JP5690702B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、スパークプラグに関する。
近年では、エンジンの一層の高出力化や低燃費化の要求に伴って、スパークプラグに求められる放電電圧は上昇傾向にある。高い放電電圧を可能とするために、主体金具の先端側開口端面における絶縁体の肉厚を厚くすることによって、高い耐電圧性を実現したスパークプラグが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−207770号公報 特開2007−80833号公報 特開平09−266056号公報 特開2010−27540号公報
また、従来からスパークプラグには、エンジンヘッド構造の複雑化に対応すべく、スパークプラグを小型化させたいという更なる要望があった。この点、絶縁体の肉厚を厚くしたスパークプラグでは、耐電圧性の向上には成功しているものの、絶縁体の厚みが妨げとなり、スパークプラグの小型化が困難であるという問題があった。
本発明は、スパークプラグにおいて、絶縁体の肉厚を厚くすることなく、耐電圧性を向上させることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
棒状の中心電極と、
筒状に形成され、その軸線方向に形成された貫通孔と外周に形成された支持部とを有するとともに、前記中心電極を前記貫通孔の先端側に備えた絶縁体と、
筒状に形成されており、内周に形成された段部に前記支持部を係止した状態で前記絶縁体を保持する主体金具と、
前記絶縁体と前記主体金具との間に介在する環状のパッキンと、
を備えたスパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記段部のうち、前記主体金具の内径が前記スパークプラグの先端側にかけて縮小して形成されている後端側段部と、前記主体金具の内径が略一定の径を保持して形成されている中央段部とが接続する接続点をAとし、
前記パッキンが前記接続点Aに接し、前記パッキンの先端部が前記接続点Aよりも前記スパークプラグの先端側に位置し、前記接続点Aを基準として、軸線方向に垂直に引いた仮想直線上において、前記パッキンが存在する部分の長さをL1[mm]、前記主体金具の接続点Aから前記絶縁体までの間の距離をL2[mm]としたとき、
0.01≦L1/L2≦0.5
の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
このような構成とすれば、主体金具の内径が縮小する後端側段部と、主体金具の内径が略一定の径を保持する中央段部とが接続する接続点Aに対して、パッキンが接続点Aに接し、パッキンの先端部が接続点Aよりもスパークプラグの先端側に位置するように構成されるため、接続点Aへの電界集中を抑制することができる。また、接続点Aを基準として、パッキンが存在する部分の長さL1と、主体金具の接続点Aから絶縁体までの間の距離L2とが、0.01≦L1/L2≦0.5、の条件を満たすように構成されるため、接続点Aへの電界集中を抑制しつつ、パッキンと絶縁体との間に十分な間隔を確保することができる。これらの結果、スパークプラグにおいて、絶縁体の肉厚を厚くすることなく、耐電圧性を向上させることができる。
[適用例2]
適用例1記載のスパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記絶縁体の前記支持部の先端側に連続して形成された脚長部と前記支持部とは曲線部を介して接続されており、
前記曲線部の曲率半径R[mm]は、
0.4≦R
の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
このような構成とすれば、脚長部と支持部とは曲線部を介して接続されており、曲線部の曲率半径Rは0.4mm以上であるため、スパークプラグの加締め時および加締め後において、絶縁体に掛かる残留応力を小さくすることができ、スパークプラグの耐電圧性能のばらつきを抑制することができる。
[適用例3]
適用例1または2記載のスパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記中央段部の内径をD1[mm]とし、
前記支持部のうち、外径が最も大きな部分の外径をD3[mm]としたとき、
(D3−D1)/2≧0.3
の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
このような構成とすれば、中央段部の内径D1と、支持部の外径D3とが、(D3−D1)/2≧0.3、の条件を満たすように構成されるため、スパークプラグの加締め時および加締め後において、絶縁体に掛かる残留応力を小さくすることができ、スパークプラグの耐電圧性能のばらつきを抑制することができる。
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか一項記載のスパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記中央段部の内径をD1[mm]とし、
前記支持部のうち、外径が最も大きな部分の外径をD3[mm]としたとき、
(D3−D1)/2≦1.2
の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
このような構成とすれば、中央段部の内径D1と、支持部の外径D3とが、(D3−D1)/2≦1.2、の条件を満たすように構成されるため、スパークプラグ内部からの空気の漏洩を抑制することが可能となり、スパークプラグの気密性を向上させることができる。
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか一項記載のスパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記絶縁体のうち、前記支持部と、前記支持部の後端側に連続して形成されている外径が略一定の先端側胴部とが接続する接続点をBとし、
