JPWO2014021240A1 - プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を含む捕捉剤 - Google Patents
プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を含む捕捉剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2014021240A1 JPWO2014021240A1 JP2014528130A JP2014528130A JPWO2014021240A1 JP WO2014021240 A1 JPWO2014021240 A1 JP WO2014021240A1 JP 2014528130 A JP2014528130 A JP 2014528130A JP 2014528130 A JP2014528130 A JP 2014528130A JP WO2014021240 A1 JPWO2014021240 A1 JP WO2014021240A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protein
- amino acid
- asp
- region
- acid sequence
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K1/00—General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
- C07K1/14—Extraction; Separation; Purification
- C07K1/16—Extraction; Separation; Purification by chromatography
- C07K1/22—Affinity chromatography or related techniques based upon selective absorption processes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/195—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
- C07K14/315—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Streptococcus (G), e.g. Enterococci
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
- C07K16/06—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies from serum
- C07K16/065—Purification, fragmentation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K17/00—Carrier-bound or immobilised peptides; Preparation thereof
- C07K17/02—Peptides being immobilised on, or in, an organic carrier
- C07K17/08—Peptides being immobilised on, or in, an organic carrier the carrier being a synthetic polymer
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K17/00—Carrier-bound or immobilised peptides; Preparation thereof
- C07K17/14—Peptides being immobilised on, or in, an inorganic carrier
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Biophysics (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Immunology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Abstract
Description
[態様1]
免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を主にアミノ基を介して水不溶性の固相支持体に固定化して成る、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質の捕捉剤。
[態様2]
免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を水不溶性の固相支持体に固定化して成る、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質の捕捉剤であって、静的抗体吸着容量(SBC)が40(mg-ヒトIgG/ml-gel)以上である、態様1記載の捕捉剤。
[態様3]
静的抗体吸着容量(SBC)が44(mg-ヒトIgG/ml-gel)以上である、態様2記載の捕捉剤。
[態様4]
タンデム型多量体がタンデム型三量体である、態様1ないし3のいずれか一項に記載の補足剤。
[態様5]
多量体を構成する細胞膜外ドメイン変異体が互いに同一である、態様1ないし4のいずれか一項に記載の捕捉剤。
[態様6]
各細胞膜外ドメイン変異体がリンカー配列によって連結されている、態様1ないし5のいずれか一項に記載の捕捉剤。
[態様7]
免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメインが、ストレプトコッカス属連鎖球菌のプロテインGのB1、B2、又はB3のいずれかである、態様1ないし6のいずれか一項に記載の捕捉剤。
[態様8]
タンパク質が、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインのタンデム型多量体から成るタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した、態様1ないし7のいずれか一項に記載の捕捉剤。
[態様9]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(a)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(a)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質:
(a)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGluを、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36がAsp又はGlu、X37がAsnまたはLeu、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。
[態様10]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(b)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(b)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質:
(b)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGluを、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36が Asp又はGlu、X37がAsn又はHis、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
[態様11]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(c)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(c)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質:
(c)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyValTrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGlu、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又は Lys、X36がAsp又はGlu、X37がAsn又はHis、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。
[態様12]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(d)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(d)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B1メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(d)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。
[態様13]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(e)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(e)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B2メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(e)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。
[態様14]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(f)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(f)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B3メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(f)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyValTrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。
[態様15]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(g)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(g)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質に比べ、Fc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(g)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAspであって、かつX42がGluになる場合を除く。)。
[態様16]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質の各変異体タンパク質であって、以下の(h)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(h)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質に比べ、Fc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(h)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAspであって、かつX42がGluになる場合を除く。)。
[態様17]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質の各変異体タンパク質であって、以下の(i)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(i)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質に比べ、Fc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(i)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyValTrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGlnであって、かつX40がAspになる場合を除く。)。
[態様18]
多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が配列番号13〜20のいずれかで示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなる、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤。
[態様19] 三量体を構成する3つの細胞膜外ドメイン変異体が配列番号19で示されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなる、態様1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤。
[態様20]
態様1ないし19のいずれか一項に記載の捕捉剤を充填して成るタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラム。
更に、本発明の捕捉剤はカラムに充填した際に、以下に定義する静的抗体吸着容量(SBC:Static Binding Capacity)が高い、という抗体等の捕捉剤として非常に優れた抗体吸着特性を有する。
このような捕捉剤を充填したタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラムにおいては、捕捉した抗体を弱酸性領域において、変性のない状態でより容易に溶出することが可能となる。
尚、本明細書に引用した特許文献7においては、本発明のタンデム型多量体に相当する一般的な概念は開示されているものの、実際には合成された例は記載されておらず、更に、上記のような顕著な効果は何等記載又は示唆すらなされていない。
本発明の抗体捕捉剤は、本発明の変異体タンパク質を水不溶性の固相支持体に固定化することによって作製される。用いる水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機-有機、有機-無機などの複合担体などが挙げられるが、中でも親水性担体は非特異吸着が比較的少なく、抗体あるいは免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質の選択性が良好であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは、担体を構成する化合物を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担体を示す。この様な担体としてはセルロース、キトサン、デキストラン等の多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラスなどからなる担体が代表例として挙げられる。
即ち、本発明の捕捉剤は、好ましくは40(mg-ヒトIgG/ml-gel)以上、より好ましくは、44(mg-ヒトIgG/ml-gel)以上の静的抗体吸着容量を有することを特徴とし、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対して、非常に優れた吸着特性を有する。
即ち、捕捉剤(結合リガンドを水不溶性の固相支持体に固定化したもの)の25%PBS懸濁液を調製した溶液400μLを円錐プラスチック容器に採取する。次いで1mg/mlの濃度に調製したヒト血清由来γ-globulin(和光純薬)PBS溶液14mlを加え、25℃、3時間ロータリーミキサーで攪拌する。上澄みのγ-globulin濃度を280nmの吸光度を測定し、物質収支を用いてSBCを測定する。
(1)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列からなる野生型プロテインG・B1あるいは同B2ドメインタンパク質における、Asp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asn35、Asp36、Gly38、Asp40、Glu42、Thr44のうちのいずれか1個以上のアミノ酸残基を変異対象部位として他のアミノ酸残基に置換した変異体タンパク質であって、該変異対象部位の各アミノ酸残基が、以下(i)〜(iii)のいずれかに示されるアミノ酸残基に置換されたものであることを特徴とする、免疫グロブリンGのFc領域に結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B1あるいはB2ドメインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質。
(i)変異対象部位のアミノ酸残基が非荷電性アミノ酸残基である場合における、荷電性アミノ酸残基への置換
(ii)変異対象部位のアミノ酸残基が荷電性アミノ酸残基である場合における、反対の電荷を示す荷電性アミノ酸残基への置換
(iii)変異対象部位のアミノ酸残基のヒスチジン残基への置換。
(i)変異対象部位のアミノ酸残基が非荷電性アミノ酸残基である場合における、荷電性アミノ酸残基への置換
(ii)変異対象部位のアミノ酸残基が荷電性アミノ酸残基である場合における、反対の電荷を示す荷電性アミノ酸残基への置換
(iii)変異対象部位のアミノ酸残基のヒスチジン残基への置換。
上記(1)および(2)の変異体タンパク質は以下のように選定された変異対象部位及び該部位を置換するアミノ酸残基に基づき設計され、遺伝子工学的手法により得られる。
本発明の変異体タンパク質のアミノ酸配列を設計するための変異を導入する部位は、プロテインG・B2ドメインと免疫グログリンGのFc領域が結合した複合体の立体構造原子座標データ(参照文献4)を用いて選定したものである。弱酸性域におけるプロテインGの細胞膜外ドメインの抗体結合性を低下させるには、Fc領域との結合に直接関与しているプロテインGの細胞膜外ドメインの結合表面のアミノ酸残基およびその周辺のアミノ酸残基を野生型から非野生型に置換すればよい。したがって、まず、プロテインG・B2ドメインと免疫グログリンGのFc領域が結合した複合体において、Fc領域から一定の距離の範囲内に存在するプロテインG・B2ドメインのアミノ酸残基を特定し、これを変異対象部位の候補とする。ついで、アミノ酸置換に伴うプロテインGの細胞膜外ドメインの構造不安定化を最小限にするために、上記の候補のうち、プロテインG・B2ドメインの分子表面に露出しているアミノ酸残基のみを変異対象部位と決定した。
