JPWO2014024296A1 - 手動結束工具 - Google Patents
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Abstract
Description
つまり、機械による強制的なパンチングで金属バンドを確実に塑性変形させてバンドどうしを係合させるものであり、セルフロック作用による係合に比べてより確実な抜け止め機能を得ようとするものである。
事実、特許文献3の図15〜図17においては、図15では左上りの緩傾斜姿勢のバックル(12)が、パンチ(100)の下降移動に伴い、図16,図17の順で次第に左下りの傾斜姿勢に変化しており、構造上、どうみてもパンチングの力が逃げてしまう不合理さを有したものとなっている。
ヘッド部5を受止めて支持するタイ保持部gと、
前記タイ保持部gに支持されている前記ヘッド部5を貫いて突出している突出タイ部4aを前記ヘッド部5に対して引張る引締め機構aと、
前記タイ保持部gに支持されている前記ヘッド部5に対する前記突出タイ部4aの戻り移動を阻止する戻り防止機構jと、
前記タイ保持部gに前記ヘッド部5が支持されている状態において、前記ヘッド部5に位置している被通タイ部4cを押出し変形させて、その変形部4bを前記ヘッド部5が予め外囲保持されている根元タイ部4dの係合孔10に係入させる押出し機構hと、
を有してなることを特徴とするものである。
前記押出し機構hは、突出及び退入移動可能であって前記突出タイ部4aを押出し変形させるためのポンチ体28を有しており、
前記ヘッド部5が前記タイ保持部gに支持されている状態では、前記ポンチ体28の突出移動軌跡p上に前記係合孔10が位置するように、前記タイ保持部gと前記ポンチ体28とが互いに連係配置されていることを特徴とするものである。
前記タイ保持部gには、前記押出し機構hにより形成される前記変形部4bにおける前記係合孔10を通過して突出する先端部分4eとの干渉を避ける回避部39が形成されていることを特徴とするものである。
前記突出タイ部4aを前記ヘッド部5付近の箇所において切断する切断機構cが設けられていることを特徴とするものである。
前記切断機構cは、前記タイ保持部gに対して突出及び退入スライド移動可能な切断刃27を有して構成されるとともに、前記切断刃27と前記ポンチ体28とが互いに分離可能に一体化されていることを特徴とするものである。
つまり、ヘッド部及びヘッド部に位置するタイ部はタイ保持部にしっかりと安定支持されている状態において押出し機構が作用するように構成されているので、押出し機構による押圧力が逃げることなく変形部の形成に有効に、かつ、率良く使われるとともに、塑性変形部を確実に係合孔に押し込んで係合させることができる。
その結果、ヘッド部に位置する被通タイ部に塑性変形を与えて強制的に根元タイ部に係合させる機構のさらなる工夫により、ヘッド部に作用する押出し力が逃げてしまう不都合なく、しっかりと支持させた状態で塑性変形できるようにして、より確実な抜け止めが行えるように改善される手動結束工具を提供することができる。
実施形態1による手動結束工具Aは、図1〜図4に示すように、切断機構cとタイ保持部gとを先端部に、かつ、第1レバー1を基端部にそれぞれ有する工具本体3、工具本体3に軸心Pで枢支される第2レバー2、引締め機構a、引締め連係機構b、切断連係機構d、切換機構e、及び、引締め調節機構fなどを有して構成されている。引締め機構aと引締め連係機構bと切断連係機構dと切換機構eとは主に工具本体3に設けられ、引締め調節機構fは主に第1レバー1に設けられている。また、切断機構cは押出し機構hを含んだ構成とされている。
それから、図3,9に示すように、第2レバー2を第1位置t1から第2位置t2に移動するまで第1レバー1と第2レバー2とを相対接近揺動させ、引締め機構aの作動によりタイ保持部gに保持されているヘッド部5に対して突出タイ部4aを強制的に引張ることとなる握り込み操作及び握り解除操作を行う。
この第2位置t2から第3位置t3への第2レバー2の揺動により、押出し機構h及び切断機構cが作動し(図12,13参照)、タイ部4がヘッド部5において係止され、かつ、ヘッド部5のすぐ傍の箇所にて突出タイ部4aが切断される、というものである。
タイ部4は、厚さの薄い肉薄で幅の細い鋼板帯で成り、長傾斜縁7aと短傾斜縁7bとでなる尖り先端7と、その尖り先端近くの一対の傾斜した角丸長四角形状の孔7cと、根元側の切起し爪8と、最根元側のストッパー9と、係合孔10とを有している。