前記接続点Aを基準として、前記軸線方向に垂直に引いた第1の直線と、前記後端側段部とから形成される角度をθ1[°]とし、
前記接続点Bを基準として、前記軸線方向に垂直に引いた第2の直線と、前記支持部とから形成される角度をθ2[°]としたとき、
θ1−θ2>0
の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
このような構成とすれば、接続点Aを基準として、軸線方向に垂直に引いた第1の直線と後端側段部とから形成される角度θ1と、接続点Bを基準として、軸線方向に垂直に引いた第2の直線と支持部とから形成される角度θ2とが、θ1−θ2>0、の条件を満たすように構成されるため、スパークプラグの加締め時および加締め後において、絶縁体に掛かる残留応力を小さくすることができ、スパークプラグの耐電圧性能のばらつきを抑制することができる。
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか一項記載のスパークプラグであって、
前記軸線を含む断面において、
前記絶縁体のうち、前記支持部と、前記支持部の後端側に連続して形成されている外径が略一定の先端側胴部とが接続する接続点をBとし、
前記接続点Aを基準として、前記軸線方向に垂直に引いた第1の直線と、前記後端側段部とから形成される角度をθ1[°]とし、
前記接続点Bを基準として、前記軸線方向に垂直に引いた第2の直線と、前記支持部とから形成される角度をθ2[°]としたとき、
θ1−θ2≦10
の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
このような構成とすれば、接続点Aを基準として、軸線方向に垂直に引いた第1の直線と後端側段部とから形成される角度θ1と、接続点Bを基準として、軸線方向に垂直に引いた第2の直線と支持部とから形成される角度θ2とが、θ1−θ2≦10、の条件を満たすように構成されるため、スパークプラグ組み立て時における、絶縁体の軸ずれの発生確率を低減することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、スパークプラグの製造方法および製造装置、製造システム等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としてのスパークプラグの部分断面図である。 板パッキン付近を拡大して示す断面図である。 図2において破線で囲った領域AFを拡大して示す断面図である。 第1の条件(条件c)について説明するための説明図である。 図2において破線で囲った領域AFを拡大して示す断面図である。 第5の条件と第6の条件とについて説明するための説明図である。 第2実施形態におけるスパークプラグについて領域AF(図2)を拡大して示す断面図である。 板パッキンのはみ出し量に関する耐電圧性評価試験の結果を示す図である。 絶縁碍子の曲線部の曲率半径に関する耐電圧性ばらつき評価試験の結果を示す図である。 支持部の外径D3と中央段部の内径D1との関係に関する耐電圧性ばらつき評価試験の結果を示す図である。 支持部の外径D3と中央段部の内径D1との関係に関する気密性試験の結果を示す図である。 後端側段部の角度θ1と支持部の角度θ2との関係に関する耐電圧性ばらつき評価試験の結果を示す図である。 後端側段部の角度θ1と支持部の角度θ2との関係に関する軸ずれ評価試験の結果を示す図である。
次に、本発明の一態様であるスパークプラグの実施の形態を、以下の順序で説明する。
A.第1実施形態:
(A−1)スパークプラグの構造:
図1は、本発明の一実施形態としてのスパークプラグ100の部分断面図である。なお、図1において、スパークプラグ100の軸線方向ODを図面における上下方向とし、下側すなわち接地電極30が位置する側をスパークプラグ100の先端側、上側すなわち端子金具40が位置する側をスパークプラグ100の後端側として説明する。このことは、以降の図においても同様である。
スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、主体金具50と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40とを備えている。中心電極20は、絶縁碍子10内に軸線方向ODに延びた状態で保持されている。絶縁碍子10は、絶縁体として機能しており、主体金具50は、この絶縁碍子10を内挿している。端子金具40は、絶縁碍子10の後端部に設けられている。
絶縁体としての絶縁碍子10は、アルミナ等を焼成して形成され、軸線Oを中心に軸線方向ODへ延びる軸孔12が形成された筒形状を有する。軸線方向ODの略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、それより後端側(図1における上側)には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には、後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され、さらにその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。先端側胴部17は略一定の径を有する。一方、脚長部13は先端側ほど縮径され、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド200に取り付けられた際には、その燃焼室に曝される。脚長部13と先端側胴部17との間には支持部15が形成されている。
主体金具50は、低炭素鋼材より形成された円筒状の金具であり、スパークプラグ100を内燃機関のエンジンヘッド200に固定する。そして、主体金具50は、絶縁碍子10を内部に保持しており、絶縁碍子10は、その後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位を主体金具50によって取り囲まれている。
