JP2014115160A - 探知装置、探知方法及び探知プログラム - Google Patents

探知装置、探知方法及び探知プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】アダプティブビームフォーミング法によって到来方向を推定する場合に、物標を正確に捉えることのできる探知装置、探知方法及び探知プログラムを提供する。
【解決手段】アレイアンテナ30Aは、互いに隔てて配置されているアンテナ素子311及びアンテナ素子312を含む。アンテナ素子311より送波される電磁波パルスp1に対してアンテナ素子312より送波される電磁波パルスp2が遅延させられている。これら電磁波パルスp1に続いて電磁波パルスp2が送波される。アレイアンテナ30Aでは、電磁波パルスp1により生じる反射波と電磁波パルスp2により生じる反射波とが複数のアンテナ素子311〜314によって受波される。アレイアンテナ30Aで続けて受波される電磁波パルスp1の反射波と電磁波パルスp2の反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算が行われる。
【選択図】図3

Description

本発明は、アレイアンテナを用いて物標を探知する探知装置、探知方法及び探知プログラムに関する。
従来の探知装置の一つとして、複数のアンテナ素子により構成されるアレイアンテナを用いて電磁波の送受信を行なうレーダ装置がある。アレイアンテナを用いたレーダ装置の一例として、船舶の甲板に搭載されているレーダ装置のアレイアンテナがあり、このようなアレイアンテナから放射される送信ビームによって他船が探知される。アレイアンテナが船舶の甲板に平行な面内で回転しながら送信ビームが放射されて、送信ビームが他船などの物標で反射されて戻ってくる反射波がアレイアンテナで受波されることにより他船などの物標が探知される。一般に、航海等で用いられるこのようなレーダ装置は、アレイアンテナの長さで方位分解能が決まり、アレイアンテナを長くしてビーム幅を狭くし方位分解法を向上させている。しかし、アンテナが大きくなるとアンテナを回転するための回転駆動機構が大掛かりなものとなるなど、コストが増加するばかりでなく、装備に掛かる負荷も増して故障などの不具合が発生する可能性も増加する。
一方、短いアレイアンテナを用いたレーダ装置に適用して方位分解能を向上させる方法として、従来からアダプティブビームフォーミング法が知られている。アダプティブビームフォーミング法(適用アンテナ方式)は、同じ方位であっても、受信信号に応じて異なるビームパターンを持つ受信ビームを形成する手法である。アダプティブビームフォーミング法として、例えば非特許文献1に記載されているCapon法がある。Capon法は、走査方向以外からの到来波をできる限り受信しないビームパターンを持つ受信ビームを形成することで、方位分解能の向上とサイドローブによる虚像の抑制を実現している。
菊間信良著「アレーアンテナによる適応信号処理」科学技術出版、1998年11月25日。
しかし、アダプティブビームフォーミング法は、複数の方位から相関性の高い信号が到来した場合、従来のビームフォーミング法に比べて出力特性が劣化する場合がある。
この発明の目的は、アダプティブビームフォーミング法によって到来方向を推定する場合に、物標を正確に捉えることのできるレーダ装置などの探知装置、このような探知装置に適用される探知方法及び探知プログラムを提供することである。
本発明に係る探知装置は、互いに隔てて配置されている第1送信用アンテナ素子及び第2送信用アンテナ素子を含む送信用アレイアンテナと、第1送信用アンテナ素子より送波される第1電磁波パルスに対して第2送信用アンテナ素子より送波される第2電磁波パルスを遅延させて第1電磁波パルスに続いて第2電磁波パルスが送波される送信信号を送信用アレイアンテナに出力する送信機と、第1電磁波パルスにより生じる第1反射波と第2電磁波パルスにより生じる第2反射波とを受波する複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナと、受信用アレイアンテナで続けて受波される第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う受信機とを備えるものである。
本発明の探知装置によれば、受信機における到来波に関する演算において、互いに位相が異なる第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用するので、受波する方位が異なれば到来波の相関性が低下するため、到来波の相関性に起因する不具合を低減させることができる。
本発明に係る物標探知方法は、互いに隔てて配置されている第1送信用アンテナ素子及び第2送信用アンテナ素子を含む送信用アレイアンテナと、複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナとを備える探知装置を用いた物標探知方法であって、送信用アレイアンテナに送信信号を出力し、第1送信用アンテナ素子より送波される第1電磁波パルスに対して第2送信用アンテナ素子より送波される第2電磁波パルスを遅延させて第1電磁波パルスに続いて第2電磁波パルスを送波する送信ステップと、第1電磁波パルスにより生じる第1反射波と第2電磁波パルスにより生じる第2反射波とを複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナで受波する受信ステップと、受信用アレイアンテナで続けて受波される第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う演算ステップとを含むものである。
