JP5363475B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグ(点火栓)に関する。
自動車エンジン等の内燃機関の着火に使用される公知のスパークプラグの一例として、図10に示した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このスパークプラグ201は、先端(図10下端)に中心電極5を突出させた中空軸状(筒状)のセラミック製の絶縁部材(絶縁碍子)1と、この絶縁部材1を包囲する形で保持、固定する筒状の主体金具21などから構成されている。この主体金具21は、内周面(内径)が、先端側より後端側に向けて相対的に大径をなすように形成されており、先端寄り部位の内周面には、絶縁部材1の外周面に設けられた先端向き面からなる環状の突合せ部4を支持させる後端向き面からなる環状の受棚24が設けられている。なお、本願において、スパークプラグ、又はその構成部材である主体金具21や絶縁部材1等の構成部品及び部位(又は部分)において、先端というときは、図10におけるそれらの下端を言い、後端というときはその逆の端(上端)を言うものとする。
一方、絶縁部材1は、その先端寄り部位に位置する先細りテーパをなす先端軸部7の後端に、先端向き面からなる環状の突合せ部4を備えており、この突合せ部4を、上記した受棚24に突き合せるようにして主体金具21の内側に配置されている。なお、絶縁部材1の先端軸部7と、主体金具21の内周面との間には環状(筒状)の絶縁空間Kが形成されている。また、この先端軸部7の後方にはこれより大径の嵌め合い軸部10を備えており、主体金具21内の嵌め合い穴部30に隙間嵌め状態にて配置されている。
このようなスパークプラグ(以下、単にプラグとも言う)201においては、中心電極5等を固定した絶縁部材1は、主体金具21の後端側からその内側に内挿され、内周面の受棚24に、気密保持用のリング状の平パッキン(金属パッキン)42を介在させて、突合せ部4を突き合せるようにして配置される。そして、主体金具21の後端のカシメ部39を軸線G側(内側)に折り曲げ、絶縁部材1の先後の中間部位に設けられたフランジ状の大径軸部12の後端向き面14に被せる様にし、そのカシメ部39を先端側に強く圧縮して、絶縁部材1を主体金具21内に固定している。すなわち、主体金具21の受棚24と絶縁部材1の突合せ部4との間に、平パッキン42を介在させ、その間を締め付けて気密を保持すると共に、絶縁部材1を主体金具21の先端側に押付けた状態で固定している。
このような構成のプラグ201は、外周に設けられた取り付けネジ25を介して、図示しないエンジンヘッドへのプラグホール(ねじ穴)へ取り付けられてその使用に供されるが、その際、シリンダ内の燃料ガス(以下、単にガスという)は、受棚24、平パッキン42及び突合せ部4との間で気密保持が図られていることから、外部に抜け出ることが防止されている。また、ガスの発火により、高温となる中心電極5や絶縁部材1の熱は、平パッキン42、及び主体金具21を介して、エンジンヘッドへと伝播(伝達)され、絶縁部材1の先端等の高温防止が図られている。
特開2005−129398号公報
ところで、スパークプラグ201の先端寄り部位は、エンジンの運転中は、常時、高温で、爆風に晒される。一方、主体金具21は通常、鉄系金属製であるが、絶縁部材1はセラミック製である。このため、スパークプラグ201の先端寄り部位が高温になると、主体金具21の熱膨張率が絶縁部材1のそれよりはるかに大きいことに起因し、主体金具21の熱膨張量は、絶縁部材1のそれより格段に大きくなる。両部品間にこのような熱膨張差があるとしても、スパークプラグ201は、主体金具21の後端のカシメ部39を先端側に向けて圧縮変形させて、絶縁部材1を常時、先端側に強く押している状態で組み立てられていることから、通常はその熱膨張差による影響が直ちに出ることはない。
しかしながら、主体金具21の軸線G方向における膨張が、絶縁部材1のそれより格段に大きいことに起因し、絶縁部材1の突合せ部4が主体金具21の受棚24に押付けられている力は経年により不可避的に低下することになる。そして、このような状況が続くと、やがては気密性の低下を招いてしまう。そして、最終的には図11中に示したように、受棚24、平パッキン42及び突合せ部4との間に空隙(微小空隙)が発生し、その空隙をガスが通過して外部に噴出してしまうことがあった。このような問題は、主体金具21の軸線G長や取り付けネジ25が長くなるほど顕在化しやすい。
また、こうした気密性の低下や空隙の発生は、絶縁部材1の先端側の熱をエンジンヘッドに逃がす熱伝達性の低下も招いてしまう。上記もしたように、絶縁部材1の先端側の熱は、この気密保持部である、突合せ部4、平パッキン42及び主体金具21を介してエンジンヘッドへ逃がすようにされているが、そこに空隙が発生することで熱伝達性は低下してしまう。その結果、絶縁部材1の先端寄り部位や中心電極5が過度に高温となり、プレイグニッション(過早点火)を招いたり、電極の溶損を生じたりすることもあった。
本発明は、上記したような構造ないし構成のスパークプラグにおける、前記問題点に鑑みてなされたもので、主体金具内に絶縁部材を先端側に圧縮して保持し、固定する構成のプラグにおいて、その主体金具と絶縁部材との間における気密性の低下を防止することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明は、先端に中心電極を突出させた軸状のセラミック製の絶縁部材と、この絶縁部材を包囲する形で固定して先端に接地電極を設けた主体金具とを備え、