ヘッド部5は、尖り先端7からタイ部4に差し込まれ、切起し爪8を弾性変形させて通過し、その切起し爪8とストッパー9との間の位置に係入装備される。このヘッド部5がタイ部4に装備されてなる結束タイBは、図7に示すように、逃し孔5bと係合孔10と略円形切欠き5cとが一直線上に並ぶ(重なる)状態が可能に構成されている。
工具本体3には、支点Xを中心に揺動移動可能な緊張アーム12、通常は軸心Pを仮想中心として揺動可能な三角リンク13、切断機構c、支点Yで揺動可能なチャック爪15、ベースアーム11用の戻しバネ16などが設けられている。
ベースアーム11には、支点Zで揺動可能な係止爪21、係止爪21を待機状態に戻そうとする復帰ばね22、戻しバネ16用として枢支連結されるバネ受23などが装備されている。
第2レバー2には合成樹脂などによるグリップ24が被せられ、先端にはカッターローラ25が支承され、先端側には直線状の係合溝26が形成されている。係合溝26は、その先端側(タイ保持部g側)ほど軸心Pに関する径寸法が大となるように傾斜する状態に配置設定されている。
逆に、調整ツマミ17を右に回して緩めると、四角ナット35が図3において右側に(調整ツマミ17側に)移動してバネ受19から離れるので、引締め力調整バネ18は膨張して弾性力が弱まる。従って、緊張アーム12が三角リンク13を押圧付勢する力が小さくなり、設定引締め力が減少する方向に調節される。
ポンチ体28は、詳しくは後述するが、タイ部4を押しての塑性変形によって内側のタイ部4及びヘッド部5に係合させるものであり、ピン34(後述)などと共に押出し機構hを構成している。
切断刃27は、その根元部がホルダ30の左右一対の前側壁30b,30b間に配置され、自身の貫通孔(符記省略)に収容されるポンチ体28と共に貫通されるピン34でホルダ30に一体化されている。
切断機構cは、第2レバー2で操作されない通常時(後述する「ポンチ切断工程」以外のとき)は、戻しばね29の弾性により、ホルダ30の表壁30cが上方突起14aに当接して、刃部27a及び先端尖り状のポンチ部28aがタイ保持部gに保持されている結束タイBから離れている待機位置に復帰付勢されている。なお、ポンチ部28aの先端形状は、ピン角(図15参照)でも、僅かに丸められたもの(図13参照)でも良い。
左右一対の板材を有してなるベースアーム11の内側に、左右一対の側壁部2a,2aを有する第2レバー2が配備され、それら側壁部2a,2aの間に三角リンク13が配備され、三角リンク13を構成する左右一対の板部13A,13Aの間に緊張アーム12が位置する状態に構成されている。
また、三角リンク13の中間部には中間ピン13cが支持されており、その中間ピン13cが係合溝26に相対回動及び溝長手方向移動が可能に挿通されている。
つまり、ヘッド部5がタイ保持部gに支持されている状態では、ポンチ体28の突出移動軌跡p上に係合孔10、逃し孔5b、及び略円形切欠き5cが位置するように、タイ保持部gとポンチ体28とが互いに連係配置されているのである。
図4に示すように、工具本体3は、左本体ケース3Aと右本体ケース3Bとでなり、それらの基端部(符記省略)どうしで第1レバー1が構成されている。38は左右一対の段付円形で扁平な支軸であり、ベースアーム11及び第2レバー2を支承する小径部38aと、左右の本体ケース3A,3Bに嵌合支持されるフランジ部38bとからなる。
なお、空間や切欠きなどによる回避部39は、図13に示されるように、先端部分4eの突出量がヘッド部5の厚み幅以内に収まる場合には無くても(例:左右の鉤部36,36が連なって一体となる構成)良いが、ヘッド部5の厚み幅を超えて出っ張る切起し爪8やストッパー9との干渉を避けるとか、タイ保持部gへのヘッド部5の装着具合を目視できるといったことを考慮すれば、回避部39を設けておく構成の方が好都合である。
タイ部4におけるヘッド部5を貫いて突出する突出タイ部4aを、工具本体3に形成されるタイ路孔6に差し込む操作を行うことにより、図5(b)に示すように、ベースアーム11先端部の通し路11aを通って尖り先端7が機外突出される状態が齎される。
この待機状態では、係止爪21の基端側突起21bで尻部15bが押されており、捩りコイルばね32(図4参照)の弾性力に抗してチャック爪15が強制揺動され、チャック部15aがガイド壁6aからタイ部4の厚さ分以上明確に離れている。つまり、チャック爪15は突出タイ部4aに何らの作用も与えない状態(戻り防止機構jの非動作状態)になっている。
