JPWO2014013654A1 - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】主体金具と絶縁体との間の気密性を好適に確保する。【解決手段】スパークプラグは、中心電極、絶縁体、主体金具、絶縁体と主体金具との間をシールするシール部材を備える。絶縁体は、第1部位と、第1部位よりも軸線方向の先端側に位置し、第1部位よりも外径が小さい第2部位と、先端側に向けて外径が縮径し、第1部位と第2部位とを連結する絶縁体第1縮径部とを備え、主体金具は、径方向内側に突出した突出部を備え、突出部には、先端側に向けて内径が縮径する主体金具側縮径部が形成され、シール部材は、絶縁体第1縮径部と主体金具側縮径部との間において、第1部位の外径面を仮想的に先端側に延長した延長線を少なくとも含む位置に配置される。軸線を含む断面において、軸線と直交する直線と絶縁体第1縮径部の外形線とのなす角度θ22と、当該直線と主体金具側縮径部の外形線とのなす角度θ21とがθ21>θ22を満たす。【選択図】図10

Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグに関する。
内燃機関に用いられるスパークプラグには、内燃機関の設計の自由度の向上などを目的として、小型化・小径化が求められている。具体的には、スパークプラグを小径化することにより、スパークプラグが取り付けられる取付孔を小径化することができるので、吸気ポートと排気ポートとの設計の自由度を向上することができる。しかし、スパークプラグを小型化・小径化すると、絶縁体の径も小さくなり、絶縁体の機械的強度が低下する。絶縁体の機械的強度の低下は、スパークプラグの性能に影響を与えるおそれがある。
例えば、下記特許文献1では、絶縁体の外径が縮径した縮径部(段部)と、主体金具の内径が縮径した縮径部(段部)との間に、主体金具の硬度以上の硬度を有するパッキンを配置したスパークプラグを開示している。かかるスパークプラグでは、製造工程において、加締めによってスパークプラグの組付けを行った際に、パッキンの一部分が主体金具の縮径部にめり込んだ状態となることによって、絶縁体と主体金具との間がシールされる。
特開2008−84841号公報 特開2010−192184号公報 特開2007−258142号公報 特開2009−176525号公報 特許第3502936号公報 特許第4548818号公報 特許第4268771号公報 特許第4267855号公報 特開2006−66385号公報
特許文献1のスパークプラグでは、主体金具の縮径部の変形が不足すると、絶縁体と主体金具との間のシール性能を十分に確保できないおそれがある。一方、主体金具の縮径部が過剰に変形すると、変形した主体金具の縮径部によって、パッキンの内径側の部位が絶縁体に押しつけられることとなる。その結果、小型化・小径化によって機械的強度が低下した絶縁体が損傷するおそれがある。また、主体金具におけるパッキンと接触する部分が意図せず変形した場合には、内燃機関の振動(すなわち、スパークプラグの振動)を受けた結果、シール性能が低下する場合があった。さらに、主体金具の縮径部が過剰に変形して、縮径部の一部分が凹むと、主体金具と絶縁体との相対位置が変わり、その結果、絶縁体出寸が変わるおそれがある。絶縁体出寸とは、主体金具の先端面に対して、絶縁体の先端面が、スパークプラグの先端側に突出する距離である。絶縁体出寸が変わると、熱価の特性が変化するので、一定した性能を有するスパークプラグを多数製造する上で望ましくない。
かかる問題は、特許文献1のスパークプラグに限らず、絶縁体の縮径部と、主体金具の縮径部との間に、シール部材を配置する種々のスパークプラグに共通するものである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極を前記軸線方向先端側で露出させた状態で、前記軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁体と、
前記絶縁体の一部分を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
前記絶縁体と前記主体金具との間をシールする環状のシール部材と
を備え、
前記絶縁体は、第1部位と、前記第1部位よりも前記軸線方向先端側に位置し、前記第1部位よりも外径が小さい第2部位と、前記軸線方向先端側に向けて外径が縮径し、前記第1部位と前記第2部位とを連結する絶縁体側縮径部とを備え、
前記主体金具は、径方向内側に突出した突出部を備え、該突出部には、前記軸線方向先端側に向けて内径が縮径する主体金具側縮径部が形成され、
前記シール部材は、前記絶縁体側縮径部と前記主体金具側縮径部との間において、前記第1部位の外径面を仮想的に前記先端側に延長した延長線を少なくとも含む位置に配置された
スパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記軸線と直交する直線と前記絶縁体側縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度をθ22とし、前記軸線と直交する直線と前記主体金具側縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度をθ21としたとき、
θ21>θ22
の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、主体金具側縮径部がシール部材から受ける荷重は、内周側と比べて、外周側で大きくなる。つまり、主体金具側縮径部の外周側に偏荷重が加わり、外周側の面圧が部分的に大きくなる。したがって、絶縁体と主体金具との間のシール性能を向上できる。また、主体金具側縮径部の内周側に加わる面圧が相対的に低減されるため、突出部が、シール部材から荷重を受けて、絶縁体側に突出するように変形することを抑制できる。その結果、変形した突出部によって、シール部材の内径側の部位が絶縁体に押しつけられ、絶縁体が損傷することを抑制できる。
[適用例2]適用例1記載のスパークプラグにおいて、前記θ22は、θ22≧30°の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、主体金具側縮径部が受ける、軸線方向と交わる方向の荷重の大きさをある程度大きくできる。したがって、軸線方向と交わる方向の振動を受ける場合にも、主体金具側縮径部とシール部材との相対位置関係がずれにくいので、シール性能を向上することができる。
[適用例3]適用例1または適用例2記載のスパークプラグにおいて、前記θ22および前記θ21は、θ21−θ22≦7°の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、主体金具側縮径部の外周側に加わる偏荷重を適度な範囲に設定できる。したがって、偏荷重が大きくなりすぎて、主体金具側縮径部が先端側に大きく凹んで、絶縁体出寸が変わることを抑制できる。つまり、絶縁体出寸のばらつきを抑制し、その結果、スパークプラグの熱特性のばらつきを抑制できる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか記載のスパークプラグにおいて、前記シール部材は、前記絶縁体側縮径部と前記主体金具側縮径部との間の少なくとも一部から、前記第1部位と、前記主体金具のうちの前記主体金具側縮径部よりも前記軸線方向後端側の部位と、の間にまで亘って配置され、前記第1部位と前記主体金具の前記軸線方向後端側の部位とに接触している部分の前記シール部材の長さは、前記軸線方向について、0.10mm以上であることを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、スパークプラグの内燃機関への過剰な締め付けなどによって、突出部が軸線方向先端側に伸びることによって、主体金具側縮径部とシール部材との間に隙間が生じ、シール性能が低下する場合であっても、第1部位と主体金具のうちの主体金具側縮径部よりも軸線方向後端側の部位とに接触している部分によって、シール性能を好適に確保することができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか記載のスパークプラグにおいて、前記突出部は、一定の径で形成され、内径が最も小さい頂部を有し、前記主体金具側縮径部は、前記頂部と連結する中間部を備え、前記頂部の内径をφ1とし、前記中間部のうちの前記軸線方向後端側の端点の内径をφ2としたとき、φ2/φ1≧1.01の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、主体金具側縮径部とシール部材との接触面積が有意に低減される。その結果、シール部材から主体金具側縮径部に加わる面圧が増大し、絶縁体と主体金具との間のシール性能を向上できる。
[適用例6]適用例5記載のスパークプラグにおいて、前記第1部位の外径をφ3としたとき、φ2/φ3≦0.95の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、主体金具側縮径部とシール部材との接触面積が過剰に低減されることがない。その結果、主体金具側縮径部に加わる面圧が過剰に増大し、主体金具側縮径部が先端側に大きく凹んで、絶縁体出寸が変わることを抑制できる。つまり、絶縁体出寸のばらつきを抑制し、その結果、スパークプラグの熱特性のばらつきを抑制できる。
[適用例7]適用例5または適用例6記載のスパークプラグにおいて、前記中間部は、一定の内径を有する第1中間部と、前記第1中間部と前記頂部とを連結する第2中間部とを備えたことを特徴とするスパークプラグ。
かかるスパークプラグによれば、第2中間部よりもシール部材に近い位置に形成される第1中間部は、一定の内径に形成されているので、中間部が全体に亘って縮径する構成と比べて、シール部材付近において、中間部と絶縁体との間の距離が大きくなる。したがって、変形した突出部によって、シール部材の内径側の部位が絶縁体に押しつけられ、絶縁体が損傷することをいっそう抑制できる。
本発明は、以下の適用例として実現することも可能である。
[適用例8]
適用例1記載のスパークプラグであって、
前記主体金具は、自身の外面に形成された、呼び径がM10であるネジ部を含み、
前記主体金具側縮径部と前記シール部材とが接触する部分の面積は、12.3mm2以下であり、
前記第1角度が、27度以上50度以下である、
スパークプラグ。
[適用例9]
適用例8に記載のスパークプラグであって、
前記絶縁体は、前記絶縁体第1縮径部よりも前記軸線方向の後端側に位置し、前記先端側から前記後端側に向けて外径が小さくなる絶縁体第2縮径部を含み、
前記主体金具は、前記主体金具の後端を形成し、前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部よりも前記後端側に位置し、径方向の内側に向かって屈曲されている加締部を含み、
前記加締部と前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部との間の、前記主体金具の内周面と前記絶縁体の外周面とによって囲まれた空間である充填部分に充填された緩衝材を含み、
前記充填部分の体積は、119mm3以上151mm3以下であり、
前記充填部分の前記軸線と平行な長さは、3mm以上であり、
前記充填部分の前記径方向の幅は、0.66mm以上である、
スパークプラグ。
[適用例10]
適用例8または9に記載のスパークプラグであって、
前記絶縁体は、前記絶縁体第1縮径部よりも前記軸線方向の後端側に位置し、前記先端側から前記後端側に向けて外径が小さくなる絶縁体第2縮径部を含み、
前記主体金具は、前記主体金具の後端を形成し、前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部よりも前記後端側に位置し、径方向の内側に向かって屈曲されている加締部を含み、
前記加締部と前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部との間の、前記主体金具の内周面と前記絶縁体の外周面とによって囲まれた空間である充填部分に充填された緩衝材を含み、
前記充填部分の前記軸線と平行な長さH1と、
前記充填部分の後端と、前記絶縁体の前記絶縁体第1縮径部の後端を前記軸線と平行に前記主体金具の前記主体金具側縮径部の内周面上に投影した場合の投影位置と、の間の前記軸線と平行な長さH2とは、
0.13≦H1/H2≦0.18
の関係を満たし、
前記主体金具は、前記加締部よりも前記先端側に形成され、内周面が凹んだ溝部を含み、
前記絶縁体第2縮径部の先端は、前記溝部の後端よりも、前記後端側に配置されている、
スパークプラグ。
[適用例11]軸線に沿った貫通孔を有し、後端側から先端側に向けて外径が小さくなる第1縮外径部を含む絶縁碍子と、前記絶縁碍子が挿入される前記軸線に沿った貫通孔を有し、後端側から先端側に向かって内径が小さくなる縮内径部を含み、前記絶縁碍子の外周に固定される主体金具と、前記絶縁碍子の前記第1縮外径部と、前記主体金具の前記縮内径部と、の間に挟まれるパッキンと、を備えるスパークプラグであって、前記主体金具は、自身の外面に形成された、呼び径がM10であるネジ部を含み、前記縮内径部と前記パッキンとが接触する部分の面積は、12.3mm2以下であり、前記縮内径部と、前記軸線と垂直な平面と、がなす角度のうちの鋭角である第1角度が、27度以上50度以下であり、前記第1角度は、前記絶縁碍子の前記第1縮外径部と、前記軸線と垂直な平面と、がなす角度のうちの鋭角である第2角度よりも、大きい、スパークプラグ。
この構成によれば、主体金具の縮内径部の変形を抑制し、スパークプラグの内部のシール性能を向上できる。
[適用例12]適用例11に記載のスパークプラグであって、前記絶縁碍子は、前記第1縮外径部よりも後端側に位置し、先端側から後端側に向けて外径が小さくなる第2縮外径部を含み、前記主体金具は、前記主体金具の後端を形成し、前記絶縁碍子の前記第2縮外径部よりも後端側に位置し、径方向の内側に向かって屈曲されている加締部を含み、前記加締部と前記絶縁碍子の前記第2縮外径部との間の、前記主体金具の内周面と前記絶縁碍子の外周面とによって囲まれた空間に充填された緩衝材を含み、前記緩衝材が充填される充填部分の体積は、119mm3以上151mm3以下であり、前記充填部分の前記軸線と平行な長さは、3mm以上であり、前記充填部分の前記径方向の幅は、0.66mm以上である、スパークプラグ。
この構成によれば、絶縁碍子の第1縮外径部と主体金具(縮内径部)との間のシール性能と、絶縁碍子の第2縮外径部と主体金具との間のシール性能と、を向上できる。
