JP6602533B2 - 担体の製造方法、担体、クロマトグラフィーカラム、及び目的物質の精製方法 - Google Patents

担体の製造方法、担体、クロマトグラフィーカラム、及び目的物質の精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、担体の製造方法、担体、クロマトグラフィーカラム、及び目的物質の精製方法に関する。より詳細には、クロマトグラフィー精製用担体の製造方法、クロマトグラフィー精製用担体、クロマトグラフィーカラム、及び目的物質の精製方法に関する。
近年、抗体医薬等に代表されるバイオ医薬品の分野では、タンパク質等の目的物質の発現技術が著しく進展し、それに伴いクロマトグラフィー等による精製工程での生産性の向上が求められている。生産性を向上させる方法として、宿主細胞由来タンパク質、デオキシリボ核酸のような、医薬品原料に混在する不純物の濃度を1回の精製で可能な限り低減させ、精製回数や工程を少なくすることが挙げられる。これを実現できるクロマトグラフィー精製用担体の需要が高まっている。
そして、精製工程における不純物除去効率を向上させるためには、不純物と固相担体との疎水性相互作用による非特異吸着を抑制し、固相担体に対する不純物の付着を抑える必要がある。斯様な付着を抑える有効な方法として、固相担体の親水化が知られている(特許文献1)。
また、化学合成によって動的結合容量が高いアフィニティー精製用担体を得ることを目的として、懸濁重合により合成したエポキシ基含有ビニル単量体等の共重合体からなる固相担体にリガンドを結合した後、チオグリセロールで処理し、リガンドが結合していない残余のエポキシ基を開環させることが提案されている(特許文献2)。
国際公開第2005/010529号 国際公開第2011/125674号
本発明が解決しようとする課題は、充分な動的結合容量を備えるのみならず、優れた防汚性を有する担体を製造する方法を提供することにある。
そこで、本発明者は、スルフィド基を有し且つリガンドが固定された固相担体を酸化して、スルフィド基の少なくとも一部をスルフィニル基とする酸化工程を含む製造方法により、充分な動的結合容量を備えるのみならず、優れた防汚性を有する担体を、簡便に製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、<1>スルフィド基を有し且つリガンドが固定された固相担体を酸化して、前記スルフィド基の少なくとも一部をスルフィニル基とする酸化工程を含むことを特徴とする、担体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、<2>上記<1>の製造方法で得られる、担体を提供するものである。
更に、本発明は、<3>リガンドが固定されたクロマトグラフィー精製用担体であって、担体表面の表面分析をしたときのスルフィニル基の割合が、スルフィド基とスルフィニル基との総和を100%として、60%以上であることを特徴とする、クロマトグラフィー精製用担体を提供するものである。
更に、本発明は、<4>上記<2>又は<3>の担体がカラム容器に充填された、クロマトグラフィーカラムを提供するものである。
更に、本発明は、<5>上記<4>のクロマトグラフィーカラムに、目的物質を含む組成物を通液する工程を含むことを特徴とする、目的物質の精製方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、充分な動的結合容量を備えるのみならず、優れた防汚性を有する担体を簡便に製造できる。
したがって、本発明の担体は、充分な動的結合容量を備え、且つ防汚性に優れる。
<担体及びその製造方法>
本発明の担体の製造方法は、スルフィド基(−S−)を有し且つリガンドが固定された固相担体を酸化して、固相担体に含まれるスルフィド基の少なくとも一部をスルフィニル基(−(S=O)−)とする酸化工程を含むことを特徴とするものである。
まず、酸化工程に用いる固相担体について詳細に説明する。
(固相担体)
酸化工程に用いる固相担体は、スルフィド基を有し且つリガンドが固定されたものである。
上記固相担体としては、スルフィド基を有し且つリガンドが固定されたものであれば特に限定されないが、動的結合容量及び防汚性の観点から、下記式(1)、(2)又は(3)で表される2価の部分構造を有し、且つリガンドが固定された樹脂を含む固相担体が好ましく、上記部分構造を含む1価又は2価の基を有し、且つリガンドが固定された樹脂を含む固相担体がより好ましく、上記部分構造を含む1価の基を有し、且つリガンドが固定された樹脂を含む固相担体(以下、この固相担体を固相担体(A)とも称する。)が更に好ましい。なお、固相担体が上記1価又は2価の基を有する場合、当該1価又は2価の基を樹脂の表面に有するのが好ましい。
Figure 0006602533
〔式(1)中、
1は、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。〕
Figure 0006602533
Figure 0006602533
〔式(3)中、
2は、カルボニル基又は*−(C=O)−NH−を示し、*は、式(3)中のイオウ原子と結合する位置を示す。〕
また、動的結合容量及び防汚性の観点から、式(1)で表される部分構造を含む1価の基としては、下記式(4)又(5)で表される1価の基が好ましく、式(2)で表される部分構造を含む1価の基としては、下記式(6)又(7)で表される1価の基が好ましく、式(3)で表される部分構造を含む1価の基としては、下記式(8)又(9)で表される1価の基が好ましい。
Figure 0006602533
〔式(4)中、
3は、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、
1は、前記と同義であり、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。〕
Figure 0006602533
Figure 0006602533
Figure 0006602533
