出力と左半分のそれとに分け、両出力の和から両出力の差を差し引くことにより、あたかも受信ビームのメインビーム幅を細くし、サイドローブの虚像を抑制したかのような映像を得る手法である。しかし、和差法には、同距離にある複数のターゲットの検出が不正確になる欠点がある。
アダプティブビームフォーミング法は、マルチビーム法と違って、同じ方位であっても、受信信号に応じて異なるビームパターンを持つ受信ビームを形成する手法である。アダプティブビームフォーミング法として、例えば非特許文献1に記載されているCapon法がある。Capon法は、走査方向以外からの到来波をできる限り受信しないビームパターンを持つ受信ビームを形成することで、方位分解能の向上とサイドローブによる虚像の抑制を実現している。
菊間信良著「アレーアンテナによる適応信号処理」科学技術出版、1998年11月25日。
しかし、受信する到来波に相関性がないことを前提に到来波を推定するCapon法等のアダプティブビームフォーミング法をアクティブソナー等の水中探知装置にそのまま適用すると、反射波の相関性のために、海底等のターゲットの映像が不正確になる。そのため、Capon法を用いた水中探知装置の実用化が困難な状況にある。
この発明の目的は、アダプティブビームフォーミング法によって到来方向を推定する場合に、物標を正確に捉えることのできる探知装置、探知方法及び探知プログラムを提供することである。
本発明に係る探知装置は、互いに隔てて配置されている第1送信素子及び第2送信素子を含む送信素子アレイと、第1送信素子より送波される第1パルス波に対して第2送信素子より送波される第2パルス波を遅延させて第1パルス波に続いて第2パルス波が送波されるように送信素子アレイに送信信号を出力する送信機と、第1パルス波により生じる第1反射波と第2パルス波により生じる第2反射波とを受波できるように配置されている複数の受信素子からなる受信素子アレイと、受信素子アレイで続けて受波される第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う到来方向推定装置を有する受信機とを備えるものである。
本発明の探知装置では、第1送信素子と第2送信素子が隔てて配置されているために反射体に対する第1送信素子からの距離と第2送信素子からの距離が方位によって変化することから、受信素子アレイに合成反射波が戻ってくるときの方位によって、相互に連続する第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波の波形が様々に変化することになる。そのため、受信素子アレイの異なる方位で受波される合成反射波間の相互の相関性を弱めることができ、アダプティブビームフォーミング法を適用したときに検出される合成反射波の強度が互いの相関性によって低下するのを抑制することができる。
本発明に係る探知方法は、第1送信素子より第1パルス波を送波するとともに、第1送信素子から隔てて配置されている第2送信素子より第1パルス波に対して遅延した第2パルス波が第1パルス波に続いて送波されるパルス波送波ステップと、第1パルス波により生じる第1反射波と第2パルス波により生じる第2反射波とを複数の受信素子からなる受信素子アレイで受波する反射波受波ステップと、受信素子アレイで続けて受波される第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う到来方向推定ステップとを備えるものである。
本発明の探知方法では、第1送信素子と第2送信素子が隔てて配置されているために反射体に対する第1送信素子からの距離と第2送信素子からの距離が方位によって変化することから、反射波受波ステップにおいて、合成反射波が戻ってくる方位によって、相互に連続する第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波の波形が様々に変化することになる。そのため、異なる方位で受波される合成反射波間の相互の相関性を弱めることができ、到来方向推定ステップにおいてアダプティブビームフォーミング法を適用したときに検出される合成反射波の強度が互いの相関性によって低下するのを抑制することができる。
本発明によれば、反射波の強度が信号同士の相関性によって低下するのが抑制されるため、反射波の検出が正確に行えるようになることから物標を捉えるときの正確さが増す。
本発明の一実施形態に係る水中探知装置の概要を示すブロック図。 送信用トランスデューサが送波するパルス波の概念を説明するための概念図。 (a) 方位0度の方向に送波されるパルス波を説明するための波形図。(b) 方位−90度の方向に送波されるパルス波を説明するための波形図。 (a) サブアレイを用いる送信用トランスデューサの構成の一例を説明するための概念図。(b) サブアレイを用いる送信用トランスデューサの構成の他の例を説明するための概念図。 ウェイトを掛けられたサブアレイのパルス波の送信ビームパターンを説明するためのグラフ。 ウェイトを掛けられたサブアレイのパルス波の位相特性を説明するためのグラフ。 本実施形態の水中探知装置で受波される異なる2つの方位からの到来波の相関性を示すグラフ。 受波ビームを形成するアダプティブアレイを説明するための概念図。 海底の状況を探知する場合の到来方向推定手順を説明するためのフローチャート。 送信用及び受信用トランスデューサを用いた海底探知の状況を示す概念図。 本実施形態の水中探知装置を用いた場合の効果を説明するためのグラフ。 送信用トランスデューサが送波するパルス波の他の概念を説明するための概念図。 (a) 従来のマルチビーム法の海底観測における送信ビームを説明するための概念図。(b) 従来のマルチビーム法の海底観測における受信ビームを説明するための概念図。 本発明の一実施形態に係る他の水中探知装置の概要を示すブロック図。