[適用例13]適用例11または12に記載のスパークプラグであって、前記絶縁碍子は、前記第1縮外径部よりも後端側に位置し、先端側から後端側に向けて外径が小さくなる第2縮外径部を含み、前記主体金具は、前記主体金具の後端を形成し、前記絶縁碍子の前記第2縮外径部よりも後端側に位置し、径方向の内側に向かって屈曲されている加締部を含み、前記加締部と前記絶縁碍子の前記第2縮外径部との間の、前記主体金具の内周面と前記絶縁碍子の外周面とによって囲まれた空間に充填された緩衝材を含み、前記緩衝材が充填される充填部分の前記軸線と平行な長さH1と、前記充填部分の後端と、前記絶縁碍子の前記第1縮外径部の後端を前記軸線と平行に前記主体金具の前記縮内径部の内周面上に投影した場合の投影位置と、の間の前記軸線と平行な長さH2とは、0.13≦H1/H2≦0.18の関係を満たし、前記主体金具は、前記加締部よりも先端側に形成され、内周面が凹んだ溝部を含み、前記第2縮外径部の先端は、前記溝部の後端よりも、後端側に配置されている、スパークプラグ。
この構成によれば、絶縁碍子の第1縮外径部と主体金具(縮内径部)との間のシール性能と、絶縁碍子の第2縮外径部と主体金具との間のシール性能と、を向上できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、スパークプラグ、スパークプラグを含む内燃機関、等の態様で実現することができる。
スパークプラグ100の断面図である。 先端側パッキン8の近傍の構成の説明図である。 加締部53の近傍の構成の概略図である。 第1パッキン気密評価試験の結果を示すグラフである。 変形評価試験の結果を示す概略図である。 第2パッキン気密評価試験の結果を示すグラフである。 全体気密評価試験の結果を示すグラフである。 先端側パッキン8の近傍の構成の説明図である。 第2実施形態としてのスパークプラグ1100の概略構成を示す部分断面図である。 スパークプラグ1100のうちのパッキン1008の周辺部の拡大断面図である。 比較例としてのスパークプラグ1100aのうちのパッキン1008aの周辺部の拡大断面図である。 縮径部1062がパッキン1008から受ける荷重の方向を示す説明図である。 縮径部1062がパッキン1008から受ける荷重の方向を示す説明図である。 変形試験における、突出部1060の変形の有無の判定手法を示す説明図である。 変形試験における、突出部1060の変形の有無の判定手法を示す説明図である。 変形試験における、突出部1060の変形の有無の判定手法を示す説明図である。 第2の気密性試験におけるパッキン1008の態様を示す説明図である。 第2の気密性試験におけるパッキン1008の態様を示す説明図である。 第2の気密性試験におけるパッキン1008の態様を示す説明図である。 第3実施形態としてのスパークプラグ1200のうちのパッキン1208の周辺部の拡大断面図である。 第4実施形態としてのスパークプラグ1300のうちのパッキン1308の周辺部の拡大断面図である。 比較例としてのスパークプラグ1300aのうちのパッキン1308aの周辺部の拡大断面図である。 変形例としてのスパークプラグ1400のうちのパッキン1408の周辺部の拡大断面図である。 主体金具50の縮内径部56と、中心軸COと垂直な仮想平面HP1と、がなす第1角度θ1の決定方法を示す図。 絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15と、中心軸COと垂直な仮想平面HP2と、がなす第2角度θ2の決定方法を示す図。
A.第1実施形態:
A−1.スパークプラグの構成:
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は本実施形態のスパークプラグ100の断面図である。図1中の一点破線は、スパークプラグ100の中心軸COを示している。以下、中心軸COを、軸線COとも呼ぶ。また、中心軸COと平行な方向(図1の上下方向)を、軸方向と呼ぶ。また、軸方向のうちの図1における下方向を、第1方向Dr1と呼び、第1方向Dr1と反対の方向を、第2方向Dr2と呼ぶ。第1方向Dr1は、燃焼室の外に配置される部分から燃焼室の内に挿入される部分に向かう方向である。また、スパークプラグ100の第1方向Dr1側を「先端側」とも呼び、スパークプラグ100の第2方向Dr2側を「後端側」とも呼ぶ。また、種々の部材の第1方向Dr1側の端を「先端」と呼び、第2方向Dr2側の端を「後端」とも呼ぶ。スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性シール60と、抵抗体70と、導電性シール80と、先端側パッキン8と、緩衝材の一例としてのタルク9と、第1後端側パッキン6と、第2後端側パッキン7と、を備える。
絶縁碍子10はアルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。絶縁碍子10は、中心軸COに沿って延びて絶縁碍子10を貫通する貫通孔12(軸孔)を有する略円筒形状の部材である。絶縁碍子10は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、脚部13と、絶縁体第1縮径部15と、先端側胴部17と、鍔部19と、絶縁体第2縮径部11と、後端側胴部18と、を備えている。鍔部19は、絶縁碍子10における軸方向の略中央に位置する部分である。鍔部19の先端側には、先端側胴部17が設けられている。先端側胴部17の外径は、鍔部19の外径よりも、小さい。先端側胴部17の途中には、縮内径部16が形成されている。縮内径部16の内径は、後端側から先端側に向かって小さくなっている。先端側胴部17の先端側には、絶縁体第1縮径部15が設けられている。絶縁体第1縮径部15の外径は、後端側から先端側に向かって、軸方向の位置の変化に対して直線的に小さくなる。すなわち、中心軸COを含む平断面では、絶縁体第1縮径部15の外周面15oは、直線を形成する。絶縁体第1縮径部15の先端側には、脚部13が設けられている。スパークプラグ100が内燃機関(図示せず)に取り付けられた状態では、脚部13は、燃焼室に曝される。絶縁体第1縮径部15よりも後端側には(具体的には、鍔部19の後端側には)、絶縁体第2縮径部11が設けられている。絶縁体第2縮径部11の外径は、鍔部19から遠いほど外径の変化が小さくなるように、軸方向の位置の変化に対して曲線を描くように、先端側から後端側に向かって小さくなる。すなわち、中心軸COを含む平断面では、絶縁体第2縮径部11の外周面は、曲線を形成する。絶縁体第2縮径部11の後端側には、後端側胴部18が設けられている。後端側胴部18の外径は、鍔部19よりも小さい。
絶縁碍子10の貫通孔12の先端側には、中心電極20が挿入されている。中心電極20は、中心軸COに沿って延びる棒状の部材である。中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を含む構造を有する。電極母材21は、例えば、ニッケルを含む合金を用いて形成されている。芯材22は、例えば、銅を含む合金で形成されている。中心電極20の後端側の一部は、絶縁碍子10の貫通孔12内に配置され、中心電極20の先端側の一部は、絶縁碍子10の先端側に露出している。
また、中心電極20は、径方向外側に突出する鍔部24を有している。鍔部24は、絶縁碍子10の縮内径部16に接触して、絶縁碍子10に対する中心電極20の軸方向の位置を規定する。中心電極20の先端部分には、電極チップ28が、例えば、レーザー溶接によって接合されている。電極チップ28は、高融点の貴金属(例えば、イリジウム)を含む合金を用いて形成されている。
絶縁碍子10の貫通孔12の後端側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、中心軸COに沿って延びる棒状の部材である。端子金具40は、低炭素鋼を用いて形成されている(但し、他の導電性の金属材料も採用可能である)。端子金具40は、軸方向の所定位置に形成された鍔部42と、鍔部42より後端側の部分を形成するキャップ装着部41と、鍔部42より先端側の部分を形成する脚部43と、を備えている。キャップ装着部41は、絶縁碍子10の後端側に露出している。脚部43は、絶縁碍子10の貫通孔12に挿入(圧入)されている。
絶縁碍子10の貫通孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、抵抗体70が配置されている。抵抗体70は、火花発生時の電波ノイズを低減する。抵抗体70は、例えば、B23−SiO2系等のガラス粒子と、TiO2等のセラミック粒子と、炭素粒子や金属等の導電性材料と、を含む組成物で形成されている。
貫通孔12内において、抵抗体70と中心電極20との間の隙間は、導電性シール60によって埋められている。抵抗体70と端子金具40との間の隙間は、導電性シール80によって埋められている。この結果、中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70と導電性シール60、80とを介して、電気的に接続される。導電性シールは、例えば、上述の各種ガラス粒子と、金属粒子(Cu、Feなど)と、を用いて形成される。
主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド(図示省略)にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電性の金属材料も採用可能である)。主体金具50には、中心軸COに沿って貫通する貫通孔59が形成されている。主体金具50の貫通孔59には、絶縁碍子10が挿入され、主体金具50は、絶縁碍子10の外周に固定されている。主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の途中から脚部13の途中までの部分を覆っている。絶縁碍子10の先端は、主体金具50の先端から露出し、絶縁碍子10の後端は、主体金具50の後端から露出している。
主体金具50は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、胴部55と、シール部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を備えている。シール部54の形状は、略円柱形状である。シール部54の先端側には、胴部55が設けられている。胴部55の外径は、シール部54の外径よりも、小さい。胴部55の外周面には、内燃機関の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。ネジ部52の呼び径は、10mmである(いわゆるM10)。シール部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100と内燃機関(エンジンヘッド)との隙間をシールする。
主体金具50の胴部55は、縮内径部56を有している。縮内径部56は、絶縁碍子10の鍔部19よりも先端側に、配置されている。縮内径部56の内径は、後端側から先端側に向かって、軸方向の位置の変化に対して直線的に小さくなる。すなわち、中心軸COを含む平断面では、縮内径部56の内周面56iは、直線を形成する。主体金具50の縮内径部56と、絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。先端側パッキン8は、鉄製の板をOリング状に打ち抜いて形成されている(他の材料(例えば、銅等の金属)も採用可能である)。
シール部54の後端側には、シール部54よりも肉厚が薄い変形部58が設けられている。変形部58は、径方向の外側(中心軸COから離れる方向)に向かって中央部が突出するように、変形している。変形部58の後端側には、工具係合部51が設けられている。工具係合部51の形状は、スパークプラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の後端側には、工具係合部51よりも肉厚が薄い加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁碍子10の絶縁体第2縮径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
主体金具50の工具係合部51から加締部53までの部分の内周面と、絶縁碍子10の絶縁体第2縮径部11から後端側胴部18の途中までの部分の外周面と、の間には、環状の空間SPが形成されている。この空間SPは、加締部53と絶縁体第2縮径部11との間の、主体金具50の内周面と絶縁碍子10の外周面とに囲まれた空間である。この空間SP内の後端側には、第1後端側パッキン6が配置され、この空間SP内の先端側には、第2後端側パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらの後端側パッキン6、7は、鉄線をCリング状に加工したものである(他の材料も採用可能である)。第1後端側パッキン6は、絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面と、主体金具50の加締部53の内周面と、に接触するように、配置されている。第2後端側パッキン7は、絶縁碍子10の絶縁体第2縮径部11の外周面と、主体金具50の内周面と、に接触するように、配置されている。空間SP内における2つの後端側パッキン6、7の間SPFには、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
加締部53を加締める前には、加締部53は、中心軸COと平行に、後端側に向かって延びている。スパークプラグ100の製造時には、加締部53を加締める前に(加締部53を屈曲させる前に)、上述の空間SPに、第2後端側パッキン7、タルク9、第1後端側パッキン6を、この順番に挿入する。その後、加締部53と、シール部54の先端側の面54aと、に加締用の工具を接触させ、主体金具50を挟み込むように工具に力を付与することによって、変形部58を変形させつつ、加締部53を径方向内側に向けて屈曲させる。この結果、絶縁碍子10に主体金具50が固定される。
加締部53と変形部58との変形によって、タルク9は圧縮される。圧縮されたタルク9は、後端側パッキン6、7と共に、主体金具50と絶縁碍子10との間をシールする。また、タルク9は、振動を吸収する緩衝材として機能する(絶縁碍子10への主体金具50の固定の緩みを抑制する)。
また、加締部53と変形部58との変形によって、絶縁碍子10が、主体金具50に対して相対的に、先端側に向かって押圧される。すなわち、絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15は、主体金具50の縮内径部56に向かって、押圧され、絶縁体第1縮径部15と縮内径部56との間で、先端側パッキン8が押圧される。これにより、先端側パッキン8は、主体金具50と絶縁碍子10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁碍子10との間を通って外に漏れることが、抑制される。
接地電極30は、主体金具50の先端に一端が溶接された電極母材32と、電極母材32の先端部31に溶接された電極チップ38と、を備えている。電極母材32は、ニッケルを用いて形成されている(但し、他の金属材料も採用可能である)。電極母材32の先端部31は、径方向内側に向かって屈曲されている。電極チップ38は、電極母材32上の、中心電極20の電極チップ28と対向する位置に、溶接されている。電極チップ38は、白金を用いて形成されている(但し、他の金属材料も採用可能である)。これらの一対の電極チップ28、30の間には、火花ギャップが形成される。