本発明の物標探知方法によれば、演算ステップにおける到来波に関する演算において、互いに位相が異なる第1反射波と第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用するので、受波する方位が異なれば到来波の相関性が低下するため、到来波の相関性に起因する不具合を低減させることができる。
本発明によれば、反射波の強度が信号同士の相関性によって低下するのが抑制されるため、反射波の検出が正確に行えるようになることから物標を捉えるときの正確さが増す。
レーダ装置を用いた物標の探知を説明するための概念図。 本発明の一実施形態に係るレーダ装置の概要を示すブロック図。 送信ビームを形成するアダプティブアレイを説明するための概念図。 受信される電磁波パルスを説明するための概念図。 アダプティブビームフォーミングの処理手順を説明するためのフローチャート。 本発明が適用されていないレーダ装置のシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明が適用されていないレーダ装置のシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明が適用されているレーダ装置のシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明の一実施形態に係る他のレーダ装置の概要を示すブロック図。
以下、本発明の一実施形態に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図1には、一実施形態に係るレーダ装置を搭載した船舶によって他船が探知される状況が示されている。船舶100の甲板には、図2に記載されているレーダ装置10のアレイアンテナ30が設置されている。アレイアンテナ30は、例えば、K個のアンテナ素子311〜31Kを等間隔かつ直線状に配置して構成されている。レーダ装置10のアレイアンテナ30は、水平方向に鋭い指向性を持ったパルス状電波(レーダ送信信号)のビーム(送信ビーム)を送信するとともに、その周囲にある物標からの反射波を受信する。送信及び受信のビーム幅は、アンテナの長さで決まり、この図では例えば2度に設定される。アレイアンテナ30は、図1に示されているように、船舶100の上方に設置されており、図2に示されている旋回モータ36によって水平面内で回転しながら、上記の送信と受信を繰り返す。回転数は、例えば24rpmである。アレイアンテナ30が1回転する間に行う処理の単位を1スキャンとよぶ。また、レーダ送信信号を送信してから次のレーダ送信信号を送信する直前までの期間における送信と受信の動作をスイープとよぶ。1スイープの時間、すなわち送信周期は、例えば1msである。
このレーダ装置は、アレイアンテナ30の送波面に対して垂直の方向(以下、ステアリングベクトルの0度方向ともいう)の物標を捉える構成となっている。図1において、点線39で示されている方向が、アレイアンテナ30のステアリングベクトルが0度の方向である。つまり、アレイアンテナ30から送信される送信ビームの方向(ステアリングベクトルの0度方向)が点線39で示されている方向である。図1の点線39上に他船200が進入しており、この他船200がこのレーダ装置により素早く捉えられる。
(1)レーダ装置の構成の概要
レーダ装置10は、送受信装置20と、アレイアンテナ30と、送受切換器35と、旋回モータ36と、操作・表示装置50とを備えている。送受信装置20は、送信部21と、受信部22と、信号処理部23とを有している。
送信部21は、マイクロ波を発振する電子素子として例えばマグネトロンを有している。マグネトロンからは、パルス変調されたマイクロ波が出力される。送信部21は、レーダ送信信号を生成して送受切換器35へ送出する。送受切換器35へレーダ送信信号が送出されるタイミングは、旋回モータ36によってアレイアンテナ30のステアリングベクトルの0度方向と所定スイープの送信ビームの方向とが一致したときである。このようなレーダ送信信号の送出のタイミングは、信号処理部23に旋回モータ36の角度データが送られることにより信号処理部23で判断され、信号処理部23から送信部21に与えられる。レーダ送信信号は、マグネトロンから出力されるマイクロ波と局部発振器から出力されるローカル信号とが混合されて周波数変換された信号である。
送受切換器35は、アレイアンテナ30と送信部21との接続及びアレイアンテナ30と受信部22との接続を切換え可能に構成されており、アレイアンテナ30を送信用アレイアンテナとして機能させるか受信用アレイアンテナして機能させるかを切り換える。すなわち、この送受切換器35では、送信時には、レーダ送信信号が受信部22に回り込まないようにし、受信時にはレーダ受信信号が送信部21に回り込まないようにする。送受切換器35としては、例えば、サーキュレータが用いられる。
受信部22は、アレイアンテナ30からレーダ受信信号を取り込み、増幅した後に中間周波数に変換してさらにデジタル信号に変換し、信号処理部23へ出力する。受信部22は、アレイアンテナ30の各アンテナ素子311〜31Kのレーダ受信信号を処理するためK個のアンテナ素子311〜31Kのそれぞれに対応するK個の受信機221〜22Kを有している。各受信機221〜22Kは、LNA(ローノイズアンプ)22aとミキサ22bとLOG(ログアンプ)22cとADコンバータ22dとを持っている。
LNA22aで増幅されたレーダ受信信号は、ミキサ22bにおいて局部発振器24から出力されるローカル信号とミキシングされ、中間周波数に変換される。LOG22cは、中間周波に変換された受信信号を対数増幅し、エンベロープ信号を生成する。ADコンバータ22dは、LOG22cが出力したエンベロープ信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングして、デジタル信号に変換する。