前記絶縁部材は、その先端寄り部位に、前記主体金具の内周面との間に環状の絶縁空間を保持するように形成された先端軸部を備えていると共に、この先端軸部の後方には該先端軸部より大径で、前記主体金具内の嵌め合い穴部に隙間嵌め状態にある嵌め合い軸部を備えてなるスパークプラグであって、
前記絶縁部材は、前記主体金具の後端側から挿入されて所定位置で先端側への移動がストッパ手段により止められていると共に、前記主体金具の後端に設けられたカシメ部を、軸線側に折り曲げると共に先端側に圧縮することで、前記絶縁部材が先端側に押された状態で前記主体金具の内側に固定されてなるスパークプラグにおいて、
前記ストッパ手段として、前記絶縁部材には、前記嵌め合い軸部の後方に、該嵌め合い軸部より大径で環状をなす先端向き面からなる突合せ部を設け、前記主体金具には、前記嵌め合い穴部の後方に該嵌め合い穴部の穴径より大径で環状をなす後端向き面からなる受棚を設け、前記突合せ部を該受棚に直接又は間接に突き合わせて、前記絶縁部材の先端側への移動が止められ、
前記嵌め合い軸部の外周面と前記嵌め合い穴部の内周面との間に、気密保持用の充填材(ただし、スリーブ状のものを除く)を充填してなることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、前記突合せ部を前記受棚に、環状をなす気密保持用のパッキンを介して突き合わせていることを特徴とする、請求項1に記載のスパークプラグである。
請求項3に記載の本発明は、前記充填材が、耐熱性接着剤であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項4に記載の本発明は、前記充填材が、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項5に記載の本発明は、前記耐熱性接着剤に金属粉末が含まれていることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項6に記載の本発明は、前記充填材のスパークプラグの軸線方向における充填領域が、5mm以上あることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のスパークプラグである。また、請求項7に記載の本発明は、前記充填材のスパークプラグの軸線方向における充填領域が、前記絶縁部材の嵌め合い軸部の嵌め合い先端を起点として後方に向けて5mm以上あることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項8に記載の本発明は、前記充填材が金属粉末の圧縮されたものであり、該金属粉末がスパークプラグの先端側に流出するのを防止するための流出防止手段が、前記主体金具の内周面又は前記絶縁部材の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項9に記載の本発明は、前記嵌め合い穴部の内周面を、前記主体金具の先端に向けて縮径することなく形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項10に記載の本発明は、前記スパークプラグはエンジンヘッドのプラグホールにねじ込み方式で取付けられように前記主体金具の外周面に取付けネジを備えており、このネジ径がM12以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のスパークプラグである。
請求項1に記載の本発明では、主体金具と絶縁部材の先端部分の高温化と両部品間における熱膨張率の差に起因して、主体金具に対し絶縁部材が軸線方向に相対的に動くとしても、主体金具の嵌め合い穴部の内周面と絶縁部材の嵌め合い軸部の外周面の間には気密保持用の「充填材(ただし、スリーブ状のものを除く)」(以下、単に充填材という)が充填されている。したがって、このような動きが発生するとしてもその両面間における軸線方向の気密性は保持される。すなわち、主体金具が絶縁部材よりも軸線方向に大きく膨張したとしても、その内、外周面の両面間は、充填材を介して軸線方向に相対的にスベリが発生するだけであり、その両面間は充填材を介して密着していることに変わりはない。したがって、その両面間における気密性が損なわれることはない。
また、同様の理由から、中心電極や絶縁部材の熱は、充填材、主体金具を介してエンジンヘッドへと、熱伝達性が損なわれることなく逃がすことができる。したがって、プレイグニッション(過早点火)や電極の溶損の発生防止にも有効である。なお、主体金具と絶縁部材との熱膨張率差による膨張差は、プラグの長さ(軸線)方向においてだけでなく当然にその径方向においても生じるが、これら各部品の径方向の寸法は軸線方向の寸法に比べて格段に小さい。したがって、径方向における熱膨張差による影響は無視できるものである。なお、本発明に用いる気密保持用の充填材は、その使用目的、環境からして、耐熱性及び伝熱性に優れるものほど好ましく、エポキシ樹脂、ロウが代表的なものとして例示されるが、その他、無機接着剤がある。