A−2.スパークプラグの構成の詳細:
図2は、先端側パッキン8の近傍の構成の説明図である。図2(A)には、先端側パッキン8の近傍の拡大図が示されている。拡大図中には、パラメータθ1、θ2、R1、R2、A1、A2が示されている。第1角度θ1は、主体金具50の縮内径部56(内周面56i)と、中心軸COと垂直な仮想平面HP1と、がなす角度のうちの鋭角を示している。第2角度θ2は、絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15(外周面15o)と、中心軸COと垂直な仮想平面HP2と、がなす角度のうちの鋭角を示している。これらの角度θ1、θ2は、いずれも、中心軸COを通る平断面における角度を示している。第1半径R1は、主体金具50の縮内径部56の後端56bにおける内径の半分であり、第2半径R2は、縮内径部56の先端56fにおける内径の半分である。図中の交点CPは、断面における、縮内径部56の内周面56iを中心軸COまで延長した場合の交点である。第1距離A1は、交点CPと後端56bとの間の距離を示し、第2距離A2は、交点CPと先端56fとの間の距離を示している。
スパークプラグ100の製造時(加締め時)に縮内径部56が受ける力は、第1角度θ1に応じて変化する。第1角度θ1が小さい場合には、第1角度θ1が大きい場合と比べて、縮内径部56の内周面56iの法線方向と、絶縁碍子10からの力の方向(軸方向と同じ)と、の間の角度(鋭角)が小さいので、先端側パッキン8を介して縮内径部56(内周面56i)に垂直に印加される力、すなわち、縮内径部56(内周面56i)が受ける力が大きくなる。縮内径部56が受ける力が大きい場合には、先端側パッキン8を挟む力が不足することに起因するシール性能の低下を抑制できるが、この代わりに、縮内径部56が意図せず変形する可能性が高くなる。縮内径部56が意図せず変形した場合には、内燃機関(すなわち、スパークプラグ100)が振動することに起因して、先端側パッキン8と縮内径部56との間に隙間が生じる可能性がある(シール性能が低下する可能性がある)。一方、第1角度θ1が大きい場合には、縮内径部56が受ける力が小さくなるので、縮内径部56が変形する可能性が小さくなるが、この代わりに、先端側パッキン8を挟む力が不足することに起因してシール性能が低下する可能性が高くなる。また、第1角度θ1が大きい場合には、先端側パッキン8の変形に起因する絶縁碍子10の軸方向の位置ズレが大きくなるので、火花ギャップの製造誤差が大きくなる可能性がある。これらの事項を考慮して、シール性能の低下を抑制できるように、第1角度θ1を決定することが好ましい。第1角度θ1の好ましい範囲については、後述する。
図2(B)は、接触部分CAと接触面積Sとの概略図である。接触部分CAは、主体金具50の縮内径部56と、先端側パッキン8とが、互いに接触する部分である。本実施形態では、接触部分CAは、縮内径部56の後端56bから先端56fまでの全体である。接触面積Sは、この接触部分CAの面積に相当する。接触部分CAにおける圧力は、接触面積Sが小さいほど、大きいので、接触面積Sが小さい場合には、先端側パッキン8を挟む力が不足することに起因するシール性能の低下を抑制できる。一方、接触面積Sが大きい場合には、圧力が小さいので、縮内径部56の意図しない変形等の不具合を抑制できる。これらの事項を考慮して、シール性能の低下を抑制できるように、接触面積Sを決定することが好ましい。接触面積Sの好ましい範囲については、後述する。
接触面積Sの算出方法は、スパークプラグ100の断面における接触部分CAに対応するライン(本実施形態では、先端56fと後端56bとを結ぶラインL)が、中心軸COを中心として1周に亘ることと仮定して、1周分の面積を算出する、という方法である。具体的には、算出式「S=π*(A1*R1−A2*R2)」に従って、接触面積Sが算出される。記号「*」は乗算記号である(以下同様)。
また、第1角度θ1(図2(A))は、第2角度θ2よりも大きいことが好ましい。この理由は、以下の通りである。図2(C)は、中心軸COと平行に後端側から先端側に向かって見た場合の、接触部分CAを示す概略図である。図中の内部分CAiは、接触部分CAの径方向内側の部分を示し、外部分CAoは、接触部分CAの径方向外側の部分を示している。図2(C)では、内部分CAiの径方向の幅wiが、外部分CAoの径方向の幅woと、同じである。内部分圧力Piは、内部分CAiにおける圧力を示し、外部分圧力Poは、外部分CAoにおける圧力を示している。
第1角度θ1が第2角度θ2よりも大きい場合には、縮内径部56と絶縁体第1縮径部15との間の隙間が、径方向外側ほど小さくなる。従って、「外部分圧力Po>内部分圧力Pi」である。一方、第1角度θ1が第2角度θ2よりも小さい場合には、縮内径部56と絶縁体第1縮径部15との間の隙間が、径方向内側ほど小さくなる。従って、「外部分圧力Po<内部分圧力Pi」である。ここで、内部分CAiの面積は、外部分CAoの面積よりも、小さい。従って、「θ1<θ2(すなわち、Po<Pi)」である場合の高い方の圧力(内部分圧力Pi)は、「θ1>θ2(すなわち、Po>Pi)」である場合の高い方の圧力(外部分圧力Po)と比べて、大きくなる。この結果、「θ1<θ2」である場合には、「θ1>θ2」である場合と比べて、縮内径部56が意図せず変形する可能性が高くなる。従って、縮内径部56の意図しない変形の可能性を低減するためには、第1角度θ1が、第2角度θ2よりも大きいことが好ましい。
図3は、加締部53の近傍の構成の概略図である。図3(A)には、加締部53の近傍の拡大図が示されている。拡大図中には、パラメータH1、C、D1、D2、Vが示されている。第1長H1は、第1後端側パッキン6の先端6fと第2後端側パッキン7の後端7bとの間の、中心軸COと平行な長さである。第1直径D1は、主体金具50の空間SPを形成する部分の内径である(主体金具50の内周面50iの内径)。第2直径D2は、絶縁碍子10の空間SPを形成する部分の外径である(絶縁碍子10の外周面10oの外径)。幅Cは、空間SPの径方向の幅である(C=(D1−D2)/2)。体積Vは、上記の第1長H1と幅Cとで規定される部分の体積である(V=π*(D12−D22)*H1/4)。すなわち、体積Vは、空間SPにおける第1後端側パッキン6の先端6fと第2後端側パッキン7の後端7bとの間の部分SPF(タルク9の充填部分に対応する)の体積である。
図3(B)、図3(C)は、加締部53から第1後端側パッキン6に作用する力と、絶縁碍子10および主体金具50に作用する力とを示す説明図である。図3(B)は、タルク9の量が比較的多い場合を示し、図3(C)は、タルク9の量が比較的少ない場合を示している。上述したように、スパークプラグ100の製造時(加締め時)には、加締部53から第1後端側パッキン6に、第1方向Dr1の力が作用する(第1力F1と呼ぶ)。第1後端側パッキン6からは、タルク9、第2後端側パッキン7を通じて、絶縁碍子10(絶縁体第2縮径部11)に、第1方向Dr1の力が作用する。また、タルク9からは、主体金具50と絶縁碍子10とに、径方向の力が作用する。従って、タルク9の量が多い場合には、力が分散されるので、絶縁碍子10に作用する第1方向Dr1の力F2aが比較的小さくなる(図3(B))。特に、第1長H1が長い場合には、タルク9と他の部材(主体金具50と絶縁碍子10)との接触面積が大きいので、力の分散の度合いが大きい。また、第1後端側パッキン6から加えられる力によって、第1後端側パッキン6と第2後端側パッキン7との間に位置する粉末のタルクの粒子が部分的に破壊されたり、タルクの粒子同士の隙間が小さくなるようにタルクの粒子同士の配置が変化する。このため、第1長H1が長い場合には、それらタルクの粒子の破壊やタルクの粒子同士の再配置により、環状の空間SP内の粉末タルクの中心軸CO方向の分布寸法の変化量(小さくなる量)が大きくなる。よって、この点からも、絶縁碍子10に作用する第1方向Dr1の力F2aが比較的小さくなる。径方向の寸法変化についても同様である。タルク9の量が比較的少ない場合には、力の分散が抑制されるので、絶縁碍子10に作用する第1方向Dr1の力F2bが比較的大きくなる(図3(C))。特に、第1長H1が短い場合には、タルク9と他の部材(主体金具50と絶縁碍子10)との接触面積が小さいので、力の分散の度合いが小さい。また、第1長H1が短い場合には、第1後端側パッキン6と第2後端側パッキン7との間に位置する粉末のタルクの粒子の量が少なくなるため、タルクの粒子の破壊やタルクの粒子同士の再配置による空間SP内の粉末タルクの中心軸CO方向の分布寸法の変化量が小さくなる。よって、この点からも、絶縁碍子10に作用する第1方向Dr1の力F2bが比較的大きくなる。従って、タルク9の量が少ない場合には、先端側パッキン8(図1)を挟む力が不足することに起因するシール性能の低下を抑制できる。一方、タルク9の量が多い場合には、タルク9による振動吸収能力が向上するので、振動に起因するシール性能の低下を抑制できる。タルク9の量(例えば、第1長H1と、幅Cと、体積V)は、上記の事項を考慮して、決定することが好ましい。それらのパラメータH1、C、Vの好ましい範囲については、後述する。
図1には、更に、スパークプラグ100の部分拡大図PF1、PF2と、第2長H2と、が示されている。第1部分拡大図PF1は、先端側パッキン8の近傍を示し、第2部分拡大図PF2は、タルク9の近傍を示している。第2長H2は、主体金具50による絶縁碍子10の先端側の支持位置と後端側の支持位置との間の長さである。先端側の支持位置は、絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15の後端15b(外径が小さくなり始める位置)を、中心軸COと平行に、主体金具50の縮内径部56の内周面56i上に投影した投影位置PPである。後端側の支持位置は、タルク9の充填部分SPFの後端(第1後端側パッキン6の先端6f)である。第2長H2は、先端6fと投影位置PPとの間の、中心軸COと平行な長さである。第2長H2に対する第1長H1の比率が大きい場合ほど、タルク9による振動吸収能力が向上するので、振動に起因するシール性能の低下を抑制できる。ただし、上述したように、先端側パッキン8を挟む力が不足することに起因するシール性能の低下を抑制するためには、第1長H1が短いことが、好ましい。第2長H2に対する第1長H1の比率(H1/H2)は、これらの事項を考慮して、シール性能の低下を抑制できるように、決定されることが好ましい。この比率(H1/H2)の好ましい範囲については、後述する。
上述したスパークプラグ100において、先端側パッキン8が、「課題を解決するための手段」における「シール部材」に該当する。先端側胴部17は、「第1部位」に該当する。脚部13は、「第2部位」に該当する。縮内径部56から先端側にかけての径方向内側に突出した部分(図1参照)が、「突出部」に該当する。縮内径部56は、「主体金具側縮径部」に該当する。
A−3.性能評価試験:
次に、5つの性能評価試験(第1パッキン気密評価試験、変形評価試験、第2パッキン気密評価試験、全体気密評価試験、比率評価試験)の結果について説明する。
A−3−1.第1パッキン気密評価試験:
第1パッキン気密評価試験は、先端側パッキン8の気密性(以下「パッキン気密」と呼ぶ)を評価する試験である。上述した第1実施形態のスパークプラグ100の各パラメータS、R1、R2、θ1、A1、A2が異なる複数のサンプルを作成して、評価試験を行った。以下に示す表1は、30個のサンプル#1〜#30の各パラメータを示す表である。
Figure 2014013654
目標面積Stは、接触部分CAの面積の目標値であり、接触面積Sは、図2(B)で説明した方法で算出された面積である。接触面積Sと目標面積Stとの間には、製造上の都合により、若干の差がある場合がある。主体金具50以外の部材に関しては、サンプル間で同じである。
各サンプルに共通な各種寸法は、以下の通りである。
第2角度θ2 = 30度(図2(A))
第1直径D1 = 11.2mm(図3(A))
第2直径D2 = 9mm(図3(A))
幅C = 1.1mm(図3(A))
第1長H1 = 4.0mm(図3(A))
体積V = 140mm3(図3(A))
第2長H2 = 27.73mm(図1)
図4は、第1パッキン気密評価試験の結果を示すグラフである。横軸は、接触面積Sを示し、縦軸は、漏洩温度Tを示している。図4の評価結果は、表1に示すサンプルのうちの、第1角度θ1が25度、35度、50度のいずれかである15個のサンプルを用いて、得られている。グラフ中の各データ点に付された符号(#を含む符号)は、サンプルの番号を示している。また、グラフ中には、第1角度θ1=25度、35度、50度のそれぞれのデータの近似直線AL1、AL2、AL3も示されている。
第1パッキン気密評価試験の方法は、以下の通りである。すなわち、スパークプラグ100(図1)のシール部54に孔を開け、そのスパークプラグ100を、内燃機関のシリンダーヘッドと同様の取付孔を有する試験台に装着する。次に、スパークプラグ100の先端側に、2.0MPaの圧力を印加する。そして、シール部54の孔から流出する空気の単位時間当たりの流量(cm3/min)を測定する。この流量は、主体金具50と絶縁碍子10との間の隙間を流れる空気の流量であり、先端側パッキン8において漏洩した空気の流量である。次に、流量を測定しつつ、試験台の座面の温度を上昇させる。流量が10cm3/min以上となった時の試験台の座面の温度を、漏洩温度Tとして測定する。座面の温度は、試験台の座面の外表面から約1mm内部に埋め込まれた熱電対を用いて測定した。測定された漏洩温度Tが高いことは、先端側パッキン8によるシールが高温に耐えることを示しているので、漏洩温度Tが高いほど、シール性能が良い。
図示するように、第1角度θ1が同じ場合には、接触面積Sが小さいほど、漏洩温度Tが高くなる。この理由は、図2(B)で説明したように、接触面積Sが小さいほど、先端側パッキン8を挟む圧力が高くなるので、先端側パッキン8と他の部材(主体金具50と絶縁碍子10)との間に隙間が生じる可能性が小さくなるからだと推定される。また、接触面積Sがおおよそ同じである場合には、第1角度θ1が小さいほど、漏洩温度Tが高くなる。この理由は、図2(A)で説明したように、第1角度θ1が小さいほど、先端側パッキン8を挟む力が大きくなるので、先端側パッキン8と他の部材(主体金具50と絶縁碍子10)との間に隙間が生じる可能性が小さくなるからだと推定される。