また、主体金具50は、工具係合部51と、取付ねじ部52とを備えている。工具係合部51は、スパークプラグレンチ(図示せず)が嵌合する部位である。主体金具50の取付ねじ部52は、ねじ山が形成された部位であり、内燃機関の上部に設けられたエンジンヘッド200の取付ねじ孔201に螺合する。
主体金具50の工具係合部51と取付ねじ部52との間には、鍔状のシール部54が形成されている。取付ねじ部52とシール部54との間のねじ首59には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付けた際に、シール部54の座面55と取付ねじ孔201の開口周縁部205との間で押し潰されて変形する。このガスケット5の変形により、スパークプラグ100とエンジンヘッド200間が封止され、取付ねじ孔201を介したエンジン内の気密漏れが防止される。
主体金具50の工具係合部51より後端側には、薄肉の加締部53が設けられている。また、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に、薄肉の座屈部58が設けられている。主体金具50の工具係合部51から加締部53にかけての内周面と、絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が介在されている。さらに両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53を内側に折り曲げるようにして加締めると、絶縁碍子10は、リング部材6,7およびタルク9を介して主体金具50内の先端側に向け押圧される。これにより、絶縁碍子10の支持部15は、主体金具50の内周に形成された段部56に支持され、主体金具50と絶縁碍子10とは、一体となる。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は、絶縁碍子10の支持部15と主体金具50の段部56との間に介在された環状の板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。
板パッキン8は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い材料によって形成される。板パッキン8の熱伝導率が高いと、絶縁碍子10の熱が主体金具50の段部56に効率よく伝わるため、スパークプラグ100の熱引きがよくなり、耐熱性を向上させることができる。座屈部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い外向きに撓み変形するように構成されており、タルク9の圧縮ストロークを稼いで主体金具50内の気密性を高めている。なお、主体金具50の段部56よりも先端側と絶縁碍子10との間には、所定寸法のクリアランスCLが設けられている。
中心電極20は、棒状の電極であり、電極母材21の内部に芯材25を埋設した構造を有している。電極母材21は、インコネル(登録商標)600または601等のニッケルまたはニッケルを主成分とする合金から形成されている。芯材25は、電極母材21よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金から形成されている。通常、中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に芯材25を詰め、底側から押出成形を行って引き延ばすことで作製される。芯材25は、胴部分においては略一定の外径をなすものの、先端側においては縮径部が形成される。また、中心電極20は、軸孔12内を後端側に向けて延設され、シール体4およびセラミック抵抗3を経由して、端子金具40に電気的に接続されている。端子金具40には、高圧ケーブル(図示せず)がプラグキャップ(図示せず)を介して接続され、高電圧が印加される。
中心電極20の先端部22は、絶縁碍子10の先端部11よりも突出している。中心電極20の先端部22の先端には、中心電極チップ90が接合されている。中心電極チップ90は、軸線方向ODに伸びた略円柱形状を有しており、耐火花消耗性を向上するため、高融点の貴金属によって形成されている。中心電極チップ90は、例えば、イリジウム(Ir)や、Irを主成分として、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)のうち、1種類あるいは2種類以上を添加したIr合金によって形成される。
接地電極30は、耐腐食性の高い金属から形成され、例えば、インコネル(登録商標)600または601等のニッケル合金から形成されている。この接地電極30の基部32は、溶接によって、主体金具50の先端部57に接合されている。また、接地電極30は屈曲しており、接地電極30の先端部33は、中心電極チップ90と対向している。
さらに、接地電極30の先端部33には、接地電極チップ95が接合されている。接地電極チップ95は、中心電極チップ90と対向しており、接地電極チップ95と、中心電極チップ90との間には、火花放電ギャップGが形成されている。なお、接地電極チップ95は、中心電極チップ90と同様の材料で形成することができる。
図2は、板パッキン8付近を拡大して示す断面図である。図3は、図2において破線で囲った領域AFを拡大して示す断面図である。図2、図3共に、軸線Oを含む断面でスパークプラグ100を切断した状態を示している。なお、以降の図では、軸線方向ODに垂直な方向をスパークプラグ100の径方向とする。
主体金具50の段部56には、スパークプラグ100の後端側から先端側にかけて、後端側段部56aと、中央段部56bと、先端側段部56cとが形成されている。後端側段部56aは、主体金具50の内径が、後端側から先端側にかけて徐々に縮小するように形成されている。中央段部56bは、主体金具50の内径が、略一定の径を保持するように形成されている。先端側段部56cは、主体金具50の内径が、後端側から先端側にかけて徐々に拡大するように形成されている。主体金具50の後端側段部56aには、板パッキン8を介して、絶縁碍子10の支持部15が係止された状態で保持されている。