請求項2に記載の発明では、前記突合せ部を前記受棚に、環状をなす気密保持用のパッキンを介して突き合わせていることから、より高い気密性が保持される。すなわち、本発明においては、気密保持を充填材にのみ依存させることもできる。また、別途、気密保持用のパッキンをストッパ手段において介在させることで、気密保持性能を高めることもできるが、この場合においては、請求項2に記載の発明の構成とすると、次のような効果がある。すなわち、請求項2に記載の発明では、気密保持用のパッキンが介在される前記突合せ部と前記受棚は、嵌め合い軸部及び嵌め合い穴部の後方に位置している。そして、この位置は、絶縁部材や主体金具の先端から大きく離れた部位となる。このため、気密保持用のパッキンが介在される突合せ部と受棚とはいえ、プラグの先端側に位置する場合に比べると、比較的、低温に保持される。したがって、そのパッキンの部位において、熱膨張差によって気密性が損なわれるような空隙が発生することも極めて少ないことから、万一、充填材による気密性に問題が発生したとしても、そのパッキンの部位において気密性が保持される。このように、極めて高い気密保持性能が確保される。
請求項3に記載の発明では、充填材を耐熱性接着剤としたことから、例えば、プラグの組み立てにおいて、主体金具の内側に絶縁部材を挿入する前に、その嵌め合い軸部の外周面、又は主体金具の嵌め合い穴部の内周面の少なくとも一方に、耐熱性接着剤を塗布しておくことで、容易にその充填できるため、組み立ての作業性の向上が図られる。なお、耐熱性接着剤としては、無機接着剤がある。
また、請求項4に記載の本発明のように、前記充填材を、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤とした場合には次のような効果が得られる。充填材に、このような耐熱性接着剤ではなく、例えば銀ロウを用いる場合には、その組成にもよるが、通常は、最低でも600℃程度まで加熱し、その温度で一定時間保持してリフロー(溶融)し、その後、大気中で徐冷することで硬化(固化)させることになる。一方、主体金具は通常、0.35%C以下の低炭素鋼(0.06〜0.35%Cの冷間圧造用炭素鋼)の素材を冷間鍛造工程、ネジ転造、或いは一部の切削工程、表面処理等の工程を経てそのまま使用される。したがって、主体金具が耐熱鋼製や耐熱合金製であるような場合を除き、このような高温での熱処理を経た場合には、通常、その機械的強度が低下する。これに対し、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤(エポキシ樹脂系接着剤やフェノール樹脂系接着剤)を用いる場合には、そのような高温での熱処理を要しないから、機械的強度の低下を防止できる。詳しくは次のようである。
すなわち、充填材にロウを用いる場合のロウ付け工程は、主体金具の内側に絶縁部材を挿入した状態において、主体金具の嵌め合い穴部の内周面と、絶縁部材の嵌め合い軸部の外周面との間の適所にそのロウ(銀ロウ)を配置した状態の下で行うことになる。一方、この主体金具がロウ付け工程を通される場合には、最低でも600℃には加熱する必要があり、結果として機械的性質(強度)が低下する。他方、スパークプラグは、主体金具の外周面に形成された取付けネジを介してエンジンヘッドのプラグホール(ネジ穴)にねじ込み方式で取り付けられる。したがって、主体金具がこのような熱処理工程を経て製造されてなるスパークプラグを、プラグホールにねじ込む際には、強度低下に起因して、比較的低いねじ込みトルクで、取付けネジの後端(根元部位)近傍で主体金具が切断ないし破断してしまうなどの不具合が発生することがある。
本願発明者において、主体金具の加熱温度と、ねじ込み時の破断トルクとの関係について「ねじ込み実物破壊試験」を行い確認したところによれば、上記のような通常の素材、製法で製造された主体金具は、それが受ける加熱温度が350℃以下であれば問題ないが、400℃からその強度低下が認められ、450℃以上ではその強度低下が大きいことが判明している。したがって、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤を用いる場合には、そのような高温での熱処理を要しないから、強度低下も招かない。スパークプラグを構成する主体金具の小径化(例えば、M12以下の小径ネジ化)の要請の高い中、肉厚の確保が困難なことを考えると、強度低下を防止できるという前記効果は注目されるべきものである。なお、このような耐熱性接着剤としては、150℃以上の耐熱温度を有する樹脂であればよく、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系などの熱硬化性樹脂をベースとする接着剤が例示されるが、これらに限定されるものではない。熱可塑性樹脂でも、軟化点が150℃以上あるような耐熱性を有するもの(例えば、ナイロン、フッ素樹脂)であればよい。すなわち、その充填材が、スパークプラグの使用環境下で受ける温度に耐え得るものであればよい。
請求項5に記載の発明では、充填材をなす耐熱性接着剤に金属粉末を含有させたため、熱伝導性を高めることができる。ここに金属粉末をなす金属(又は合金)としては次のものが例示される。鉄の粉体、アルミニウム又はアルミニウム合金の粉体、銅又は銅合金の粉体がある。なお金属粉末は、耐熱性接着剤に混合、攪拌した状態で含めることになるが、その含有比は、適宜に設定すればよい。熱伝導性を高める上では金属粉末を多くするのが好ましい。耐熱性接着剤100質量%に対し、試験結果からすると、鉄の粉体を用いる場合には20質量%以上とするのが好ましい。なお、金属粉末の粒径は、充填に支障がない範囲で適宜に設定すればよいが、1〜10μmの範囲とするのが好ましい。また、このように充填材として耐熱性接着剤に金属粉末を含めたものには、導電性接着剤が含まれるが、このような接着剤は、上記した耐熱性接着剤と同様にして、その充填を行えばよい。