ここで、内燃機関に装着された場合のスパークプラグ100の温度を考慮して、漏洩温度Tが摂氏200度以上である接触面積Sの範囲を、好ましい範囲として採用する。図4の評価結果では、接触面積Sが、13番の接触面積S(12.3mm2)以下である場合には、種々の第1角度θ1(25度、35度、50度)で、漏洩温度Tが摂氏200度以上となり得る。従って、接触面積Sは、12.3mm2以下であることが好ましい。また、第1角度θ1が、試験された3つの第1角度θ1(25度、35度、50度)のうちの漏洩温度Tが最も低くなる50度である場合には(図4の丸印のグラフ参照)、接触面積Sが、18番の接触面積S(11.9mm2)以下であれば、漏洩温度Tは、摂氏200度以上である。従って、接触面積Sは、11.9mm2以下であることが、特に好ましい。
また、第1パッキン気密評価試験で用いたサンプルのうち、接触面積Sが最も小さいサンプルは、6番である(S=9.8mm2)。接触面積Sが9.8mm2未満のサンプルは試験されていないが、接触面積Sが9.8mm2未満である場合には、先端側パッキン8を挟む圧力が更に高くなるので、漏洩温度Tは、更に上昇すると推定される。従って、先端側パッキン8を挟む力が不足することを抑制するという観点からは、接触面積Sが9.8mm2未満の範囲も、好ましい範囲として採用可能である。
なお、図4の評価結果は、接触面積Sが、9.8mm2以上である場合には、種々の第1角度θ1(25度、35度、50度)で、漏洩温度Tが摂氏200度以上となり得ることを示している。従って、接触面積Sの下限として、9.8mm2を採用してもよい。また、試験された複数の接触面積Sのうちの、第1角度θ1毎の最小の接触面積Sは、1番の10.4mm2(θ1=25度)、4番の9.9mm2(θ1=35度)、6番の9.8mm2(θ1=50度)である。これらの接触面積Sのうちの最大の接触面積S(1番の10.4mm2)を、接触面積Sの下限として採用してもよい。
A−3−2.変形評価試験:
図5は、変形評価試験の結果を示す概略図である。変形評価試験は、主体金具50(図1)の縮内径部56の内周面56iに変形が生じたか否かを評価する試験である。この評価試験では、表1に示す30個のサンプルの1つ1つを、中心軸COを含む平面で切断し、内周面56iの状態を観察することによって、内周面56iの変形を評価した。図5(A)は、変形が無く、正常な内周面56iの断面例を示し、図5(B)は、変形が生じた内周面56iの断面例を示している。図5(B)の断面例では、内周面56iに段差56sが生じている。このような段差56sが生じた場合に、内周面56iに変形が生じたと判断する。
このような段差56sは、種々の原因によって引き起こされ得る。例えば、縮内径部56の内周面56i上における圧力の不均一性が、段差56sを形成し得る。絶縁碍子10は、先端側パッキン8を、先端側に向かって押圧する。主体金具50の縮内径部56(内周面56i)が先端側パッキン8から受ける圧力は、投影位置PP(図1)よりも径方向外側と比べて、投影位置PPよりも径方向内側の方が、強い。このような圧力の不均一性に起因して、段差56sのような変形が生じ得る。
図5(C)は、評価結果を示す表である。表中では、30個のサンプルが、目標面積Stと第1角度θ1との組み合わせによって、区別されている。丸印は、変形が無いことを示し、バツ印は、変形が生じたことを示している。図示するように、第1角度θ1が25度の場合には、変形が生じたが、第1角度θ1が27度以上の場合には、変形が生じなかった。従って、縮内径部56の変形を抑制するためには、第1角度θ1が27度以上であることが好ましい。
また、図5の評価結果は、第1角度θ1が50度以下である場合には、種々の目標面積St(すなわち、種々の接触面積S)で、縮内径部56の変形を抑制可能であることを示している。従って、第1角度θ1が50度以下であることが好ましい。
A−3−3.第2パッキン気密評価試験:
第2パッキン気密評価試験は、先端側パッキン8の気密性を評価する試験である。上述したスパークプラグ100の各パラメータC、H1、Vが異なる複数のサンプルを作成して、評価試験を行った。以下に示す表2は、15個のサンプル#31〜#45の各パラメータを示す表である。
Figure 2014013654
表2の各列の上部には、列毎の目標体積Vtが示されている。目標体積Vtは、図3(A)で説明した体積Vの目標値である。表2に示すように、体積Vと目標体積Vtとの間には、製造上の都合により、若干の差がある場合がある。なお、絶縁碍子10の外径(図3(A):第2直径D2)は、複数のサンプルの間で同じである(9mm)。幅Cを異ならせるために、複数のサンプルの間では、主体金具50の内径(第1直径D1)が異なっている。また、複数のサンプルの間では、加締部53と第1後端側パッキン6との軸方向の位置は、同じである。第1長H1を異ならせるために、複数のサンプルの間では、絶縁碍子10の絶縁体第2縮径部11の軸方向の位置(すなわち、第2後端側パッキン7の軸方向の位置)が異なっている。第1長H1が長いほど、絶縁体第2縮径部11(第2後端側パッキン7)の軸方向の位置が、先端側にシフトする。図3(A)に示すように、主体金具50の変形部58は、径方向外側に向かって突出するように変形しているので、変形部58は、内周面が凹んだ溝部58cを形成する。タルク9が溝部58cに漏れる可能性を低減するために、絶縁体第2縮径部11の先端11fは、溝部58cの後端58cbよりも、後端側に配置される。スパークプラグ100の他の構成に関しては、サンプル間で同じである。
各サンプルに共通の各種寸法は、以下の通りである。
接触面積S = 11mm2
第1角度θ1 = 35度
第2角度θ2 = 30度
第2長H2 = 27.73mm
第2直径D2 = 9mm
第1直径D1 = 第2直径D2+2*幅C
図6は、第2パッキン気密評価試験の結果を示すグラフである。横軸は、第1長H1と幅Cとで規定される部分(図3参照)の体積Vを示し、縦軸は、漏洩温度T2を示している。第2パッキン気密評価試験の漏洩温度T2は、漏洩した空気の流量が5cm3/min以上となった時の試験台の座面の温度である(図4の第1パッキン気密評価試験では、流量の基準が10cm3/minである)。このように、第2パッキン気密評価試験では、第1パッキン気密評価試験と比べて、漏洩した空気の流量の基準を小さく(厳しく)することによって、気密性を評価した。なお、流量の基準が異なる点を除いて、第2パッキン気密評価試験の漏洩温度T2の測定方法は、第1パッキン気密評価試験の漏洩温度Tの測定方法と、同じである。グラフ中の各データ点に付された符号(#を含む符号)は、サンプルの番号を示している。図示するように、第1長H1が同じ場合には、体積Vが小さいほど、漏洩温度T2が高くなる。この理由は、図3で説明したように、体積Vが小さいほど、タルク9を伝わる力の分散が抑制されるので、先端側パッキン8(図1)を挟む力が大きくなるからだと推定される。また、体積Vがおおよそ同じである場合には、第1長H1が短いほど、漏洩温度T2が高くなる。この理由は、図3で説明したように、第1長H1が短いほど、タルク9を伝わる力の分散が抑制されるので、先端側パッキン8(図1)を挟む力が大きくなるからだと推定される。
ここで、漏洩温度T2が摂氏200度以上である体積Vの範囲を、好ましい範囲として採用する。図6の評価結果では、体積Vが、34番と39番との体積V(151mm3)以下である場合には、種々の第1長H1(3mm、4mm、6mm)で、漏洩温度T2が摂氏200度以上となる。従って、体積Vは、151mm3以下であることが好ましい。また、第1長H1が、試験された3つの第1長H1(3mm、4mm、6mm)のうちの漏洩温度T2が最も低くなる6mmである場合には(図6の丸印のグラフ参照)、体積Vが、44番の体積V(150mm3)以下であれば、漏洩温度T2は、摂氏200度以上である。従って、体積Vは、150mm3以下であることが、特に好ましい。
また、第2パッキン気密評価試験で用いられたサンプルのうち、体積Vが最も小さいサンプルは、31番と41番とである(V=110mm3)。体積Vが110mm3未満のサンプルは試験されていないが、体積Vが110mm3未満である場合には、タルク9における力の分散が更に小さくなるので、先端側パッキン8を挟む力が更に強くなり、漏洩温度T2は更に上昇すると推定される。従って、先端側パッキン8を挟む力が不足することを抑制するという観点からは、体積Vが110mm3未満の範囲も、好ましい範囲として採用可能であると推定される。
なお、図6の評価結果は、体積Vが110mm3以上である場合には、種々の第1長H1(3mm、4mm、6mm)で、漏洩温度T2が摂氏200度以上となり得ることを示している。従って、体積Vの下限として、110mm3を採用してもよい。また、試験された複数の体積Vのうちの、第1長H1毎の最小の体積Vは、31番の110mm3(H1=3mm)、36番の111mm3(H1=4mm)、41番の110mm3(H1=6mm)である。これらの体積Vのうちの最大の体積V(36番の111mm3)を、体積Vの下限として採用してもよい。
A−3−4.全体気密評価試験:
図7は、全体気密評価試験の結果を示すグラフである。全体気密は、スパークプラグ100の全体の気密性を意味している。全体気密評価試験は、スパークプラグ100の振動試験を繰り返し行い、空気漏洩が確認された時点における振動試験の繰り返し回数(以下、「漏洩振動回数」と呼ぶ)を評価する試験である。横軸は、目標体積Vtを示し、縦軸は、漏洩振動回数Nngを示している。この評価試験では、表2に示す15個のサンプルを用いた。グラフ中のデータ点に付された符号(#を含む符号)は、サンプルの番号を示している。振動試験の方法、および、空気漏洩の確認方法としては、「ISO11565」に規定された方法を採用した。具体的には、1回の振動試験は、スパークプラグ100のサンプルを所定の試験台に装着した上で、振動数を50Hz〜500Hz、スイープ率を1オクターブ/分、加速度を30g(294m/s2)として、サンプルの軸方向とその直交方向とにそれぞれ8時間に亘って振動を加える、ことにより行われる。また、空気漏洩の確認方法は、以下の通りである。スパークプラグ100の温度(試験台の座面の温度)が摂氏200度である状態で、スパークプラグ100の先端側に5分間に亘って2.0MPaの圧力を印加し、スパークプラグ100の全体からの単位時間当たりの空気の漏洩量を測定する。漏洩量が2cm3/min以下である場合には、空気漏洩が確認されなかったと判定する。漏洩量が2cm3/minを越える場合には、空気漏洩が確認されたと判定する。
「ISO11565」の規定では、1回の振動試験の後に空気漏洩が確認されないことが要件である。一方、本評価試験では、ISOの規定よりも厳しい、2回の振動試験の後に空気漏洩が確認されないこと、を評価基準とした。すなわち、漏洩振動回数Nngが3以上を、評価基準とした。なお、振動試験を、最大で5回行った。
図示するように、目標体積Vtが110mm3である場合には、第1長H1が3mmである1つのサンプル(31番)の漏洩振動回数Nngが基準を満たしていない(Nng=2)。目標体積Vtが120mm3以上である場合には、全てのサンプルの漏洩振動回数Nngが基準を満たしている(Nngが3以上)。目標体積Vtが120mm3である3つのサンプル(32番、37番、42番)の体積Vうちの、最も小さい体積Vは、37番の119mm3である。図7の試験結果は、体積Vが119mm3以上である場合には、種々の第1長H1(3mm、4mm、6mm)で、漏洩振動回数Nngが基準を満たし得ることを示している。従って、体積Vは、119mm3以上であることが好ましい。また、目標体積Vtが120mm3である3つのサンプル(32番、37番、42番)の体積Vうちの、最も大きい体積Vは、32番と42番との120mm3である。従って、体積Vは、120mm3以上であることが、特に好ましい。
以上の図6、図7の評価結果から、体積Vの好ましい範囲としては、119mm3以上、151mm3以下の範囲(以下、第1範囲と呼ぶ)を採用可能である。表2の二重線で囲まれたサンプルは、体積Vが第1範囲内であるサンプルを示している。幅Cおよび第1長H1としては、体積Vが好ましい範囲(例えば、上述の第1範囲)内にあるという条件下で許容される種々の値を、採用可能である。ここで、表2の15個のサンプルの評価結果から導出可能な幅Cと第1長H1との上限と下限とについて説明する。
例えば、体積Vが第1範囲内にあるという条件下では、第1長H1の最小値は、3mm(32〜34番)である。すなわち、図6、図7の評価結果は、第1長H1が3mm以上の場合に、種々の体積Vと幅Cとの組み合わせで、良好なシール性能を実現可能であることを示している。従って、第1長H1の下限として、3mmを採用可能である。
また、体積Vが第1範囲内にあるという条件下では、幅Cの最小値は、0.66mm(42番)である。すなわち、図6、図7の評価結果は、幅Cが0.66mm以上の場合に、種々の体積Vと第1長H1との組み合わせで、良好なシール性能を実現可能であることを示している。従って、幅Cの下限として、0.66mmを採用可能である。
また、体積Vが第1範囲内にあるという条件下では、第1長H1の最大値は、6mm(42〜44番)である。すなわち、図6、図7の評価結果は、第1長H1が6mm以下の場合に、種々の体積Vと幅Cとの組み合わせで、良好なシール性能を実現可能であることを示している。従って、第1長H1の上限として、6mmを採用可能である。
また、体積Vが第1範囲内にあるという条件下では、幅Cの最大値は、1.52mm(34番)である。すなわち、図6、図7の評価結果は、幅Cが1.52mm以下の場合に、種々の体積Vと第1長H1との組み合わせで、良好なシール性能を実現可能であることを示している。従って、幅Cの上限として、1.52mmを採用可能である。
A−3−5.比率評価試験:
比率評価試験は、全体気密とパッキン気密とに基づいて、第2長H2に対する第1長H1の比率(H1/H2)を評価する試験である。以下に示す表3は、試験された6個のサンプル(46番〜51番)のパラメータと、評価試験結果と、を示す表である。
Figure 2014013654
表中には、比率(H1/H2)と、第1長H1と、第2長H2と、全体気密の評価結果と、パッキン気密の評価結果と、が示されている。表3に示すように、第1長H1は、6個のサンプル毎に異なっており、第2長H2は、6個のサンプルに共通である。すなわち、上記の表2のサンプルと同様に、複数のサンプルの間では、加締部53(図3(A))と第1後端側パッキン6との軸方向の位置は、同じであり、絶縁碍子10の絶縁体第2縮径部11の軸方向の位置(すなわち、第2後端側パッキン7の軸方向の位置)が異なっている。他の構成に関しては、6個のサンプル間で同じである。
各サンプルに共通な各種寸法は、以下の通りである。
接触面積S = 11mm2
第1角度θ1 = 35度
第2角度θ2 = 30度
第1直径D1 = 11.2mm
第2直径D2 = 9mm
幅C = 1.1mm
なお、体積Vは、「V=π*(D12−D22)*H1/4」によって算出可能である。各サンプルの体積Vは、46番:105mm3、47番:122mm3、48番:140mm3、49番:157mm3、50番:175mm3、51番:209mm3、である。
全体気密の評価試験は、図7で説明した評価試験と同じである。表3に示す全体気密の評価基準は、以下の通りである。
一重丸:漏洩振動回数Nngが、4以上、5以下(3回の振動試験の後で気密維持)