また、上記したように、プロテインGの各細胞膜外ドメインは配列同一性が極めて高く、B1、B2、B3ドメインの立体構造の差異もほとんどがないことから、B2ドメイン−Fc複合体の立体構造についての知見は、B1及びB3ドメイン−Fc複合体にも適用できる。したがって、B2ドメイン−Fc複合体の立体構造から導いた13個が変異対象部位は、相当する位置に同じ種類のアミノ酸がある限りにおいて、B2ドメインのみならず、B1およびB2ドメインにおいても変異対象部位として選定することができる。即ち、プロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列(配列番号1)のうちの、Asp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asn35、Asp36、Gly38、Asp40、Glu42、Thr44の13個が、また、プロテインG・B3ドメインの野生型アミノ酸配列(配列番号3)のうちの、Asp22、Thr25、Lys28、Lys31、Gln32、Asn35、Asp36、Gly38、Asp40、Thr44の10個が変異対象部位として選定された。
(i)変異対象部位の野生型のアミノ酸残基が非荷電性の側鎖を有するアミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Asn、Gln、Phe、Tyr、Trp、Met、Cys、Pro)の場合は、荷電性の側鎖を有するアミノ酸(Asp、Glu、Lys、Arg、His)に置換する。荷電性アミノ酸は、pHに依存して化学的状態が大きく変化するので、プロテインG・B2ドメインの抗体結合性を中性域と弱酸性域で変化させることができる。
(ii)変異対象部位の野生型のアミノ酸残基が荷電性アミノ酸の場合は、反対の電荷を示す荷電性アミノ酸に置換する。上記と同様に、荷電性アミノ酸は、pHに依存して化学的状態が大きく変化するので、プロテインG・B2ドメインの抗体結合性を中性域と弱酸性域で変化させることができる。
(iii)変異対象部位の野生型のアミノ酸残基がヒスチジン以外の場合は、ヒスチジンに置換する。ヒスチジンは、中性域と弱酸性域で化学的状態が大きく変化するので、プロテインG・B2ドメインの抗体結合性を中性域と弱酸性域で変化させることができる。
(3)配列番号1〜3のいずれかで示されるアミノ酸配列からなる野生型プロテインG・B1、B2あるいはB3ドメインタンパク質における、Lys10、Thr11、Lys13、Gly14、Glu15、Thr16、Thr17、Asn35、Asp36、Gly38のうちのいずれか1個以上のアミノ酸残基を変異対象部位として、システインを除く他の種類のアミノ酸残基に置換したものであることを特徴とする、免疫グロブリンGのFc領域に結合活性を有し、かつ各対応する野生型プロテインG・B1、B2あるいはB3ドメインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合性が低下した変異体タンパク質。上記(3)の変異体タンパク質は以下のように選定された変異対象部位及び該部位を置換するアミノ酸残基に基づき設計され、遺伝子工学的手法により得られる。
本発明の変異体タンパク質のアミノ酸配列を設計するための変異を導入する部位は、プロテインG・B3ドメインと免疫グログリンGのFab領域が結合した複合体の立体構造原子座標データ(参照文献5)を用いて選定したものである。プロテインGの細胞膜外ドメインは、免疫グログリンGのFc領域に対しても、Fab領域に対しても結合することが知られている(参照文献2)。したがって、1つの抗体分子は、同時に複数のプロテインGの細胞膜外ドメインと結合することが可能で、このような状態になると抗体とプロテインGの細胞膜外ドメインとの相互作用は多価となり容易に切断することができなくなる。よって、弱酸性域におけるプロテインGの細胞膜外ドメインの抗体結合性を低下させるには、Fab領域との結合に直接関与しているプロテインGの細胞膜外ドメインの結合表面のアミノ酸残基を野生型から非野生型に置換すればよい。したがって、まず、プロテインG・B3ドメインと免疫グログリンGのFab領域が結合した複合体において、Fab領域から一定の距離の範囲内に存在するプロテインG・各細胞膜B3ドメインのアミノ酸残基を特定し、これを変異対象部位の候補とした。ついで、アミノ酸置換に伴うプロテインGの細胞膜外ドメインの構造不安定化を最小限にするために、上記の候補のうち、プロテインG・B3ドメインの分子表面に露出しているアミノ酸残基のみを変異対象部位と決定した。
具体的には、後記実施例に示されるように、野生型プロテインG各細胞外ドメインタンパク質を置換するアミノ酸残基として、Lys10についてはLysとCys以外が、Thr11についてはThrとCys以外が、Lys13についてはLysとCys以外が、Gly14についてはGlyとCys以外が、Glu15についてはGluとCys以外が、Thr16についてはThrとCys以外が、Thr17についてはThrとCys以外が、Asn35についてはAsnとCys以外が、Asp36についてはAspとCys以外が、Gly38についてはGlyとCys以外が特定された。ただし、これらのアミノ酸残基の選定によるアミノ酸配列が、Asn35がLys及び/又はAsp36がGluに置換されたものであって、該置換箇所以外のアミノ酸配列が野生型プロテインGの各細胞膜ドメインのアミノ酸配列と同じになる場合は除かれる。これにより、後記する本発明者の出願に係るプロテインG細胞膜ドメインの安定性を向上させた変異体タンパク質とは区別される。
上記Fcとの結合表面解析にもとづいて特定した変異対象部位と置換するアミノ酸残基と、上記Fabとの結合表面解析にもとづいて特定した変異対象部位と置換するアミノ酸残基と組み合わせて、変異対象部位の選定と置換するアミノ酸残基の特定を行う。具体的には、変異対象部位として、プロテインG・B1、B2ドメインの野生型アミノ酸配列(配列番号1,2)のうちの、Asp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asp40、Glu42、Thr44、Lys10、Thr11、Lys13、Gly14、Glu15、Thr16、Thr17、Asn35、Asp36、Gly38の20個が変異対象部位として選定される。このうちAsp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asp40、Glu42 、Thr44はFc領域に対する結合性を改良するためのターゲット部位であり、また、Lys10、Thr11、Lys13、Gly14、Glu15、Thr16、Thr17は、Fab領域に対する結合性を改良するためのターゲット部位である。ここで、Asn35、Asp36、Gly38は、Fc領域に対する結合性の改良部位であるとともにFab領域に対する結合性の改良部位でもある。したがって、Asn35、Asp36、Gly38に対するFc領域に対する結合性の改良のための上記Aに示すアミノ酸残基に置換は、同時にFab領域に対する結合性の改良のための、システイン残基を除く他のアミノ酸残基への置換でもある。
a)野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(a)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(a)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質。
(a)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGluを、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36がAsp又はGlu、X37がAsnまたはLeu、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
(b)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGluを、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36がAsp又はGlu、X37がAsnまたはLeu、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
(c)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyValTrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGlu、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36がAsp又はGlu、X37がAsnまたはLeu、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
なお、上記(a)〜(c)のアミノ酸残基の定義中、ただし書きは、野生型プロテインGの各細胞膜ドメインタンパク質及び後記する本発明者の出願に係るプロテインG細胞膜ドメインの安定性を向上させた変異体タンパク質と区別するためのものである。
d)野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(d)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(d)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B1メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質。
(d)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
(e)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
(f)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyValTrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)
(g)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAspであって、かつX42がGluになる場合を除く。)
(h)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAspであって、かつX42がGluになる場合を除く。)
(i)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyValTrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGlnであって、かつX40がAspになる場合を除く。)なお、上記(d)〜(i)のアミノ酸残基の定義中、ただし書きは、野生型プロテインGの各細胞膜ドメインタンパク質を区別するためのものである。
上記した、(a)、(b)のアミノ酸配列は、このような最大12変異箇所/14置換の点変異及び多重変異を示したものであるが、野生型の配列に加え安定化のためだけの変異は除かれている。
これらの(a)、(b)のアミノ酸配列中、Asn35Lys、Asp36Glu、Asn37His、Asn37Leu、Asp47Pro、Ala48Lys及び Ala48Gluのうち、いずれか一以上の変異の導入は、上記の最大7変異箇所/7置換の効果である免疫グロブリンGのFab領域に対する結合特性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合特性の改良に加え、プロテインG・B1あるいはB2ドメイン変異体タンパク質の安定性を向上させる。
[配列番号13]で示される変異体タンパク質は、[配列番号1]で示されるプロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列に対して、プロテインGの細胞膜外ドメインの熱安定性、変性剤に対する化学的安定性、および分解酵素に対する耐性を向上させることが発明者らの従前の研究により明らかにされている部位に変異を導入したものであり、[配列番号14]、[配列番号15]、[配列番号19]、および[配列番号20]で示される変異体タンパク質は、さら加えて、Fcとの結合表面解析にもとづき選定した部位に変異を導入したものである。
(1)遺伝子工学的手法によるタンパク質の製造
a.変異体タンパク質をコードする遺伝子
本発明においては、上記設計されたタンパク質を製造するため、遺伝子工学的方法を使用することできる。
このような方法に使用する遺伝子は、上記A〜Cに示されるタンパク質、より具体的には、上記(a)〜(i)のいずれかで示されるアミノ酸配列をコードするか、あるいは(a)〜(i)のいずれかで示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であって、かつ抗体あるいは免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に結合活性を有し、かつ中性域に比べて弱酸性域での結合活性が低下するタンパク質をコードする核酸からなるものであって、たとえば、より具体的には、[配列番号22]〜[配列番号29]で示されるいずれかの塩基配列からなる核酸である。
前記した本発明の遺伝子は、化学合成、PCR、カセット変異法、部位特異的変異導入法などにより合成することができる。たとえば、末端に20塩基対程度の相補領域を有する100塩基程度までのオリゴヌクレオチドを複数化学合成し、これらを組み合わせてオーバーラップ伸長法(参照文献8)を行うことにより目的の遺伝子を全合成することができる。
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに上記の塩基配列を含む遺伝子を連結(挿入)することにより得ることができる。本発明で使用するベクターとしては、宿主中で複製可能なもの又は目的の遺伝子を宿主ゲノムに組み込み可能なものであれば特に限定されない。例えば、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどが挙げられる。
ベクターに遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。遺伝子は、本発明の変異体タンパク質が発現されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、遺伝子の塩基配列のほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)、開始コドン、終止コドンなどを連結することができる。 また、製造するタンパク質の精製を容易にするためのタグ配列を連結することもできる。タグ配列としては、Hisタグ、GSTタグ、MBPタグ、BioEaseタグなどの公知のタグをコードする塩基配列を利用することができる。
形質転換体は、本発明の組換えベクターを、本発明の変異体タンパク質が発現し得るように宿主細胞に導入することにより得ることができる。形質転換に使用する宿主としては、タンパク質又はポリペプチドを発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、植物細胞、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などが用いられる。酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
組替えタンパク質として製造する場合、本発明のタンパク質は、上述の形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。培養物とは、培養上清、培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
単離精製した本発明のタンパク質が、目的通りのアミノ酸配列からなるタンパク質であるかを確認するため、該タンパク質を含む試料を分析する。分析方法としては、SDS-PAGE、ウエスタンブロッティング、質量分析、アミノ酸分析、アミノ酸シーケンサーなどを利用することができる(参照文献10)。
本発明のタンパク質は、有機化学的手法、例えば固相ペプチド合成法などによっても製造することができる。このような手法を利用したタンパク質の生産方法は当技術分野で周知であり、以下に簡潔に説明する。
固相ペプチド合成法により化学的にタンパク質を製造する場合、好ましくは自動合成機を利用して、活性化されたアミノ酸誘導体の重縮合反応を繰り返すことにより、本発明のタンパク質のアミノ酸配列を有する保護ポリペプチドを樹脂上で合成する。ついで、この保護ポリペプチドを樹脂上から切断すると共に側鎖の保護基も同時に切断する。この切断反応には、樹脂や保護基の種類、アミノ酸の組成に応じて適切なカクテルがあることが知られている(参照文献11)。この後、有機溶媒層から粗精製タンパク質を水層に移し、目的のタンパク質を精製する。精製法としては、逆相クロマトグラフィーなどを利用することができる(参照文献11)。
上記のようにして製造された変異体タンパク質及びタンパク質(以下、単に「タンパク質」ともいう)、及び抗体捕捉剤は、以下の性能確認試験を行い良好なものを選択することができるが、本発明のタンパク質および抗体捕捉材はいずれも良好な性能を有していた。
本発明のタンパク質の抗体結合性は、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、プルダウンアッセイ、ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)、表面プラズモン共鳴(SPR)法などを利用して確認・評価することができる。中でもSPR法は、生体間の相互作用をラベルなしでリアルタイムに経時的に観察することが可能であることから、変異体タンパク質の結合反応を速度論的観点から定量的に評価することができる。
また、水不溶性の固相支持体に固定化した変異体タンパク質の抗体結合性は、上記のSPR法や液体クロマトグラフィー法で確認・評価することができる。中でも液体クロマトグラフィー法は、抗体結合性に及ぼすpH依存性を的確に評価することができる。
(2)タンパク質の熱安定性試験
本発明の変異体タンパク質の熱安定性は、円偏光二色性(CD)スペクトル、蛍光スペクトル、赤外分光法、示差走査熱量測定法、加熱後の残留活性などを利用して評価することができる。中でもCDスペクトルは、タンパク質の二次構造の変化を鋭敏に反映する分光学的分析方法であることから、変異体タンパク質の温度に対する立体構造の変化を観測し、構造安定性を熱力学的に定量的に評価することができる。
参照文献1;Bjorck L, Kronvall G. (1984) Purification and some properties of streptococcal protein G, a novel IgG-binding reagent. J Immunol. 133, 69-74.