以下、本発明の一実施形態に係る水中探知装置について図1を参照しながら説明する。図1は、到来方向推定装置を備える水中探知装置の構成の概要を示すブロック図である。
(1)水中探知装置の構成の概要
図1に示されているように、水中探知装置10は、送信機20と、送信用トランスデューサ30と、受信用トランスデューサ40と、受信機50と、操作・表示装置60とを備えている。送信用トランスデューサ30及び受信用トランスデューサ40は、例えば、キャリア周波数における2分の1波長の間隔で等間隔に超音波振動子31,41が直線状に配置されているリニアアレイ型トランスデューサである。送信用トランスデューサ30で送信されたパルス波によって生じる反射波を受信用トランスデューサ40で受信するため、送信用トランスデューサ30及び受信用トランスデューサ40は、例えば船底に装備されて海中に露出されている。
(1−1)送信機と送信用トランスデューサ
送信用トランスデューサ30は、送信機20に接続されている。送信機20は、後述する操作・表示装置60で設定された条件に基づいて送信信号を生成する。送信機20は、送波時には、後述するパルス波を送信用トランスデューサ30の多数の超音波振動子31が相互に関連して送波するように送信信号を出力する。
送信用トランスデューサが送波するパルス波の概念を、図2を用いて説明する。図2に記載されている送信用トランスデューサ30Aは、キャリアの波長λの2分の1ずつ離れて隣接する3つの超音波振動子311,312,313からなる。送信用トランスデューサ30Aから送信されるパルス波のパルス長を例えば0.3msとすると、各超音波振動子311,312,313から0.1msのパルス長のパルス波P1,P2,P3がそれぞれ送波される。これらの3つのパルス波を足し合わせるとほぼ0.3msのパルス長のパルス波が得られる。これら3つのパルス波P1,P2,P3の方位について、超音波振動子311,312,313の並ぶ方向に対して直交する方位を0度、超音波振動子311,の方にθだけ傾いた時の角度を−θ度、そして超音波振動子313,の方にθだけ傾いた時の角度をθ度と表すものとする。
例えば、θが90度の場合には、パルス波は超音波振動子311,312,313の並ぶ方向に沿って超音波振動子313の方に向かって放射される。そのため、超音波振動子312を基準にすると、超音波振動子311のパルス波P1は、超音波振動子312のパルス波P2よりも超音波振動子311と312の間隔(λ/2)だけ位相が進む。換言すれば、θ=−90度のときに超音波振動子311のパルス波P1は、超音波振動子312のパルス波P2よりも位相がπラジアンだけ進む。逆に、θ=90度のときには、超音波振動子313のパルス波P3は、超音波振動子312のパルス波P2よりも位相がπラジアンだけ遅れる。従って、方位0度の方向に送波される合成パルス波は、図3(a)に示されているように超音波振動子311,312,313のパルス波P1,P2,P3が切れ目なく連続しているような波形になる。一方、方位−90度の方向に送波される合成パルス波は、図3(b)に示されているように超音波振動子311,312,313のパルス波P1,P2,P3が半波長λ/2だけ離れて断続的に続いているような波形になる。これら図3(a)のパルス波と図3(b)のパルス波は、位相をずらしても互いに重なり合うことがないため、相関性が弱くなっている。
次に、図4(a)を用いて、サブアレイを用いる送信用トランスデューサの構成の概念を説明する。図2及び図3を用いて説明した送信用トランスデューサ30Aからパルス波を送信する動作は、送信用トランスデューサ30Aの超音波振動子311,312,313から放射される3つのパルス波P1,P2,P3がそれぞれのタイミングで順次送波されるというものである。一方、図4に示されている送信用トランスデューサ30Bは、h+2個の超音波振動子311〜31h+2を持っており、3つの超音波振動子が一つの組(サブアレイ)を構成している。例えば、サブアレイSua1は超音波振動子311〜313で構成され、サブアレイSuahは超音波振動子31h〜31h+2で構成されている。このようにして、図4(a)の送信用トランスデューサ30Bには、h個のサブアレイSua1〜Suahが形成される。そして、各サブアレイSua1〜Suahから放出されるパルス波はサブアレイSua1〜Suah毎に異なるタイミングで順次送波される。そのために、送信機20の送信信号発生部21に設定されている又は送信信号発生部21で計算される各超音波振動子311〜31h+2のタイミングとウェイトに基づいて送信信号が送信機20から超音波振動子311〜31h+2に与えられる。
ここで、サブアレイを用いる送信用トランスデューサについて、8つの超音波振動子311〜318を持つ具体例を挙げて説明する。図4(b)に示されている送信用トランスデューサ30Cは、λ/2ピッチで8つの超音波振動子311〜318を直線状に配置したリニアアレイであり、3つのサブアレイSua11〜Sua13を構成している。
各サブアレイSua11〜Sua13は表1に示されているウェイトを各超音波振動子に掛けて6つの超音波振動子にパルス波の送波を行わせる。表1の素子番号は、例えば超音波振動子311〜318の符号の引数の小さい順あるいは引数の大きい順に並べたときの順番を表している。表1に示されているウェイトは複素数である。