加えて、係止爪21は、復帰ばね22の弾性力によってギヤ歯状の先端部21cが、ベースアーム11(図10参照)の先端内壁11bからタイ部4の厚み以上明確に離れており、係止爪21も突出タイ部4aに何らの作用も与えない状態になっている。
このとき、捩りコイルばね32によりチャック爪15は突出タイ部4aに軽く押付けられており、突出タイ部4aがヘッド部5に戻り移動することが阻止されるセルフロック作用が生じ得る状態になっているが、突出タイ部4aがより突出する方向への移動は許容される(図8,9参照)。
突出タイ部4aが引張られることにより、被結束対象Kに巻き付いているタイ部4の長さが短くなり、被結束対象Kが引締められてゆく引締め工程が行われる。なお、図8は握り込みの途中状態、即ち、引締め工程の途中状態を示している。
これにより、チャック部15aとガイド壁6aとの間で突出タイ部4aが挟まれる状態になるので、前述したように、ヘッド部5への戻り移動は、チャック爪15のセルフロック作用が生じて阻止されるようになる。つまり、ガイド壁6aを有する下部ボディ14Aとチャック爪15とによって戻り防止機構jが構成されている。
つまり、第2レバー2の第1位置t1から第2位置t2への相対揺動により、引締め連係機構b及び引締め機構aが作動し、突出タイ部4aが係止爪21によって挟持されて引張られる引締め工程が行われるようになる。
この第2位置t2は、図9,10に示すように、緊張アーム12の支点Xを有する支軸33の大径土台部33aに、ベースアーム11の基端側の板厚端面11cが当接することで決まる位置である。なお、図10は、図9における要部の正面図である。
この第2レバー2が復帰揺動している状態では、前述したチャック爪15によるセルフロック作用が機能し、引張られた突出タイ部4aが戻り移動しないように係止保持されている。加えて、引締め力調整バネ18の弾性力が実質的に三角リンク13に作用しないこと、及び、復帰ばね22の弾性力が作用することにより、係止爪21による突出タイ部4aへの挟持力が消滅し、引張られた突出タイ部4aはそのままで第2レバー2及びベースアーム11だけが復帰揺動する。
即ち、引締め力が設定値になると、その設定値を決めている引締め調節機構f(引締め力調整バネ18)による支持ローラ31と先端凹み12aとの係合が維持できなくなるとともに、セルフロック作用を発揮している係止爪21及びベースアーム11は、それ以上タイ引張り方向に揺動できないようになる。そのため、引き続き第2レバー2が握り込みされるに伴い、図11に示すように、中間ピン13cが係合溝26内で第1レバー1側に移動し、それによって支持ローラ31で押される緊張アーム12が支点X回りで第1レバー1側に退入揺動して、支持ローラ31が先端凹み12aから外れ移動する。
そして、図12,図13に示すように、戻しばね29の弾性力に抗してホルダ30とこれに一体化されている切断刃27及びポンチ体28が強制突出移動される。なお、図11,13などにおいては、簡単のため切起し爪8やストッパー9は省略してある。
また、切断刃27先端の刃部27aは、突出タイ部4aをヘッド部5の間際の位置にて押し切って切断する。
このとき、突出タイ部4aはヘッド部5とガイド壁6aとで両側を支持されており、言わば両持ち状態とされている箇所を刃部27aが押し切ることになり、余分な突出タイ部4aは確実で円滑に切断される。
しかしながら、その押されるタイ部4は、言わばヘッド部5による片持ち支持状態にあり、かつ、もともと先端壁11Aによって被結束対象側に曲り癖が付いていることもあり、少し押される程度であって刃部27aによる何らの作用も受けない。
円形の塑性変形部4bが係合孔10及び逃し孔5bに圧入されたようになるので、この確実なポンチ係合により、タイ部4自体の抜け止め及びヘッド部5との一体化が一挙に行われ、設定された引締め力での結束状態を確実に維持できるものとなる。
なお、突出タイ部4aが切断された後は、係止爪21による三角リンク13への規制が解消するので、第2レバー2の第1位置t1への戻り揺動に伴い、支持ローラ31が先端凹み12aに再係入されて引締め調節機構fが有効に機能する状態(図3参照)に戻る。
切断連係機構dは、カッターローラ25、三角リンク13、係合溝26、緊張アーム12を有して構成されている。切換機構eは、引締め力調整バネ18、緊張バー20、緊張アーム12、三角リンク13を有して構成されている。