二重丸:漏洩振動回数Nngが、6以上(5回の振動試験の後で気密維持)
パッキン気密の評価試験は、図4で説明した評価試験と同じである。表3に示すパッキン気密の評価基準は、以下の通りである。
一重丸:漏洩温度Tが、摂氏200度以上、摂氏220度未満
二重丸:漏洩温度Tが、摂氏220度以上
表3に示すように、比率(H1/H2)が高い程、全体気密の評価結果が良い。この理由は、比率が高いほど、タルク9(図1)の量が多くなり、タルク9による振動吸収能力が向上するからであると推定される。具体的には、比率が0.11である場合には、全体気密の評価結果が一重丸であるが、比率が0.13以上である場合には、全体気密の評価結果が二重丸である。従って、比率は、0.11以上であることが好ましく、0.13以上であることが特に好ましい。
また、表3に示すように、比率(H1/H2)が低いほど、パッキン気密の評価結果が良い。この理由は、比率が低いほど、タルク9(図3)の量が少なくなり、先端側パッキン8(図1)を挟む力が強くなるからであると推定される。具体的には、比率が0.22である場合には、パッキン気密の評価結果が一重丸であるが、比率が0.18以下である場合には、パッキン気密の評価結果が二重丸である。従って、比率は、0.22以下であることが好ましく、0.18以下であることが特に好ましい。
なお、スパークプラグ100が振動する場合、タルク9の近傍において、主体金具50と絶縁碍子10との間の相対的な位置が変動し得る。タルク9は、この相対的な位置変動を吸収する。相対的な位置変動は、振動時の主体金具50の動きと絶縁碍子10の動きとの間の差によって生じる。主体金具50と絶縁碍子10とが重い場合には、主体金具50と絶縁碍子10との一方の動きの変化に他方が追従することが難しくなるので、相対的な位置変動が大きくなりやすいと推定される。また、第2長H2が長いことは、主体金具50と絶縁碍子10とが長い、すなわち、主体金具50と絶縁碍子10とが重いことを示している。従って、振動吸収に適した第1長H1は、第2長H2が長いほど、長くなる。以上により、第2長H2が表3のサンプルの第2長H2と異なる場合にも、良好な全体気密とパッキン気密とを実現するためには、比率(H1/H2)が上述した範囲内にあることが、好ましい。
以上、5つの評価試験について説明した。それらの評価試験の結果に応じて各パラメータを決定することによって、スパークプラグ100のネジ部52が小径(呼び径=M10)であっても、シール性能を向上できる。
なお、一部のパラメータが、上述の好ましい範囲の外に設定されていてもよい。ISO11565の規定では、1回の振動試験の後に空気漏洩が確認されないことが要件である。従って、図7に示す評価結果において、漏洩振動回数Nngが2以上となる体積Vの範囲を採用してもよい。例えば、目標体積Vtが110mm3であるサンプルの体積V(例えば、31番、41番の110mm3、または、36番の111mm3)を、下限として採用してもよい。また、表3に示す全体気密の評価結果では、一重丸は、漏洩振動回数Nngが4以上5以下であることを示している。ここで、漏洩振動回数Nngが2以上であることを評価基準とすれば、0.11よりも小さい比率(H1/H2)を採用することも可能である。
A−4.第1実施形態の変形例:
スパークプラグ100の部材の形状としては、図1に示す形状に限らず、種々の形状を採用可能である。例えば、後端側パッキン6、7としては、種々のリング状の部材(例えば、Oリング)を採用可能である。
絶縁体第1縮径部15の形状としては、後端側から先端側に向かって外形が小さくなる種々の形状を採用可能である。例えば、軸方向の位置の変化に対して曲線を描くように、後端側から先端側に向かって外形が小さくなってもよい。
絶縁体第2縮径部11の形状としては、先端側から後端側に向かって外形が小さくなる種々の形状を採用可能である。例えば、先端側から後端側に向かって、軸方向の位置の変化に対して直線的に、外形が小さくなってもよい。
縮内径部56の内径は、軸方向の位置の変化に対して曲線を描くように、後端側から先端側に向かって小さくなる部分を含んでもよい。図8は、変形例のスパークプラグ100xにおける、先端側パッキン8の近傍の構成の説明図である。図8(A)には、図2(A)と同様の、中心軸COxを含む平断面の一部分が示されている。縮内径部56xの内周面56xiは、軸方向の位置の変化に対して直線的に内径が変化する第1部分LPと、軸方向の位置の変化に対して曲線を描くように内径が変化する第2部分RPと、を含んでいる。このような場合も、第1角度θ1としては、第1部分LPと、中心軸COと垂直な仮想平面HP1と、がなす角度のうちの鋭角を採用可能である。ドリル等の工具を利用して縮内径部を形成する場合には、内周面の断面形状が直線を成す部分(以下「直線部分」と呼ぶ)が、形成され得る(特に、縮内径部56xの後端56xbの近傍、すなわち、内径が小さくなり始める位置の近傍に、直線部分が形成され易い)。従って、第1角度θ1としては、そのような直線部分を利用することによって特定される角度を、採用可能である。
また、接触面積Sについても、図2(B)の例と同様に、算出可能である。図8(B)は、接触面積Sの算出の概略図である。図中のラインLxは、図8(A)に示すように、縮内径部56xと先端側パッキン8とが接触する部分に対応するラインである。このラインLxは、曲線部分(第2部分RPの一部)を含む。このような場合にも、図2(B)の例と同様に、ラインLxが、中心軸COxを中心として1周に亘ることと仮定して、接触面積Sを算出可能である。例えば、ラインLxを、軸方向に沿ってN等分する(Nは2以上の整数)。N個の部分ラインがそれぞれ直線であることと仮定して、図2(B)の例と同様に、N個の部分ライン毎の部分面積Spi(i=1〜N)を算出する。部分面積Spi(i=1〜N)の合計値を、接触面積Sとして算出する。
B.第2実施形態:
図9は、本発明のスパークプラグの第2実施形態としてのスパークプラグ1100の部分断面図である。図9において、一点鎖線で示す軸線COの右側は、外観正面図を示し、軸線COの左側は、スパークプラグ1100の中心軸を通る断面でスパークプラグ1100を切断した断面図を示している。以下では、図9におけるスパークプラグ1100の軸線CO方向の下側(Dr1側)をスパークプラグ1100の先端側、上側(Dr2側)を後端側として説明する。スパークプラグ1100は、絶縁碍子1010と、中心電極1020と、接地電極1030と、端子電極1040と、主体金具1050とを備える。
絶縁碍子1010は、中心電極1020および端子電極1040を収容する軸孔1012が、その中心に形成された筒状の絶縁体である。軸孔1012は、軸線CO方向に延びて形成される。絶縁碍子1010は、アルミナを始めとするセラミックス材料を焼成して形成される。絶縁碍子1010の軸線CO方向の中央には、絶縁碍子1010のうちで外径が最も大きい中央胴部1019が形成されている。絶縁碍子1010の中央胴部1019よりも後端側には、端子電極1040と主体金具1050との間を絶縁する後端側胴部1018が形成されている。絶縁碍子1010の中央胴部1019よりも先端側には、後端側胴部1018よりも外径が小さい先端側胴部1017が形成されている。絶縁碍子1010の先端側胴部1017の更に先端側には、先端側胴部1017よりも小さい外径を有し、中心電極1020側へ向かうほど外径が小さくなる脚長部1013が形成されている。先端側胴部1017と脚長部1013との間には、先端側に向けて外径が縮径し、先端側胴部1017と脚長部1013とを連結する縮径部1015が形成されている。
絶縁碍子1010の軸孔1012には、中心電極1020が挿入される。中心電極1020は、有底筒状に形成された電極母材1021の内部に、電極母材1021よりも熱伝導性に優れる芯材1025を埋設した棒状の部材である。本実施例では、電極母材1021は、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金から成る。また、芯材1025は、銅または銅を主成分とする合金から成る。中心電極1020は、軸孔1012内で絶縁碍子1010に保持され、中心電極1020の先端側では、中心電極1020の先端が軸孔1012(絶縁碍子1010)から外部に露出している。かかる中心電極1020は、軸孔1012に挿入された、セラミック抵抗1003およびシール体1004を介して端子電極1040に電気的に接続される。
接地電極1030は耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、ニッケル合金が用いられる。この接地電極1030の基端部は、主体金具1050の先端面1057に溶接されている。接地電極1030の先端部は、軸線CO上に向かって屈曲されている。この接地電極1030の先端部と、中心電極1020の先端面との間に、火花放電を生じる火花ギャップSGが形成される。
端子電極1040は、軸孔1012の後端側に設けられ、その後端側の一部は、絶縁碍子1010の後端側から露出している。端子電極1040には高圧ケーブル(図示省略)がプラグキャップ(図示省略)を介して接続され、高電圧が印加される。
主体金具1050は、絶縁碍子1010の後端側胴部1018の一部から脚長部1013に亘る部位を周方向に包囲して保持する円筒状の金具である。主体金具1050は低炭素鋼材より形成され、全体にニッケルメッキや亜鉛メッキ等のメッキ処理が施されている。主体金具1050は、工具係合部1051と、取付ネジ部1052と、加締部1053と、シール部1054とを備える。これらは、後端から先端に向かって、加締部1053、工具係合部1051、シール部1054、取付ネジ部1052の順に形成されている。工具係合部1051は、スパークプラグ1100を、内燃機関のエンジンヘッド1150に取り付ける工具が嵌合する。取付ネジ部1052は、エンジンヘッド1150の取付ネジ孔1151に螺合するネジ山を有する。
取付ネジ部1052の内径側には、径方向内側に突出した突出部1060が形成される。突出部1060は、絶縁碍子1010の縮径部1015および脚長部1013の後端側と向かい合う位置に形成される。この突出部1060と、絶縁碍子1010の縮径部1015との間には、環状のシール部材としてのパッキン1008が設けられる。パッキン1008は、突出部1060と縮径部1015とに接触して、絶縁碍子1010と主体金具1050との間をシールする。パッキン1008には、冷間圧延鋼板などを使用できる。
加締部1053は、主体金具1050の後端側の端部に設けられた薄肉の部材であり、主体金具1050が絶縁碍子1010を保持するために設けられる。具体的には、スパークプラグ1100の製造時において、加締部1053を内側に折り曲げて、この加締部1053を先端側に押圧することにより、中心電極1020の先端が主体金具1050の先端側から突出した状態で、絶縁碍子1010が主体金具1050に一体的に保持される。シール部1054は、取付ネジ部1052の根元に鍔状に形成されている。シール部1054とエンジンヘッドとの間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット1005が嵌挿される。かかるスパークプラグ1100は、エンジンヘッド1150の取付ネジ孔1151に主体金具1050を介して取り付けられる。
図10は、図9に示したスパークプラグ1100のうちの、パッキン1008の周辺部の拡大断面図である。主体金具1050に形成された突出部1060は、一定の径で形成された頂部1061と、先端側に向けて内径が縮径する縮径部1062とを備えている。頂部1061は、突出部1060のうちで最も内径が小さい。縮径部1062は、突出部1060のうちの、頂部1061よりも後端側に位置する部位である。縮径部1062は、絶縁碍子1010の縮径部1015と向かい合う位置に形成される。
パッキン1008は、絶縁碍子1010の縮径部1015と、主体金具1050の縮径部1062との間に配置される。また、パッキン1008は、絶縁碍子1010の先端側胴部1017の外径面を仮想的に先端側に延長した延長線EL1を軸線COと直交する方向について少なくとも含む位置に、配置される。本実施例では、パッキン1008は、縮径部1062とパッキン1008とが、縮径部1062の表面の全体に亘って接触するように配置される。
図10に示す断面において、軸線COと直交する平面HP2(断面図である図10において直線で表されている)と、絶縁碍子1010の縮径部1015の外形線とのなす角のうち鋭角の角度を、角度θ22(0°<θ22<90°)とする。また、軸線COと直交する平面HP1(断面図である図10において直線で表されている)と、主体金具1050の縮径部1062の外形線とのなす角のうち鋭角の角度を、角度θ21(0°<θ21<90°)とする。なお、第1実施形態の図2と、第2実施形態の図10とにおいては、平面HP1,HP2の軸線CO方向の位置が異なっている。しかし、主体金具1050の縮径部1062の角度θ21、および絶縁碍子1010の縮径部1015の角度θ22を決定するに際して、平面HP1,HP2の軸線CO方向の位置は、任意の位置に設定することができる。このとき、本実施例のスパークプラグ1100は、次に示す式(1)の条件を満たす。つまり、縮径部1062の外形線は、縮径部1015の外形線と比べて、軸線COと直交する方向(本明細書において、単に直交方向ともいう)に対する傾きが大きい。なお、縮径部1015の外形線の一部分に曲線を含む場合、例えば、先端側胴部1017と縮径部1015との連結点が面取りされている場合には、角度θ22は、縮径部1015の外形線のうちの直線部分によって規定される。角度θ21についても同様である。
θ21>θ22・・・(1)
また、本実施例のスパークプラグ1100は、次に示す式(2)および式(3)の条件を満たす。式(2)、式(3)は、いずれも選択的な条件であり、必須ではない。
θ22≧30°・・・(2)
θ21−θ22≦7°・・・(3)
上述したスパークプラグ1100において、パッキン1008は、「課題を解決するための手段」における「シール部材」に該当する。絶縁碍子1010は、「絶縁体」に該当する。先端側胴部1017は、「第1部位」に該当する。脚長部1013は、「第2部位」に該当する。縮径部1015は、「絶縁体第1縮径部」に該当する。縮径部1062は、「主体金具側縮径部」に該当する。
図11は、比較例としてのスパークプラグ1100aのうちの、パッキン1008aの周辺部の拡大断面図である。図11において、スパークプラグ1100aの各構成要素は、それに対応する、スパークプラグ1100(図10参照)の各構成要素に付した符号の末尾に「a」を付した符号を用いて示す。スパークプラグ1100aは、角度θ22と角度θ21との関係のみがスパークプラグ1100と異なり、その他の構成は、スパークプラグ1100と同様である。スパークプラグ1100aでは、角度θ22と角度θ21とは、次に示す式(4)の条件を満たす。つまり、縮径部1062aの外形線と、縮径部1015aの外形線とは、平行に形成されている。
θ22=θ21・・・(4)