Figure 0006602533
Figure 0006602533
〔式(5)〜(9)中の各記号は前記と同義であり、R1は、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を、R2は、カルボニル基又は*−(C=O)−NH−を、R3は、炭素数1〜10の1価の有機基を、それぞれ示す。〕
各式中のR1は、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。斯かる2価の炭化水素基の炭素数としては1が好ましい。また、2価の炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
また、上記2価の炭化水素基は、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルカンジイル基である。好適な具体例としては、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基等が挙げられる。
各式中のR3は、炭素数1〜10の1価の有機基を示す。斯かる1価の有機基の炭素数としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。
また、R3における上記1価の有機基としては、1価の炭化水素基、該1価の炭化水素基に含まれる水素原子の少なくとも1個以上が親水性基に置換された基、−(RaO)p−H(Raは炭素数2〜4のアルカンジイル基を示し、pは1〜30の整数を示す)が挙げられる。これらは直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
また、R3における上記1価の炭化水素基は、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基及び1価の芳香族炭化水素基を包含する概念であるが、好ましくは1価の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基である。斯かるアルキル基の炭素数としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。
上記R3におけるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
また、R3が親水性基を有する場合の上記親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、スルホ基、チオール基、リン酸基、ホルミル基等が挙げられるが、動的結合容量及び防汚性の観点から、ヒドロキシ基が好ましい。
また、親水性基の置換位置および個数は任意であるが、その個数は、動的結合容量及び防汚性の観点から、好ましくは1〜6個であり、より好ましくは1〜4個であり、特に好ましくは1〜2個である。
また、上記−(RaO)p−Hにおいて、Raで示されるアルカンジイル基の炭素数としては、2または3が好ましく、2がより好ましい。また、斯かるアルカンジイル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、好適な具体例としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基が挙げられる。
また、pは1〜30の整数を示すが、1〜25の整数が好ましく、1〜20の整数がより好ましく、1〜15の整数が更に好ましく、1〜10の整数が更に好ましく、1〜5の整数が更に好ましく、1〜3の整数が特に好ましい。
斯様なR3の中でも、1価の炭化水素基に含まれる水素原子の少なくとも1個以上が親水性基に置換された基が好ましく、好適な具体例としては、下記式(14)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006602533
〔式(14)中、R6は炭素数1〜10の2価又は3価の有機基を示し、qは1または2を示す。〕
式(14)中、R6で示される2価又は3価の有機基の炭素数としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。
また、R6における上記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が挙げられ、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記2価の炭化水素基は、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルカンジイル基である。斯かるアルカンジイル基の炭素数としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。
上記アルカンジイル基の具体例としては、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基等が挙げられる。
また、R6における上記3価の有機基としては、3価の炭化水素基が挙げられ、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記3価の炭化水素基は、好ましくは3価の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルカントリイル基である。斯かるアルカントリイル基の炭素数としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましい。
6における上記アルカントリイル基の具体例としては、メタン−1,1,1−トリイル基、エタン−1,1,2−トリイル基、プロパン−1,2,3−トリイル基、プロパン−1,2,2−トリイル基等が挙げられる。
また、式(14)中、qとしては、動的結合容量及び防汚性の観点から、2が好ましい。
上記のような式(4)〜(9)で表される1価の基の中でも、式(4)、(6)又は(8)で表される1価の基が好ましく、式(4)又は(6)で表される1価の基がより好ましく、式(4)で表される1価の基が更に好ましい。