送受信装置20は、受信したレーダ受信信号を信号処理部23で処理して映像信号に変換し、操作・表示装置50に映像信号を出力する。操作・表示装置50は、送受信装置20から出力された映像信号に応じた映像を表示画面に表示する。この操作・表示装置50は、種々の入力キーなどを備えており、電磁波の送受信や映像表示に必要な種々の設定や種々のパラメータなどを入力できるように構成されている。送受信装置20の設定に応じて、後述するアダプディブビームフォーミング法の定数などを操作・表示装置50から入力するように構成してもよい。信号処理部23は、映像信号の生成などの信号処理に際して、アレイアンテナ30で受信する電磁波についてのアダプティブビームフォーミングを到来方向推定装置40において行なう。後述するアダプティブビームフォーミングが行なわれた信号を用いて、物標の映像等の形成が行われる。
(2)電磁波パルスの送信及び受信
送受信装置20が行う電磁波パルスの送信及び受信について図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4に示されているアレイアンテナ30Aは、図2の送受切換器35を介して送受信装置20に接続され、旋回モータ36に取り付けられているものとし、図2のアレイアンテナ30と同様に送信と受信で兼用されるものとする。このアレイアンテナ30Aは、4つのアンテナ素子311,312,313,314を有している。つまりアレイアンテナ30のアンテナ素子311〜31Kが4つ(K=4)の場合である。例えば、アンテナ素子311は、複数のスロットSLを持っており、各スロットSLの開口分布がチェビシェフ分布に設定されている。それにより、アンテナ素子311は、サイドローブを低く抑えるチェビシェフ型の放射指向性パターンを形成する。他の3つのアンテナ素子312,313,314も開口分布がアンテナ素子311と同じように設定されている。そして、これら4つのアンテナ素子311,312,313,314の送信ビームのメインローブは全て0度方位を向く。なお、開口分布は均一であってもよい。
後述するようにステアリング方位が0度方位のみであるため、アレイアンテナ30Aは、4つのアンテナ素子311,312,313,314のピッチ間隔がキャリアの波長λの2分の1よりも大きくてもよい。ここでは、図3に示されているように、アンテナ素子311,312,313,314のピッチ間隔が4λに設定されている。
アレイアンテナ30Aは、例えば遅延量の異なる3つの遅延素子(図示せず)を有しており、各アンテナ素子311,312,313,314から送波される各電磁波パルスp1,p2,p3,p4にはこれらの遅延素子によってパルス長PLに相当する遅延量が付加される。つまり、電磁波パルスp1が時刻T1に送波されると、電磁波パルスp2,p3,p4はそれぞれ時刻T1からPLに相当する時間、PL×2に相当する時間及びPL×3に相当する時間だけそれぞれ遅延して送波される。そのため、4つの電磁波パルスp1,p2,p3,p4は、あたかも1つの電磁波パルスのように連続して送波され、例えば4つの電磁波パルスp1,p2,p3,p4のパルス長PLの総和が従来のアレイアンテナから送波される1つの電磁波パルスのパルス長にほぼ等しく設定される。4つの電磁波パルスp1,p2,p3,p4は固定周波数のバーストパルスである。ここでは、各アンテナ素子311,312,313,314のアンテナ長がいずれもピッチ間隔と同じ4λに設定されているが、各アンテナ素子311,312,313,314のアンテナ長はピッチ間隔と同じでなくてもよい。また、ここでは4つの電磁波パルスp1,p2,p3,p4のパルス長PLが同じ場合について説明しているが、4つの電磁波パルスp1,p2,p3,p4のパルス長PLが互いに同じでなくてもよく、それぞれが互いに異なるパルス長を持っていてもよい。
図4に示されているアレイアンテナ30Aの各アンテナ素子311,312,313,314の全ての受信ビームのメインローブが0度方位に形成される。そして、このアレイアンテナ30Aでは、物標で反射された4つの電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4が受波される。これら電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4の受信特性については、図4に示されているように、振幅特性が互いに同じである反面、位相特性が互いに異なる。アレイアンテナ30Aで受波されるのは電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4を合成した合成反射波である。
(3)到来方向推定装置の構成
到来方向推定装置40は、R計算部41と、空間平均処理部42と、対角荷重加算部43と、Capon法出力計算部44とを備えている。この到来方向推定装置40は、例えば図示しないCPU、FPGA及びメモリなどのデバイスで構成される。例えば、CPUがメモリからプログラムを読み出して実行することによりR計算部41と空間平均処理部42と対角荷重加算部43とCapon法出力計算部44の機能を構成することができる。
これらの構成を説明する前に、到来方向推定装置40の推定の対象となる受信データとアレイアンテナ30との関係について説明する。図2に示されているように、アレイアンテナ30は、例えば一直線に並んだK個のアンテナ素子311〜31Kからなる。そして、アンテナ素子311〜31Kの互いに隣接するアンテナ素子同士の間隔が、例えばキャリア周波数における2分の1波長である。例えば、図4に示されているように、所望波WVは角度0度でアンテナ素子311〜314に入射する。すなわち、所望波WVの入射方向は、アンテナ素子311〜314が並んだ直線LNに対して直交する向きになる。アンテナ素子311〜314の並ぶ直線LNは、レーダ装置10が船舶用レーダ装置であれば、海面に対して水平に延びている。図2、図3及び図4に示されているアレイアンテナ30,30Aのステアリングベクトルは、例えば初期設定時に計算される。