かかる比較例としてのスパークプラグ1100aによれば、縮径部1062aは、その表面の全体に亘って、パッキン1008から均一に荷重を受ける。一方、本実施例としてのスパークプラグ1100によれば、上記の式(1)の条件を満たすことによって、縮径部1062が受ける荷重は、縮径部1062の内周側(軸線CO側)と比べて、外周側で大きくなる。つまり、縮径部1062の外周側に偏荷重が加わり、外周側の面圧が部分的に大きくなる。したがって、絶縁碍子1010と主体金具1050との間のシール性能を向上できる。また、縮径部1062の内周側に加わる面圧が相対的に低減されるため、突出部1060が、パッキン1008から荷重を受けて、絶縁碍子1010側に突出するように変形することを抑制できる。その結果、変形した突出部1060によって、パッキン1008の内径側の部位が絶縁碍子1010に押しつけられ、絶縁碍子1010が損傷することを抑制できる。
また、スパークプラグ1100によれば、上記の式(2)の条件を満たすことによって、スパークプラグ1100を内燃機関で使用する際に、軸線方向と直交する方向の振動を受ける場合にも、シール性能を向上することができる。この点については、図12Aおよび図12Cを用いて説明する。
図12Aおよび図12Bは、縮径部1062がパッキン1008から受ける荷重の方向を示す。図12Aは、上記の式(2)の条件を満たすケースを示し、図12Bは、式(2)の条件を満たさないケースを示す。図12Aに示すように、縮径部1062がパッキン1008から受ける軸線CO方向の荷重F21は、縮径部1062の表面に沿った方向の力F21xと、縮径部1062の表面に垂直な方向の力F21yとに分解できる。縮径部1062の表面に沿った方向の力F21xの軸線COと直交する方向の成分を、力F21xhとして図12Aに示す。縮径部1062の表面と直交する方向の力F21yの軸線COと直交する方向の成分を、力F21yhとして図12Aに示す。力F21xhと力F21yhとは、つり合っている。
同様に、図12Bに示すように、縮径部1062がパッキン1008から受ける軸線CO方向の荷重F22は、縮径部1062の表面に沿った方向の力F22xと、縮径部1062の表面と直交する方向の力F22yとに分解できる。縮径部1062の表面に沿った方向の力F22xの軸線COと直交する方向の成分を、力F22xhとして図12Bに示す。縮径部1062の表面と直交する方向の力F22yの軸線COと直交する方向の成分を、力F22yhとして図12Bに示す。力F22xhと力F22yhとは、つり合っている。
ここで、図12Aおよび図12Bを見れば明らかなように、上記の式(2)の条件を満たすスパークプラグ1100における力F21xh,F21yhは、式(2)の条件を満たさないスパークプラグ1100における力F22xh,F22yhよりも大きい。すなわち、スパークプラグ1100の軸線COと直交する方向に作用して主体金具1050とパッキン1008とを押しつけ合う力は、上記(2)の条件を満たすスパークプラグ1100(図12A参照)の方が大きい。主体金具1050がパッキン1008を押す力は、パッキン1008を介して絶縁碍子1010に伝えられる。このため、上記(2)の条件を満たすスパークプラグ1100(図12A参照)の方が、スパークプラグ1100の軸線COと直交する方向に作用して主体金具1050と絶縁碍子1010とを押しつけ合う力が、大きい。その結果、上記(2)の条件を満たすスパークプラグにおいては、主体金具1050と絶縁碍子1010とがスパークプラグの軸線方向と直交する方向において強く押し付けられることになり、スパークプラグ1100が軸線方向と直交する方向の振動を受けても、絶縁碍子1010が緩みにくく、その結果、シール性能が向上する。
また、スパークプラグ1100によれば、上記の式(3)の条件を満たすことによって、縮径部1062の外周側に加わる偏荷重を適度な範囲に設定できる。したがって、偏荷重が大きくなりすぎて、当該偏荷重によって縮径部1062が先端側に大きく凹んで、絶縁体出寸が変わることを抑制できる。つまり、絶縁体出寸のばらつきを抑制し、その結果、スパークプラグ1100の熱特性(熱価)のばらつきを抑制できる。
Figure 2014013654
表4は、スパークプラグ1100についての第1の気密性試験および変形試験の結果である。これらの試験は、上記の式(1)の条件に関する。第1の気密性試験では、「θ21−θ22」の値を変化させて、絶縁碍子1010と主体金具1050との間のシール性能を確認した。サンプルとしてのスパークプラグ1100は、上記の式(3)の条件を満たし、式(2)の条件を満たさないものを採用した。「θ21−θ22」の値ごとのサンプル数は、それぞれ10個である。この第1の気密性試験では、JIS B 8031に規定された気密性試験に準じた試験を行った。具体的には、スパークプラグ1100を内燃機関に模した試験台に取り付けた後、150℃で30分間保持した後に、内部側(先端側)の空気圧を1.5MPaに加圧した状態で、スパークプラグ1100の加締部1053から外部側への空気漏洩の有無を確認した。そして、全てのサンプルについて空気漏洩が確認されなかった場合を「○」(望ましい)と評価し、少なくとも1つのサンプルについて空気漏洩が確認された場合を「△」(普通)と評価した。なお、本実施例の評価条件は、JIS B 8031よりも厳しく設定されている。具体的には、JIS B 8031では、空気の漏洩量が1.0ml/min以下であることを評価基準としているが、本実施例では、空気漏洩の有無を評価基準とした。
表4に示すように、かかる第1の気密性試験では、「θ21−θ22」の値が0°の場合にのみ「△」の評価が得られた。一方、θ21>θ22の場合、および、θ21<θ22の場合には、「○」の評価が得られた。
変形試験では、第1の気密性試験を行った後のスパークプラグ1100を対象として、突出部1060の変形の有無を確認した。この変形試験では、スパークプラグ1100を解体して、主体金具1050を切断し、その切断断面を撮像した。次に、その撮像画像から、突出部1060の変形の有無を判定した。そして、全てのサンプルについて突出部1060の変形が確認されなかった場合を「○」(望ましい)と評価し、少なくとも1つのサンプルについて変形が確認された場合を「△」(普通)と評価した。
図13Aおよび図13Bは、突出部1060の変形の有無の判定手法を示す。図13Aは、変形が生じた突出部1060の断面図を示している。図13Bは、変形が生じていない突出部1060の断面図を示している。図13Cは、変形の有無の判定手法を示している。図13Cに示すように、この手法では、まず、突出部1060の頂部1061の外形線のうちの変形していない箇所、つまり直線形状の箇所(図13Cでは未変形部1061b)を特定する。次に、未変形部1061bを、その直線形上に沿って仮想的に延長した延長線EL2を基準線として、延長線EL2よりも内径側に突出した部分(図13Cでは、変形部1061c)が確認された場合に、変形ありと判定する。
表4に示すように、かかる変形試験では、θ21−θ22≦−1°の場合に「△」の評価が得られた。一方、θ21−θ22≧0°の場合には「○」の評価が得られた。
Figure 2014013654
表5は、スパークプラグ1100についての第2の気密性試験の結果である。この試験は、パッキン1008の態様、より具体的には、大きさと配置位置とに関する。第2の気密性試験では、パッキン1008の態様A〜Cを設定し、それぞれについて、第1の気密性試験と同様の方法で、シール性能を評価した。サンプルとしてのスパークプラグ1100は、上記の式(1)の条件を満たし、式(2)および式(3)の条件を満たさないものを採用した。
図14A〜図14Cは、パッキン1008の態様A〜Cの内容を示す説明図である。図14Aに示す態様Aのパッキン1008は、直交方向において、上述した延長線EL1を少なくとも含む位置に配置される。また、態様Aのパッキン1008は、縮径部1062とパッキン1008とが縮径部1062の表面の全体に亘って接触するように配置される。つまり、態様Aは、上述した本実施例としてのパッキン1008の態様である。
図14Bに示す態様Bのパッキン1008は、態様Aと同様に、延長線EL1を少なくとも含む位置に配置される。一方、態様Bのパッキン1008は、態様Aと異なり、縮径部1062とパッキン1008とが縮径部1062の表面の一部分のみで接触するように配置される。
図14Cに示す態様Cのパッキン1008は、態様A,Bと異なり、延長線EL1を含まない位置に配置される。また、態様Cのパッキン1008は、態様Bと同様に、縮径部1062とパッキン1008とが、縮径部1062の表面の一部分のみで接触するように配置される。
表5に示すように、かかる態様A〜Cのパッキン1008を使用した第2の気密性試験では、態様A,Bについて「○」(望ましい)の評価が得られた。一方、態様Cについては、「△」(普通)の評価が得られた。以上の説明からも明らかなように、パッキン1008は、直交方向において、延長線EL1を少なくとも含む位置に配置されていれば、縮径部1062とパッキン1008とが、縮径部1062の表面の一部分のみで接触するように配置されても、所定のシール性能を発揮する。なお、上述した第1の気密性試験および変形試験のサンプルは、態様Aのパッキンを採用したスパークプラグ1100である。
Figure 2014013654
表6は、スパークプラグ1100についての第3の気密性試験の結果である。この試験は、上記の式(2)および式(3)の条件に関する。第3の気密性試験では、「θ21−θ22」の値および角度θ22の値を変化させて、絶縁碍子1010と主体金具1050との間のシール性能を確認した。この第3の気密性試験では、まず、サンプルとしてのスパークプラグ1100に対して、JIS B 8031 7.4に規定された衝撃試験に準じた衝撃を加えた。具体的には、スパークプラグ1100を規定トルクで締め付けて、鉄製治具に取り付けた後、衝程22mmの衝撃を400回/minの割合で20分間加える。衝撃の方向は、スパークプラグ1100の内燃機関での使用時に受ける振動の方向に模して、スパークプラグの中心軸に直交する方向とした。本実施例の衝撃条件は、JIS B 8031 7.4よりも厳しく設定されている。具体的には、振動を加える時間は、JIS B 8031 7.4では10分間であるが、本実施例では、20分間とした。そして、衝撃を加えた後、第1の気密性試験と同様の方法で、スパークプラグ1100のシール性能を評価した。事前に衝撃を加える点において、第3の気密性試験は、第1の気密性試験よりも厳しい試験条件であるといえる。
表6に示すように、かかる第3の気密性試験では、θ22≦28°の場合に「△」(普通)の評価が得られた。一方、θ22≧30°の場合に「○」(望ましい)の評価が得られた。「θ21−θ22」の値は、評価結果に影響しなかった。
Figure 2014013654
表7は、スパークプラグ1100についての第1の耐熱性試験の結果である。この試験は、上記の式(2)および式(3)の条件に関する。第1の耐熱性試験では、「θ21−θ22」の値および角度θ22の値を変化させて、スパークプラグ1100の耐熱性を確認した。この第1の耐熱性試験では、熱価7番で設計されたスパークプラグ1100をサンプルとして使用した。また、1.6L、L4(直列4気筒)のエンジンの熱価7番のスパークプラグにおける下限進角値よりもマイナス2°CA(Crank Angle)の進角値で、プレイグニッションの発生の有無を確認した。プレイグニッションは、絶縁碍子1010の先端部の温度上昇によって発生するので、プレイグニッションが発生しないということは、スパークプラグ1100の熱引き性能が良い、つまり、耐熱性能が高いといえる。そして、プレイグニッションが発生しなかった場合を「○」(望ましい)と評価し、プレイグニッションが発生した場合を「△」(普通)と評価した。
表7に示すように、かかる第1の耐熱性試験では、θ21−θ22≧8°の場合に「△」の評価が得られた。一方、θ21−θ22≦7°の場合に「○」の評価が得られた。角度θ22の値は、評価には影響しなかった。
C.第3実施形態:
図15は、本発明の第3実施形態としてのスパークプラグ1200のうちのパッキン1208の周辺部の拡大断面図である。以下の説明において、スパークプラグ1200の各構成要素は、それに対応する、スパークプラグ1100(図9、図10参照)の各構成要素に付した符号の下2桁と同一の符号を下2桁に採用した符号を用いて呼ぶこととする。第3実施形態としてのスパークプラグ1200は、パッキン1208の態様のみが第2実施形態と異なり、その他の構成については、第2実施形態と同様である。以下では、第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図15に示すように、パッキン1208は、絶縁碍子1210の縮径部1215と、主体金具1250の縮径部1262との間から、絶縁碍子1210の先端側胴部1217と、主体金具1250のうちの縮径部1262よりも後端側の部位と、の間にまで亘って配置されている。先端側胴部1217と、主体金具1250のうちの縮径部1262よりも後端側の部位との両方に接触している部分のパッキン1208の軸線CO方向の長さをL1とする。このとき、スパークプラグ1200は、次に示す式(5)の条件を満たす。
L1≧0.10mm・・・(5)
かかる態様のパッキン1208を備えたスパークプラグ1200は、種々の方法で製造することができる。例えば、パッキン1208の硬度を調節し、パッキン1208の一部分が、先端側胴部1217と、主体金具1250のうちの縮径部1262よりも後端側の部位との間において、後端側に伸びるように加締部1253を加締めて、スパークプラグ1200を製造してもよい。あるいは、先端側胴部1217と、主体金具1250のうちの縮径部1262よりも後端側の部位との間に、潤滑油を予め塗布するなどして、パッキン1008が後端側に伸びやすい条件下で、加締部1253を加締めて、スパークプラグ1200を製造してもよい。
かかる構成のスパークプラグ1200によれば、ネジ伸びに起因して、縮径部1262とパッキン1208との間に隙間が生じ、シール性能が低下する場合であっても、先端側胴部1217と、主体金具1250のうちの縮径部1262よりも後端側の部位との間で、シール性能を好適に確保することができる。「ネジ伸び」とは、スパークプラグ1100をエンジンヘッド1150に過剰トルクで締め付けた際などに、取付ネジ部1252が軸線CO方向に伸び、それに伴い、突出部1260が軸線CO方向先端側に伸びることをいう。一般的に、ネジ伸びにより生じる変形量は、0.10mmにも満たない。このため、たとえネジ伸びが生じたとしても、本実施例のスパークプラグ1200においては、L1を0.10mm以上としているので、シール性能を確実に確保することができる。
Figure 2014013654