また、固相担体(A)に含まれる樹脂としては、防汚性の観点から、下記式(10)で表される2〜4価の構造を更に有するものが好ましく、斯かる2〜4価の構造を樹脂の表面に有するものがより好ましい。
Figure 0006602533
〔式(10)中、
4は、n価の有機基を示し、
1は、それぞれ独立して、下記式(11)、(12)又は(13)で表される部分構造を示し、
nは2〜4の整数を示す。〕
Figure 0006602533
〔式(11)中、
1は、スルフィド基(−S−)又はオキシ基(−O−)を示し、
1は、前記と同義であり、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。〕
Figure 0006602533
〔式(12)中、
1は、前記と同義である。〕
Figure 0006602533
〔式(13)中、
5は、カルボニル基又は*−(C=O)−NH−を示し、*は、式(13)中のY1と結合する位置を示し、
1は、前記と同義である。〕
以下、構造(10)について詳細に説明する。
式(10)中、R4は、n価の有機基を示す。nは2〜4の整数であるが、2または3が好ましく、2がより好ましい。なお、nが2である場合の構造(10)は、下記式(10−2)で表される。
Figure 0006602533
〔式(10−2)中、R4-2は2価の有機基を示し、X1は前記と同義であり、それぞれ独立して、式(11)、(12)又は(13)で表される部分構造を示す。〕
また、R4における2価の有機基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、斯かる2価の有機基としては、2価の炭化水素基、炭素数2以上の2価の炭化水素基の炭素−炭素原子間にエーテル結合、イミノ基及びエステル結合から選ばれる1種以上を有する基が挙げられ、これらは、置換基として親水性基を有していてもよい。親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルフィド基、アミノ基、スルホ基、チオール基、リン酸基、アルデヒド基、シアノ基等が挙げられる。斯かる親水性基の置換位置及び個数は任意であるが、その個数は、動的結合容量及び防汚性の観点から、好ましくは0〜6個であり、より好ましくは0〜4個であり、更に好ましくは0〜2個である。
また、上記2価の有機基が2価の炭化水素基である場合、その炭素数は、動的結合容量及び防汚性の観点から、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜6であり、特に好ましくは2〜6である。一方、2価の有機基が炭素数2以上の2価の炭化水素基の炭素−炭素原子間にエーテル結合、イミノ基及びエステル結合から選ばれる1種以上を有する基である場合、その炭素数は、動的結合容量及び防汚性の観点から、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、特に好ましくは2〜6である。
これらR4における「2価の炭化水素基」は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルカンジイル基である。
アルカンジイル基の具体例としては、例えば、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
また、上記炭素数2以上の2価の炭化水素基の炭素−炭素原子間にエーテル結合、イミノ基及びエステル結合から選ばれる1種以上を有する基としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、炭素数2以上の2価の炭化水素基の炭素−炭素原子間にエーテル結合を有する基が好ましく、−Rb(ORcmORd−で表される基がより好ましい(Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して炭素数2〜4のアルカンジイル基を示し、mは0〜30の整数を示す)。
上記Rb、Rc及びRdで示されるアルカンジイル基の炭素数としては、2又は3が好ましく、2がより好ましい。また、斯かるアルカンジイル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、好適な具体例としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基が挙げられる。
また、mは0〜30の整数を示すが、動的結合容量及び防汚性の観点から、0〜25の整数が好ましく、0〜20の整数がより好ましく、0〜15の整数が更に好ましく、0〜10の整数が更に好ましく、1〜5の整数が更に好ましく、1〜3の整数が特に好ましい。
なお、上記R4-2は、R4で示される2価の有機基と同じである。
また、式(10)中、X1は、それぞれ独立して、下記式(11)、(12)又は(13)で表される2価の部分構造を示すが、式(11)又は(12)で表される部分構造が好ましく、式(11)で表される部分構造がより好ましい。
Figure 0006602533
〔式(11)中、
1は、スルフィド基(−S−)又はオキシ基(−O−)を示し、
1は、前記と同義であり、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。〕
Figure 0006602533
〔式(12)中、
1は、前記と同義である。〕
Figure 0006602533
〔式(13)中、
5は、カルボニル基又は*−(C=O)−NH−を示し、*は、式(13)中のY1と結合する位置を示し、
1は、前記と同義である。〕
上記式(11)中、R1は、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。斯かる2価の炭化水素基の炭素数としては1が好ましい。また、2価の炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