請求項3〜5のいずれか1項において、前記充填材を充填する領域(充填領域)は、請求項6に記載したように、スパークプラグの軸線方向において、充填材の種類にかかわらず、5mm以上あれば十分である。これは、実験的にも確認される。なお、この場合には、請求項7に記載したように、前記充填材のスパークプラグの軸線方向における充填領域が、前記絶縁部材の嵌め合い軸部の嵌め合い先端を起点として後方に向けて5mm以上あるようにするのが好ましい。このように、前記絶縁部材の嵌め合い軸部の嵌め合い先端を起点として、後方に充填材を充填しておけば、隙間嵌め部位における微小隙間に高温のガスが滞留ないし残存するのを防止できるためである。
請求項8に記載の発明では、前記充填材が金属粉末の圧縮されたものであり、該金属粉末がスパークプラグの先端側に流出するのを防止するための流出防止手段が、前記主体金具の内周面又は前記絶縁部材の外周面に設けられていることとしたため、絶縁部材の熱の主体金具への伝達性を一層高めることができる。なお、流出防止手段は、金属粉末がスパークプラグの先端側に流出するのを防止できればよい。したがって、プラグの先端側から、充填された金属粉末の先端を周方向に(主体金具の内周面又は絶縁部材の外周面に沿って)レーザーを照射して、主体金具の内周面と金属粉末の先端とを部分的に溶融又は溶接して、その内、外周面間を封止(又は封着)するようにしてもよい。なお、金属粉末はそれを充填することで、気密性が確保できるように、その粒径と充填密度ないし圧縮度を設定すればよい。
なお、本発明では請求項9に記載の発明のように、前記嵌め合い穴部の内周面を、前記主体金具の先端に向けて縮径することなく形成しておくとよい。このようにしておけば、絶縁部材のうち、嵌め合い軸部より先端に位置する部分の外周面と、主体金具の内周面との間の空隙(絶縁空間)又は絶縁部材の厚みを大きく確保できるため、耐電圧性を高めることができる。
他方、スパークプラグの小型化(小径化)の要請により、その主体金具の外周面の取り付けネジ径もM12とすることが要請されているなど、益々、小径化の要請がある。こうした状況下からして、絶縁部材の厚さ確保が困難となってきている。すなわち、こうした状況下において、充填材よりも先端寄り部位に受棚を設ける場合には、この受棚と絶縁部材との絶縁空間や絶縁部材の肉厚が小さくなる結果、その間での異常放電が発生したり、絶縁部材に穴が開くなどの損傷を発生させるという耐電圧性の問題がある。これに対して、請求項9に記載の発明では、前記嵌め合い穴部の内周面を、前記主体金具の先端に向けて縮径することなく形成しておくこととしたため、絶縁部材の厚みを大きく確保できることから、耐電圧性を高めることができる。そして、このような効果は、請求項10に記載の本発明のように、主体金具の外周面の取付けネジ径がM12(外径12mmのメートルネジ)以下のように小さいスパークプラグにおいて大きいものとなる。
本発明の実施形態例のスパークプラグの縦断面図、及びその要部拡大図。 図1におけるA−A線断面図。 図1のスパークプラグの組立て工程を説明する縦断面図。 図1のスパークプラグの組立て工程を説明する縦断面図。 充填材の充填領域の別例を説明する要部拡大図。 充填材の充填領域の別例を説明する要部拡大図。 主体金具の加熱温度と、ねじ込み時の破断トルクとの関係を示す図。 充填材の別例を説明する要部拡大図。 充填材の別例を説明する要部拡大図。 従来のスパークプラグの縦断面図、及びその要部拡大図。 図10のスパークプラグにおける問題点を説明する、その要部のさらなる拡大図。
本発明に係る、スパークプラグを具体化した実施の形態例について、図1、図2に基づいて詳細に説明する。このうち、図1は、説明用の縦断面図及びその要部拡大図である。スパークプラグ101は、先端3に中心電極5を突出させた中空軸状(筒状)のセラミック製の絶縁部材1と、この絶縁部材1を包囲する形で固定して、先端23に接地電極26を備えた筒状の主体金具21などから構成されている。なお、本例では主体金具21は低炭素鋼製(具体的には0.25%Cの冷間圧造用炭素鋼製)とされている。
このうち、主体金具21は、先端寄り部位に、先端側から後端側に向かって、エンジンのプラグホールへのねじ込み用の取り付けネジ(例えば、M12又はM14)25を、外周面に略全長(本例では18mm以上ある)にわたって備えた円筒状の直管部27と、そのねじ込みにおいて、ガスケット(シールワッシャ)28を介して、エンジンヘッドに着座されるように、この直管部27の外径より大径に形成されたフランジ状の着座リング部29を備えている。この直管部27の内周面は、本形態では、主体金具21の先端23から直管部27の後端に向けて、同一径で形成されており、嵌め合い穴部30を構成している。直管部27の内周面であるその嵌め合い穴部30の後端から後方に向けては、嵌め合い穴部30の穴径より大径で環状をなす後端向き面からなる受棚31を備えている。この受棚31は、本形態では着座リング部29の内周面に対応する部位に位置しており、後端に向けてテーパ状に拡径し、縦断面において、嵌め合い穴部30との交差部33は凸アール状に形成されている。なお、この受棚31は、テーパでなく平坦なリング状の座面としてもよい。
