JP5683409B2 - スパークプラグおよびスパークプラグの製造方法 - Google Patents
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軸線方向に延びる中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、当該軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁体と、
を備えるスパークプラグであって、
前記中心電極の中心を通る前記軸線と、前記絶縁体の前記軸孔の先端における内周面と前記中心電極の外周面との隙間が最小になる位置と、を通る断面において、
前記軸線に対して垂直であり、前記軸孔の先端を通る直線を直線L1とし、
前記直線L1に対して平行であり、前記軸孔の先端から1mm後端側に位置する直線を直線L2とし、
前記軸線に対して平行であり、前記中心電極の外周面のうち前記隙間が最小となっている側から0.5mm内周側に位置する直線を直線L3とし、
前記直線L2と、前記中心電極の前記外周面のうち前記隙間が最小となっている側との交点を点P1とし、
前記直線L2と前記直線L3との交点を点P2とし、
点P1から点P2までの線分を線分LSとし、
前記断面に現れた前記中心電極の結晶粒のうち、前記線分LS上に位置する前記結晶粒を金属顕微鏡で観察し、得られた画像から前記結晶粒の平均粒子径を測定した場合において、
前記平均粒子径は、0.010mm以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
中心電極における線分LS近傍は、絶縁体の軸孔の先端付近からの熱流速が最も大きくなる箇所であり、この線分LS近傍における熱伝導率が大きいほど、絶縁体及び中心電極の熱引き性能が向上する。そして、中心電極における結晶粒の平均粒子径が大きいほど、熱伝導率は大きくなり、熱引き性能が向上する。したがって、この構成によれば、絶縁体及び中心電極の熱引き性能を向上させることができるので、スパークプラグの絶縁体及び中心電極の先端近傍が高温になることを抑制し、耐プレイグニッション性を向上させることができる。
適用例1に記載のスパークプラグであって、
前記隙間が最小になる位置において、前記最小の隙間は、0.05mm以上0.15mm以下であることを特徴とする、スパークプラグ。
この構成によれば、中心電極と絶縁体との隙間を小さくしているため、絶縁体から中心電極へ熱が伝わりやすくなり、絶縁体の熱引き性能を向上させることができる。さらに、中心電極と絶縁体との隙間は所定値以上確保されているため、中心電極の膨張による絶縁体の破壊を抑制することができる。
適用例1または適用例2に記載のスパークプラグであって、
前記平均粒子径は、0.025mm以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
この構成によれば、中心電極における熱伝導率をさらに高めることができ、絶縁体及び中心電極の熱引き性能をさらに向上させることができる。
適用例1から適用例3のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
前記中心電極は、ニッケルを70重量%以上含むことを特徴とする、スパークプラグ。
この構成によれば、中心電極の結晶粒が成長しやすくなるとともに、中心電極における熱伝導率を高めることができる。
適用例4に記載のスパークプラグであって、
前記中心電極は、ニッケルを80重量%以上含むことを特徴とする、スパークプラグ。
この構成によれば、中心電極の結晶粒がさらに成長しやすくなるとともに、中心電極における熱伝導率をさらに高めることができる。
軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、を備えたスパークプラグの製造方法であって、
成形された前記中心電極を準備する工程と、
準備された前記中心電極に対して、500℃以上950℃以下の温度範囲で、25時間以上の加熱処理を行なう工程と、
前記中心電極を前記絶縁体の軸孔の先端側に組付ける工程と
を備えることを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
この製造方法によれば、中心電極の結晶粒を成長させることができるため、熱引き性能のよいスパークプラグを製造することができる。
軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、を備えたスパークプラグの製造方法であって、
成形された前記中心電極を準備する工程と、
準備された前記中心電極に対して、イリジウムを含有する貴金属チップを接合する工程と、
前記貴金属チップが接合された中心電極に対して、500℃以上750℃以下の温度範囲で、25時間以上の加熱処理を行なう工程と、