また、上記2価の炭化水素基は、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはアルカンジイル基である。好適な具体例としては、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基等が挙げられる。
また、上記式(11)〜(13)中、Y1は、スルフィド基又はオキシ基を示す。
なお、式(11)、(12)又は(13)で表される2価の部分構造はY1側の結合手がR4と結合していてもよく、他方の結合手がR4と結合していてもよい。
また、固定されたリガンドは、目的物質と結合する分子であればよいが、例えば、プロテインA、プロテインG、アビジン等のタンパク質;インシュリン等のペプチド;モノクローナル抗体等の抗体;酵素;ホルモン;DNA;RNA;ヘパリン、ルイスX、ガングリオシド等の糖質;イミノジ酢酸、合成色素、2−アミノフェニル硼素酸、4−アミノベンズアミジン、グルタチオン、ビオチンやその誘導体のような低分子化合物が挙げられる。なお、上記に例示したリガンドはその全体を用いてもよいが、リコンビナント、酵素処理等によって得られるそのフラグメントを用いてもよい。また、人工的に合成されたペプチドやペプチド誘導体であってもよい。
斯様なリガンドの中でも、精製の目的物質が抗体である場合は、アミノ基を含むものが好ましく、タンパク質、ペプチドがより好ましく、タンパク質が更に好ましく、イムノグロブリン結合タンパク質が更に好ましく、プロテインAが特に好ましい。
また、固相担体としては、天然高分子系担体;合成高分子系担体;シリカ、ゼオライト等に由来する無機系担体が挙げられるが、天然高分子系担体、合成高分子系担体が好ましい。固相担体が天然高分子系担体である場合、固相担体に含まれる樹脂としては、アガロース、デキストラン、セルロース等の多糖類由来のものが挙げられる。
また、固相担体が合成高分子系担体である場合、固相担体に含まれる樹脂としては、環を構成する原子数が3〜7個の環状エーテル基含有不飽和モノマー(以下、単に官能基含有モノマーとも称する)を少なくとも含むモノマー部に由来するものが好ましく、エポキシ基含有不飽和モノマー及び1,2−エポキシシクロヘキシル基含有不飽和モノマーから選ばれる官能基含有モノマーを少なくとも含むモノマー部に由来するものがより好ましい。
エポキシ基含有不飽和モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、α−(メタ)アクリル−ω−グリシジルポリエチレングリコール、(4−ビニルベンジル)グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。また、1,2−エポキシシクロヘキシル基含有不飽和モノマーとしては、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記モノマー部は、これら官能基不飽和モノマーのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含んでいてよい。
また、官能基含有モノマーに由来する構造単位の含有量としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、樹脂総量100質量部に対し、1〜90質量部が好ましく、5〜80質量部がより好ましく、10〜70質量部が特に好ましい。
また、上記モノマー部は、官能基含有モノマー以外のモノマー(以下、他のモノマーとも称する)を含んでいてもよい。他のモノマーとしては、非架橋性モノマー、架橋性モノマーのいずれも使用でき、これらを併用してもよい。
上記非架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリレート系非架橋性モノマー、(メタ)アクリルアミド系非架橋性モノマー、スチレン系非架橋性モノマー、ビニルケトン系非架橋性モノマー、(メタ)アクリロニトリル系非架橋性モノマー、N−ビニルアミド系非架橋性モノマー等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート系非架橋性モノマーは、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート系非架橋性モノマーと、ヒドロキシ基を含まない(メタ)アクリレート系非架橋性モノマーに大別される。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート系非架橋性モノマーとしては、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ブタントリオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、イノシトールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基を含まない(メタ)アクリレート系非架橋性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド系非架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記スチレン系非架橋性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等が挙げられる。
また、上記ビニルケトン系非架橋性モノマーとしては、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリロニトリル系非架橋性モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
また、上記N−ビニルアミド系非架橋性モノマーとしては、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロパミド等が挙げられる。