ここで、図3に示すように、後端側段部56aと、中央段部56bとが接続する接続点をAとしたとき、板パッキン8は、接続点Aに接するように嵌め込まれていることが好ましい(条件a)。また、板パッキン8は、その先端部8aが、接続点Aよりもスパークプラグ100の先端側に位置するように嵌め込まれていることが好ましい(条件b)。さらに、接続点Aを基準として、軸線方向ODと垂直な方向(換言すれば、スパークプラグ100の径方向)に引いた仮想直線をPAとする。このとき、軸線Oを含む断面のうちの軸線Oを境界とした片側部分について、仮想直線PA上に板パッキン8が存在する部分の長さをL1(mm)とする。同様に、軸線Oを含む断面のうちの軸線Oを境界とした片側部分について、仮想直線PA上の接続点Aから絶縁碍子10までの間の距離をL2(mm)としたとき、長さL1と距離L2との関係は、
0.01≦L1/L2≦0.5
であることが好ましい(条件c)。なお、上述の条件a〜cを総称して「第1の条件」とも呼ぶ。また、長さL1を「板パッキン8のはみ出し量」と、距離L2を「主体金具50と絶縁碍子10のクリアランス」とも呼ぶ。
スパークプラグ100が第1の条件を満たすことが好ましい理由について説明する。段部56は、主体金具50の内周において突出するように形成されている。特に、後端側段部56aと中央段部56bとが接続している接続点Aは、角部を形成しているため、電界集中が起こりやすい。そこで、板パッキン8を条件a、bを満たすように嵌め込むこと、すなわち、板パッキン8が接続点Aに接し、接続点Aよりもスパークプラグ100の先端側に位置するように嵌め込むことによって、板パッキン8で角部(接続点A)を覆うことができる。この結果、接続点Aへの電界集中を抑制することができる。
図4は、第1の条件(条件c)について説明するための説明図である。図4(A)は、板パッキン8のはみ出し量が、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対して0%(L1/L2=0)である場合の例を示す。図4(A)のような場合、板パッキン8の先端部8aの形状に関わらず、角部を形成する接続点Aが露出した状態となる。このため、接続点Aにおいて、電界集中が起こりやすく、耐電圧性に乏しい状態となる。図4(B)は、板パッキン8のはみ出し量が、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対して50%より大きい(L1/L2>0.5)場合の例を示す。図4(B)のような場合、板パッキン8の先端部8aと、絶縁碍子10の脚長部13との間に十分な空間が確保できないため、電界集中が起こりやすく、耐電圧性に乏しい状態となる。以上のように、条件a〜cにより構成される第1の条件を満たすように構成されたスパークプラグ100は、耐電圧性能を向上させることが可能となる。なお、上記数値範囲が好ましい理由については後述する。
なお、図2および図3に示すように、主体金具50の中央段部56bの内径をD1(mm)とする。また、仮想直線PA上における、脚長部13の外径をD2(mm)とする。このとき、上記距離L2は、下式で表わすこともできる。
L2=(D1−D2)/2
なお、電界集中を抑制し、スパークプラグ100の耐電圧性能をより向上させる目的で、中央段部56bと先端側段部56cとの接続点に対して、さらなる改善を加えても良い。例えば、先端側段部56cをなくすことによって、主体金具50の内径が、中央段部56bから先端部57にかけて、略一定の径を保持するように形成してもよい。また、中央段部56bと先端側段部56cとが、曲線部を介して接続されることとしてもよい。
さらに、図3に示すように、絶縁碍子10の支持部15の先端側には、脚長部13が連続して形成されている。ここで、支持部15と、脚長部13とは、曲線部15fを介して接続されていることが好ましく、曲線部15fの外側表面の曲率半径Rは、0.4mm以上とすることが好ましい。なお、この条件を「第2の条件」とも呼ぶ。
スパークプラグ100が第1の条件に加えて、第2の条件を満たすことがより好ましい理由について説明する。スパークプラグ100の組み立て時には、中心電極20を組み付けた絶縁碍子10を、主体金具50の中空部分に挿入し、主体金具50の一部を内側(絶縁碍子10側)に加締める。これにより、絶縁碍子10の支持部15は、主体金具50の段部56に支持され、絶縁碍子10と主体金具50は一体とされる。この加締めに伴う主体金具50の変形により、加締め時および加締め後において、絶縁碍子10には残留応力が掛かる。絶縁碍子10に掛かる残留応力の大きさは、スパークプラグ100の耐電圧性能と関連する。そこで、加締め時に主体金具50の段部56と係合する絶縁碍子10の支持部15に対して、曲線部15fを設け、かつ、曲線部15fの曲率半径Rを0.4mm以上とすることによって、絶縁碍子10に掛かる残留応力を小さくすることができ、この結果、スパークプラグ100の耐電圧性能のばらつきを抑制することができる。なお、上記数値範囲が好ましい理由については後述する。
さらに、図2に示すように、絶縁碍子10の支持部15の外径が最も大きな部分、換言すれば、先端側胴部17と支持部15とが接続している部分の絶縁碍子10の外径をD3(mm)とする。このとき、外径D3と、主体金具50の中央段部56bの内径D1との関係は、
(D3−D1)/2≧0.3
であることが好ましい。なお、本条件を「第3の条件」とも呼ぶ。また、外径D3を「支持部15の外径」とも呼ぶ。
スパークプラグ100が第1の条件に加えて、第3の条件を満たすことがより好ましい理由は、第2の条件における理由と同様である。すなわち、(外径D3−内径D1)/2の値を0.3mm以上とすれば、支持部15と後端側段部56aにおいて、板パッキン8と接触する部分の面積を大きくすることができるため、加締め時に掛かる面圧が低下する。この結果、加締め時に絶縁碍子10に掛かる残留応力を小さくすることができ、スパークプラグ100の耐電圧性能のばらつきを抑制することができる。なお、上記数値範囲が好ましい理由については後述する。