以下、図2に示されているレーダ装置10のアレイアンテナ30を用いた場合の到来波の推定について説明する。時刻tにおけるアンテナ素子311〜31Kの複素受信信号をまとめて入力ベクトルX(t)で表すことができ、X(t)=〔x1(t),x2(t),…xK(t)〕Tである。ここで、Tは転置を表している。
R計算部41は、入力ベクトルX(t)から時刻tにおける相関行列R(t)を算出する。相関行列R(t)は次の(1)式で与えられる。
R(t)=E[X(t)XH(t)] …(1)
ここで、E[・]は、期待値(アンサンブル平均)を求める操作を表し、Hは複素共役転置を表す。アンサンブル平均は、時間平均で代用される。つまり、時刻tにおける相関行列R(t)を求めるにあたり、その前後のサンプリング時刻における入力ベクトルも用いる。一様時間平均の場合、次のようになる。
Figure 2014115160
一様時間平均でなく、適当な重みを付けた時間平均でもよい。また時間平均は行なわなくてもよい。以降の説明で、時間平均は行なわないこととする。また、特定の時刻における相関行列のみを考えることとし、相関行列と入力ベクトルの引数tを省く。
空間平均処理部42は、サブアレイを使って相関行列R(t)の空間平均を行なって空間平均相関行列Ravを算出する。空間平均を行うには例えば、連続したK個のアンテナ素子を1個ずつずらしながらN個のサブアレイSub1〜SubNを取り出す。
第nサブアレイの入力ベクトルXnは、(2)式で与えられる。
n=〔xn,xn+1,…xn+K-1T (n=1,2,…N) …(2)
したがって、第nサブアレイの部分相関行列Rnは(3)式で与えられる。
n=E[XnH n] (n=1,2,…N) …(3)
各部分相関行列Rnに対する重み付けをwn(n=1,2,…N)とすると、N個の部分相関行列の平均(空間平均)によって(4)式の空間平均相関行列Ravが得られる。重みの例として、wn=1/Nがあり、一様空間平均と呼ばれる。このような空間平均処理部42での処理を行うため、R計算部41では、部分相関行列Rnの算出が行なわれ、算出された部分相関行列Rnが空間平均処理部42に対して出力される。
Figure 2014115160
対角荷重加算部43は、部分相関行列Rnに対角荷重σを付加する。対角荷重σは、アレイアンテナ30の感度によって定まる定数sと相関行列のトレースの積(s×tr(Rn))で与えられる。従って、対角荷重加算部43の出力は、(5)式で与えられる。
av´=Rav+(s×tr(Rav)) …(5)
対角荷重加算部43は、対角荷重σを付加した空間平均相関行列Rav´をCapon法出力計算部44に対して出力する。
Capon法出力計算部44では、数値計算によって(6)式を解いて、角度スペクトラムP(θ)を得る。
Figure 2014115160
(6)式において、右辺の分母は、対角荷重が付加された空間平均相関行列の逆行列Rav´-1の全要素の和で与えられる。従来のCapon法アルゴリズムでは、ステアリング方位毎、相関行列の逆行列R-1の要素毎にステアリングベクトルの要素との乗算が必要であったが、(6)式ではステアリングベクトルが0度に限られるため、その乗算が全てなくなっている。
(4)ビームフォーミング処理の手順
(4−1)ビームフォーミングの概要
レーダ装置10におけるアダプティブビームフォーミング処理の手順を、図5のフローチャートに沿って説明する。ここでは図3及び図4に示されているアレイアンテナ30Aの場合について説明する。レーダ装置10におけるアダプティブビームフォーミング処理は、電磁波パルスp1,p2,p3,p4を送波する送波ステップS10と電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4を受波する受波ステップS20に大別される。
送波ステップS10では、まず、時刻T1に第1のアンテナ素子311から電磁波パルスp1が送波される(ステップS11)。続いて、時刻T1から所定時間PL経過時に第2のアンテナ素子312から電磁波パルスp2が送波される(ステップS12)。さらに続けて、時刻(T1+PL)からさらに所定時間PL経過時に第3のアンテナ素子313から電磁波パルスp3が送波される(ステップS13)。さらに続けて、時刻(T1+PL×2)からさらに所定時間PL経過時に第4のアンテナ素子314から電磁波パルスp4が送波される(ステップS14)。図4に示されている例では、電磁波パルスp4が送波される時刻は、T1+PL×3である。
送波ステップS10が終了すると受波ステップS20が始まる。初期設定として、アレイアンテナ30Aについての0度方向のステアリングベクトルa(0)が生成されている。上述したように、アレイアンテナ30Aについて形状などの条件が決まれば、ステアリングベクトルa(0)を生成することができる。
一般には、次式のようになる。
Figure 2014115160
しかし、θ=0のときのステアリングベクトルa、すなわちステアリングベクトルa(0)は、どの素子のおいても1になるので次式で与えられる。
Figure 2014115160
反射されて戻ってきた電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4を用いた探知を行うため、ステアリングベクトルa(0)の方向へアレイアンテナ30Aが向いた状態での時刻T2の受波に係る受信信号ベクトルから相関行列Rxx1が生成される(ステップS21)。例えば、アレイアンテナ30Aから電磁波パルスが送波された直後(時刻T1+PL×4(時刻T2)の時点)から所定時間が経過する毎に入力ベクトルが生成され、例えば、時刻(T2+t1)の時点の入力ベクトルXがX(t1)である。さらに時刻(T2+t1)から所定時間t2,t3,…tnが経過する毎に入力ベクトルX(t2),X(t3)…X(tn)が生成される。アレイアンテナ30Aから送受切換器35、並びに受信部22の各ローノイズアンプ22a、各ミキサ22b、各LOG22c及び各ADコンバータ22dを経て到来方向推定装置40に与えられる入力ベクトルX(t)は、これら入力ベクトルX(t1),X(t2)…,X(tn)である。