Figure 2014013162
Figure 2014013162
このようなウェイトを掛けて送波を行うと、各サブアレイSua11〜Sua13のパルス波はそれぞれ図5に示されている送信ビームパターンを持つ。図5の送信ビームパターンの中心付近にくぼみ(音圧が小さくなっている部分)を付けているのは、送信用トランスデューサ30Cの真下の海底の虚像を抑制するためである。
表1のウェイトは、素子番号1と6、2と5、3と4のウェイトが異なる左右非対称なものである。そのため、素子番号1と6、2と5、3と4のウェイトを相互に入れ替えて左右のウェイトをひっくり返して送信すると、送信ビームパターンが同じで位相が異なる送波ビームを送波することができる。このような2種類のウェイトの掛け方を3つのサブアレイSua11〜Sua13に適用すると、表2に示されているようなウェイトになり、振幅特性が同じで位相特性のみ異なる6つの送波ビームを生成できる。なお、表2には複素数の虚部の記載が省かれている。図6に示されているように6つの送波ビーム全てが異なる位相特性を持っているので、3つのサブアレイSua11〜Sua13で6つの送波ビームを使ってパルス波を送波すると、3つのサブアレイSua11〜Sua13で3つの送波ビームを使ってパルス波を送波する場合に比べて相関性の抑制効果が大きくなる。
図7は、0度の方位からの到来波と0度以外の方位からの到来波の相関性を示すグラフである。図7において、黒丸を結んだグラフは従来のように8つの超音波振動子311〜318から同時に送波した所定パルス長のパルス波から生じる反射波(到来波)の相関性を示しており、白丸を結んだグラフは表2に示されているウェイトを掛けた6種類の送信ビームを順次遅延させて所定パルス長の6分の1ずつ送波して形成されるパルス波から生じる反射波(到来波)の相関性を示している。8つの超音波振動子311〜318から同じパルス波を同時に送波した場合には、例えば、0度方位の到来波と15度方位の到来波の相関性は1になる。それに対して、表2のようなウェイトを掛けて8つの超音波振動子311〜318から順次6つの送波ビームを送波した場合には、例えば0度方位の到来波と15度方位の到来波の相関性は0.4になる。
(1−2)受信用トランスデューサと受信機
受信用トランスデューサ40は、受信機50に接続されている。受信用トランスデューサ40は、受波した反射波に応じたエコー信号を受信機50に出力する。受信機50は、受信したエコー信号を処理して映像信号に変換し、操作・表示装置60に映像信号を出力する。操作・表示装置60は、受信機50から出力された映像信号に応じた映像を表示画面に表示する。この操作・表示装置60は、種々の入力キーなどを備えており、超音波の送受信や映像表示に必要な種々の設定や種々のパラメータなどを入力できるように構成されている。受信機50の設定に応じて、後述するアダプディブビームフォーミング法の定数などを操作・表示装置60から入力するように構成してもよい。
受信機50は、増幅器51と、A/D変換器52と、検波器53と、信号処理部54とを備えている。
増幅器51は、図8に示されているK個の超音波振動子411〜41Kのそれぞれの電気信号を増幅してK個の受信信号を出力する。A/D変換器52は、増幅器51から出力される受信信号を複素のデジタル信号に変換し、複素受信データとして信号処理部54に出力する。検波器53は、A/D変換器52から出力されるデジタル信号をIQ検波等の方法を用いて検波する。信号処理部54では、検波器53から出力される複素受信データを処理して映像信号を生成する。信号処理部54は、映像信号の生成などの信号処理に際して、受信用トランスデューサ40で受波する到来波の到来方向を推定する処理を到来方向推定装置70において行なう。この到来方向の推定結果を用いて、水中断面映像等を形成することができる。
(2)到来方向推定装置の構成
到来方向推定装置70は、R計算部71と、空間平均処理部72と、減衰行列加算部73と、Capon法出力計算部74と、到来方向及び強度計算部75とを備えている。この到来方向推定装置70は、例えば図示しないCPU、FPGA及びメモリなどのデバイスで構成される。例えば、CPUがメモリからプログラムを読み出して実行することによりR計算部71と空間平均処理部72と減衰行列加算部73とCapon法出力計算部74と到来方向及び強度計算部75の機能を構成することができる。
これらの構成を説明する前に、到来方向推定装置70の推定の対象となる受信データと受信用トランスデューサ40との関係について図8を用いて説明する。図8は受波ビームを形成するアダプティブアレイを説明するための概念図である。図8に示されているように、受信用トランスデューサ40は、例えば一直線に並んだK個の超音波振動子411〜41Kからなり、超音波振動子411〜41Kの配置位置は、基準点Pからd1〜dKの距離にある。そして、超音波振動子411〜41Kの互いに隣接する振動子同士の間隔が、例えば超音波のキャリア周波数における2分の1波長である。図8においては、所望波が角度θで超音波振動子411〜41Kに入射している状態が示されている。
時刻tにおける超音波振動子411〜41Kの複素受信信号をまとめて入力ベクトルX(t)で表すことができ、X(t)=〔x1(t),x2(t),…xK(t)〕Tである。ここで、Tは転置を表している。
R計算部71は、入力ベクトルX(t)から時刻tにおける相関行列R(t)を算出する。相関行列R(t)は次の(1)式で与えられる。