参照文献2;Boyle M. D.P., Ed. (1990) Bacterial Immunoglobulin Binding Proteins. Academic Press, Inc., San Diego, CA.
参照文献3;Gallagher T, Alexander P, Bryan P, Gilliland GL. (1994) Two crystal structures of the B1 immunoglobulin-binding domain of streptococcal protein G and comparison with NMR. Biochemistry 19, 4721-4729.
参照文献4;Sauer-Eriksson AE, Kleywegt GJ, Uhlen M, Jones TA. (1995) Crystal structure of the C2 fragment of streptococcal protein G in complex with the Fc domain of human IgG. Structure 3, 265-278.
参照文献5;Derrick JP, Wigley DB. (1994) The third IgG-binding domain from streptococcal protein G. An analysis by X-ray crystallography of the structure alone and in a complex with Fab. J Mol Biol. 243, 906-918.
参照文献6;Alexander P, Fahnestock S, Lee T, Orban J, Bryan P. (1992) Thermodynamic analysis of the folding of the streptococcal protein G IgG-binding domains B1 and B2: why small proteins tend to have high denaturation temperatures. Biochemistry 14, 3597-3603.
参照文献7;D'souza VM, Holz RC. (1999) The methionyl aminopeptidase from Escherichia coli can function as an iron(II) enzyme. Biochemistry 38, 11079-11085.
参照文献8;Horton R. M., Hunt H. D., Ho S. N., Pullen J. M. and Pease L. R. (1989). Engineering hybrid genes without the use of restriction enzymes: gene splicing by overlap extension. Gene 77, 61-68.
参照文献9;岡田雅人、宮崎香(2004)タンパク質実験ノート(上)、羊土社
参照文献10;大野茂男、西村善文監修(1997)タンパク質実験プロトコール1−機能解析編、秀潤社
参照文献11;大野茂男、西村善文監修(1997)タンパク質実験プロトコール2−構造解析編、秀潤社
本実施例においては、プロテインGのB1、B2、あるいはB3ドメインに変異を導入した本発明のもととなる変異体タンパク質(以降、「改良型プロテインG」と呼ぶ)のアミノ酸配列を設計するための変異を導入する部位を選定し、置換するアミノ酸残基を特定する。
1.Fcとの結合表面解析にもとづく変異対象部位の選定と置換するアミノ酸残基の特定
まず、プロテインG・B2ドメインとヒト免疫グロブリンG1のFc領域の複合体の立体構造座標データを、国際的なタンパク質立体構造データベースであるProtein Data Bank(PDB; http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)よりダウンロードした(PDBコード:1FCC)。ついで、Fc領域から6.5オングストロームの距離の範囲内に存在するプロテインG・B2ドメインのアミノ酸残基であって、かつ、プロテインG・B2ドメイン単独の場合で40%以上の露出表面積比をもつアミノ酸残基を該立体構造座標データを用いて計算し、変異対象部位として選定した。選定した部位のアミノ酸残基は、[配列番号2]で示されるプロテインG・B2ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの、Asp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asn35、Asp36、Gly38、Asp40、Glu42、Thr44の13個である。図5に、これらの変異対象部位の位置を表示する。これらの変異対象部位は、B1ドメインにおいても共通に存在する。よって、これらはB2ドメインのみならず、B1ドメインにおいても変異対象部位として選定することができる。即ち、[配列番号1]で示されるプロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの、Asp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asn35、Asp36、Gly38、Asp40、Glu42、Thr44の13個を変異対象部位として選定した。また、これらの変異対象部位の一部は、B3ドメインにおいても共通に存在する。よって、これらはB2ドメインのみならず、B3ドメインにおいても変異対象部位として選定することができる。即ち、[配列番号3]で示されるプロテインG・B3ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの、Asp22、Thr25、Lys28、Lys31、Gln32、Asn35、Asp36、Gly38、Asp40、Thr44の10個を変異対象部位として選定した。
まず、プロテインG・B3ドメインとマウス免疫グロブリンG1のFab領域の複合体の立体構造座標データを、国際的なタンパク質立体構造データベースであるProtein Data Bank(PDB; http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)よりダウンロードした(PDBコード:1IGC)。ついで、Fab領域から4.0オングストロームの距離の範囲内に存在するプロテインG・B3ドメインのアミノ酸残基であって、かつ、プロテインG・B3ドメイン単独の場合で40%以上の露出表面積比をもつアミノ酸残基を該立体構造座標データを用いて計算し、変異対象部位として選定した。選定した部位のアミノ酸残基は、[配列番号3]で示されるプロテインG・B3ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの、Lys10、Thr11、Lys13、Gly14、Glu15、Thr16、Thr17、Asn35、Asp36、Gly38の10個である。図6に、これらの変異対象部位の位置を表示する。これらの変異対象部位は、B1、B2、B3のどのドメインにおいても共通に存在する。よって、これらはB3ドメインのみならず、B1およびB2ドメインにおいても変異対象部位として選定することができる。即ち、[配列番号1]および[配列番号2]で示されるプロテインG・B1ドメインおよびB2ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの、Lys10、Thr11、Lys13、Gly14、Glu15、Thr16、Thr17、Asn35、Asp36、Gly38の10個を変異対象部位として選定した。
なお、本実施例の計算は、ccp4i 4.0 (Daresbury Laboratory, UK Science and Technology Facilities Council)、Surface Racer 3.0 for Linux(Dr. Oleg Tsodikov, The University of Michigan)、Red Hat Enterprise Linux WS release 3(レッドハット)(以上ソフトウエア)、Dell Precision Workstation370(デル)(以上ハードウエア)を用いて遂行した。
上記Fcとの結合表面解析および上記Fabとの結合表面解析にもとづき選定した変異対象部位と特定した置換するアミノ酸残基を組み合わせた。
即ち、[配列番号1]で示されるプロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの、Asp22、Ala24、Thr25、Lys28、Val29、Lys31、Gln32、Asp40、Glu42、Thr44、Lys10、Thr11、Lys13、Gly14、Glu15、Thr16、Thr17、Asn35、Asp36、Gly38の20個を変異対象部位として選定した。元のアミノ酸残基を置換するアミノ酸残基は、Asp22についてはLys、Arg、またはHisが、Ala24についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Thr25についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Lys28についてはAsp、Glu、またはHisが、Val29についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Lys31についてはAsp、Glu、またはHisが、Gln32についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Asp40についてはLys、Arg、またはHisが、Glu42についてはLys、Arg、またはHisが、Thr44についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Lys10についてはLysとCys以外が、Thr11についてはThrとCys以外が、Lys13についてはLysとCys以外が、Gly14についてはGlyとCys以外が、Glu15についてはGluとCys以外が、Thr16についてはThrとCys以外が、Thr17についてはThrとCys以外が、Asn35についてはAsnとCys以外が、Asp36についてはAspとCys以外が、Gly38についてはGlyとCys以外が特定された。
元のアミノ酸残基を置換するアミノ酸残基は、Asp22についてはLys、Arg、またはHisが、Thr25についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Lys28についてはAsp、Glu、またはHisが、Lys31についてはAsp、Glu、またはHisが、Gln32についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Asp40についてはLys、Arg、またはHisが、Thr44についてはAsp、Glu、Lys、Arg、またはHisが、Lys10についてはLysとCys以外が、Thr11についてはThrとCys以外が、Lys13についてはLysとCys以外が、Gly14についてはGlyとCys以外が、Glu15についてはGluとCys以外が、Thr16についてはThrとCys以外が、Thr17についてはThrとCys以外が、Asn35についてはAsnとCys以外が、Asp36についてはAspとCys以外が、Gly38についてはGlyとCys以外が特定された。
本実施例においては、上記選定した変異対象部位と上記特定した置換するアミノ酸残基の情報を利用して改良型プロテインGのアミノ酸配列を設計した。
上記から明らかなように、変異対象部位及び該部位を置換するアミノ酸残基は、各一つに限られるものではないので、変異対象部位及び該部位を置換するアミノ酸残基の中から適宜選択して、変異体タンパク質のアミノ酸配列を設計することができる。その選択は、無作為に行ってもよいし、構造活性相関等の他の公知の情報を加味してもよい。また、プロテインGの細胞膜外ドメインの性質を好ましいものに変化させることが既に知られている変異と組みあわせてもよい。本実施例では、実施例1の「1.Fcとの結合表面解析にもとづく変異対象部位の選定と置換するアミノ酸残基の特定」で選定した部位から、Asp22、Thr25、Gln32、Asp40、およびGlu42を選択し、これに対応する置換するアミノ酸残基として、Asp22His、Thr25His、Gln32His、Asp40His、およびGlu42Hisを選択し、この5変異箇所/5置換を組み合わせた点変異あるいは多重変異を[配列番号1]で示されるプロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列に対して行うことで、[配列番号10]で示される複数の改良型プロテインGのアミノ酸配列を設計した。