さらに、上記支持部15の外径が最も大きな部分の外径D3と、主体金具50の中央段部56bの内径D1との関係は、
(D3−D1)/2≦1.2
であると、さらに好ましい。なお、本条件を「第4の条件」とも呼ぶ。
スパークプラグ100が第1の条件に加えて、第4の条件を満たすことがより好ましい理由について説明する。スパークプラグ100においては、燃焼ガスの流出を抑制するために、高い気密性が求められる。そこで、(外径D3−内径D1)/2の値を1.2mm以下とすれば、スパークプラグ100内部からの空気の漏洩を抑制することが可能となるため、スパークプラグ100の気密性を向上させることができる。なお、上記数値範囲が好ましい理由については後述する。
図5は、図2において破線で囲った領域AFを拡大して示す断面図である。図5に示すように、後端側段部56aと、中央段部56bとが接続する接続点Aを基準として、軸線方向ODと垂直な方向(換言すれば、スパークプラグ100の径方向)に引いた第1の直線PAと、後端側段部56aとから形成される角度をθ1とする。また、先端側胴部17と、支持部15とが接続する接続点Bを基準として、軸線方向ODと垂直な方向に引いた第2の直線PBと、支持部15とから形成される角度をθ2とする。このとき、角度θ1と、角度θ2との関係は、
θ1−θ2>0
であることが好ましい。なお、本条件を「第5の条件」とも呼ぶ。
また、図5において、角度θ1と、角度θ2との関係は、
θ1−θ2≦10
であると、より好ましい。なお、本条件を「第6の条件」とも呼ぶ。なお、角度θ1を「後端側段部56aの角度」とも呼ぶ。また、角度θ2を「支持部15の角度」とも呼ぶ。
スパークプラグ100が第1の条件に加えて、第5の条件と、第6の条件とを満たすことがより好ましい理由について説明する。
図6は、第5の条件と、第6の条件とについて説明するための説明図である。図6(A)は、後端側段部56aの角度θ1が、支持部15の角度θ2以下(θ1−θ2≦0)である場合の例を示す。角度θ1が角度θ2以下である場合、スパークプラグ100の組み立て時において、主体金具50を加締める際に掛かる応力が、接続点A付近に集中する。このため、絶縁碍子10に掛かる残留応力が大きくなるため、耐電圧性に乏しい状態となる。図6(B)は、後端側段部56aの角度θ1が、支持部15の角度θ2と比較して10°より大きい(θ1−θ2>10)場合の例を示す。角度θ1が角度θ2と比較して10°より大きい場合、主体金具50と絶縁碍子10との間の空間が、絶縁碍子10の中心(軸線O)方向に向かって広がる。このため、スパークプラグ100の組み立て時において、主体金具50を加締めた際の、板パッキン8のはみ出し量が大きくなり、板パッキン8の傾きに偏りが生じる。この結果、スパークプラグ100の組み立て時において、絶縁碍子10の軸ずれが生じやすくなる。
以上のように、第5の条件を満たすように構成されたスパークプラグ100では、耐電圧性能を向上させることが可能となる。また、第6の条件を満たすように構成されたスパークプラグ100では、組み立て時における絶縁碍子10の軸ずれの発生確率を低減することができる。なお、上記数値範囲が好ましい理由については後述する。
B.第2実施形態:
本発明の第2実施形態では、後端側段部と中央段部とが、曲線部を介して接続されている構成のスパークプラグについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成を有する部分についてのみ説明する。図中において第1実施形態と同様の構成部分については先に説明した第1実施形態と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は、第2実施形態におけるスパークプラグ100aについて、領域AF(図2)を拡大して示す断面図である。図3に示した第1実施形態との違いは、後端側段部56aと中央段部56bとが、曲線部56dを介して接続されている点のみであり、他の構成は第1実施形態と同じである。第2実施形態のスパークプラグ100aにおいては、後端側段部56aを絶縁碍子10の中心(軸線O)方向へ延長した延長線LAと、中央段部56bをスパークプラグ100aの後端側へ延長した延長線LBとの交点を、接続点Aとする。その上で、スパークプラグ100aは、第1実施形態において示した条件のうち、少なくとも第1の条件を満たしている。
C.板パッキンのはみ出し量に関する実験例:
図8は、板パッキン8のはみ出し量に関する耐電圧性評価試験の結果を示す図である。耐電圧性評価試験では、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対する板パッキン8のはみ出し量(%)が異なる複数のスパークプラグ100のサンプルを用意した。
複数のサンプルのうち、サンプルグループ#G11に含まれる5個のサンプルは、図1において説明したスパークプラグ100であって、さらに、板パッキン8のはみ出し量が、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対して0%以下(L1/L2≦0)のものである。サンプルグループ#G12に含まれる19個のサンプルは、図1において説明したスパークプラグ100であって、さらに、板パッキン8のはみ出し量が、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対して1%以上かつ50%以下(0.01≦L1/L2≦0.5)のものである。サンプルグループ#G13に含まれる7個のサンプルは、図1において説明したスパークプラグ100であって、さらに、板パッキン8のはみ出し量が、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対して50%より大きい(L1/L2>0.5)ものである。