そして、切換機構eは、引締め機構aによる突出タイ部4aの引張り力が設定値未満であるときは引締め連係機構bは動作させ、かつ、切断連係機構dは動作させない引締め状態にするとともに、引締め機構aによる突出タイ部4aの引張り力が設定値に達すると引締め連係機構bは動作させず、かつ、切断連係機構dを動作させるように機能する。
加えて、戻り防止機構jにより、突出タイ部4aが引張り部iに把持されていないとき(少なくとも復帰揺動工程のとき)は、突出タイ部4aのヘッド部5への戻り移動が阻止されるように機能する。これにより、手指の力を抜いて第1,2レバー1,2の握り込みを解除すれば、その途端から戻り防止機構jが作動するので、引き締められたタイ部4の不測の戻り移動が生じないように工夫されている。
つまり、ポンチ体28の力を受ける被通タイ部4cは、前後及び左右のそれぞれにおいて実質的に両持ち支持状態となっているから、力が逃げることなく塑性変形部4bの形成に有効に、かつ、率良く使われるとともに、塑性変形部4bを確実に係合孔10に押し込んで係合させることができる。
その結果、ヘッド部5に位置するタイ部4に塑性変形を与えて強制的にタイ部4どうしを係合させる機構のさらなる工夫により、ヘッド部5に作用する押出し力が逃げてしまう不都合なく、しっかりと支持させた状態で塑性変形できるようにして、より確実な抜け止めが行えるように改善される手動結束工具Aを提供することができる。
これにより、ヘッド部5をタイ保持部gに装填しさえすれば、略円形切欠き5c、係合孔10、及び逃し孔5bの三者が揃ってポンチ体28によるパンチング予定箇所にセットされるから、押出し機構hの作動により、突出移動軌跡pの方向視で円形を呈する塑性変形部4bを、互いに同軸心である円形の係合孔10へ、円滑で確実に係入させることが可能になる。
従って、前述した確実なポンチ係合によるより確実な抜け止めが行えるという作用効果が一層強化される利点がある。
これにより、ポンチ体28により形成される塑性変形部4bと係合孔10との係合状態を確実なものとするとか、ポンチ部28aの尖り先端の突出量を大きくしてタイ部4を円滑にプレス成形できるようにすべく、塑性変形部4bの突出量がヘッド部5の厚み幅を超えるように設定することができる(図15参照)。また、回避部39の存在により、タイ保持部gにヘッド部5が装填されたときの切起し爪8及びストッパー9との干渉が回避できるとか、ヘッド部5のタイ保持部gへの装着具合を視認できるといった利点がある。故に、タイ保持部gは、先端部分4eの有無に拘らずに多機能化や高機能化が図られている。
そして、切断刃27とポンチ体28との分離により、切断機構cのみ備える仕様、押出し機構hのみ備える仕様、或いはそれら両者c、hの双方を備える仕様、との選択設定が可能になる、という利点もある。
故に、引締め工程であっても切断工程であっても、第1,2レバー1,2を握る状態のままで良いから、複数本の手指の掛け換えを要することなく、一対のレバーの握り込み操作だけで引締め操作と切断操作とが行え、結束作業がより簡単化されて使い勝手に優れる手動結束工具Aを提供することができる。
4b 変形部
4c 被通タイ部
4d 根元タイ部
4e 先端部分
5 ヘッド部
10 係合孔
27 切断刃
28 ポンチ体
39 回避部
a 引締め機構
c 切断機構
g タイ保持部
h 押出し機構
j 戻り防止機構
p 突出移動軌跡
つまり、機械による強制的なパンチングで金属バンドを確実に塑性変形させてバンドどうしを係合させるものであり、セルフロック作用による係合に比べてより確実な抜け止め機能を得ようとするものである。
事実、特許文献3の図15〜図17においては、図15では左上りの緩傾斜姿勢のバックル(12)が、パンチ(100)の下降移動に伴い、図16,図17の順で次第に左下りの傾斜姿勢に変化しており、構造上、どうみてもパンチングの力が逃げてしまう不合理さを有したものとなっている。
タイ部4と、前記タイ部4に組み込まれたヘッド部5とを有するメタルタイに用いられる手動結束工具において、
前記ヘッド部5を受止めて支持するタイ保持部gと、
前記タイ部4のうち前記タイ保持部gに支持されている前記ヘッド部5を貫いて突出している突出タイ部4aを把持するための引張り部iを有し、この引張り部iを用いて前記突出タイ部4aを前記ヘッド部5に対して引張る引締め機構aと、
前記タイ保持部gに支持されている前記ヘッド部5に対する前記突出タイ部4aの戻り移動を阻止する戻り防止機構jと、