さらに、プロテインGの細胞膜外ドメインの熱安定性、変性剤に対する化学的安定性、および分解酵素に対する耐性を向上させることが発明者らの従前の研究により明らかにされているAsn35Lys、Asp36Glu、Asn37His、Asn37Leu、Asp47Pro、Ala48Lys、およびAla48Gluを選択し、これらを上記の7変異箇所/7置換に加えて得られる12変異箇所/14置換を組み合わせた点変異あるいは多重変異を[配列番号1]で示されるプロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列に対して行うことで、[配列番号4]で示される複数の改良型プロテインGのアミノ酸配列を設計した。
本実施例では、上記12変異箇所/14置換に対応する具体的アミノ酸配列として[配列番号13]〜[配列番号20]を最終的に選別し、この配列を示す改良型プロテインGを実際に合成し、その分子特性を評価した。
本実施例においては、改良型プロテインGのアミノ酸配列をコードする核酸の塩基配列を設計した。
改良型プロテインGをコードする遺伝子の塩基配列については、設計した改良型プロテインGのアミノ酸配列を基に、Gene Designer (DNA2.0 Inc.) を利用して、大腸菌での発現効率が最適になるよう設計した。なお、変異体タンパク質は、タンパク質合成の実際的観点から以下の2系統に分けて製造されるため、遺伝子の塩基配列はベクターの塩基配列を勘案して系統ごとに微調整された。OXADac-PGタンパク質は、N末端側にOxaloacetate decarboxylase alpha-subunit c-terminal domain (OXADac)の、C末端側に改良型プロテインGの配列を有する融合タンパク質として製造される。即ち、[配列番号31]と[配列番号13]〜[配列番号20]が連結したアミノ酸配列となり合成される。M-PGタンパク質は、タグなし、融合なしの単純タンパク質として大腸菌を用いて製造される。このため設計したアミノ酸配列に開始コドン配列が付加される。即ち、M-PGタンパク質は[配列番号13]〜[配列番号20]のN末端にMetが付加したアミノ酸配列となり合成される。
本実施例においては、改良型プロテインGをコードする遺伝子を含むプラスミドベクターを合成し、ついで大腸菌を用いて、表1に示すOxaloacetate decarboxylase alpha-subunit c-terminal domain (OXADac)と変異体タンパク質の融合タンパク質(OXADac-PG01、OXADac-PG07、OXADac-PG13、OXADac-PG14、OXADac-PG15、OXADac-PG16、OXADac-PG17、OXADac-PG19、OXADac-PG20)を製造した。
[配列番号21]〜[配列番号29]の塩基配列からなるPG遺伝子(pg01、pg07、pg13、pg14、pg15、pg16、pg17、pg19、またはpg20) を組み込んだエントリープラスミドpDONR221-PG (DNA2.0)と発現用プラスミドChampion pET104.1-DEST (Invitrogen) についてGateway LR Clonase Enzyme Mix (Invitrogen) を用いて相同組み換えを行った。反応液を用いて保存用大腸菌DH5a株 (東洋紡, Competent high)を形質転換した。得られた形質転換体をcolony PCR、DNA sequencing (GE Healthcare Bioscience, BigDye Terminator v1.1) により選別し、QIAprep Spin Miniprep Kit (Qiagen) を用いてOXADac-PG発現用プラスミドを抽出した。
OXADac-PG発現用プラスミドを用いて、発現用大腸菌BL21(DE3) (Novagen) を形質転換した。前培養した形質転換体を、2.5ml / 500mlでLB培地に継代し、O.D.600 = 0.8〜1.0になるまで振とう培養した。OXADac-PG融合タンパク質を発現させるためIPTG(0.5mM)を加え、さらに37℃で2時間振とう培養した。回収した菌体を10mlのPBSに懸濁し、超音波破砕を行った後濾過滅菌し、これを全タンパク質溶液とした。全タンパク質溶液の一部はIgG Sepharose 6 Fast Flow (GE Healthcare Bioscience) microspinを用いて精製を試み、SDS-PAGEによって発現および精製を確認した。残りはHiTrap streptavidin HPカラム(GE Healthcare Bioscience) をセットした液体クロマトグラフィー装置AKTApurifier (GE Healthcare Bioscience) に注入し、0.3ml/minの条件(running buffer: 20mM Na phosphate(pH6.7), 150mM NaCl)で運転することで、OXADac-PG融合タンパク質をカラムに固定化した。OXADacは分子内にビオチン化リジンを1つ有するため、カラム内のストレプトアビジンに選択的かつ非可逆的に結合する。なお、固定化量を最大化するため、HiTrap streptavidin HPカラムの結合許容量に対し、大過剰(10倍以上)のOXADac-PG融合タンパク質を注入した。
本実施例においては、改良型プロテインGをコードする遺伝子を含むプラスミドベクターを合成し、ついで大腸菌を用いて、表1に示すMet付加改良型プロテインG(M-PG01、M-PG07、M-PG19、M-PG20)を製造した。
(1)M-PG発現用プラスミドの合成
実施例4で作成したOXADac-PG発現用プラスミドを鋳型に、制限酵素認識配列を含むプライマーを加えPCRを行い(アニール45℃, 15秒 → 55℃, 5秒)、PG遺伝子領域を増幅した。使用したプライマーは、M-PG01およびM-PG07については、センスプライマー (ATAGCTCCATG GACACTTACAAATTAATCC(配列番号32))とアンチセンスプライマー(ATTGGATCC TTATTCAGTAACTGTAAAGGT(配列番号33))、M-PG19およびM-PG20についてはセンスプライマー(ATAGCTCCATG GATACCTACAAACTGATCC(配列番号34))とアンチセンスプライマー(ATTGGATCC TTATTCGGTAACGGTGAAGGT(配列番号35))を用いた。得られた増幅物は、アガロース電気泳動法(3%, 100V)で確認後、QIAquick PCR Purification kit (Qiagen) を用いて精製した。その後、制限酵素Nco IとBamH I (日本ジーン, 37℃, 一昼夜)で消化し脱リン酸化(宝酒造, CIAP, 50℃, 30分)させたプラスミドpET16b (Novagen) と、同じ制限酵素で消化したPG遺伝子(pg01、pg07、pg19、またはpg20)をライゲーション(東洋紡, Ligation High, 16℃, 1時間)し、得られたプラスミドベクターを用いて保存用大腸菌DH5α株(東洋紡, Competent high)を形質転換し、100μg/mLアンピシリンを含むLBプレート培地で選択した。正しい挿入配列をもつ形質転換体をcolony PCR、DNA sequencing (AB, BigDye Terminator v1.1) により選別し、Qiaprep Spin Miniprep kit (Qiagen) を用いてM-PG発現用プラスミドを抽出した。これを用い、さらに発現用大腸菌BL21(DE3) 株(Novagen)を形質転換した。
LB培地で前培養した大腸菌BL21(DE3) 形質転換体を、2.5ml / 500mlでLB培地に継代し、O.D.600 = 0.8〜1.0になるまで振とう培養した。最終濃度0.5mM でIPTGを加え、さらに37℃で2時間振とう培養した。回収した菌体を10mlのPBSに懸濁し、超音波破砕を行った。破砕液は濾過滅菌後、濾液をIgG Sepharose 6 Fast Flowカラム (GEヘルスケアバイオサイエンス)をセットした液体クロマトグラフィー装置AKTApurifier (GEヘルスケアバイオサイエンス)に注入し、アフィニティクロマトグラフィー法(running buffer: 50mM Tris-HCl(pH7.6), 150mM NaCl, 0.05% Tween20;elution buffer: 0.5M 酢酸)および/またはRESOURCE Sカラム (GEヘルスケアバイオサイエンス)をセットした液体クロマトグラフィー装置AKTApurifier (GEヘルスケアバイオサイエンス)に注入し、イオン交換クロマトグラフィー法(running buffer: 20mM クエン酸, pH3.5; elution buffer: 20mM クエン酸, 1M NaCl, pH3.5)によりM-PG組換えタンパク質を精製した。分画したフラクションはNaOHで中和後、遠心濃縮機(RABCONCO, CentriVap concentrator)で濃縮し、50mM リン酸緩衝液(pH6.8)で透析した。各溶液を凍結乾燥し、粉末状の組換えタンパク質(M-PG01、M-PG07、M-PG19、M-PG20)を-20℃で保存した。
本実施例においては、改良型プロテインGの純度をポリアクリルアミドゲル電気泳動法で確認した。
精製前後の改良型プロテインGをそれぞれ75μM程度の濃度の水溶液に調製したのち、Tricine-SDS-PAGE(16%T, 2.6%C, 100V, 100min)を行いCBB (G-250) 染色によりバンドを検出し純度を確認した。その結果、改良型プロテインGは、測定したすべての試料のメジャーバンドとして検出され、改良型プロテインG(OXADac-PG19、OXADac-PG20、M-PG01、M-PG07)の合成収率は高く(>10mg/L-培地)、また精製度も充分であることが確認された。
本実施例においては、改良型プロテインGの分子量をMALDI-TOF型質量分析計で計測することで、製造したタンパク質を同定した。
まず、単離精製した変異体タンパク質を15〜25μMの濃度の水溶液に調製した。次いで、質量分析用サンプルプレートにマトリックス溶液(50%(v/v)アセトニトリル-0.1%TFA水溶液にα-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸を飽和させた溶液)1μlを滴下し、これに各試料溶液を1μl滴下してサンプルプレート上で混合、乾燥させた。その後、質量分析装置Voyager(Applied Biosystems)にて、強度2500-3000のLaserを照射し質量スペクトルを得た。質量スペクトルにより検出されたピークの分子量と製造した変異体タンパク質のアミノ酸配列より算出された理論分子量を比較した結果、両者は測定誤差内で一致し、目的のタンパク質(OXADac-PG19)が製造されていることが確認された。
本実施例においては、OXADac-PG融合タンパク質を固定化したカラムを用いてpH勾配アフィニティクロマトグラフィーを行い、モノクローナル抗体の溶出するpHを調べることで、改良型プロテインGの弱酸性域での抗体解離性を評価した。
OXADac-PG融合タンパク質固定化カラムを液体クロマトグラフィー装置AKTApurifier (GE Healthcare Bioscience) にセットし、TST buffer(50mM Tris-HCl(pH7.6), 150mM NaCl, 0.05% Tween20)を1ml/minの条件で流し平衡化させた後、100μg/200μlに調製したIgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体を注入した。次いで、TST bufferを50mM Na3 citrate(pH7.0) に置換し、さらに0.5ml/minの流速で10minかけて連続的に0.5M acetate(pH2.5) へ置換することで、pH勾配(pH7.0→2.5/10min)を実現した。液体クロマトグラフィー装置に付属しているUVメータ(280nm)とpHメータの出力から、モノクローナル抗体が溶出するピークのpHを記録した。
その結果、測定したすべての改良型プロテインG(OXADac-PG13、OXADac-PG17、OXADac-PG19、OXADac-PG20)を固定化したカラムにおいて、野生型のアミノ酸配列を有するコントロールタンパク質(OXADac-PG01)を固定化したカラムに比べて、高いpHでヒト化モノクローナル抗体が溶出することが明らかになった(図7)。たとえば、このうち最も優れた改良型プロテインG (OXADac-PG20)は野生型に比べて1.1ポイントも高いpHで溶出する。(表2)
本実施例においては、OXADac-PG融合タンパク質を固定化したカラムを用いてステップワイズpHアフィニティクロマトグラフィーを行い、モノクローナル抗体の溶出を、いくつかのpHで調べることで、改良型プロテインGの弱酸性域での抗体解離性を評価した。