耐電圧性評価試験では、サンプルグループ#G11〜#G13に含まれるそれぞれのサンプルに対して、以下の手順1a〜手順3aを実施した。
手順1a)サンプルのスパークプラグについて、主体金具50と絶縁碍子10との間の隙間を、電気絶縁性液体で満たす。電気絶縁性液体としては、例えば、フッ素系不活性液体である住友スリーエム社製のフロリナート(Fluorinert,登録商標)や、絶縁油を用いることができる。
手順2a)サンプルのスパークプラグの主体金具50をグランド(GND)に接続し、スパークプラグの電位を0にする。
手順3a)サンプルのスパークプラグに印加する電圧を徐々に高くしつつ、電気絶縁性液体による絶縁が破壊される電圧(すなわち絶縁碍子10の貫通電圧)を測定した。
図8に示す耐電圧性評価試験の結果において、横軸は主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対する板パッキン8のはみ出し量(%)を、縦軸は手順3aにより測定された絶縁碍子10の貫通電圧(kV)を、それぞれ示している。この評価試験において、貫通電圧が30kV(基準値TL1)を上回る場合は、従来のエンジンにおいて求められる放電電圧に耐えることができる。しかし、貫通電圧が35kV(基準値TL2)よりも小さいサンプルは、高出力エンジンにおいて求められる高い放電電圧に耐えられないおそれがあることから、判定を「不可」とした。
この評価試験の結果より、高出力エンジンにおいて求められる高い放電電圧に耐えうるだけの耐電圧性を有するためには、主体金具50と絶縁碍子10のクリアランスに対する板パッキン8のはみ出し量は、1%以上かつ50%以下であることが好ましいことがわかる。すなわち、スパークプラグ100において、絶縁碍子10の肉厚を厚くすることなく、耐電圧性を向上させるためには、第1の条件を満たすことが好ましいことがわかる。
D.絶縁碍子の曲線部の曲率半径に関する実験例:
図9は、絶縁碍子10の曲線部15fの曲率半径に関する耐電圧性ばらつき評価試験の結果を示す図である。
耐電圧性ばらつき評価試験では、以下の手順1b〜手順6bを実施した。
手順1b)絶縁碍子10の曲線部15fの外側表面における曲率半径Rが0.2mmである複数のスパークプラグ100のサンプルを用意する。
手順2b)手順1bで用意したサンプルのそれぞれに対して、「C.板パッキンのはみ出し量に関する実験例」で説明した手順1a〜手順3aを実施する。
手順3b)手順1a〜手順3aにより得られた測定結果を、横軸を曲線部15fの外側表面における曲率半径R(mm)、縦軸を手順3aにより測定された絶縁碍子10の貫通電圧(kV)とした表にプロットする。
手順4b)絶縁碍子10の曲線部15fの外側表面における曲率半径Rが0.3mmである複数のスパークプラグ100のサンプルと、曲率半径Rが0.4mmである複数のスパークプラグ100のサンプルと、曲率半径Rが0.8mmである複数のスパークプラグ100のサンプルと、のそれぞれに対して、手順2b、手順3bを実施する。図9(A)は、手順1b〜手順4bにより得られた表を示している。
手順5b)手順1b〜手順4bにより得られた表について、曲率半径Rが0.2mmのサンプルグループについての、貫通電圧の標準偏差(ばらつき)σ1を100%とおく。その上で、他の曲率半径Rを有するサンプルグループの貫通電圧の標準偏差(ばらつき)σ2〜σ4の比を、それぞれ求める。
手順6b)横軸を曲線部15fの外側表面における曲率半径R(mm)、縦軸を手順5bにより求めた貫通電圧の標準偏差(ばらつき)の比(%)とした表にプロットする。図9(B)は、手順1b〜手順6bにより得られた表を示している。
図9(B)に示す耐電圧性ばらつき評価試験の結果より、曲率半径Rが0.3mmのサンプルグループ#G22は、基準とした曲率半径Rが0.2mmのサンプルグループ#G21と比較して、貫通電圧のばらつきに大きな差異が見られないことがわかる。一方、曲率半径Rが0.4mmのサンプルグループ#G23と、曲率半径Rが0.8mmのサンプルグループ#G24とは、基準とした曲率半径Rが0.2mmのサンプルグループ#G21と比較して、貫通電圧のばらつきを低く抑えられていることがわかる。これは、換言すれば、曲率半径Rが0.4mm以上あれば、スパークプラグ100の加締め時および加締め後において、絶縁碍子10に掛かる残留応力を小さくすることができるため、スパークプラグ100の耐電圧性能のばらつきを抑制することができることを示している。
以上より、スパークプラグの耐電圧性能のばらつきを抑制するためには、曲線部15fの外側表面における曲率半径Rは0.4mm以上であること、すなわち、第2の条件を満たすことが好ましいことがわかる。
E.支持部の外径と中央段部の内径との関係に関する実験例1:
図10は、支持部15の外径D3と中央段部56bの内径D1との関係に関する耐電圧性ばらつき評価試験の結果を示す図である。
耐電圧性ばらつき評価試験では、以下の手順1c〜手順6cを実施した。
手順1c)支持部15の外径D3と、中央段部56bの内径D1とが、(D3−D1)/2=0.2の関係を満たす複数のスパークプラグ100のサンプルを用意する。
手順2c)手順1cで用意したサンプルのそれぞれに対して、「C.板パッキンのはみ出し量に関する実験例」で説明した手順1a〜手順3aを実施する。
手順3c)手順1a〜手順3aにより得られた測定結果を、横軸を(D3−D1)/2の値(mm)、縦軸を手順3aにより測定された絶縁碍子10の貫通電圧(kV)とした表にプロットする。
手順4c)支持部15の外径D3と、中央段部56bの内径D1とが、(D3−D1)/2=0.3である複数のスパークプラグ100のサンプルと、(D3−D1)/2=0.4である複数のスパークプラグ100のサンプルと、(D3−D1)/2=0.5である複数のスパークプラグ100のサンプルと、のそれぞれに対して、手順2c、手順3cを実施する。