また、非架橋性モノマーに由来する構造単位の含有量としては、動的結合容量及び防汚性の観点から、樹脂総量100質量部に対し、0〜80質量部が好ましく、5〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部が更に好ましく、10〜40質量部が特に好ましい。
また、上記架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリレート系架橋性モノマー;ジビニルベンゼン等のビニル系架橋性モノマーが挙げられ、(メタ)アクリレート系架橋性モノマーが好ましい。また、2〜5官能のものが好ましく、2又は3官能のものがより好ましい。
上記(メタ)アクリレート系架橋性モノマーとしては、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ブタントリオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イノシトールジ(メタ)アクリレート、イノシトールトリ(メタ)アクリレート、イノシトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種が挙げられる。
また、架橋性モノマーに由来する構造単位の含有量としては、耐圧性能の観点から、樹脂総量100質量部に対し、1〜90質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。
また、固相担体の形状は、モノリス(連続体)、膜、中空繊維、粒子、カセット、チップ等のいずれでもよいが、モノリス、膜、粒子が好ましく、粒子がより好ましい。粒子は、球状粒子でも非球状粒子でもよい。
また、固相担体としては、表面積を大きくする観点から、多孔質粒子等の多孔質化されたものが好ましい。また、多孔質粒子としては、多孔質ポリマー粒子が好ましい。
(固相担体の製法)
上記酸化工程に用いる固相担体は、国際公開第2011/125674号等を参考にして常法に従い製造すればよい。例えば、以下の〔PR−1〕〜〔PR−4〕の方法が挙げられる。
〔PR−1〕チオール基と反応してスルフィド基を形成する基(エポキシ基や1,2−エポキシシクロヘキシル基、カルボキシ基等)を有する樹脂を含む固相に、リガンドを固定し、さらに、チオール基を有する化合物を反応させる(スルフィド基形成反応)方法。
〔PR−2〕チオール基と反応してスルフィド基を形成する基を有する樹脂を含む固相に、チオール基を有する化合物を反応させ(スルフィド基形成反応)、さらに、リガンドを固定し、必要に応じて、チオール基を有する化合物を再度反応させる方法。
〔PR−3〕チオール基を有する樹脂を含む固相に、リガンドを固定し、さらに、チオール基と反応してスルフィド基を形成する基を有する化合物を反応させる方法。
〔PR−4〕チオール基を有する樹脂を含む固相に、チオール基と反応してスルフィド基を形成する基を有する化合物を反応させ、さらに、リガンドを固定し、必要に応じて、チオール基と反応してスルフィド基を形成する基を有する化合物を再度反応させる方法。
これら〔PR−1〕〜〔PR−4〕の方法の中でも、固相担体を簡便に得る観点からは、〔PR−1〕又は〔PR−2〕の方法が好ましい。以下、〔PR−1〕又は〔PR−2〕の方法について説明する。
上記チオール基と反応してスルフィド基を形成する基を有する樹脂を含む固相は、常法に従い懸濁重合することで得ることができる。当該固相の製法としては、例えば、モノマー部及び多孔化剤を含む混合溶液を水系媒体中に懸濁させて、重合開始剤を添加し重合させる方法等が挙げられる。
また、リガンドの固定も常法に従い行えばよい。リガンドの使用量は、固相100質量部に対し、通常5〜30質量部程度であるが、好ましくは9〜18質量部である。
(スルフィド基形成反応)
チオール基を有する化合物としては、単官能チオール、多官能チオールが挙げられる。単官能チオールとは、分子中にチオール基を1個有するチオール化合物のことをいい、多官能チオールとは、分子中にチオール基を2個以上有するチオール化合物のことをいう。
単官能チオールとしては、メタンチオール、チオグリセロール、2−メルカプトエタノール等が挙げられる。
多官能チオールとしては、エチレンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール等の2官能チオール;トリメチロールプロパントリチオグリコラート等の3官能チオール等が挙げられる。
チオール基を有する化合物として単官能チオールを使用し、これを固相に含まれる樹脂のエポキシ基に反応させた場合には、式(1)で表される部分構造を含む1価の基を有し、且つリガンドが固定された樹脂を含む固相担体を得ることができる。また、チオール基を有する化合物として2官能チオールを使用し、これを固相に含まれる樹脂のエポキシ基に反応させた場合には、式(1)で表される部分構造を2個含む2価の基(架橋構造)を有し、且つリガンドが固定された樹脂を含む固相担体を得ることができる。
Figure 0006602533
〔式(1)中、
1は、前記と同義であり、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示す。〕
チオール基を有する化合物の使用量は、チオール基と反応してスルフィド基を形成する基1モルに対し、通常0.1〜12モル当量、好ましくは1〜10モル当量である。
また、スルフィド基形成反応の反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜72時間程度である。また、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常2〜100℃程度である。
(酸化)
本発明の製造方法は、固相担体に含まれるスルフィド基の少なくとも一部を酸化してスルフィニル基とするものである。当該酸化は、常法に従い行えばよく、例えば、酸化剤を用いた酸化が挙げられる。