R(t)=E[X(t)XH(t)] …(1)
ここで、E[・]は、期待値(アンサンブル平均)を求める操作を表し、Hは複素共役転置を表す。アンサンブル平均は、時間平均で代用される。つまり、時刻tにおける相関行列R(t)を求めるにあたり、その前後のサンプリング時刻における入力ベクトルも用いる。一様時間平均の場合、次のようになる。
Figure 2014013162
相関行列R(t)の時間平均は一様でなく、適当な重みを付けた時間平均でもよい。また時間平均は行なわなくてもよい。以降の説明で、相関行列R(t)の時間平均は行なわないこととする。また、特定の時刻における相関行列のみを考えることとし、相関行列と入力ベクトルの引数tを省く。
空間平均処理部72は、サブアレイを使って相関行列Rの空間平均を行なって空間平均相関行列Ravを算出する。図8には、連続したK個の超音波振動子を1個ずつずらしながらN個のサブアレイSub1〜Subnを取り出す例が示されている。
第nサブアレイの入力ベクトルXnは、(2)式で与えられる。
n=〔xn,xn+1,…xn+K-1T (n=1,2,…N) …(2)
したがって、第nサブアレイの部分相関行列Rnは(3)式で与えられる。
n=E[XnH n] (n=1,2,…N) …(3)
各部分相関行列Rnに対する重み付けをwn(n=1,2,…N)とすると、N個の部分相関行列の平均(空間平均)によって(4)式の空間平均相関行列Ravが得られる。重みの例として、wn=1/Nがあり、一様空間平均と呼ばれる。このような空間平均処理部72での処理を行うため、R計算部71では、部分相関行列Rnの算出が行なわれ、算出された部分相関行列Rnが空間平均処理部72に対して出力される。
Figure 2014013162
減衰行列加算部73は、受信用トランスデューサ40の感度によって定まる定数sと、所望波の伝搬距離rに応じて定まる対角行列を生成して空間平均相関行列Ravに加算する。受信用トランスデューサ40の感度によって定まる定数sは、その受信用トランスデューサ40を用いた実測結果などに基づいて定めることができ、例えば実測において定数sを変化させたときにSN比が最も良好になる値が選択される。また、伝搬距離rは、受信用トランスデューサ40から超音波が送波されてから受信用トランスデューサ40で反射波が受波されるまでの時間から求まる。この減衰行列Dは、例えば到来波の減衰が伝搬距離rの2乗に比例する場合には、単位行列Iを用いて次の(5)式で与えられる。したがって、減衰行列加算部73の出力RDLは、(6)式で与えられる。
D=(s/r2)×I …(5)
DL=Rav+δI (ただし、δ=s/r2) …(6)
Capon法出力計算部74は、従来のCapon法で用いられていた相関行列Rに代えて減衰行列加算部73の出力である相関行列RDLを用いてCapon法の出力P(θ)を算出する。Capon法の出力である角度スペクトルP(θ)は、ステアリングベクトルa(θ)を用いて(7)式で与えられる。
Figure 2014013162
ステアリングベクトルa(θ)は、アレイの形状によって決まる。素子の配列がリニアアレイであり、かつその位置が図8のように基準点Pから見てd1〜dKで表される場合には、ステアリングベクトルa(θ)は次式で与えられる。次式において、λは搬送波(超音波)の波長を表し、jは虚数単位を表す。
Figure 2014013162
(7)式で示されるCapon法の角度スペクトラムから、到来方向及び強度計算部75において、角度θを変化させたときのピーク(極大値)の位置により到来方向が検出され、ピークの高さにより到来波の電力(到来波の強度)が検出される。
(3)到来方向推定手順
上述の到来方向推定装置70における到来方向推定の手順をまとめて、海底の状況を探知する場合について図9のフローチャートに沿って説明する。まず、送信用トランスデューサ30から送信ビームが海底に向けて送波される。そして、海底で反射された反射波が受信用トランスデューサ40で受波される。このとき、受信ビームを所定角度の範囲、例えば鉛直下方を0度として−60度から60度の範囲で走査して所望波の到来方向についてその電力を検出する。
図10に、船舶100が送信用トランスデューサ30及び受信用トランスデューサ40を用いて海底101の探知を行う状況が概念的に示されている。水平方向に広がりを持つ海底101に対して、送信用トランスデューサ30や受信用トランスデューサ40から等距離にある位置は図10に破線で示されているように扇型に広がる。そこで、船舶100の鉛直下方から横に広がる海底を探知するために、所定時間毎に受信ビームを走査する。例えば、所定時間経過ごとに受信ビームの所望波の方位(ステアリングベクトルのθ)を−60度から60度まで変化させて−60度から60度の範囲を走査する。そのために、アダプティブビームフォーミングを行なう処理などは、受信データを一旦信号処理部54に記憶してから行われる。このとき、図10の反射波U1,U2,U3は、仮に反射される距離が等しいと仮定するとそれらの送信される方位が異なるため、互いに波形が異なって互いに相関性が低くなっている。つまり、受信用トランスデューサ40で同時に受信される到来波の波形が互いに異なるということである。その結果、反射波U1,U2,U3は、アダプティブビームフォーミングにおいて明確に区別して処理され易くなる。