表8は、スパークプラグ1200についての第4の気密性試験の結果である。第4の気密性試験では、長さL1の値を変化させて、上述した第3の気密性試験とほぼ同様の手法によって、絶縁碍子1010と主体金具1050との間のシール性能を確認した。サンプルとしてのスパークプラグ1100は、上記の式(1)を満たし、式(2)および式(3)を満たさないものを採用した。第4の気密性試験は、温度条件のみが第3の気密性試験と異なり、その他の点は、第3の気密性試験と同様である。具体的には、第3の気密性試験では、温度条件が150℃であったのに対して、第4の気密性試験では、より厳しい条件として、200℃を採用した。
表8に示すように、かかる第4の気密性試験では、L1≦0.09mmの場合に「△」(普通)の評価が得られた。一方、L1≧0.10mmの場合に、「○」(望ましい)の評価が得られた。
D.第4実施形態:
図16は、本発明の第4実施形態としてのスパークプラグ1300のうちのパッキン1308の周辺部の拡大断面図である。以下の説明において、スパークプラグ1300の各構成要素は、それに対応する、スパークプラグ1100(図9、図10参照)の各構成要素に付した符号の下2桁と同一の符号を下2桁に採用した符号を用いて呼ぶこととする。第4実施形態としてのスパークプラグ1300は、突出部1360の形状が第2実施形態と異なる。パッキン1308の態様は、第3実施形態に示した態様であるが、第2実施形態に示した態様であってもよい。その他の点については、スパークプラグ1300は、スパークプラグ1100と同様の構成を有する。以下では、突出部1360の形状についてのみ説明する。
突出部1360は、頂部1361と縮径部1362とを備える。縮径部1362は、後端側縮径部1362bと中間部1362cとを備える。後端側縮径部1362bは、縮径部1362のうちの最も後端側に位置する部位であり、第2実施形態の縮径部1062に相当する部位である。中間部1362cは、頂部1361と連結する部位である。中間部1362cは、後端側縮径部1362bと頂部1361との間に位置する。中間部1362cは、第1中間部1362dと第2中間部1362eとを備える。第1中間部1362dは、後端側縮径部1362bに連結し、内径が一定に形成された部位である。第2中間部1362eは、第1中間部1362dと頂部1361とに連結し、先端側に向かって内径が縮径する部位である。本実施例では、第1中間部1362dの内径は、第2中間部1362eの任意の箇所の内径よりも大きい。
かかる形状の突出部1360においては、角度θ21は、軸線COと直交する直線と、主体金具1350の縮径部1362のうちの最も後端側に位置する部位の外形線とのなす角のうち鋭角の角度として規定される。「主体金具1350の縮径部1362のうちの最も後端側に位置する部位」とは、換言すれば、縮径部1362のうちの第1中間部1362dと後端側で連結する部位(後端側縮径部1362b)である。
ここで、頂部1361の内径をφ1とする。中間部1362cのうちの軸線CO方向後端側の端点EP1の内径(図16の例では、第1中間部1362dの内径)をφ2とする。先端側胴部1317の外径をφ3とする。φ1〜φ3の関係は、φ1<φ2<φ3である。このとき、スパークプラグ1300は、以下の式(6)、式(7)の条件を満たす。式(6)、式(7)は、いずれも選択的な条件である。
φ2/φ1≧1.01・・・(6)
φ2/φ3≦0.95・・・(7)
かかる構成のスパークプラグ1300によれば、頂部1361を切り欠くように、中間部1362cが形成されているので、中間部1362cが形成される位置において、突出部1360と絶縁碍子1310との間の直交方向の距離が大きくなる。したがって、突出部1360の内径側への変形を許容するスペースを確保できる。つまり、突出部1360が絶縁碍子1310側に突出するように変形したとしても、パッキン1308の内径側の部位が絶縁碍子1310に押しつけられることを抑制できる。その結果、突出部1360の変形による絶縁碍子1310の損傷を抑制できる。
また、スパークプラグ1300によれば、上記の式(6)の条件を満たすことによって、主体金具1050とパッキン1308との接触面積が有意に低減される。その結果、後端側縮径部1362bに加わる面圧が増大し、絶縁碍子1310と主体金具1350との間のシール性能を向上できる。なお、この効果は、上記のような理由によって奏されるものであり、上記の式(7)を満たさなくても奏される。
また、スパークプラグ1300によれば、上記の式(7)の条件を満たすことによって、後端側縮径部1362bとパッキン1308との接触面積が過剰に低減されることがない。その結果、後端側縮径部1362bに加わる面圧が過剰に増大して、後端側縮径部1362bが先端側に大きく凹んで、絶縁体出寸が変わることを抑制できる。つまり、絶縁体出寸のばらつきを抑制し、その結果、スパークプラグ1300の熱特性のばらつきを抑制できる。なお、この効果は、上記のような理由によって奏されるものであり、上記の式(6)を満たさなくても奏される。
図17は、比較例としてのスパークプラグ1300aのうちのパッキン1308aの周辺部の拡大断面図である。図17において、スパークプラグ1300aの各構成要素は、それに対応する、スパークプラグ1300(図16参照)の各構成要素に付した符号の末尾に「a」を付した符号を用いて示す。スパークプラグ1300aは、突出部1360aの形状のみがスパークプラグ1300と異なり、その他の点は、スパークプラグ1300と同様である。
スパークプラグ1300aの突出部1360aは、スパークプラグ1300の中間部1362cに相当する部位を備えていない。つまり、スパークプラグ1300aは、第2実施形態としての突出部1060と同一の形状である。ここで、頂部1361aの内径は、スパークプラグ1300の第1中間部1362dの内径と同じφ2に形成されている。つまり、頂部1361aと脚長部1313aとの間の直交方向の距離は、スパークプラグ1300の頂部1361と脚長部1313との間の直交方向の距離よりも、大きくなっている。かかるスパークプラグ1300aでは、スパークプラグ1300と同様に、突出部1360aの変形による絶縁碍子1310aの損傷を抑制できる効果を奏する。
上述した実施例としてのスパークプラグ1300によれば、比較例としてのスパークプラグ1300aと比べて、頂部1361と脚長部1313との間の軸線CO方向の距離が小さくなるので、スパークプラグ1300の使用時において、燃焼ガスの後端側への進入を抑制できる。その結果、耐熱性を好適に確保することができる。つまり、スパークプラグ1300によれば、トレードオフの関係にある、突出部1360の変形による絶縁碍子1310の損傷の抑制と、耐熱性の確保とを両立できる。
Figure 2014013654
表9は、スパークプラグ1300についての第5の気密性試験の結果である。第5の気密性試験では、「φ2/φ1」の値と、「φ2/φ3」の値とを変化させて、上述した第4の気密性試験とほぼ同様の手法によって、絶縁碍子1310と主体金具1350との間のシール性能を確認した。サンプルとしてのスパークプラグ1300は、上記の式(1)の条件を満たし、式(2)、式(3)および式(5)の条件を満たさないものを採用した。第5の気密性試験は、温度条件と、締め付け条件とが第4の気密性試験と異なり、その他の点は、第4の気密性試験と同様である。具体的には、第4の気密性試験では、温度条件が200℃であったのに対して、第4の気密性試験では、より厳しい条件として、250℃を採用した。また、スパークプラグ1300を第4の気密性試験よりも過剰なトルクで締め付けた。
表9に示すように、かかる第5の気密性試験では、φ2/φ1=1.00の場合に「△」(普通)の評価が得られた。一方、φ2/φ1≧1.01の場合に「○」(望ましい)の評価が得られた。「φ2/φ3」の値は、評価結果に影響しなかった。
Figure 2014013654
表10は、スパークプラグ1300についての第2の耐熱性試験の結果である。第2の耐熱性試験では、「φ2/φ1」の値と、「φ2/φ3」の値とを変化させて、スパークプラグ1300の耐熱性を確認した。サンプルとしてのスパークプラグ1300は、上記の式(1)の条件を満たし、式(2)、式(3)および式(5)の条件を満たさないものを採用した。第2の耐熱性試験の手法は、上述した第1の耐熱性試験と同様である。
表10に示すように、かかる第2の耐熱性試験では、φ2/φ3≧0.96の場合に「△」(普通)の評価が得られた。一方、φ2/φ3≦0.95の場合に「○」(望ましい)の評価が得られた。「φ2/φ1」の値は、評価結果に影響しなかった。
D.変形例:
上述した中間部1362cの形状は、上述の例に限るものではなく、種々の変形が可能である。中間部1362cの形状は、中間部1362cを有さない構成と比べて、後端側縮径部1362bの先端側の端点、換言すれば、中間部1362cの後端側の端点EP1における内径が、頂部1361の内径よりも大きい形状であればよい。かかる形状として、例えば、中間部1362cの形状は、後端側縮径部1362bの先端側の端点よりも内径が小さく、頂部1361よりも内径が大きい任意の形状としてもよい。
図18は、変形例としてのスパークプラグ1400のうちのパッキン1408の周辺部の拡大断面図である。以下の説明において、スパークプラグ1400の各構成要素は、それに対応する、スパークプラグ1300(図16参照)の各構成要素に付した符号の下2桁と同一の符号を下2桁に採用した符号を用いて呼ぶこととする。第4実施例としてのスパークプラグ1400は、中間部1462cの形状のみが第4実施形態と異なる。その他の点については、スパークプラグ1400は、第4実施形態としてのスパークプラグ1300と同様の構成を有する。以下では、中間部1462cの形状についてのみ説明する。
中間部1462cは、後端側縮径部1462bと頂部1461とを連結する。この中間部1462cは、内径が先端側に向かって縮径するように形成されている。つまり、中間部1462cは、第4実施形態の第1中間部1362dを備えない構成である。かかる構成としても、中間部1462cを有さない構成と比べて、中間部1462cの後端側の端点EP2において、突出部1460と脚長部1413との間の直交方向の距離が大きくなるので、突出部1460の変形による絶縁碍子1410の損傷をある程度抑制できる。
図19は、主体金具50の縮内径部56と、中心軸COと垂直な仮想平面HP1と、がなす第1角度θ1(図2参照)の決定方法を示す図である。なお、図19において、中心軸COは示されていないが、中心軸COの方向を両端矢印で示す。スパークプラグ100の中心軸COを含む平面内において縮内径部56と仮想平面HP1とがなす第1角度θ1は、以下のようにして決定される。
(a1)まず、中心軸CO(図2参照)を挟んだ一方の側において、縮内径部56のうち最も内周側に位置する部分56ieの内径の半径R1と、主体金具50のうち縮内径部56の後端から軸線方向後端側に延びる部分50ieの内径の半径R2と、を定める。そして、半径R1と半径R2との差である半径差Rd1を得る。
(a2)縮内径部56のうち最も内周側に位置する部分56ie(すなわち半径R1を定める部分)と、主体金具50のうち縮内径部56の後端から軸線方向後端側に延びる部分50ie(すなわち半径R2を定める部分)と、の間を、軸線COと直交する方向について8等分する7本の仮想直線であって、軸線COと平行な仮想直線VL11〜VL17を、定める。
(a3)仮想直線VL11〜VL17のうち、最も外周側に位置する仮想直線VL11と、最も内周側に位置する仮想直線VL17と、を除く、5本の仮想直線VL12〜VL16と、縮内径部56の外形線との交点P11〜P15の位置を定める。
(a4)点P11〜P15に対する近似直線AL1と、中心軸COと垂直な仮想平面HP1を表す直線HP1と、がなす角のうち、鋭角の角度αを求める。
(a5)中心軸CO(図2参照)を挟んだ他方の側において、上記(a1)から(a4)と同様の手法により、角度αを求める。なお、区別のため、スパークプラグ100の中心軸COを含む平面内において、中心軸COを挟んだ一方の側の角度αをα1と表記し、他方の側の角度αをα2と表記する。
(a6)角度α1と角度α2の平均値を、第1角度θ1とする。
なお、以上では、第1実施形態のスパークプラグ100の第1角度θ1(図2参照)を例に、主体金具側縮径部の外形線の角度の決定方法を説明した。しかし、第2実施形態のスパークプラグ1100において、軸線COと直交する平面HP1と、主体金具1050の縮径部1062の外形線とのなす角のうち鋭角の角度である角度θ21(図10参照)も、同様の手法で決定することができる。すなわち、本明細書における「第1角度(軸線と直交する直線と主体金具側縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度)」は、上記(a1)から(a6)の処理によって決定される。
図20は、絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15と、中心軸COと垂直な仮想平面HP2と、がなす第2角度θ2(図2参照)の決定方法を示す図である。なお、図20において、中心軸COは示されていないが、中心軸COの方向を両端矢印で示す。スパークプラグ100の中心軸COを含む平面内において絶縁体第1縮径部15と仮想平面HP2とがなす第2角度θ2は、以下のようにして決定される。
(b1)まず、中心軸CO(図2参照)を挟んだ一方の側において、絶縁体第1縮径部15の後端部分15otの外径の半径R22と、絶縁体第1縮径部15の先端部分15ofの外径の半径R21と、を定める。そして、半径R21と半径R22との差である半径差Rd2を得る。
(b2)絶縁体第1縮径部15の後端部分15ot(すなわち半径R22を定める部分)と、絶縁体第1縮径部15の先端部分15of(すなわち半径R21を定める部分)と、の間を、軸線COと直交する方向について8等分する7本の仮想直線であって、軸線COと平行な仮想直線VL21〜VL27を、定める。
(b3)仮想直線VL21〜VL27のうち、最も外周側に位置する仮想直線VL21と、最も内周側に位置する仮想直線VL27と、を除く、5本の仮想直線VL22〜VL26と、絶縁体第1縮径部15の外形線との交点P21〜P25の位置を定める。
(b4)点P21〜P25に対する近似直線AL2と、中心軸COと垂直な仮想平面HP2を表す直線HP2と、がなす角のうち、鋭角の角度βを求める。
(b5)中心軸CO(図2参照)を挟んだ他方の側において、上記(b1)から(b4)と同様の手法により、角度βを求める。なお、区別のため、スパークプラグ100の中心軸COを含む平面内において、中心軸COを挟んだ一方の側の角度βをβ1と表記し、他方の側の角度βをβ2と表記する。
(b6)角度β1と角度β2の平均値を、第2角度θ2とする。