OXADac-PG融合タンパク質固定化カラムを液体クロマトグラフィー装置 AKTA prime plus (GE Healthcare Bioscience)にセットし、リン酸バッファ(50μm Na2HPO4/NaH2PO4 (pH7.0))を0.4ml/minの条件で流し平衡化させた後、100μLの1mg/mlのサンプル(ChromPure Human IgG, Fc Fragment)を添加した。12mlのリン酸バッファで洗浄、10mlの溶出バッファ(100mM CH3COOH/CH3COONa, pH 4)で溶出を行った。その後、pH2.5、500mMのCH3COOHでカラムを洗浄し、最後に12mlのリン酸バッファでカラムを再平衡した。液体クロマトグラフィー装置に付属しているUVメータ(280nm)の出力から、ヒトポリクローナルFc領域のステップワイズpHの溶出するパターンを得られた。
その結果、測定した改良型プロテインG(OXADac-PG19、OXADac-PG20)を固定化したカラムにおいて、野生型のアミノ酸配列を有するコントロールタンパク質(OXADac-PG1)を固定化したカラムにくらべ、高いpHでヒトポリクローナル抗体Fc領域が溶出することが明らかになった(図8)。pH 4領域でのPG1、PG19、PG20の溶出率は各々10%、88%、71%で、改良型プロテインG(OXADac-PG19、OXADac-PG20)が野生型に比べて7倍以上高くなったことが確認された(表2)。
本実施例においては、変異体タンパク質(プロテインG変異体)の結合解離性を表面プラズモン共鳴(SPR)法により評価した。SPR法は、生体高分子間の特異的相互作用を経時的に測定し、反応を速度論的観点から定量的に解釈できる優れた方法であることが認識されている。
まず、センサーチップSA (Biacore)の測定セルに、ビオチンを介してOXADac-PG融合タンパク質を固定化した。次いで、ヒト免疫グロブリンIgGを、ランニング緩衝液であるHBS-P (10mM HEPES pH7.4, 150mM NaCl, 0.05% v/v Surfactant P20)に溶解し、1μMの試料溶液を調製した。SPRの測定は、Biacore T100 (Biacore)を用い、反応温度25℃で行った。試料溶液の添加後、解離溶液(10mM 酢酸ナトリウム pH4.0)によるIgGの解離挙動を測定した。観測結果の解析にはBIAevaluation version 4.1を用いた。解離前後のRU変化をIgGの結合RU値で除することでIgGの残存量比を算出し、また、その解離曲線を1:1のラングミュアモデルにフィッティングさせることで解離速度定数koffを決定した。
実験に用いた解離条件下の下、野生型のアミノ酸配列を有するOXADac-PG01は有意な解離を示さなかったのに対し、変異体タンパク質(OXADac-PG13, OXADac-PG14, OXADac-PG19, OXADac-PG20)は顕著な解離挙動を示した (表2)。たとえば、OXADac-PG19は本条件下において吸着IgGの60%以上を解離しており、その解離速度定数は野生型のそれに比較して3オーダー以上の上昇を示した。
本実施例では、中性領域、およびヒスチジン残基の95%以上がプロトン化する弱酸性領域において、変異体タンパク質の抗体結合性を表面プラズモン共鳴(SPR)法により評価した。
まず、センサーチップの測定セルにヒト免疫グロブリンのFc領域をアミンカップリング法により固定化した。測定のコントロールとして、カルボキシメチル基をエタノールアミンでブロッキングした対照セルを用いた。センサーチップとして、中性領域の測定にはCM5 (Biacore)、弱酸性領域下での測定にはCM4 (Biacore) を用いた。次いで、単離精製した変異体タンパク質を、中性領域のランニング緩衝液であるHBS-P (10mM HEPES pH7.4, 150mM NaCl, 0.05% v/v Surfactant P20)、または弱酸性領域のランニング緩衝液 (10mM 酢酸ナトリウム pH4.5, 150mM NaCl, 0.05% v/v Surfactant P20)に溶解し、それぞれ500, 400, 300, 200, 100 nM、および1000, 800, 600, 400, 200 nMの5種の濃度の試料溶液を調製した。SPRの測定は、Biacore T100 (Biacore)を用い、反応温度25℃で行った。収集したデータは、Biacore T100 Evaluation Softwareを用いて解析し、1:1のラングミュアモデルにフィッティングさせ、解離平衡定数KDを算出した(図9)。
その結果、変異体タンパク質M-PG19は野生型のアミノ酸配列を有するコントロールタンパク質M-PG01に比較し、中性領域では11倍以上の親和性を示した一方、酸性領域での親和性は0.6倍程度にまで減少していることが明らかとなった(表3、図10)。また、各々のタンパク質において、pH4.0のKDとpH7.0のKDの比を計算すると、変異体タンパク質M-PG19は際立ってのその値が大きい(図11)。これは、pHのシフトによって溶出される抗体の量が大きいことを意味し、即ち、変異体タンパク質M-PG19を用いることでアフィニティクロマトグラフィーにおける抗体の回収率を大きく向上させることが可能であることを示す。
本実施例においては、変異体タンパク質の熱安定性を評価した。円偏光二色性(CD)スペクトルは、タンパク質の二次構造の変化を鋭敏に反映する分光学的分析方法であることが知られている。CDスペクトルの強度に相当するモル楕円率を試料の温度を変化させながら観測することで、どの程度の温度で各々の改良型プロテインGが変性するのかを明らかにすることができる。単離精製した変異体タンパク質をそれぞれ15〜25μMの濃度で含む水溶液(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)に調製した。この試料溶液を円筒型セル(セル長0.1cm)に注入し、J805型円偏光二色性分光光度計(日本分光)を用いて、20℃の温度で測定波長を260nmから195nmに移動させCDスペクトルを得た。同じ試料を98℃に加熱、さらに98℃から20℃に冷却し260nmから195nmの円二色性スペクトルを得た。加熱後再冷却したスペクトルのモル楕円率は60%以上回復し、改良型プロテインGの立体構造が熱変性に対し、ある程度可逆であることが確認された。
本実施例においては、変異体タンパク質の単結晶を作成し、立体構造をX線回折解析により決定した。
まず、単離精製した変異体タンパク質M-PG19を、以下に示すハンギングドロップ法を用いて結晶化した。空間群P43212に属する結晶を得るには、このタンパク質試料を10mMトリス塩酸緩衝液pH7.4に5〜10mg/mlの濃度になるように溶解したタンパク試料溶液1μlと、等量の結晶化剤溶液(70% MPD、20mM HEPES緩衝液pH7.4)とをピペットマンを用いてカバーガラス(Hampton社製)上で滴下・混合して結晶化溶液とした。上述の結晶化剤溶液をHampton社製24穴プレートに注入し、結晶化溶液を滴下したカバーガラスで蓋をして高真空グリースを用いて密封した。このプレートを20℃に保たれたインキュベーター中で保管した。およそ1〜2週間後に良質の単結晶が結晶化溶液中に得られた。
続いて、得られた単結晶を微量の母液とともに結晶解析用ループですくい、液体窒素ガスを用いて急速凍結させ、X線回折実験に供した。回折測定は、高エネルギー加速器研究機構の放射光科学研究施設のビームラインBL−6Aにて定法に従い行い、分解能1.6Åまでの回折データを収集した。得られた回折像は、プログラムHKL-2000(HKL Research社)を用いて回折点の指数付けおよび積分強度の測定・数値化をおこない68935個の強度データを得た。この段階で、使用した単結晶の結晶パラメータが決定された。すなわち、結晶の空間群は正方晶系P43212、格子定数はa=b=23.26 Å、およびc=178.7Åであった。さらにHKL-2000を用いてマージとスケーリングを行い、8862個のユニークな強度データを得た。これらのRsym値は6.8%であった。
構造決定は、野生型プロテインG B1ドメインの立体構造座標データとプログラムMolrep(Vagin, A., and Teplyakov, A. (1997) Journal of Applied Crystallography 30, 1022-1025)を用いた分子置換法によって行い、引き続きプログラムCNS(Brunger, A. et al.(1998) Acta. Crystallogr. D Biol. Crystallogr. 54, 905-921)、REFMAC5(Murshudov, G. N., et al. (1997) Acta. Crystallogr. D Biol. Crystallogr. 53, 240-255)、Coot(Emsley, P., and Cowtan, K. (2004) Acta. Crystallogr. D Biol. Crystallogr. 60, 2126-2132)を用いて構造精密化をおこなった。その結果、当業者においてパラメータ精度の指標とされているR値は、全強度データに対し23%となった。
このようにして得られた変異体タンパク質M-PG19の3次元構造は野生型プロテインG B1ドメインと極めて相似であった。即ち、決定したM-PG19の主鎖の座標と、Protein Data Bankに登録されている野生型の主鎖の座標(PDBコード:1PGA)を比較すると、その二乗平均平方根残差(RMSD)は0.71Åである。これより、本発明で変異体タンパク質に施したアミノ酸置換が、野生型プロテインG B1ドメインの立体構造をほとんど変化させないことが証明された(図12)。
1.本発明のプロテインGの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体の製造及び該タンパク質を用いるカラムの作成
(1)組換えPG発現プラスミドの作成
カルボキシル末端側にシステイン残基、Hisタグを付加した三量体野生型PG(CGB01H-3D, 図13上、配列番号36) または本発明のタンパク質である変異型PGのタンデム型三量体(CGB19H-3D, 図13下、配列番号37) 遺伝子をコードする2種の人工合成プラスミド(それぞれSYN2608-2-18、SYN2608-1-4, タカラバイオ) から、制限酵素NcoI、BamHIを用いてそれぞれの遺伝子断片を切り出した。目的断片をアガロース電気泳動で分離しQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen) を用いて精製を行った後、同様に制限酵素処理およびウシ小腸由来アルカリ脱リン酸化酵素(CIP, 宝酒造) を用いて脱リン酸化を行った発現用プラスミドpET16b (Invitrogen) とライゲーションを行った。反応液によって保存用大腸菌DH5α株(Competent high、東洋紡) を形質転換した。得られた形質転換体をコロニーPCR法、DNA配列決定法(BigDye Terminator v1.1, GE Healthcare Bioscience) により選別し、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen) を用いて組換えPG発現プラスミドを抽出した。
組換えPG発現プラスミドによって発現用大腸菌BL21(DE3)株 (Novagen) を形質転換した。前培養した形質転換体を、2.5ml / 500mlでLB培地に継代し、O.D.600 = 0.8〜1.0になるまで振とう培養した。目的タンパク質を発現させるため0.5mM IPTGを加え、さらに37℃で2時間振とう培養した。回収した菌体を10mlのPBSに懸濁し、超音波破砕を行った後濾過滅菌し、これを全タンパク質溶液とした。Ni Sepharose(GE Healthcare Bioscience) 2mlカラムに組換えPGを吸着させ、20mMイミダゾールにて洗浄後、500mMイミダゾールにて溶出し、精製タンパク質とした。
精製した組換えPG2.5mgを50mMリン酸バッファー(pH8.0)に溶解し、同じく平衡化したEpoxy-activated Sepharose 6B(GE Healthcare ) 0.3gと混合し37度で一昼夜反応させ、レジンに結合させた。反応後の未固定上清サンプル量はCGB01H-3Dで1.28mg、CGB19H-3Dで0.97mgであり、そこから固定化率はそれぞれ49%、61%と推測された。50mMリン酸バッファで洗浄後、1Mエタノールアミン(pH7.5)を加え37度で6時間反応させ未反応官能基をマスクした。洗浄液1(0.1M酢酸、0.1M塩化ナトリウム) ついで洗浄液2(0.1Mトリス塩酸、0.5M塩化ナトリウム、pH8.0) で洗浄した。固定化レジン1mlをTricon 5/20 Columnにパッキングした。