例えば、受信用トランスデューサ40から超音波が送波された直後(時刻t=0の時点)から所定時間が経過する毎に入力ベクトルが生成され、例えば、時刻t=ΔTの時点の入力ベクトルXがX(t1)である。さらに時刻t=γから所定時間が経過する毎に入力ベクトルX(t2),X(t3)…X(tn)が生成される。受信用トランスデューサ40から増幅器51、A/D変換器52及び検波器53を経て到来方向推定装置70に与えられる入力ベクトルX(t)は、これら入力ベクトルX(t1),X(t2)…,X(tn)である(ステップS1)。例えば、所定時間をΔTとすると、入力ベクトルX(tn)の到来波の伝搬距離rは、海中の音速vを用いて、r=ΔT×n×vで与えられる。
これらの各入力ベクトルX(t)について、R計算部71において部分相関行列Rnが算出される(ステップS2)。そして、部分相関行列Rnを用いて、空間平均処理部72で空間平均処理が行なわれ、空間平均相関行列Ravが算出される(ステップS3)。
次に、減衰行列加算部73では、超音波の伝搬距離rから減衰行列Dが計算される。定数sは、水中探知装置10が定まれば、予め決定できる数値である。例えば、入力ベクトルX(t1)の減衰行列D(t1)の各要素の値と入力ベクトルX(t30)の減衰行列D(t30)の各要素の値は異なり、両者の比較では減衰行列D(t1)の各要素の値の方が減衰行列D(t30)の各要素の値よりも大きくなる。減衰行列加算部73からは、所定時間毎に、空間平均相関行列Ravに減衰行列Dが加算されて相関行列RDLが出力される(ステップS4)。
次に、Capon法出力計算部74では、相関行列RDLの逆行列に基づいて出力P(θ)、つまり角度スペクトルが算出される(ステップS5)。このとき、(7)式のステアリングベクトルa(θ)としては、各入力ベクトルX、例えば入力ベクトルX(tn)に対してステアリングベクトルa(−60°),a(−59°),…a(0°),…,a(59°),a(60°)が用いられる。
到来方向及び強度計算部75においては、この出力P(θ)のθを変化させてピーク(極大値)の位置から到来方向の推定が行なわれる(ステップS6)。また、到来方向及び強度計算部75において、極大値から到来波の信号レベル(強度)が推定される(ステップS7)。
各入力ベクトルX(t1),X(t2),…X(tn)について、上述のような走査が行われ、求められた角度スペクトラムから画像形成がなされる(ステップS8)。一つの時刻(距離)について角度スペクトラムを計算すると、それが画像1ライン分の濃淡データになる(P(θ)の値がその色と対応する)。目的の距離までの角度スペクトラムP(θ)を全て取得すれば、角度−距離の2次元濃淡画像を形成できる。角度−距離の2次元濃淡画像のデータを座標変換し、水平距離−垂直距離の2次元画像とすれば、操作・表示装置60で表示する画像が得られる。従って、到来方向の推定(ステップS6)や到来波の信号レベルの推定(ステップS7)を行わなくても画像形成(ステップS8)を行うことができ、ステップS6,S7とステップS8は並列で処理することができる。
<特徴>
(1)
上記実施形態の図2では、3つの超音波振動子311〜313(送信素子)を用いて説明したが、例えば、送信用トランスデューサ30A(送信素子アレイ)のうちの少なくとも2つの超音波振動子311,312を持っていれば、相関性を弱めるという効果を奏することができる。
例えば超音波振動子311(第1送信素子)と超音波振動子312(第2送信素子)とは、互いにキャリア周波数の2分の1波長λ/2隔てて配置されている。図2に示されているように、超音波振動子311(第1送信素子)より送波されるパルス波P1(第1パルス波)に対して、超音波振動子312(第2送信素子)よりパルス波P2(第2パルス波)が遅延して送波される。このように、パルス波P1に続いてパルス波P2が送波されるように送信用トランスデューサ30Aに送信機20(図1参照)から送信信号が出力される。
このようにして送信されるパルス波P1とパルス波P2の反射波で構成される例えば図10の反射波U1,U3(合成反射波)は、同一距離の異なる方位で反射されると、パルス波P1とパルス波P2の位相が異なるために図3を用いて説明したように反射波U1,U3の波形が異なるものになり、相互の相関性が低下する。
このように相関性が低下した反射波U1,U3について受信機50の到来方向推定装置70ではCapon法(アダプティブビームフォーミング法)を適用してCapon法の出力P(θ)の計算(到来波に関する演算)を行っている。
例えば、図11は、図4(b)に示した8つの超音波振動子を用いた場合のマルチビーム法による検出結果Maと、相関性が高い場合のCapon法による演算結果Ca1と、本実施形態による水中探知装置10による演算結果Ca2の一例を示すグラフである。相関性が高い場合とは、送信用トランスデューサ30Cの超音波振動子311〜318から同じパルス波を同時に送信して、サブアレイ化していない受信用トランスデューサ40で受信した場合のシミュレーション結果である。水中探知装置10による検出結果は、同様に8つの超音波振動子311〜318からなる送信用トランスデューサ30Cを用い、8つの超音波振動子411〜418からなる受信用トランスデューサ40を用い、送受信ともに3つのサブアレイを用いたときのシミュレーション結果である。この水中探知装置10では、マルチビーム法に比べてサイドローブを低減でき、相関性が高い場合のCapon法に比べて出力が改善されていることが分かる。