ここでは、時刻T2からt1時間経過時の受波に係る受信信号ベクトルから相関行列Rxx1を生成する(ステップS21)。同様に、時刻(T2+t1)からt2時間経過時の受波に係る受信信号ベクトルから相関行列Rxx2を生成し(ステップS22)、時刻(T2+t1+t2)からt3時間経過時の受波に係る受信信号ベクトルから相関行列Rxx3を生成し(ステップS23)、時刻(T2+t1+t2+t3)からt4時間経過時の受波に係る受信信号ベクトルから相関行列Rxx4を生成する(ステップS24)。各アンテナ素子311〜314が放射する電磁波パルスp1,p2,p3,p4の間隔はパルス長PLと等価であり、受信信号のサンプリング間隔は、この例の場合パルス長PLと等しくなる。つまり、送波時の電磁波パルスp1,p2,p3,p4のパルス長PLと同じ時間に、またはそれらよりも若干短い時間にt1時間、t2時間、t3時間及びt4時間が設定され、t1=電磁波パルスp1のパルス長、t2=電磁波パルスp2のパルス長、t3=電磁波パルスp3のパルス長、t4=電磁波パルスp4のパルス長である。ここでは電磁波パルスp1,p2,p3,p4が同じパルス長PLを持つので、t1=t2=t3=t4≦PLに設定されるが、受信信号のサンプリング間隔がパルス長PLよりも短い場合には4つのパルス長(PL×4)に等しい間隔でサンプリングデータを4つ平均できればよい。要するに、4つの相関行列Rxx1〜Rxx4の各要素と4つの電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4の各要素との対応関係が一対一の関係になればよい。
そして、R計算部41では、ステップS21からステップS24で生成される4つの相関行列Rxx1〜Rxx4を平均して、平均相関行列Rxxが生成される(ステップS25)。なお、次の平均相関行列の算出は、3つの相関行列Rxx2〜Rxx4にt4時間経過後の次のt5時間経過時の受波に係る受信信号ベクトルから生成される相関行列Rxx5を加えた4との相関行列Rxx2〜Rxx5を用いて行われる。
一般的には、図2に示されているようなK個の受信機221〜22KのK個の入力ベクトルX(t)について、R計算部41において部分相関行列Rnが算出される。ここでは、例えばアンテナ素子311〜314を2つずつ3つのサブアレイ(アンテナ素子311,312の第1サブアレイ、アンテナ素子312,313の第2サブアレイ、アンテナ素子313,314の第3サブアレイ)に分けて空間平均処理が行われる。なお、アンテナ素子311〜314を一つの受信用アンテナとして機能させて空間平均処理を省くことは可能である。R計算部41での計算を詳細に見ると平均相関行列Rxxが各サブアレイ毎に得られており、つまりR計算部41では部分平均相関行列Rxxnが得られている。空間平均処理部42では、部分平均相関行列Rxxnを用いて空間平均処理が行われ、空間平均相関行列Rxxavが算出される(ステップS26)。
次に、対角荷重加算部43では、対角荷重σ(=s×tr(Rxxav))が計算される。定数sは、レーダ装置10が定まれば、予め決定できる数値である対角荷重加算部43からは、所定時間毎に、平均相関行列Rxxavに対角荷重σが加算されて相関行列Rxxav´が出力される(ステップS27)。
次に、Capon法出力計算部44では、(6)式のRav´の項にRxxav´を用いた数値計算から角度スペクトラムP(θ)が算出される(ステップS28)。このとき、(6)式のステアリングベクトルa(θ)としては、各入力ベクトルX、例えば入力ベクトルX(tn)に対してステアリングベクトルa(0°)しか計算されない。そのため、空間平均相関行列Rxxav´の全要素の和を計算するだけであり、演算量が大幅に削減され、アダプティブビームフォーミングを高速に行なうことができる。
(4−2)ビームフォーミングの具体例
次に、具体的な例を用いて逆行列の全要素の和を相関行列の各要素から直接計算する方法について説明する。例として、アンテナ素子が4つで且つサブアレイ数が2のアンテナについて考える。アンテナ素子が4つでサブアレイ数が2つであるから相関行列は、大きさが(4−2+1)で与えられるから、3行3列となる。例えば(7)式で与えられる3行3列の行列の逆行列は、次の(8)式のように計算される。
Figure 2014115160
Figure 2014115160
その際、相関行列はエルミート行列であるため、行列式(det)は実数となり、虚数の出力に関する演算を省略できる。例えば、3行3列の行列の場合には、detAの実部のみを計算することで従来48回必要であった乗算の回数が23回に削減される。
また、逆行列の分子の総和は、(9)式で与えられて因数分解できるので、従来72回必要であった乗算回数が20回に削減される。なお、従来の方法では、行列の要素毎に計算が行われなければならず、因数分解ができなかった。
Figure 2014115160
<特徴>
(1)
図3に示されているアレイアンテナ30A(送信用アレイアンテナ)は、4個のアンテナ素子311〜314(複数の送信素子)がキャリアの4波長の間隔を隔てて直線状に配置される構成となっている。送受信装置20の送信部21(送信機)は、例えばアンテナ素子311(第1送信用アンテナ素子)より送波される電磁波パルスp1(第1電磁波パルス)に対してアンテナ素子312(第2送信用アンテナ素子)より送波される電磁波パルスp2(第2電磁波パルス)を電磁波パルスp1のパルス長PL分遅延させて電磁波パルスp1に続いて電磁波パルスp2が送波される送信信号をアレイアンテナ30Aに出力する。