精製したCGB19H-3D2.5mgをサンプル調製緩衝液(0.1M リン酸ナトリウム、5mM EDTA、pH6.0) に溶解し、付属のメルカプトエタノールバイアルに加え、37度で1時間半反応させた。付属の脱塩カラムに反応液を加えメルカプトエタノールを除いた後、カップリング緩衝液(50mMトリス塩酸、5mM EDTA、pH8.5) を用いて調製し、SulfoLink Resinに加えた。室温で15分反応させレジンに結合させた。反応後の未固定サンプル量は0.18mgであり、そこから固定化率は75%と推測された。1M塩化ナトリウムで洗浄後、50mM L-cystein塩酸を加え室温で1時間反応させ未反応官能基をマスクした。PBSで洗浄を行った後、固定化レジン1mlをTricon 5/20 Columnにパッキングした。
組換えPG固定化カラムを液体クロマトグラフィー装置AKTApurifier (GE Healthcare Bioscience) にセットし、TST緩衝液(50mM トリス塩酸、150mM 塩化ナトリウム、0.05% Tween20、pH7.6)を0.3ml/min (1.-(4)は0.5ml/min) の条件で流し平衡化させた後、100μg/200μlに調製したIgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体または50μg/μlに調製したヒトIgG3 を注入した。TST緩衝液を50mM クエン酸ナトリウム(pH7.0) に置換し、0.3ml/min (1.-(4)は0.5ml/min) の流速で10minかけて連続的に0.5M 酢酸(pH2.5) へ置換しIgG1またはIgG3が溶出するpH条件を調べた。CGB01H-3D固定化カラムにおいてIgG1はpH3.9 - 2.9の間で溶出されpH3.3付近でピークを形成し(図14上)、IgG3はpH5.1 - 3.8の間で溶出されpH3.4付近でピークを形成した(図14下)。一方CGB19H-3D固定化カラムにおいて、Epoxy-activatedカラムではIgG1はpH5.4 - 3.8の間で溶出されpH4.3付近でピークを形成し(図15上)、IgG3はpH6.2 - 4.1の間で溶出され、pH4.9付近でピークを形成した(図15下)。SulfoLinkカラム(CGB19H-3Dのみ)ではIgG1はpH5.9 - 3.7の間で溶出されpH4.3付近でピークを形成し(図16上)、IgG3はpH6.2 - 4.2の間で溶出され、pH5.2付近でピークを形成した(図16下)。以上より、いずれの場合においても、CGB19H-3D固定化カラムは、CGB01H-3D固定化カラムに比べてマイルドな酸性条件で溶出可能なこと、IgG1抗体でもIgG3抗体でもCGB19H-3D固定化カラムで精製可能なことが明らかになった。
組換えPG固定化カラムを液体クロマトグラフィー装置AKTApurifier (GE Healthcare Bioscience) にセットし、リン酸緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7.0) を0.3ml/min (1.-(4)は0.5ml/min) の条件で流し平衡化させた後、100μg/200μlに調製したIgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体または50μg/μlに調製したヒトIgG3 を注入した。0.3ml/min (1.-(4)は0.5ml/min) の流速で20mM クエン酸ナトリウム(pH4.0またはpH3.75) に置換後、さらに20mMクエン酸(pH2.4) に置換しIgG1またはIgG3が溶出するpH条件を調べた。CGB01H-3D固定化カラムではIgG1(図17上)、IgG3(図17下)ともにpH7.0- pH4.0の変化時には溶出せず、pH4.0 - 2.4への変化時に溶出した。一方CGB19H-3D固定化カラムではIgG1(図18上)、IgG3(図18下)ともにpH7.0 - pH4.0の変化時に溶出し、pH4.0 - 2.4への変化時には溶出しなかった。さらに、より厳しい酸条件であるpH3.75においても同様となり、CGB01H-3D固定化カラムではpH7.0 - pH3.75の変化時には溶出せず、pH3.75 - 2.4への変化時に溶出し(図19上)、CGB19H-3D固定化カラムではpH7.0 - pH3.75の変化時に溶出し、pH3.75 - 2.4への変化時には溶出しなかった(図19下)(ともにIgG1のみ)。SulfoLinkカラム(CGB19H-3Dのみ)でもIgG1(図20上)、IgG3(図20下)ともにも同様の結果になった。以上より、いずれの場合においても、CGB19H-3D固定化カラムは、CGB01H-3D固定化カラムに比べてマイルドな酸性条件で溶出可能なこと、IgG1抗体でもIgG3抗体でもCGB19H-3D固定化カラムで精製可能なことが明らかになった。
本実施例では、本発明のプロテインGの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体と同単量体とを比較した。
プロテインGの細胞膜外ドメイン変異体の単ドメイン型および3ドメイン型分子 (それぞれをM-PG19、CGB19H-3D とする) の中性域の抗体結合解離性を表面プラズモン共鳴 (SPR) 法により評価した。SPR法は、生体高分子間の特異的相互作用を経時的に測定し、反応を速度論的観点から定量的に解釈できる優れた方法であることが認識されている。
まず、センサーチップCM-5 (GE Healthcare)の測定セルに、IgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体をアミンカップリング法により固定化した。固定化量は5000RUとした。次いで、M-PG19およびCGB19H-3Dを、ランニング緩衝液 (10 mM HEPES pH7.4, 150 mM NaCl, 1 mM Cystein, 0.05% v/v SurfactantP20) に溶解し、それぞれ25, 50, 100, 200 nM (M-PG19) および6.25, 12.5, 25, 50 nM (CGB19H-3D) の試料溶液を調製した。SPRの測定は、Biacore T100 (GE Healthcare)を用い、反応温度25℃で行った。観測結果の速度論解析にはBIAevaluation version 4.1を用いた。解離曲線を1:1のラングミュアモデルにフィッティングさせることで平衡解離定数KDを決定した。単ドメイン型のM-PG19は19 nMのKDでIgG1に結合した(図21上)。一方、3ドメイン型のCGB19H-3Dは0.10 nMのKDでIgG1に結合した (図21下)。以上の結果は、プロテインG変異体を多ドメイン化することにより、190倍の親和性向上が実現できることを示している。また、この親和性向上は、結合速度よりも主に解離速度の減少に起因していることも明らかになった。解離速度常数のみで比較すると、両者の差は約370倍ある。この原因は、多ドメイン化に伴うアビディティー効果(多価効果)によるものと考えられる。
実施例14と同様に、組換えPG発現プラスミドを作成し、組換えPGの発現と精製を行った。その後、以下に記載する各種の固定化方法を用いて、本発明の捕捉剤及びカラムを作製した。
CNBr-activated Sepharose4FastFlow(GE Healthcare) 0.375gを秤量し、1mM塩酸で膨潤させ、ガラスフィルター上で洗浄した。次いでカップリング緩衝液(0.1M炭酸水素ナトリウム 0.5M塩化ナトリウム、pH 8.0)で洗浄した。フラスコに担体を移し、カップリング緩衝液1.5mLと組換えPGが17.4mg/mlの組換えPG含有溶液を432μl加え、4℃、130rpmで21時間振とうして担体に固定化した。ガラスフィルターでろ別し、カップリング緩衝液で洗浄した。反応後のろ液をBradFord法で測定した結果、組換えPGが担体1mLあたり4.9mg固定化されていることがわかった。次いでフラスコに担体を移し、1M-エタノールアミン水溶液(pH8.0)3mlを加え25℃,130rpmで2時間振とうして未反応活性基をマスクした。ガラスフィルターでろ別し、洗浄液1(0.1Mトリス塩酸、0.5M塩化ナトリウム、pH8.0) 、ついで洗浄液2(0.1Mトリス塩酸、0.5M塩化ナトリウム、pH8.0) 15mlで交互に3サイクル洗浄した。固定化担体1mlを超純水で洗浄し、Tricon 5/20 Columnにパッキングした。
Sepharose4FastFlow(GE Healthcare)をガラスフィルターでろ別し、超純水で洗浄して担体10mlを得た。フラスコに担体を移液し、4.6M水酸化ナトリウム水溶液3mlとブタンジオールジグリシジルエーテル 4gを加え36℃で2時間振とうして反応させた。ガラスフィルターでろ別して、超純水で洗浄して活性化担体を得た。活性化担体1mLをガラスフィルターに採取してカップリング緩衝液(0.1M炭酸ナトリウム、1mM EDTA、pH 9.0)で洗浄した。活性化担体をフラスコに移し、組換えPGが20mg/mlの組換えPG含有溶液を500μl、カップリング緩衝液1mLを加え、37℃、130rpmで14時間振とうして固定化した。ガラスフィルターでろ別し、カップリング緩衝液で洗浄した。反応後のろ液をBradFord法で測定した結果、組換えPGが担体1mLあたり4.0mg固定化されていることがわかった。次いでフラスコに担体を移し、1Mエタノールアミン、0.1M炭酸ナトリウム、1mM EDTA溶液3mlを加え25℃,130rpmで3時間振とうして未反応活性基をマスクした。ガラスフィルターでろ別し、洗浄液1(0.1Mトリス塩酸、0.5M塩化ナトリウム、pH8.0) 、洗浄液2(0.1M酢酸、0.5M塩化ナトリウム、pH4.0)を15mlで交互に3サイクル洗浄した。固定化担体1mlを超純水で洗浄し、Tricon 5/20 Columnにパッキングした。
Sepharose4FastFlow(GE Healthcare)をガラスフィルターでろ別し、アセトニトリルで洗浄して担体6.5mlを得た。フラスコに担体を移液し、アセトニトリル5mlとN,N’-disuccinimidyl carbonate 0.11gを含むアセトニトリル溶液20mlを加え4℃、100rpmで振とうした。次いでN,N-ジメチルアミノピリジン 0.08gを含むアセトニトリル溶液2mlを加え19時間振とうして反応させた。ガラスフィルターでろ別して、アセトニトリル50ml、5%酢酸を含むジオキサン50ml、メタノール50ml、2-プロパノールの順に洗浄して活性化担体を得た。活性化担体1mLをガラスフィルターに採取してカップリング緩衝液(0.1Mリン酸カリウム、pH 7.6)で洗浄した。活性化担体をフラスコに移し、組換えPGが17.4mg/mlの組換えPG含有溶液を575μl、カップリング緩衝液1mLを加え、4℃、130rpmで23時間振とうして固定化した。ガラスフィルターでろ別し、カップリング緩衝液で洗浄した。反応後のろ液をBradFord法で測定した結果、組換えPGが担体1mLあたり8.2mg固定化されていることがわかった。次いでフラスコに担体を移し、1Mエタノールアミン3mlを加え4℃,130rpmで5時間振とうして未反応活性基をマスクした。ガラスフィルターでろ別し、カップリング緩衝液で洗浄した。固定化担体1mlを超純水で洗浄し、Tricon 5/20 Columnにパッキングした。
1.組換えPG固定化充填剤の静的抗体吸着容量(SBC:Static Binding Capacity)
次に、実施例14及び16で作製した組換えPG固定化充填剤の抗体吸着容量を以下のとおり測定した。即ち、組み換えPG固定化担体の25%PBS懸濁液を調製した溶液400μLを円錐プラスチック容器に採取した。次いで1mg/mlの濃度に調製したヒト血清由来γ-globulin(和光純薬)PBS溶液14mlを加え、25℃、3時間ロータリーミキサーで攪拌した。上澄みのγ-globulin濃度を280nmの吸光度を測定し、物質収支を用いてSBCを測定した。
各固定化充填剤のSBCを表4に示した。本発明の各組換えPG固定化カラムは、主に-SH基を介して水不溶性の固相支持体に固定化されている捕捉剤に比べてよ非常に優れた静的抗体吸着容量を有していることが確認された。