また、主体金具21におけるこの着座リング部29の後方には、薄肉円筒部35を介し、ねじ込み用の工具係合部37が設けられており、その後端には、カシメ部としてカシメ用円筒部39が設けられている。なお、薄肉円筒部35からカシメ用円筒部39までの円筒部の内径は、スパークプラグとして組立てられる前は、嵌め合い穴部30の穴径より大径で、着座リング部29の内側の受棚31における外縁の内径と略同一とされている(図5、図6参照)。図1では、スパークプラグとして組立てられた状態であり、カシメ用円筒部39の先端側へのカシメにより、薄肉円筒部35も含めて変形した形状を呈している。すなわち、スパークプラグ101完成品では、カシメ用円筒部39を、カシメにより、プラグの軸線G側に折り曲げると共に先端側に圧縮して、絶縁部材1を先端側に押した状態で主体金具21の内側に固定した状態をなしている。なお、工具係合部37の外周面(輪郭)は、例えば軸線G方向から見て、六角形又はその他の多角形に形成されている。
一方、絶縁部材1は、先端寄り部位に先細りテーパ部7aを備えた先端軸部7と、この先端軸部7の後方において、この先端軸部7より大径で、主体金具21内の嵌め合い穴部30に、所定の隙間で隙間嵌め状態となる外径の嵌め合い軸部10を備えている。この嵌め合い軸部(円筒部)10は、先後に同一径とされているが、その外径は、嵌め合い穴部30の内径より、設計上、0.1〜1mm程度小さくされている(図は誇張して示している)。そして、嵌め合い穴部30の内周面と嵌め合い軸部10の外周面との間には、気密保持用の充填材41として、耐熱性接着剤(例えば、エポキシ樹脂系の接着剤(硬化温度200℃))が充填され、これが円筒状の層を成しており(図2参照)、この両面間を接着して、軸線G方向における気密が保持されている。
なお、充填材41は、嵌め合い軸部10の先端(嵌め合い先端)P1を起点として、嵌め合い軸部10の後端の近くまでの寸法L1領域、すなわち、嵌め合い軸部10の軸線G長の略全領域にわたり充填されている。一方、嵌め合い軸部10の先端P1は、主体金具21の嵌め合い穴部30の軸線G方向の略中間位置となるように設定されており、したがって、嵌め合い軸部10の先端P1より先端側に位置する先端軸部7の外周面と、嵌め合い穴部30の内周面との間は、環状(円筒状)の空間(絶縁空間)Kが形成されている。
また、本例では、嵌め合い軸部10の後端は、軸線G方向において受棚31の部位に位置するように設定されている。そして、この嵌め合い軸部10の後端11においては、嵌め合い軸部10より大径をなし、外周面が外方に突出する形態のフランジ状の大径軸部12を備えている。この大径軸部12の先端と、嵌め合い軸部10の後端11とは、環状をなし、受棚31に倣うテーパの先端向き面からなる突合せ部13で連なっている。なお、大径軸部12の後方には、大径軸部12より小径の後方軸部15が、主体金具21の後端から同軸で後方に突出状に設けられている。また、絶縁部材1におけるこの後方軸部15の後端17には端子(電極端子)40が突出状に配置されている。
なお、絶縁部材1の内側(中空部内)では、先端に突出している中心電極5を、図示はしないが、シールガラスによって固定しており、このシールガラスより後方には、抵抗体が配置され、シールガラスにて後端から突出している端子40を固定している。このような絶縁部材1の内部の構成は従来公知のものと同じである。
本例では、絶縁部材1の大径軸部12の先端向き面からなる突合せ部13は、主体金具21の受棚31に、リング状で気密保持用のパッキン(平パッキン)42を介して突き合わせられて、絶縁部材1の先端への移動が止められるように構成されている。すなわち、本形態では、受棚31と突合せ部13とでストッパ手段を構成している。そして、気密保持用のパッキン(SPCC製パッキン)42を介して、この間においても気密が保持される構成とされている。なお、この突合せ状態で、絶縁部材1の先端3である先端軸部7の先端は、主体金具21の先端23より適量、突出しており、中心電極5の先端と接地電極26とのギャップが設定値となるように保持されている。
また、このような突合せ状態において、絶縁部材1の大径軸部12の後端(大径軸部12と後方軸部15との境界)は、主体金具21の後端のカシメ用円筒部39より先端側に位置するように設定されており、カシメ用円筒部39の内側であってこの大径軸部12の後端における後端向き面14には、Oリング44、滑石45、Oリング44を介在させ、上記したようにカシメ用円筒部39をカシメによる圧縮変形して、絶縁部材1を先端側に押した状態で固定している。なお、ここにOリングや滑石を用いることなく、絶縁部材1を固定することも可能である。
このような本形態のスパークプラグ101は、次のようにして組立てられる(図3、図4参照)。中心電極5等を固定した絶縁部材1における嵌め合い軸部10の外周面に、充填材41として耐熱性接着剤(本例では、エポキシ樹脂系の接着剤)を適量、塗布する。一方、主体金具21の内側の後端向き面からなる受棚31には、パッキン42を載置しておく(図3参照)。次いで、中心電極5等を固定した絶縁部材1を、主体金具21の後端側からその内側に内挿する。このときは、その嵌め合い軸部10が主体金具21の嵌め合い穴部30に内挿されるようにセンタ出ししながら嵌め合わせ、受棚31のパッキン42上に、絶縁部材1の先端向き面からなる突合せ部13を突き合せる。そして、図4に示したように、絶縁部材1の大径軸部12の後端の環状をなす後端向き面14の後方であつて、主体金具21のカシメ用円筒部39の内側の円筒状空間には、Oリング44、滑石45、Oリング44を装填する。次いで、金型50を先端側にプレスし、主体金具21の後端のカシメ用円筒部39を内側に折り曲げると共に先端側に向けて圧縮して塑性変形させる。その後、耐熱性接着剤41を固化させることで、本形態のスパークプラグ101が得られる。