アレイアンテナ30A(受信用アレイアンテナ)は、アレイアンテナ30A(送信用アレイアンテナ)の送信ビームのメインビームの方向にステアリングベクトルの0度方向を向けて電磁波パルスp1により生じる電磁波パルスep1(第1反射波)と電磁波パルスp2により生じる電磁波パルスep2(第2反射波)とを受波する。このアレイアンテナ30A(受信用アレイアンテナ)は、受波時に4つのアンテナ素子311〜314(複数の受信用アンテナ素子)を用いる。
到来方向推定装置40は、アレイアンテナ30A(受信用アレイアンテナ)で続けて受波される電磁波パルスep1(第1反射波)と電磁波パルスep2(第2反射波)とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にCapon法(アダプティブビームフォーミング法)を適用してCapon法の出力P(θ)の計算(到来波に関する計算)を行う。
到来方向推定装置40のアダプティブビームフォーミング法に用いられる合成エコー信号が位相特性の互いに異なる電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4から得られるので反射波相互の相関性が抑制される。相関性の抑制は、合成反射波の位相特性が方位によって異なる点に基づくものである。例えば、0度方位と3度方位における位相差は、各電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4によって異なっており、図4からは読み取り難いが、アレイ中心を基準として左端のチャンネルからそれぞれ56度、19度、−19度、−56度となる。なお、これら位相差の相違と受信チャンネルとは無関係である。また、図4のような電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4では、例えば30度方位と0度方位の位相特性がまったく同じになり、このような場合は相関性の低減が期待できない。しかし、0度方位と30度方位ではアレイアンテナ30A自身の指向特性により、受信感度が極めて小さくなるため、仮にそれらの方位に大きな反射波が存在しても相関性による問題は生じない。
(2)
送信部21は、電磁波パルスp1と電磁波パルスp2の振幅特性が同じになる送信信号をアレイアンテナ30Aに出力する。この場合、送信部21は、電磁波パルスp1と電磁波パルスp2とを同じ振幅特性とする場合には、同じ波形のバーストパルスをアンテナ素子311,312から送波タイミングをずらして送波するだけでよいので、送信部21からアレイアンテナ30Aにかけての部分の構成を簡素化できる。
(3)
レーダ装置10では、旋回モータ36(駆動機構)がアレイアンテナ30を回転させて、ステアリングベクトルの0度方向と1スイープの送信ビームのメインビームの方向とを一致させて送受信を行なう。R計算部41、空間平均処理部42及び対角荷重加算部43(相関行列算出部)により、空間平均処理と対角荷重σの付加が行なわれ、対角荷重が付加されている空間平均相関行列Rxxav´が相関行列としてCapon法出力計算部44(検出部)に出力される。Capon法出力計算部44では、(6)式に従って相関行列の逆行列の全要素の和の逆数の計算を行ない、その逆数からCapon法による到来波の検出が行なわれる。それにより、ステアリングベクトルの0度方向から到来する所望波の強度が検出される。
このように上述のレーダ装置10は、(6)式を用いて到来波の検出を行なうため、演算量が大幅に削減されて、到来波の検出を早く行なうことができる。また、出力演算が高速になるだけでなく、初期設定に行なうステアリングベクトルの計算を省略することができ、ステアリングベクトルのデータ保持も不要になる。
それにより、複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナを用いても、単素子のアンテナと同じような取り扱いが可能になる。その結果、複数のアンテナ素子にCapon法を適用することで、状況に適した物標の検出が可能になる。
上述のレーダ装置10は、相関行列算出部をR計算部41、空間平均処理部42及び対角荷重加算部43で構成しているが、例えば、対角荷重加算部43を省いてR計算部41及び空間平均処理部42で構成することもできる。このような構成の相関行列算出部の場合には、空間平均処理部42の出力する空間平均相関行列Rxxavを用いてCapon法出力計算部44(検出部)で空間平均相関行列Rxxavの逆行列の全要素の和の逆数の計算が行なわれる。このように構成する場合でも、空間平均処理部42において空間平均処理が行われるため、空間平均処理を行わない場合に比べて所望波(ステアリングベクトル0度方向から到来する到来波)と干渉波の相互相関を抑制することができる。それにより、より正確な所望波の検出が可能になる。
上述のレーダ装置10は、相関行列算出部をR計算部41、空間平均処理部42及び対角荷重加算部43で構成しているが、例えば、空間平均処理部42を省いてR計算部41及び対角荷重加算部43で構成することもできる。このような構成の相関行列算出部の場合には、対角荷重加算部43の出力する空間平均がされていない相関行列を用いてCapon法出力計算部44(検出部)で相関行列(R+s×tr(Rxx))の逆行列の全要素の和の逆数の計算が行なわれる。このように構成する場合でも、対角荷重加算部43において対角荷重の付加が行われるため、対角荷重の付加を行わない場合に比べて物標から得られる反射波の信号レベルを適切な対角荷重の付加により増加させるとともにSN比を改善することができる。そのような効果により、より正確な物標の検出が可能になる。
(シミュレーションによる効果の検討)