前記中心電極を前記絶縁体の軸孔の先端側に組付ける工程と
を備えることを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
この製造方法によれば、イリジウムを含有する貴金属チップを酸化させることなく、中心電極の結晶粒を成長させることができる。したがって、貴金属チップを備えた、熱引き性能のよいスパークプラグを製造することができる。
A.実施形態:
A1.スパークプラグの全体構造:
A2.中心電極の先端部の詳細:
A3.製造方法:
B.実験例:
B1.平均粒子径に関する実験例1:
B2.最小隙間MGに関する実験例:
B3.平均粒子径に関する実験例2:
B4.中心電極におけるNiの含有量に関する実験例:
C.変形例:
A1.スパークプラグの全体構造:
図1は、本発明の一実施形態としてのスパークプラグ100を示す部分断面図である。以下では、図1においてスパークプラグ100の軸線方向ODを図面における上下方向とし、下側をスパークプラグの先端側、上側を後端側として説明する。なお、図1では、軸線Oの右側にスパークプラグ100の外観を示し、軸線Oの左側にスパークプラグ100を軸線O(以下では、中心軸Oともいう。)を通る面で切断した断面を示している。
図2は、中心電極20の先端付近を拡大して示す説明図である。図2(A)は、中心電極20を先端側から示した図であり、図2(B)は、図2(A)のB−B断面を示した図である。図2(A)に示す矢印MGは、絶縁碍子10の軸孔12の先端における内周面と、中心電極20の外周面との隙間が最小になる位置(以下では、この位置における隙間を「最小隙間MG」とも呼ぶ。)を示している。B−B断面線は、この最小隙間MGと、中心電極20の中心を通る軸線Oとを結んでいる。なお、この図2では、図示の便宜上、電極チップ90,95を省略して描いている。また、中心電極20の外径は、絶縁碍子10の軸孔12の先端から1mm後端側の位置よりも先端側の部分で縮径している場合がある。
・図2(B)に示された断面において、軸線Oに対して垂直であり、軸孔12の先端を通る直線を直線L1とする。
・直線L1に対して平行であり、軸孔12の先端から1mm後端側に位置する直線を直線L2とする。
・軸線Oに対して平行であり、中心電極20の外周面のうち隙間が最小となっている側から0.5mm内周側に位置する直線を直線L3とする。
・直線L2と、中心電極20の外周面のうち隙間が最小となっている側との交点を点P1とする。
・直線L2と直線L3との交点を点P2とする。
・点P1から点P2までの線分を線分LSとする。
図3は、スパークプラグ100の製造工程の一部を示す工程図である。工程S10では、電極母材21の内部に芯材25が埋設された状態で押出成形された中心電極20を準備する。工程S12では、準備された中心電極20に対して、500℃以上950℃以下の温度範囲で、25時間以上の加熱処理を行なう。工程S14では、中心電極20を絶縁碍子10の軸孔12の先端側に組付ける。
B1.平均粒子径に関する実験例1:
線分LS上に位置する結晶粒の平均粒子径と、耐プレイグニッション性との関係を調べるため、平均粒子径の異なるサンプルを用いて実験を行なった。本実験例では、各サンプルを4気筒エンジンに取り付けて、点火時期を徐々に進角させ、プレイグニッションが発生した点火時期(進角)を10回ずつ測定し、その平均値を算出した。そして、中心電極20の組織がファイバー状(すなわち、結晶粒ができていない状態)になっている比較サンプルに対してどの程度進角できたかに基づいて、耐プレイグニッション性を評価した。なお、本実験例における各サンプルの最小隙間MGは、0.2mmである。
F:+0.1度未満の進角によりプレイグニッションが発生した場合。(最も低い評価)
E:+0.1度以上+0.4度未満の進角によりプレイグニッションが発生した場合。
D:+0.4度以上+1.0度未満の進角によりプレイグニッションが発生した場合。
C:+1.0度以上+1.3度未満の進角によりプレイグニッションが発生した場合。
B:+1.3度以上+2.0度未満の進角によりプレイグニッションが発生した場合。
A:+2.0度以上の進角によりプレイグニッションが発生した場合。(最も高い評価)
最小隙間MGと絶縁碍子10における割れの発生との関係、及び、最小隙間MGと耐プレイグニッション性との関係を調べるため、最小隙間MGの異なるサンプルを用いて実験を行なった。本実験例の実験方法及び評価基準は、上述した「平均粒子径に関する実験例1」と同じである。ただし、絶縁碍子10に割れが発生した場合は、耐プレイグニッション性の評価を、最も低い評価である「F」とした。
本実験例では、最小隙間MGが0.15mmである各サンプルに対して、上述した「平均粒子径に関する実験例1」と同様の実験を行なった。