このような図1に示した本形態例のスパークプラグ101においては、次のような効果が得られる。すなわち、本形態のスパークプラグ101は、主体金具21の取付けネジ25を介して、図示しないエンジンのプラグホール(ねじ穴)にねじ込まれて取付けられ、その用に供せられる。この場合においては、そのプラグ101の先端部が燃料ガスの点火による爆風下において高温さらされるため、主体金具21や絶縁部材1はこの熱変化により共に膨張する。このとき、主体金具21は、セラミック製の絶縁部材1に比べて格段に大きく熱膨張しようとするため、固定された主体金具21に対し絶縁部材1は、軸線G方向において相対的に収縮するように動く(すべる)ことになる。一方、主体金具21の嵌め合い穴部30の内周面と絶縁部材1の嵌め合い軸部10の外周面との間には、気密保持用の充填材41として耐熱性接着剤が充填されている。したがって、この両面間において、熱膨張率の差によって軸線G方向に相対的な動きが生じたとしても、その両面間の密着は、充填材41である耐熱性接着剤を介して保持されたままであるから、その両面間における気密性は損なわれない。
また、その両面間の密着は耐熱性接着剤を介して保持されたままであるから、中心電極5や絶縁部材1の熱は、充填材41、主体金具21を介してエンジンヘッドへと熱伝達性が損なわれることなく逃がすことができる。したがって、プレイグニッション(過早点火)や電極の溶損の防止にも有効である。
加えて本形態では、主体金具21の内周面と絶縁部材1の外周面との間の気密性の保持は、突合せ部13を受棚31に、環状をなす気密保持用のパッキン42を介して突き合わせて、プレスによりこの間は先後に圧縮されているため、同パッキンによる気密も確保されている。したがって、気密性において極めて信頼性の高い構造のものといえる。とくに、本形態では、この気密が、嵌め合い穴部30の後方にあり、プラグ101の先端部位から遠く離れた部位の受棚31で確保されているため、この部位の温度上昇は相対的に低く、その意味においても熱膨張に起因する気密不良が起こりにくい。このため、気密保持において著しく高い信頼性のあるスパークプラグ101となすことができる。
さらに本形態では、スパークプラグ101の軸線G方向における充填材41の充填領域L1が、絶縁部材1の嵌め合い軸部10の嵌め合い先端P1を起点として後方まで設けられている。このため、嵌め合い軸部10の外周面と、嵌め合い穴部30の内周面との間の微小空間(隙間嵌めにおける微小空間)を発生させないから、この微小空間に高温のガスが滞留ないし残存するのを防止できるため、高温防止化にも奏功する。
また、本形態では、主体金具21の先端寄り部位を円筒状の直管部27とし、その内周面を、主体金具21の先端から直管部27の後端に向けて、同一径の円断面でストレートに形成して嵌め合い穴部30としている。すなわち、嵌め合い穴部30の内周面を、主体金具21の先端23に向けて縮径することなく形成している。したがって、その嵌め合い穴部30の内周面においては、絶縁部材1の嵌め合い軸部10より先端の先端軸部7の外周面側(軸線G側)に向かって突出している部位はない。このため、主体金具21(嵌め合い穴部30)の内周面と、絶縁部材1の先端軸部7の外周面との間の絶縁空間Kの半径方向の寸法を先端軸部7の根元(後端)まで、従来に比べて大きく確保できる。また、絶縁部材1についていえば、先端軸部7の半径方向の肉厚を厚く確保できるため、耐電圧性を高めることができる。したがって、その分、異常放電の発生防止効果を高いものとすることができる。このため、こうした寸法が確保し難い、M12(呼び径12mmのメートルねじ)のような取り付けねじ25のスパークプラグのように、そのネジ径が特に小さいものにおいては、その効果に著しいものがある。
なお、前記形態では、充填材41を充填する軸線Gに沿う領域を、嵌め合い軸部10の軸線G長の略全領域としたため、絶縁部材1と主体金具21との密着部分(密着面積)が大きく、したがって、エンジンヘッドへの熱伝導性に優れる。ただし、この充填材41を充填する軸線Gに沿う領域は、基本的には、気密が十分に保持される長さ領域であればよく、したがって、その長さは、充填材41の種類、材質等に応じて、適宜に設定すればよい。
すなわち、充填材41は、気密が安全かつ十分に保持される長さ領域であればよく、図5に示したように、嵌め合い軸部10の先端(嵌め合い先端)P1を起点として、嵌め合い軸部10の中間位置の近くまでの寸法L2領域としてもよい。図5は、前記形態と、充填材41の構成のみが異なるだけのため、同一の部位には同一の符号を付すに止める。以下についても同様とする。また、気密性の点では、図6に示したように、嵌め合い軸部10の中間位置において、同じ寸法L2領域としてもよい。ただし、この場合には、充填材41の先端41bに、隙間嵌めに対応して形成される微小空間K2が発生し、この空間K2が高温ガスの残留空間となり、プラグ先端の高温化を助長する要因となる。したがって、寸法L1よりも小さい寸法L2領域で気密性が保持できるとしても、図5に示したように、充填材41は、嵌め合い軸部10の先端P1(嵌め合い先端)を起点として後方に向けて所定領域にわたり充填するのが好ましい。
なお、上記の形態では充填材41として耐熱性接着剤としたが、本発明では、上記もしたように、これに熱伝導性に優れる金属粉末(例えば、鉄粉)を含有させたものとしてもよい。そして、その場合には、金属粉末が含有させられている分、絶縁部材1と主体金具21間の熱伝達性が高められる。