相関性による問題が解消される点について図6乃至図8に示されているシミュレーションの結果を用いて説明する。図6乃至図9に示されている結果を示すシミュレーションの条件は、アンテナ長は340mm、アンテナは4等分リニアアレイ、リニアアレイは等振幅ウェイト(ビーム幅が最も狭くなるウェイト)、そして対角荷重σは0.00001の平方根に設定されている。この場合、ビーム幅は約5度に設定される。このような条件の下で、図6には、−3度方位及び3度方位に0dBの物標を配し、従来と同様の単パルスの電磁波パルスを送波して3素子受信サブアレイで受信した場合のレーダ装置の出力が示されている。図7には、−3度方位、0度方位及び3度方位に0dBの物標を配し、従来と同様の単パルスの電磁波パルスを送波して3素子受信サブアレイで受信した場合のレーダ装置の出力が示されている。そして、図8には、−3度方位、0度方位及び3度方位に0dBの物標を配し、送信サブアレイを使用して電磁波パルスを送波し、サブアレイ化されていない4つのアンテナ素子で受信した場合のレーダ装置の出力が示されている。つまり、図8に示されている結果が上記実施形態のレーダ装置による出力結果である。
図6に示されている出力結果から、ステアリング方位(0度方位)に物標が存在していないことが読み取れる。しかし、図7に示されているように、受信のためにアレイアンテナがサブアレイ化されて3つの素子からなるため3つの物標を同時に識別することができない。つまり、図7の出力結果は受信側をサブアレイ化することによる分解能の低下を示している。それらに対して、送波される電磁波パルスのサブアレイ化によって到来波の相関性が低下する図8のレーダ装置では、受信をサブアレイ化する必要がなくなり、4つのアンテナ素子を使って3つの方位に配された物標からの到来波を識別できるようになる。
<変形例>
(1)
上記実施形態では、到来方向の推定におけるアダプティブビームフォーミング法としてCapon法を例に挙げて説明した。しかし、Capon法の代わりに、線形予測法やMUSIC法等の他のアダプティブビームフォーミング法を用いることもできる。また、到来方向の推定において、空間平均を行なう場合について説明したが、本願発明の適用において空間平均を行なうことは必須の要件ではなく、空間平均を行なわなくてもよい。
(2)
ここでは、単一チャネル毎に電磁波パルスを送波しているが、サブアレイ毎に電磁波パルスを送波するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、反射されて戻ってきた電磁波パルスep1,ep2,ep3,ep4を、ステアリングベクトルが送波される電磁波の送波面に対して垂直な方向に向いているアレイアンテナ30A(受信用アレイアンテナ)で受波する態様について説明しているが、送波される電磁波の送波面に対してステアリングベクトルが垂直な方向に向いていない受信用アレイアンテナで受波しても本発明の効果が得られる。
(3)
上記実施形態では、送信用アンテナと受信用アンテナとを共用するアレイアンテナ30を用いる場合について説明したが、図9に示されているように、送信用アレイアンテナ30と受信用アレイアンテナ60とを分離した構成にすることもできる。この場合、送信用アレイアンテナ30のアンテナ素子311〜31kの個数と受信用アレイアンテナ60のアンテナ素子611〜61uの個数は必ずしも同じである必要はない。
(4)
上記実施形態では、駆動機構として、旋回モータ36を用いる場合について説明したが、アレイアンテナ30のステアリングベクトルの0度方向を移動させる駆動機構は、モータなどの物理的なアクチュエータに限られるものではない。例えば、アンテナ素子311〜31Kに供給される送信信号の位相差を調整して、送信ビームの向きを変更するように構成することもできる。このような場合には、位相差を調整する機構が駆動機構になる。その場合には、送信ビームの向きにステアリングベクトルが向くため、送信ビームの向きによってステアリングベクトルa(0)が異なる。そのため、このような場合、初期設定におけるステアリングベクトルa(0)は、例えばスイープごとに準備すればよい。
(5)
上記実施形態では、直線状に配置されているアレイアンテナ30を用いたが、送信用アレイアンテナ及び受信用アレイアンテナのアンテナ素子の配列はいずれも直線には限られず、送信用アレイアンテナ及び受信用アレイアンテナのアンテナ素子の配列がリニアでない場合(例えば円形に配列されている場合、正方形平面に配列されている場合、あるいは球面上に配置した立体アレイなどの場合)、それに応じたステアリングベクトルを用いればよく、リニアアレイでない送信用アレイアンテナ及び受信用アレイアンテナを用いることもできる。また、アンテナ素子の間隔は等間隔に限られず、またその間隔も波長の2分の1に限られるものではなく、上記以外の間隔や不等間隔にアンテナ素子が配置されているものにも本発明を適用することができる。
(6)
上記実施形態では、送波される電磁波パルスp1〜p4が複数になるため、一組の電磁波パルスp1〜p4を送波する時間が長くなりがちになり、時間分解能が劣化する場合もある。そのような場合に電磁波パルスp1〜p4のパルス長PLを短くすることが考えられるが、パルス長PLを短くすると送波エネルギーが減少して探知距離が長くできないことがある。
時間分解能の劣化を防ぎつつ探知距離を長くするために、本発明が適用されるレーダ装置に、送信信号にFMチャープ信号を用い、マッチドフィルタを用いて受信する構成を持たせてもよい。このような構成をとることで、チャンネル毎の電磁波パルスの間隔はパルス長ではなく、マッチドフィルタによる圧縮後のパルス長となり、電磁波パルスp1〜p4の送信パルス間隔を狭くすることができる。この場合、マッチドフィルタによって得られる信号は複素信号であるため、マッチドフィルタによって得られる複素信号をIQデータとして上記実施形態と同様の計算を行わせることができる。
(7)
上記実施形態では、到来方向推定装置40の機能ブロックが、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク等)に格納された上述した処理手順を実行可能なプログラムデータが、CPUによって解釈実行されることで実現される場合について説明した。このプログラムデータは、記録媒体を介して記憶装置内に導入されてもよいし、記録媒体上から直接実行されてもよい。なお、記録媒体は、ROMやRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクメモリ、CD−ROMやDVDやBD等の光ディスクメモリ、及びメモリカード等をいう。また、記録媒体は、電話回線や搬送路等の通信媒体も含む概念である。