前記タイ保持部gに前記ヘッド部5が支持されている状態において、前記ヘッド部5に位置している被通タイ部4cを押出し変形させて、その変形部4bを前記ヘッド部5が予め外囲保持されている根元タイ部4dの係合孔10に係入させる押出し機構hと、
を有し、
前記戻り防止機構jが、前記突出タイ部4aに作用を与えるために前記タイ保持部gと前記引張り部iとの間に配置されたチャック爪15を備えていることを特徴とするものである。
前記押出し機構hは、突出及び退入移動可能であって前記突出タイ部4aを押出し変形させるためのポンチ体28を有しており、
前記ヘッド部5が前記タイ保持部gに支持されている状態では、前記ポンチ体28の突出移動軌跡p上に前記係合孔10が位置するように、前記タイ保持部gと前記ポンチ体28とが互いに連係配置されていることを特徴とするものである。
前記タイ保持部gには、前記押出し機構hにより形成される前記変形部4bにおける前記係合孔10を通過して突出する先端部分4eとの干渉を避ける回避部39が形成されていることを特徴とするものである。
前記突出タイ部4aを前記ヘッド部5付近の箇所において切断する切断機構cが設けられていることを特徴とするものである。
前記切断機構cは、前記タイ保持部gに対して突出及び退入スライド移動可能な切断刃27を有して構成されるとともに、前記切断刃27と前記ポンチ体28とが互いに分離可能に一体化されていることを特徴とするものである。
互いに枢支連結されて、握り込み操作され得る第1レバー1及び第2レバー2を有し、
前記第1レバー1及び前記第2レバー2が握り込み操作されるだけで、前記引締め機構aが作動する状態を、前記押出し機構hが作動する状態に切り換えることができるように構成されていることを特徴とするものである。
つまり、ヘッド部及びヘッド部に位置するタイ部はタイ保持部にしっかりと安定支持されている状態において押出し機構が作用するように構成されているので、押出し機構による押圧力が逃げることなく変形部の形成に有効に、かつ、率良く使われるとともに、塑性変形部を確実に係合孔に押し込んで係合させることができる。
その結果、ヘッド部に位置する被通タイ部に塑性変形を与えて強制的に根元タイ部に係合させる機構のさらなる工夫により、ヘッド部に作用する押出し力が逃げてしまう不都合なく、しっかりと支持させた状態で塑性変形できるようにして、より確実な抜け止めが行えるように改善される手動結束工具を提供することができる。
実施形態1による手動結束工具Aは、図1〜図4に示すように、切断機構cとタイ保持部gとを先端部に、かつ、第1レバー1を基端部にそれぞれ有する工具本体3、工具本体3に軸心Pで枢支される第2レバー2、引締め機構a、引締め連係機構b、切断連係機構d、切換機構e、及び、引締め調節機構fなどを有して構成されている。引締め機構aと引締め連係機構bと切断連係機構dと切換機構eとは主に工具本体3に設けられ、引締め調節機構fは主に第1レバー1に設けられている。また、切断機構cは押出し機構hを含んだ構成とされている。
それから、図3,9に示すように、第2レバー2を第1位置t1から第2位置t2に移動するまで第1レバー1と第2レバー2とを相対接近揺動させ、引締め機構aの作動によりタイ保持部gに保持されているヘッド部5に対して突出タイ部4aを強制的に引張ることとなる握り込み操作及び握り解除操作を行う。
この第2位置t2から第3位置t3への第2レバー2の揺動により、押出し機構h及び切断機構cが作動し(図12,13参照)、タイ部4がヘッド部5において係止され、かつ、ヘッド部5のすぐ傍の箇所にて突出タイ部4aが切断される、というものである。
タイ部4は、厚さの薄い肉薄で幅の細い鋼板帯で成り、長傾斜縁7aと短傾斜縁7bとでなる尖り先端7と、その尖り先端近くの一対の傾斜した角丸長四角形状の孔7cと、根元側の切起し爪8と、最根元側のストッパー9と、係合孔10とを有している。
ヘッド部5は、尖り先端7からタイ部4に差し込まれ、切起し爪8を弾性変形させて通過し、その切起し爪8とストッパー9との間の位置に係入装備される。このヘッド部5がタイ部4に装備されてなる結束タイBは、図7に示すように、逃し孔5bと係合孔10と略円形切欠き5cとが一直線上に並ぶ(重なる)状態が可能に構成されている。
工具本体3には、支点Xを中心に揺動移動可能な緊張アーム12、通常は軸心Pを仮想中心として揺動可能な三角リンク13、切断機構c、支点Yで揺動可能なチャック爪15、ベースアーム11用の戻しバネ16などが設けられている。