上記酸化剤は、有機酸化剤と無機酸化剤とに大別され、有機酸化剤としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸等が挙げられる。一方、無機酸化剤としては、例えば、過酸化水素、クロム酸、過マンガン酸塩等が挙げられる。なお、これら酸化剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、酸化剤の使用量は、固相担体のスルフィド基1モルに対し、通常0.1〜10モル当量程度であるが、好ましくは0.5〜5モル当量であり、より好ましくは0.5〜3モル当量である。
なお、酸化工程は、溶媒存在下で行ってもよい。斯かる溶媒としては、水;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられ、これら溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。溶媒を使用する場合、その使用量は、固相担体100質量部に対し、通常500〜1500質量部程度である。
また、酸化工程の反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜72時間程度であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常1〜70℃程度である。
なお、上記酸化工程で得られる反応生成物を、ろ過、洗浄等の分離手段で精製してもよい。
そして、上記製造方法によって得られる本発明の担体は、動的結合容量、特に目的タンパク質に対する動的結合容量を充分に備え、且つ防汚性に優れるため、クロマトグラフィー精製への使用に適し、アフィニティー精製への使用に特に適する。
以下に、本発明の担体の形態について具体的に説明する。
本発明の担体が粒子である場合、平均粒径(体積平均粒径)は、動的結合容量及び耐圧性能の観点から、好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは40〜100μmである。また、平均粒径の変動係数は、好ましくは40%以下であり、より好ましくは30%以下である。
また、比表面積は、動的結合容量の観点から、ポアサイズ10nm〜5000nmにおける比表面積で、好ましくは70m2/g以上であり、より好ましくは90m2/g以上である。
なお、上記平均粒径および比表面積は、レーザー回折・散乱式粒径分析測定装置や水銀ポロシメータ等により測定できる。
また、本発明の製造方法によれば、担体表面の表面分析をしたときのスルフィニル基の割合が、スルフィド基とスルフィニル基との総和を100%として、60%以上である、リガンドが固定されたクロマトグラフィー精製用担体を得ることができる。スルフィニル基の割合は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上である。なお、スルフィニル基の割合の上限値は100%であればよいが、95%程度でもよい。
スルフィニル基の割合は、後記実施例と同様にして測定した値を云うものとする。
<クロマトグラフィーカラム>
本発明のクロマトグラフィーカラムは、本発明の担体が、カラム容器に充填されたものである。該カラムはアフィニティークロマトグラフィーへの使用に適する。
<精製方法>
本発明の目的物質の精製方法は、本発明のクロマトグラフィーカラムに、目的物質を含む組成物を通液する工程を含むことを特徴とするものである。
本発明の目的物質の精製方法は、本発明のクロマトグラフィーカラムを用いる以外は常法に従い行えばよい。例えば、目的物質を含む組成物を準備する工程と、本発明のクロマトグラフィーカラムに、目的物質を含む組成物を通液する工程と、当該通液によってリガンドに吸着された目的物質を溶出させる工程とを含む方法が挙げられる。なお、溶出の後に、担体をアルカリ洗浄してもよい。
また、上記目的物質としては、目的タンパク質が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)多孔質粒子の合成
350gの純水にポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA−217)0.70gを添加し、加熱撹拌することでポリビニルアルコールを溶解させ、冷却した後、この溶液に、ドデシル硫酸ナトリウム(花王社製 エマール10G)0.18g、炭酸ナトリウム0.35g及び亜硝酸ナトリウム1.75gを添加し、撹拌して水溶液(S−1)を調製した。
一方、グリシジルメタクリレート(三菱レーヨン社製)1.39g、グリセロールモノメタクリレート(日油社製)2.78g及びグリセリンジメタクリレート(新中村化学工業社製)9.73gからなる単量体組成物を、2−オクタノン(東洋合成社製)7.36g及びアセトフェノン(井上香料製造所社製)21.37gの混液に溶解させ、単量体溶液を調製した。
次いで、上記水溶液(S−1)を、500mLセパラブルフラスコ内に全量投入し、温度計、攪拌翼及び冷却管を装着して、温水バスにセットし、窒素雰囲気下で撹拌を開始した。セパラブルフラスコ内に上記単量体溶液を全量投入して、温水バスにより加温し内温が85℃に到達したところで2,2’−アゾイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)0.17gを添加し、85℃に温度を維持したまま3.5時間撹拌した。
次いで、反応液を冷却した後、斯かる反応液をろ過し、純水とエタノールで洗浄した。その後、洗浄した粒子を純水に分散させてデカンテーションを3回行い、小粒子を除いた。次いで、粒子の濃度が10質量%となるように純水に分散させ、粒子分散液(R−1)を得た。
(2)リガンドの固定
0.1Mホウ酸ナトリウム/0.75M硫酸ナトリウムバッファー(pH8.0)200mLに改変プロテインA(Repligen製 rSPA)0.47gを分散させたプロテインA分散液に、上記粒子分散液(R−1)を、粒子乾燥質量換算で5g分添加した。この分散液を25℃で6時間振とう撹拌し、プロテインAを粒子に固定した。
(3)チオグリセロールの導入
得られたプロテインA固定粒子を、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.6)で洗浄した後、1.0Mチオグリセロール/0.5M硫酸ナトリウム水溶液(pH8.3)200mLに分散させ、25℃で4時間振とう撹拌した。