手順5c)手順1c〜手順4cにより得られた表について、(D3−D1)/2=0.2の関係を満たすサンプルグループについての、貫通電圧の標準偏差σを100%とおく。その上で、他のサンプルグループの貫通電圧の標準偏差(ばらつき)の比を、それぞれ求める。
手順6c)横軸を(D3−D1)/2の値(mm)、縦軸を手順5cにより求めた貫通電圧の標準偏差(ばらつき)の比(%)とした表にプロットする。図10は、手順1c〜手順6cにより得られた表を示している。なお、図10では、主体金具50の外径がM10のスパークプラグ100をサンプルとして用いた。
図10に示す耐電圧性ばらつき評価試験の結果より、(D3−D1)/2が0.3mm以上のサンプルグループ#G32、#G33、#G34は、基準とした(D3−D1)/2が0.2mmのサンプルグループ#G31と比較して、貫通電圧のばらつきを低く抑えられていることがわかる。これは、換言すれば、(D3−D1)/2が0.3mm以上あれば、スパークプラグ100の加締め時および加締め後において、絶縁碍子10に掛かる残留応力を小さくすることができるため、スパークプラグ100の耐電圧性能のばらつきを抑制することができることを示している。
以上より、スパークプラグの耐電圧性能のばらつきを抑制するためには、支持部15の外径D3と、中央段部56bの内径D1とが、(D3−D1)/2≧0.3の関係を満たすこと、すなわち、第3の条件を満たすことが好ましいことがわかる。
F.支持部の外径と中央段部の内径との関係に関する実験例2:
図11は、支持部15の外径D3と中央段部56bの内径D1との関係に関する気密性試験の結果を示す図である。
気密性試験では、以下の手順1d、2dを実施した。
手順1d)支持部15の外径D3と、中央段部56bの内径D1とについて、(D3−D1)/2が異なる複数のスパークプラグ100のサンプルを用意する。
手順2d)手順1dで用意したサンプルのそれぞれに対して、「JIS B8031」に準拠する気密性試験を実施する。具体的には、各サンプルを温度150℃の環境において30分保持後、各サンプルの先端部側(発火部側)から気圧1.5MPa掛け、スパークプラグ100内部からの空気漏洩の有無を調べる。図11は、手順1d、手順2dにより得られた表を示している。なお、図11では、主体金具50の外径がM10のスパークプラグ100をサンプルとして用いた。
図11に示す気密性試験の結果より、(D3−D1)/2が1.2mm以下のサンプルでは、空気漏洩が見られなかったことがわかる。これは、換言すれば、(D3−D1)/2が1.2mm以下であれば、スパークプラグ100において、燃焼ガスの流出を抑制可能な高い気密性を得ることができることを示している。
以上より、スパークプラグにおいて高い気密性を確保するためには、支持部15の外径D3と、中央段部56bの内径D1とが、(D3−D1)/2≦1.2の関係を満たすこと、すなわち、第4の条件を満たすことが好ましいことがわかる。
G.後端側段部の角度と支持部の角度との関係に関する実験例1:
図12は、後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との関係に関する耐電圧性ばらつき評価試験の結果を示す図である。
耐電圧性ばらつき評価試験では、以下の手順1e〜6eを実施した。
手順1e)後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との角度差(θ1−θ2)が0°の関係を満たす複数のスパークプラグ100のサンプルを用意する。
手順2e)手順1eで用意したサンプルのそれぞれに対して、「C.板パッキンのはみ出し量に関する実験例」で説明した手順1a〜手順3aを実施する。
手順3e)手順1a〜手順3aにより得られた測定結果を、横軸を角度差(θ1−θ2)の値(°)、縦軸を手順3aにより測定された絶縁碍子10の貫通電圧(kV)とした表にプロットする。
手順4e)角度差(θ1−θ2)が1°である複数のスパークプラグ100のサンプルと、角度差(θ1−θ2)が5°である複数のスパークプラグ100のサンプルと、のそれぞれに対して、手順2e、手順3eを実施する。
手順5e)手順1e〜手順4eにより得られた表について、角度差(θ1−θ2)が0°であるサンプルグループについての、貫通電圧の標準偏差σを100%とおく。その上で、他のサンプルグループの貫通電圧の標準偏差(ばらつき)の比を、それぞれ求める。
手順6e)横軸を角度差(θ1−θ2)の値(°)、縦軸を手順5eにより求めた貫通電圧の標準偏差(ばらつき)の比(%)とした表にプロットする。図12は、手順1e〜手順6eにより得られた表を示している。
図12に示す耐電圧性ばらつき評価試験の結果より、後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との角度差(θ1−θ2)が0°より大きいサンプルグループ#G42、#G43は、基準とした角度差(θ1−θ2)が0°のサンプルグループ#G41と比較して、貫通電圧のばらつきを低く抑えられていることがわかる。これは、換言すれば、角度差(θ1−θ2)が0°より大きければ、スパークプラグ100の加締め時および加締め後において、絶縁碍子10に掛かる残留応力を小さくすることができるため、スパークプラグ100の耐電圧性能のばらつきを抑制することができることを示している。
以上より、スパークプラグの耐電圧性能のばらつきを抑制するためには、後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との角度差(θ1−θ2)が0°以上であること、すなわち、第5の条件を満たすことが好ましいことがわかる。
H.後端側段部の角度と支持部の角度との関係に関する実験例2:
図13は、後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との関係に関する軸ずれ評価試験の結果を示す図である。
軸ずれ評価試験では、以下の手順1f〜3fを実施した。