ベースアーム11には、支点Zで揺動可能な係止爪21、係止爪21を待機状態に戻そうとする復帰ばね22、戻しバネ16用として枢支連結されるバネ受23などが装備されている。
第2レバー2には合成樹脂などによるグリップ24が被せられ、先端にはカッターローラ25が支承され、先端側には直線状の係合溝26が形成されている。係合溝26は、その先端側(タイ保持部g側)ほど軸心Pに関する径寸法が大となるように傾斜する状態に配置設定されている。
逆に、調整ツマミ17を右に回して緩めると、四角ナット35が図3において右側に(調整ツマミ17側に)移動してバネ受19から離れるので、引締め力調整バネ18は膨張して弾性力が弱まる。従って、緊張アーム12が三角リンク13を押圧付勢する力が小さくなり、設定引締め力が減少する方向に調節される。
ポンチ体28は、詳しくは後述するが、タイ部4を押しての塑性変形によって内側のタイ部4及びヘッド部5に係合させるものであり、ピン34(後述)などと共に押出し機構hを構成している。
切断刃27は、その根元部がホルダ30の左右一対の前側壁30b,30b間に配置され、自身の貫通孔(符記省略)に収容されるポンチ体28と共に貫通されるピン34でホルダ30に一体化されている。
切断機構cは、第2レバー2で操作されない通常時(後述する「ポンチ切断工程」以外のとき)は、戻しばね29の弾性により、ホルダ30の表壁30cが上方突起14aに当接して、刃部27a及び先端尖り状のポンチ部28aがタイ保持部gに保持されている結束タイBから離れている待機位置に復帰付勢されている。なお、ポンチ部28aの先端形状は、ピン角(図15参照)でも、僅かに丸められたもの(図13参照)でも良い。
左右一対の板材を有してなるベースアーム11の内側に、左右一対の側壁部2a,2aを有する第2レバー2が配備され、それら側壁部2a,2aの間に三角リンク13が配備され、三角リンク13を構成する左右一対の板部13A,13Aの間に緊張アーム12が位置する状態に構成されている。
また、三角リンク13の中間部には中間ピン13cが支持されており、その中間ピン13cが係合溝26に相対回動及び溝長手方向移動が可能に挿通されている。
つまり、ヘッド部5がタイ保持部gに支持されている状態では、ポンチ体28の突出移動軌跡p上に係合孔10、逃し孔5b、及び略円形切欠き5cが位置するように、タイ保持部gとポンチ体28とが互いに連係配置されているのである。
図4に示すように、工具本体3は、左本体ケース3Aと右本体ケース3Bとでなり、それらの基端部(符記省略)どうしで第1レバー1が構成されている。38は左右一対の段付円形で扁平な支軸であり、ベースアーム11及び第2レバー2を支承する小径部38aと、左右の本体ケース3A,3Bに嵌合支持されるフランジ部38bとからなる。
なお、空間や切欠きなどによる回避部39は、図13に示されるように、先端部分4eの突出量がヘッド部5の厚み幅以内に収まる場合には無くても(例:左右の鉤部36,36が連なって一体となる構成)良いが、ヘッド部5の厚み幅を超えて出っ張る切起し爪8やストッパー9との干渉を避けるとか、タイ保持部gへのヘッド部5の装着具合を目視できるといったことを考慮すれば、回避部39を設けておく構成の方が好都合である。
タイ部4におけるヘッド部5を貫いて突出する突出タイ部4aを、工具本体3に形成されるタイ路孔6に差し込む操作を行うことにより、図5(b)に示すように、ベースアーム11先端部の通し路11aを通って尖り先端7が機外突出される状態が齎される。
この待機状態では、係止爪21の基端側突起21bで尻部15bが押されており、捩りコイルばね32(図4参照)の弾性力に抗してチャック爪15が強制揺動され、チャック部15aがガイド壁6aからタイ部4の厚さ分以上明確に離れている。つまり、チャック爪15は突出タイ部4aに何らの作用も与えない状態(戻り防止機構jの非動作状態)になっている。
加えて、係止爪21は、復帰ばね22の弾性力によってギヤ歯状の先端部21cが、ベースアーム11(図10参照)の先端内壁11bからタイ部4の厚み以上明確に離れており、係止爪21も突出タイ部4aに何らの作用も与えない状態になっている。
このとき、捩りコイルばね32によりチャック爪15は突出タイ部4aに軽く押付けられており、突出タイ部4aがヘッド部5に戻り移動することが阻止されるセルフロック作用が生じ得る状態になっているが、突出タイ部4aがより突出する方向への移動は許容される(図8,9参照)。