また、上記実施形態の到来方向推定装置40を構成する全て又は一部の機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、又はウルトラLSI等と称される)として実現される。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化の手法は、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
つまり、R計算部41はR計算デバイス、空間処理部42は空間処理デバイス、対角荷重加算部43は対角荷重加算デバイス、Capon法出力計算部44はCapon法出力計算デバイスとして構成することができる。
10 レーダ装置
20 送受信装置
30 アレイアンテナ
50 操作・表示装置
40 到来方向推定装置
41 R計算部
42 空間平均処理部
43 対角荷重加算部
44 Capon法出力計算部

Claims (8)

  1. 互いに隔てて配置されている第1送信用アンテナ素子及び第2送信用アンテナ素子を含む送信用アレイアンテナと、
    前記第1送信用アンテナ素子より送波される第1電磁波パルスに対して前記第2送信用アンテナ素子より送波される第2電磁波パルスを遅延させて前記第1電磁波パルスに続いて前記第2電磁波パルスが送波される送信信号を前記送信用アレイアンテナに出力する送信機と、
    前記第1電磁波パルスにより生じる第1反射波と前記第2電磁波パルスにより生じる第2反射波とを受波する複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナと、
    前記受信用アレイアンテナで続けて受波される前記第1反射波と前記第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う受信機と
    を備える、探知装置。
  2. 前記送信機は、前記第1電磁波パルスと位相特性が方位によって異なる前記第2電磁波パルスを前記送信用アンテナから送波させる、
    請求項1に記載の探知装置。
  3. 前記送信機は、前記第1電磁波パルスと前記第2電磁波パルスの振幅特性が同じになるように前記送信信号を前記送信用アレイアンテナに出力する、
    請求項1又は請求項2に記載の探知装置。
  4. 前記受信用アレイアンテナのステアリングベクトルを送波面に対する垂直な方向に向ける駆動機構をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の探知装置。
  5. 前記受信機は、
    前記受信用アレイアンテナで受波される前記第1反射波と前記第2反射波に係る受信信号に基づいて相関行列を算出して出力する相関行列算出部と、
    前記相関行列算出部が出力する相関行列の逆行列の全要素の和の逆数からCapon法における到来波の検出を行なう検出部と
    を有する、
    請求項4に記載の探知装置。
  6. 前記相関行列算出部は、内部で算出された相関行列に対して対角荷重を加算する対角荷重加算部を含み、対角荷重が加算された相関行列を前記検出部に出力する、
    請求項5に記載の探知装置。
  7. 互いに隔てて配置されている第1送信用アンテナ素子及び第2送信用アンテナ素子を含む送信用アレイアンテナと、複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナとを備える探知装置を用いた探知方法であって、
    前記送信用アレイアンテナに送信信号を出力し、前記第1送信用アンテナ素子より送波される第1電磁波パルスに対して前記第2送信用アンテナ素子より送波される第2電磁波パルスを遅延させて前記第1電磁波パルスに続いて前記第2電磁波パルスを送波する送信ステップと、
    前記第1電磁波パルスにより生じる第1反射波と前記第2電磁波パルスにより生じる第2反射波とを複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナで受波する受信ステップと、
    前記受信用アレイアンテナで続けて受波される前記第1反射波と前記第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う演算ステップと
    を含む、探知方法。
  8. 互いに隔てて配置されている第1送信用アンテナ素子及び第2送信用アンテナ素子を含む送信用アレイアンテナと、複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナとを備える探知装置に適用される探知プログラムであって、
    前記第1送信用アンテナ素子より送波される第1電磁波パルスに対して前記第2送信用アンテナ素子より送波される第2電磁波パルスを遅延させて前記第1電磁波パルスに続いて前記第2電磁波パルスを送波する送信信号を前記送信用アレイアンテナに出力する送信機能と、
    前記第1電磁波パルスにより生じる第1反射波と前記第2電磁波パルスにより生じる第2反射波とを複数の受信用アンテナ素子からなる受信用アレイアンテナで受波する受信機能と、
    前記受信用アレイアンテナで続けて受波される前記第1反射波と前記第2反射波とを含む合成反射波から得られる合成エコー信号にアダプティブビームフォーミング法を適用して到来波に関する演算を行う演算機能と
    をコンピュータに実現させるための探知プログラム。
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