以上説明したように、超音波振動子311と超音波振動子312が隔てて配置されているために反射体に対する超音波振動子311からの距離と超音波振動子312からの距離が方位によって変化することから、送信用トランスデューサ30Cに合成反射波U1,U3が戻ってくるときの方位によって合成反射波の波形が様々に変化することになる。このことは、超音波振動子の個数が増えても同じであり、例えば超音波振動子313が追加されても同じである。本願発明の効果を奏するためには、上述した超音波振動子311と超音波振動子312のような条件を満たす超音波振動子が少なくとも2つ送信用トランスデューサ30に含まれていればよい。
(2)
上記実施形態の送信機20は、パルス波P1(第1パルス波)及びパルス波P2(第2パルス波)を含む合成パルス波がファンビームとなるように送信用トランスデューサ30A(送信素子アレイ)に送信信号を出力する。例えば、送信ビームとしてペンシルビームのようにビームの指向性の高いものを用いると反射波が生成されない領域も出てくるため、海底地形を探索する場合など広範囲の探知を行う場合には全体で満遍なく反射波が生成されるファンビームを用いる方が有利である。
(3)
図4を用いて説明したように、送信機20から送信される送信信号により、送信用トランスデューサ30B,30Cは、サブアレイSua1〜Suah,Sua11〜Sua13の単位で動作する。例えば、超音波振動子311,312,313で構成されているサブアレイSua1と超音波振動子312,313,314で構成されているサブアレイSua2とを比較してみる。サブアレイSua1(第1送信サブアレイ)は、超音波振動子311,313(第1送信素子及び第3送信素子)を含み、そして、サブアレイSua2(第2送信サブアレイ)は、超音波振動子312,314(第2送信素子及び第4送信素子)を含んでいるとみなすことができる。このようにみなすと、サブアレイSua11の音響中心とサブアレイSua12の音響中心とは、キャリア周波数の2分の1波長λ/2隔てて配置されている。
そのため、2つのサブアレイSua11,Sua12は、それぞれの音響中心に配置された一つの超音波振動子と同様に扱うことができる。その結果、送信用トランスデューサ30Bは、超音波振動子311〜313から送波される第1サブアレイパルス波に続いて超音波振動子312〜314から送波される第2サブアレイパルス波を送波することができる。
このようにして送信される第1サブアレイパルス波と第2サブアレイパルス波の反射波で構成される例えば図10の反射波U1,U3(合成反射波)は、同一距離の異なる方位で反射されると、互いの音響中心が隔てて配置されているために第1サブアレイパルス波と第2サブアレイパルス波の位相がわずかに異なって反射波U1,U3の波形が異なるものになり、相互の相関性が低下する。
なお、送信サブアレイは、上述の第1送信サブアレイと第2送信サブアレイに限られるものではなく、上記実施形態で説明した送信用トランスデューサ30B,30Cのように、音響中心が互いに隔てられている3つ以上の送信サブアレイで送信用トランスデューサ(送信素子アレイ)が構成されてもよい。つまり、送信素子アレイに第3送信サブアレイなど他の送信サブアレイを追加することもできる。
(4)
上記実施形態の送信機20は、サブアレイSua1〜SuahやサブアレイSua11〜Sua13が送波するパルス波の合成パルス波がファンビームとなるように送信用トランスデューサ30B,30C(送信素子アレイ)に送信信号を出力する。合成パルス波をファンビームとすると、海底地形を探索する場合など広範囲の探知を行う場合に有利である。
(5)
上記実施形態では、表1で示されているように、例えばサブアレイSua11,Sua12(第1送信サブアレイ及び第2送信サブアレイ)を構成する超音波振動子311〜314(第1送信素子、第2送信素子、第3送信素子及び第4送信素子)の重み付けが行われる場合について説明している。このような重み付けを行うことで、サブアレイSua11,Sua12から送波されるパルス波(第1サブアレイパルス波及び第2サブアレイパルス波)の送信ビームパターンを例えば図5に示されているように、探知対象に合わせて適切に設定することができる。その結果、虚像を抑制することができるなど探知性能を向上させることができる。
(6)
上記実施形態では、表2に示されているように、送信機20は、超音波振動子311〜314(第1送信素子、第2送信素子、第3送信素子及び第4送信素子)に対するそれぞれの重み付けを変えることにより、サブアレイSua11の順方向のパルス波(第1サブアレイパルス波)及びサブアレイSua12の順方向のパルス波(第2サブアレイパルス波)と振幅特性が同じで位相特性が方位によって異なるサブアレイSua11の逆方向のパルス波(第3サブアレイパルス波)及びサブアレイSua12の逆方向のパルス波(第4サブアレイパルス波)を送信用トランスデューサ30Cに送波させる。
このように、第1サブアレイパルス波及び第2サブアレイパルス波に、第3サブアレイパルス波及び第4サブアレイパルス波を加えることができ、サブアレイパルス波の種類を増やすことができるので、より多くの種類のサブアレイパルス波で合成パルス波を構成することで相関性をさらに抑制することができる。
(7)
上記実施形態では、例えば超音波振動子311(第1送信素子)と超音波振動子312(第2送信素子)とは、互いにキャリア周波数の2分の1波長λ/2隔てて配置されている。図2に示されているように、超音波振動子311(第1送信素子)より送波されるパルス波P1(第1パルス波)に対して、超音波振動子312(第2送信素子)よりパルス波P2(第2パルス波)が遅延して送波される。このとき、パルス波P1とパルス波P2の周波数とパルス長が同じになるように構成されている。このように構成すると、超音波振動子311(第1送信素子)と超音波振動子312(第2送信素子)とに対して同一の送信信号を送信機20が遅延させて与えるという簡単な構成で探知装置10を実現することができる。それにより、探知装置10の構成が簡単になり、探知装置10を安価に提供することができる。