なお、以上では、第1実施形態のスパークプラグ100の第2角度θ2(図2参照)を例に、絶縁体の縮径部の外形線の角度の決定方法を説明した。しかし、第2実施形態のスパークプラグ1100において、軸線COと直交する平面HP2と、絶縁碍子1010の縮径部1015の外形線とのなす角のうち鋭角の角度である角度θ22(図10参照)も、同様の手法で決定することができる。すなわち、本明細書における「第2角度(軸線と直交する直線と絶縁体第1縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度)」は、上記(b1)から(b6)の処理によって決定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、上述した各適用例の構成要素や、実施形態中の要素は、本願の課題の少なくとも一部を解決可能な態様、または、上述した各効果の少なくとも一部を奏する態様において、適宜、組み合わせ、省略、上位概念化を行うことが可能である。たとえば、第2〜第4実施形態の式(1)〜(7)のうちの1以上の式を満たしつつ、第1実施形態の条件の一部または全部を満たすような態様とすることもできる。
5…ガスケット
6…第1後端側パッキン
6f…第1後端側パッキン6の先端
7…第2後端側パッキン
7b…第2後端側パッキン7の後端
8…先端側パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
10o…外周面
11…絶縁体第2縮径部
11f…絶縁体第2縮径部11の先端
12…貫通孔
13…脚部
15…絶縁体第1縮径部
15b…絶縁体第1縮径部15の後端
15o…外周面
16…縮内径部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…鍔部
20…中心電極
21…電極母材
22…芯材
24…鍔部
28…電極チップ
30…接地電極
31…先端部
32…電極母材
38…電極チップ
40…端子金具
41…キャップ装着部
42…鍔部
43…脚部
50…主体金具
50i…内周面
51…工具係合部
52…ネジ部
53…加締部
54…シール部
54a…シール部54の先端側の面
55…胴部
56…縮内径部
56b…縮内径部56の後端
56f…縮内径部56の先端
56i…縮内径部56の内周面
56s…段差
56x…縮内径部
56xb…縮内径部56xの後端
56xi…縮内径部56xの内周面
58…変形部
58c…溝部
58cb…溝部58cの後端
59…貫通孔
60…導電性シール
70…抵抗体
80…導電性シール
100…スパークプラグ
100x…スパークプラグ
1003…セラミック抵抗
1004…シール体
1005…ガスケット
1008,1008a,1208,1308,1308a,1408…パッキン
1010,1010a,1210,1310,1310a,1410…絶縁碍子
1012…軸孔
1013,1013a,1213,1313,1313a,1413…脚長部
1015,1015a,1215,1315,1315a,1415…縮径部
1017,1017a,1217,1317,1317a,1417…先端側胴部
1018…後端側胴部
1019…中央胴部
1020…中心電極
1021…電極母材
1025…芯材
1030…接地電極
1040…端子電極
1050,1050a,1250,1350…主体金具
1051…工具係合部
1052,1052a,1252,1352,1352a,1452…取付ネジ部
1053,1253…加締部
1054…シール部
1057…先端面
1060,1060a,1260,1360,1360a,1460…突出部
1061,1061a,1261,1361,1361a,1461…頂部
1061b…未変形部
1061c…変形部
1062,1062a,1262,1362,1362a…縮径部
1100,1100a,1200,1300,1300a,1400…スパークプラグ
1150…エンジンヘッド
1151…取付ネジ孔
1362b,1462b…後端側縮径部
1362c,1462c…中間部
1362d…第1中間部
1362e…第2中間部
A1…第1距離
A2…第2距離
AL1…近似直線
C…パラメータ
CA…接触部分
CAi…接触部分CAの内部分
CAo…接触部分CAの外部分
CO…中心軸(軸線)
COx…中心軸
CP…交点
D1…第1直径
D2…第2直径
Dr1…第1方向
Dr2…第2方向
EL1,EL2…延長線
EP1,EP2…端点
F1…加締部53から第1後端側パッキン6に第1方向Dr1に作用する第1力
F2a…絶縁碍子10に作用する第1方向Dr1の力
F2b…絶縁碍子10に作用する第1方向Dr1の力
H1…緩衝材が充填される充填部分の前記軸線と平行な長さ(第1長。パラメータ)
H2…充填部分の後端と、絶縁碍子の絶縁体第1縮径部の後端を軸線と平行に主体金具の縮内径部の内周面上に投影した場合の投影位置と、の間の前記軸線と平行な長さ(第2長)
HP1…中心軸COと垂直な仮想平面
HP2…中心軸COと垂直な仮想平面
L…スパークプラグ100の断面における接触部分CAに対応するライン
LP…軸方向の位置の変化に対して直線的に内径が変化する第1部分
Lx…縮内径部56xと先端側パッキン8とが接触する部分に対応するライン
Nng…漏洩振動回数
PF1…第1部分拡大図
PF2…第2部分拡大図
PP…絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15の後端15b(外径が小さくなり始める位置)を、中心軸COと平行に、主体金具50の縮内径部56の内周面56i上に投影した投影位置
Pi…内部分圧力
Po…外部分圧力
R1…第1半径
R2…第2半径
RP…第2部分
S…接触部分CAの面積(接触面積。パラメータ)
SG…火花ギャップ
SP…主体金具50の工具係合部51から加締部53までの部分の内周面と、絶縁碍子10の絶縁体第2縮径部11から後端側胴部18の途中までの部分の外周面と、の間の環状の空間
SPF…タルクの充填部分
Spi…部分ライン毎の部分面積
St…接触部分CAの面積の目標値(目標面積)
T…先端側パッキン8において漏洩した空気の流量が10cm3/min以上となった時の試験台の座面の温度(漏洩温度)
T2…漏洩した空気の流量が5cm3/min以上となった時の試験台の座面の温度(漏洩温度)
V…第1長H1と幅Cとで規定される部分の体積
Vt…体積Vの目標値(目標体積)
θ1…主体金具50の縮内径部56(内周面56i)と、中心軸COと垂直な仮想平面HP1と、がなす角度のうちの鋭角(第1角度。パラメータ)
θ2…絶縁碍子10の絶縁体第1縮径部15(外周面15o)と、中心軸COと垂直な仮想平面HP2と、がなす角度のうちの鋭角(第2角度)
θ21…軸線COと直交する平面HP1(断面図において直線)と、主体金具1050の縮径部1062の外形線とのなす角のうち鋭角の角度
θ22…軸線COと直交する平面HP2(断面図において直線)と、絶縁碍子1010の縮径部1015の外形線とのなす角のうち鋭角の角度
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極を前記軸線方向の先端側で露出させた状態で、前記軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁体と、
前記絶縁体の一部分を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
前記絶縁体と前記主体金具との間をシールする環状のシール部材と
を備え、
前記絶縁体は、第1部位と、前記第1部位よりも前記先端側に位置し、前記第1部位よりも外径が小さい第2部位と、前記先端側に向けて外径が縮径し、前記第1部位と前記第2部位とを連結する絶縁体第1縮径部とを備え、
前記主体金具は、径方向内側に突出した突出部を備え、前記突出部には、前記先端側に向けて内径が縮径する主体金具側縮径部が形成され、
前記シール部材は、前記絶縁体第1縮径部と前記主体金具側縮径部との間において、前記第1部位の外径面を仮想的に前記先端側に延長した延長線を少なくとも含む位置に配置された
スパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記軸線と直交する直線と前記主体金具側縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度を第1角度θ21とし、前記軸線と直交する直線と前記絶縁体第1縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度を第2角度θ22としたとき、
θ21>θ22
かつ、
θ21−θ22≦7°
の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。

Claims (10)

  1. 軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
    前記軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極を前記軸線方向の先端側で露出させた状態で、前記軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁体と、
    前記絶縁体の一部分を周方向に取り囲んで保持する主体金具と、
    前記絶縁体と前記主体金具との間をシールする環状のシール部材と
    を備え、
    前記絶縁体は、第1部位と、前記第1部位よりも前記先端側に位置し、前記第1部位よりも外径が小さい第2部位と、前記先端側に向けて外径が縮径し、前記第1部位と前記第2部位とを連結する絶縁体第1縮径部とを備え、
    前記主体金具は、径方向内側に突出した突出部を備え、前記突出部には、前記先端側に向けて内径が縮径する主体金具側縮径部が形成され、
    前記シール部材は、前記絶縁体第1縮径部と前記主体金具側縮径部との間において、前記第1部位の外径面を仮想的に前記先端側に延長した延長線を少なくとも含む位置に配置された
    スパークプラグであって、
    前記軸線を含む断面において、
    前記軸線と直交する直線と前記主体金具側縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度を第1角度θ21とし、前記軸線と直交する直線と前記絶縁体第1縮径部の外形線とのなす角のうち鋭角の角度を第2角度θ22としたとき、
    θ21>θ22
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  2. 請求項1記載のスパークプラグにおいて、
    前記第2角度θ22は、
    θ22≧30°
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  3. 請求項1または請求項2記載のスパークプラグにおいて、
    前記第1角度θ21および前記第2角度θ22は、
    θ21−θ22≦7°
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか記載のスパークプラグにおいて、
    前記シール部材は、前記絶縁体第1縮径部と前記主体金具側縮径部との間の少なくとも一部から、前記第1部位と、前記主体金具のうちの前記主体金具側縮径部よりも前記軸線方向の後端側の部位と、の間にまで亘って配置され、
    前記第1部位と前記主体金具の前記後端側の部位とに接触している部分の前記シール部材の長さは、前記軸線方向について、0.10mm以上である
    ことを特徴とするスパークプラグ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか記載のスパークプラグにおいて、
    前記突出部は、一定の径で形成され、内径が最も小さい頂部を有し、
    前記主体金具側縮径部は、前記頂部と連結する中間部を備え、
    前記頂部の内径をφ1とし、前記中間部のうちの前記後端側の端点の内径をφ2としたとき、
    φ2/φ1≧1.01
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  6. 請求項5記載のスパークプラグにおいて、
    前記第1部位の外径をφ3としたとき、
    φ2/φ3≦0.95
    の条件を満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  7. 請求項5または請求項6記載のスパークプラグにおいて、
    前記中間部は、
    一定の内径を有する第1中間部と、
    前記第1中間部と前記頂部とを連結する第2中間部と
    を備えたことを特徴とするスパークプラグ。
  8. 請求項1記載のスパークプラグであって、
    前記主体金具は、自身の外面に形成された、呼び径がM10であるネジ部を含み、
    前記主体金具側縮径部と前記シール部材とが接触する部分の面積は、12.3mm2以下であり、
    前記第1角度が、27度以上50度以下である、
    スパークプラグ。
  9. 請求項8に記載のスパークプラグであって、
    前記絶縁体は、前記絶縁体第1縮径部よりも前記軸線方向の後端側に位置し、前記先端側から前記後端側に向けて外径が小さくなる絶縁体第2縮径部を含み、
    前記主体金具は、前記主体金具の後端を形成し、前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部よりも前記後端側に位置し、径方向の内側に向かって屈曲されている加締部を含み、
    前記加締部と前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部との間の、前記主体金具の内周面と前記絶縁体の外周面とによって囲まれた空間である充填部分に充填された緩衝材を含み、
    前記充填部分の体積は、119mm3以上151mm3以下であり、
    前記充填部分の前記軸線と平行な長さは、3mm以上であり、
    前記充填部分の前記径方向の幅は、0.66mm以上である、
    スパークプラグ。
  10. 請求項8または9に記載のスパークプラグであって、
    前記絶縁体は、前記絶縁体第1縮径部よりも前記軸線方向の後端側に位置し、前記先端側から前記後端側に向けて外径が小さくなる絶縁体第2縮径部を含み、
    前記主体金具は、前記主体金具の後端を形成し、前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部よりも前記後端側に位置し、径方向の内側に向かって屈曲されている加締部を含み、
    前記加締部と前記絶縁体の前記絶縁体第2縮径部との間の、前記主体金具の内周面と前記絶縁体の外周面とによって囲まれた空間である充填部分に充填された緩衝材を含み、
    前記充填部分の前記軸線と平行な長さH1と、
    前記充填部分の後端と、前記絶縁体の前記絶縁体第1縮径部の後端を前記軸線と平行に前記主体金具の前記主体金具側縮径部の内周面上に投影した場合の投影位置と、の間の前記軸線と平行な長さH2とは、
    0.13≦H1/H2≦0.18
    の関係を満たし、
    前記主体金具は、前記加締部よりも前記先端側に形成され、内周面が凹んだ溝部を含み、
    前記絶縁体第2縮径部の先端は、前記溝部の後端よりも、前記後端側に配置されている、
    スパークプラグ。
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