また、上記形態では、充填材41に耐熱性接着剤として硬化温度が350℃以下のエポキシ樹脂系の接着剤を用いたため、充填材に高融点のロウを用いる場合のように、スパークプラグの組立て工程で主体金具21を高温に加熱する工程を要しない。すなわち、充填材に、上記形態におけるような耐熱性接着剤ではなく、例えば銀ロウを用いる場合には、上記もしたように、その組成にもよるが通常は最低でも600℃程度まで加熱し、一定時間保持してリフロー(溶融)し、その後、大気中で徐冷することで硬化(固化)させることを要する。このため、主体金具は、その高温下で熱処理を受けることとなり、機械的強度の低下を受ける。これに対し、上記形態では、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤(エポキシ樹脂系接着剤)を用いたため、そのような高温での熱処理を要することなく、それを硬化させることができるから、機械的強度の低下を防止できる。
すなわち、上記形態におい充填材にロウを用いる場合には、上記もしたように主体金具21の内側に絶縁部材1を挿入した状態において、それらの内、外周面の間に適当な形状のロウ材を配置した状態の下で、その加熱溶融を行うことになる。より具体的には、中心電極5等を固定した絶縁部材1を、取付けネジ25等の形成された主体金具21の後端側からその内側に内挿したとき、その嵌め合い軸部10と嵌め合い穴部30の間の適所に、例えばリング状に形成したロウ材を配置しておく。そして、その内挿後、主体金具21の後端のカシメ用円筒部39を内側に折り曲げると共に先端側に向けて圧縮して塑性変形させて絶縁部材1を固定してスパークプラグ仕掛品とした後で、銀ロウが融点以上(600℃以上)となるように加熱して一定時間保持し、その溶融後に、例えば、大気中で徐冷することで固化させることになる。
一方、主体金具21は、上記のような素材からなり、冷間鍛造工程、ネジの転造工程等を経て製造される。したがって、このような主体金具21が、上記のようなロウ付け工程を通される場合には、そこでの熱処理により機械的性質(強度)が低下する。このような強度の低下は、製品としてのスパークプラグをエンジンヘッドのプラグホールにねじ込む際には、ねじり応力や引張り応力等により、直管部27の外周面の取付けネジ25の後端(根元部位)近傍で主体金具41が切断ないしせん断されるように破断してしまうなどの不具合が発生する原因となる。これに対して、上記形態では、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤(エポキシ樹脂系接着剤)を用いたため、そのような高温での熱処理を要しない。このため、機械的強度の低下を招くこともなく、こうした問題を発生させないという効果も得られる。主体金具21の小型化、小径化により、主体金具の肉厚の確保が困難なことを考慮すると、その効果には著しいものがある。
ここで、上記形態(図1)のスパークプラグ101において、150℃〜500℃の範囲(50度間隔)で加熱したSWRCH25K製の主体金具を用いて組立ててなるサンプル(取付けネジ:M12)で、主体金具の加熱温度と、ねじ込み時において上記の破断が発生するときの締付けトルク(破断トルク)との関係について確認すべく、ねじ込み実物破壊試験を行い、主体金具が破断したときのねじ込みトルク(破断トルク)を測定した。結果は図7に示したとおりである。なお、加熱条件は電気炉による加熱で、1時間保持後、大気中で徐冷した。各サンプル数は10であり、データはその平均値である。
図7に示したように、加熱温度が350℃以下であれば、その破断トルクは80Nmで略一定であった。これに対し、400℃のものでは70Nmで破断した。しかも、450℃では急減して45Nmで破断が発生し、とくに、500℃では40Nmで破断し、その強度は、加熱温度が350℃以下の約半分まで低下した。なお、同素材製の主体金具で取付けネジがM14のサンプルでのねじ込み実物破壊試験も行ったが、その場合にも略同様の低下率の強度低下がみられた。このように、主体金具を400℃以上に加熱する場合には、明らかに強度低下が見られる一方、加熱温度が350℃以下であれば、強度への悪影響がないことが判明した。したがって、主体金具が、ロウ付け温度環境下でも強度低下しない耐熱性のある素材からなる場合は問題ないが、上記のような素材からなる場合には、350℃以下で硬化(固化)させ得る充填材であり、熱処理により溶融工程を要しない硬化温度が350℃以下の耐熱性接着剤を用いるのが好ましいといえる。なお、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤を含め、充填材は、その耐熱性が、スパークプラグが使用されている際に、充填材の部位が受ける温度(100〜150℃)に耐え得るか否かを基準にして選択すればよく、上記したものに限定されるものではない。
さて、次に別形態について、図8に基づいて説明する。ただし、このものは充填材41として、接着剤を用いることなく、金属粉末のみを用いた点が、図1の形態と異なるのみであるため、その相違点についてのみ説明する。すなわち、本例では、粒径5μmの金属粉末(鉄粉)41bを、上記形態における耐熱性接着剤に代えて、主体金具21の嵌め合い穴部30の内周面と、絶縁部材1の嵌め合い軸部10の外周面との間の隙間に、所定の圧縮状態で充填したものである。ただし、本形態では、金属粉末41bがスパークプラグの先端側に流出(脱落)するのを防止するための流出防止手段として、プラグの先端側から、充填された金属粉末41bの先端41cを周方向に(主体金具21の内周面又は絶縁部材1の外周面に沿って)レーザーを照射して、主体金具21の内周面と金属粉末41bの先端とを溶接又は溶融して、その内、外周面間を封止(又は封着)するようにしてある。このことより理解されるが、充填材41としては、銀ロウなどのロウ(ロウ材)を溶融、固化させて充填してもよい。