(8)
上記実施形態の到来方向推定装置70は、超音波振動子411〜41K(複数の受信素子)を含む受信用トランスデューサ40(受信素子アレイ)をN個のサブアレイSub1〜Subn(複数の受信サブアレイ)に分割し、サブアレイSub1〜Subnを用いて空間平均を行っている。
この空間平均による相関性の抑制効果が、上記(1)で説明した少なくとも2つの超音波振動子311,312(第1送信素子及び第2送信素子)から送波される第1パルス波と第2パルス波の合成パルス波を用いることによる相関性の抑制効果と合わさって、さらに相関性を抑制することができる。
<変形例>
(1)
上記実施形態では、海中において超音波を用いる水中探知装置について説明したが、媒質の振動を利用する探知装置は、上記実施形態のような水中探知装置には限られない。例えば、地震波のように地中を伝わる振動(横波)を用いる場合についても適用できる。また、振動を伝える媒質は、金属や人体の組織など水以外のものであってもよい。
(2)
上記実施形態では、アダプティブビームフォーミング法の例にCapon法を挙げて説明したが、本発明の適用できるアダプティブビームフォーミング法は、Capon法に限られるものではなく、線形予測法やMUSIC法など到来方向を推定する他のアダプティブビームフォーミング法にも適用することができる。
(3)
上記実施形態では、直線状に配置されている超音波リニアアレイを用いたが、3つ以上の超音波振動子31(送信素子アレイ)や3つ以上の超音波振動子41(受信素子アレイ)の配列は直線には限られず、例えば面状など他の形状に配置されてもよい。また、3つ以上の超音波振動子31,41の間隔は等間隔に限られず、またその間隔も波長の2分の1に限られるものではなく、上記以外の間隔や不等間隔に超音波振動子31,41が配置されているものにも本発明を適用することができる。
(4)
上記実施形態では、到来方向推定装置において減衰行列加算部73が対角行列を生成して空間平均相関行列Ravに加算する場合について説明したが、この減衰行列加算部73を省くこともできる。
(5)
上記実施形態では、送信される合成パルス波を方位毎に段階的に変化させる場合について説明したが、図12に示されているように、各超音波振動子311〜313から送波されるパルス波P11,P12,P13にAM変調を掛けて合成パルス波を各方位によって無段階に変化させるようにしてもよい。例えば、一つの超音波振動子311のパルス波P11の終わりの部分の振幅を徐々に小さくし、超音波振動子311のパルス波P11の振幅が小さくなり始めるところから超音波振動子312のパルス波P12の振幅を徐々に大きくするように構成することもできる。
(6)
上記実施形態では、送信用トランスデューサ30と受信用トランスデューサ40を用いる場合について説明したが、図14に示されているように送受切換器35を用いて一つのトランスデューサ30Aを超音波の送信と受信の両方に兼用してもよい。この場合、トランスデューサ30Aが送信素子アレイであと同時に受信素子アレイでもある。
(7)
上記実施形態では、送信機20の送信信号発生部21や受信機50の到来方向推定装置70の機能ブロックが、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク等)に格納された上述した処理手順を実行可能なプログラムデータが、CPUによって解釈実行されることで実現される場合について説明した。このプログラムデータは、記録媒体を介して記憶装置内に導入されてもよいし、記録媒体上から直接実行されてもよい。なお、記録媒体は、ROMやRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクメモリ、CD−ROMやDVDやBD等の光ディスクメモリ、及びメモリカード等をいう。また、記録媒体は、電話回線や搬送路等の通信媒体も含む概念である。
また、上記実施形態の送信信号発生部21や到来方向推定装置70を構成する全て又は一部の機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、又はウルトラLSI等と称される)として実現される。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化の手法は、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
10 水中探知装置
20 送信装置
30,30A,30B,30C 送信用トランスデューサ
40 受信用トランスデューサ
50 受信機
60 操作・表示装置
70 到来方向推定装置

Claims (12)

  1. 互いに隔てて配置されている第1送信素子及び第2送信素子を含む送信素子アレイと、
    前記第1送信素子より送波される第1パルス波に対して前記第2送信素子より送波される第2パルス波を遅延させて前記第1パルス波に続いて前記第2パルス波が送波されるように前記送信素子アレイに送信信号を出力する送信機と、
    前記第1パルス波により生じる第1反射波と前記第2パルス波により生じる第2反射波とを受波できるように配置されている複数の受信素子からなる受信素子アレイと、