手順1f)後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との角度差(θ1−θ2)が1°である複数のスパークプラグ100のサンプルと、角度差(θ1−θ2)が5°である複数のスパークプラグ100のサンプルと、角度差(θ1−θ2)が10°である複数のスパークプラグ100のサンプルと、角度差(θ1−θ2)が12°である複数のスパークプラグ100のサンプルと、をそれぞれ用意する。
手順2f)手順1fで用意したサンプルグループのそれぞれに対して、各スパークプラグをその先端側から見た際に、絶縁碍子10と主体金具50の中心座標同士のずれが所定量を超えるサンプルが発生する割合を調べる。
手順3f)横軸を角度差(θ1−θ2)の値(°)、縦軸を手順2fにより求めた発生割合(%)とした表にプロットする。図13は、手順1f〜手順3fにより得られた表を示している。
図13に示す軸ずれ評価試験の結果より、後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との角度差(θ1−θ2)が10°以下のサンプルグループ#G51、#G52、#G53は、角度差(θ1−θ2)が10°より大きいサンプルグループ#G54と比較して、絶縁碍子10と主体金具50の中心座標同士のずれが所定量を超える(すなわち、軸ずれが発生する)割合が大幅に低く抑えられていることがわかる。
以上より、スパークプラグの組み立て時における軸ずれ発生率を低減するためには、後端側段部56aの角度θ1と、支持部15の角度θ2との角度差(θ1−θ2)が10°以下あること、すなわち、第6の条件を満たすことが好ましいことがわかる。
I.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
I1.変形例1:
上記実施形態では、スパークプラグの構成の一例を挙げて説明した。しかし、上記実施形態における態様はあくまで一例であり、スパークプラグの用途や、必要とされる性能に応じて、種々変形可能である。例えば、横放電型のスパークプラグとして構成してもよい。また、例えば、板パッキンの形状や材料についても、適宜変更が可能である。
また、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立請求項に記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。
3…セラミック抵抗
4…シール体
5…ガスケット
6…リング部材
8…板パッキン
8a…先端部
9…タルク
10…絶縁碍子
11…先端部
12…軸孔
13…脚長部
15…支持部
15f…曲線部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…鍔部
20…中心電極
21…電極母材
22…先端部
25…芯材
30…接地電極
32…基部
33…先端部
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ねじ部
53…加締部
54…シール部
55…座面
56…段部
56a…後端側段部
56b…中央段部
56c…先端側段部
56d…曲線部
57…先端部
58…座屈部
59…ねじ首
90…中心電極チップ
95…接地電極チップ
100、100a…スパークプラグ
200…エンジンヘッド
201…取付ねじ孔
205…開口周縁部

Claims (4)

  1. 棒状の中心電極と、
    筒状に形成され、その軸線方向に形成された貫通孔と外周に形成された支持部とを有するとともに、前記中心電極を前記貫通孔の先端側に備えた絶縁体と、
    筒状に形成されており、内周に形成された段部に前記支持部を係止した状態で前記絶縁体を保持する主体金具と、
    前記絶縁体と前記主体金具との間に介在する環状のパッキンと、
    を備えたスパークプラグであって、
    前記軸線を含む断面において、
    前記段部のうち、前記主体金具の内径が前記スパークプラグの先端側にかけて縮小して形成されている後端側段部と、前記主体金具の内径が略一定の径を保持して形成されている中央段部とが接続する接続点をAとし、
    前記パッキンが前記接続点Aに接し、前記パッキンの先端部が前記接続点Aよりも前記スパークプラグの先端側に位置し、前記接続点Aを基準として、軸線方向に垂直に引いた仮想直線上において、前記パッキンが存在する部分の長さをL1[mm]、前記主体金具の接続点Aから前記絶縁体までの間の距離をL2[mm]としたとき、
    0.01≦L1/L2≦0.5
    の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
  2. 請求項1記載のスパークプラグであって、
    前記軸線を含む断面において、
    前記絶縁体の前記支持部の先端側に連続して形成された脚長部と前記支持部とは曲線部を介して接続されており、
    前記曲線部の曲率半径R[mm]は、
    0.4≦R
    の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
  3. 請求項1または2記載のスパークプラグであって、
    前記軸線を含む断面において、
    前記中央段部の内径をD1[mm]とし、
    前記支持部のうち、外径が最も大きな部分の外径をD3[mm]としたとき、
    (D3−D1)/2≧0.3
    の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項記載のスパークプラグであって、
    前記軸線を含む断面において、
    前記中央段部の内径をD1[mm]とし、
    前記支持部のうち、外径が最も大きな部分の外径をD3[mm]としたとき、
    (D3−D1)/2≦1.2
    の条件を満たすことを特徴とする、スパークプラグ。
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