次に、Protein G Sepharose 4 Fast Flowカラム(GE Healthcare)、又は、実施例16で作製した本発明の組換えPG固定化カラム(N,N’-disuccinimidyl carbonateを用いて作製したDSC-activated CGB19H-3D固定化カラム)を吸着緩衝液(20mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、150mM NaCl)を0.2ml/minの条件で流し平衡化させた後、1mg/mlに調製したヒトγグロブリン(ヒト血清由来γ-globulin(和光純薬))を注入した。吸着緩衝液で洗浄後、1ml/minの流速で130minかけて連続的に20mM クエン酸(pH2.4) へ置換しIgGが溶出するpH条件を調べた。Protein G Sepharose 4 Fast FlowにおいてIgGはpH3.6 - 2.9の間で溶出されpH3.2付近でピークを形成し、組換えPG固定化カラムではIgGはpH4.0 - 3.3の間で溶出されpH3.6付近でピークを形成した(図22)。以上より、本発明の組換えPG固定化カラムは、Protein G Sepharose 4 Fast Flowカラムに比べてマイルドな酸性条件で溶出可能なことが明らかになった。
したがって、本発明が提供する、免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を主にアミノ基を介して水不溶性の固相支持体に固定化して成る捕捉剤、及び、該捕捉剤を充填して成るタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラムは、抗体を扱う広範な技術分野において、その技術発展に大いに資するものである。
Claims (20)
- 免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を主にアミノ基を介して水不溶性の固相支持体に固定化して成る、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質の捕捉剤。
- 免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を水不溶性の固相支持体に固定化して成る、抗体、免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質の捕捉剤であって、静的抗体吸着容量(SBC)が40(mg-ヒトIgG/ml-gel)以上である、請求項1記載の捕捉剤。
- 静的抗体吸着容量(SBC)が44(mg-ヒトIgG/ml-gel)以上である、請求項2記載の捕捉剤。
- タンデム型多量体がタンデム型三量体である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の補足剤。
- 多量体を構成する細胞膜外ドメイン変異体が互いに同一である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の捕捉剤。
- 各細胞膜外ドメイン変異体がリンカー配列によって連結されている、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の捕捉剤。
- 免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有する細胞膜外ドメインが、ストレプトコッカス属連鎖球菌のプロテインGのB1、B2、又はB3のいずれかである、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の捕捉剤。
- タンパク質が、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインのタンデム型多量体から成るタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の捕捉剤。
- 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(a)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(a)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質:
(a)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGluを、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36がAsp又はGlu、X37がAsnまたはLeu、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(b)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(b)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質:
(b)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGluを、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又はLys、X36が Asp又はGlu、X37がAsn又はHis、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。) - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(c)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(c)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した変異体タンパク質:
(c)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaX35X36X37GlyValX40GlyValTrpThrTyrAspX47X48ThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X35はAsn又はLysを、X36はAsp又はGluを、X37はAsn、His、又はLeuを、X47はAsp又はProを、X48はAla、Lys又はGlu、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX35がAsn又は Lys、X36がAsp又はGlu、X37がAsn又はHis、X47がAsp又はPro、X48がAla、Lys又はGlu、X22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(d)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(d)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B1メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(d)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(e)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(e)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B2メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(e)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X42がGlu、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(f)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(f)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B3メインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(f)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysX11LeuLysGlyGluThrX17ThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyValTrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X11はThr又はArgを、X17はThr又はIleをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAsp、X11がThrであって、かつX17がThrになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質の変異体タンパク質であって、以下の(g)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(g)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・B1ドメインタンパク質に比べ、Fc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(g)AspThrTyrLysLeuIleLeuAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAspであって、かつX42がGluになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質の各変異体タンパク質であって、以下の(h)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(h)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B2ドメインタンパク質に比べ、Fc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(h)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrGluAlaValX22AlaAlaX25AlaGluLysValPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyX42TrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisを、X42はGlu又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGln、X40がAspであって、かつX42がGluになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が以下の変異体タンパク質である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤:
野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質の各変異体タンパク質であって、以下の(i)で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは(i)で示されるアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ野生型プロテインG・B3ドメインタンパク質に比べ、Fc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質:
(i)ThrThrTyrLysLeuValIleAsnGlyLysThrLeuLysGlyGluThrThrThrLysAlaValX22AlaGluX25AlaGluLysAlaPheLysX32TyrAlaAsnAspAsnGlyValX40GlyValTrpThrTyrAspAspAlaThrLysThrPheThrValThrGlu
(上記アミノ酸配列中、X22はAsp又はHisを、X25はThr又はHisを、X32はGln又はHisを、X40はAsp又はHisをそれぞれ表す。ただし、同時にX22がAsp、X25がThr、X32がGlnであって、かつX40がAspになる場合を除く。)。 - 多量体を構成する少なくとも一つの細胞膜外ドメイン変異体が配列番号13〜20のいずれかで示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは該アミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなる、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤。
- 三量体を構成する3つの細胞膜外ドメイン変異体が配列番号19で示されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなる、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の捕捉剤。