突出タイ部4aが引張られることにより、被結束対象Kに巻き付いているタイ部4の長さが短くなり、被結束対象Kが引締められてゆく引締め工程が行われる。なお、図8は握り込みの途中状態、即ち、引締め工程の途中状態を示している。
これにより、チャック部15aとガイド壁6aとの間で突出タイ部4aが挟まれる状態になるので、前述したように、ヘッド部5への戻り移動は、チャック爪15のセルフロック作用が生じて阻止されるようになる。つまり、ガイド壁6aを有する下部ボディ14Aとチャック爪15とによって戻り防止機構jが構成されている。
つまり、第2レバー2の第1位置t1から第2位置t2への相対揺動により、引締め連係機構b及び引締め機構aが作動し、突出タイ部4aが係止爪21によって挟持されて引張られる引締め工程が行われるようになる。
この第2位置t2は、図9,10に示すように、緊張アーム12の支点Xを有する支軸33の大径土台部33aに、ベースアーム11の基端側の板厚端面11cが当接することで決まる位置である。なお、図10は、図9における要部の正面図である。
この第2レバー2が復帰揺動している状態では、前述したチャック爪15によるセルフロック作用が機能し、引張られた突出タイ部4aが戻り移動しないように係止保持されている。加えて、引締め力調整バネ18の弾性力が実質的に三角リンク13に作用しないこと、及び、復帰ばね22の弾性力が作用することにより、係止爪21による突出タイ部4aへの挟持力が消滅し、引張られた突出タイ部4aはそのままで第2レバー2及びベースアーム11だけが復帰揺動する。
即ち、引締め力が設定値になると、その設定値を決めている引締め調節機構f(引締め力調整バネ18)による支持ローラ31と先端凹み12aとの係合が維持できなくなるとともに、セルフロック作用を発揮している係止爪21及びベースアーム11は、それ以上タイ引張り方向に揺動できないようになる。そのため、引き続き第2レバー2が握り込みされるに伴い、図11に示すように、中間ピン13cが係合溝26内で第1レバー1側に移動し、それによって支持ローラ31で押される緊張アーム12が支点X回りで第1レバー1側に退入揺動して、支持ローラ31が先端凹み12aから外れ移動する。
そして、図12,図13に示すように、戻しばね29の弾性力に抗してホルダ30とこれに一体化されている切断刃27及びポンチ体28が強制突出移動される。なお、図11,13などにおいては、簡単のため切起し爪8やストッパー9は省略してある。
また、切断刃27先端の刃部27aは、突出タイ部4aをヘッド部5の間際の位置にて押し切って切断する。
このとき、突出タイ部4aはヘッド部5とガイド壁6aとで両側を支持されており、言わば両持ち状態とされている箇所を刃部27aが押し切ることになり、余分な突出タイ部4aは確実で円滑に切断される。
しかしながら、その押されるタイ部4は、言わばヘッド部5による片持ち支持状態にあり、かつ、もともと先端壁11Aによって被結束対象側に曲り癖が付いていることもあり、少し押される程度であって刃部27aによる何らの作用も受けない。
円形の塑性変形部4bが係合孔10及び逃し孔5bに圧入されたようになるので、この確実なポンチ係合により、タイ部4自体の抜け止め及びヘッド部5との一体化が一挙に行われ、設定された引締め力での結束状態を確実に維持できるものとなる。
なお、突出タイ部4aが切断された後は、係止爪21による三角リンク13への規制が解消するので、第2レバー2の第1位置t1への戻り揺動に伴い、支持ローラ31が先端凹み12aに再係入されて引締め調節機構fが有効に機能する状態(図3参照)に戻る。
切断連係機構dは、カッターローラ25、三角リンク13、係合溝26、緊張アーム12を有して構成されている。切換機構eは、引締め力調整バネ18、緊張バー20、緊張アーム12、三角リンク13を有して構成されている。
そして、切換機構eは、引締め機構aによる突出タイ部4aの引張り力が設定値未満であるときは引締め連係機構bは動作させ、かつ、切断連係機構dは動作させない引締め状態にするとともに、引締め機構aによる突出タイ部4aの引張り力が設定値に達すると引締め連係機構bは動作させず、かつ、切断連係機構dを動作させるように機能する。
加えて、戻り防止機構jにより、突出タイ部4aが引張り部iに把持されていないとき(少なくとも復帰揺動工程のとき)は、突出タイ部4aのヘッド部5への戻り移動が阻止されるように機能する。これにより、手指の力を抜いて第1,2レバー1,2の握り込みを解除すれば、その途端から戻り防止機構jが作動するので、引き締められたタイ部4の不測の戻り移動が生じないように工夫されている。