その後、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.6)、0.5M水酸化ナトリウム水溶液、0.1Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH3.2)で順次洗浄し、アフィニティークロマトグラフィー用粒子を得た。
(4)スルホキシド化反応
上記アフィニティークロマトグラフィー用粒子3.87gを、濃度が10質量%となるように純水に分散させて粒子分散液(R−2)を調製し、この粒子分散液(R−2)に過酸化水素(和光純薬工業社製)0.31gを添加した後、25℃で24時間転倒混和し、粒子をスルホキシド化した。その後、この反応液をろ過し、純水で洗浄することで、スルホキシド化されたアフィニティークロマトグラフィー精製用担体1を得た。
(実施例2)
過酸化水素によるスルホキシド化(実施例1(4)の工程)の温度を4℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、スルホキシド化されたアフィニティークロマトグラフィー精製用担体2を得た。
(実施例3)
(1)多孔質粒子の合成
358gの純水にポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA−217)0.72gを添加し、加熱撹拌することでポリビニルアルコールを溶解させ、冷却した後、この溶液に、ドデシル硫酸ナトリウム(花王社製 エマール10G)0.18g、炭酸ナトリウム0.36g及び亜硝酸ナトリウム0.18gを添加し、撹拌して水溶液(S−2)を調製した。
一方、グリシジルメタクリレート(三菱レーヨン社製)8.23g、グリセロールモノメタクリレート(日油社製)1.37g及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー社製)4.12gからなる単量体組成物を、2−オクタノン(東洋合成社製)20.63g及びアセトフェノン(井上香料製造所社製)5.30gの混液に溶解させ、単量体溶液を調製した。
次いで、上記水溶液(S−2)を、500mLセパラブルフラスコ内に全量投入し、温度計、攪拌翼及び冷却管を装着して、温水バスにセットし、窒素雰囲気下で撹拌を開始した。セパラブルフラスコ内に上記単量体溶液を全量投入して、温水バスにより加温し内温が85℃に到達したところで2,2’−アゾイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)0.58gを添加し、85℃に温度を維持した。
(2)チオグリセロールの導入
その後、チオグリセロール(旭化学工業社製)6.26gを添加し、85℃に温度を維持したまま3時間撹拌を行った。
(3)架橋化反応
次いで、上記反応液を25℃まで冷却した後、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール21.11gを反応液に添加し、その後温水バスにより加温し内温を85℃に維持して5時間撹拌した。次いで、反応液を冷却した後、斯かる反応液をろ過し、純水とエタノールで洗浄した。洗浄した粒子をポリビンに移し、純水に分散させてデカンテーションを3回行い、小粒子を除いた。次いで、粒子の濃度が10質量%となるように純水に分散させ、粒子分散液(R−3)を得た。
(4)リガンドの固定
1.0Mクエン酸三ナトリウム/0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH6.6)40mLに改変プロテインA(Repligen製 rSPA)0.15gを分散させたプロテインA分散液に、上記粒子分散液(R−3)を、粒子乾燥質量換算で0.9g分添加した。この分散液を25℃で5時間振とう撹拌し、プロテインAを粒子に固定した。
(5)チオグリセロールの導入
得られたプロテインA固定粒子を、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.6)で洗浄した後、1.0Mチオグリセロール/0.1M硫酸ナトリウム水溶液(pH8.3)40mLに分散させ、25℃で17時間振とう撹拌した。
その後、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.6)、0.5M水酸化ナトリウム水溶液、0.1Mクエン酸ナトリウムバッファー(pH3.2)で順次洗浄し、アフィニティークロマトグラフィー用粒子を得た。
(6)スルホキシド化反応
上記アフィニティークロマトグラフィー用粒子0.90gを、濃度が10質量%となるように純水に分散させて粒子分散液(R−4)を調製し、この粒子分散液(R−4)に過酸化水素(和光純薬工業社製)0.43gを添加した後、25℃で24時間転倒混和し、粒子をスルホキシド化した。その後、この反応液をろ過し、純水で洗浄することで、スルホキシド化されたアフィニティークロマトグラフィー精製用担体3を得た。
(比較例1)
実施例1における過酸化水素によるスルホキシド化(実施例1(4)の工程)を行わない以外は、実施例1と同様の操作を行い、アフィニティークロマトグラフィー精製用担体4を得た。
(比較例2)
実施例3における過酸化水素によるスルホキシド化(実施例3(6)の工程)を行わない以外は、実施例3と同様の操作を行い、アフィニティークロマトグラフィー精製用担体5を得た。
(試験例1 動的結合容量(DBC)測定試験)
GEヘルスケア社製AKTAprime plusを用いて、線流速300cm/hrにおけるタンパク質(ヒトIgG抗体、Equitech Bio社製 HGG−1000)に対する実施例1〜3及び比較例1〜2の担体1〜5のDBCをそれぞれ測定した。カラムは容量4mL(5mmφ×200mm長)のものを、タンパク質は20mMリン酸ナトリウム/150mM塩化ナトリウム水溶液(pH7.5)で5mg/mLに希釈したものをそれぞれ使用し、溶出先端10%ブレークスルーのときのタンパク質捕捉量とカラム充填体積からDBCを求め、DBCが35mg/mL以上のものを合格とした。結果を表1に示す。