- 請求項1ないし19のいずれか一項に記載の捕捉剤を充填して成るタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラム。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012172452 | 2012-08-03 | ||
JP2012172452 | 2012-08-03 | ||
PCT/JP2013/070423 WO2014021240A1 (ja) | 2012-08-03 | 2013-07-29 | プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を含む捕捉剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2014021240A1 true JPWO2014021240A1 (ja) | 2016-07-21 |
Family
ID=50027915
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014528130A Pending JPWO2014021240A1 (ja) | 2012-08-03 | 2013-07-29 | プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を含む捕捉剤 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20150183820A1 (ja) |
EP (1) | EP2881403A4 (ja) |
JP (1) | JPWO2014021240A1 (ja) |
CN (1) | CN104540853A (ja) |
WO (1) | WO2014021240A1 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103025884B (zh) | 2010-07-26 | 2015-11-25 | 特里安尼公司 | 转基因动物和使用方法 |
US10662256B2 (en) | 2010-07-26 | 2020-05-26 | Trianni, Inc. | Transgenic mammals and methods of use thereof |
US10793829B2 (en) | 2010-07-26 | 2020-10-06 | Trianni, Inc. | Transgenic mammals and methods of use thereof |
JP6602533B2 (ja) * | 2014-09-02 | 2019-11-06 | Jsr株式会社 | 担体の製造方法、担体、クロマトグラフィーカラム、及び目的物質の精製方法 |
JP6715234B2 (ja) * | 2015-02-26 | 2020-07-01 | 株式会社カネカ | 改変型Fab領域結合性ペプチド |
WO2017095939A1 (en) | 2015-12-03 | 2017-06-08 | Trianni, Inc. | Enhanced immunoglobulin diversity |
KR20180104149A (ko) | 2016-02-04 | 2018-09-19 | 트리아니, 인코포레이티드 | 면역글로불린의 증대된 생성 |
EP3604341A4 (en) * | 2017-03-31 | 2020-12-09 | Kaneka Corporation | AFFINITY DISSOCIATION MATRIX FOR IMMUNOLOGICAL PURIFICATION PURPOSES |
CN111057153B (zh) * | 2019-12-06 | 2021-09-07 | 广州康盛生物科技股份有限公司 | 一种免疫球蛋白结合蛋白及其制备方法和应用 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009118749A (ja) * | 2007-11-12 | 2009-06-04 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 安定な抗体結合性タンパク質 |
JP2009297018A (ja) * | 2008-05-16 | 2009-12-24 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 弱酸性域での解離特性を改良した抗体結合性タンパク質及び抗体捕捉剤 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5082773A (en) | 1986-02-14 | 1992-01-21 | Pharmacia Lkb Biotechnology Ab | Cloned streptococcal genes encoding protein G and their use to construct recombinant microorganisms to produce protein G |
US4977247A (en) | 1986-02-14 | 1990-12-11 | Genex Corporation | Immobilized protein G variants and the use thereof |
SE459662B (sv) | 1986-03-21 | 1989-07-24 | Pharmacia Ab | Hybrid-dna-molekyl som kodar foer ett protein med samma igg specificitet som protein g, plasmid innehaallande densamma samt foerfarande foer framstaellning av proteinet |
JP4685294B2 (ja) | 2001-09-18 | 2011-05-18 | 株式会社カネカ | 新規ペプチド、生産方法、新規吸着体、吸着器および吸着方法 |
US7981694B2 (en) * | 2003-01-28 | 2011-07-19 | The Regents Of The University Of California | Solid phase isolation of proteins, nucleic acids and other macromolecules |
JP5382675B2 (ja) | 2007-10-19 | 2014-01-08 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 安定な変異型タンパク質の製造方法 |
CN103748221A (zh) * | 2011-08-04 | 2014-04-23 | 独立行政法人产业技术综合研究所 | 由蛋白g细胞膜外结构域突变体的串联型多聚体组成的新型改性蛋白 |
-
2013
- 2013-07-29 EP EP13826178.9A patent/EP2881403A4/en not_active Withdrawn
- 2013-07-29 US US14/416,579 patent/US20150183820A1/en not_active Abandoned
- 2013-07-29 JP JP2014528130A patent/JPWO2014021240A1/ja active Pending
- 2013-07-29 CN CN201380041180.1A patent/CN104540853A/zh active Pending
- 2013-07-29 WO PCT/JP2013/070423 patent/WO2014021240A1/ja active Application Filing
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009118749A (ja) * | 2007-11-12 | 2009-06-04 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 安定な抗体結合性タンパク質 |
JP2009297018A (ja) * | 2008-05-16 | 2009-12-24 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 弱酸性域での解離特性を改良した抗体結合性タンパク質及び抗体捕捉剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2014021240A1 (ja) | 2014-02-06 |
CN104540853A (zh) | 2015-04-22 |
EP2881403A1 (en) | 2015-06-10 |
EP2881403A4 (en) | 2016-05-18 |
US20150183820A1 (en) | 2015-07-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5229888B2 (ja) | 弱酸性域での易解離性を向上したプロテインa変異型タンパク質及び抗体捕捉剤 | |
WO2014021240A1 (ja) | プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成るタンパク質を含む捕捉剤 | |
JP5812303B2 (ja) | 酸性域での親和性が低下したプロテインa変異型タンパク質及び抗体捕捉剤 | |
JP7181612B2 (ja) | アルカリ安定性免疫グロブリン結合タンパク質 | |
WO2013018880A1 (ja) | プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体から成る新規な改変型タンパク質 | |
JP5858394B2 (ja) | 弱酸性域での解離特性を改良した抗体結合性タンパク質及び抗体捕捉剤 | |
AU2016293063B2 (en) | Novel immunoglobulin-binding proteins and their use in affinity purification | |
WO2015050153A1 (ja) | 免疫グロブリンG(IgG)のFc部分を有するタンパク質に対するアフィニティを有する複数のドメイン間をリンカーで結合させて成るタンパク質 | |
WO2020040307A1 (ja) | イムノグロブリン結合タンパク質、及びそれを用いたアフィニティー担体 | |
JP2009195184A (ja) | IgG−Fab断片抗体結合性ペプチド | |
BR112021013026A2 (pt) | Proteínas de ligação à imunoglobulina, matriz de separação por afinidade, uso da proteína de ligação à imunoglobulina, e método de purificação por afinidade de uma proteína compreendendo uma sequência de imunoglobulina | |
JP2015019615A (ja) | プロテインgの細胞膜外ドメイン変異体の新規な改変型タンパク質 | |
JP2015003872A (ja) | マウスIgGの精製方法 | |
WO2015093507A1 (ja) | プロテインgの細胞膜外ドメインの新規な改変型タンパク質 | |
WO2019203248A1 (ja) | イムノグロブリン結合性ポリペプチド、及びそれを用いたアフィニティー担体 | |
CA3184992A1 (en) | Immunoglobulin binding proteins for affinity purification | |
CN117700501A (zh) | 免疫球蛋白结合蛋白及其应用 | |
JP2008237163A (ja) | タンパク等の分離・検出方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160329 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160705 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160705 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170117 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20170711 |