    前記受信素子アレイで続けて受波される前記第1反射波と前記第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う到来方向推定装置を有する受信機と
    を備える、探知装置。
  2. 前記送信機は、前記第1パルス波及び前記第2パルス波を含む合成パルス波がファンビームとなるように前記送信素子アレイに送信信号を出力する、
    請求項1に記載の探知装置。
  3. 前記送信素子アレイは、第3送信素子及び第4送信素子をさらに含み、前記第1送信素子及び前記第3送信素子を含む第1送信サブアレイの音響中心と前記第2送信素子及び前記第4送信素子を含む第2送信サブアレイの音響中心とが相互に隔てて配置されるように構成され、
    前記送信機は、前記第1パルス波及び前記第3送信素子より送波される第3パルス波に対して前記第2パルス波及び前記第4送信素子より送波される前記第4パルス波を遅延させて、前記第1送信サブアレイから送波される第1サブアレイパルス波に続いて前記第2送信サブアレイから送波される第2サブアレイパルス波が送波されるように前記送信素子アレイに送信信号を出力し、
    前記受信素子アレイは、複数の前記受信素子が前記第1サブアレイパルス波により生じる第1サブアレイ反射波と前記第2サブアレイパルス波により生じる第2サブアレイ反射波を受信できるように配置され、
    前記到来方向推定装置は、前記受信素子アレイで続けて受波される前記第1サブアレイ反射波と前記第2サブアレイ反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う、
    請求項1又は請求項2に記載の探知装置。
  4. 前記送信機は、前記第1サブアレイパルス波及び前記第2サブアレイパルス波を含む合成パルス波がファンビームとなるように前記送信素子アレイに送信信号を出力する、
    請求項3に記載の探知装置。
  5. 前記送信機は、前記第1送信素子、前記第2送信素子、前記第3送信素子及び前記第4送信素子に重み付けが行われるように送信信号を前記送信素子アレイに出力し、前記第1サブアレイパルス波及び前記第2サブアレイパルス波を前記送信素子アレイに送波させる、
    請求項3又は請求項4に記載の探知装置。
  6. 前記送信機は、前記第1送信素子乃至前記第4送信素子に対するそれぞれの重み付けを変えることにより、前記第1サブアレイパルス波及び前記第2サブアレイパルス波と振幅特性が同じで位相特性が方位によって異なる第3サブアレイパルス波及び第4サブアレイパルス波を前記送信素子アレイに送波させる、
    請求項5に記載の探知装置。
  7. 前記送信機は、前記第1送信素子から送信される前記第1パルス波と前記第2送信素子から送信される前記第2パルス波の周波数が同じになるように前記送信素子アレイに送信信号を出力する、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の探知装置。
  8. 前記送信機は、前記第1送信素子から送信される前記第1パルス波と前記第2送信素子から送信される前記第2パルス波のパルス長が同じになるように前記送信素子アレイに送信信号を出力する、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の探知装置。
  9. 前記到来方向推定装置は、複数の前記受信素子を含む受信素子アレイを複数の受信サブアレイに分割し、複数の前記受信サブアレイを用いて空間平均を行う、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の探知装置。
  10. 前記第1送信素子、前記第2送信素子及び複数の前記受信素子は、それぞれ超音波振動子であり、
    前記到来方向推定装置は、アダプティブビームフォーミング法を適用して水中を伝播する到来波に関する演算を行う、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の探知装置。
  11. 第1送信素子より第1パルス波を送波するとともに、前記第1送信素子から隔てて配置されている第2送信素子より前記第1パルス波に対して遅延した第2パルス波が前記第1パルス波に続いて送波されるパルス波送波ステップと、
    前記第1パルス波により生じる第1反射波と前記第2パルス波により生じる第2反射波とを複数の受信素子からなる受信素子アレイで受波する反射波受波ステップと、
    前記受信素子アレイで続けて受波される前記第1反射波と前記第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う到来方向推定ステップと
    を備える、探知方法。
  12. 第1送信素子より第1パルス波を送波させるとともに、前記第1送信素子から隔てて配置されている第2送信素子より前記第1パルス波に対して遅延した第2パルス波を前記第1パルス波に続いて送波させるパルス波送波機能と、
    前記第1パルス波により生じる第1反射波と前記第2パルス波により生じる第2反射波とに対応する合成エコー信号を複数の受信素子からなる受信素子アレイから受信するエコー信号受信機能と、
    前記受信素子アレイで続けて受波される前記第1反射波と前記第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う到来方向推定機能と
    をコンピュータに実現させるための探知プログラム。
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