(試験例2 HCP試験)
カラム容器(GE Healthcare社製Tricorn10/50 column)に、実施例1〜3及び比較例1〜2の担体1〜5を、充填高さ約5cmで充填してカラムを作製した。得られたカラムをGE Healthcare社製AKTA Prime Plusにそれぞれ接続し、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を5カラム容量(カラム容積の5倍)、流速1mL/分にて通液し、平衡化させた。
次いで、モノクローナル抗体Trastuzumabを含有するCHO細胞培養上清を、約23g抗体/mL担体の負荷量で、流速1mL/分にてカラムに通液した。
次いで、20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)、20mMリン酸ナトリウム/1M塩化ナトリウムバッファー(pH7.5)、及び20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を、それぞれ5カラム容量、流速1mL/分にてカラムに順次通液した。
その後、50mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH3.2)を、流速1mL/分にてカラムに通液し、カラム内に捕捉されていたモノクローナル抗体を溶出させ、Abs.280>100mAuの溶出フラクションを回収した。
そして、Cygnus Technologies社製 CHO HCP ELISA kit,3Gを用い、回収したフラクション中に含有されるHost Cell Protein(HCP)濃度を測定した。結果を表1に示す。
(試験例3 SO比率測定)
実施例1及び3並びに比較例1〜2の担体1、3〜5を乾燥し、円形カバーガラスに導電両面テープでそれぞれ固定した。AXIS−Ultra DLD(KRATOS社製)により、S2pのBinding Energyを測定し、S(スルフィド基)とSO(スルフィニル基)のBinding Energyスペクトルの面積比から、SO(スルフィニル基)比率を求めた。
Figure 0006602533
実施例1〜3のクロマトグラフィー精製用担体は、充分な動的結合容量を有するだけでなく、防汚性にも優れるものであった。

Claims (8)

  1. スルフィド基を有し且つリガンドが固定された固相担体を酸化して、前記スルフィド基の少なくとも一部をスルフィニル基とする酸化工程を含み、前記固相担体が、下記式(4)〜(9)のいずれか1つで表される1価の基と下記式(10)で表される2〜4価の構造とを有し且つリガンドが固定された樹脂を含む固相担体であることを特徴とする、
    担体の製造方法。
    Figure 0006602533
    〔式(4)中、
    1は、炭素数1〜2の2価の炭化水素基を示し、
    3は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基に含まれる水素原子の少なくとも1個以上がヒドロキシ基に置換された基を示す。〕
    Figure 0006602533
    〔式(5)中、
    1及びR3は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(6)中、
    3は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(7)中、
    3は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(8)中、
    2は、カルボニル基又は*−(C=O)−NH−を示し、*は、式(8)中のイオウ原子と結合する位置を示し、
    3は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(9)中、
    2及びR3は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(10)中、
    4 は、n価の有機基を示し、
    1 は、それぞれ独立して、下記式(11)、(12)又は(13)で表される部分構造を示し、
    nは2〜4の整数を示す。〕
    Figure 0006602533
    〔式(11)中、
    1 は、スルフィド基を示し、
    1 は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(12)中、
    1 は、前記と同義である。〕
    Figure 0006602533
    〔式(13)中、
    5 は、カルボニル基又は*−(C=O)−NH−を示し、*は、式(13)中のY 1 と結合する位置を示し、
    1 は、前記と同義である。〕
  2. 前記1価の基が、式(4)又は(6)で表される1価の基である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記リガンドがタンパク質又はペプチドである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法で得られる、
    担体。
  5. アフィニティー精製に使用するためのものである、請求項に記載の担体。
  6. 担体表面の表面分析をしたときのスルフィニル基の割合が、スルフィド基とスルフィニル基との総和を100%として、60%以上であり、且つクロマトグラフィー精製用である、請求項に記載の担体。
  7. 請求項のいずれか1項に記載の担体がカラム容器に充填された、
    クロマトグラフィーカラム。
  8. 請求項に記載のクロマトグラフィーカラムに、目的物質を含む組成物を通液する工程を含むことを特徴とする、
    目的物質の精製方法。
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