なお、この金属粉末41bからなる充填材の後端側は、主体金具21の受棚31、パッキン42及び絶縁部材1の突合せ部13にて閉塞されているため、この閉塞空間の全体に充填されるように充填すればよい。因みに、この形態のスパークプラグとして組立てる際には、組立工程の最後に、主体金具21の先端側から、主体金具21の嵌め合い穴部30の内周面と、絶縁部材1の嵌め合い軸部10の外周面との間の隙間に、例えば超音波振動を付与しつつ、金属粉末41bを充填し、その後で、嵌め合い穴部30の内周面に沿って、先端寄り部位の金属粉末を溶融し、固化させるようにすればよい。
本発明に係るスパークプラグは、上記した内容のものに限定されるものではなく、適宜に、変更して具体化できる。例えば、前記の流出防止手段についても、図9に示したように、金属粉末41bからなる充填材の先端部位に、レーザーに代えて、ロウ材41dを装填して溶融、固化させることもできる。さらに、レーザーに代えて、接着剤や樹脂を充填して固化させることもできる。すなわち、軸線G方向の先後において異なる種類の2以上の充填材を充填してもよい。因みに、この場合には、先端側に位置する充填材に耐熱性の高いものを使用するのが好ましい。
1 絶縁部材
3 絶縁部材の先端
5 中心電極
7 先端軸部
10 嵌め合い軸部
13 突合せ部
21 主体金具
23 主体金具の先端
25 取付けネジ
26 接地電極
30 嵌め合い穴部
31 受棚
39 カシメ用円筒部(カシメ部)
41 充填材(耐熱性接着剤充填材)
41b 金属粉末(充填材)
42 気密保持用のパッキン
101 スパークプラグ
K 絶縁空間
G 軸線

Claims (10)

  1. 先端に中心電極を突出させた軸状のセラミック製の絶縁部材と、この絶縁部材を包囲する形で固定して先端に接地電極を設けた主体金具とを備え、
    前記絶縁部材は、その先端寄り部位に、前記主体金具の内周面との間に環状の絶縁空間を保持するように形成された先端軸部を備えていると共に、この先端軸部の後方には該先端軸部より大径で、前記主体金具内の嵌め合い穴部に隙間嵌め状態にある嵌め合い軸部を備えてなるスパークプラグであって、
    前記絶縁部材は、前記主体金具の後端側から挿入されて所定位置で先端側への移動がストッパ手段により止められていると共に、前記主体金具の後端に設けられたカシメ部を、軸線側に折り曲げると共に先端側に圧縮することで、前記絶縁部材が先端側に押された状態で前記主体金具の内側に固定されてなるスパークプラグにおいて、
    前記ストッパ手段として、前記絶縁部材には、前記嵌め合い軸部の後方に、該嵌め合い軸部より大径で環状をなす先端向き面からなる突合せ部を設け、前記主体金具には、前記嵌め合い穴部の後方に該嵌め合い穴部の穴径より大径で環状をなす後端向き面からなる受棚を設け、前記突合せ部を該受棚に直接又は間接に突き合わせて、前記絶縁部材の先端側への移動が止められ、
    前記嵌め合い軸部の外周面と前記嵌め合い穴部の内周面との間に、気密保持用の充填材(ただし、スリーブ状のものを除く)を充填してなることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記突合せ部を前記受棚に、環状をなす気密保持用のパッキンを介して突き合わせていることを特徴とする、請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記充填材が、耐熱性接着剤であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  4. 前記充填材が、350℃以下で硬化する耐熱性接着剤であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記耐熱性接着剤に金属粉末が含まれていることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記充填材のスパークプラグの軸線方向における充填領域が、5mm以上あることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  7. 前記充填材のスパークプラグの軸線方向における充填領域が、前記絶縁部材の嵌め合い軸部の嵌め合い先端を起点として後方に向けて5mm以上あることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  8. 前記充填材が金属粉末の圧縮されたものであり、該金属粉末がスパークプラグの先端側に流出するのを防止するための流出防止手段が、前記主体金具の内周面又は前記絶縁部材の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  9. 前記嵌め合い穴部の内周面を、前記主体金具の先端に向けて縮径することなく形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  10. 前記スパークプラグはエンジンヘッドのプラグホールにねじ込み方式で取付けられように前記主体金具の外周面に取付けネジを備えており、このネジ径がM12以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
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