つまり、ポンチ体28の力を受ける被通タイ部4cは、前後及び左右のそれぞれにおいて実質的に両持ち支持状態となっているから、力が逃げることなく塑性変形部4bの形成に有効に、かつ、率良く使われるとともに、塑性変形部4bを確実に係合孔10に押し込んで係合させることができる。
その結果、ヘッド部5に位置するタイ部4に塑性変形を与えて強制的にタイ部4どうしを係合させる機構のさらなる工夫により、ヘッド部5に作用する押出し力が逃げてしまう不都合なく、しっかりと支持させた状態で塑性変形できるようにして、より確実な抜け止めが行えるように改善される手動結束工具Aを提供することができる。
これにより、ヘッド部5をタイ保持部gに装填しさえすれば、略円形切欠き5c、係合孔10、及び逃し孔5bの三者が揃ってポンチ体28によるパンチング予定箇所にセットされるから、押出し機構hの作動により、突出移動軌跡pの方向視で円形を呈する塑性変形部4bを、互いに同軸心である円形の係合孔10へ、円滑で確実に係入させることが可能になる。
従って、前述した確実なポンチ係合によるより確実な抜け止めが行えるという作用効果が一層強化される利点がある。
これにより、ポンチ体28により形成される塑性変形部4bと係合孔10との係合状態を確実なものとするとか、ポンチ部28aの尖り先端の突出量を大きくしてタイ部4を円滑にプレス成形できるようにすべく、塑性変形部4bの突出量がヘッド部5の厚み幅を超えるように設定することができる(図15参照)。また、回避部39の存在により、タイ保持部gにヘッド部5が装填されたときの切起し爪8及びストッパー9との干渉が回避できるとか、ヘッド部5のタイ保持部gへの装着具合を視認できるといった利点がある。故に、タイ保持部gは、先端部分4eの有無に拘らずに多機能化や高機能化が図られている。
そして、切断刃27とポンチ体28との分離により、切断機構cのみ備える仕様、押出し機構hのみ備える仕様、或いはそれら両者c、hの双方を備える仕様、との選択設定が可能になる、という利点もある。
故に、引締め工程であっても切断工程であっても、第1,2レバー1,2を握る状態のままで良いから、複数本の手指の掛け換えを要することなく、一対のレバーの握り込み操作だけで引締め操作と切断操作とが行え、結束作業がより簡単化されて使い勝手に優れる手動結束工具Aを提供することができる。
4b 変形部
4c 被通タイ部
4d 根元タイ部
4e 先端部分
5 ヘッド部
10 係合孔
27 切断刃
28 ポンチ体
39 回避部
a 引締め機構
c 切断機構
g タイ保持部
h 押出し機構
j 戻り防止機構
p 突出移動軌跡
Claims (5)
- ヘッド部を受止めて支持するタイ保持部と、
前記タイ保持部に支持されている前記ヘッド部を貫いて突出している突出タイ部を前記ヘッド部に対して引張る引締め機構と、
前記タイ保持部に支持されている前記ヘッド部に対する前記突出タイ部の戻り移動を阻止する戻り防止機構と、
前記タイ保持部に前記ヘッド部が支持されている状態において、前記ヘッド部に位置している被通タイ部を押出し変形させて、その変形部を前記ヘッド部が予め外囲保持されている根元タイ部の係合孔に係入させる押出し機構と、
を有してなる手動結束工具。 - 前記押出し機構は、突出及び退入移動可能であって前記突出タイ部を押出し変形させるためのポンチ体を有しており、
前記ヘッド部が前記タイ保持部に支持されている状態では、前記ポンチ体の突出移動軌跡上に前記係合孔が位置するように、前記タイ保持部と前記ポンチ体とが互いに連係配置されている請求項1に記載の手動結束工具。 - 前記タイ保持部には、前記押出し機構により形成される前記変形部における前記係合孔を通過して突出する先端部分との干渉を避ける回避部が形成されている請求項1又は2に記載の手動結束工具。
- 前記突出タイ部を前記ヘッド部付近の箇所において切断する切断機構が設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の手動結束工具。
- 前記切断機構は、前記タイ保持部に対して突出及び退入スライド移動可能な切断刃を有して構成されるとともに、前記切断刃と前記ポンチ体とが互いに分離可能に一体化されている請求項4に記載の手動結束工具。
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