中心電極20におけるNiの含有量と、耐プレイグニッション性との関係を調べるため、Niの含有量の異なるサンプルを用いて実験を行なった。本実験例の実験方法及び評価基準は、上述した「平均粒子径に関する実験例1」と同じである。なお、本実験例における各サンプルの最小隙間MGは、0.15mmであり、線分LS上に位置する結晶粒の平均粒子径は、0.045mmである。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態におけるスパークプラグの放電方向は、軸線方向ODに一致しているが、本発明は、放電方向が軸線方向ODに垂直な方向である、いわゆる横放電型のスパークプラグに対しても、適用することができる。
上記実施形態におけるスパークプラグには、電極チップ90,95が設けられているが、これらの一方又は両方を設けないこととしてもよい。
4…シール体
5…ガスケット
6…リング部材
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
11…襞部
12…軸孔
13…脚長部
15…段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…鍔部
20…中心電極
21…電極母材
25…芯材
30…接地電極
33…先端部
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…鍔部
55…座面
56…段部
58…座屈部
59…ネジ首
90…電極チップ
95…電極チップ
100…スパークプラグ
200…エンジンヘッド
201…取付ネジ孔
205…開口周縁部
MG…最小隙間
Claims (7)
- 軸線方向に延びる中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有し、当該軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁体と、
を備えるスパークプラグであって、
前記中心電極の中心を通る前記軸線と、前記絶縁体の前記軸孔の先端における内周面と前記中心電極の外周面との隙間が最小になる位置と、を通る断面において、
前記軸線に対して垂直であり、前記軸孔の先端を通る直線を直線L1とし、
前記直線L1に対して平行であり、前記軸孔の先端から1mm後端側に位置する直線を直線L2とし、
前記軸線に対して平行であり、前記中心電極の外周面のうち前記隙間が最小となっている側から0.5mm内周側に位置する直線を直線L3とし、
前記直線L2と、前記中心電極の前記外周面のうち前記隙間が最小となっている側との交点を点P1とし、
前記直線L2と前記直線L3との交点を点P2とし、
点P1から点P2までの線分を線分LSとし、
前記断面に現れた前記中心電極の結晶粒のうち、前記線分LS上に位置する前記結晶粒を金属顕微鏡で観察し、得られた画像から前記結晶粒の平均粒子径を測定した場合において、
前記平均粒子径は、0.010mm以上であることを特徴とする、スパークプラグ。 - 請求項1に記載のスパークプラグであって、
前記隙間が最小になる位置において、前記最小の隙間は、0.05mm以上0.15mm以下であることを特徴とする、スパークプラグ。 - 請求項1または請求項2に記載のスパークプラグであって、
前記平均粒子径は、0.025mm以上であることを特徴とする、スパークプラグ。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
前記中心電極は、ニッケルを70重量%以上含むことを特徴とする、スパークプラグ。 - 請求項4に記載のスパークプラグであって、
前記中心電極は、ニッケルを80重量%以上含むことを特徴とする、スパークプラグ。 - 軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、を備えたスパークプラグの製造方法であって、
成形された前記中心電極を準備する工程と、
準備された前記中心電極に対して、500℃以上950℃以下の温度範囲で、25時間以上の加熱処理を行なう工程と、
前記中心電極を前記絶縁体の軸孔の先端側に組付ける工程と
を備えることを特徴とする、スパークプラグの製造方法。 - 軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、を備えたスパークプラグの製造方法であって、
成形された前記中心電極を準備する工程と、
準備された前記中心電極に対して、イリジウムを含有する貴金属チップを接合する工程と、
前記貴金属チップが接合された中心電極に対して、500℃以上750℃以下の温度範囲で、25時間以上の加熱処理を行なう工程と、
前記中心電極を前記絶縁体の軸孔の先端側に組付ける工程と
を備えることを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
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